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かっこ:不正検知のリーディングカンパニー、業績底打ち局面からの反転攻勢へ
配信日時:2025/11/05 13:37
配信元:FISCO
*13:37JST かっこ:不正検知のリーディングカンパニー、業績底打ち局面からの反転攻勢へ
かっこ<4166>は、EC・金融領域を中心に不正検知サービスを提供する企業である。主力の不正注文検知サービス「O-PLUX」と不正ログイン検知サービス「O-MOTION」を中心に、決済コンサルティングサービスおよびデータサイエンスサービスも展開する。EC領域とペイメント領域における同社サービス導入数国内No.1の実績の地位を確立しており、特に日本語解析を強みとする独自技術で他社との差別化を図っている。「O-PLUX」は、ホビー・食品・健康食品・家電・コスメ・アパレル・スポーツ・住まい・インテリアなど、様々な業界に導入が進んでいる。不正注文被害を未然に防ぐことで、あらゆるジャンルの電子商取引(eコマース)の安心安全なインフラ構築を推進。前期売上高構成比では、「O-PLUX」が67.9%を占め、「O-MOTION」が7.4%、決裁コンサルティングサービス12.4%、データサイエンスサービス7.5%と続く。
同社は、データサイエンスに関する知見とセキュリティ領域における高い技術を強みに、EC取引における「決済前」「決済中」「決済後」を一貫してカバーできることが特徴であり、この包括性は国内でほぼ唯一といえる。具体的には、取引情報のリアルタイム審査を通じて不正を検知し、フィードバックをデータベースに蓄積、検知精度を継続的に高める仕組みを持つ。特に日本語特有の住所表記や氏名表記の解析精度に優位性があり、海外製品では対応が難しい領域で高い評価を得ている。
こうした独自技術を背景に、同社は国内EC事業者向けの不正検知分野で高いシェアを維持しているが、不正利用防止に関する規制やガイドラインの強化も追い風となっている。経済産業省による「クレジットカード・セキュリティガイドライン(Ver.6.0)」では、不正利用対策が実質的に義務化されつつあり、決済事業者・EC事業者ともに対策強化の需要が高まっている。同社はこれら新ルールへの技術対応をすでに完了しており、他社よりも早い段階で適合済み領域を広くカバーしている点が優位性となる。
2025年12月期第2四半期(累計)の業績は、売上高407百万円(前年同期比17.3%増)、営業損失65百万円と赤字ながらも損失幅が前年から大きく縮小した。今期より不正検知サービスをプロダクト単位の戦略から市場ドメイン単位でのマーケティング・セールス戦略に転換したことでリード数が増加傾向にある。「O-PLUX」の既存顧客売上も増加し、2Q累計不正検知サービスのストック収益は前年同期比28.6%増、売上高に占めるストック収益比率は77.3%となった。また、営業利益は各四半期で継続的に改善傾向にあり、取材でも、単なる一時的コスト削減ではなく営業体制の再構築や製品の売れ筋変化による効率化の成果が表れていることが確認できた。月次解約率は0.39%と低位にあり、過去に大手顧客の解約があったものの、現在は顧客集中を回避する方針のもと、上位顧客依存度を引き下げている。現在は売上構成上、10%以上を占める顧客は存在せず、分散化が進んでいる点は評価できる。通期では売上高781百万円(前期比6.5%増)、営業損失222百万円の見通しで、足元の進捗はおおむね順調に進捗している。営業赤字は続くが、上期でコスト構造の見直しと収益基盤強化を進めたことで、来期以降の黒字転換が視野に入る段階にきている。
市場環境は引き続き拡大基調にある。クレジットカードの不正利用件数は近年急増しており、AIを悪用した巧妙な手口も増えている。一方で、カード会社は粗いフィルタリングで対応しているため、承認率が下がるなど副作用も生じている。こうした中で、同社のように取引データを多面的に解析できるプレイヤーの需要は今後も高まるとみられる。EC市場自体の拡大に加え、金融・決済領域でも不正検知ソリューションの導入余地は大きく、同社では国内だけでも数十万社の潜在顧客が存在すると見込んでいる。
中期的には「不正検知から重層的セキュリティ企業へ」の進化を掲げる。これまでの不正注文・不正ログイン検知という点的な防御から、AI・行動解析を活用した包括的なリスク検知への拡張を目指す。「技術力の深化」を重視しつつ、顧客基盤とアライアンス拡大を並行して進める方針である。また、現在のメインサービスである不正検知サービスを基盤に、新たなセキュリティ領域へと挑戦し、対象市場の拡大を図っていく。さらに、業務提携やM&Aを通じて事業領域を拡張し、同社独自の事業ドメインを確立していく。一方で、決済コンサルティングおよびデータサイエンス事業は、現状では全体に占める比率は小さいが、収益面では黒字を確保している。これらは本業を支える補完的事業と位置付けられ、顧客ニーズに応じて柔軟に対応していく方針である。データサイエンスは研究開発・新サービス創出の基盤でもあり、今後の技術進化に向けたR&D領域としての重要性が高まっている。
株主還元については、現時点で配当実施は見送られているが、業績回復後に前向きに検討する意向を示している。また、東証グロース市場上場企業として時価総額100億円を一つの目安に、企業価値向上と投資家層拡大を図る方針だ。IR活動も段階的に強化していく考えだが、現状では業績回復を最優先に据えている。
総じて、かっこは不正検知分野における国内有数のプレイヤーとして確固たる地位を築いている。海外勢が台頭する中でも、日本語解析や国内仕様への対応力という独自優位性を持ち、規制強化を追い風に事業拡大余地は大きい。収益面では依然赤字が続くが、営業構造の改革とストック収益の拡大によって収益基盤は着実に強化されつつある。2025年12月期を底とした業績反転に向け、同社が「重層的セキュリティ企業」への進化を遂げられるかが、今後の投資評価の焦点となるだろう。
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同社は、データサイエンスに関する知見とセキュリティ領域における高い技術を強みに、EC取引における「決済前」「決済中」「決済後」を一貫してカバーできることが特徴であり、この包括性は国内でほぼ唯一といえる。具体的には、取引情報のリアルタイム審査を通じて不正を検知し、フィードバックをデータベースに蓄積、検知精度を継続的に高める仕組みを持つ。特に日本語特有の住所表記や氏名表記の解析精度に優位性があり、海外製品では対応が難しい領域で高い評価を得ている。
こうした独自技術を背景に、同社は国内EC事業者向けの不正検知分野で高いシェアを維持しているが、不正利用防止に関する規制やガイドラインの強化も追い風となっている。経済産業省による「クレジットカード・セキュリティガイドライン(Ver.6.0)」では、不正利用対策が実質的に義務化されつつあり、決済事業者・EC事業者ともに対策強化の需要が高まっている。同社はこれら新ルールへの技術対応をすでに完了しており、他社よりも早い段階で適合済み領域を広くカバーしている点が優位性となる。
2025年12月期第2四半期(累計)の業績は、売上高407百万円(前年同期比17.3%増)、営業損失65百万円と赤字ながらも損失幅が前年から大きく縮小した。今期より不正検知サービスをプロダクト単位の戦略から市場ドメイン単位でのマーケティング・セールス戦略に転換したことでリード数が増加傾向にある。「O-PLUX」の既存顧客売上も増加し、2Q累計不正検知サービスのストック収益は前年同期比28.6%増、売上高に占めるストック収益比率は77.3%となった。また、営業利益は各四半期で継続的に改善傾向にあり、取材でも、単なる一時的コスト削減ではなく営業体制の再構築や製品の売れ筋変化による効率化の成果が表れていることが確認できた。月次解約率は0.39%と低位にあり、過去に大手顧客の解約があったものの、現在は顧客集中を回避する方針のもと、上位顧客依存度を引き下げている。現在は売上構成上、10%以上を占める顧客は存在せず、分散化が進んでいる点は評価できる。通期では売上高781百万円(前期比6.5%増)、営業損失222百万円の見通しで、足元の進捗はおおむね順調に進捗している。営業赤字は続くが、上期でコスト構造の見直しと収益基盤強化を進めたことで、来期以降の黒字転換が視野に入る段階にきている。
市場環境は引き続き拡大基調にある。クレジットカードの不正利用件数は近年急増しており、AIを悪用した巧妙な手口も増えている。一方で、カード会社は粗いフィルタリングで対応しているため、承認率が下がるなど副作用も生じている。こうした中で、同社のように取引データを多面的に解析できるプレイヤーの需要は今後も高まるとみられる。EC市場自体の拡大に加え、金融・決済領域でも不正検知ソリューションの導入余地は大きく、同社では国内だけでも数十万社の潜在顧客が存在すると見込んでいる。
中期的には「不正検知から重層的セキュリティ企業へ」の進化を掲げる。これまでの不正注文・不正ログイン検知という点的な防御から、AI・行動解析を活用した包括的なリスク検知への拡張を目指す。「技術力の深化」を重視しつつ、顧客基盤とアライアンス拡大を並行して進める方針である。また、現在のメインサービスである不正検知サービスを基盤に、新たなセキュリティ領域へと挑戦し、対象市場の拡大を図っていく。さらに、業務提携やM&Aを通じて事業領域を拡張し、同社独自の事業ドメインを確立していく。一方で、決済コンサルティングおよびデータサイエンス事業は、現状では全体に占める比率は小さいが、収益面では黒字を確保している。これらは本業を支える補完的事業と位置付けられ、顧客ニーズに応じて柔軟に対応していく方針である。データサイエンスは研究開発・新サービス創出の基盤でもあり、今後の技術進化に向けたR&D領域としての重要性が高まっている。
株主還元については、現時点で配当実施は見送られているが、業績回復後に前向きに検討する意向を示している。また、東証グロース市場上場企業として時価総額100億円を一つの目安に、企業価値向上と投資家層拡大を図る方針だ。IR活動も段階的に強化していく考えだが、現状では業績回復を最優先に据えている。
総じて、かっこは不正検知分野における国内有数のプレイヤーとして確固たる地位を築いている。海外勢が台頭する中でも、日本語解析や国内仕様への対応力という独自優位性を持ち、規制強化を追い風に事業拡大余地は大きい。収益面では依然赤字が続くが、営業構造の改革とストック収益の拡大によって収益基盤は着実に強化されつつある。2025年12月期を底とした業績反転に向け、同社が「重層的セキュリティ企業」への進化を遂げられるかが、今後の投資評価の焦点となるだろう。
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