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いちご Research Memo(2):心築事業・ホテル事業を軸に3上場投資法人を運用・管理
配信日時:2025/11/18 13:02
配信元:FISCO
*13:02JST いちご Research Memo(2):心築事業・ホテル事業を軸に3上場投資法人を運用・管理
■会社概要
1. 会社概要
いちご<2337>は、オフィス、商業施設、ホテル、レジデンスなど幅広いタイプの不動産を対象に、不動産価値向上ノウハウを活用し、投資・運用を行う心築を強みとしている。また同社は、オフィス特化型、ホテル特化型、再生可能エネルギー発電施設の3つの投資法人(いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人<9282>(以下、いちごグリーン))を運用・管理するユニークな企業グループである。ストック型とフロー型の収益モデルを有し、特にストック収益の成長に注力するとともに、キャッシュ・フローを最大化する経営を徹底してきた。2002年11月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現 東京証券取引所(以下、東証)グロース市場)に上場。2015年11月に東証1部に昇格し、2022年4月に東証プライム市場へ移行した。同社はすべての事業において社会貢献を目指し、心築事業における環境負荷低減やクリーンエネルギーの創出など本業を通じた貢献に加え、Jリーグのトップパートナーとして地域活性に参画するほか、「RE100」や「国連グローバル・コンパクト」に加盟するなど多面的な活動を通じて、サステナブルな社会の実現に力を注いでいる。
2. 事業内容
同社の収益構造はストック収益とフロー収益があり、バランス良く成長するなか、特にストック収益の強化を図ってきた。ストック収益は、2026年2月期中間期実績で12,798百万円(前年同期比14.3%増)と順調に増加した。ストック収益の内訳としては、保有資産の賃料収入、発電所の売電収入など保有アセットからの収入に加え、ノンアセット収益であるアセットマネジメントのベース運用フィーやホテルオペレーター収益及びPROPERA利用料などがあり、収益源を多様化しながら順調に積み上がっている。フロー収益は心築事業やホテル事業、いちごオーナーズなどにおける不動産譲渡益であり、9,321百万円(同90.8%増)の実績である。収益全体に占めるストック収益の比率を60%以上にすることを目標としており、2026年2月期中間期は57.9%となった。ストック収益は同社の固定費(固定販管費+支払利息)の2倍以上(212.3%)に相当し、十分カバーして余りある。不況期で仮に不動産価値が下がった場合でも安定した収益で固定費を賄えるため、無理な不動産売却を行う必要がない強靭なビジネスモデルを有している。
同社の事業セグメントは、1)アセットマネジメント事業、2)心築事業、3)ホテル事業、4)いちごオーナーズ事業、5)クリーンエネルギー事業の5つである。
アセットマネジメント事業は、自社グループで運用するいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーン及び不動産私募ファンド・リートに対し、案件の発掘や供給、運営・管理に加え、心築により物件価値を向上させ、投資主価値の最大化を図る。また、2023年2月期よりセキュリティ・トークンを活用した不動産投資商品である「いちご・レジデンス・トークン」の運用も担う。アセットマネジメント事業の拡大は、安定性と継続性の基盤であり、バランスシートに依存せずにキャッシュ創出を図る同社の戦略の柱である。2026年2月期中間期の事業利益は1,029百万円、全社構成比で6.8%であり、安定収益に貢献している。
心築事業は不動産保有期間の賃料収入を享受しつつ遵法性の確保や耐震補強といったベーシックな価値向上に加え、テナントニーズに基づき、占有・共用部機能の充実、近隣とのコミュニティ形成や災害時のBCP対策を目的としたイベントの開催など、稼働率改善及びテナント満足度の向上といったハード・ソフト両面のアプローチにより賃料の向上を図り、不動産価値を高めて売却することで高い売却益を得る。保有物件はオフィス及び商業施設が多く、ロジスティクスや底地等を含めて55件となり、潤沢なストック収益を生み出している。平均保有年数3〜5年でじっくりと価値向上を行ったうえで、相対的に高い粗利率(実績平均32%)を獲得する。2026年2月期中間期の事業利益は5,147百万円、全社構成比で34.0%であり、同社の収益の柱である。
ホテル事業は、心築ノウハウを礎に、リニューアルによる自社ブランドホテル(「THE KNOT」、「The OneFive」等)の展開、ホテルオペレーション、DXの提供(自社開発のAIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」の提供等)まで、多面から現存ホテルに新しい価値を創造する事業である。保有物件は、13棟・78,371百万円(簿価ベース)である。保有ホテルのRevPAR(平均客室単価×平均客室稼働率で求められる、ホテルの収益力を示す指標)では、前年同期比23.3%増の15,907円となり、ストック収益の拡大に大きく貢献した。2026年2月期中間期の事業利益は5,290百万円、全社構成比で35.0%であり、同社の収益の柱の1つである。
いちごオーナーズ事業は、多様な買主ニーズと入居者ニーズを集積し、同社の強みであるマーケティング・ブランディングを活用し、いちごのレジデンスブランド「GRAN PASEO」シリーズを展開する。建設を外部デベロッパーへ委託するファブレス経営により建設リスク・コストを軽減しつつ、優れた商品企画や高水準の品質管理を徹底する。売却先としては、機関投資家や富裕層などに加え、セキュリティ・トークン市場での売却も拡大する。保有物件は、39棟・56,240百万円(簿価ベース)である。粗利率は11%と心築やホテルに比べると低く設定しているが、平均保有年数は約1年ほどで回転率の高いビジネスモデルである。2026年2月期中間期の事業利益は2,496百万円、全社構成比で16.5%であり、事業ポートフォリオの中で有力なセグメントとして成長している。
クリーンエネルギー事業は、2012年に開始され、現在では全国64ヶ所の太陽光及び風力発電所プロジェクトをグループで運営するまでに成長した。内訳としては、同社が保有する太陽光発電所が48ヶ所、151.4MW。同社が保有する風力発電所が1ヶ所、7.3MW。いちごグリーンが保有し、同社が運営する太陽光発電所が15発電所、29.4MW。今後の開発計画としては、地域一体型グリーンバイオマス発電所(4ヶ所、3.2MW)、Non-FIT太陽光発電所(7発電所、14.5MW)のほか、再生可能エネルギー発電を補う電力調整力を提供する系統用蓄電池事業(1ヶ所8.9MWh)への参入が計画されている。2026年2月期中間期の事業利益は1,211百万円、全社構成比で8.0%である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. 会社概要
いちご<2337>は、オフィス、商業施設、ホテル、レジデンスなど幅広いタイプの不動産を対象に、不動産価値向上ノウハウを活用し、投資・運用を行う心築を強みとしている。また同社は、オフィス特化型、ホテル特化型、再生可能エネルギー発電施設の3つの投資法人(いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人<9282>(以下、いちごグリーン))を運用・管理するユニークな企業グループである。ストック型とフロー型の収益モデルを有し、特にストック収益の成長に注力するとともに、キャッシュ・フローを最大化する経営を徹底してきた。2002年11月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現 東京証券取引所(以下、東証)グロース市場)に上場。2015年11月に東証1部に昇格し、2022年4月に東証プライム市場へ移行した。同社はすべての事業において社会貢献を目指し、心築事業における環境負荷低減やクリーンエネルギーの創出など本業を通じた貢献に加え、Jリーグのトップパートナーとして地域活性に参画するほか、「RE100」や「国連グローバル・コンパクト」に加盟するなど多面的な活動を通じて、サステナブルな社会の実現に力を注いでいる。
2. 事業内容
同社の収益構造はストック収益とフロー収益があり、バランス良く成長するなか、特にストック収益の強化を図ってきた。ストック収益は、2026年2月期中間期実績で12,798百万円(前年同期比14.3%増)と順調に増加した。ストック収益の内訳としては、保有資産の賃料収入、発電所の売電収入など保有アセットからの収入に加え、ノンアセット収益であるアセットマネジメントのベース運用フィーやホテルオペレーター収益及びPROPERA利用料などがあり、収益源を多様化しながら順調に積み上がっている。フロー収益は心築事業やホテル事業、いちごオーナーズなどにおける不動産譲渡益であり、9,321百万円(同90.8%増)の実績である。収益全体に占めるストック収益の比率を60%以上にすることを目標としており、2026年2月期中間期は57.9%となった。ストック収益は同社の固定費(固定販管費+支払利息)の2倍以上(212.3%)に相当し、十分カバーして余りある。不況期で仮に不動産価値が下がった場合でも安定した収益で固定費を賄えるため、無理な不動産売却を行う必要がない強靭なビジネスモデルを有している。
同社の事業セグメントは、1)アセットマネジメント事業、2)心築事業、3)ホテル事業、4)いちごオーナーズ事業、5)クリーンエネルギー事業の5つである。
アセットマネジメント事業は、自社グループで運用するいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーン及び不動産私募ファンド・リートに対し、案件の発掘や供給、運営・管理に加え、心築により物件価値を向上させ、投資主価値の最大化を図る。また、2023年2月期よりセキュリティ・トークンを活用した不動産投資商品である「いちご・レジデンス・トークン」の運用も担う。アセットマネジメント事業の拡大は、安定性と継続性の基盤であり、バランスシートに依存せずにキャッシュ創出を図る同社の戦略の柱である。2026年2月期中間期の事業利益は1,029百万円、全社構成比で6.8%であり、安定収益に貢献している。
心築事業は不動産保有期間の賃料収入を享受しつつ遵法性の確保や耐震補強といったベーシックな価値向上に加え、テナントニーズに基づき、占有・共用部機能の充実、近隣とのコミュニティ形成や災害時のBCP対策を目的としたイベントの開催など、稼働率改善及びテナント満足度の向上といったハード・ソフト両面のアプローチにより賃料の向上を図り、不動産価値を高めて売却することで高い売却益を得る。保有物件はオフィス及び商業施設が多く、ロジスティクスや底地等を含めて55件となり、潤沢なストック収益を生み出している。平均保有年数3〜5年でじっくりと価値向上を行ったうえで、相対的に高い粗利率(実績平均32%)を獲得する。2026年2月期中間期の事業利益は5,147百万円、全社構成比で34.0%であり、同社の収益の柱である。
ホテル事業は、心築ノウハウを礎に、リニューアルによる自社ブランドホテル(「THE KNOT」、「The OneFive」等)の展開、ホテルオペレーション、DXの提供(自社開発のAIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」の提供等)まで、多面から現存ホテルに新しい価値を創造する事業である。保有物件は、13棟・78,371百万円(簿価ベース)である。保有ホテルのRevPAR(平均客室単価×平均客室稼働率で求められる、ホテルの収益力を示す指標)では、前年同期比23.3%増の15,907円となり、ストック収益の拡大に大きく貢献した。2026年2月期中間期の事業利益は5,290百万円、全社構成比で35.0%であり、同社の収益の柱の1つである。
いちごオーナーズ事業は、多様な買主ニーズと入居者ニーズを集積し、同社の強みであるマーケティング・ブランディングを活用し、いちごのレジデンスブランド「GRAN PASEO」シリーズを展開する。建設を外部デベロッパーへ委託するファブレス経営により建設リスク・コストを軽減しつつ、優れた商品企画や高水準の品質管理を徹底する。売却先としては、機関投資家や富裕層などに加え、セキュリティ・トークン市場での売却も拡大する。保有物件は、39棟・56,240百万円(簿価ベース)である。粗利率は11%と心築やホテルに比べると低く設定しているが、平均保有年数は約1年ほどで回転率の高いビジネスモデルである。2026年2月期中間期の事業利益は2,496百万円、全社構成比で16.5%であり、事業ポートフォリオの中で有力なセグメントとして成長している。
クリーンエネルギー事業は、2012年に開始され、現在では全国64ヶ所の太陽光及び風力発電所プロジェクトをグループで運営するまでに成長した。内訳としては、同社が保有する太陽光発電所が48ヶ所、151.4MW。同社が保有する風力発電所が1ヶ所、7.3MW。いちごグリーンが保有し、同社が運営する太陽光発電所が15発電所、29.4MW。今後の開発計画としては、地域一体型グリーンバイオマス発電所(4ヶ所、3.2MW)、Non-FIT太陽光発電所(7発電所、14.5MW)のほか、再生可能エネルギー発電を補う電力調整力を提供する系統用蓄電池事業(1ヶ所8.9MWh)への参入が計画されている。2026年2月期中間期の事業利益は1,211百万円、全社構成比で8.0%である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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