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天龍製鋸:鋸刃トップメーカーとして環境対応とグローバル展開で成長を図る
配信日時:2025/11/10 10:52
配信元:FISCO
*10:52JST 天龍製鋸:鋸刃トップメーカーとして環境対応とグローバル展開で成長を図る
天龍製鋸<5945>は、1913年創業の鋸刃メーカーであり、国内外で高いシェアを有する。主力製品は住宅資材用・金属用・製材木工用のチップソーで、建築現場から製造業、DIY市場まで幅広く利用されている。国内には本社工場や大牟田工場を構え、海外はアメリカ、中国、タイ、インド、メキシコ、ヨーロッパに拠点を展開しており、グローバルに製造・販売網を構築している。自社で研究開発から製造まで一貫体制をとる点に特徴があり、鋸刃分野のトップメーカーとしての地位を確立している。
同社の強みは、第一に独自の製品技術にある。国内に数少ない鋼材の熱処理から大型鋸のコーティングを自社でできる一貫した生産体制を持つメーカーであり、2024年度売上は国内で2位である。また、住宅資材用チップソーでは、従来製品比で刃先を最大42%薄型化することで歩留まりを向上し、金属用では、同じく従来製品比で平均3.5倍の長寿命化を実現するなど、省資源・省エネルギー型の製品を生み出している。第二に、幅広いグローバル展開である。欧米やアジア市場の需要動向に応じて柔軟に生産能力を増強し、中国とタイの生産工場と世界各国の販売拠点を展開することで供給体制を強化している。第三に、環境対応経営の推進が挙げられる。国内工場に太陽光発電設備を導入し、年間240トン超のCO2削減を見込むなど、脱炭素社会に貢献する体制を整えている。
直近の業績では、2026年3月期第1四半期に売上高3,303百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益455百万円(同3.9%減)を計上した。コロナ禍におけるDIY特需の反動減に加え、原材料価格や販管費の上昇の影響があり営業利益は減少したが、中国市場での受注増が収益を押し上げ、地域別には明暗が分かれた。通期では売上高13,800百万円(前期比5.1%増)、営業利益1,830百万円(同0.2%増)と堅調な増収増益を見込んでいる。米関税の影響は落ち着きが見えてきており、すでに市場として拡大している欧州・オセアニアのDIY工具需要の底堅さと、北米のシェールオイル油井管の生産ニーズの高まりによっては上振れの可能性もあるとされる。
今後の成長見通しとしては、中期経営計画(2024年度~2026年度)において、最終年度である来期に売上高14,000百万円、営業利益2,100百万円、営業利益率15.0%を掲げる。重点戦略には「環境負荷低減製品の開発」「CO2削減に向けた新規設備投資」「グローバル市場に対応した販売・技術サポート体制強化」「人的資本経営の推進」があり、2024年度実績で売上高13,131百万円、営業利益1,826百万円と計画を上回って達成した。直近では特に欧州向け戦略としての生産工程の脱酸素化と高品質化、インドなどのアジアの新興国における建設用電動工具の拡販を進めており、旺盛な需要をグローバルに取り込んでいる。一方、北米に向けては産業用などの高付加価値製品に的を絞り収益性の向上に努めるなど、対象エリアごとに明確な戦略を掲げている。
株主還元では、配当性向を従来の30%以上から50%以上へ引き上げ、中期経営計画初年度には配当82円(配当性向50.2%)と増配を実施した。さらに2025年2月及び7月には、それぞれ約3億円ずつ、合計約6億円の自己株式を取得し、資本効率改善と還元強化を進めている。ROEは2024年度に4.2%と計画を上回ったが、PBRは0.5倍と依然低水準にとどまっている。配当利回りは3.7%と高く、投資妙味が高いといえる。人的投資や生産設備への投資も積極化させつつ、還元を両立しながら資本効率改善を推進する方針である。
総じて、天龍製鋸は高い製品技術とグローバルな供給体制、さらに環境対応経営を組み合わせ、持続的な成長を志向している。特にDIY需要を捉えた製品や脱炭素への取り組みは競争優位を確立する要素となっており、中期経営計画の進捗を踏まえ今後の業績拡大に期待したい。
<HM>
同社の強みは、第一に独自の製品技術にある。国内に数少ない鋼材の熱処理から大型鋸のコーティングを自社でできる一貫した生産体制を持つメーカーであり、2024年度売上は国内で2位である。また、住宅資材用チップソーでは、従来製品比で刃先を最大42%薄型化することで歩留まりを向上し、金属用では、同じく従来製品比で平均3.5倍の長寿命化を実現するなど、省資源・省エネルギー型の製品を生み出している。第二に、幅広いグローバル展開である。欧米やアジア市場の需要動向に応じて柔軟に生産能力を増強し、中国とタイの生産工場と世界各国の販売拠点を展開することで供給体制を強化している。第三に、環境対応経営の推進が挙げられる。国内工場に太陽光発電設備を導入し、年間240トン超のCO2削減を見込むなど、脱炭素社会に貢献する体制を整えている。
直近の業績では、2026年3月期第1四半期に売上高3,303百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益455百万円(同3.9%減)を計上した。コロナ禍におけるDIY特需の反動減に加え、原材料価格や販管費の上昇の影響があり営業利益は減少したが、中国市場での受注増が収益を押し上げ、地域別には明暗が分かれた。通期では売上高13,800百万円(前期比5.1%増)、営業利益1,830百万円(同0.2%増)と堅調な増収増益を見込んでいる。米関税の影響は落ち着きが見えてきており、すでに市場として拡大している欧州・オセアニアのDIY工具需要の底堅さと、北米のシェールオイル油井管の生産ニーズの高まりによっては上振れの可能性もあるとされる。
今後の成長見通しとしては、中期経営計画(2024年度~2026年度)において、最終年度である来期に売上高14,000百万円、営業利益2,100百万円、営業利益率15.0%を掲げる。重点戦略には「環境負荷低減製品の開発」「CO2削減に向けた新規設備投資」「グローバル市場に対応した販売・技術サポート体制強化」「人的資本経営の推進」があり、2024年度実績で売上高13,131百万円、営業利益1,826百万円と計画を上回って達成した。直近では特に欧州向け戦略としての生産工程の脱酸素化と高品質化、インドなどのアジアの新興国における建設用電動工具の拡販を進めており、旺盛な需要をグローバルに取り込んでいる。一方、北米に向けては産業用などの高付加価値製品に的を絞り収益性の向上に努めるなど、対象エリアごとに明確な戦略を掲げている。
株主還元では、配当性向を従来の30%以上から50%以上へ引き上げ、中期経営計画初年度には配当82円(配当性向50.2%)と増配を実施した。さらに2025年2月及び7月には、それぞれ約3億円ずつ、合計約6億円の自己株式を取得し、資本効率改善と還元強化を進めている。ROEは2024年度に4.2%と計画を上回ったが、PBRは0.5倍と依然低水準にとどまっている。配当利回りは3.7%と高く、投資妙味が高いといえる。人的投資や生産設備への投資も積極化させつつ、還元を両立しながら資本効率改善を推進する方針である。
総じて、天龍製鋸は高い製品技術とグローバルな供給体制、さらに環境対応経営を組み合わせ、持続的な成長を志向している。特にDIY需要を捉えた製品や脱炭素への取り組みは競争優位を確立する要素となっており、中期経営計画の進捗を踏まえ今後の業績拡大に期待したい。
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