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Chordia Research Memo(1):2028年後半に血液がん向け治療薬rogocekibの承認申請目指す
配信日時:2025/11/20 12:01
配信元:FISCO
*12:01JST Chordia Research Memo(1):2028年後半に血液がん向け治療薬rogocekibの承認申請目指す
■要約
Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業<4502>からスピンアウトした創薬研究者が創業したバイオベンチャーで、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を行っている。探索研究から臨床研究までをコアビジネスとし、国内では提携戦略により製造・販売まで自社で行い、海外ではライセンスアウトすることで早期収益化を目指している。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に株式上場した。
1. CLK阻害薬rogocekibの開発状況と今後の展望
現在の開発パイプラインは5つあり、このうちリードパイプラインであるCLK阻害薬rogocekib(以下、rogocekib)※1(ロゴセキブ)(CTX-712)は日本における第1相臨床試験を完了しており、既存の承認薬と同等レベルの有望な成績が得られている。この結果を踏まえて、血液がん(2次治療以降の急性骨髄性白血病(以下、AML))を対象とした第1/2相臨床試験を米国で実施している(現在は第1相パート)。rogocekibは、mRNA※2生成過程において過剰なストレスを与えることによってがん細胞を死滅させる新しい作用機序の低分子化合物であり、開発に成功すればAMLの2次治療領域だけで潜在市場規模は2,000〜4,000億円と同社では試算している(対象患者数は日米欧で最大約1.8万人と見積もられ、薬価と平均治療期間に基づいて算定)。今後においてもAMLの患者数は増加が見込まれており、潜在市場規模も同様に拡大が見込まれている。また、AML の2次治療以降での承認取得後は、1次治療やその他のがん種への適応拡大を進める方針である。
※1 rogocekib(CTX-712)は、2024年11月に世界保健機関より、医薬品一般名称「rogocekib」として公開された。
※2 RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある。
米国における臨床試験の成功確率を高めるために第1相臨床試験で当初予定していた週1回の投与スケジュールに加えて、週2回の投与スケジュールでの試験及びそれらを踏まえた拡大コホート試験も実施することになった。このため、日米で実施予定の第2相臨床試験については2027年から開始する見込みとなり、全症例数も当初予定の170例から225例に増加することになった。同社では治験施設数を増やして早期に臨床試験を完了し、2028年後半に国内での製造販売承認申請を目指す。米国については2026年中頃に発表予定の第1相パートの中間成績をもとにライセンス活動を本格的に開始する予定だ。同適応症で開発に成功すれば1次治療やその他のがん種へと適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。
2. 業績動向
2025年8月期の業績は事業収益の計上がなく、経常損失で1,769百万円(前期は1,824百万円の損失)となった。rogocekibの臨床試験費用を中心に研究開発費1,425百万円を計上したことが主因だ。2026年8月期もrogocekibの臨床試験を経営の最優先事項として推進し、その他のパイプラインはコストを抑制しながら導出活動を継続していく計画で、研究開発費で1,590百万円、経常損失で1,958百万円を見込んでいる。2025年8月末時点の現金及び預金は2,548百万円となっているが、rogocekibの臨床試験費用は第2相パートに入る2027年8月期にさらに増加する見通しで、開発資金を確保すべく第三者割当による新株予約権を2025年9月に発行した。rogocekibの米国でのパートナー契約締結の可能性は早くても2027年8月期になるため、当面は株式市場から資金調達していくものと思われる。
3.今後の事業方針
同社は「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを2030年ビジョンとして掲げている。医薬品製造に関してはシオノギファーマ(株)と、国内における流通・販促活動についてはメディパルホールディングス<7459>と2022年に業務提携の基本合意を締結するなど体制整備を進めつつ、海外市場はライセンスアウトにより早期収益化を目指すなど、まずはrogocekibの上市を最優先事項として取り組んでいる。そのほか2020年に小野薬品工業<4528>に導出したCTX-177は、先方の開発戦略見直しにより2025年4月に開発中止と契約解消が発表され、現在は再導出活動を開始している。また、その他パイプラインも眼科疾患治療薬としての可能性を探るべく、千寿製薬(株)やデ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>との共同研究に着手しており、今後の動向が注目される。
■Key Points
・武田薬品工業からスピンアウトした創薬ベンチャー。低分子化合物の抗がん薬開発に特化し、2024年にグロース市場に上場
・rogocekibは米国で第1/2相臨床試験中。2026年中間成績を第1相の中間成績を発表予定、2027年第2相開始、2028年後半に販売承認申請を目指す
・その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患を対象とした共同研究も開始
・2026年8月期はrogocekibの開発費増により損失が若干拡大見通し。資金調達体制強化済
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業<4502>からスピンアウトした創薬研究者が創業したバイオベンチャーで、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を行っている。探索研究から臨床研究までをコアビジネスとし、国内では提携戦略により製造・販売まで自社で行い、海外ではライセンスアウトすることで早期収益化を目指している。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に株式上場した。
1. CLK阻害薬rogocekibの開発状況と今後の展望
現在の開発パイプラインは5つあり、このうちリードパイプラインであるCLK阻害薬rogocekib(以下、rogocekib)※1(ロゴセキブ)(CTX-712)は日本における第1相臨床試験を完了しており、既存の承認薬と同等レベルの有望な成績が得られている。この結果を踏まえて、血液がん(2次治療以降の急性骨髄性白血病(以下、AML))を対象とした第1/2相臨床試験を米国で実施している(現在は第1相パート)。rogocekibは、mRNA※2生成過程において過剰なストレスを与えることによってがん細胞を死滅させる新しい作用機序の低分子化合物であり、開発に成功すればAMLの2次治療領域だけで潜在市場規模は2,000〜4,000億円と同社では試算している(対象患者数は日米欧で最大約1.8万人と見積もられ、薬価と平均治療期間に基づいて算定)。今後においてもAMLの患者数は増加が見込まれており、潜在市場規模も同様に拡大が見込まれている。また、AML の2次治療以降での承認取得後は、1次治療やその他のがん種への適応拡大を進める方針である。
※1 rogocekib(CTX-712)は、2024年11月に世界保健機関より、医薬品一般名称「rogocekib」として公開された。
※2 RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある。
米国における臨床試験の成功確率を高めるために第1相臨床試験で当初予定していた週1回の投与スケジュールに加えて、週2回の投与スケジュールでの試験及びそれらを踏まえた拡大コホート試験も実施することになった。このため、日米で実施予定の第2相臨床試験については2027年から開始する見込みとなり、全症例数も当初予定の170例から225例に増加することになった。同社では治験施設数を増やして早期に臨床試験を完了し、2028年後半に国内での製造販売承認申請を目指す。米国については2026年中頃に発表予定の第1相パートの中間成績をもとにライセンス活動を本格的に開始する予定だ。同適応症で開発に成功すれば1次治療やその他のがん種へと適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。
2. 業績動向
2025年8月期の業績は事業収益の計上がなく、経常損失で1,769百万円(前期は1,824百万円の損失)となった。rogocekibの臨床試験費用を中心に研究開発費1,425百万円を計上したことが主因だ。2026年8月期もrogocekibの臨床試験を経営の最優先事項として推進し、その他のパイプラインはコストを抑制しながら導出活動を継続していく計画で、研究開発費で1,590百万円、経常損失で1,958百万円を見込んでいる。2025年8月末時点の現金及び預金は2,548百万円となっているが、rogocekibの臨床試験費用は第2相パートに入る2027年8月期にさらに増加する見通しで、開発資金を確保すべく第三者割当による新株予約権を2025年9月に発行した。rogocekibの米国でのパートナー契約締結の可能性は早くても2027年8月期になるため、当面は株式市場から資金調達していくものと思われる。
3.今後の事業方針
同社は「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを2030年ビジョンとして掲げている。医薬品製造に関してはシオノギファーマ(株)と、国内における流通・販促活動についてはメディパルホールディングス<7459>と2022年に業務提携の基本合意を締結するなど体制整備を進めつつ、海外市場はライセンスアウトにより早期収益化を目指すなど、まずはrogocekibの上市を最優先事項として取り組んでいる。そのほか2020年に小野薬品工業<4528>に導出したCTX-177は、先方の開発戦略見直しにより2025年4月に開発中止と契約解消が発表され、現在は再導出活動を開始している。また、その他パイプラインも眼科疾患治療薬としての可能性を探るべく、千寿製薬(株)やデ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>との共同研究に着手しており、今後の動向が注目される。
■Key Points
・武田薬品工業からスピンアウトした創薬ベンチャー。低分子化合物の抗がん薬開発に特化し、2024年にグロース市場に上場
・rogocekibは米国で第1/2相臨床試験中。2026年中間成績を第1相の中間成績を発表予定、2027年第2相開始、2028年後半に販売承認申請を目指す
・その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患を対象とした共同研究も開始
・2026年8月期はrogocekibの開発費増により損失が若干拡大見通し。資金調達体制強化済
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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