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SI Research Memo(4):2026年2月期中間期はERP事業がけん引し大幅増収増益に
配信日時:2025/11/10 12:04
配信元:FISCO
*12:04JST SI Research Memo(4):2026年2月期中間期はERP事業がけん引し大幅増収増益に
■システムインテグレータ<3826>の業績動向
1. 2026年2月期中間期の業績概要
2026年2月期中間期の連結業績は売上高で前年同期比22.3%増の2,725百万円、営業利益で同219.3%増の255百万円、経常利益で同154.6%増の250百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同175.6%増の206百万円と2ケタ増収増益となった。主力のERP事業が好調に推移したほか、前年同期に計上した大阪及び福岡支社の移転・増床に伴う一時費用(約25百万円)がなくなったことが主因だ。中間期の業績計画は開示していないが、おおむね計画どおりの進捗だったと見られる。なお、システム開発研究所を第2四半期より連結業績に組み入れており、売上高で55百万円、営業利益で7百万円(のれん償却額7百万円控除後)の増収増益要因となった。
売上総利益率は33.0%と前年同期並みの水準を維持した。相対的に売上総利益率の低いERP事業の売上構成比が前年同期の80.0%から84.0%に上昇したが、同事業の収益性が向上したことで前年同期並みの水準を維持したものと考えられる。ERP事業におけるエンジニアの稼働率も旺盛な需要を背景に高水準を維持した。販管費は前年同期比で11百万円減少した。M&Aのアドバイザリー費用22百万円、及びのれん償却額7百万円を計上した一方で、支社の移転・増床に伴う一時費用が減少したほか研究開発費が25百万円減少した。
営業外収支は前年同期比で23百万円悪化した。持分法適用関連会社であるBizSaaSの立ち上げロスにより持分法投資損失5百万円を計上したことが主因だ(前年同期は18百万円の利益※)。また、特別利益としてBizSaaSの出資比率変動に伴い、持分変動利益79百万円を計上した。
※ 前年同期はE-Commerce事業の分社化に伴って新設した持分法適用関連会社、(株)DGコマースの持分投資利益を計上した(2025年1月に当該会社の株式をすべて売却)。
なお、中間期末の単体従業員数は248名と前期末比で16名増加した。新卒社員が8名入社したほか、大阪及び福岡支社を中心に中途採用でエンジニア職9名が入社した。同社はERP事業の開発体制の強化を進めており、当中間期においては大阪・福岡支社を移転・増床した効果が出たものと思われる。また、ベトナムの開発子会社についても従業員数が前期末の48名から56名に増加した。同社からの開発案件だけでなく、現地の開発案件の受注も増加しているようで、エンジニアの教育研修を強化し能力増強に取り組んでいる。
ERP事業は既存・新規顧客ともに受注が好調
2. 事業セグメント別動向
(1) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比28.4%増の2,288百万円、セグメント利益は同40.9%増の463百万円となり、中間期として過去最高業績を更新した。製造業を中心に「GRANDIT」の引き合いが既存顧客だけでなく新規顧客からも好調で、受注高は期初計画を上回った。売上高も導入案件の順調な進捗に加えて、周辺インフラの同時導入案件も寄与し高成長につながった。製造業をメインターゲットに活発なDX投資を取り込むべく、2年前から営業体制を強化して導入時期が少し先の案件についても積極的に受注するようにしたことが、高成長の一因となっている。また、利益率も増収効果に加えて、エンジニアの稼働率が高水準に推移したこと、大阪及び福岡支社の増床・移転に伴う一時費用がなくなったことで、前年同期の18.5%から20.3%に上昇した。
なお、2024年4月より提供を開始した「SAP Cloud ERP」は1件目の開発が順調に進んでおり、2件目の受注活動を推進している。また、2025年1月より取り扱いを開始したSCMパッケージ「mcframe」は引き合いも多く、複数件の受注を獲得しつつあり、下期には実際に開発がスタートする見込みだ。同社は、カスタマイズやアドオン開発を重視する企業には「GRANDIT」、グローバル標準や業界ベストプラクティスを活用したグループ経営・業務変革を志向する企業には「SAP Cloud ERP」、プロセス系や見込生産など生産や物流に競争優位性を持つ企業には「mcframe」をそれぞれ提案するなど、顧客のニーズと戦略に応じて最適なソリューションの選択肢を提案できるようになった。これらの需要に対応可能な開発リソースを今後も強化し、さらなる成長につなげていく方針だ。
(2) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前年同期比6.6%増の420百万円、セグメント利益は同1.9%減の164百万円となった。売上高の7割弱を占める「OBPM Neo」は追加案件と新規契約の増加により、当中間期末のMRR(月次計上収益)が同8.5%増の37百万円と積み上がり増収要因となったが、オープンソースデータベースMySQLに対応した「Object Browser」の開発投資が増加したことにより若干の減益となった。
(3) AI事業
AI事業の売上高は前年同期比54.2%減の15百万円、セグメント損失は16百万円(前年同期は17百万円の損失)となった。売上高はディープラーニング異常検知システム「AISIA-AD」を縮小し、新サービスの立ち上げに注力したことで一時的に減収となったが、損益面での影響はほとんどなく若干の損失が続いた。なお、検図AI「KENZ」など新サービスの費用についてはその他に含めている。
(4)その他
新規事業が含まれるその他は、2025年2月末でプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」を事業売却したことにより売上の計上がなく、新規AIサービスに関わる費用15百万円を損失計上した(前年同期は売上高17百万円、セグメント損失8百万円)。
M&Aの実施により総資産が増加、財務内容は健全な状態続く
3. 財務状況と経営指標
2026年2月期中間期末の資産合計は、システム開発研究所の連結化を主因として前期末比549百万円増加の5,531百万円となった。主な増減項目を見ると、流動資産で現金及び預金が264百万円増加した一方で、売掛金が79百万円減少した。固定資産ではシステム開発研究所の連結化によりのれんを136百万円計上したほか、関係会社株式(BizSaaS)138百万円を計上した。
負債合計は前期末比455百万円増加の1,320百万円となった。買掛金及び契約負債が141百万円増加したほか、未払法人税等が70百万円、賞与引当金が43百万円、受注損失引当金が23百万円それぞれ増加した。また、有利子負債14百万円を計上した。純資産合計は同94百万円増加の4,211百万円となった。親会社株主に帰属する中間純利益206百万円の計上と配当金支出により、利益剰余金が97百万円増加した。
経営指標を見ると、システム開発研究所の連結化に伴い自己資本比率が前期末の82.5%から76.0%に低下したものの、実質無借金経営で手元キャッシュも32億円強と、同社の売上規模に対して十分な流動性を確保しており、財務内容は良好と判断される。なお、手元キャッシュの使い道としては、M&Aも含めた成長投資や株主還元に充当する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2026年2月期中間期の業績概要
2026年2月期中間期の連結業績は売上高で前年同期比22.3%増の2,725百万円、営業利益で同219.3%増の255百万円、経常利益で同154.6%増の250百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同175.6%増の206百万円と2ケタ増収増益となった。主力のERP事業が好調に推移したほか、前年同期に計上した大阪及び福岡支社の移転・増床に伴う一時費用(約25百万円)がなくなったことが主因だ。中間期の業績計画は開示していないが、おおむね計画どおりの進捗だったと見られる。なお、システム開発研究所を第2四半期より連結業績に組み入れており、売上高で55百万円、営業利益で7百万円(のれん償却額7百万円控除後)の増収増益要因となった。
売上総利益率は33.0%と前年同期並みの水準を維持した。相対的に売上総利益率の低いERP事業の売上構成比が前年同期の80.0%から84.0%に上昇したが、同事業の収益性が向上したことで前年同期並みの水準を維持したものと考えられる。ERP事業におけるエンジニアの稼働率も旺盛な需要を背景に高水準を維持した。販管費は前年同期比で11百万円減少した。M&Aのアドバイザリー費用22百万円、及びのれん償却額7百万円を計上した一方で、支社の移転・増床に伴う一時費用が減少したほか研究開発費が25百万円減少した。
営業外収支は前年同期比で23百万円悪化した。持分法適用関連会社であるBizSaaSの立ち上げロスにより持分法投資損失5百万円を計上したことが主因だ(前年同期は18百万円の利益※)。また、特別利益としてBizSaaSの出資比率変動に伴い、持分変動利益79百万円を計上した。
※ 前年同期はE-Commerce事業の分社化に伴って新設した持分法適用関連会社、(株)DGコマースの持分投資利益を計上した(2025年1月に当該会社の株式をすべて売却)。
なお、中間期末の単体従業員数は248名と前期末比で16名増加した。新卒社員が8名入社したほか、大阪及び福岡支社を中心に中途採用でエンジニア職9名が入社した。同社はERP事業の開発体制の強化を進めており、当中間期においては大阪・福岡支社を移転・増床した効果が出たものと思われる。また、ベトナムの開発子会社についても従業員数が前期末の48名から56名に増加した。同社からの開発案件だけでなく、現地の開発案件の受注も増加しているようで、エンジニアの教育研修を強化し能力増強に取り組んでいる。
ERP事業は既存・新規顧客ともに受注が好調
2. 事業セグメント別動向
(1) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比28.4%増の2,288百万円、セグメント利益は同40.9%増の463百万円となり、中間期として過去最高業績を更新した。製造業を中心に「GRANDIT」の引き合いが既存顧客だけでなく新規顧客からも好調で、受注高は期初計画を上回った。売上高も導入案件の順調な進捗に加えて、周辺インフラの同時導入案件も寄与し高成長につながった。製造業をメインターゲットに活発なDX投資を取り込むべく、2年前から営業体制を強化して導入時期が少し先の案件についても積極的に受注するようにしたことが、高成長の一因となっている。また、利益率も増収効果に加えて、エンジニアの稼働率が高水準に推移したこと、大阪及び福岡支社の増床・移転に伴う一時費用がなくなったことで、前年同期の18.5%から20.3%に上昇した。
なお、2024年4月より提供を開始した「SAP Cloud ERP」は1件目の開発が順調に進んでおり、2件目の受注活動を推進している。また、2025年1月より取り扱いを開始したSCMパッケージ「mcframe」は引き合いも多く、複数件の受注を獲得しつつあり、下期には実際に開発がスタートする見込みだ。同社は、カスタマイズやアドオン開発を重視する企業には「GRANDIT」、グローバル標準や業界ベストプラクティスを活用したグループ経営・業務変革を志向する企業には「SAP Cloud ERP」、プロセス系や見込生産など生産や物流に競争優位性を持つ企業には「mcframe」をそれぞれ提案するなど、顧客のニーズと戦略に応じて最適なソリューションの選択肢を提案できるようになった。これらの需要に対応可能な開発リソースを今後も強化し、さらなる成長につなげていく方針だ。
(2) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前年同期比6.6%増の420百万円、セグメント利益は同1.9%減の164百万円となった。売上高の7割弱を占める「OBPM Neo」は追加案件と新規契約の増加により、当中間期末のMRR(月次計上収益)が同8.5%増の37百万円と積み上がり増収要因となったが、オープンソースデータベースMySQLに対応した「Object Browser」の開発投資が増加したことにより若干の減益となった。
(3) AI事業
AI事業の売上高は前年同期比54.2%減の15百万円、セグメント損失は16百万円(前年同期は17百万円の損失)となった。売上高はディープラーニング異常検知システム「AISIA-AD」を縮小し、新サービスの立ち上げに注力したことで一時的に減収となったが、損益面での影響はほとんどなく若干の損失が続いた。なお、検図AI「KENZ」など新サービスの費用についてはその他に含めている。
(4)その他
新規事業が含まれるその他は、2025年2月末でプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」を事業売却したことにより売上の計上がなく、新規AIサービスに関わる費用15百万円を損失計上した(前年同期は売上高17百万円、セグメント損失8百万円)。
M&Aの実施により総資産が増加、財務内容は健全な状態続く
3. 財務状況と経営指標
2026年2月期中間期末の資産合計は、システム開発研究所の連結化を主因として前期末比549百万円増加の5,531百万円となった。主な増減項目を見ると、流動資産で現金及び預金が264百万円増加した一方で、売掛金が79百万円減少した。固定資産ではシステム開発研究所の連結化によりのれんを136百万円計上したほか、関係会社株式(BizSaaS)138百万円を計上した。
負債合計は前期末比455百万円増加の1,320百万円となった。買掛金及び契約負債が141百万円増加したほか、未払法人税等が70百万円、賞与引当金が43百万円、受注損失引当金が23百万円それぞれ増加した。また、有利子負債14百万円を計上した。純資産合計は同94百万円増加の4,211百万円となった。親会社株主に帰属する中間純利益206百万円の計上と配当金支出により、利益剰余金が97百万円増加した。
経営指標を見ると、システム開発研究所の連結化に伴い自己資本比率が前期末の82.5%から76.0%に低下したものの、実質無借金経営で手元キャッシュも32億円強と、同社の売上規模に対して十分な流動性を確保しており、財務内容は良好と判断される。なお、手元キャッシュの使い道としては、M&Aも含めた成長投資や株主還元に充当する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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