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ベネ・ワン Research Memo(3):2022年3月期は、前期比増収・2ケタ増益。会社計画も上振れて着地(1)
配信日時:2022/06/20 16:03
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期の連結業績概要
ベネフィット・ワン<2412>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%増の38,362百万円、営業利益が同30.7%増の12,770百万円、経常利益が同30.1%増の12,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.3%増の8,949百万円と、増収・2ケタ増益となった。計画比でも売上高2.8%増、営業利益8.7%増、経常利益8.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益10.2%増となり、会社計画を上回る形で着地した。これにより、2012年3月期から11期連続の増収・営業増益を達成した。
緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復し、補助金給付による支出が増加したものの、JTBベネフィットの業績が新たに連結損益計算書に計上されたこと、時代のニーズを的確に捉えたワクチン接種・オリンピック支援事業が想定を上回る好調ぶりだったことが利益を押し上げた格好となった。また、顧客企業の出張などの回復が想定よりも遅れ、購買・精算代行事業が前期比マイナスとなったものの、ヘルスケア事業のコロナワクチン接種支援事業が好調だったこと、福利厚生・パーソナル・CRM事業が堅調だったことなどを受け、全体として増収増益を達成した。
着目すべきは利益率の高さだ。2017年3月期の営業利益率19.9%、当期純利益率13.1%以降、2022年3月期の同33.3%と同23.3%まで利益率が一貫して上昇してきた。利益率が上昇してきたのは、プラットフォームビジネスが勝者総取りの理論が働くビジネスモデルであり、事業規模が拡大するにつれて競争の影響が薄れる傾向にあること、同社の事業そのものが重厚長大型の事業ではないことから固定費の割合が低く(総資産に占める有形固定資産の割合は2.3%)、そのため相対的に損益分岐点が低くなり限界利益率が高くなったことなどが影響していると弊社は推察する。今後、中期経営計画の推進によってさらに事業規模が拡大するなかでますます競争の度合いは低くなり、同社の利益率の水準は上昇していくものと弊社は考える。
なお、同社は2022年3月期期首から「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。これにより売上高が 8,058 百万円減少、売上原価が8,056百万円減少、各利益が1百万円減少となった。
(1) ベネフィット・ステーション関連事業(福利厚生+パーソナル+CRM)
2022年3月期の売上高は前期比8.4%増の22,176百万円、営業利益は、福利厚生事業・パーソナル事業・CRM事業合わせて同13.1%増の9,484百万円となった。なお事業ごとの売上高は、福利厚生事業は前期比10.4%増の19,796百万円、パーソナル事業は同8.0%減の1,891百万円、CRM事業は同3.7%増の489百万円となった。
売上高が「収益認識に関する会計基準」等の適用により380百万円減少となったこと、緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復したことで補助金給付による支出が増加したことがマイナス要因となったが、コスト配賦基準の変更による利益(1,187百万円増)、JTBベネフィットが損益計算書に計上された効果により増収となった。
(2) インセンティブ事業
2022年3月期の売上高は前期比12.2%減の3,473百万円、営業利益は同19.9%減の781百万円となった。
主に大手顧客の前期からの反動減による利用低調が要因として挙げられるが、新規顧客の獲得及びポイントの利用拡大、人事部門向けには福利厚生とのセット導入、代理店及び販促向けには専任担当による深堀営業を推進していくことなどの諸施策でカバーした。これらの状況から今後の業績巻き返しには期待できるものと弊社は考えている。
(3) ヘルスケア事業
2022年3月期の売上高は前期比7.3%減の9,610百万円、営業利益は同503.3%増の4,557百万円となった。同事業では、売上高が「収益認識に関する会計基準」等の適用により7,678百万円減少となった。しかし、これほど大幅に利益が伸びたのは、市場の流れとして従業員の健康管理や増進サポートへの関心が一層の追い風となったほか、2022年3月期から開始したコロナワクチンの接種支援事業が想定以上に伸長したためである。結果として、連結全体の利益押し上げにも貢献した。
(4) 購買・精算代行事業
2022年3月期の売上高は前期比7.7%減の641百万円、営業利益は同31.7%増の96百万円となった。出張利用は徐々に回復するも自粛は長期化し接待利用も自粛が続くなど厳しい状況が続くなかで、同社では経費コントロールに努めることで業績影響を限定的にしつつ、緊急事態宣言解除及びワクチン接種普及による出張利用の回復やターゲットを絞った新規開拓など効率的な拡販に努めた結果、減収増益となった。
(5) ペイメント事業
2022年3月期の売上高は前期比1.1%減の17百万円、営業利益は61百万円の損失(前期は17百万円の利益)となった。福利厚生サービスの顧客を中心とした導入提案を行った。また、「給トク払い」による家計支出の多い生活インフラ分野や定額課金メニューを中心とした加盟店の開拓で提携先は約130メニューとするなどサービスの充実を図ったことで、費用が先行した結果となった。
(6) 海外事業
2022年3月期の売上高は前期比3.5%増の1,474百万円、営業利益は170百万円の損失(前期は104百万円の損失)となった。中国やシンガポール等で既存顧客との堅調な取引を中心に前期比で売上高は拡大したものの、コロナ禍により新規顧客獲得活動に遅れが生じ、営業損失を計上した。今後は市場の立ち上がりで先行する米国・シンガポールでの人員拡充・システム開発により競争力強化を図るとともに、各国の基盤共通化を進め収益安定化を目指すとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
1. 2022年3月期の連結業績概要
ベネフィット・ワン<2412>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%増の38,362百万円、営業利益が同30.7%増の12,770百万円、経常利益が同30.1%増の12,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.3%増の8,949百万円と、増収・2ケタ増益となった。計画比でも売上高2.8%増、営業利益8.7%増、経常利益8.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益10.2%増となり、会社計画を上回る形で着地した。これにより、2012年3月期から11期連続の増収・営業増益を達成した。
緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復し、補助金給付による支出が増加したものの、JTBベネフィットの業績が新たに連結損益計算書に計上されたこと、時代のニーズを的確に捉えたワクチン接種・オリンピック支援事業が想定を上回る好調ぶりだったことが利益を押し上げた格好となった。また、顧客企業の出張などの回復が想定よりも遅れ、購買・精算代行事業が前期比マイナスとなったものの、ヘルスケア事業のコロナワクチン接種支援事業が好調だったこと、福利厚生・パーソナル・CRM事業が堅調だったことなどを受け、全体として増収増益を達成した。
着目すべきは利益率の高さだ。2017年3月期の営業利益率19.9%、当期純利益率13.1%以降、2022年3月期の同33.3%と同23.3%まで利益率が一貫して上昇してきた。利益率が上昇してきたのは、プラットフォームビジネスが勝者総取りの理論が働くビジネスモデルであり、事業規模が拡大するにつれて競争の影響が薄れる傾向にあること、同社の事業そのものが重厚長大型の事業ではないことから固定費の割合が低く(総資産に占める有形固定資産の割合は2.3%)、そのため相対的に損益分岐点が低くなり限界利益率が高くなったことなどが影響していると弊社は推察する。今後、中期経営計画の推進によってさらに事業規模が拡大するなかでますます競争の度合いは低くなり、同社の利益率の水準は上昇していくものと弊社は考える。
なお、同社は2022年3月期期首から「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。これにより売上高が 8,058 百万円減少、売上原価が8,056百万円減少、各利益が1百万円減少となった。
(1) ベネフィット・ステーション関連事業(福利厚生+パーソナル+CRM)
2022年3月期の売上高は前期比8.4%増の22,176百万円、営業利益は、福利厚生事業・パーソナル事業・CRM事業合わせて同13.1%増の9,484百万円となった。なお事業ごとの売上高は、福利厚生事業は前期比10.4%増の19,796百万円、パーソナル事業は同8.0%減の1,891百万円、CRM事業は同3.7%増の489百万円となった。
売上高が「収益認識に関する会計基準」等の適用により380百万円減少となったこと、緊急事態宣言明けの2021年10月以降に会員のサービス利用が回復したことで補助金給付による支出が増加したことがマイナス要因となったが、コスト配賦基準の変更による利益(1,187百万円増)、JTBベネフィットが損益計算書に計上された効果により増収となった。
(2) インセンティブ事業
2022年3月期の売上高は前期比12.2%減の3,473百万円、営業利益は同19.9%減の781百万円となった。
主に大手顧客の前期からの反動減による利用低調が要因として挙げられるが、新規顧客の獲得及びポイントの利用拡大、人事部門向けには福利厚生とのセット導入、代理店及び販促向けには専任担当による深堀営業を推進していくことなどの諸施策でカバーした。これらの状況から今後の業績巻き返しには期待できるものと弊社は考えている。
(3) ヘルスケア事業
2022年3月期の売上高は前期比7.3%減の9,610百万円、営業利益は同503.3%増の4,557百万円となった。同事業では、売上高が「収益認識に関する会計基準」等の適用により7,678百万円減少となった。しかし、これほど大幅に利益が伸びたのは、市場の流れとして従業員の健康管理や増進サポートへの関心が一層の追い風となったほか、2022年3月期から開始したコロナワクチンの接種支援事業が想定以上に伸長したためである。結果として、連結全体の利益押し上げにも貢献した。
(4) 購買・精算代行事業
2022年3月期の売上高は前期比7.7%減の641百万円、営業利益は同31.7%増の96百万円となった。出張利用は徐々に回復するも自粛は長期化し接待利用も自粛が続くなど厳しい状況が続くなかで、同社では経費コントロールに努めることで業績影響を限定的にしつつ、緊急事態宣言解除及びワクチン接種普及による出張利用の回復やターゲットを絞った新規開拓など効率的な拡販に努めた結果、減収増益となった。
(5) ペイメント事業
2022年3月期の売上高は前期比1.1%減の17百万円、営業利益は61百万円の損失(前期は17百万円の利益)となった。福利厚生サービスの顧客を中心とした導入提案を行った。また、「給トク払い」による家計支出の多い生活インフラ分野や定額課金メニューを中心とした加盟店の開拓で提携先は約130メニューとするなどサービスの充実を図ったことで、費用が先行した結果となった。
(6) 海外事業
2022年3月期の売上高は前期比3.5%増の1,474百万円、営業利益は170百万円の損失(前期は104百万円の損失)となった。中国やシンガポール等で既存顧客との堅調な取引を中心に前期比で売上高は拡大したものの、コロナ禍により新規顧客獲得活動に遅れが生じ、営業損失を計上した。今後は市場の立ち上がりで先行する米国・シンガポールでの人員拡充・システム開発により競争力強化を図るとともに、各国の基盤共通化を進め収益安定化を目指すとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
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