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Chordia Research Memo(2):武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬開発を進める

配信日時:2025/11/20 12:02 配信元:FISCO
*12:02JST Chordia Research Memo(2):武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬開発を進める ■会社概要

1. 会社沿革
Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業で低分子化合物の抗がん薬開発を行っていた創薬研究者6人がスピンアウトして共同創業者となり、2017年10月に設立したバイオベンチャーである。武田薬品工業時代に開発を進めていたパイプラインのなかから4品目を選び、同年11月に武田薬品工業と全世界の独占的研究、開発、製造及び販売に関するライセンス契約を締結して、開発をスタートさせた。武田薬品工業では2016年頃にグループ全体の研究開発戦略の見直しを検討するなかで、抗がん薬の自社開発については抗体医薬品や細胞治療などニューモダリティ分野に絞り込み、低分子化合物の開発は優先順位を下げる方針を決定した。これは低分子化合物の創薬に見込みがなくなったわけではなく、事業の選択と集中を行う必要に迫られるなかで決定したものだ。こうしたなか、当時武田薬品工業のがん創薬ユニットの日本のヘッドであった現代表取締役の三宅 洋(みやけ ひろし)氏等がスピンアウトし、低分子化合物の創薬を継続していくことになった。なお、武田薬品工業とのライセンス契約の内容は、設立経緯や武田薬品工業が同社株式の約15%を保有する筆頭株主となっていることもあって、同社にとって好ましい条件となっているようだ。

リードパイプラインであるrogocekibは、2018年8月に日本で実施した第1相臨床試験で良好な結果を得たことから、2023年2月より米国で再発・難治性のAML及び骨髄異形成症候群(以下、MDS)※を適応症とした第1/2相臨床試験を開始しており、2025年1月には米国食品医薬品局(FDA)がオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として指定した。オーファンドラッグ指定を受けるメリットとして、承認申請時手数料の免除や承認後最長7年間のデータ保護、税制優遇、承認プロセスの簡略化などがあり、rogocekibの承認審査の迅速化や将来的な価値最大化に貢献するものと評価される。

※ 骨髄中で血液細胞のもとになる造血幹細胞に異常がおき、正常な血液細胞(赤血球、白血球、血小板)がつくれなくなる疾患で、病状が進行するとAMLに移行する場合がある。

同社は日本市場では製薬企業としての事業展開を目指しており、そのための体制整備として製造委託先となるシオノギファーマと協業に関する基本合意書を、また物流・販売促進に関しては、メディパルホールディングスとの業務提携に関する基本合意書をそれぞれ2022年5月に締結した。なお、2025年8月末の従業員数は前期末比1名増の23名(うち、Ph.D.12名)で、当面は同水準を維持する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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