注目トピックス 日本株
アルファポリス:業績の2ケタ成長続く、今後はアニメ事業や海外展開に期待
配信日時:2024/12/30 12:36
配信元:FISCO
*12:36JST アルファポリス:業績の2ケタ成長続く、今後はアニメ事業や海外展開に期待
アルファポリス<9467>は、誰でも無料で投稿・閲覧できる小説・漫画投稿サイト「アルファポリス」の運営、ライトノベルや漫画などの書籍出版を手掛ける。
同社は、「アルファポリス」に投稿された作品を、ユーザー評価等を参考に、編集・出版し、全国書店や電子ストアにて販売することで収益を上げている。売れる商品となる良作を集める仕組みとして、読者参加型のWebコンテンツ大賞を開催し、受賞作を中心に数多くの作品が書籍化している。また、出版申請制度があり、投稿作品が一定の評価を得ると同社の編集部へ書籍化検討の申請が可能となり、いつでもすぐに出版への挑戦ができる。書籍販売事業の単一セグメントだが、ジャンル別の売上高は、ライトノベル25.3%、漫画72.6%、そのほか文庫などで構成されている(2025年3月期上期時点)。総コンテンツ数は226,929件、月間ユニークユーザー数は310万人。直近は書籍ヒット作のアニメ化が続々決定しており、IPのメディア展開を加速させることでアニメ事業の展開も行っている。
2025年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比24.1%増の6,348百万円、営業利益は同32.5%増の1,546百万円で着地した。2Qのみ売上高は、1Qに続き四半期単位で過去最高を連続更新。全てのジャンルにおいて増収となったが、特に「ライトノベル」「漫画」は電子書籍販売の好調等により大きく伸長したようだ。紙書籍売上はアニメ化作品の売り伸ばしが図れたことで高水準を維持、電子書籍売上は拡販施策や価格改定の実施に加えてアニメ化作品や人気シリーズが好調に推移した。Web連載漫画本数は過去最多の147本と順調に増加。具体的に、ライトノベルでは、シリーズ累計200万部を突破した「とあるおっさんのVRMMO活動記」の続刊やWebコンテンツ大賞の受賞作から刊行した新作タイトル等が好調に推移している。「月が導く異世界道中」1-20巻が、6月のTVアニメ第2期終了後も電子書籍販売において堅調な売れ行きを示したようだ。通期の売上高は前期比12.2%増の11,600百万円、営業利益は同10.5%増の2,510百万円を見込んでいる。
同社は事業の仕組み上、旬であるトレンドの作品を素早くキャッチし、売れ筋書籍を安定的かつ多点数、商品化することが可能となっている。これらの強みが従来型の出版社と異なっている点だ。市場環境では、紙書籍は厳しい状況が続いている一方で、電子出版市場は堅調な成長を続け、コミック市場は2020年から4年連続で過去最高規模を更新している。
今後も、シリーズ累計20万部超の人気作等を続々と刊行予定のほか、キャラ文芸、ビジネス書、絵本・児童書等、幅広いジャンルのタイトルを刊行予定となっている。また、中期重点戦略として「海外販売の拡大」と「アニメビジネスの拡大」を図っていく。海外における主に電子漫画のシェア拡大を目指し、英語以外の翻訳言語の追加、販売地域の拡大に努めて2030年3月期には電子漫画に係る利益の海外比率30%達成を目標とするほか、アニメ自体のビジネス事業を確立し、2030年3月期にはアニメ事業による利益を20倍まで増やすことを目標としている。自社IP力を数段上のレベルにまで大きく引き上げることを目指しており、既にヒット作を生み出しやすい構造の中でさらなるIP強化が進む可能性がある。株主還元では配当も実施しており、グロース企業ながらも配当利回り1%。今後の海外展開やアニメ事業の拡大で成長期待が高まるなか、ユニークなビジネスモデルを展開する銘柄として注目しておきたい。
<NH>
同社は、「アルファポリス」に投稿された作品を、ユーザー評価等を参考に、編集・出版し、全国書店や電子ストアにて販売することで収益を上げている。売れる商品となる良作を集める仕組みとして、読者参加型のWebコンテンツ大賞を開催し、受賞作を中心に数多くの作品が書籍化している。また、出版申請制度があり、投稿作品が一定の評価を得ると同社の編集部へ書籍化検討の申請が可能となり、いつでもすぐに出版への挑戦ができる。書籍販売事業の単一セグメントだが、ジャンル別の売上高は、ライトノベル25.3%、漫画72.6%、そのほか文庫などで構成されている(2025年3月期上期時点)。総コンテンツ数は226,929件、月間ユニークユーザー数は310万人。直近は書籍ヒット作のアニメ化が続々決定しており、IPのメディア展開を加速させることでアニメ事業の展開も行っている。
2025年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比24.1%増の6,348百万円、営業利益は同32.5%増の1,546百万円で着地した。2Qのみ売上高は、1Qに続き四半期単位で過去最高を連続更新。全てのジャンルにおいて増収となったが、特に「ライトノベル」「漫画」は電子書籍販売の好調等により大きく伸長したようだ。紙書籍売上はアニメ化作品の売り伸ばしが図れたことで高水準を維持、電子書籍売上は拡販施策や価格改定の実施に加えてアニメ化作品や人気シリーズが好調に推移した。Web連載漫画本数は過去最多の147本と順調に増加。具体的に、ライトノベルでは、シリーズ累計200万部を突破した「とあるおっさんのVRMMO活動記」の続刊やWebコンテンツ大賞の受賞作から刊行した新作タイトル等が好調に推移している。「月が導く異世界道中」1-20巻が、6月のTVアニメ第2期終了後も電子書籍販売において堅調な売れ行きを示したようだ。通期の売上高は前期比12.2%増の11,600百万円、営業利益は同10.5%増の2,510百万円を見込んでいる。
同社は事業の仕組み上、旬であるトレンドの作品を素早くキャッチし、売れ筋書籍を安定的かつ多点数、商品化することが可能となっている。これらの強みが従来型の出版社と異なっている点だ。市場環境では、紙書籍は厳しい状況が続いている一方で、電子出版市場は堅調な成長を続け、コミック市場は2020年から4年連続で過去最高規模を更新している。
今後も、シリーズ累計20万部超の人気作等を続々と刊行予定のほか、キャラ文芸、ビジネス書、絵本・児童書等、幅広いジャンルのタイトルを刊行予定となっている。また、中期重点戦略として「海外販売の拡大」と「アニメビジネスの拡大」を図っていく。海外における主に電子漫画のシェア拡大を目指し、英語以外の翻訳言語の追加、販売地域の拡大に努めて2030年3月期には電子漫画に係る利益の海外比率30%達成を目標とするほか、アニメ自体のビジネス事業を確立し、2030年3月期にはアニメ事業による利益を20倍まで増やすことを目標としている。自社IP力を数段上のレベルにまで大きく引き上げることを目指しており、既にヒット作を生み出しやすい構造の中でさらなるIP強化が進む可能性がある。株主還元では配当も実施しており、グロース企業ながらも配当利回り1%。今後の海外展開やアニメ事業の拡大で成長期待が高まるなか、ユニークなビジネスモデルを展開する銘柄として注目しておきたい。
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日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅に5日ぶり反発、アドバンテストが1銘柄で約441円分押し上げ
*12:51JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅に5日ぶり反発、アドバンテストが1銘柄で約441円分押し上げ
20日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり208銘柄、値下がり17銘柄、変わらず0銘柄となった。日経平均は大幅反発。1487.40円高の50025.10円(出来高概算12億327万株)で前場の取引を終えている。19日の米国株式市場は反発。ダウ平均は47.03ドル高の46138.77ドル、ナスダックは131.38ポイント高の22564.23で取引を終了した。半導体のエヌビディアの決算待ちで、寄り付き後、まちまち。その後、労働統計局(BLS)が10月雇用統計の発表中止を発表、さらに、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した10月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも大半の参加者が12月利下げに否定的な姿勢を示したため金利高を警戒し、相場は失速。ダウは一時下落に転じた。ナスダックはハイテクセクターの回復で終日堅調に推移。終盤にかけダウもプラス圏を回復し終了した。米株式市場の動向を横目に、20日の日経平均は591.59円高の49129.29円と反発して取引を開始した。米エヌビディアの決算を無事通過したことで、押し目買いや自律反発狙いの買いが午前の主導となった。また円相場が1ドル=157円台まで円安方向に振れたことが輸出関連株を中心にプラス要因となった。11時までの時間帯では、上値を追う動きに慎重さも見られつつも、幅広い銘柄に買いが波及した。個別では、アドバンテスト<6857>、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、TDK<6762>、フジクラ<5803>、イビデン<4062>、ソニーG<6758>、日東電<6988>、ディスコ<6146>、レーザーテク<6920>、イオン<8267>、ファナック<6954>、住友電<5802>、テルモ<4543>などの銘柄が上昇。一方、東京海上<8766>、ニトリHD<9843>、エムスリー<2413>、メルカリ<4385>、資生堂<4911>、三越伊勢丹<3099>、サイバー<4751>、ホンダ<7267>、OLC<4661>、明治HD<2269>、日ハム<2282>、日野自<7205>、東京電力HD<9501>、クラレ<3405>、東宝<9602>などの銘柄が下落。業種別では、33業種中32業種が上昇しており、特に「非鉄金属」「電気機器」「証券・商品先物取引業」「機械」「ガラス・土石製品」「水産・農林業」などが目立って堅調だった。唯一「保険業」が下落した。値上がり寄与トップはアドバンテスト<6857>となり1銘柄で日経平均を約441円押し上げた。同2位は東エレク<8035>となり、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、TDK<6762>、フジクラ<5803>、イビデン<4062>などがつづいた。一方、値下がり寄与トップは東京海上<8766>となり1銘柄で日経平均を約21円押し下げた。同2位はニトリHD<9843>となり、エムスリー<2413>、メルカリ<4385>、資生堂<4911>、三越伊勢丹<3099>、サイバー<4751>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価 50025.10(+1487.40)値上がり銘柄数 208(寄与度+1523.85)値下がり銘柄数 17(寄与度-36.45)変わらず銘柄数 0○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<6857> アドバンテ 20800 1650 441.22<8035> 東エレク 32540 1680 168.46<9984> ソフトバンクG 19415 590 118.33<9983> ファーストリテ 54940 1070 85.84<6762> TDK 2518 125 62.67<5803> フジクラ 19115 1275 42.62<4062> イビデン 12700 1060 35.43<6758> ソニーG 4483 151 25.24<6988> 日東電工 3793 148 24.73<6146> ディスコ 47350 3120 20.86<6920> レーザーテック 27615 1285 17.18<8267> イオン 2815.5 170.5 17.10<6954> ファナック 4895 98 16.38<5802> 住友電気工業 6385 443 14.81<4543> テルモ 2386 49.5 13.24<6367> ダイキン工業 19535 390 13.04<4519> 中外製薬 8281 120 12.03<7735> SCREEN 12955 760 10.16<4503> アステラス製薬 1974.5 60.5 10.11<4506> 住友ファーマ 2715 277 9.26○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<8766> 東京海上HD 5389 -422 -21.16<9843> ニトリHD 2594 -62.5 -5.22<2413> エムスリー 2479.5 -36 -2.89<4385> メルカリ 2494 -68 -2.27<4911> 資生堂 2268.5 -37 -1.24<3099> 三越伊勢丹HD 2328 -29.5 -0.99<4751> サイバーエージェント 1319 -24.5 -0.66<7267> ホンダ 1510 -3 -0.60<4661> オリエンタルランド 3021 -15 -0.50<2269> 明治HD 3180 -17 -0.23<2282> 日本ハム 6945 -13 -0.22<7205> 日野自動車 378 -4 -0.13<9501> 東京電力HD 833 -35.3 -0.12<3405> クラレ 1525.5 -3 -0.10<9602> 東宝 8917 -25 -0.08<4689> LINE ヤフー 419.1 -3.8 -0.05<7211> 三菱自動車工業 356.7 -0.5 0.00
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2025/11/20 12:51
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Chordia Research Memo(7):2025年8月期は事業収益の計上がなく、前期並みの損失を計上
*12:07JST Chordia Research Memo(7):2025年8月期は事業収益の計上がなく、前期並みの損失を計上
■Chordia Therapeutics<190A>の業績動向1. 2025年8月期の業績概要2025年8月期の業績は事業収益の計上がなく、営業損失で1,789百万円(前期は1,801百万円の損失)、経常損失で1,769百万円(同1,824百万円の損失)、当期純損失で1,785百万円(同1,827百万円の損失)となった。事業費用の増減要因について見ると、研究開発費は1,425百万円と前期比で74百万円減少した。内訳は、rogocekibが米国での第1/2相臨床試験の進捗に伴い同52百万円増の1,070百万円となった一方で、それ以外のパイプラインはコスト抑制に努めたことで、CTX-439が同105百万円減の27百万円、その他開発費(人件費含む)が同16百万円減の331百万円となった。その他一般管理費は特許関連のコスト増加を主因として同62百万円増の364百万円となった。営業外収支は前期比43百万円改善した。前期に計上した株式上場関連費用28百万円や株式交付費用8百万円がなくなったほか、AMEDからの助成金収入が同5百万円増加したことによる。また、期初会社計画比でみると損失額が縮小したが、主にはrogocekibを中心とした研究開発費用が計画を下回ったことによる。2026年8月期はrogocekibの開発費用増加により、損失が若干拡大する見通し2. 2026年8月期の業績見通し2026年8月期も事業収益の計上予定はなく、営業損失で2,008百万円(前期は1,789百万円の損失)、経常損失で1,958百万円(同1,769百万円の損失)、当期純損失で1,960百万円(同1,785百万円の損失)と損失がやや拡大する見通しだ。研究開発費は前期比164百万円増の1,590百万円を計画している。内訳は、rogocekibが米国での臨床試験被験者数の増加により同61百万円増の1,131百万円となるほか、CTX-177で導出活動再開により17百万円を計上する。また、その他開発費も同89百万円増の420百万円を見込んでいる。一方、CTX-439はAMEDからの助成金を受けた活動のみを想定し同5百万円減の22百万円を計画している。その他一般管理費は、登録/免許関連や保険費用等を中心に同53百万円増の418百万円となる見通しだ。なお2027年8月期の研究開発費の水準については、rogocekibの臨床試験が加速することで1.5~2倍程度に増加する可能性があると弊社では見ている。rogocekibの開発資金調達を目的に、第三者割当による新株予約権を発行3. 財務状況2025年8月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,951百万円減少の2,681百万円となった。主に研究開発費の支出により現金及び預金が同1,780百万円減少したほか、前払金や前払費用も減少した。負債合計は前期末比226百万円減少の244百万円となった。主に未払金が262百万円減少したことによる。また、純資産合計は同1,724百万円減少の2,437百万円となった。当期純損失の計上により利益剰余金が1,785百万円減少した。2025年8月期末の現金及び預金が2,548百万円と同社が目安とする事業活動資金1年分に近づいてきたことから、同社は2025年9月に第三者割当てによる新株予約権(第9~11回、1,720万株相当、希薄化率約25%)を発行した。このうち、第9回(1,032万株相当)に関しては行使価額修正条項が付されており、下限行使価額として105円(当初行使価額175円)が設定されている。一方、第10回(344万株相当)は175円、第11回は210円でそれぞれ行使価額が固定されたものとなっている。すべて行使された場合、調達資金額は24.1~34.4億円(下限行使価額~当初行使価額)となる。資金使途としては、2027年8月期までに実施されるrogocekibの拡大コホート及び薬物相互作用の検討にかかる試験費用に充当する予定となっている。なお、rogocekibについては2028年8月期も臨床試験が続くため、それまでに再度、エクイティファイナンスを実施する可能性もあるが、米国でのライセンス契約交渉次第となる。rogocekibの価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す4. 今後の事業方針同社は「『日本発』『世界初』のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに。」をスローガンに、2030年ビジョンとして掲げた「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを目指している。国内についてはアライアンス戦略により自社による製造販売を展開し、海外市場ではグローバル製薬企業とライセンス契約を締結することで効率的に事業を拡大していく戦略だ。開発戦略としては、当面は早期収益化の実現を目標に、rogocekibの開発に経営リソースを集中し、まずは再発・難治性AMLの米国及び日本での販売承認を得ることを最優先に取り組み、その後はAMLの一次治療やその他のがん種への適応拡大を進めることでrogocekibの製品価値最大化を目指す。既述のとおり潜在市場規模は大きく、ブロックバスターとして育つポテンシャルを持つことから、2026年中頃に発表が見込まれる第1相パートの中間成績結果の内容が注目される。良好な結果が得られれば、海外でのライセンス契約締結の可能性が一気に高まると弊社では見ている。その後の第2相パートの組み入れが順調に進み、主要評価項目となっているCR率で既承認薬と遜色ない結果※が得られれば、2028年後半に承認申請を目指すものと予想される。※ AML治療薬として米国で2024年に販売承認されたSyndax PharmaceuticalsのRevumenibはPivotal P2試験でCR率18%だった。このため、CR率が20%前後の水準であれば承認される可能性が高いと同社では見ている(日本で実施されたP1試験ではCR率29%だった)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/11/20 12:07
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Chordia Research Memo(6):その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患対象の共同研究も開始
*12:06JST Chordia Research Memo(6):その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患対象の共同研究も開始
■Chordia Therapeutics<190A>の開発パイプライン2. その他パイプライン(1) CTX-177(MALT1阻害薬)MALT1阻害薬は難治性リンパ腫向けの治療効果が期待される開発パイプラインで、前臨床試験実施後の2020年に小野薬品工業に対して早期導出を実現し※、小野薬品工業にて2022年8月に米国で再発・難治性の非ホジキンリンパ腫または慢性リンパ白血病を対象とした第1相臨床試験を開始(1例目の組み入れは2023年2月、目標症例数108例)したほか、日本でも2024年8月より再発・難治性非ホジキンリンパ腫を対象とした第1相臨床試験(目標症例数24例)を開始していたが、2025年4月に戦略上の理由により開発を中止するとの通知を受け、これに伴いライセンス契約も解消し、同社の全権利が戻ることとなった。本件に伴う金銭の授受は発生せず、これまで実施した臨床試験データの移管などを行っている。※ 契約一時金8億円(2021年8月期)と第1相臨床試験開始に伴うマイルストン25億円(2023年8月期)を既に受領しており、今後の開発マイルストン及び商用マイルストンで最大496億円、並びに売上高に応じたロイヤリティを1ケタ後半から2ケタ前半パーセント得る契約となっている。契約解消を受けて、同社はリンパ腫向け治療薬の開発を行っている100社程度の企業に対して、導出活動を開始しており、このうち数社から関心を寄せられていると言う。第1相臨床試験のデータ内容については不明なため今後の展開は見通し難いものの、上市の可能性のあるデータ結果が取得できているようであれば、再導出できる可能性も十分に考えられ、同社では2026年8月期中の導出を目指している。難治性リンパ腫では、T細胞シグナルあるいはB細胞シグナル伝達経路の因子(T細胞受容体CD28、B細胞受容体CD79A/B、PLCγ1、PKCβ、CARD11)にシグナルを活性化する遺伝子変異が起こり、そのシグナルがBTKやMALT1(粘膜関連リンパ組織リンパ腫転位タンパク質1)を経由してNF-kBの活性化が引き起こされ、リンパ腫が異常に増殖することが知られている。MALT1阻害薬はこうしたシグナル伝達経路に活性化遺伝子変異を有するリンパ腫に対して、単剤あるいは他剤(BTK阻害剤等)との併用により抗腫瘍効果を示すことが期待されている。なお、MALT1阻害薬の他社開発状況としては、米国のバイオベンチャーであるSchrodingerが2023年より再発・難治性リンパ腫を対象とした第1相臨床試験(予定症例数52例)を実施しており、2025年6月に初期臨床データを発表した。安全性・忍容性に問題はなく、45症例のうち完全奏功となるCR率は0%だったものの部分奏功も含めた全奏効率では22%と良好な結果を得られたとしており、2026年に第2相臨床試験に進む可能性が高い。同社では、CTX-177も前臨床試験の結果から少なくとも同程度の有効性は期待できると見ている。また、リンパ腫治療薬の大手であるAbbvieが2023年より第1相臨床試験(予定症例数150例)を実施中で、2027年に終了する見込みとなっている。そのほか、Janssenが2019年より米国で第1相臨床試験を実施していたが、その後新たな情報が発信されておらず開発が止まっている可能性がある。(2) CTX-439(CDK12阻害薬)CTX-439は、RNA転写の主に終結反応を制御する役割を果たすCDK12キナーゼ阻害薬となる。CDK12の機能を阻害すると転写が早期終結して短鎖型mRNAが生じ、機能の劣ったたんぱく質が翻訳され、特にDNA損傷応答にかかわる遺伝子群への影響が大きいとされる。同社では固形がんを対象にした単剤もしくは既承認薬との併用による開発を進めており、臨床試験開始に向け2024年に前臨床データを取得した。現在は開発戦略立案に向けたバイオマーカー研究を実施するとともに、臨床試験開始に向けた戦略的パートナーを探索している状況にある。(3) CRD-099(GCN2阻害薬)CRD-099はGCN2キナーゼ阻害薬となる。GCN2は細胞内アミノ酸濃度をモニタリングしているタンパク質で細胞内アミノ酸濃度が低下した状態で活性化される。GCN2機能を阻害するとアミノ酸の細胞外からの取り込みや新規合成が進まなくなり、アミノ酸枯渇状態となって細胞死が誘導される。アスパラキナーゼなどのアミノ酸濃度を低下させる既承認薬との併用で抗がん作用を発揮することが期待され、現在は化合物の最適化研究を終え、前臨床試験実施に向けて戦略的パートナーを探索している段階にある。なお、GCN2阻害薬に関しては2025年8月に眼科疾患治療薬としての開発の可能性を探るべく千寿製薬と共同研究を開始している。また、眼科疾患治療薬としての開発については同年7月にデ・ウエスタン・セラピテクス研究所ともそのほかの低分子化合物で共同研究を行うことを発表している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/11/20 12:06
注目トピックス 日本株
Chordia Research Memo(5):rogocekibの第1/2相臨床試験は拡大コホートを実施(2)
*12:05JST Chordia Research Memo(5):rogocekibの第1/2相臨床試験は拡大コホートを実施(2)
■Chordia Therapeutics<190A>の開発パイプライン(2) 2次治療以降のAML治療薬としての潜在市場規模AMLの患者数は日米欧の主要国で年間5万人程度と推計されており、このうち一次治療の効果がない、または再発した患者が2次治療に進むことになる。その確率は最大で50%と見ており、このうち治療薬のある遺伝子変異(FLT3、IDH1/2等)を持たない患者と、当該治療薬が効かずに3次治療へ進む患者がrogocekibの最初のターゲットとなる。同社では最大で約1.8万人の患者数がターゲットになると試算している。これらターゲット患者数に、既存薬を参考にした1日当たり薬価(4万円〜9.1万円)と平均治療期間(約270日)を掛け合わせたものが潜在市場規模となり、計算では2,000〜4,000億円となる。また、AMLの患者数は、増加傾向にあり、潜在市場規模の同様のペースで拡大すると見られる。既に上市している競合品もあるが、臨床試験の結果次第では先行品を上回るシェアを獲得できる可能性もあり、成長ポテンシャルは大きいと言える。また、2次治療以降のAML治療薬として販売承認が得られれば、1次治療やその他のがん種にも順次適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。(3) 国内の製造販売体制と海外戦略日本では自社で製造販売する方針で、製造については2022年に協業契約を行ったシオノギファーマに委託する意向だ。また、物流や販売促進活動については業務提携先のメディパルホールディングスが担うことになる。一方、米国等での販売についてはグローバル製薬企業と販売ライセンス契約を締結して市場を開拓する方針で、既に複数社と秘密保持契約(NDA)を結んで情報提供を行っている。既述のとおり、第1相パートの中間成績結果をもって導出活動を本格的に開始する予定で、早ければ2027年8月期中にもライセンス契約締結の可能性がある。同社では製品価値が最大化するような有利な条件を引き出し、ライセンス契約に結び付けたい考えだ。(4) CLK阻害薬の競合他社の状況CLK阻害薬を開発しているバイオベンチャーが米国に2社あるが、現段階ではいずれも脅威にはならないと同社では見ている。Biospliceで実施した第1相臨床試験の結果は、単剤投与で奏功率0%という結果に終わっており(6名の患者で10%以上の腫瘍サイズ縮小を確認)、現在は医師主導の臨床試験をサルコーマ(肉腫)など固形がんで実施するにとどまっており、有効性をしっかりと示せていない状態と言える。また、BlossomHill TherapeuticsはAMLを対象とした第1/1b相臨床試験(予定症例数170名)を2024年6月より開始しており、2026年に完了する見込みとなっている。同社から見ると5年程度遅れており、さらに薬剤もCLK以外のキナーゼを阻害するマルチキナーゼ阻害薬となっているため、副作用リスクが大きくなるリスクも持つと見られる。CLK阻害薬の開発では同社が最も先行している状況となっており、物質特許もすでに世界主要51ヶ国で権利化済みとなっている。このため、臨床試験で良好な結果を示せればビッグディールにつながる可能性があり、2026年中頃に発表が見込まれる第1相パートの中間成績の内容が注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/11/20 12:05
注目トピックス 日本株
Chordia Research Memo(4):rogocekibの第1/2相臨床試験は拡大コホートを実施(1)
*12:04JST Chordia Research Memo(4):rogocekibの第1/2相臨床試験は拡大コホートを実施(1)
■Chordia Therapeutics<190A>の開発パイプライン1. rogocekib(1) 開発状況現在のリードパイプラインであるrogocekibは、mRNA生成過程において重要な役割を担うCLKキナーゼ※の働きを阻害することで異常なスプライシングを発生させ、RNA制御ストレスを増大させてがん細胞を死滅させる効果が期待されている。※ CLKキナーゼは、基質であるSRタンパク質をリン酸化する働きを持つ。SRタンパク質がリン酸化することで前駆型mRNAのうち不要な箇所(イントロン)が正確に取り除かれ、正常なスプライシングが促進される。2018年から2023年まで日本で実施した第1相臨床試験では、標準治療の効果がない再発・難治性のAMLやMDSなどの血液がん及びその他固形がん(卵巣がん、乳がん、すい臓がん、大腸がん、肉腫等)の合計60症例を対象に安全性や有効性などを確認した。治験デザインは、週2回投与※で用量漸増試験を行い、主要評価項目として安全性、有効性、最大耐量、用量制限毒性を、副次的評価項目として薬物動態などのデータを収集、評価した。※ 間隔をあけて投与するのは、CTX-712の投与によってストレスが掛かった正常細胞の状態を元に戻すため。被験者投与を進めるなかで、血液がんや卵巣がんで薬効が確認できたため、これら疾患の患者を優先的に組み入れることにし、結果的に血液がん14例、卵巣がん14例、その他固形がん32例となった。試験結果については、2024年4月に開催された米国がん学会において発表しており、有害事象としては悪心、嘔吐、下痢などが挙げられたが、既述のとおり制吐剤などを投与することでコントロールが可能であり、安全性について問題のないことが確認された。有効性に関しては、卵巣がん14例中4例でPR(部分奏功)※1が確認されたほか、AML及びMDS計14例(うちAML12例)のうち、4例でCR(完全寛解)、1例でCRi(好中球未回復の完全寛解)が確認された。このうち、AML及びMDSの有効性については、AML治療薬として承認された第一三共<4568>のヴァンフリタと比較して遜色ない水準※2だったほか、2024年11月にAML治療薬として米国で承認されたSyndax PharmaceuticalsのRevumenibの第2相臨床試験結果(症例数57例中、10例でCR、15例でがん細胞が体内から一時的になくなった状態を示すCRi、CRh、CRpを達成)や、承認申請間近の他社開発品の成績とも比肩し得る成績であったと同社では評価している。※1 PR(Partial Response)は、治療前と比較して腫瘍の大きさが30%以上縮小した状態。白血病におけるCR(Complete Remission)は、骨髄に存在する白血病細胞の割合が5%未満であり、正常な好中球と血小板の数が完全に回復している状態。CRi(Complete Remission with Incomplete hematologic recovery)は、骨髄に存在する白血病細胞の割合が5%未満であるが、好中球、血小板のどちらか一方、又はその両方の回復が不完全な状態。※2 ヴァンフリタは16例中、CRを達成した症例はなかったものの56%が何らかの奏功を示した(奏効率56%)。なお、AML及びMDSの被験者14例中、投与前の段階でスプライシング因子に異常があった被験者4例のうち3例で奏功が確認され、投与期間も300日以上と長期間の奏功が認められるなど、患者が保有するスプライシング異常と治療効果の相関が強いことがわかっている。がん種別でスプライシング因子に異常を持つ患者の割合を見ると、肺がんや乳がんなどは1~2%と低いのに対して、AMLが10~20%、MDSが40%と血液がんで相対的に高い傾向となっている。また、AMLについては標準治療が効かずに再発する可能性が高く、5年生存率も30%程度と低いことから、新たな治療法の開発が強く望まれている状況も踏まえて、同社はまず2次治療以降のAML及びMDSを適応対象として開発を進めていくことを決定し、米国で2023年より第1/2相臨床試験を開始した※。※ 米国でも第1相を行うことになったのは、日本で実施した臨床試験でカプセル剤を用いたのに対して、米国では市販を見据えて錠剤で試験を行うことになったため。米国での臨床試験は当初、2024年末頃に第1相試験を終え、中間成績を2025年半ばに発表する予定であったが、FDAが2021年に提唱した「プロジェクト・オプティマス※1」に則って、第1相試験の組入れ数を増やす方針に転換した※2。FDAとの協議の結果、2025年9月に発表した臨床試験計画の改訂版によると、第1相パートの用量漸増コホートでは当初予定していた週1回5用量(20mg、40mg、80mg、100mg、140ng)の投与スケジュールに加えて、新たに週2回3用量(60mg、80mg、100mg)を追加した※3。合計40例程度の組み入れ数となるが、2025年8月末時点で36例を組み入れ済みで2025年内に完了する見込みだ。加えて、これら用法・用量のなかから良好な結果を得た用法・用量を2〜3パターンに絞り込み、拡大コホートとして60〜70例の組み入れを実施し比較・検討を行うことにし、同結果をもって第2相臨床試験で実施する用法・用量を決定する。当初計画よりも規模を大きくした拡大コホートを実施することで臨床試験期間は長くなるものの、成功確率がさらに高まると同社では見ている。また並行して、AML患者が罹患しやすい真菌感染症の治療薬との併用時に適したrogocekibの投与量を決定するための薬物相互作用を見る試験も20例ほど実施する。これらの試験を2027年前半までに完了し、2027年中頃より日米で第2相臨床試験(予定症例数約100例※4)を開始したい考えだ。今回の臨床試験計画の改訂に伴い全体の被験者数は当初予定の170例から225例に増加する。同社では早期に臨床試験を完了するために、治験施設数を現在の6施設から適宜増やしていく方針だ。※1 FDAが、がん治療薬の開発において投与量の最適化と安全性向上を目的として、第1相段階で複数の用量・用法を検討したうえで第2相臨床試験を行うことが望ましいとの指針を示した。※2 米国で「プロジェクト・オプティマス」に未対応だった他社の開発品が、販売承認申請しようとしたところ、FDAから差し戻されるといったケースがあり、第2相臨床試験後に販売承認を得るためには同指針に対応しておいたほうが良いとのコンサルティング会社からの助言があり、方針転換した。※3 28日を1サイクルとして検査を行い、がんが進行している場合は投与を中止する。※4 SyndaxのRevumenibの第2相臨床試験症例数57例に対して100例と多いのは、米国だけでなく日本でも実施することや、成功確率を高めるため保守的に計画を立てたためと思われる。今回の臨床試験計画の変更に伴い、中間成績の発表予定時期についても2025年下期から2026年中頃へと変更した。時期的に見て欧州で6月に開催される血液がん学会での発表が有力視される。なお、販売承認申請については、2028年後半に日本で先駆的医薬品指定制度※を活用した販売承認申請を目指す。米国については中間成績のデータをもとに導出活動を本格的に展開する。中間成績の内容が既存承認薬の成績と遜色なければ、契約締結に大きく前進すると見られるだけにその内容が注目される。※ 治療薬の画期性や対象疾患の重篤性、対象疾患にかかるきわめて高い有効性、世界に先駆けて(または同時に)日本で早期開発・申請する意思・体制などの指定基準を満たした開発品目を先駆的医薬品として厚労省が指定し、審査や相談などを優先的に行うことで早期実用化を目指す制度(通常1年間の審査期間を6ヶ月に短縮することを目標)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/11/20 12:04
注目トピックス 日本株
Chordia Research Memo(3):RNA制御ストレスを標的とした抗がん薬の開発を進める
*12:03JST Chordia Research Memo(3):RNA制御ストレスを標的とした抗がん薬の開発を進める
■会社概要2. 事業概要(1) 経営方針Chordia Therapeutics<190A>は、「日本発」「世界初」の新しい抗がん薬を開発し、一日でも早く患者のもとに届けることで、『Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会』の実現を目指している。ファーストインクラス※の抗がん薬を創ることをミッションに掲げ、その実現を通じて2030年には日本発の研究開発型の製薬会社に成長していくことをビジョンとしている。※ 新しくユニークな作用機序により、既存治療薬と異なる有用性を示す革新的医薬品のこと。(2) ビジネスモデル同社の特徴は、アカデミアとの連携によるシーズ探索能力と、製薬会社で培った創薬力によって上市させる研究開発能力を持つことにある。アカデミアとの共同研究に関しては、(国研)日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金も活用しながら効率的に進めているほか、新薬開発において重要となるバイオマーカーの発見にはAI技術も活用しながら、開発効率の向上に取り組んでいる。医薬品の開発プロセスは基礎研究から始まり、探索研究、前臨床研究を経て、臨床試験によりヒトでの安全性・有効性を確認したのちに、製造販売承認を行い上市に至る。このうち同社は探索研究から臨床研究のなかでも第2相(少数のヒトに対しての効果検証)までをコアビジネスとして行うことを基本方針としている。また、国内では製造・販売まで自社で行い、海外市場はライセンスアウトを活用する。ライセンスアウトのタイミングは、パイプラインの価値、費用、競合状況を鑑み、基本形としては価値が急上昇する第2相臨床試験前後で検討することになる。創薬のターゲットは医療ニーズの高いがん領域で、ファーストインクラスの低分子化合物の創薬に取り組んでいる。新しい作用機序のため、安全性や有効性の予測が難しい反面、既存治療薬で効果の出なかった患者に対して大きな薬効が得られる可能性もある。薬価算定の際にその有効性や新規性に応じて高い価格に設定されることが多いため、グローバル製薬企業からの関心度も高く、大型ライセンス契約につながりやすい。同社ではこうした創薬研究を多くのアカデミアと共同で行っており、資金面ではAMEDからの助成金も活用しながら効率的に進めていることが特徴である。(3) RNA制御ストレスを標的とした抗がん薬抗がん薬の標的となる分子を見つけ出すには、がん細胞のホールマーク(特徴)を見出し、正常細胞との違いを明らかにすることが重要とされている。近年の研究によってがん細胞には13のホールマークの存在が明らかとなっており、このうち免疫ストレスやDNA損傷ストレスなど10のホールマークを標的とした抗がん薬については、小野薬品工業のオプジーボなど多くのブロックバスターが創出されている。こうしたなか、同社はまだ上市品が存在しないRNA制御ストレスを標的とした抗がん薬の開発を進めている。がん細胞はRNAを生成する複数の過程が乱れ、正常細胞に比べて過剰にストレスが掛かっている状態にある。こうした状態に対して、さらにストレスを加える抗がん薬を投与することで、がん細胞を死滅させる。ストレスがかかっていない正常細胞も抗がん薬投与によってある程度のストレスがかかり、若干の副作用が生じるものの※、時間経過とともにストレス状態から解消され正常な状態に戻ることが研究で明らかとなっている。※ CTX-712の第1相臨床試験では、悪心や嘔吐などの副作用が確認されたが、制吐剤を投与することでコントロールが可能なレベルであり、安全性には問題のないことが確認されている。ヒトのタンパク質が生成される過程を簡単に見ると、DNAから遺伝子情報を転写することで前駆型mRNAを生成し、次にタンパク質を作るために必要なスプライシング過程※1を経て成熟型mRNAとなり、さらにトランスファーRNAをタンパク質合成の場に輸送することでタンパク質が生成される。同社はこの転写、スプライシング、輸送などの過程で働きを担う各種キナーゼ※2を阻害する抗がん薬の開発を進めている。※1 前駆体mRNAからタンパク質合成に不必要な部分(イントロン)を取り除く工程。※2 キナーゼとは、細胞の増殖や機能を調節する役割を担う酵素の総称。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/11/20 12:03
注目トピックス 日本株
Chordia Research Memo(2):武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬開発を進める
*12:02JST Chordia Research Memo(2):武田薬品工業からスピンアウトし、低分子化合物の抗がん薬開発を進める
■会社概要1. 会社沿革Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業で低分子化合物の抗がん薬開発を行っていた創薬研究者6人がスピンアウトして共同創業者となり、2017年10月に設立したバイオベンチャーである。武田薬品工業時代に開発を進めていたパイプラインのなかから4品目を選び、同年11月に武田薬品工業と全世界の独占的研究、開発、製造及び販売に関するライセンス契約を締結して、開発をスタートさせた。武田薬品工業では2016年頃にグループ全体の研究開発戦略の見直しを検討するなかで、抗がん薬の自社開発については抗体医薬品や細胞治療などニューモダリティ分野に絞り込み、低分子化合物の開発は優先順位を下げる方針を決定した。これは低分子化合物の創薬に見込みがなくなったわけではなく、事業の選択と集中を行う必要に迫られるなかで決定したものだ。こうしたなか、当時武田薬品工業のがん創薬ユニットの日本のヘッドであった現代表取締役の三宅 洋(みやけ ひろし)氏等がスピンアウトし、低分子化合物の創薬を継続していくことになった。なお、武田薬品工業とのライセンス契約の内容は、設立経緯や武田薬品工業が同社株式の約15%を保有する筆頭株主となっていることもあって、同社にとって好ましい条件となっているようだ。リードパイプラインであるrogocekibは、2018年8月に日本で実施した第1相臨床試験で良好な結果を得たことから、2023年2月より米国で再発・難治性のAML及び骨髄異形成症候群(以下、MDS)※を適応症とした第1/2相臨床試験を開始しており、2025年1月には米国食品医薬品局(FDA)がオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として指定した。オーファンドラッグ指定を受けるメリットとして、承認申請時手数料の免除や承認後最長7年間のデータ保護、税制優遇、承認プロセスの簡略化などがあり、rogocekibの承認審査の迅速化や将来的な価値最大化に貢献するものと評価される。※ 骨髄中で血液細胞のもとになる造血幹細胞に異常がおき、正常な血液細胞(赤血球、白血球、血小板)がつくれなくなる疾患で、病状が進行するとAMLに移行する場合がある。同社は日本市場では製薬企業としての事業展開を目指しており、そのための体制整備として製造委託先となるシオノギファーマと協業に関する基本合意書を、また物流・販売促進に関しては、メディパルホールディングスとの業務提携に関する基本合意書をそれぞれ2022年5月に締結した。なお、2025年8月末の従業員数は前期末比1名増の23名(うち、Ph.D.12名)で、当面は同水準を維持する方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/11/20 12:02
注目トピックス 日本株
Chordia Research Memo(1):2028年後半に血液がん向け治療薬rogocekibの承認申請目指す
*12:01JST Chordia Research Memo(1):2028年後半に血液がん向け治療薬rogocekibの承認申請目指す
■要約Chordia Therapeutics<190A>は、武田薬品工業<4502>からスピンアウトした創薬研究者が創業したバイオベンチャーで、低分子化合物の抗がん薬に特化した開発を行っている。探索研究から臨床研究までをコアビジネスとし、国内では提携戦略により製造・販売まで自社で行い、海外ではライセンスアウトすることで早期収益化を目指している。2024年6月に東京証券取引所グロース市場に株式上場した。1. CLK阻害薬rogocekibの開発状況と今後の展望現在の開発パイプラインは5つあり、このうちリードパイプラインであるCLK阻害薬rogocekib(以下、rogocekib)※1(ロゴセキブ)(CTX-712)は日本における第1相臨床試験を完了しており、既存の承認薬と同等レベルの有望な成績が得られている。この結果を踏まえて、血液がん(2次治療以降の急性骨髄性白血病(以下、AML))を対象とした第1/2相臨床試験を米国で実施している(現在は第1相パート)。rogocekibは、mRNA※2生成過程において過剰なストレスを与えることによってがん細胞を死滅させる新しい作用機序の低分子化合物であり、開発に成功すればAMLの2次治療領域だけで潜在市場規模は2,000〜4,000億円と同社では試算している(対象患者数は日米欧で最大約1.8万人と見積もられ、薬価と平均治療期間に基づいて算定)。今後においてもAMLの患者数は増加が見込まれており、潜在市場規模も同様に拡大が見込まれている。また、AML の2次治療以降での承認取得後は、1次治療やその他のがん種への適応拡大を進める方針である。※1 rogocekib(CTX-712)は、2024年11月に世界保健機関より、医薬品一般名称「rogocekib」として公開された。※2 RNA(Ribonucleic acid)はリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある。米国における臨床試験の成功確率を高めるために第1相臨床試験で当初予定していた週1回の投与スケジュールに加えて、週2回の投与スケジュールでの試験及びそれらを踏まえた拡大コホート試験も実施することになった。このため、日米で実施予定の第2相臨床試験については2027年から開始する見込みとなり、全症例数も当初予定の170例から225例に増加することになった。同社では治験施設数を増やして早期に臨床試験を完了し、2028年後半に国内での製造販売承認申請を目指す。米国については2026年中頃に発表予定の第1相パートの中間成績をもとにライセンス活動を本格的に開始する予定だ。同適応症で開発に成功すれば1次治療やその他のがん種へと適応拡大を進め、製品価値の最大化を図る。2. 業績動向2025年8月期の業績は事業収益の計上がなく、経常損失で1,769百万円(前期は1,824百万円の損失)となった。rogocekibの臨床試験費用を中心に研究開発費1,425百万円を計上したことが主因だ。2026年8月期もrogocekibの臨床試験を経営の最優先事項として推進し、その他のパイプラインはコストを抑制しながら導出活動を継続していく計画で、研究開発費で1,590百万円、経常損失で1,958百万円を見込んでいる。2025年8月末時点の現金及び預金は2,548百万円となっているが、rogocekibの臨床試験費用は第2相パートに入る2027年8月期にさらに増加する見通しで、開発資金を確保すべく第三者割当による新株予約権を2025年9月に発行した。rogocekibの米国でのパートナー契約締結の可能性は早くても2027年8月期になるため、当面は株式市場から資金調達していくものと思われる。3.今後の事業方針同社は「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを2030年ビジョンとして掲げている。医薬品製造に関してはシオノギファーマ(株)と、国内における流通・販促活動についてはメディパルホールディングス<7459>と2022年に業務提携の基本合意を締結するなど体制整備を進めつつ、海外市場はライセンスアウトにより早期収益化を目指すなど、まずはrogocekibの上市を最優先事項として取り組んでいる。そのほか2020年に小野薬品工業<4528>に導出したCTX-177は、先方の開発戦略見直しにより2025年4月に開発中止と契約解消が発表され、現在は再導出活動を開始している。また、その他パイプラインも眼科疾患治療薬としての可能性を探るべく、千寿製薬(株)やデ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>との共同研究に着手しており、今後の動向が注目される。■Key Points・武田薬品工業からスピンアウトした創薬ベンチャー。低分子化合物の抗がん薬開発に特化し、2024年にグロース市場に上場・rogocekibは米国で第1/2相臨床試験中。2026年中間成績を第1相の中間成績を発表予定、2027年第2相開始、2028年後半に販売承認申請を目指す・その他パイプラインは早期導出方針、眼科疾患を対象とした共同研究も開始・2026年8月期はrogocekibの開発費増により損失が若干拡大見通し。資金調達体制強化済(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/11/20 12:01
注目トピックス 日本株
トヨコー Research Memo:2Q決算も順調、インフラメンテナンス技術で高成長
*11:45JST トヨコー Research Memo:2Q決算も順調、インフラメンテナンス技術で高成長
トヨコー<341A>は、老朽化した工場等の屋根を独自工法で塗装・防水工事を行うSOSEI(ソセイ)事業と、老朽化した橋梁・鉄塔など社会インフラのサビを除去する加工装置を製造・販売するCoolLaser(クーレーザー)事業を展開している。祖業でもあるSOSEI事業は安定収益源としての役割を担い、目下は社会インフラ老朽化が社会問題となるなか、成長事業であるCoolLaser事業に経営資源を多く投下してきた経緯がある。足元では同製品の市販モデル上市を受けて収益拡大中であり、社会課題の解決の観点も相まって、動向が注目されている。社会インフラのサビを除去する加工装置を製造・販売するCoolLaserが急速な立ち上がり1. 2026年3月期第2四半期の業績概要2025年11月13日に発表された第2四半期決算は、売上高で前年同期比77.5%増の1,634百万円、営業利益で同208.1%増の413百万円と高い成長を見込む通期業績予想に対して、極めて順調な推移。セグメント別ではSOSEI事業が売上高で前年同期比22.4%増の997百万円、営業利益で同39.5%増の409百万円、CoolLaser事業が売上高で同501.1%増の637百万円、営業利益で130百万円(前年同期は74百万円の赤字)となり、CoolLaser事業の立ち上がりが顕著である。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期通期の業績は、売上高が前期比48.1%増の3,000百万円、営業利益は同92.5%増の580百万円、経常利益は同113.0%増の560百万円、当期純利益は同49.5%増の480百万円と、いずれも過去最高を更新する計画となっている。計画では、今期12台のCoolLaserの納品を想定している。リードタイムは通常6ヶ月程度、受注残高6台(2025年3月)の実績があり、残りも2026年3月期中に納品する予定。SOSEI事業で10月に雨天率が高かった影響など見極める必要があり、業績予想修正は行われていない。3. 中期経営計画の進捗状況同社は2024年12月9日にCoolLaser事業の「中期経営計画」を発表している。2028年3月期までの各期の下限と上限の納品台数目標を設定しており、2026年3月期は9~15台、2027年3月期は16~29台、2028年3月期は35~65台としている。また、2026年3月期を1期とした時の5期目に当たる2030年3月期において120台を目標に掲げ、2028年3月期をめどに20百万円/台の原価低減も進めている。経済産業省より、産業標準化推進活動に優れた功績を有する個人及び組織を表彰する、令和7年度「産業標準化事業表彰」において、「イノベーション・環境局長表彰」を受賞も受賞しており、営業活動も活性化しよう。試算される国内市場規模800億円を踏まえると、拡大余地は著しく大きい。または海外展開を見据えている点もアップサイド要素だろう。今後は、生産体制、保守・管理、人員採用、コーポレート・ガバナンスなど、規模拡大に伴う組織運営の強化も併せて確認していきたい。4. 株価上場間もないこともあり、中期の事業に関するアナウンスは上記のCoolLaser事業の「中期経営計画」のみとなる。CoolLaserの120台販売という数値は、利益率が大きく変化しない前提を置いても、営業利益CAGRで+50%を上回る。足もとの株価は上場直後から上昇しているが、引き続きAI関連に見られるような高いPER評価を保ちながら、高い利益成長に応じた株価の切り上がりが想定でき得るシナリオということになろう。Key Points・SOSEI事業とCoolLaser事業の2本柱・CoolLaser事業は研究開発から収益化フェーズに入り、業績拡大中・2026年3月期業績は過去最高益。CoolLaser事業についても上振れ余地あり・インフラが老朽化するなか、国内外でのニーズは大きく、アップサイドは大きい(執筆:アナリスト 山本泰三)
<MY>
2025/11/20 11:45
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