注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
ベネ・ワン Research Memo(8):2022年3月期は1株当たり6円の増配を達成し、36円へ増配
■株主還元策株主還元策は、年間の純資産配当率(DOE)を10%以上と配当性向70%以上を目標に、継続的かつ安定的な配当を基本方針としている。2022年3月期の1株当たり配当金は2021年3月期より6円増の36円に膨らんだ。前述のとおり、ベネフィット・ワン<2412>のビジネスモデルは利益率が高いこと、中期経営計画の着実な進行により利益率のさらなる上昇が期待されることから、今後も配当は高水準で推移していくものと弊社は見ている。■ESG・SDGsの取り組み事業を通して、環境負荷の低減や働きがいという意欲向上に貢献同社は、事業を通じた社会価値の創造にも積極的に取り組んでいる。ベネワン・プラットフォームで提供されるサービスにより、サプライヤーは定期的に自社のサービスを利用してもらうことができるため、継続的に広告を打つ必要性が低くなる。これにより、広告に伴う紙資源使用の削減、配送に伴うCO2排出量の削減に貢献しているほか、同社サービスの提供そのものが従業員満足度の向上や健康経営の推進に直結しており、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」などの観点から社会的な価値を創出している。また、ダイバーシティの推進にも積極的に取り組んでおり、同社中核人材の女性比率を2024年6月末までに40%以上とする目標を掲げている。ガバナンスに関しては、独立社外取締役の比率を3分の1超と規定しているほか、指名報酬等委員会を設置し、取締役の指名・報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化している。同社の特徴として挙げることができるのは、最近のESG、SDGs潮流に対応して付け焼き刃的に始めたということでなく、事業そのものが先述のように環境負荷の低減や働きがいという意欲向上につながっている点だ。今後も事業活動を通じてさらなる社会価値を創造していくことが期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:08
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ベネ・ワン Research Memo(7):「ベネワン・プラットフォーム」の会員数拡大などにより成長加速へ(2)
■中長期の成長戦略2. ベネワン・プラットフォームの会員数拡大と収益構造の多様化を目指すベネフィット・ワン<2412>は中期経営計画の下、同社サービスを利用する会員数の拡大、「給トク払い」による新たな収益源の確立を同時並行で進めていく構えだ。会員数の拡大について、同社は効率性・利便性を高めることを中心とした取り組みを進めている。2020年6月にリリースした「ベネワン・プラットフォーム」へ、従来個別に提供されていたサービスを集約し、ワンストップでの提供を可能にして、利便性を高めていく。また、JTBベネフィットとの統合による会員基盤の獲得により、個人会員を含む2022年4月時点の総会員数は1,126万人まで拡大した。今後は「ベネワン・プラットフォーム」利用の入り口として「タレントマネジメント」「ストレスチェック」「ポイント管理基盤」などのサービスを無料で提供するほか、引き続き大規模プロモーションを行っていくことで会員数拡大のスピードを早めていきたい考えだ。収益構造の多様化については、決済代行手数料を新たな収益源として獲得することができるとして、「給トク払い」を2021年6月にリリースした。電気、ガス、水道などのサービスを提供するサプライヤーにとってはベネワン・プラットフォームを介すことで大口顧客を容易に獲得できるほか、顧客企業の従業員は、本来よりも割引された職域価格にてサービスを受けることができる(これにより、顧客企業は従業員満足度の向上も期待できる)。将来的には決済代行手数料を原資に会費の引き下げを段階的に実施することで会員数の拡大にもつなげていく。同社は、最終的には会費無料を実現し、国民の大半を会員にしていくことを計画している。3. 「ベネワン・プラットフォーム」に蓄積されたデータを活用し顧客のHRDXを支援会員数の拡大、収益構造の多様化と同時並行で進めていくのが、「ベネワン・プラットフォーム」上に蓄積された人事関連のビッグデータを活用した顧客企業のHRDX支援だ。データを活用することによって会員一人ひとりにテーラーメイド型のサービスを提供することが可能となり、顧客企業は従業員データの一元管理、人事管理に関するシステムの統合などのメリットを享受することができる。また、外部サービスとの連携も積極的に行っていく。2021年6月にはSCSKが開発した「ProActive E²(プロアクティブ イーツー)」とのデータ連携を通じて従業員の働き方や健康状態を見える化するサービスを追加したほか、同年10月にはSmartHRとの協業・「SmartHR」とのデータ連携を開始し、主に人事・総務部の業務効率化支援を可能にした。また同社は、今後「HRDX」参画企業との連携によるサービスの提供によって顧客企業のHRDX推進、ベネワン・プラットフォームの魅力向上も実現していく考えだ。「HRDX」とは、同社が2019年に組織した、HRDXをリードするオープンイノベーション連合である。2022年3月時点で、前述のSmartHRに加えて、凸版印刷<7911>、NEC<6701>、帝人<3401>など125社が参画している。4. 成長ポテンシャル前述のとおり、会員数の拡大、収益構造の多様化とそれによるさらなる会員数の拡大、ベネワン・プラットフォーム上に蓄積された人事関連のビッグデータの活用による顧客支援の各施策の進捗状況は堅調だ。サプライヤーを新たに獲得していくことにより「ベネワン・プラットフォーム」の魅力が一段と高まり、同社サービスの利用者が増加すれば同社にサービスを提供するサプライヤーが増加し、さらに利用できるサービスが増加すれば会員が増加する、というプラスの循環が存在する。こうしたプラットフォームビジネスのプラスの循環を考えると、今後のさらなる会員数の拡大、それにより蓄積データのさらなる増大が予想され、まさに勝者総取りのシステムであると言える。既に同社は高い割合で市場シェアを占めているものの、成長の余地はまだまだあると言えそうだ。2022年4月時点で同社の福利厚生サービスの利用者数は902万人である。就業人口が6,700万人であることを考えると同社のサービスが浸透する余地は非常に大きいと言えるだろう。同社は、リーチ可能な市場規模として、福利厚生事業で4,000億円、ヘルスケア事業で1兆円、インセンティブ事業で1兆2,000億円、ペイメント事業で35兆6,000億円を見立てている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:07
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ベネ・ワン Research Memo(6):「ベネワン・プラットフォーム」の会員数拡大などにより成長加速へ(1)
■中長期の成長戦略ベネフィット・ワン<2412>は2024年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画を2021年5月に策定し、推進している。そのなかで「ベネワン・プラットフォーム」を利用する会員数を拡大させることにより、2024年3月期に売上高60,640百万円、営業利益20,950百万円、営業利益率34.5%、決済事業の年間利用額100,000百万円、2024年4月の福利厚生サービス会員数1,600万人(2022年4月時点の会員数は902万人)、家族会員の獲得を含むアクティブユーザー2,000万人の達成を目標に掲げている。同社は、会員数の拡大、収益構造の多様化とそれによるさらなる会員数の拡大、ベネワン・プラットフォーム上に蓄積された人事関連のビッグデータの活用による顧客支援によって、日本で唯一のBtoEプラットフォーマー「HRDXのリーディングカンパニー」を目指している。1. 2022年3月期末時点での進捗状況(1) ベネアカウントの運用開始同社は2021年6月よりベネアカウントの運用を開始した。これにより今まで会員が福利厚生やポイント、健康プログラムサービスにおいて個別の専用アカウントでのログインを行わなければならない煩雑な状態にあったものを、「ベネアカウント」でログインを一本化できるようにする。また、今後「ベネワン・プラットフォーム」へ実装し、サービス利便性の大幅な向上を図る。これにより健診結果の経年管理やストレスチェックの実施、管理、ワクチン接種管理等の健康管理、各種従業員データの参照や目標管理、評価(MBO)、異動シミュレーション等のタレントマネジメント、そして従業員向けアンケートの実施、ライフスタイル調査の結果管理、回答状況の確認、リマインド等の従業員サーベイを可能にしていく。(2) 「ベネワン・プラットフォーム」の普及推進同社は、従来単品売りしていたタレントマネジメント、教育研修、福利厚生、健康プログラム、ポイント、BTMなどのサービスを集約し、ワンストップでの提供を可能にする「ベネワン・プラットフォーム」を2020年6月にリリースした。同プラットフォームにおいては様々な商材とのクロスセルが可能になったことを生かしていくほか、デジタルマーケティングへの積極的な投資を背景に会員拡大を目指していく予定である。同プラットフォームは、パソコンにたとえると基本ソフト(OS)にあたり、その上にアプリケーションに相当する各サービスが乗る。同社が取り扱っていない機能については、プラットフォーム上で他社サービスとも連携できる柔軟な設計になっている。また、ミドルウェアとして各サービスの利用実績や従業員の健康、そのほか多様な人事関連のビッグデータも融合し、顧客企業の人事分野でのデジタル化を推進していく方針だ。なお、アプリケーション連携の状況に関しては、給与天引きサービス「給トク払い」とポイントプログラムが既にリリース済みである。福利厚生、カフェテリアプラン、健診代行、保健指導に関しても順次リリースを行っていく予定である。コロナ禍において「働き方改革・健康経営・デジタル化」という課題に向けた企業の取り組みが活発化するなか、ビッグデータの融合による利便性も重なり、同プラットフォームの普及はスムーズに進むと予想される。普及の先には、ヘルスケアやポイント、福利厚生といった課金アプリケーションの利用による収益計上が期待される。(3) SaaSプレイヤーとの協業同社は、SaaSプレイヤーと協業で企業のHRDXを推進している。2021年6月にはSCSK<9719>と、2021年10月には(株)SmartHRとの協業・データ連携を開始し、人事・総務部の業務効率化支援、セミナーの共催やマーケティング、顧客紹介等の営業連携による会員の獲得加速を目指すなど、外部連携によりプラットフォームの価値向上及び企業のHRDXの一段の推進を図っている。(4) M&Aによる成長加速同社は2021年10月29日にJTBベネフィットの株式を12,177百万円で取得し子会社化するなど、M&Aにより成長を一段と加速させた。JTBベネフィットの子会社化により、既存事業で積み上げてきた従業員会員635万人及び140万件のサービスにJTBベネフィット従業員会員253万人を加えることに成功した。これにより2022年4月時点の総会員数は福利厚生会員が902万人、CRM会員が138万人、パーソナル会員が86万人の合計1,126万人となった。同社では事業の加速度的な成長のため、今後もM&Aを積極的に活用していくことを明言していることから、既存事業の会員拡大やプラットフォーム強化における高いシナジーが見込まれる企業とのM&Aに弊社は注目している。(5) 給与天引き決済サービスの普及推進同社は2021年6月より、給与天引き決済サービス「給トク払い」をリリースし普及を推進している。同サービスは電気・ガスなど毎月かかってくる固定費を給与から自動的に天引きする新決済サービスで、給与天引きを条件に生活固定費を中心としたサービスを最安値で提供可能にするものである。今後はガス、携帯電話、賃貸といった生活インフラ関連の月額課金型サービス等、日常的に利用されるメニューも給与天引き対象とすべく順次開発していく。サプライヤーの多角化にも注力しているが、保険商品等は業法上やや時間を要するもようである。しかし、ユーザーファーストの観点から考慮すると、将来的には広範囲なサービスを最安値で提供するプラットフォームへと仕上げる計画であり、足下ではそれに向けた事業基盤が構築されつつある状況である。なお、2022年3月期末時点で187サービスの給与天引きが可能になっているほか、キラーコンテンツとして電気・ガスなどの生活インフラ関連に加えて定期購買のウォーターサーバーサービス、U-NEXT、Eマガジン、フィットネス、学習塾などのサービスも利用可能となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:06
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ベネ・ワン Research Memo(5):成長加速に向け投資先行。2024年3月期以降の事業成長性の加速に期待
■今後の見通しベネフィット・ワン<2412>の2023年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比20.2%増の46,100百万円、営業利益で同15.4%減の10,800百万円、経常利益で同15.9%減の10,790百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.9%減の7,170百万円と、増収減益を予想している。コロナ禍が落ち着くことで、会員の福利厚生サービスの利用増による補助金の支出増加、新型コロナワクチン接種支援事業の規模縮小、中期経営計画達成に向けた先行投資による経費の増加などによって減益を見込んだ格好だ。福利厚生・パーソナル・CRMに関しては、ウィズコロナ/アフターコロナの事業環境の好転に備えて大型プロモーションを打っていくほか、JTBベネフィットをグループに加えたことによる統合効果を追い求めていく方針だ。インセンティブ事業に関しては、福利厚生サービスを利用している顧客へのクロスセルの好調を引き続き見込んでおり、今後の需要増を見越して営業人員の増員を図っていく。ヘルスケア事業に関しては、コロナワクチン接種事業・オリンピック支援事業の特需効果が薄れるものの、成長加速に向けた大型マーケティングや新たな事業の柱としてインフルエンザワクチン接種事業を関係省庁と連携しながら開始したいとしている。購買・精算代行事業に関しては、出張・接待による利用が2023年3月期下期にかけて回復することを見込み、大企業を中心とした営業やシステム・カード会社等との協業などに注力していく。新たな収益の柱として同社が注力しているペイメント事業においては、既にリリース済みの「給トク払い」のメリットを確実に訴求するとともに給与天引き決済がニューノーマルとなるよう営業活動を強化していく構えだ。また、さらなるサービスの魅力向上として給与天引き対応可能なコンテンツの量を増やしていき、顧客層の拡大を実現していく。海外事業は、中国やシンガポールで顧客基盤が安定し、収益に貢献する見込みとなっている。さらに市場の立ち上がりにより先行する米国・シンガポールにおいては競争力強化を図り、収益の安定化を目指すとしている。全体として、中期経営計画下での成長加速に向けて一時的に投資が先行し費用がかさむものの、ベネワン・プラットフォームへのシステム移行、各種アプリケーションの連携、外部サービスとの連携、大型マーケティング施策の実施などによる会員数の拡大、給与天引きサービス「給トク払い」の拡販、そして新収益基盤への育成に向けた取り組みは確実に進行している状況であり、2024年3月期期初には同社事業の成長性はさらに高まるものと弊社は考える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:05
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ベネ・ワン Research Memo(4):2022年3月期は、前期比増収・2ケタ増益。会社計画も上振れて着地(2)
■ベネフィット・ワン<2412>の業績動向2. 財務状況2022年3月期末時点の貸借対照表を見てみると、事業活動の結果として当期純利益を8,949百万円挙げたことによって利益剰余金が4,165百万円増加した(4,785百万円は配当金に充当)。また、現金の動きを見てみると、営業キャッシュ・フローは10,080百万円(法人税等支払い前の小計の数字を採用)の収入となり、事業活動の結果としてしっかりとキャッシュを生み出していることがわかる。投資活動においては、JTBベネフィットの株式取得に関連して10,451百万円の支出が計上され、結果として14,247百万円の損失となっている。財務活動においては、長期借入金の借り入れに関連して10,000百万円が計上されたことにより、4,544百万円の収入となった。これを受け、期末時点の現金及び預金は前期比4,922百万円増の17,986百万円に膨らんだ。同社の財務状況に関して弊社は問題ない水準であると考える。まず、長短の手元流動性には問題がないと言えるだろう。2022年3月期の流動比率と固定比率はそれぞれ150.5%、104.0%となった。固定比率が前期の37.6%から上昇しているのは、JTBベネフィット買収に伴い固定資産にのれんを計上した結果であり、2023年3月期以降、固定比率も元の水準に収まると弊社では考える。また、自己資本比率に関しては42.9%と極端に高いとは言えないものの、問題のない水準であると言えるだろう。特筆すべきは、ROAとROEの高さだ。2022年3月期のROAは15.4%と前期に比べて下がったものの、自社の資産を効率よく使って利益を生み出していることがわかる。また、ROEに関しては、40.0%と高い数値となった。投資家から集めた資金を非常に効率よく利益に還元していると判断される。ROEが非常に高いことから、株主還元を重視し過度に自己資本が膨らむことを避けてこられたこと、最適な資本構成と財務の健全性を考慮しながら負債も活用して、うまく事業活動を行っていることがわかる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:04
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ベネ・ワン Research Memo(3):2022年3月期は、前期比増収・2ケタ増益。会社計画も上振れて着地(1)
■業績動向1. 2022年3月期の連結業績概要ベネフィット・ワン<2412>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%増の38,362百万円、営業利益が同30.7%増の12,770百万円、経常利益が同30.1%増の12,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.3%増の8,949百万円と、増収・2ケタ増益となった。計画比でも売上高2.8%増、営業利益8.7%増、経常利益8.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益10.2%増となり、会社計画を上回る形で着地した。これにより、2012年3月期から11期連続の増収・営業増益を達成した。緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復し、補助金給付による支出が増加したものの、JTBベネフィットの業績が新たに連結損益計算書に計上されたこと、時代のニーズを的確に捉えたワクチン接種・オリンピック支援事業が想定を上回る好調ぶりだったことが利益を押し上げた格好となった。また、顧客企業の出張などの回復が想定よりも遅れ、購買・精算代行事業が前期比マイナスとなったものの、ヘルスケア事業のコロナワクチン接種支援事業が好調だったこと、福利厚生・パーソナル・CRM事業が堅調だったことなどを受け、全体として増収増益を達成した。着目すべきは利益率の高さだ。2017年3月期の営業利益率19.9%、当期純利益率13.1%以降、2022年3月期の同33.3%と同23.3%まで利益率が一貫して上昇してきた。利益率が上昇してきたのは、プラットフォームビジネスが勝者総取りの理論が働くビジネスモデルであり、事業規模が拡大するにつれて競争の影響が薄れる傾向にあること、同社の事業そのものが重厚長大型の事業ではないことから固定費の割合が低く(総資産に占める有形固定資産の割合は2.3%)、そのため相対的に損益分岐点が低くなり限界利益率が高くなったことなどが影響していると弊社は推察する。今後、中期経営計画の推進によってさらに事業規模が拡大するなかでますます競争の度合いは低くなり、同社の利益率の水準は上昇していくものと弊社は考える。なお、同社は2022年3月期期首から「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。これにより売上高が 8,058 百万円減少、売上原価が8,056百万円減少、各利益が1百万円減少となった。(1) ベネフィット・ステーション関連事業(福利厚生+パーソナル+CRM)2022年3月期の売上高は前期比8.4%増の22,176百万円、営業利益は、福利厚生事業・パーソナル事業・CRM事業合わせて同13.1%増の9,484百万円となった。なお事業ごとの売上高は、福利厚生事業は前期比10.4%増の19,796百万円、パーソナル事業は同8.0%減の1,891百万円、CRM事業は同3.7%増の489百万円となった。売上高が「収益認識に関する会計基準」等の適用により380百万円減少となったこと、緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復したことで補助金給付による支出が増加したことがマイナス要因となったが、コスト配賦基準の変更による利益(1,187百万円増)、JTBベネフィットが損益計算書に計上された効果により増収となった。(2) インセンティブ事業2022年3月期の売上高は前期比12.2%減の3,473百万円、営業利益は同19.9%減の781百万円となった。主に大手顧客の前期からの反動減による利用低調が要因として挙げられるが、新規顧客の獲得及びポイントの利用拡大、人事部門向けには福利厚生とのセット導入、代理店及び販促向けには専任担当による深堀営業を推進していくことなどの諸施策でカバーした。これらの状況から今後の業績巻き返しには期待できるものと弊社は考えている。(3) ヘルスケア事業2022年3月期の売上高は前期比7.3%減の9,610百万円、営業利益は同503.3%増の4,557百万円となった。同事業では、売上高が「収益認識に関する会計基準」等の適用により7,678百万円減少となった。しかし、これほど大幅に利益が伸びたのは、市場の流れとして従業員の健康管理や増進サポートへの関心が一層の追い風となったほか、2022年3月期から開始したコロナワクチンの接種支援事業が想定以上に伸長したためである。結果として、連結全体の利益押し上げにも貢献した。(4) 購買・精算代行事業2022年3月期の売上高は前期比7.7%減の641百万円、営業利益は同31.7%増の96百万円となった。出張利用は徐々に回復するも自粛は長期化し接待利用も自粛が続くなど厳しい状況が続くなかで、同社では経費コントロールに努めることで業績影響を限定的にしつつ、緊急事態宣言解除及びワクチン接種普及による出張利用の回復やターゲットを絞った新規開拓など効率的な拡販に努めた結果、減収増益となった。(5) ペイメント事業2022年3月期の売上高は前期比1.1%減の17百万円、営業利益は61百万円の損失(前期は17百万円の利益)となった。福利厚生サービスの顧客を中心とした導入提案を行った。また、「給トク払い」による家計支出の多い生活インフラ分野や定額課金メニューを中心とした加盟店の開拓で提携先は約130メニューとするなどサービスの充実を図ったことで、費用が先行した結果となった。(6) 海外事業2022年3月期の売上高は前期比3.5%増の1,474百万円、営業利益は170百万円の損失(前期は104百万円の損失)となった。中国やシンガポール等で既存顧客との堅調な取引を中心に前期比で売上高は拡大したものの、コロナ禍により新規顧客獲得活動に遅れが生じ、営業損失を計上した。今後は市場の立ち上がりで先行する米国・シンガポールでの人員拡充・システム開発により競争力強化を図るとともに、各国の基盤共通化を進め収益安定化を目指すとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:03
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ベネ・ワン Research Memo(2):中期経営計画の実行によりさらなる会員数の拡大と成長スピードの加速期待
■会社概要1. 会社概要ベネフィット・ワン<2412>はサービス業における新たな流通市場の創造を自社の役割と捉えており、それに向け、自社事業を通じてサービス業界全般の需要と供給をマッチングさせている。同社は1996年の設立当初から福利厚生サービスを手掛けてきており、その後もM&Aなどを通じて業容を拡大させてきた。福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、購買・精算代行事業、ペイメント事業、海外事業などを展開している。現在は福利厚生事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業など各サービスを個別に提供している状況だが、今後は「ベネワン・プラットフォーム」上で各種サービスをワンストップで提供していくことを目指す。さらに、人事関連のビッグデータもプラットフォームに組み込み、顧客の人事分野でのデジタル化を推進することで「福利厚生のリーディングカンパニーから、HRDXのリーディングカンパニーへ」の変革を目指している。同社は人材派遣を手掛けるパソナグループ<2168>の子会社である。パソナグループとは資本関係以外にも、福利厚生のアウトソーシングなどを受託し、人材派遣を受けるという取引関係がある。同社は2004年12月にJASDAQ市場において株式を公開した。2006年3月には東京証券取引所(以下、東証2部)に市場変更し、2018年11月には同1部に指定替えをした。そして2022年4月の東証市場区分の変更に伴い、東証プライム市場へ移行した。2. 事業概要同社は福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、購買・精算代行事業、ペイメント事業、海外事業などを手掛けており、現時点では定額制サブスクリプションモデルをビジネスの柱として展開している。福利厚生事業、パーソナル事業、CRM事業についてはユーザー課金型サービスマッチングサイト「ベネフィット・ステーション」を共通ツールとして提供している。「ベネフィット・ステーション」は大企業や官公庁などを中心に1万5千社以上が導入しており、業界のリーディングブランドとしてのポジションを築いてきた。さらに、JTBベネフィットの従業員会員を新たに加え、福利厚生業界の市場シェアは国内首位を占めていると言う。同社が今後もベネワン・プラットフォームの魅力向上を計画していること、給与天引き事業の手数料収入を原資として将来的な会費の引き下げを検討していること、プラットフォームビジネスは勝者総取りの傾向があることなどを考えると、今後も同社サービスの利用者は加速度的に増加していくものと弊社では考えている。(1) 福利厚生事業主力の福利厚生事業では、「ベネフィット・ステーション」に入会した顧客企業の従業員に向けて、提携先企業のサービスを割引価格で提供している。サービスは宿泊施設や飲食店、スポーツクラブ、レジャー施設、介護・育児サービスなど140万件がある。同社は顧客企業から従業員数に応じた月額利用料を安定的に受け取っている。顧客企業はアウトソーシングによって福利厚生関連費用を削減できるほか、企業規模に関係なく充実した福利厚生制度を従業員に提供することができる。従業員が宿泊施設などを利用した際には、加入コースに応じて同社は補助金を支払っている。(2) パーソナル事業パーソナル事業では、主に協業企業が抱える個人顧客向けに「ベネフィット・ステーション」上のサービスを提供している。協業先は携帯キャリアやフィットネスクラブ、不動産仲介会社などがある。個人会員から月額利用料を受け取り、協業企業とシェアしている。(3) インセンティブ事業インセンティブ事業では、ロイヤリティ・モチベーション向上施策支援としてインセンティブ・ポイントの発行、管理運営を行っている。顧客企業は従業員や代理店スタッフに対してポイントを付与し、受け取った側は約2万点のアイテムと交換できる。同社は顧客企業から付与ポイントに相当する金銭を受け取り、そのうち従業員がポイントを使った際のポイント代金が売上として計上され、アイテム仕入代金が原価に計上される仕組みだ。主な顧客は携帯キャリアや保険会社、自動車販売会社、医薬品会社、レストラン運営会社などとなっている。最近ではロイヤリティ・モチベーション向上のほか、採用強化や優秀な人材の確保、評価機会の拡大などの目的でも導入されている。(4) ヘルスケア事業ヘルスケア事業では、健康保険組合や事業主から業務委託料を受け取り、健診サービスや保健指導、健康ポイント、ストレスチェックといった健康支援サービスを提供している。健診予約の後、何割かで保健指導のニーズが発生し、そこで売上が積み上がってくるという収益モデルである。同社は健診・保健指導ともに業界のリーディングカンパニーという位置付けである。また、社会経済の要請に応じたコロナワクチンの接種支援事業も開始している。コロナ禍の影響によりコロナワクチン接種支援事業は好調に推移してきたものの、接種率が高まるなかで今後の成長加速が見通しづらい状況となってきた。これに変わる事業として同社は、行政と連携しながらインフルエンザワクチン接種支援事業を新たな収益源として育成していきたい考えだ。(5) HRマネジメントを中核としたほかの事業法人向けでは、福利厚生に加えてHRマネジメントにおける重点要素を中核に据えた事業を展開している。主要要素である福利厚生、健康、教育研修、インセンティブのほか、購買精算、給与天引き、金融などの機能を、外部サービスも活用しつつ顧客の要望に応じて組み合わせながら提供している。人事データを核として、HRマネジメントの土台となる上記サービスを統合的に提供できる点が強みでもある。(6) 海外事業海外では主にインセンティブ事業を手掛けている。2012年に中国と米国で子会社を設立したことから始まり、2013年からは東南アジア地域に進出し、シンガポール、タイ、インドネシアなどに拠点を保有している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/06/20 16:02
注目トピックス 日本株
ベネ・ワン Research Memo(1):2022年3月期は前期比増収・2ケタ増益。11期連続の増収・営業増益を達成
■要約ベネフィット・ワン<2412>は、顧客企業の経営効率化や従業員満足度向上を目的に福利厚生事業やインセンティブ事業、ヘルスケア事業等を展開している。2021年5月には2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、推進している。従来はそれぞれ独立して提供していた福利厚生、カフェテリアプラン、給与天引き、健診代行、ポイントサービス、保健指導などのサービスを「ベネワン・プラットフォーム」上においてワンストップで提供することにより、利便性の向上と会員数の拡大、給与天引きサービスの追加による決済代行ビジネスの確立と新収益基盤への育成につなげていく。また、同社は人事関連のビッグデータもプラットフォームに組み込み、顧客の人事分野でのデジタル化を推進することで「福利厚生のリーディングカンパニーから、HRDXのリーディングカンパニーへ」の変革を目指している。1. 2022年3月期の連結業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%増の38,362百万円、営業利益が同30.7%増の12,770百万円、経常利益が同30.1%増の12,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.3%増の8,949百万円と、増収・2ケタ増益となった。計画比でも売上高2.8%増、営業利益8.7%増、経常利益8.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益10.2%増となり、会社計画を上回る形で着地した。これにより、2012年3月期から11期連続の増収・営業増益を達成した。緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復し、補助金給付による支出が増加したものの、2021年10月に吸収合併した(株)JTBベネフィットの業績が連結損益計算書に計上されたこと、時代のニーズを的確に捉えたワクチン接種・オリンピック支援事業が想定を上回る好調ぶりだったことが利益を押し上げた格好となった。なお、同社は2022年3月期期首から「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。これにより売上高は 8,058 百万円減少となるも、旧基準ベースでは前期比 22.7%増収となった。セグメント別の業績は、福利厚生事業・パーソナル事業・CRM事業を合わせた3事業の売上高は前期比8.4%増の22,176百万円、営業利益は同13.1%増の9,484百万円となった。インセンティブ事業の売上高は同12.2%減の3,473百万円、営業利益は同19.9%減の781百万円、ヘルスケア事業の売上高は同7.3%減の9,610百万円、営業利益は同503.3%増の4,557百万円、購買・精算代行事業の売上高は同7.7%減の641百万円、営業利益は同31.7%増の96百万円、ペイメント事業の売上高は同1.1%減の17百万円、営業利益は61百万円の損失(前期は17百万円の利益)、海外事業の売上高は同3.5%増の1,474百万円、営業利益は170百万円の損失(前期は104百万円の損失)となった。購買・精算代行事業では顧客企業の出張などの回復が想定よりも遅れ前期比減収となったものの、ヘルスケア事業のコロナワクチン接種支援事業が好調だったこと、福利厚生・パーソナル・CRM事業が堅調だったことなどを受け、全体として増収増益を達成した。2. 2023年3月期の連結業績見通し2023年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比20.2%増の46,100百万円、営業利益で同15.4%減の10,800百万円、経常利益で同15.9%減の10,790百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.9%減の7,170百万円と、増収減益を予想している。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)が落ち着くことで、会員の福利厚生サービスの利用増による補助金の支出増加、コロナワクチン接種支援事業の規模縮小、中期経営計画達成に向けた先行投資による経費の増加などによって減益を見込んだ格好だ。ただし中期経営計画による先行投資については、成長加速に向けて一時的に投資が先行するものの、「ベネワン・プラットフォーム」へのシステム移行、各種アプリケーションの連携、外部サービスとの連携、大型マーケティング施策の実施などによる会員数の拡大、給与天引きサービス「給トク払い」の拡販、新収益基盤への育成に向けた取り組みは着実に進行している状況であり、成長加速に向けた土台が整う年度になると弊社は見ている。3. 成長戦略同社は2024年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画のなかで、「ベネワン・プラットフォーム」を利用する会員数を拡大していくことで、2024年3月期に売上高60,640百万円、営業利益20,950百万円、営業利益率34.5%、決済事業の年間利用額100,000百万円、2024年4月の福利厚生サービス会員数1,600万人(2022年4月時点の会員数は902万人)、家族会員の獲得を含むアクティブユーザー2,000万人の達成を掲げている。また、同社は「ベネワン・プラットフォーム」に人事関連のビッグデータも組み込み、顧客の人事分野でのデジタル化を推進することで「HRDXのリーディングカンパニーへ」の変革を目指している。コロナ禍による社会変化のなかで企業のHRDXへのニーズが高まっていること、「ベネワン・プラットフォーム」に同社サービス・外部サービスを連携させることで会員の利便性が一層高まること、サプライヤー※を新たに獲得していくことによりプラットフォームの魅力が高まること、同社サービスの利用者増→同社にサービスを提供するサプライヤーが増加→会員数が増加するというプラスの循環が存在することなどを考慮すると同社の成長スピードは今後さらに加速することが予想され、中期経営計画達成の可能性は高いと弊社は考える。※サプライヤー:ここでは福利厚生サービスやヘルスケアサービスなど、ベネワン・プラットフォーム上で利用可能な様々なサービスを提供する企業のことを指す。■Key Points・2022年3月期はヘルスケア事業が好調で増収増益・当初計画も大幅過達で11期連続の増収増益を達成・中期経営計画も着実に進行し、成長スピードの加速が予想される(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/06/20 16:01
注目トピックス 日本株
丸運 Research Memo(8):2023年3月期の年間配当も8.0円を堅持
■株主還元丸運<9067>は、利益還元を経営の最重要事項の1つと位置付けたうえで、財務体質の強化と事業展開に必要な内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を実施することを基本方針としている。この基本方針に基づき、2022年3月期は年間8.0円の配当(配当性向49.6%)を実施し、2023年3月期も同額(同79.7%)の配当を予定している。安定配当を基本方針の1つとして掲げていることから、今後も年8.0円配を堅持していく方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<YM>
2022/06/20 15:28
注目トピックス 日本株
丸運 Research Memo(7):成長分野の事業拡大により、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す(2)
■丸運<9067>の今後の課題・展望3. 海外事業現在、中国には丸運国際貨運代理(上海)、丸運安科迅物流(常州)、丸運物流(天津)の3現地法人、5拠点がある。中国国内における本社機能を実質的に上海事務所に持たせることで、湾岸部を基点に「点から線」へ、「線から面」へとネットワークを広げてきた効果が出始めている。中国−マレーシア間の貿易など、三国間輸送についても実績を積み上げているようだ。他方、2017年8月に現地法人化したベトナムでは、同国を拠点にメコンデルタ地域を攻めていく方針であり、2019年6月にはホーチミン支店を開設した。日本企業のベトナム進出が活発化していることから、これら日系企業の輸送面をサポートする考えだ。同社では、海外事業の展開を「点から線」へ、「線から面」へというモデルで取り組んでいる。中国は「面」のレベルに到達しつつあり、これから内陸部にビジネスを広げて「面」を大きくする。ベトナムについては、拠点を設けた後の「線」に向かう段階にあり、その意味では成長の余地が広いと言えるだろう。当面は中国でのビジネスを軌道に乗せるとともに、東南アジアを含めたアジア圏におけるビジネス展開を目指す。4. ドライバー不足ドライバー不足については、ヤマトホールディングスなどのBtoC中心の業者以上に、同社のようなBtoB業者はより深刻な問題となっている。なぜなら、宅配便の配達は普通免許で対応可能だが、同社が得意とする重量物運送や石油輸送には大型免許が必須となることから、対象ドライバーの数が限定されるからだ。大型免許は取得に時間を要するため、ドライバーが一朝一夕に増えず、さらに石油ローリー等のトレーラーの運転に必要なけん引免許は実運転経験が必要なため取得がさらに難しい。これに“働き方改革”により1人当たりの時間を縮小せざるを得ない労働時間の問題も加わる。同時に法整備が進められている外国人労働者については、右ハンドル、左ハンドルなど道路交通の制度上の問題もあるほか、石油関連輸送に関しては取扱資格などもネックになるようで、短期的に即戦力となるプロのドライバーを養成することは容易ではない。さらに同社は、ビジネスのあり方を変えることを顧客に要請するという。一例を挙げると、従来だと集荷時の待ち時間などは業務外と位置付けられていたが、それらも業務に含めることで効率化を図る。いずれにしても、ドライバー不足の解消は成長を目指すうえで対処が必要だ。従前からの勤労人口の減少に加えて、“働き方改革”による影響もあり、同社はもちろん、業界全体で今後もドライバー不足問題は課題となり続ける可能性が高い。5. M&Aに関しての考え方M&Aについては、長期的な成長戦略に不可欠であると同社では考えている。国内に関しては、一般貨物について良いパートナーがあればタイミングを計ってM&Aを実行する方針である。とりわけトラックやドライバーを増強するために、これまで傭車(ようしゃ)先であった協力会社の買収を進めたいと言う。これは、収益力アップの要因となる自車化の推進にもつながる。なお、海外に関しては、ローカルニーズを取り込むことを目的に現地の輸送関係事業に狙いを定める考えだ。6. 新規事業・案件新規事業・案件については、同社が持っているノウハウを活用して開拓する。例えば、一般的に既存の冷蔵倉庫は老朽化しており、きめ細かな対応ができない。これに対し、同社の冷蔵倉庫は5温度帯物流で対応しており、これらを活用すれば後発でも十分ビジネスチャンスがあると目論む。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<YM>
2022/06/20 15:27
注目トピックス 日本株
丸運 Research Memo(6):成長分野の事業拡大により、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す(1)
■今後の課題・展望2. 「2030丸運グループ長期ビジョン」丸運<9067>は2022年に130周年を迎えるが、コロナ禍などにより経営環境が大きく変化した一方、内部的にはESG経営体制への移行などを積極的に推進している。このような事業環境の下、今後の成長戦略の方向性を示し、同社グループの経営資源を重点分野に集中するために、「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定した。(1) 事業の将来像「2030丸運グループ長期ビジョン」では、貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営を継続し、高いコスト競争力と提案営業力を有する物流エキスパート企業となることを目指している。そのために、国内一般貨物を基盤として素材の国内外一貫物流※の強化を図るほか、今後市場成長が見込まれるリサイクル物流分野、機工分野、食品流通分野及び潤滑油化成品等の危険物保管分野へ積極的な投資を実行することで、成長を目指す。また、減少傾向にある石油輸送については、安全確保をしつつ効率化を推進していく。※素材一貫物流とは、 非鉄金属製品等(原材料・加工品)の国内外サプライチェーンに関する物流を総合的に提供すること。(2) ESG重点目標「2030年丸運グループのありたい姿」として、事業の将来像とESG重点目標を明確に示し、ESG経営で特定した6項目の「最優先課題」を2030年に向けて着実に実行していく。(3) 数値目標成長分野の事業を拡大することで、2031年3月期に営業収益600億円以上、経常利益20億円以上とする数値目標を掲げた。また投融資計画として、2023年3月期~2031年3月期の投融資枠(M&A含む)250億円を計画している。内訳は、車両・倉庫維持更新で130億円、営業強化分野で60億円、次期成長分野で60億円としている。(4) 事業ポートフォリオ「2030丸運グループ長期ビジョン」で掲げた将来像を実現するため、各事業を「営業強化分野」「次期成長分野」「効率化推進分野」の3分野に位置付け、事業戦略を推進していく。a) 営業強化分野での取り組み・国内一般貨物保管・輸送のコスト競争力と提案営業力の強化国内一般貨物の保管・輸送業務を同社営業の基盤(インフラ)と位置付け、全国を区分した営業エリア毎の組織体制を構築するとともに、積極的なシステム導入による現場効率化と情報共有ツールを活用した営業ノウハウ集積により、エリア営業のコスト競争力と提案営業力を飛躍的に向上させる。・素材国内外一貫物流の拡大同社の主要顧客である日本の素材メーカーは、高機能電子デバイス原料、軽量化材料などの先端材料の分野で世界的な競争力を有しており、供給能力の増強を計画している。これらの顧客との関係強化と必要な設備投資を実施し、顧客の国内製造能力増強に伴う保管・輸送案件を取り込むとともに、海外輸出に伴う通関、現地保管・輸送等の一貫物流を提案・獲得する。・潤滑油化成品輸送の強化半導体増産に伴う化成品増産需要などを積極的に取り込み、石油輸送で余剰となる輸送能力を化成品輸送に円滑にシフトする。b) 次期成長分野での取り組み・リサイクル物流事業アジア諸国の廃プラ輸入規制が進み、樹脂大手は国内処理スキーム構築のためケミカルリサイクルプラント計画を打ち出している。また、2027年規制強化に伴い廃棄物を原料とした持続可能な航空燃料(SAF)プラントも計画されている。PCBなど同社の廃棄物輸送実績を生かし、中間処理を含めたリサイクル物流でポジションを獲得する。・機工事業再生可能エネルギーへのシフトに伴う送電線網の再整備など、国内インフラ設備の更新・新設需要は堅調に続くと見込まれることから、機工部門を拡充・強化する。・食品流通事業農林水産省の国産水産物・食品の輸出拡大戦略を背景に、既存顧客との協業により生鮮品輸出案件の拡大を図る。また、気候変動の増大や農業従事者の高齢化を背景に植物工場野菜の市場規模は拡大傾向にあることから、大規模工場の建設計画に合わせコールドチェーンを整備し輸送と保管のニーズを取り込む。・危険物保管事業環境・安全規制の強化により危険物保管の需要も増加傾向にあることから、危険物倉庫の拡充により危険物保管事業の拡大を図る。c) 効率化推進分野での取り組み・石油ローリー輸送の徹底効率化石油ローリー輸送は年率2%以上のペースで減少が見込まれるため、徹底した組織のスリム化・効率化によりコスト競争力を強化し、主要顧客の石油輸送の中核的地位を維持する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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2022/06/20 15:26
注目トピックス 日本株
丸運 Research Memo(5):持続可能な社会の構築に貢献するため、ESG経営体制に移行
■今後の課題・展望1. ESG経営丸運<9067>は、以前より取り組んできたCSR経営を基に、2022年3月期から事業活動と一体化させ、さらなるグループの成長に結び付けるESG経営へ移行した。社会・経済活動のインフラを担い、持続可能な社会の実現に貢献するため、ESG経営を推進していく方針だ。とりわけ、ESGのうち「E(環境)」では地球温暖化が世界的な課題であるが、物流を担う同社としてもその解決に向けた取り組みを第一と捉えている。ESG経営は、顧客や投資家・取引先が企業を選定する際の1つの基準になってきている。ESG経営の推進に当たり同社では、2021年4月に設置した「構造改革推進部」を中心にESGそれぞれの観点から検討して18の重要課題を選定し、そのなかでも優先して取り組む6つの「最優先課題」を特定した。なお、重要課題を選ぶ際には、ESG評価項目やSDGs17の目標(169のターゲット)をもとに、社会課題や物流業界の課題を把握したうえでステークホルダーに直接ヒアリングし、その内容を反映している。同社ではグループ全体でESG活動を推進するために、代表取締役社長を議長とした「ESG推進会議」を定期開催(年2回)している。同会議は環境委員会、安全委員会、品質委員会、人権・人財委員会、社会貢献委員会、ガバナンス委員会の6委員会で構成され、活動報告や次年度計画について活発に議論し、改善していくことを目指している。これらを投資家や関係者に強くアピールしていく考えだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<YM>
2022/06/20 15:25
注目トピックス 日本株
丸運 Research Memo(4):2022年3月期はエネルギー輸送での輸送数量増加が大きく寄与し、経常増益を確保
■業績動向1. 2022年3月期の業績概要丸運<9067>の2022年3月期の連結業績は、営業収益が46,705百万円、営業利益が665百万円(前期比0.7%増)、経常利益が773百万円(同4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が465百万円(同2.1%減)となった。2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、営業収益の増減率は公表していないが、2021年3月期実績を遡及修正して算出した場合、4.4%増収となる。また、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、営業収益は2,950百万円減少した。海外物流でのEV関連貨物の取扱数量増加などの増収要因はあったものの、貨物輸送での自動車関連貨物の数量減少やテクノサポートでの油槽所関連の一部受託終了などの影響を受けた。経常利益については、エネルギー輸送での輸送数量増加が大きく寄与した。分野別で見ると、一般貨物はBtoBビジネスであることから、コロナ禍に伴う社会活動制限の影響を受けた。流通加工は天候の影響を抑えるために、加工業務に注力した。なお、加工業務は将来的にスーパーやコンビニエンスストア関連ビジネスが拡大することが見込まれている。また、分野・セグメントにかかわらず、昨今の原油価格の急騰を背景にした燃油費上昇の影響を受けた。指標となるWTI原油先物価格は高止まりとなるなど下落する気配が感じられず、収益を圧迫する要因として懸念される。同社では、燃油費が上昇した場合に備えてサーチャージ制度を導入しているが、大口顧客は理解し応じるものの、中小顧客には導入しきれていないようで、さらなる推進を期待したい。(1) セグメント別動向a) 貨物輸送貨物輸送の営業収益は27,579百万円、セグメント利益は前期比14.0%減の522百万円となった。海上コンテナ不足により航空貨物の取扱いが増加したが、半導体等の部材不足による自動車関連の物流が減少した。利益面では、物流センターの収益力が向上したほか、運賃改定が寄与したものの、原油価格高騰による燃油費の上昇が損益に大きく影響した。具体的な取り組みとしては、運賃改定や既存顧客との取引深耕、新規顧客獲得及び国際貨物輸送を含めた取引強化などを推進した。b) エネルギー輸送エネルギー輸送の営業収益は15,293百万円、セグメント利益は前期比25.6%増の250百万円となった。石油部門では、コロナ禍からの需要回復があったものの、石油製品の内需が減少傾向にあることから、輸送数量は同0.7%増にとどまった。一方、潤滑油・化成品部門は、コロナ禍からの回復により、主要顧客の輸送数量が同3.6%増となった。また、石油部門、潤滑油・化成品部門ともに、運賃改定が寄与した。c) 海外物流海外物流の営業収益は1,968百万円、セグメント損失は37百万円(前期は0百万円の損失)となった。主力の中国で製造業が全体的に回復基調にあること、高級EV関連のアルミ製品取扱数量が増加したことによる取引拡大があったものの、国際的な半導体不足や中国のゼロコロナ政策に伴う主要顧客の稼働減、人件費増加などが損益に大きく影響した。d) テクノサポートテクノサポートの営業収益は1,836百万円、経常利益は前期比22.2%減の42百万円となった。製油所関連の定期修理工事が伸長したものの、油槽所関連が一部受託終了したマイナス要因を補いきれず、全体では減収減益となった。e) その他その他の営業収益は27百万円、セグメント損失は4百万円(前期は38百万円の損失)となった。(2) 財務状況2022年3月期末の資産合計は前期末比1,949百万円減少し39,106百万円となった。このうち流動資産は同1,103百万円減少したが、主な要因は現金及び預金が1,104百万円、営業未収入金及び契約資産が301百万円減少したことなどによる。また、固定資産は847百万円減少、投資その他の資産は193百万円減少した。負債合計は前期末比2,215百万円減少し14,983百万円となり、純資産合計は同265百万円増加し24,122百万円となった。一方、財務体質は良好である。有利子負債を抑える傾向にあり、財務面は安定している。また、2022年3月期末の自己資本比率は60.8%(前期末は57.4%)と改善している。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績予想については、営業収益で前期比1.7%増の47,500百万円、営業利益で同54.9%減の300百万円、経常利益で同48.3%減の400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同37.6%減の290百万円を見込んでいる。基幹システム更新による減価償却費増加を主因として、増収減益の予想となっている。既述のとおり、コロナ禍に伴う個人消費及び設備投資は回復基調にあり、事業環境は堅調な推移が見込まれている。海外事業については、主力の中国でロックダウンによる景気落ち込みが懸念されるものの、景気悪化の際には大規模な経済対策が実施されてきた経緯がある点を留意したい。また、原油価格高騰により燃油費がさらに上昇した場合、収益を圧迫する可能性があることにも注意したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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2022/06/20 15:24
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丸運 Research Memo(3):石油輸送にも強みがある老舗の総合物流会社(2)
■会社概要等2. 事業概要以下、その他を含めた5つのセグメントをさらに詳細に分けた、個々の事業について紹介する。貨物輸送が営業収益全体の約半数を占めているが、丸運<9067>が展開する貨物輸送の分野は幅広く、輸送業務はもちろん、倉庫などの保管業務なども手掛ける。(1) トラック輸送自社配送網と提携先を駆使し、1つの配送業者と契約するのに比べ、安価で安全、確実、迅速なサービスを提供している。「共同輸送(全国配送)」のほか、請求書や証明書等ビジネスレター(信書)を安全・確実に届ける「特定信書便輸送」など、グループ会社や協力会社を含め、全国に展開するきめ細かなネットワークで、顧客のニーズに合うようビジネスを展開している。(2) 一般貨物倉庫同社は保管機能だけでなく、流通加工や配送機能を有した物流センターを全国各地に設置している。保管機能は危険物倉庫、保税倉庫、定温倉庫、冷蔵・冷凍倉庫など多種多様な用途に対応している。さらに天井クレーンなど貨物の特性に合わせた各種設備も備え、顧客のニーズに応える物流をトータルサポートしている。各拠点では、送り状、荷札発行、入出庫管理、在庫管理、請求書発行及び車両管理や物流EDIなどの情報を一元管理できるシステムを導入している。(3) 重量品搬入・据付重量物・長尺物の輸送はもとより、各種機械・装置の運搬据付工事や解体撤去等を手掛ける。現地調査、法令の確認、企画・計画の立案、施工管理など、総合的なサービスを提供する。(4) 鉄道輸送同社にとってはルーツとも言える事業である。それは、同社が鉄道による木材輸送を担う目的で創業されたからだ。長年の経験と実績により培われたノウハウをもとに、ドア・ツー・ドアで安全確実な輸送サービスを提供するとともに、トータルコストの削減にも貢献している。JR貨物(日本貨物鉄道(株))及び全国の鉄道利用運送事業者と連携し、北海道から九州まで張り巡らされたネットワークを活用し、顧客に効率的な一貫輸送サービスを提供している。地球環境問題への取り組みが重視され、モーダル・シフトの重要性が叫ばれるなか、期待もできる分野だ。(5) 産業廃棄物収集運搬PCB等の産業廃棄物の処理をサポートする「静脈物流」の事業を展開している。顧客の要望に合わせて、コンプライアンスを重視した適正処分を提案し、PCB廃棄物の濃度分析から搬出・解体・抜油等各種作業、収集運搬まで一貫したサービスを展開している。同社は、中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO)東京事業所、北九州事務所及び北海道での収集運搬業者として認定を受けており、廃石綿(アスベスト)の処分業者の紹介と収集運搬を行っている。産業廃棄物(特別管理を含む)収集運搬業許可を全国規模で取得しており、グループで各種情報機器や事務什器類等の産業廃棄物収集運搬を行う。(6) 保税倉庫東京税関管内・横浜税関管内に、外国貨物の保管場所として保税蔵置場の許可を受けている。同社は数多くの外国貨物の取扱実績があり、首都圏の主要な物流センターに保税蔵置場を設置することで、顧客の物流をトータルサポートしている。なお、東京税関管内に東雲物流センター、羽田京浜物流センター、新座流通センター、成田ロジスティクスセンター、新潟物流センターの保税倉庫を、横浜税関管内に日立中央物流センター、川崎ケミカルセンターの保税倉庫を、大阪税関管内に堺物流センターを有する。(7) 移転・引越し(法人向け)オフィスはもちろん、店舗・工場・学校・病院など特殊なケースまで、豊富なノウハウにより最適プランで安全かつ迅速に作業を行う。会社内の組織改変等による事業所内のレイアウト変更にも数多くの実績がある。(8) 流通加工3PL業者として、顧客の流通加工スタイルに合わせた物流を構築している。デリケートな商品においても、5温度帯(常温・定温・冷蔵・ 氷温・冷凍)物流による細やかな品質管理で対応している。原材料や商品の調達、リコール品・廃棄品・リサイクル品における回収までのSCM(サプライチェーン・マネジメント)全体で運用し、ネット通販、食品、アパレル品、化学製品、薬品等、取扱品目は幅広い。(9) 国際物流同社は国際貨物輸送のエキスパートとして豊富な実績を有する。独自のノウハウと海外のグループ会社や大手代理店によるネットワークで最適な物流を提案する。国際物流は、CS(カスタマーサービス)業務、通関業務、運送業務、倉庫業務、船積業務、海外業務に分かれ、なかでも海外業務においては海外での物流事情に精通し、その国で最適な運送を行う。また、海外ネットワークを活用した三国間物流など、グローバルな対応も行っている。(10) 航空利用輸送1969年12月に国内利用航空運送事業免許を取得し、この分野では50年以上の実績とノウハウがある。小口から大口貨物まで対応可能で、ここでも全国に広がるネットワークが生かされている。(11) 石油・高圧ガス輸送ENEOS系の企業として高度な技術とノウハウを有し、石油製品の輸送から保管まで一貫して手掛ける。ガソリン、灯油、軽油、重油等の石油製品以外にも高圧ガス(LPG)などを、専用車両で輸送している。また、全国の油槽所及びガスターミナルの管理業務や支援業務を請け負い、保管も含めたトータル物流に応える体制を有している。(12) 潤滑油・化成品物流石油製品と同様、高度なノウハウがなければ対応できない業務であるが、同社は「安全輸送・輸送品質」を確保しながら物流効率化を実現してきた。タンクローリー輸送に限らず、ISOタンクコンテナ・20フィートコンテナ等のドレージ、トラック輸送、鉄道輸送、コンテナ船輸送などの幅広い輸送力を保有し、それらを組み合わせた複合輸送も行っている。(13) 危険物倉庫危険物は法令により保管や取り扱いに関して厳しい規定があり、これも専門知識がなければ対応できない。神奈川県川崎市に位置する「川崎ケミカルセンター」は、危険物高層自動ラック倉庫、平屋倉庫を有する最新鋭の倉庫で、物流情報のIT化による正確な在庫管理、迅速な入出庫作業で顧客から高い評価を受けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<YM>
2022/06/20 15:23
注目トピックス 日本株
丸運 Research Memo(2):石油輸送にも強みがある老舗の総合物流会社(1)
■会社概要等1. 会社概要丸運<9067>の創業は明治25年(1892年)9月で、2022年に130周年を迎える老舗の運送会社である。「利他自利(他人のために利益を図ることによって、初めて自らも利益を得ることができる)」という創業者スピリットのもとで、今日まで、明治、大正、昭和、平成、令和と連綿と経営を続け、幾たびかの困難を乗り切り発展を遂げてきた。この創業者スピリットを発展的に継承した「お客さまの物流ソリューションを最高の品質と創造力で革新し社会の発展に貢献します」という新たなミッションを加え、同時に「コンプライアンス行動の最優先」「環境マインドの醸成とサスティナブルな社会づくり」「人材育成・活用とダイバーシティの推進」などにも取り組むグループ経営理念を2015年12月に掲げた。2022年3月期からは以前より取り組んできたCSR経営を基に事業活動と一体化させ、さらなるグループの成長に結び付けるESG経営へ移行した。社会・経済活動のインフラを担い、持続可能な社会の実現に貢献するため、ESG経営を推進していく方針だ。総合物流企業として、北海道から九州までの幅広い地域で、物流センターをはじめとした保管・輸送の拠点を持つことで、顧客のニーズに応えている。また海外でも、中国に丸運国際貨運代理(上海)有限公司、丸運安科迅物流(常州)有限公司、丸運物流(天津)有限公司と3つの現地法人(5拠点)を有するほか、2017年8月にベトナム(ハノイ)で丸運物流ベトナムを現地法人化し、2019年6月には同現地法人ホーチミン支店を開設した。海外拠点では、主に中国やベトナムでビジネスを行う日系企業を、ロジスティクス面で支えている。中国については、ロックダウンによる景気落ち込みが懸念されるものの、製造業が全体的に回復基調にあり、巨大な内需を背景に今後も拡大を目指す方向である。点から線へ、点から面へとビジネスが広がっており、今後が期待される。物流企業とひと口で言っても、宅配便を中心としたヤマトホールディングス<9064>を代表とするBtoCをメインの事業とする企業と、企業物流のサポートを中心とするBtoBの企業に大別することができるが、同社は後者に属する。同社をセグメント別に見ると、2022年3月期の営業収益構成比率が最も高いのは貨物輸送で、一般的なトラック貨物輸送などが中核となる。また同社はENEOS系列であることから、石油や石油製品に関連する輸送ビジネスの構成比も高く、エネルギー輸送全体の90%以上を占める。このほか海外物流、テクノサポート、その他を展開している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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2022/06/20 15:22
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丸運 Research Memo(1):成長分野の事業拡大により、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す
■要約1. 会社概要丸運<9067>は2022年に130周年を迎える老舗の運送会社で、ENEOSホールディングス<5020>の関係会社である。全国各地に運送・保管などの拠点をネットワークとして張り巡らせており、連結子会社は21社を数える。また、国内のみならず国際貨物事業として海外にも拠点を有している。丸運国際貨運代理(上海)有限公司、丸運安科迅物流(常州)有限公司、丸運物流(天津)有限公司と中国に3つの現地法人(5拠点)を有し、2017年8月にベトナム(ハノイ)で有限会社丸運物流ベトナムを現地法人化、2019年6月には同現地法人ホーチミン支店を開設した。同社はこれまで、貨物輸送、石油輸送、潤滑油・化成品、国際貨物、その他、と5つのセグメントとしていたが、2021年3月期第2四半期より、貨物輸送、エネルギー輸送、海外物流、テクノサポート、その他の5つのセグメントに集約した。このうち営業収益の構成比率が最も高いのは貨物輸送であり、全体の多くを占めている。一方、ENEOS系であることから、石油輸送や潤滑油・化成品など石油に関係するビジネスの構成比も高いのが特長である。さらに、2021年3月期第2四半期よりセグメントに追加された海外物流にも力を注いでいる。現在、運送業界には、ドライバー不足問題や働き方改革等への対応など対処すべき課題もあるが、同社は石油関連の輸送の取り扱いも多いことから、石油業界の再編による影響を受けるのも特長だ。2. 業績動向2022年3月期の連結業績※は、営業収益が46,705百万円、営業利益が665百万円(前期比0.7%増)となった。主力の貨物輸送を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が残るものの、運賃改定が寄与し、営業収益・営業利益ともに前期並みの水準を確保した。2023年3月期の連結業績予想については、営業収益が前期比1.7%増の47,500百万円と増収を見込んでいる一方、基幹システム更新による減価償却費増加を予定していることから、営業利益は同54.9%減の300百万円としている。一方、配当については年間8.0円を継続する予定だ。※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用している。3. 今後の成長戦略同社は、以前より取り組んできたCSR経営を基に、2022年3月期から事業活動と一体化させ、さらなるグループの成長に結び付けるESG経営へ移行した。加えて2022年5月には、今後の成長戦略の方向性を示し、同社グループの経営資源を重点分野に集中するために、「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定した。事業の将来像や重点目標のほか、数値目標も掲げており、成長分野の事業を拡大することで2031年3月期に営業収益600億円以上、経常利益20億円以上を目指している。また投融資計画として、2023年3月期~2031年3月期の投融資枠(M&A含む)250億円を計画している。■Key Points・石油輸送にも強みがある老舗の総合物流会社・2022年3月期はエネルギー輸送での輸送数量増加が大きく寄与し、経常増益を確保・「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定。成長分野の事業拡大により、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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2022/06/20 15:21
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日ダイナミク Research Memo(11):サステナビリティ経営を推進
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>のESG・SDGsへの取り組み1. サステナビリティ経営を推進ESG・SDGsへの取り組みも強化し、サステナビリティ基本方針に基づいてサステナビリティ推進活動をグループ横断的に実施していくため、2021年10月にはサステナビリティ推進委員会を設置した。マテリアリティとしては「カーボンニュートラル実現への貢献」「安心・安全で豊かな社会づくり」「多様な人材が活躍できる社会へ」「社会からの信頼を」を掲げている。パーキングシステム事業は放置自転車解消対策、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2排出削減による地球環境改善などに貢献するビジネスである。自転車活用推進法(自転車の活用を総合的・計画的に推進することを目的として2017年5月施行)に基づいて、各地で自転車活用推進計画も進行している。2022年4月には、プロロードレースチーム「さいたまディレーブ」とオフィシャルサプライヤー契約を締結した。地域・社会への貢献も目的としている。ダイバーシティへの取り組みも強化2. ダイバーシティへの取り組みも強化人材戦略としては、健康経営、明るい職場づくり、働き方改革、キャリア支援、社内ベンチャー、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進している。2021年4月にはグループ統一の新人事制度を導入した。2021年9月には、健康企業宣言東京推進協議会が運営する健康優良企業認定制度「健康企業宣言」において、健康優良企業「金の認定」を取得した。女性の常勤取締役/執行役員数の目標は2027年3月期1名、2031年3月期2名としている。一般的に女性取締役は社外取締役として迎えることが多いが、同社は常勤取締役/執行役員として女性の社内登用を進める方針としている。また、2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードへの対応を推進し、取締役のスキル・マトリックスの開示、議決権電子行使プラットフォームへの参加などを行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:21
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日ダイナミク Research Memo(10):安定的配当を基本に適切な利益還元を実施
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の株主還元策1. 安定的配当を基本に適切な利益還元を実施利益配分については、企業体質の強化と積極的な事業展開に備えて内部留保に努めるとともに、配当性向や配当利回りなどを総合的に判断し、安定的な配当を維持することを基本方針としている。配当性向の目標は設定せず、今後も経営基盤の一層の強化と積極的な事業展開を継続しつつ、適切な利益還元を実施する方針としている。この基本方針に基づいて、2022年3月期の配当は2021年3月期と同額の年間14円(第2四半期末7円、期末7円)とした。配当性向は24.7%となる。そして2023年3月期の配当予想は2022年3月期と同額の年間14円(第2四半期末7円、期末7円)としている。予想配当性向は18.8%となる。2. 株主優待制度また株主還元の一環として株主優待制度も実施している。毎年9月30日現在の1,000株(10単元)以上保有株主を対象として、保有株式数及び継続保有期間に応じて優待品(クオカード)を贈呈している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:20
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日ダイナミク Research Memo(9):さらなる成長に向けてパーパスを策定
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の成長戦略1. さらなる成長に向けてパーパスを策定トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進している。そして2022年4月には、さらなる成長に向けて、「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる」という思いを込めたグループのパーパス「人の鼓動、もっと社会へ。」を策定するとともに、経営理念を一部改定して「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」とした。また、DXビジョン「私たちNCDグループは、お客様のビジネスの変革や社会の発展に貢献し、かつ従業員が活き活きと仕事をすることで、グループ全体の成長が持続する企業を目指します。その実現のために、グループ一人ひとり知恵を絞り、意識の変革を行い、新たな発想のデジタル技術とサービス創出に挑戦します。」を掲げ、DX推進を本格化させる方針を打ち出した。そして2022年4月にDX推進部を新設し、ロードマップを策定した。現・中期経営計画最終年度目標は売上高が前倒し達成、営業利益が未達2. 現・中期経営計画の進捗状況現・中期経営計画「Vision2023」(2021年3月期-2023年3月期)の進捗状況は以下の通りである。最終年度2023年3月期の計画は売上高が21,000百万円、営業利益が1,000百万円で、当初の計画(売上高20,000百万円、営業利益1,200百万円)に対して、売上高は1期前倒しで達成したが、営業利益は未達の形となる。IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)は順調に伸長したが、パーキングシステム事業がコロナ禍の影響を大きく受けたことが主因である。2023年3月期は次期中期経営計画の基盤づくり3. 2023年3月期は次期中期経営計画の基盤づくり基本戦略に大きな変化はなく、2023年3月期は次期中期経営計画の基盤づくりの年と位置付けて、ストック(運用)とフロー(開発)の連携強化による更なる付加価値の向上を目指す方針だ。IT関連事業ではNCDサービスモデルの活用、クラウド人材の育成・拡充、グループ各社との協業体制強化など、パーキングシステム事業ではBPR(Business Process Re-engineering =ビジネスプロセス・リエンジニアリング=業務改革)施策の着実な実行による収益基盤のさらなる強化、「ECOPOOL」の戦略的拡販など、管理間接部門ではサステナビリティ経営の推進、ガバナンス態勢の高度化、人的資本経営への取り組み強化、DXの推進などに取り組む方針としている。なお、パーキングシステム事業のBPR施策の進捗状況については、業務プロセス・要員フォーメーション再設計では、駐輪場でのチャットボットによる問い合わせサービスを2023年3月期中に導入予定としている。グループ子会社の役割強化による工事等周辺業務の内製化促進では、NCDプロスにおいて駐輪機器設置工事・周辺工事・集金業務等を開始している。利用料金体系の合理化及びキャッシュレス決済の拡大では、合理化対象駐輪場の料金改定が計画通りに進行中で、キャッシュレス決済機能の導入も新規現場を中心に進展している。デベロッパー・設計事務所など新たな販路開拓では、デベロッパーとの連携強化によって亀戸、流山、おおたかの森など再開発案件の受注が拡大している。また、2022年2月には、駐輪場における利用者サービスの一環として、駐輪場での「Amazonロッカー」のサービスを開始した。宅配便の再配達の削減につながることでCO2削減にも貢献する。パーパス策定で新たな成長ステージへ4. パーパス策定で新たな成長ステージへ下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「パーキングシステム事業の事業環境がコロナ禍で大きく変化したが、IT関連事業は順調に収益力が向上している。次期中期経営計画では、成長に向けた基本方針に大きな変化はないが、パーキングシステム事業の事業環境がコロナ禍前の水準に戻らないことも想定しBPRを推進するとともに、サステナビリティ経営を意識しながら変革や新分野へのチャレンジをさらに加速させたい」と熱く語っている。弊社では、IT関連事業が引き続き牽引するだけでなく、パーパス策定や積極的な事業展開によって、新たな成長ステージに入る可能性があると評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:19
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日ダイナミク Research Memo(8):2023年3月期増収・2桁営業増益予想、さらに上振れの可能性
■今後の見通し● 2023年3月期連結業績予想の概要日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の2023年3月期の連結業績予想は、売上高が2022年3月期比2.2%増の21,000百万円、営業利益が10.8%増の1,000百万円、経常利益が7.6%増の1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が30.9%増の600百万円としている。IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)の売上高計画は2022年3月期比2.3%増の14,800百万円としている。顧客企業におけるDX投資拡大も背景として順調に伸長する見込みで、システム開発事業では生損保の既存顧客を中心とする新規領域の案件獲得、サポート&サービス事業では保守・運用の拡大を推進する。パーキングシステム事業の売上高計画は2.1%増の6,200百万円としている。不透明感があるものの、コロナ禍の影響が和らいで緩やかな回復が続く見込みとしている。コスト面では人的資本やDX推進に伴う戦略的投資を拡大するが、増収効果や生産性向上効果などで吸収して2桁営業増益予想としている。なお親会社株主に帰属する当期純利益については減損損失計上が一巡して大幅増益予想としている。全体としては保守的な印象が強く、弊社では会社予想に上振れの可能性があると評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:18
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日ダイナミク Research Memo(7):IT関連事業の好調継続
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の業績動向2. セグメント別動向セグメント別の動向(営業利益は親会社に係る一般管理費など全社費用等調整前)は以下のとおりである。過去5期間の推移を見ると、IT関連事業は好調が継続している。パーキングシステム事業はコロナ禍で大きな影響を受けた2021年3月期の大幅な落ち込みから回復基調となった。システム開発事業は売上高が2021年3月期比13.0%増の8,368百万円、営業利益が9.9%増の1,020百万円だった。生損保の既存顧客向けを中心に、注力しているアカウントプラン(既存顧客に対して受注していない領域をターゲットとする提案営業)を推進し、新商品対応など新規領域の案件獲得が順調だった。また、業務効率化ニーズの高まりを背景として、会計シェアードサービスの導入(OBCの勘定奉行導入など)など、パッケージ導入も好調だった。さらに、大手製造業企業向けの基幹システム刷新プロジェクトを受注した。営業利益率は12.2%で0.3ポイント低下した。サポート&サービス事業は売上高が20.2%増の6,099百万円、営業利益が28.7%増の620百万円だった。前期に受託した情報システム部門業務アウトソーシング案件(日本水産<1332>グループ向けのシステム運用)の稼働が本格化した。さらに既存顧客へのクロスセルにより、リモート運用監視サービスも拡大した。営業利益率は10.2%で0.7ポイント上昇した。パーキングシステム事業は売上高が20.0%増の6,073百万円、営業利益が451百万円(2021年3月期は13百万円)だった。コロナ禍の影響が和らいで通勤・通学客の鉄道利用状況が改善し、機器販売の新規案件、前期に受注した指定管理者事業の大型案件も寄与して回復基調となった。営業利益率は7.4%で7.1ポイント改善した。増収効果に加えて、コスト面でグループ会社を活用した外部委託業務の内製化なども寄与した。なお、コロナ禍前の2020年3月期実績(売上高6,693百万円、営業利益944百万円)との比較で見ると回復途上である。また、売上分類を、IT関連事業では「ITコンサル」「SIサービス」「パッケージ導入」「ITインフラ」「サービスデスク」、パーキングシステム事業では「機器販売」「自営駐輪場」「指定管理」「受託」「その他」とした場合の、同社単体ベース売上高の推移は以下の通りとなる。IT関連事業では主力のSIサービスとITインフラが2桁伸長して牽引している。パーキングシステム事業ではコロナ禍の影響が和らいで、全分類で回復基調となっている。財務の健全性は良好3. 財務の状況財務面で見ると、2022年3月期末の資産合計は2021年3月期末比1,074百万円増加して11,890百万円となった。現金及び預金が1,093百万円増加した。負債合計は771百万円増加して7,422百万円となった。未払法人税等が404百万円増加、賞与引当金が330百万円増加した。有利子負債は430百万円減少した。純資産は303百万円増加して4,468百万円となった。この結果、自己資本比率は37.3%で1.0ポイント低下したが、有利子負債は減少しており、財務の健全性は良好と弊社では判断している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:17
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日ダイナミク Research Memo(6):2022年3月期は大幅増収増益で着地
■業績動向1. 2022年3月期連結業績の概要日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の2022年3月期の連結業績は、売上高が2021年3月期比17.0%増の20,550百万円、営業利益が272.3%増の902百万円、経常利益が146.1%増の956百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が214.7%増の458百万円で、大幅増収増益となった。IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)が引き続き好調に推移し、売上高は初めて200億円を突破した。パーキングシステム事業はコロナ禍の影響が継続したが、2021年3月期との比較では影響が和らいで回復基調となった。売上総利益は増収効果や生産性向上効果で29.9%増加し、売上総利益率は15.9%で1.6ポイント上昇した。販管費はDX投資が増加したものの、全体としては3.9%増加にとどまり、販管費比率は11.5%で1.4ポイント低下した。この結果、営業利益はV字回復の形となった。営業利益率は4.4%で3.0ポイント上昇した。特別損失には社宅及び駐輪場設備に係る減損損失215百万円を計上した。なお、前回予想(2022年2月4日付の上方修正値、売上高20,000百万円、営業利益900百万円、経常利益920百万円、親会社株主に帰属する当期純利益500百万円)との比較では、概ね同水準で着地した。また、収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高は108百万円減少、売上原価は100百万円減少、営業利益、経常利益、及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ8百万円減少している。収益認識会計基準適用の影響は軽微である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:16
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日ダイナミク Research Memo(5):IT関連事業の利益率が上昇基調
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の事業概要7. IT関連事業の利益率が上昇基調過去5期間(2018年3月期-2022年3月期)のセグメント別売上高と構成比の推移を見ると、2020年3月期までの構成比は、概ねIT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)が6割強、パーキングシステム事業が3割強で推移していたが、2021年3月期及び2022年3月期は、パーキングシステム事業がコロナ禍の影響(外出自粛による駐輪場利用者数減少、工事や商談の延期)を受けたため、パーキングシステム事業の売上高が減少し、構成比も低下している。過去5期間(2018年3月期-2022年3月期)のセグメント別営業利益と構成比(連結調整前)の推移を見ると、2021年3月期及び2022年3月期はパーキングシステム事業がコロナ禍の影響を受けたが、この要因を除いてもIT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)の構成比が上昇傾向である。過去5期間(2018年3月期-2022年3月期)のセグメント別営業利益率の推移を見ると、システム開発事業はプロジェクト管理・品質管理徹底などの施策の成果で利益率が概ね上昇基調である。サポート&サービス事業は、新規受託の大型案件(他社案件からの切り替え受託を含む)で一時的な初期コストが発生した場合に、利益率が低下する傾向(2017年3月期、2020年3月期)があるが、この一時的初期コストが一巡して稼働が安定化すると、営業利益率が大幅に改善(2019年3月期、2021年3月期、2022年3月期)している。パーキングシステム事業は2020年3月期まで10%台半ばの高い水準で推移していたが、2021年3月期及び2022年3月期はコロナ禍の影響で売上高が減少したため、営業利益率も大幅に低下している。駐輪場利用者数がコロナ禍以前の水準まで回復するのに時間を要することを想定し、収益性回復に向けて管理運営コスト削減、料金改定、周辺業務内製化などの施策を推進している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:15
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日ダイナミク Research Memo(4):IT関連事業は大手優良顧客との強固な顧客基盤
■事業概要4. IT関連事業は大手優良企業との強固な顧客基盤IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)では、大手生損保、大手エネルギー会社、大手メーカーなど、大手優良企業との強固な顧客基盤を構築している。長期継続取引が多いことも特徴である。システム開発業界は、中堅企業が大手SI(システム・インテグレータ)企業の下請けとなる2次請け・3次請け受託の多い業界構造だが、日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の場合はエンドユーザーとの直接取引(1次受託)が8割以上を占めている。同社の技術力・品質力の高さを示す数字だろう。また大手優良企業との長期継続取引が多いため、開発・構築したシステムの保守・運用等のストック売上も積み上がっている。他社開発案件の保守・運用受託を含めて、IT関連事業におけるストック売上比率が約8割(2022年3月期)に達し、安定収益構造となっていることも特徴だ。パーキングシステムは電磁ロック式駐輪場管理・運営が主力5. パーキングシステム事業パーキングシステム事業は、電磁ロック式の駐輪機器販売と駐輪場管理運営を主力としている。ITを活用することで駐輪場の管理運営業務を省力化・効率化するだけでなく、全国の街から放置自転車等の駐輪問題をなくし、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2(二酸化炭素)排出削減による地球環境改善などにも貢献するビジネスである。「ITと自転車で街と未来を変えていきたい」という思いから、1992年に当時の新技術であった2次元コードでの月極駐輪場管理方法を提案し、これをきっかけに1997年よりパーキングシステム事業を開始、1999年からNCD駐輪場の設置を開始した。当初は電磁ロック式駐輪機器や料金精算機の売り切りが中心だったが、培ってきたIT技術を生かして遠隔操作による駐輪場の無人管理を実現し、月極が主流だった駐輪場業界において、コイン駐輪場(時間貸し無人駐輪場)のパイオニアとして事業を拡大した。具体的には主力の時間貸し無人駐輪場「EcoStation21」(1999年~)や、月極駐輪場「ECOPOOL」(2013年~)などの駐輪サービスを、首都圏の駅周辺を中心として、関西、中部、九州地区等に展開(関西、中部はパートナー企業に運営委託)し、駅周辺、商業施設、地方自治体管理の駐輪場を網羅している。放置自転車削減に貢献するとして全国の自治体、鉄道会社、商業施設などに幅広く支持され、電磁ロック式の駐輪場設置台数として国内最大級である。2022年4月1日現在のNCD駐輪場管理箇所数は2,133箇所、管理台数は658,422台となった。なお、自治体との取引では、自治体から指定管理者に選定され、官民協働による施設の設置・運営を行って自治体と共に街づくりを支援している。代表的な導入事例としては、2007年歩道上駐輪場の先駆けとなった渋谷区あおい通り(新宿駅)、2011年最大級3,000台規模の辻堂駅・テラスモール湘南、2018年渋谷地区再開発案件の渋谷ストリーム、2019年赤羽駅東口、2019年東急グループ再開発案件の南町田グランベリーパーク、2020年西武グループ再開発案件のグランエミオ所沢などがある。2021年4月には、東京都江戸川区内の4駅(船堀駅、西葛西駅、葛西駅、葛西臨海公園駅)において、江戸川区が駅前放置自転車対策の一環として整備した駐輪場の指定管理者に選定され、15ヶ所22,900台分の駐輪場とレンタサイクル770台の管理運営を開始した。2022年4月には、4自治体(新宿区、板橋区、品川区、川崎市)において駐輪場管理運営事業者に選定され、合計246ヶ所・約58,000台の駐輪場の管理運営を開始した。また、野村不動産と協業して大型商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」内に合計1,244台の駐輪場を開設した。2022年6月には、立川市魅力発信拠点施設コトリンク内の自転車等駐車場合計1,820台の管理運営を開始した。なお売上分類は「機器販売」「管理運営」「その他」としている。管理運営の区分としては、「自営駐輪場(民間企業との契約による同社ブランド「EcoStation21」の管理運営)」、「指定管理(自治体からの指定管理者選定による駐輪場の管理運営)」、「受託(鉄道会社や自治体などが運営する駐輪場の管理受託)」の3つに分類している。その他では、自転車を利用したライフスタイルを提案する複合施設として「STYLE-B」(東京都品川区)を運営している。ユーザー利便性向上や運営管理コスト削減に向けて、2019年11月には一部施設において駐輪場キャッシュレス決済サービス(精算機操作不要)を開始した。集金・メンテナンス回数が減少するため管理コストを削減できる。タッチレス精算のためコロナ禍の感染対策としても好評であり、順次導入を拡大する方針だ。さらに、収益力向上に向けて、駐輪料金の改定なども推進する方針だ。プロジェクト管理・品質管理を徹底6. リスク要因・収益特性一般的なリスク要因として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)においては、大型案件などの受注や個別案件ごとの採算性によって売上や利益が変動する可能性がある。この対策として同社は、受注委員会において見積段階から採算をチェックするとともに、受注後も審議会においてプロジェクト進捗・品質管理状況を厳重にチェックするなど、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また全社ベースの取り組みとして、業務プロセス改善による効率化を推進している。またシステム開発事業は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービス事業は継続受託案件の積み上げによって、ストック売上が拡大(IT関連事業のストック売上比率は2022年3月期実績で約8割)しているため安定した収益構造となっている。パーキングシステム事業は、管理現場数・管理台数の積み上げによって駐輪場利用料収入や駐輪場管理運営受託に係るストック売上が主力となり、入札等によって受注変動がある機器販売のフロー売上の比率が低下している。ただし2021年3月期~2022年3月期は、コロナ禍に伴う外出自粛の影響で駐輪場利用者数が大幅に減少した。需要は緩やかに回復傾向だが、状況によってはコロナ禍以前の水準まで回復するのに時間を要する可能性がある。季節要因としては、システム開発事業は顧客企業のIT投資予算の執行時期や検収時期の関係で、第2四半期(7月-9月)及び第4四半期(1月-3月)の構成比が高い傾向がある。このため、一時的な大型案件や不採算案件などの影響を除けば、全体として四半期ベースでは第2四半期と第4四半期の構成比が高く、また半期ベースでは下期(10月-3月)の構成比が高い傾向がある。ただしストック売上が拡大しているため、四半期業績の平準化が進展して季節要因の影響は小さくなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:14
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日ダイナミク Research Memo(3):IT関連(システム開発、サポート&サービス)及びパーキングシステムを展開
■事業概要1. 事業概要と特徴・強み日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>はトータル・ソリューション・プロバイダーとして、IT関連のシステム開発事業(システム・インテグレーション)とサポート&サービス事業(サービス・インテグレーション)、及びITソリューションのノウハウを活用した無人駐輪場関連のパーキングシステム事業(パーキング・ソリューション)を展開し、経営の3本柱としている。独立系として50年以上にわたる豊富な実績で培った高技術・高品質サービス、最新の情報技術と豊富なアプリケーション知識、ワンストップでサービスを提供するトータルソリューションを強みとしている。さらに、IT関連事業では大手生損保、大手エネルギー会社、大手メーカーなど大手優良企業との強固な顧客基盤を構築し、約8割にも上るストック売上比率によって安定収益構造となっている。システム開発は基幹業務系システムの開発・保守受託が主力2. システム開発事業システム開発事業は、中堅企業・大企業グループ向けに、システム構築ソリューション、インフラ構築ソリューション、パッケージ・ソリューションなど、基幹業務系システムを中心に企画・設計・開発・構築・導入・保守・運用を受託するシステム・インテグレーションを展開している。大規模システム構築から小規模システム構築まで、50年以上にわたる豊富な実績で培ったノウハウをベースに、同社独自のシステム開発標準NS-SD(NCD Standard System Development)や、プロジェクト管理標準NS-PM(NCD Standard Project Management)を構築し、安定した品質を担保するシステム開発を実現している。パッケージ・ソリューションは、中堅企業のように短期間かつ低コストでシステムを導入したい企業向けのソリューションとして、戦略的パートナー企業のパッケージソフトの導入・カスタマイズ・運用支援などのソリューションを提供している。特にOracle(オラクル)のアプリケーションや、オービックビジネスコンサルタント<4733>(OBC)の基幹業務システム「奉行シリーズ」を導入するシステム構築を強みとしている。OBC「奉行シリーズ」に関しては、OBCパートナーの中でも最大規模の導入専任チームを持ち、2022年3月期末時点で導入法人数(累計)が666件に達している。2022年5月には2021年-2022年シーズンの販売活動の実績などが評価されて「OBC Partner of the Year」を受賞した。クラウド分野では、パブリッククラウドベンダー最大手であるAmazon(アマゾン・ドット・コム)のAWS(Amazon Web Services)を、同社の駐輪事業基幹システム基盤に採用して構築・運用ノウハウを蓄積するとともに、AWS活用ソリューションとしてサービスを提供している。またSalesforce.com(セールスフォース・ドットコム)日本法人の認定パートナーとして、世界No.1のクラウドCRMプラットフォーム「Salesforce」の導入支援に多数の実績を誇っている。さらに「Salesforce」向け課金型サービスとして、自社開発のオリジナルツール(タスク管理ツール「SMAGAN」、帳票作成ツール「Smart Report Meister」、画面作成・データ可視化ツール「Smappi」)や、自社開発の在庫管理ツール「倉丸(くらまる)」など連携パッケージツールも提供している。日系企業のグローバル展開を支援していることも特徴だ。ビジネスエンジニアリング<4828>のグローバル対応ERP「mcframe GA」や、中国・用友軟件の中国シェアNo.1ERP「用友 U8」などに対応して、ERPパッケージ導入支援を行っている。サポート&サービスは保守・運用のアウトソーシングが主力3. サポート&サービス事業サポート&サービス事業は、アプリケーション保守・運用ソリューション、インフラ保守・運用ソリューション、業務サポート・ソリューションなど、顧客のシステムやアプリケーションの保守・運用をアウトソーシング・サービスの形で受託するサービス・インテグレーションを展開している。ネットワークシステム構築や保守・運用などにおいて複合障害にも対処できる専門のエンジニア集団が、顧客のシステム運用部門に代わって包括サポートする保守・運用のアウトソーシング・サービスである。本社及び長崎の2拠点のMSC(マネージドサービスセンター)で連携し、24時間・365日対応のリモート監視、サービスデスク対応などによって、システムやアプリケーションの保守・運用に関するワンストップ・テクニカルサポートを実現している。またAmazonのAWSやMicrosoft Azure等のクラウドサービス導入支援も行っている。ITIL(Information Technology Infrastructure Library)に準拠した同社の運用標準ND-OS(NCD Standard Operation Service)を構築し、顧客のITインフラ運用管理コストの削減を図っている。顧客と回線を繋いでリモート監視するため、コスト面の有利さも強みとなる。大手生保向けサポートサービス案件では、ヘルプデスク・サポートサービスやインフラ・サポートサービスとともに、顧客のもとでサポートを行うオンサイト・サポートサービスも提供している。豊富な実績で培ったノウハウ、迅速な対応力、柔軟なサービス力、包括的サポートなどを強みとして、同社がシステム構築を受託した顧客の保守・運用にとどまらず、他社が構築したシステムやアプリケーションの保守・運用を受託していることも特徴だ。なおサポート&サービス事業の拠点においては、高度なセキュリティ環境で災害時等の事業継続計画(BCP)への対応を強化している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:13
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ウェーブロックHD Research Memo(12):配当性向で35%以上を目安に安定的な配当を継続していく方針
■株主還元策とESGの取り組み1. 株主還元策ウェーブロックホールディングス<7940>は、株主還元策として配当性向35%以上を目安にしつつ、単年度の業績変化に左右されない安定的な配当を維持することを基本方針とし、状況によって株式分割や自己株式の取得等も含めた株主還元も検討していくことにしている。この基本方針に基づき、2022年3月期の1株当たり配当金は前期比横ばいの30.0円(配当性向43.0%)となった。2023年3月期の1株当たり配当金は前期比横ばいの30.0円を予定しているが、WIT株式の売却益を除いた実質配当性向は65.8%となる。ちなみに、中期経営計画最終年度の業績目標を達成すれば1株当たり配当金は136円程度、配当性向35%とすれば47円程度の配当が見込めることになる。2. ESGの取り組み同社はESGに関して、以下の取り組みを推進している。(1) 環境への取り組み(Environment:E)環境に配慮した製品開発や新しいビジネスに取り組んでいる(地中熱を利用したシステム、メッキ塗装代替の金属調加飾フィルム等)。また、工場でのCO2排出削減に向けた取り組みを積極的に推進している。(2) 社会貢献への取り組み(Social:S)テレワークの積極的な導入による働き方改革の推進や、ダイバーシティの推進に加え、企業価値の源泉である「人財」育成のサポートや、製造現場における安全への取り組みにより労働災害ゼロを目指している。(3) 企業統治への取り組み(Governance:G)社外取締役による執行監視体制の確立(社外取締役3名>社内取締役2名)に取り組んでいる。また、長期利益の獲得を企図し、中長期目線での経営を行い、その考え方や方針を社内外に共有、積極的な情報開示に努めていくとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/06/20 15:12
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日ダイナミク Research Memo(2):50年以上の歴史を持つ独立系システム・インテグレータのパイオニア
■会社概要1. 会社概要日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>は50年以上の歴史を持つ独立系システム・インテグレータのパイオニアで、トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進している。2022年4月にはパーパス「人の鼓動、もっと社会へ。私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる。」を策定するとともに、経営理念を一部改定して「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」とした。2022年3月期末時点の事業拠点は、本社(東京都品川区)、お台場オフィス(東京都江東区)、江東サービスセンター(東京都江東区)、福岡オフィス(福岡市博多区)、小倉オフィス(福岡県北九州市)、長崎オフィス(長崎県長崎市。第2MSC(マネージドサービスセンター)含む)、及び五島オフィス(長崎県五島市)である。グループは同社、及び子会社のNCDテクノロジー(株)、(株)ゼクシス、天津恩馳徳信息系統開発有限公司(以下、NCD China)、NCDエスト(株)(2021年9月に矢野産業(株)が商号変更)、NCDプロス(株)(出資比率67%)で構成されている。NCDテクノロジーはシステム開発等のIT関連事業、ゼクシスはパナソニックホールディングス<6752>グループ向けを中心とするシステム開発等のIT関連事業、NCD Chinaは中国におけるシステム開発事業、NCDエストは九州における駐輪場事業、NCDプロスは駐輪場管理・運営事業を行っている。なお有料職業紹介事業のEast Ambition(株)については2021年6月29日付で全株式を譲渡して連結から除外した。2022年3月期末の総資産は11,890百万円、純資産は4,468百万円、資本金は438百万円、自己資本比率は37.3%、発行済株式数(自己株式728,932株含む)は8,800,000株である。2. 沿革1967年3月に設立してシステム開発事業を開始、1995年10月にサポート&サービス事業を開始、1997年10月にパーキングシステム事業を開始した。株式関連では2000年9月に日本証券業協会に店頭登録(その後、取引所の合併等に伴い東証JASDAQ上場)した。なお2022年4月の東京証券取引所の市場再編に伴って東証スタンダード市場に移行した。グループ企業関連では2000年11月に日本システムリサーチ(現 NCDテクノロジー)を設立、2005年4月にNCD Chinaを設立、2007年12月にゼクシスを子会社化(2008年8月に完全子会社化)、2018年3月にNCDプロスを設立、2019年4月に矢野産業(2021年9月に現 NCDエストに商号変更)を子会社化した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:12
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新興市場銘柄ダイジェスト:クリアルは大幅に反落、窪田製薬HDがストップ高
<2998> クリアル 983 -87大幅に反落。マンション事業などの資産活用を手掛けるJRD(東京都渋谷区)と業務提携契約を締結したと発表している。自社のクラウドファンディングによる資金調達などのノウハウとJRDが持つ都心部レジデンス開発・運用のノウハウを活用し、互いのビジネスを発展させる。朝方は買いが先行したが、クリアル株は5月25日に直近高値(1780円)を付けた後は下落基調にあり、戻り待ちの売りに押されているようだ。<4937> Waqoo 883 +150ストップ高。SBCメディカルグループ(東京都新宿区)の代表を務める相川佳之氏が市場外の相対取引で筆頭株主になると発表している。異動後の同氏の議決権所有割合は33.0%。これまで筆頭株主だった資産管理会社M&M(東京都港区)は10.05%に低下する。同グループは病院経営や専門医療、美容医療などトータル医療サービスを手掛けており、今後、業務提携に向けた協議を開始する予定。<4596> 窪田製薬HD 211 +50ストップ高。米子会社のクボタビジョン・インクが開発する「Kubota Glass」の販売を米国で開始したと発表している。初期段階は、取り扱い眼科病院でのみ販売し、アフターケアを含めた処方全般を行う予定。今後、取り扱い眼科病院を増やすことで販路を拡大しつつ、将来的には個人が直接購入できる仕組みを整える。Kubota Glassは、人工的な刺激を与えて近視で変形した眼球が正しい形に戻るよう作用するとされる眼鏡。<4482> ウィルズ 580 +1もみ合い。5万株(0.21億円)を上限とする自社株買いを実施すると発表している。発行済株式総数(自社株を除く)に対する割合は0.25%。取得時期は18日から7月29日まで。2月14日に開示した自社株買いが公表した株式総数や取得価額の上限に至らなかったため。ウィルズ株は前日まで6営業日続落しており、自律反発に期待した買いも入っているようだ。<2438> アスカネット 985 +13続伸。20万株(2.00億円)を上限とする自社株買いを実施すると発表している。発行済株式総数(自社株を除く)に対する割合は1.19%。取得期間は20日から10月31日まで。株主還元の充実を図るとともに、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とすることが目的。14日に直近安値(897円)を付けてから株価が下げ渋っており、底打ち感があることも買いにつながっているようだ。<7792> コラントッテ 779 +46大幅に反発。9月末の株主を対象に優待制度を導入すると発表している。自社製品・事業への理解を深めてもらい、中長期的な株式保有を促すことが目的。保有株式数に応じ、自社ECサイトで商品を購入する際に利用できる割引クーポンを進呈する。ECサイトを利用しない場合はオリジナル株主優待カタログの商品を割引で購入できる。100株以上500株未満で3000円分、500株以上1000株未満で6000円分、1000株以上で1万円分。
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2022/06/20 15:11
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ウェーブロックHD Research Memo(11):農業・建設向け地中熱ビジネスなどの成長に注目(2)
■ウェーブロックホールディングス<7940>の今後の見通し(2) アドバンストテクノロジー事業アドバンストテクノロジー事業の2024年3月期業績目標は、売上高で59億円、営業利益で5.0億円を掲げている。2022年3月期は当初計画を上回り、2023年3月期も利益ベースでは当初目標を上回る見通しとなるなど順調に推移している。中期経営計画では、デコレーション&ディスプレー分野において技術的競合優位性を構築し、顧客サービスの向上に注力することで、電装化と環境対応への取り組みが進む自動車内外装部品の市場成長を取り込んでいく戦略だ。付加価値の高いデコレーション&ディスプレー分野の売上成長により、2024年3月期の営業利益率も8.5%と過去最高水準(2019年3月期は8.6%)まで回復する見通しとなっている。同社は技術的競合優位性を確保するため、開発投資を継続しながら多様な顧客ニーズに対する提案力を強化していくと同時に、小ロット多品種生産でも収益力を維持・向上していくための、設備投資・人材投資を推進していく。また、2022年内に自動車業界の国際的な品質管理基準となる「IATF16949」の認定を取得することで、製品開発から販売までの強固な品質管理システムを構築し、欧米を中心に新規顧客の拡大を図る。販売戦略としては、北米、欧州の販売拠点体制を強化するほか、中国では現地パートナーと連携しながら営業・技術サポート体制の構築を図り、売上規模の拡大を目指す。一方、日本では塗装の代替となりうる新規構成フィルムの開発や、FCV向け燃料電池用途等、将来の飛躍を担う技術開発に注力する方針だ。生産体制としては、現状はすべて国内生産であるものの、金属調加飾フィルムは欧米での売上拡大が見込めることから、現地生産拠点の開設または生産委託先の探索などを進めていくことにしている。金属調加飾フィルムの需要拡大が期待できる要因としては、電波透過性並びに光透過性、意匠性の高さに加えて、環境にも優しいという点が挙げられる。自動車業界ではCO2排出規制や環境規制などを背景に、EV車の普及だけでなく環境負荷の高いメッキ加工品の代替として金属調加飾フィルムの採用が徐々に広がっている。フロントグリルのエンブレムやドアハンドル、スキッドプレートなどの外装品のほか、内装品でも採用事例が増えてきている。EV車では、内装や外装デザインのトレンドも大きく変化してきており、同社にとっては受注拡大の好機となっている。高透明二層シートについても、自動車用での売上拡大が見込まれる。CIDの大面積化が今後も進む見通しとなっており、ディスプレーの大面積化によって、歪みが少なく高い強度を持つ同社製品の優位性が一段と増すためだ。また、HUDの普及による防塵シールド用途での需要拡大も期待される。自動車向けに関しては2年先までの採用モデルや生産数量がすべて確定しているわけではないが、現在見込み案件数が増加していることを考慮すれば高成長が続く可能性が高いと弊社では見ている。金属調加飾フィルムについては、欧州市場はAkzo Nobelが強いものの、北米市場では同社がシェアを拡大している状況にある。サービスや電波透過率等の品質面において一定の優位性があることが要因と見られる。また開拓が遅れている欧州市場についても、「IATF16949」の認証を取得することで採用が進む可能性があり、今後の動向に注目したい。一方、高透明二層シートについては、現地子会社を拠点として機能性も含めた提案力を強化することで売上を拡大していく戦略だ。(3) 新規事業分野の探索その他、既存分野における深化と強みを生かした新規分野・新規事業については、「樹脂の加工」にこだわらず探索していく方針としている。新規分野への参入については、自前主義にこだわらず外部連携やM&Aなど柔軟に進めていくことを考えている。具体的には、ICTを活用した新規プラットフォーム事業や環境関連製品事業での展開を想定しており、今後3年間でM&Aも含めて30~35億円程度の投資を行い、将来の成長に向けた足掛かりを構築していく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/06/20 15:11
注目トピックス 日本株
日ダイナミク Research Memo(1):トータル・ソリューション・プロバイダーとして成長戦略を推進
■要約日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>は、50年以上の歴史を持つ独立系システム・インテグレータのパイオニアで、トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進している。そして2022年4月には、さらなる成長に向けて、「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる」という思いを込めたグループのパーパス「人の鼓動、もっと社会へ。」を策定するとともに、経営理念を一部改定して「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」とした。1. トータルソリューションとストック売上による安定収益構造が特徴IT関連のシステム開発事業(システム・インテグレーション)、サポート&サービス事業(サービス・インテグレーション)、及びITソリューションのノウハウを活用した無人駐輪場関連のパーキングシステム事業(パーキング・ソリューション)を展開し、経営の3本柱としている。50年以上にわたる豊富な実績で培った高技術・高品質サービス、ワンストップでサービスを提供するトータルソリューションを強みとしている。さらに、IT関連事業は大手優良企業との強固な顧客基盤と長期継続取引が特徴で、約8割にも上るストック売上比率によって安定収益構造となっている。2. 2022年3月期は大幅増収増益で着地2022年3月期の連結業績は、売上高が2021年3月期比17.0%増の20,550百万円、営業利益が272.3%増の902百万円、経常利益が146.1%増の956百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が214.7%増の458百万円で、大幅増収増益となった。IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)が引き続き好調に推移した。システム開発事業では案件獲得が順調に推移し、サポート&サービス事業では前期に受託した情報システム部門業務アウトソーシング案件の稼働が本格化した。パーキングシステム事業は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が継続したが、2021年3月期との比較では影響が和らいで回復基調となった。この結果、営業利益はV字回復の形となった。3. 2023年3月期増収・2桁営業増益予想、さらに上振れの可能性2023年3月期の連結業績予想は、売上高が2022年3月期比2.2%増の21,000百万円、営業利益が10.8%増の1,000百万円、経常利益が7.6%増の1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が30.9%増の600百万円としている。IT関連事業の売上高計画は2.3%増の14,800百万円としている。顧客企業におけるDX投資拡大も背景として順調に伸長する見込みだ。パーキングシステム事業の売上高計画は2.1%増の6,200百万円としている。コロナ禍の影響が和らいで緩やかな回復が続く見込みとしている。コスト面では人的資本やDX推進に伴う戦略的投資を拡大するが、増収効果や生産性向上効果などで吸収して2桁営業増益予想としている。親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失計上が一巡して大幅増益予想としている。全体としては保守的な印象が強く、弊社では会社予想に上振れの可能性があると評価している。4. パーパスを策定して新たな成長ステージへ現・中期経営計画の最終年度2023年3月期目標値に対しては、売上高は1期前倒しで達成したが、営業利益が未達となる見込みだ。IT関連事業は順調に伸長したが、パーキングシステム事業がコロナ禍の影響を大きく受けたことが主因である。下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「パーキングシステム事業の事業環境がコロナ禍で大きく変化したが、IT関連事業は順調に収益力が向上している。次期中期経営計画では、成長に向けた基本方針に大きな変化はないが、パーキングシステム事業の事業環境がコロナ禍前の水準に戻らないことも想定しBPRを推進するとともに、サステナビリティ経営を意識しながら変革や新分野へのチャレンジをさらに加速させたい」と熱く語っている。弊社では、IT関連事業が引き続き牽引するだけでなく、パーパス策定や積極的な事業展開によって、同社が新たな成長ステージに入る可能性があると評価している。■Key Points・トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進・2023年3月期は増収・2桁営業増益予想、さらに上振れの可能性・パーパスを策定して新たな成長ステージへ(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/06/20 15:11