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日ダイナミク Research Memo(4):IT関連事業は大手優良顧客との強固な顧客基盤
配信日時:2022/06/20 15:14
配信元:FISCO
■事業概要
4. IT関連事業は大手優良企業との強固な顧客基盤
IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)では、大手生損保、大手エネルギー会社、大手メーカーなど、大手優良企業との強固な顧客基盤を構築している。長期継続取引が多いことも特徴である。システム開発業界は、中堅企業が大手SI(システム・インテグレータ)企業の下請けとなる2次請け・3次請け受託の多い業界構造だが、日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の場合はエンドユーザーとの直接取引(1次受託)が8割以上を占めている。同社の技術力・品質力の高さを示す数字だろう。
また大手優良企業との長期継続取引が多いため、開発・構築したシステムの保守・運用等のストック売上も積み上がっている。他社開発案件の保守・運用受託を含めて、IT関連事業におけるストック売上比率が約8割(2022年3月期)に達し、安定収益構造となっていることも特徴だ。
パーキングシステムは電磁ロック式駐輪場管理・運営が主力
5. パーキングシステム事業
パーキングシステム事業は、電磁ロック式の駐輪機器販売と駐輪場管理運営を主力としている。ITを活用することで駐輪場の管理運営業務を省力化・効率化するだけでなく、全国の街から放置自転車等の駐輪問題をなくし、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2(二酸化炭素)排出削減による地球環境改善などにも貢献するビジネスである。
「ITと自転車で街と未来を変えていきたい」という思いから、1992年に当時の新技術であった2次元コードでの月極駐輪場管理方法を提案し、これをきっかけに1997年よりパーキングシステム事業を開始、1999年からNCD駐輪場の設置を開始した。当初は電磁ロック式駐輪機器や料金精算機の売り切りが中心だったが、培ってきたIT技術を生かして遠隔操作による駐輪場の無人管理を実現し、月極が主流だった駐輪場業界において、コイン駐輪場(時間貸し無人駐輪場)のパイオニアとして事業を拡大した。
具体的には主力の時間貸し無人駐輪場「EcoStation21」(1999年~)や、月極駐輪場「ECOPOOL」(2013年~)などの駐輪サービスを、首都圏の駅周辺を中心として、関西、中部、九州地区等に展開(関西、中部はパートナー企業に運営委託)し、駅周辺、商業施設、地方自治体管理の駐輪場を網羅している。
放置自転車削減に貢献するとして全国の自治体、鉄道会社、商業施設などに幅広く支持され、電磁ロック式の駐輪場設置台数として国内最大級である。2022年4月1日現在のNCD駐輪場管理箇所数は2,133箇所、管理台数は658,422台となった。なお、自治体との取引では、自治体から指定管理者に選定され、官民協働による施設の設置・運営を行って自治体と共に街づくりを支援している。
代表的な導入事例としては、2007年歩道上駐輪場の先駆けとなった渋谷区あおい通り(新宿駅)、2011年最大級3,000台規模の辻堂駅・テラスモール湘南、2018年渋谷地区再開発案件の渋谷ストリーム、2019年赤羽駅東口、2019年東急グループ再開発案件の南町田グランベリーパーク、2020年西武グループ再開発案件のグランエミオ所沢などがある。2021年4月には、東京都江戸川区内の4駅(船堀駅、西葛西駅、葛西駅、葛西臨海公園駅)において、江戸川区が駅前放置自転車対策の一環として整備した駐輪場の指定管理者に選定され、15ヶ所22,900台分の駐輪場とレンタサイクル770台の管理運営を開始した。
2022年4月には、4自治体(新宿区、板橋区、品川区、川崎市)において駐輪場管理運営事業者に選定され、合計246ヶ所・約58,000台の駐輪場の管理運営を開始した。また、野村不動産と協業して大型商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」内に合計1,244台の駐輪場を開設した。2022年6月には、立川市魅力発信拠点施設コトリンク内の自転車等駐車場合計1,820台の管理運営を開始した。
なお売上分類は「機器販売」「管理運営」「その他」としている。管理運営の区分としては、「自営駐輪場(民間企業との契約による同社ブランド「EcoStation21」の管理運営)」、「指定管理(自治体からの指定管理者選定による駐輪場の管理運営)」、「受託(鉄道会社や自治体などが運営する駐輪場の管理受託)」の3つに分類している。その他では、自転車を利用したライフスタイルを提案する複合施設として「STYLE-B」(東京都品川区)を運営している。
ユーザー利便性向上や運営管理コスト削減に向けて、2019年11月には一部施設において駐輪場キャッシュレス決済サービス(精算機操作不要)を開始した。集金・メンテナンス回数が減少するため管理コストを削減できる。タッチレス精算のためコロナ禍の感染対策としても好評であり、順次導入を拡大する方針だ。さらに、収益力向上に向けて、駐輪料金の改定なども推進する方針だ。
プロジェクト管理・品質管理を徹底
6. リスク要因・収益特性
一般的なリスク要因として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)においては、大型案件などの受注や個別案件ごとの採算性によって売上や利益が変動する可能性がある。
この対策として同社は、受注委員会において見積段階から採算をチェックするとともに、受注後も審議会においてプロジェクト進捗・品質管理状況を厳重にチェックするなど、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また全社ベースの取り組みとして、業務プロセス改善による効率化を推進している。
またシステム開発事業は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービス事業は継続受託案件の積み上げによって、ストック売上が拡大(IT関連事業のストック売上比率は2022年3月期実績で約8割)しているため安定した収益構造となっている。
パーキングシステム事業は、管理現場数・管理台数の積み上げによって駐輪場利用料収入や駐輪場管理運営受託に係るストック売上が主力となり、入札等によって受注変動がある機器販売のフロー売上の比率が低下している。ただし2021年3月期~2022年3月期は、コロナ禍に伴う外出自粛の影響で駐輪場利用者数が大幅に減少した。需要は緩やかに回復傾向だが、状況によってはコロナ禍以前の水準まで回復するのに時間を要する可能性がある。
季節要因としては、システム開発事業は顧客企業のIT投資予算の執行時期や検収時期の関係で、第2四半期(7月-9月)及び第4四半期(1月-3月)の構成比が高い傾向がある。このため、一時的な大型案件や不採算案件などの影響を除けば、全体として四半期ベースでは第2四半期と第4四半期の構成比が高く、また半期ベースでは下期(10月-3月)の構成比が高い傾向がある。ただしストック売上が拡大しているため、四半期業績の平準化が進展して季節要因の影響は小さくなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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4. IT関連事業は大手優良企業との強固な顧客基盤
IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)では、大手生損保、大手エネルギー会社、大手メーカーなど、大手優良企業との強固な顧客基盤を構築している。長期継続取引が多いことも特徴である。システム開発業界は、中堅企業が大手SI(システム・インテグレータ)企業の下請けとなる2次請け・3次請け受託の多い業界構造だが、日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の場合はエンドユーザーとの直接取引(1次受託)が8割以上を占めている。同社の技術力・品質力の高さを示す数字だろう。
また大手優良企業との長期継続取引が多いため、開発・構築したシステムの保守・運用等のストック売上も積み上がっている。他社開発案件の保守・運用受託を含めて、IT関連事業におけるストック売上比率が約8割(2022年3月期)に達し、安定収益構造となっていることも特徴だ。
パーキングシステムは電磁ロック式駐輪場管理・運営が主力
5. パーキングシステム事業
パーキングシステム事業は、電磁ロック式の駐輪機器販売と駐輪場管理運営を主力としている。ITを活用することで駐輪場の管理運営業務を省力化・効率化するだけでなく、全国の街から放置自転車等の駐輪問題をなくし、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2(二酸化炭素)排出削減による地球環境改善などにも貢献するビジネスである。
「ITと自転車で街と未来を変えていきたい」という思いから、1992年に当時の新技術であった2次元コードでの月極駐輪場管理方法を提案し、これをきっかけに1997年よりパーキングシステム事業を開始、1999年からNCD駐輪場の設置を開始した。当初は電磁ロック式駐輪機器や料金精算機の売り切りが中心だったが、培ってきたIT技術を生かして遠隔操作による駐輪場の無人管理を実現し、月極が主流だった駐輪場業界において、コイン駐輪場(時間貸し無人駐輪場)のパイオニアとして事業を拡大した。
具体的には主力の時間貸し無人駐輪場「EcoStation21」(1999年~)や、月極駐輪場「ECOPOOL」(2013年~)などの駐輪サービスを、首都圏の駅周辺を中心として、関西、中部、九州地区等に展開(関西、中部はパートナー企業に運営委託)し、駅周辺、商業施設、地方自治体管理の駐輪場を網羅している。
放置自転車削減に貢献するとして全国の自治体、鉄道会社、商業施設などに幅広く支持され、電磁ロック式の駐輪場設置台数として国内最大級である。2022年4月1日現在のNCD駐輪場管理箇所数は2,133箇所、管理台数は658,422台となった。なお、自治体との取引では、自治体から指定管理者に選定され、官民協働による施設の設置・運営を行って自治体と共に街づくりを支援している。
代表的な導入事例としては、2007年歩道上駐輪場の先駆けとなった渋谷区あおい通り(新宿駅)、2011年最大級3,000台規模の辻堂駅・テラスモール湘南、2018年渋谷地区再開発案件の渋谷ストリーム、2019年赤羽駅東口、2019年東急グループ再開発案件の南町田グランベリーパーク、2020年西武グループ再開発案件のグランエミオ所沢などがある。2021年4月には、東京都江戸川区内の4駅(船堀駅、西葛西駅、葛西駅、葛西臨海公園駅)において、江戸川区が駅前放置自転車対策の一環として整備した駐輪場の指定管理者に選定され、15ヶ所22,900台分の駐輪場とレンタサイクル770台の管理運営を開始した。
2022年4月には、4自治体(新宿区、板橋区、品川区、川崎市)において駐輪場管理運営事業者に選定され、合計246ヶ所・約58,000台の駐輪場の管理運営を開始した。また、野村不動産と協業して大型商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」内に合計1,244台の駐輪場を開設した。2022年6月には、立川市魅力発信拠点施設コトリンク内の自転車等駐車場合計1,820台の管理運営を開始した。
なお売上分類は「機器販売」「管理運営」「その他」としている。管理運営の区分としては、「自営駐輪場(民間企業との契約による同社ブランド「EcoStation21」の管理運営)」、「指定管理(自治体からの指定管理者選定による駐輪場の管理運営)」、「受託(鉄道会社や自治体などが運営する駐輪場の管理受託)」の3つに分類している。その他では、自転車を利用したライフスタイルを提案する複合施設として「STYLE-B」(東京都品川区)を運営している。
ユーザー利便性向上や運営管理コスト削減に向けて、2019年11月には一部施設において駐輪場キャッシュレス決済サービス(精算機操作不要)を開始した。集金・メンテナンス回数が減少するため管理コストを削減できる。タッチレス精算のためコロナ禍の感染対策としても好評であり、順次導入を拡大する方針だ。さらに、収益力向上に向けて、駐輪料金の改定なども推進する方針だ。
プロジェクト管理・品質管理を徹底
6. リスク要因・収益特性
一般的なリスク要因として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)においては、大型案件などの受注や個別案件ごとの採算性によって売上や利益が変動する可能性がある。
この対策として同社は、受注委員会において見積段階から採算をチェックするとともに、受注後も審議会においてプロジェクト進捗・品質管理状況を厳重にチェックするなど、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また全社ベースの取り組みとして、業務プロセス改善による効率化を推進している。
またシステム開発事業は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービス事業は継続受託案件の積み上げによって、ストック売上が拡大(IT関連事業のストック売上比率は2022年3月期実績で約8割)しているため安定した収益構造となっている。
パーキングシステム事業は、管理現場数・管理台数の積み上げによって駐輪場利用料収入や駐輪場管理運営受託に係るストック売上が主力となり、入札等によって受注変動がある機器販売のフロー売上の比率が低下している。ただし2021年3月期~2022年3月期は、コロナ禍に伴う外出自粛の影響で駐輪場利用者数が大幅に減少した。需要は緩やかに回復傾向だが、状況によってはコロナ禍以前の水準まで回復するのに時間を要する可能性がある。
季節要因としては、システム開発事業は顧客企業のIT投資予算の執行時期や検収時期の関係で、第2四半期(7月-9月)及び第4四半期(1月-3月)の構成比が高い傾向がある。このため、一時的な大型案件や不採算案件などの影響を除けば、全体として四半期ベースでは第2四半期と第4四半期の構成比が高く、また半期ベースでは下期(10月-3月)の構成比が高い傾向がある。ただしストック売上が拡大しているため、四半期業績の平準化が進展して季節要因の影響は小さくなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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