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Chordia Research Memo(6):その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患対象の共同研究も開始
配信日時:2025/11/20 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST Chordia Research Memo(6):その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患対象の共同研究も開始
■Chordia Therapeutics<190A>の開発パイプライン
2. その他パイプライン
(1) CTX-177(MALT1阻害薬)
MALT1阻害薬は難治性リンパ腫向けの治療効果が期待される開発パイプラインで、前臨床試験実施後の2020年に小野薬品工業に対して早期導出を実現し※、小野薬品工業にて2022年8月に米国で再発・難治性の非ホジキンリンパ腫または慢性リンパ白血病を対象とした第1相臨床試験を開始(1例目の組み入れは2023年2月、目標症例数108例)したほか、日本でも2024年8月より再発・難治性非ホジキンリンパ腫を対象とした第1相臨床試験(目標症例数24例)を開始していたが、2025年4月に戦略上の理由により開発を中止するとの通知を受け、これに伴いライセンス契約も解消し、同社の全権利が戻ることとなった。本件に伴う金銭の授受は発生せず、これまで実施した臨床試験データの移管などを行っている。
※ 契約一時金8億円(2021年8月期)と第1相臨床試験開始に伴うマイルストン25億円(2023年8月期)を既に受領しており、今後の開発マイルストン及び商用マイルストンで最大496億円、並びに売上高に応じたロイヤリティを1ケタ後半から2ケタ前半パーセント得る契約となっている。
契約解消を受けて、同社はリンパ腫向け治療薬の開発を行っている100社程度の企業に対して、導出活動を開始しており、このうち数社から関心を寄せられていると言う。第1相臨床試験のデータ内容については不明なため今後の展開は見通し難いものの、上市の可能性のあるデータ結果が取得できているようであれば、再導出できる可能性も十分に考えられ、同社では2026年8月期中の導出を目指している。
難治性リンパ腫では、T細胞シグナルあるいはB細胞シグナル伝達経路の因子(T細胞受容体CD28、B細胞受容体CD79A/B、PLCγ1、PKCβ、CARD11)にシグナルを活性化する遺伝子変異が起こり、そのシグナルがBTKやMALT1(粘膜関連リンパ組織リンパ腫転位タンパク質1)を経由してNF-kBの活性化が引き起こされ、リンパ腫が異常に増殖することが知られている。MALT1阻害薬はこうしたシグナル伝達経路に活性化遺伝子変異を有するリンパ腫に対して、単剤あるいは他剤(BTK阻害剤等)との併用により抗腫瘍効果を示すことが期待されている。
なお、MALT1阻害薬の他社開発状況としては、米国のバイオベンチャーであるSchrodingerが2023年より再発・難治性リンパ腫を対象とした第1相臨床試験(予定症例数52例)を実施しており、2025年6月に初期臨床データを発表した。安全性・忍容性に問題はなく、45症例のうち完全奏功となるCR率は0%だったものの部分奏功も含めた全奏効率では22%と良好な結果を得られたとしており、2026年に第2相臨床試験に進む可能性が高い。同社では、CTX-177も前臨床試験の結果から少なくとも同程度の有効性は期待できると見ている。また、リンパ腫治療薬の大手であるAbbvieが2023年より第1相臨床試験(予定症例数150例)を実施中で、2027年に終了する見込みとなっている。そのほか、Janssenが2019年より米国で第1相臨床試験を実施していたが、その後新たな情報が発信されておらず開発が止まっている可能性がある。
(2) CTX-439(CDK12阻害薬)
CTX-439は、RNA転写の主に終結反応を制御する役割を果たすCDK12キナーゼ阻害薬となる。CDK12の機能を阻害すると転写が早期終結して短鎖型mRNAが生じ、機能の劣ったたんぱく質が翻訳され、特にDNA損傷応答にかかわる遺伝子群への影響が大きいとされる。同社では固形がんを対象にした単剤もしくは既承認薬との併用による開発を進めており、臨床試験開始に向け2024年に前臨床データを取得した。現在は開発戦略立案に向けたバイオマーカー研究を実施するとともに、臨床試験開始に向けた戦略的パートナーを探索している状況にある。
(3) CRD-099(GCN2阻害薬)
CRD-099はGCN2キナーゼ阻害薬となる。GCN2は細胞内アミノ酸濃度をモニタリングしているタンパク質で細胞内アミノ酸濃度が低下した状態で活性化される。GCN2機能を阻害するとアミノ酸の細胞外からの取り込みや新規合成が進まなくなり、アミノ酸枯渇状態となって細胞死が誘導される。アスパラキナーゼなどのアミノ酸濃度を低下させる既承認薬との併用で抗がん作用を発揮することが期待され、現在は化合物の最適化研究を終え、前臨床試験実施に向けて戦略的パートナーを探索している段階にある。
なお、GCN2阻害薬に関しては2025年8月に眼科疾患治療薬としての開発の可能性を探るべく千寿製薬と共同研究を開始している。また、眼科疾患治療薬としての開発については同年7月にデ・ウエスタン・セラピテクス研究所ともそのほかの低分子化合物で共同研究を行うことを発表している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2. その他パイプライン
(1) CTX-177(MALT1阻害薬)
MALT1阻害薬は難治性リンパ腫向けの治療効果が期待される開発パイプラインで、前臨床試験実施後の2020年に小野薬品工業に対して早期導出を実現し※、小野薬品工業にて2022年8月に米国で再発・難治性の非ホジキンリンパ腫または慢性リンパ白血病を対象とした第1相臨床試験を開始(1例目の組み入れは2023年2月、目標症例数108例)したほか、日本でも2024年8月より再発・難治性非ホジキンリンパ腫を対象とした第1相臨床試験(目標症例数24例)を開始していたが、2025年4月に戦略上の理由により開発を中止するとの通知を受け、これに伴いライセンス契約も解消し、同社の全権利が戻ることとなった。本件に伴う金銭の授受は発生せず、これまで実施した臨床試験データの移管などを行っている。
※ 契約一時金8億円(2021年8月期)と第1相臨床試験開始に伴うマイルストン25億円(2023年8月期)を既に受領しており、今後の開発マイルストン及び商用マイルストンで最大496億円、並びに売上高に応じたロイヤリティを1ケタ後半から2ケタ前半パーセント得る契約となっている。
契約解消を受けて、同社はリンパ腫向け治療薬の開発を行っている100社程度の企業に対して、導出活動を開始しており、このうち数社から関心を寄せられていると言う。第1相臨床試験のデータ内容については不明なため今後の展開は見通し難いものの、上市の可能性のあるデータ結果が取得できているようであれば、再導出できる可能性も十分に考えられ、同社では2026年8月期中の導出を目指している。
難治性リンパ腫では、T細胞シグナルあるいはB細胞シグナル伝達経路の因子(T細胞受容体CD28、B細胞受容体CD79A/B、PLCγ1、PKCβ、CARD11)にシグナルを活性化する遺伝子変異が起こり、そのシグナルがBTKやMALT1(粘膜関連リンパ組織リンパ腫転位タンパク質1)を経由してNF-kBの活性化が引き起こされ、リンパ腫が異常に増殖することが知られている。MALT1阻害薬はこうしたシグナル伝達経路に活性化遺伝子変異を有するリンパ腫に対して、単剤あるいは他剤(BTK阻害剤等)との併用により抗腫瘍効果を示すことが期待されている。
なお、MALT1阻害薬の他社開発状況としては、米国のバイオベンチャーであるSchrodingerが2023年より再発・難治性リンパ腫を対象とした第1相臨床試験(予定症例数52例)を実施しており、2025年6月に初期臨床データを発表した。安全性・忍容性に問題はなく、45症例のうち完全奏功となるCR率は0%だったものの部分奏功も含めた全奏効率では22%と良好な結果を得られたとしており、2026年に第2相臨床試験に進む可能性が高い。同社では、CTX-177も前臨床試験の結果から少なくとも同程度の有効性は期待できると見ている。また、リンパ腫治療薬の大手であるAbbvieが2023年より第1相臨床試験(予定症例数150例)を実施中で、2027年に終了する見込みとなっている。そのほか、Janssenが2019年より米国で第1相臨床試験を実施していたが、その後新たな情報が発信されておらず開発が止まっている可能性がある。
(2) CTX-439(CDK12阻害薬)
CTX-439は、RNA転写の主に終結反応を制御する役割を果たすCDK12キナーゼ阻害薬となる。CDK12の機能を阻害すると転写が早期終結して短鎖型mRNAが生じ、機能の劣ったたんぱく質が翻訳され、特にDNA損傷応答にかかわる遺伝子群への影響が大きいとされる。同社では固形がんを対象にした単剤もしくは既承認薬との併用による開発を進めており、臨床試験開始に向け2024年に前臨床データを取得した。現在は開発戦略立案に向けたバイオマーカー研究を実施するとともに、臨床試験開始に向けた戦略的パートナーを探索している状況にある。
(3) CRD-099(GCN2阻害薬)
CRD-099はGCN2キナーゼ阻害薬となる。GCN2は細胞内アミノ酸濃度をモニタリングしているタンパク質で細胞内アミノ酸濃度が低下した状態で活性化される。GCN2機能を阻害するとアミノ酸の細胞外からの取り込みや新規合成が進まなくなり、アミノ酸枯渇状態となって細胞死が誘導される。アスパラキナーゼなどのアミノ酸濃度を低下させる既承認薬との併用で抗がん作用を発揮することが期待され、現在は化合物の最適化研究を終え、前臨床試験実施に向けて戦略的パートナーを探索している段階にある。
なお、GCN2阻害薬に関しては2025年8月に眼科疾患治療薬としての開発の可能性を探るべく千寿製薬と共同研究を開始している。また、眼科疾患治療薬としての開発については同年7月にデ・ウエスタン・セラピテクス研究所ともそのほかの低分子化合物で共同研究を行うことを発表している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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