注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 CDG Research Memo(5):22年12月期業績は前年同期比で増収増益を見込むが、景況感の悪化が懸念要因 ■今後の見通し1. 2022年12月期の業績見通しCDG<2487>の2022年12月期の連結業績は、売上高で9,700百万円、営業利益及び経常利益で520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で359百万円を計画している。9ヶ月の変則決算となるため前期比較は無いが、前年同期(2021年4月-12月)との比較では売上高で8.5%増、営業利益で23.7%増、経常利益で13.0%増、親会社株主に帰属する当期純利益で9.4%増となる。ただ、足元の受注状況についてはウクライナ危機に端を発したエネルギー価格や食材費の高騰による景況感の悪化から、顧客企業の発注姿勢が慎重なスタンスとなってきており、滑り出しとしてはやや低調に推移する可能性がある。業種別売上高の見通しでは、前期に好調だった飲料・嗜好品業界向けが前期からの大型プロモーション案件の継続により順調に推移するほか、情報・通信業界向けも前期に業績をけん引した顧客2社の案件がさらに伸びる見通しとなっている。一方で、流通・小売業界向けは主要顧客にIPコンテンツを活用した物販ビジネスの提案を進めていく予定だが流動的となっている。自動車業界向けも新車不足という市場環境に変わりなく、販促グッズの低迷が続く見通しだ。また、食品及び外食・各種サービス業界向けに関しても食材コストの上昇により、顧客の発注姿勢が慎重になってきていることから伸び悩む可能性がある。売上高営業利益率が前期比で0.9ポイントの上昇を見込んでいる。主な要因としては増収効果に加えて、2021年秋に導入したプロジェクトマネジメントツールの運用によって、案件ごとの採算状況を可視化しており、不採算になっている案件や工程などについて見直しを行い採算向上に取り組んでいること、また、業務のDX推進による間接部門の生産性向上、レッグスとの協業による仕入品のコスト低減効果等が挙げられる。特に、リアルとデジタルの複合型案件を多く受注するようになり、企画から運用までの工程が今まで以上に煩雑化していることから、プロジェクトマネジメントツールの導入による効果は大きいと見られる。なお、人員については2022年4月に新卒で8名(前年4月は6名)入社しており、必要に応じて中途採用も進める方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/11 15:25 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(4):2022年3月期は大型選挙により大幅な営業利益を計上 ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要(1) 損益状況ムサシ<7521>の2022年3月期の連結業績は、売上高36,213百万円(前期比19.7%増)、営業利益1,746百万円(前期は97百万円の損失)、経常利益1,848百万円(同24百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益981百万円(同28百万円の損失)となった。主力の選挙システム機材において、東京都議会議員選挙や衆議院選挙があったことから、売上高が前期比161.7%増となったことが業績を牽引した。他の事業もコロナ禍からの回復もあり全般的に堅調であったが、金融システム機材は微減収となった。注力しているメディアコンバート事業(情報・産業システム機材の内数)も堅調に推移した。利益面では、自社製品である選挙システム機材の売上高比率が上昇したことなどから、売上総利益率は24.2%となり前期比で1.8ポイント改善した。販管費は、コロナ禍からの反動があったものの、経費削減に努めた結果、前期比で2.2%増にとどまった。この結果、営業利益は前期比で大幅増となった。設備投資額は、772百万円(前期312百万円)、減価償却費421百万円(同326百万円)であった。設備投資額が増加したのは、主にメディアコンバート事業の能力拡大のためである。(2) 財務状況2022年3月期末の財務状況は、流動資産は前期末比で1,891百万円増加し32,459百万円となった。主に現金及び預金の増加1,004百万円、受取手形及び売掛金の増加1,010百万円による。固定資産は前期末比で278百万円増加し11,022百万円となったが、主に子会社でのリース資産計上による有形固定資産の増加402百万円、株価上昇の影響等による投資有価証券の増加1億57百万円による。その結果、資産合計は43,481百万円(前期末比2,169百万円増)となった。負債合計は、16,457百万円(前期末比2,178百万円増)となったが、主に電子記録を含めた仕入債務の増加376百万円、未払法人税等の増加674百万円、その他流動負債(主に未払消費税等、リース債務)の増加666百万円、その他固定負債の増加336百万円等による。また、純資産合計は、27,024百万円(同8百万円減)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加773百万円、自己株式の増加(金額の減少)765百万円等による。この結果、2022年3月期末の自己資本比率は62.2%(前期末65.4%)となった。また期末のネットキャッシュ(=現預金−有利子負債)は15,969百万円と売上規模に比べて潤沢である。(3) キャッシュ・フローの状況2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,601百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上1,821百万円、減価償却費421百万円、仕入債務の増加374百万円などで、主な支出は、売上債権の増加991百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは904百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出678百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは594百万円の支出であったが、主な収入はセール・アンド・リースバック442百万円、主な支出は、自己株式の取得764百万円、配当金の支払額209百万円による。以上から2022年3月期の現金及び現金同等物は1,104百万円増加し、期末残高は18,495百万円となった。2. 2022年3月期のセグメント別状況セグメント別及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメントセグメント売上高は20,451百万円(前期比12.5%増)、セグメント損失23百万円(前期は5百万円の利益)となった。増収となったが、連結子会社において一部遅れが発生し、一方で受注拡大に伴う環境整備費用が増加したことなどから、セグメント損失が拡大した。a) 情報・産業システム機材注力している文書のデジタル化事業(メディアコンバート事業)の連結売上高は、5,371百万円(前期比33.7%増)と堅調に推移した。民間企業、官公庁ともに需要が拡大している。もう1つ成長が期待されている業務用ろ過フィルターの売上高も647百万円(同20.0%増)と好調であったが、コロナ禍からの反動で飲料向けが回復したことに加え、工業用(半導体向けなど)の販売も堅調であった。スキャナー等の機器類の販売も好調に推移したが、工業用検査機器の販売は設備投資意欲減退の影響で減収となった。これらの結果、サブセグメントの売上高(単体ベース)は、9,059百万円(同32.7%増)となった。b) 印刷システム機材印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、8,960百万円(同6.0%増)となった。印刷材料の販売は順調であったが、印刷会社の設備投資意欲減退により機器販売が減収となった。(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント東京都議会議員選挙や衆議院選挙が行われたことなどから、選挙システム機材が大幅増となりセグメント売上高は、7,245百万円(同107.5%増)、セグメント営業利益は1,570百万円(前期は155百万円の損失)となった。a) 選挙システム機材衆議院選挙や東京都議会議員選挙などの各地方選挙向けに、「投票用紙読取分類機」や「投票用紙交付機」「計数機」などの選挙機器、及び「投開票管理システム」の販売が大幅に伸長し、売上高(単体ベース)は6,106百万円(前期比161.7%増)と大幅増収となり、過去最高額を記録した。これらの製品は、自社開発品であるため、利益率も比較的高いことから、全体の利益にも大きく貢献した。b) 金融汎用システム機材紙幣入金整理機など、金融機関向け貨幣処理機器の販売が設備投資抑制の影響により低調に推移し、前期実績を下回った。この結果、金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は1,052百万円(前期比3.2%減)となった。(3) 紙・紙加工品セグメント医薬品向け高機能紙器用板紙の販売は増加したが、コロナ禍による経済活動の停滞やテレワークの拡大で、印刷用紙や情報用紙の販売が低迷した。この結果、セグメント売上高は8,241百万円(前期比0.9%減)、セグメント営業損失は3百万円(前期は92百万円の損失)となった。(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメントおおむね順調に推移し、セグメント売上高は274百万円(前期比0.4%増)、セグメント営業利益は201百万円(同41.5%増)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/07/11 15:24 注目トピックス 日本株 CDG Research Memo(4):財務の健全性は高く、収益性向上に取り組んでいく方針 ■CDG<2487>の業績動向4. 財務状況と経営指標2022年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比629百万円減少の6,958百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が331百万円増加した一方で、期末にかけて売上が減少したことにより受取手形及び売掛金が997百万円減少した。また、固定資産は無形固定資産(ソフトウェア)が14百万円増加した一方で、有形固定資産が25百万円、投資有価証券が103百万円、繰延税金資産が28百万円それぞれ減少した。負債合計は前期末比896百万円減少の1,257百万円となった。支払手形及び買掛金が437百万円、未払法人税等が209百万円、賞与引当金が81百万円それぞれ減少した。また、固定負債では退職給付に係る負債が25百万円増加した。純資産は前期末比267百万円増加の5,701百万円となった。配当金147百万円を支出したものの、親会社株主に帰属する当期純利益435百万円の計上が増加要因となった。経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の71.4%から81.9%に上昇した。第4四半期の売上高が前年同期比で27.1%減と大きく減少するなかで期末に負債が減少したことや、純資産が着実に増加したことが要因だ。また、無借金経営を継続していることから財務の健全性は高いと判断される。一方、収益性についてはROAで8.0%、ROEで7.6%、売上高経常利益率で5.0%とROE、売上高経常利益率は前期から若干低下した。2015年3月期にはROA、ROEで12%台、売上高経常利益率で7%台の水準であったことを考えれば、改善余地があると見られる。収益性が当時と比べて低下している要因としては、デジタルプロモーション領域を強化すべく、2019年3月期以降、人的リソースを拡充してきたことや、SP市場でもデジタル化が進展し、リアルプロモーション(販促用グッズ)の需要減により売上高が2020年3月期まで減少傾向だったことも一因として挙げられる。2015年3月期からの推移を見ると、売上原価率は72%前後で安定して推移しているが、販管費率は2015年3月期の19.8%に対して、2022年3月期は23.9%となっており、販管費率の上昇が収益性の低下につながっていると見ることができる。生産性の観点から見ても、従業員1人当たり営業利益は、2015年3月期の396万円から2022年3月期は190万円まで低下しており、人材投資を進める中でまだ、その効果が出ていないことがうかがえる。同社は2021年秋より生産性の向上を図るべくプロジェクトマネジメントツールを導入したほか、DX推進による業務効率の向上にも取り組んでおり、こうした効果が今後出てくるものと期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/11 15:24 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(3):メーカー事業と商社事業による多様な収益基盤を持つ(2) ■ムサシ<7521>の会社概要(3) 注力事業の概要と特色様々な商品を取り扱うなか、特に以下のような製品やサービスに注力している(いずれも情報システム機材分野に属する)。a) メディアコンバート事業様々な紙媒体(文書、書籍、伝票、図面)などを電子データ化またはマイクロフィルム化することに加え、各種のマイクロフィルム(フィッシュフィルム、アパーチュアカード、ロールフィルム、COMフィルム等)を電子化あるいは紙媒体化(印刷)する。さらに、過去に電子化された各種データ(TIFF、JPEG、BMP、PDF、JPEG2000など)を様々な記録媒体(DVD、BD、HDD、LTO等)に記録するだけでなく、マイクロフィルム化及び紙媒体化(印刷)することも行う。このように、顧客の要望に応じて様々なメディアに変換(コンバート)するのが同事業の特徴だ。今後も、以下の3つの流れで需要増が期待できる。〇 コロナ禍でテレワークへの移行が進む→文書や資料の電子化需要が拡大。(アフターコロナでもこの流れは継続)〇 官公庁・自治体:行政のデジタル化推進→文書・図面・資料等の電子化需要が拡大。〇 官公庁・自治体、大手企業:働き方改革や「DX化」により保管文書の電子化需要が拡大。同社のメディアコンバート事業の特色(強み)は、1)高品質の加工処理、2)元資料に対する万全なセキュリティ、3)高い生産性(国内最大級のドキュメントイメージングセンターを有する)などである。さらに、デジタルデータ作成、データ検査、検索情報の入力などの工程を一貫して管理することが可能で、この結果、より正確で効率的なデータベース作りを行うことができる。これは、長年のマイクロフィルムサービスのノウハウの蓄積によるもので、同業他社が簡単には追い付けない部分でもある。b) 業務用ろ過フィルター事業「ミクロフィルター」という富士フイルム(株)が開発・製造する業務用ろ過フィルターの販売代理店事業だ。同社は国内市場の総販売代理店の地位にある。ろ過フィルターはマイクロメートル(μm)単位の微粒子・微生物を「ろ過」によって分離・除去するものだが、食品・飲料、エレクトロニクス(半導体、電子部品等)、医療などの各分野で幅広く利用されている。富士フイルムのミクロフィルターは市場では後発組であるが、以下のような特色を有しており、同社でも今後は積極的な拡販を図る計画だ。1) 非対称膜構造:一次側から二次側へ徐々に孔径が緻密化する独自構造2) ロングライフ:粗から密へ、膜全体を有効に使った段階的ろ過で長寿命を実現3) 低初期圧損:大きな開孔率、空隙率が低圧損を実現4) 確実な捕捉:シャープな孔径分布による内部緻密層が確実な捕捉を実現5) 豊富なラインアップ:0.03μmから1.2μmの豊富なラインアップc) 社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』事業富士フイルムが持つ医療用画像診断システムの「画像解析技術」を活用して開発されたもので、橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物の「ひび割れ」を撮影した画像から検出するものだ。各構造物の写真を撮り、それをクラウドにアップ、これらの画像を自動合成することで「ひび割れを自動検出」する。この製品を使うことで、橋梁・トンネルの点検業務は大幅に効率化される。これらのインフラ点検業務の発注者はほとんどが全国の自治体であり、同社はこれらの自治体とは「選挙システム機材」で密接な関係にあることから、今後はこのルートを生かすことで事業の拡大を目指す。3. 特色と強み(1) 多様な収益基盤同社は主に6つの分野で事業展開を行っており、業界や顧客企業が分散されている。このため、特定の業界や企業の影響を大きく受けることは少ない。また、それぞれの事業が独立していることから、1つの事業が伸び悩んだとしても、他の事業が補完することが可能で、これにより安定した収益を保つことができる。(2) 商社機能とメーカー機能を併せ持つ同社は柔軟な対応力と強い営業力を持つ商社である一方で、選挙関連機器や金融関連機器の設計・製造を行うメーカーでもある。これにより、商品やシステムの企画・開発から設計・製造、販売、ソフトウェアや機器のメンテナンスサポートまで一貫したサービスを提供することができる。商社としての「強い営業力」とメーカーとしての「商品開発力」を併せ持っていることは同社の特色であり強みである。(3) 安定した財務基盤同社の財務基盤(貸借対照表)は堅固で安定している。直近の2022年3月期の貸借対照表を要約すると、総資産43,481百万円、純資産27,024百万円(自己資本比率62.2%)、現金及び預金19,485百万円、たな卸資産2,889百万円、借入金3,516百万円(短期のみ)となっており、商社としては在庫と借入金が少なく、メーカーとしては有形固定資産が比較的少ない。言い換えれば、財務的には商社とメーカーの良い面を併せ持ったコンパクトかつ堅固なバランスシートと言える。これにより、新たな事業展開も、財務面からの制約を受けることなく容易に行うことが可能となっている。これは同社の強みの1つだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/07/11 15:23 注目トピックス 日本株 CDG Research Memo(3):22年3月期は前期に大型案件を獲得した反動もあり若干ながらも減収減益に転じる ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要CDG<2487>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.1%減の11,261百万円、営業利益で同9.1%減の501百万円、経常利益で同8.3%減の559百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同13.9%減の435百万円と減収減益に転じ、期初会社計画に対しても売上高、各利益ともに下振れて着地した。なお、2022年3月期より収益認識会計基準等を適用したことに伴い、売上高で317百万円、売上原価で318百万円の減額要因となり、営業利益、経常利益は1百万円の増額要因となっている。従来会計基準で比較すれば、売上高は前期比0.4%減、営業利益は同9.4%減であった。売上高については、人気のIPコンテンツを活用したプロモーション案件や、リアルとデジタルを組み合わせたプロモーション案件の獲得に取り組んだものの、複数の大型プロモーション案件や新型コロナウイルス関連の特需的な売上貢献があった2021年3月期の水準からは若干減収となった。売上高総利益率が前期比1.1ポイント上昇したが、従来会計基準ベースで見ると同0.3ポイントの上昇となった。2021年3月期の増収に貢献したリアルとデジタルを融合した複合型案件については、1件当たりの受注金額は大きいものの、工数が多くなるため利益率が相対的にまだ低く、こうした案件が2022年3月期は少なかったことが利益率の改善要因になったと見られる。従来会計基準ベースでの売上高総利益率は27.5%で、2020年3月期の28.4%と比較するとまだ低い水準となっている。売上総利益は利益率の改善により前期比1.0%増と若干ながら利益を確保したが、中長期の売上拡大に向けた人員の増強やDX推進に関連するシステム投資を実施したことにより販管費が同3.1%増加し、営業利益は減益となった。期末の連結従業員数は前期末比9名増の268名となっている。会社計画比に対する売上高の減額要因としては、2021年3月期に大手コンビニエンスストアから受注したLINEによるデジタルポイントを活用したプロモーション案件について、同顧客が自社アプリで対応するようになったため、売上が無くなったことが主因である。また、主力顧客の一つであった自動車ディーラー向けの販促グッズも、半導体不足による新車の生産計画の遅れによって、店舗への来店客数が減少し減額要因となった。会社計画に対して営業外収支が50百万円改善しているのは、為替差益19百万円、補助金収入16百万円、出資金評価益11百万円の計上が主因である。また、特別利益として投資有価証券売却益24百万円、新株予約権戻入益16百万円を計上した。2022年3月期は飲食・嗜好品業界、情報・通信業界、ファッション・アクセサリー業界等が2ケタ増収と好調に推移2. 業種別売上動向業種別売上高の動向を見ると主要11業種中、増収となったのは4業種にとどまった。このうち、飲料・嗜好品業界向けは、大手飲料メーカーから人気IPコンテンツの商品化や、それにSNSやLINEによるデジタルプロモーションを絡めた長期大型プロモーション案件を受注したことで前期比31.9%増の1,588百万円と大幅増となった。また、情報・通信業界向けでは、大手宅配サービス企業のプロモーション案件が増加したほか、大手インターネット企業が手掛けるライブ配信サービスにおけるオンラインイベント企画やグッズ制作、運営受託業務の売上が好調だったことにより同61.6%増の1,487百万円と急増した。ファッション・アクセサリー業界向けでは、主要顧客の感謝祭記念セールグッズの増加等により同20.9%増の867百万円となった。金融・保険業界向けでは大手クレジットカード会社のディズニーのコンテンツを使用したプロモーション案件が好調に推移したほか、保険代理店会社の株主優待関連の支援サービスが拡大し、同50.3%増の556百万円と4期ぶりに増収に転じた。一方で、減収となった主な業種を見ると、流通・小売業界向けが同22.4%減の2,109百万円と3期ぶりの減収に転じた。前述した通り大手コンビニエンスストア向けのデジタルポイントを活用したプロモーション案件が無くなったことによるもので、同顧客向けには人気IPコンテンツを活用した書籍物販ビジネス等を開始したものの、デジタルポイント案件の減収分を補うまでには至らなかった。また、自動車・関連品業界向けについても、新車販売の商談機会減少による販促グッズの低迷で、同7.6%減の1,440百万円と2期連続で減少した。外食・各種サービス業界向けは、前期の売上に貢献した大手外食グループ向けの人気IPコンテンツを活用した大型コラボキャンペーンが無くなったことで、同20.0%減の830百万円となった。化粧品・トイレタリー業界向けについても人気IPコンテンツを活用したプロモーション案件が終了したことで同25.0%減の680百万円となり、薬品・医療用品業界向けについては、前期に外資系企業から受注した福利厚生施策に関連したスポット案件※が無くなったことで、同52.2%減の353百万円となった。※2021年3月期はコロナ禍での福利厚生施策として、食品デリバリーのチケットを社員に配布する案件を受注した。3. 子会社の動向岐阜クリエートの業績については、コロナ禍の影響で落ち込んでいた販促用を中心としたポケットティッシュの生産数が前期比9.5%増の78百万個と5期ぶりに増加に転じたことやコスト低減に取り組んだことにより、増収増益に転じた。ただ、コロナ禍前の生産数(2020年3月期が113百万個)と比較すると7割程度の水準にとどまっており、回復は限定的となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/11 15:23 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(2):メーカー事業と商社事業による多様な収益基盤を持つ(1) ■会社概要1. 会社概要ムサシ<7521>は、1946年に紙の卸販売会社として創業し、現在では情報関連、印刷関連の商社事業に加え、自社開発した選挙関連機器や金融関連機器の製造販売も行っている。商社、メーカーの両面を併せ持った企業だが、いずれもニッチな市場に焦点を当てているのが特長だ。2. 事業の概要(1) 事業構成(セグメント別売上高)決算短信に公表されている各セグメント別の売上高(2022年3月期)は、「情報・印刷・産業システム機材」が20,451百万円、「金融汎用・選挙システム機材」が7,245百万円、「紙・紙加工品」が8,241百万円、「不動産賃貸・リース事業等」が274百万円となっている。さらに「情報・印刷・産業システム機材」はサブセグメントとして「情報・産業システム機材」と「印刷システム機材」に、「金融汎用・選挙システム機材」は「金融汎用システム機材」と「選挙システム機材」に分けられている。(2) 事業内容(サブセグメント別の内容)a) 情報・産業システム機材1) 文書や図面など各種文書のデジタル化業務をはじめとするメディアコンバート事業。2) ドキュメント・マイクロフィルムスキャナーやデジタルアーカイブシステムの販売。関連ソフトウェアの開発・販売。3) 非破壊検査に使用される産業用検査機材の販売。4) 感熱式拡大プリンターの製造・販売。5) 機能性材料(業務用ろ過フィルター等)の販売。6) 社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』の販売。主な販売先は、官公庁・自治体、企業・金融機関、学校・図書館、非破壊検査業者など。b) 印刷システム機材1) デジタルプリンティングシステムやプリント・オンデマンドなどの印刷機器・材料・ソフトウェアの販売。印刷業務管理システムやWeb受発注システムの販売。2) 名刺やカードを簡単に高品質印刷する、高精度インクリボン方式のプリントシステム機材の販売。3) 印刷物の高付加価値化を実現する高性能「レーザー加工機」など印刷後加工分野の商品販売。主な販売先は、印刷会社、文具・印章店、DPEショップ、一般企業など。c) 金融汎用システム機材金融機関の出納・両替業務や流通・運輸交通業における現金精算業務の効率化を図る貨幣処理機器、鍵・通帳などの管理機器、セキュリティ機器の開発・製造・販売及び関連したソフトウェア開発。貨幣処理機器等の輸出。主な販売先は、金融機関、流通業(デパート、スーパー、コンビニ等)、宅配業、交通機関、公営競技場など。d) 選挙システム機材投開票業務の効率化を図る投票用紙読取分類機や計数機・交付機などの各種機器をはじめ、業務管理ソフトウェアの開発・製造・販売、選挙用品・用具の販売、投票率アップを図る選挙啓発プロモーションの支援などの総合サプライヤー。業界トップの最大手であり、販売先は各自治体。e) 紙・紙加工品印刷・出版・情報・事務用紙、板紙、付加価値の高い特殊紙や紙加工品の開発・販売。感圧紙の製造・販売。主な販売先は、印刷会社、紙器業者、出版社など。f) 不動産賃貸・リース事業等不動産の賃貸・運用、車両リース、各種保険代理店業務など。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/07/11 15:22 注目トピックス 日本株 CDG Research Memo(2):販促グッズや人気IPコンテンツを活用したリアル及びデジタルプロモーションを展開 ■会社概要1. 会社沿革CDG<2487>は1974年4月の創業で和用紙の加工販売からスタートし、その後に企業の販促用グッズとしてポケットティッシュの製造販売やその他の販促用グッズ(メモ帳など)、景品などへと取扱商品を拡大していった。当初は大手広告代理店や印刷会社の下請け的な存在であったが、1996年頃から顧客企業との直接取引を開始したことを契機に売上規模が拡大していった。2006年6月にジャスダック証券取引所に株式上場し、2017年2月には東京証券取引所第1部に、2022年4月には東京証券取引所の市場再編に伴ってスタンダード市場に移行した。2012年3月に米国の現地日系企業向け販促支援や映画コンテンツの導入、先進的なセールスプロモーション手法の情報収集などを目的に、CDG Promotional MarKeting Co.,LTDを子会社として設立して事業活動を行ってきたが、国内事業の強化を目的に人的リソースの集中を図るため、2020年1月に清算している。また、2013年10月に地域特産品の商品開発・販売支援事業を手掛ける(株)ゴールドボンドを完全子会社化したが、こちらも2019年2月に全株式を売却した。売却の経緯はゴールドボンドの経営者が独立を希望したこと、また、子会社化後に同社の事業とのシナジー効果があまり得られなかったことによる。このため現在の連結子会社は、ポケットティッシュ等の製造販売を行う(株)岐阜クリエート1社だけで、連結業績に与える影響も軽微となっている。また、2019年11月には同業のCLホールディングス(旧レッグス)と資本業務提携契約を締結し、CLホールディングスが同社株式の44.2%を保有する筆頭株主となっており、2022年12月期からは連結対象子会社となっている※。なお、社名であるCDGの由来は元々の会社名である「クリエート(Create)」と、「仕事を通じて社員もそれぞれの夢を叶える(Dream)」「グローバル企業に成長する(Global)」の3つの頭文字を採ったものである。※CLホールディングスでは、傘下のレッグスと同社がそれぞれの強みを共有することでシナジーを創出し、グループ全体の事業成長を目指している。2. 事業内容同社は、企業が行うSP活動の中で使用する販促用グッズの企画及び製造・販売やデジタル技術を活用したマーケティング支援事業を主に展開しており、幅広い業界に顧客を有している。SP活動とは、企業が売上高の目標達成やマーケットシェア向上を目的に、消費者への販促用グッズの配布、特定期間に実施する販売キャンペーンなど、商品の売上に直結するような販売促進活動を指す。こうした販促用グッズやキャンペーンなどを顧客企業に企画提案し、受注につなげていくことが同社のビジネスモデルとなる。受注を獲得するためには、顧客企業の売上増に貢献する企画・運営力だけでなく、短期間で一定品質以上の販促用グッズを調達し、納品する商品調達力、品質管理力などが必要となる。グッズの製造に関してはすべて外注しており、外注先は国内に約500社あるほか、中国からの仕入れも行っており、中国比率は約1割弱となっている。また、仕入高の対売上比率は2022年3月期で71.2%となっており、ここ数年は70~72%で安定して推移している。同社は販促用グッズの供給に加え、店頭プロモーション施策、SNSを活用したデジタルプロモーションなどを中心に展開している。また、商品開発、ライセンス管理、サンプリング、イベント、販路開拓など様々なマーケティングソリューションを提案することが可能であり、近年ではデジタルを活用したデータードリブンマーケティングの領域にも注力する総合SPのソリューションカンパニーとして事業を拡大している。3. 市場規模と競合、同社の強みについて同社が主力とする販促用グッズの国内市場規模は年間3,000~5,000億円規模で、同社の市場シェアは2~3%程度と見られる。また、マスメディアやコンテンツまで含めたSP市場全体の規模は10兆円を超えており、これらが同社の事業領域として位置付けられる。こうした企業の販促活動にかかる予算は、業績動向に影響を受けやすい。業績が好調なときは販促費も積極的に投下される傾向にあるためで、同社にとっても追い風となる。販促用グッズ市場における競合企業としては、大手広告代理店や印刷会社、百貨店の外商部門のほか数多くの企業があり、競争が激しい業界となっている。同社は消費者目線に立った販促プロモーションの企画・運用力や、販促用グッズの国内外にわたる調達ネットワーク力、生産・品質管理能力だけでなく、SNSなどを活用したリアルとデジタルの融合など、多様な提案を行えるソリューション力を強みとしている。特に、ここ数年はSNSやLINEの普及によってデジタルプロモーションの需要が伸びている。2022年3月期の種類別売上構成比を見ると、グッズが全体の45.6%を占め、次いでデジタルが27.7%、ライセンス管理収入が13.0%となっている。最近は人気のIPコンテンツを使用した販促用グッズによるリアルなプロモーション施策に、デジタルマーケティング施策も絡めた複合案件が増加傾向にあり、全体の3~4割は複合型案件で占めているもようだ。大手広告代理店でも同様のリソースはあるものの、マスメディアを活用した提案に偏りがちで、実際の販売現場において直接的な売上増につながる販促プロモーションの企画力に関しては、同社が強みを発揮する分野となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/11 15:22 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(1):選挙関連機材のトップメーカー。新規事業の育成で事業拡大を図る ■要約ムサシ<7521>は選挙関連機材や金融関連機材の総合メーカーである。また、文書のデジタル化(メディアコンバージョン)事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機材においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化(メディアコンバージョン)事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長だ。1. 2022年3月期業績2022年3月期の連結業績は、売上高36,213百万円(前期比19.7%増※)、営業利益1,746百万円(前期は97百万円の損失)、経常利益1,848百万円(同24百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益981百万円(同28百万円の損失)となった。主力の選挙システム機材において、東京都議会議員選挙や衆議院選挙があったことから、売上高が前期比161.7%増となったことが業績を牽引した。他の事業も新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復もあり全般的に堅調であったが、金融システム機材は微減収となった。注力しているメディアコンバート事業(情報・産業システム機材の内数)は、主に官公庁からの受注が堅調に推移したことなどから、売上高は5,371百万円(同33.7%増)となった。好調な業績を反映して年間配当を40円(前期24円)に増配した。※今期より「収益認識に関する会計基準」等を適用している。前年同期は不適用であるが、影響は軽微であるため、前期比較の数値はそのまま用いている。以下、同様。2. 2023年3月期業績予想2023年3月期通期の連結業績は、売上高35,442百万円(前期比2.1%減)、営業利益1,157百万円(同33.8%減)、経常利益1,198百万円(同35.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益753百万円(同23.3%減)と予想されている。減益予想の要因は、主力の選挙システムが減収となるためだ。夏に参議院選挙が予定されているが、予算規模が衆議院選挙に比べて少額であることから、同セグメントは減収を見込んでいる。その他では、情報・産業システムは前期の反動で減収予想、印刷システムは新機種の投入で増収予想、金融システムは汎用システム(金融機関向け以外)の増加が見込めることから増収予想、紙・紙加工品は横ばい予想となっている。配当については、現時点ではベースである年間24円を予定している。3. 中長期の成長戦略現在、同社の収益の中心は選挙関連機材となっているが、この分野は安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、ある意味でシクリカルな事業と言える。そのため、メディアコンバート事業や業務用ろ過フィルター等、選挙サイクルと無関係な分野を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特にメディアコンバート事業については、世の中の「DX化」の流れの中で、官公庁における文書のデジタル化需要だけでなく、民間においてもコロナ禍の影響によるテレワークの浸透などで各種データや書類のデジタル化は必須となっており、中長期ではさらなる成長が見込まれる。足元の受注も好調のようで、今後の動向が注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/07/11 15:21 注目トピックス 日本株 CDG Research Memo(1):「IP×デジタル×リアル」による総合セールスプロモーション提案力が強み ■要約CDG<2487>は企業の販促用グッズの企画・製造販売からスタートし、現在は人気コンテンツライセンス(以下IPコンテンツ)を活用したコラボキャンペーン企画、Web及びソーシャルメディアなどのデジタルプロモーションに至るまで総合セールスプロモーション(以下、SP)のソリューションカンパニーとして事業展開を進めている。無借金経営で財務体質は良好。2019年11月に同業のCLホールディングス<4286>と資本業務提携契約を締結し、CLホールディングスが同社株式の44.2%を保有する筆頭株主となり、2022年12月期から連結対象子会社となった。なお、2022年4月の東京証券取引所の市場再編に伴い同社はスタンダード市場に移行している。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.1%減の11,261百万円、経常利益で同8.3%減の559百万円と減収減益決算となった。IPコンテンツの活用による高利益構造の構築やデジタルを活用したプロモーション企画、リアルとデジタルを組み合わせた複合型案件の獲得に注力した。売上高は飲料・嗜好品業界や情報・通信業界向けのプロモーション案件が好調に推移した一方で、前期にデジタルプロモーション施策で大きく伸長した流通・小売業界向け、並びに大型案件を受注した外食・サービス業界向けが反動減でそれぞれ大きく減少したほか、コロナ特需の反動で薬品・医療用品業界向けも落ち込んだことが減収要因となった。コスト改善に取り組んだこと等により売上総利益は同1.0%増となったものの、人件費を中心とした販管費の増加が経常利益の減益要因となった。2. 2022年12月期の業績見通し9ヶ月の変則決算となる2022年12月期の業績は、売上高で9,700百万円、経常利益で520百万円となる見通し。前年同期間との比較で見ると売上高で8.5%増、経常利益で13.0%増となる。飲料・嗜好品業界や情報・通信業界向けのプロモーション案件が引き続き増加する見込みとなっている。また、2021年秋にプロジェクトマネジメントツールを導入したことによるコスト改善やDX推進による業務効率向上が見込まれるほか、CLホールディングス傘下の(株)レッグスとの協業によるグッズなど仕入品の調達コスト削減効果等もあり、売上高営業率は前期の4.5%から5.4%に上昇する計画となっている。ただ、足元の状況はウクライナ危機に端を発したエネルギー価格や食材価格高騰の影響により、顧客企業の発注姿勢が慎重になってきているもようで、業績の下振れリスクとして留意しておく必要がある。3. 成長戦略同社は今後の成長戦略として、「IP(起点)×デジタル(接点)×リアル(体験)」を軸にした独自の総合提案力を強みに、商品・サービスの認知から購入、ファン化に至るまでのトータルプロモーションによる新たな価値提供を行うことで、顧客との長期的関係を構築しながら事業規模を拡大する方針である。また、新たな取り組みとしてプロモーション物販において、NFT(非代替性トークン)やSDGs関連グッズ等の商品開発もスタートしている。NFT商品の第1弾として、2022年4月にゴジラのオリジナル特撮画像(1セット5枚)を「LINE NFT」にて限定販売した。NFTにすることで同コンテンツが2次売買された際には版権元や同社にも一部収入が入るため、新たなプロモーション施策として需要が高まる可能性がある。また、同社は多様な顧客ニーズに迅速に対応するため、2022年4月に営業組織を機能別に再編成しており、それぞれの機能の強みを活かし、顧客との関係構築、売上深耕につなげていく考えである。当面の経営数値目標として売上高経常利益率10%の達成を掲げており、今後の成長が期待される。4. 株主還元策同社は配当政策に関して、財務の健全性とのバランスを考慮しつつ業績に応じた利益配分を行うことを基本とし、連結配当性向で30%を目安に実施する方針としている。2022年12月期は9ヶ月変則決算となるため前期比4.0円減配の20.0円(配当性向31.5%)を予定しているが、年換算すれば実質増加となる見通しだ。また、株主優待制度も導入しており、9月末の株主(100株以上)に対して保有期間に応じてQUOカード(500円または1,000円相当)を贈呈する(3年以上継続保有株主にはボックスティッシュ1ケースも含む)。■Key Points・2022年3月期は飲食・嗜好品業界、情報・通信業界、ファッション・アクセサリー業界向け等が2ケタ増収と好調に推移・2022年12月期業績は前年同期間比で増収増益を見込むが、景況感の悪化が懸念要因・ NFTやSDGs関連施策やグッズにも注力し、強みである「IP(起点)×デジタル(接点)×リアル(体験)」を軸に中期的な成長を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/11 15:21 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(9):配当性向30%を目安に機動的な株主還元を行う方針 ■株主還元策テノックス<1905>は、会社設立以来、業績の向上と財務体質の強化に努めることを経営の基本としてきた。そのなかで株主への還元については重要課題の1つとして位置付けており、業績や財政状態に加え、中期的な見通しも勘案したうえで安定的な配当を決定するという方針のもと、連結配当性向30%程度を目安に配当を実施することで、株主の期待に応えていく考えである。また、同社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としている。以上から、2022年3月期の1株当たり配当金を25.0円(中間配当10.0円、期末配当15.0円(うち普通配当10.0円、上場30周年記念配当5.0円))とした。また、2023年3月期の1株当たり配当金25.0円(中間配当12.0円、期末配当13.0円)を予定している。なお、同社は株主還元の一環として、2022年5月13日の取締役会において上限20万株とする自己株式の取得(取得期間2022年5月16日~2023年2月28日)、及び自己株式15万株の消却(消却予定日2023年3月24日)を決議した。今後もキャッシュ・フローを有効活用する観点から、自己株式の取得を機動的に行っていく考えである。■情報セキュリティ同社はプライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づき、個人情報の取扱いに関して、法令・ガイドラインの遵守や個人情報の適切な管理など必要な処置を講じている。また、セキュリティーポリシーに基づき、顧客情報をはじめとする各種情報や情報システムなどを重要な「情報資産」と位置付け、情報セキュリティ基本方針を定め、情報資産の保護に積極的に取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:19 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(8):基本戦略や提携などの成果をテコに中期経営計画の目標達成へ ■業績動向3. 中長期成長イメージ中期的には、物流施設やデータセンターなどの建設需要が好調を継続し、建築の杭工事や地盤改良工事は堅調である。大都市圏の道路網拡張工事、北海道新幹線延伸工事、大阪万博やIRのインフラ工事などが見込まれ、2024年3月期にかけて土木基盤の整備が最盛期を迎えることが予測されている。長期的にはリニア中央新幹線高架部分の基礎工事がターゲットに入ってくるが、重要構造物で地盤が非常に硬いため、テノックス<1905>のガンテツパイル工法はうってつけといえる。一方、鋼管など資源価格の高騰に対しては、鋼管杭からコンクリート杭へと提案の幅を広げる方針である。人通りが多いなかで残土をなるべく出したくない都市部では、同社が不得意とする場所打ち杭に代わって回転杭を使うケースを狙いたいようだ。環境面の要請から、残土の出ない環境的な工法のみならず、GTL燃料や二酸化炭素固定化技術へのニーズも非常に高まると考えられる。このように様々なケースに対応できるのは、同社のラインアップが豊富なためで、中期経営計画で進めてきた3つの基本戦略や近年の提携・M&Aの成果ということができる。こうした成果をテコに出遅れをカバーし、同社は中期経営計画の目標値(2024年3月期売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%)を達成する計画である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:18 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(7):大型案件に注力したことで工事利益率が改善 ■業績動向1. 2022年3月期の業績動向テノックス<1905>の2022年3月期の業績は、売上高14,817百万円(前期比6.9%減)、営業利益466百万円(同51.0%増)、経常利益516百万円(同55.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益357百万円(同106.5%増)と減収増益となった。期初計画比では、売上高で3,183百万円、営業利益で214百万円、経常利益で184百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で43百万円の未達だった。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期初から適用しており、適用する前と比べて売上高で470百万円減少している。日本経済は、度重なるコロナ禍の拡大により社会生活や経済活動に制約を受けたものの、ワクチン接種の進展などにより緩やかながらも回復に向けた動きが見られるようになった。しかし、原材料価格の高騰やウクライナ情勢などの影響により先行き不透な状況にもなっている。建設業界は、住宅投資が底堅く民間設備投資が持ち直し傾向にある。また、補正予算執行により公共投資が堅調に推移するなど、総じて回復基調にあった。しかし、先行き不透明感から中小規模の案件を中心に受注競争が激化して受注単価が下落、建設資材や燃料などの価格上昇もあって、業界環境は厳しい状況にある。このような環境下、同社は中期経営計画の初年度として、「設計提案から施工までの一貫体制の強化」と「顧客のニーズに応える付加価値の創出」に取り組むとともに、ESG経営を推進した。コロナ禍に関しては、一部の民間案件で着工時期の遅れがあったものの、施工において万全の予防体制を整備したため、結果的に大きな影響は生じなかった。また、建設資材の価格上昇に関しては、特に高騰している鋼材の価格転嫁を進めるとともに、提携先の日本ヒュームや日本コンクリート工業、子会社化した広島組のノウハウを活用して、鋼管杭からコンクリート杭へ提案の幅を広げている。2022年3月期の売上高は、大阪湾岸道路の土木杭工事や民間の大型物流施設の建築杭工事、大型火力発電所の地盤改良工事などが寄与したものの、地盤改良工事の中小案件の受注件数が減少したこと、「収益認識に関する会計基準」の適用などに伴う杭材料の売上高が圧縮されたことから減収となった。営業利益については、建設需要の先行き不透明感から競争環境が厳しかったうえ人員増などにより販管費が増加したが、大型工事へシフトしたことで工事利益率が改善したため増益を確保した。期初計画との比較では、売上高の未達は、予定していた大型工事の受注遅れや複数の工事の完成時期の後ズレが要因で、営業利益の未達は、工事利益率の改善や販管費の抑制は進んだものの、完成工事の遅れに伴う完成工事総利益の減少や設計・解析業務の受託減が要因である。セグメント別の業績は、建設事業が売上高14,428百万円(前期比5.9%減)、セグメント利益492百万円(同87.5%増)、土木建築コンサルティング全般等事業が売上高365百万円(同33.0%減)、セグメント損失33百万円(同75百万円減益)、その他の事業が売上高23百万円(同横ばい)、セグメント利益6百万円(同66.9%増)となった。建設事業は、民間物流施設の建築杭工事や電力施設の地盤改良工事が売上に寄与したものの、杭材料の売上圧縮や中小案件の地盤改良工事の受注減、一部工事の着工時期の遅れなどにより減収となった。営業利益は、売上減や競争激化の一方、大型工事を中心に工事利益率が改善したことで増益となった。土木建築コンサルティング全般等事業は、主に解析業務の受託件数が減少したことにより減収減益となった。その他の事業は、2020年3月期に開始した不動産賃貸が順調に推移した。建設事業のうち土木杭工事は、「大阪湾岸道路西伸部六甲アイランド高架橋下部工事」などが完成し、工事利益率も改善して増収増益となった。建築杭工事は、「(株)ベルーナ吉見ロジスティクスセンター増築工事」や「千客万来施設(6街区)新築工事」はあったが、前期に寄与した「東京レールゲートEAST整備事業」の反動により減収減益となった。地盤改良工事は、低採算の中小地盤改良工事の売上高は落ちたが、「五井火力発電所 発電設備建設工事」(履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識している工事)が寄与し、工事利益率も改善したため増収増益となった。商品その他は、「収益認識に関する会計基準」の適用により、在庫を持たない鋼管杭の販売は売上と認識しないことになり減収となったが、取扱高への影響が限定的で増益を確保した。海外事業は、ベトナムでロックダウンの影響が大きかったが、大型物件が2件完成したことにより増収増益となった。競争激化や資材価格の高騰など厳しい環境を想定2. 2023年3月期の業績見通し同社は2023年3月期の業績見通しについて、売上高17,500百万円(前期比18.1%増)、営業利益450百万円(同3.5%減)、経常利益500百万円(同3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益310百万円(同13.4%減)と増収減益を見込んでいる。日本経済は、ウィズコロナに即した取り組みが始まり、緩やかながら持ち直していくと期待される一方、コストプッシュインフレやウクライナ情勢の長期化により、引き続き先行き不透明な状況も続いている。建設業界においては、公共投資は微減が予想されるものの、都心再開発や大阪万博に関連する工事をはじめ、高速道路や鉄道などのインフラ整備や、足元で勢いのあるデータセンターや工場、回復感が出てきた物流施設、商業施設などの民間の設備投資の増加が見込まれている。一方、先行きの不安から受注競争は激しさを増し、建設資材価格の高騰、現場従事者の慢性的な不足、脱炭素への対応など課題も多い。そのような環境下で同社は、「設計提案から施工までの一貫体制の強化」として、川上営業と設計折り込み力の強化、連結子会社や業務資本提携した日本ヒュームや日本コンクリート工業とのコラボレーションによるシナジーの創出、「顧客のニーズに応える付加価値の創出」として、新技術・新サービスを開発し早期実用化を進める方針である。また、これらの課題に加えDXやESG経営を推進するため、2022年4月に経営戦略本部を立ち上げている。建設事業は、土木杭工事、建築杭工事ともに2022年3月期からずれ込んだ大型物件が売上高に寄与する見込みである。加えて、大阪万博やIRに向けて土木基盤の整備が最盛期を迎えることになるため、土木インフラや高速道路関係、モノレール延伸など関西インフラ強靭化プロジェクトの施工が強い動きを見せている。また、データセンターや物流施設に加え、これまで停滞していた工場やオフィスビルなどの案件も勢いを取り戻している。海外も、コロナ禍の影響で停滞していたベトナムのプロジェクト案件が既に動き出している。このため、売上高は2ケタの強い伸びが予想される。一方、営業利益は減益予想となっている。業界の先行き不安から受注競争が激しさを増すこと、建設資材や燃料などの価格高騰の影響を受けることなどを想定しているためである。人件費の上昇などゼネコンの業況にも厳しさが表れているため、値上げを想定することも容易ではないもようで、同社としてはコストプッシュインフレをかなり強く意識したと思われる。その分保守的な前提になっている可能性が高いうえ、建設業界全体で値上げ方向に動いているものの、収益環境の改善は、秋口の物価などを確認するまで見通しが立ちにくい状況が続きそうだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:17 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(6):出遅れ感はあるが、中期経営計画の取り組みは着実に進行 ■テノックス<1905>の中期経営計画3. 中期経営計画の進捗中期経営計画がスタートして1年を経過したが、コロナ禍やコストプッシュインフレなどの影響に加え、一部で工事発注が遅延しているため、経営数値目標に対して出遅れた感じがあることは否めない。ただし、3つの基本戦略に沿った取り組みに関しては着実に進行している。以下に述べる、GTL燃料の導入や既存杭引抜き時の地盤改良技術の確立、国土強靭化・リダンダンシープロジェクトへの貢献、健康経営の推進などである。(1) GTL燃料の導入を開始同社は、GTL燃料を基礎工事業界で初めて建設現場に導入した。GTL燃料は石油由来の軽油に代わるクリーンな燃料で、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量を約8.5%削減するほか、無色無臭で燃やしても煤が出にくく、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)といった大気汚染物質を低減することができる。東京機材センターにおいてクレーンやゼネレーターで試験運用を進めてきたが、2021年11月に地盤改良工事現場で運用を開始、これまでに7件で使用し、燃費や特性などを検証しているところである。クリーン化のコストが大きく増えないことからゼネコンや設計事務所の関心も高く、同社は差別化技術として順次拡大する方針である。(2) 既存杭引抜き時の地盤改良技術の確立既存建物を解体する際、建物を支えてきた杭(既存杭)の撤去後に杭孔の埋戻し処理を適切に行わないと、孔曲がりや孔壁崩壊など新設杭の品質確保に影響を及ぼす。同社は、杭の撤去と同時に埋戻し処理を行い、周辺地盤の緩みを防止して原地盤程度の強度に復旧・安定させる地盤改良技術の確立に取り組んでおり、現在、現場試験施工を行っているところである。また、原地盤程度の強度を確保する方法として産業副産物を用いた材料を活用していくことを検討しており、将来的に関東と関西を皮切りに事業展開することを考えている。(3) 国土強靭化、リダンダンシープロジェクトへの貢献北陸新幹線延伸工事での実績を背景に、国土強靭化やリダンダンシープロジェクトへの同社の参画が増えている。2021年に北海道新幹線の延伸事業の工事第一弾として「北海道新幹線、市渡高架橋他」の基礎工事を受注した。同社にとって今後の鉄道基礎工事の受注につながる重要案件という位置付けで、2022年7月よりガンテツパイル工法の施工を開始する。また、「大阪湾岸道路西伸部」や「新名神高速道路」、「大阪モノレール延伸」など、関西インフラ強靭化プロジェクトの基礎工事の受注・施工も開始した。近年頻発する豪雨災害に対しては、水処理施設・排水機場・ポンプ場など国土交通省が注力している施設の整備へ向けて、鋼管杭やコンクリート杭などを使用した設計提案を強化しているところである。(4) 二酸化炭素固定化技術の開発同社は、日本コンクリート工業との業務資本提携の一環として「PAdeCS研究会」に加盟、コンクリートスラッジ由来の脱リン材「PAdeCS」製造時に二酸化炭素を封入して生成されるエコタンカルを基礎工事の施工に使用するための技術の開発を進めている。セメントの代わりに一部エコタンカルを使うことで、地盤改良の際にエコタンカル1トン当たり440キログラムの二酸化炭素を、特別大きなコストをかけずに固定化できる技術である。現在試験施工中で、将来的に基礎工事における「脱炭素」の流れをけん引する技術だと考えられている。(5) 健康経営の推進2022年4月にDX推進やESG推進の旗振り役として経営戦略本部を立ち上げた。健康経営を推進することも目的の一つである。「働き方改革関連法」施行に伴う、労働時間の上限規制、正規・非正規社員の同一労働同一賃金、時間外割増賃金率引き上げといった建設業の「2024年問題」に対応する目的もあるが、それだけにとどまらず、人口減少社会における人材確保、従業員一人ひとりに対するメンタル・フィジカル両面からのケアサポート、ひいてはESG経営の推進を目的としている。直近では、働きがいを実感できる職場環境づくりとして、コミュニケーションの促進や業務の効率化などを目的に東京機材センター・テノックス技研の事務所を改装、Web会議やペーパーレス会議に向けて本社の全会議室にWeb会議用モニターと無線LANを導入、生産性を向上させる新基幹システムの導入プロジェクトを推進、人事制度改定プロジェクトも始動した。こうした健康経営への取り組みが評価され、2022年2月に全国健康保険協会東京支部より「健康優良企業 銀の認定」を取得した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:16 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(5):建設需要の変化に適応した高付加価値を創出 ■中期経営計画1. 長期ビジョンテノックス<1905>は、2018年度に長期ビジョン(目指すべき企業像)を策定、「人間尊重、技術志向、積極一貫」という経営理念をバックボーンに、変化する社会のニーズに適応した技術革新に積極的に取り組むことで新たな価値と市場を創出し、基礎工事を通して社会に「安全」と「安心」を提供し、すべてのステークホルダーが豊かさを実感できるサステナブルな企業を目指している。長期ビジョンの実現への橋頭保づくりを目指した前中期経営計画(2018年度~2020年度)は、東京オリンピック・パラリンピック後の受注環境の変化やコロナ禍の影響などにより、対応が道半ばとなった。このため、創立50周年の2020年にPhase2と位置付ける中期経営計画(2021年度~2023年度)を策定した。少子高齢化による新設工事の減少やインフラ維持、激甚災害への対策強化といった建設需要の変化や、働き方改革や生産性向上を目的とする省力化・自動化・デジタル化、先行き不明瞭な環境などに「適応」することで、新たな50年の礎となる高付加価値を追求し、2024年度スタートの次期中期経営計画のサステナビリティ経営の高度化につなげていく計画である。基本戦略は開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略2. 中期経営計画中期経営計画では、スローガンを「進取の気性」とし、ニーズに適応した高付加価値を創出し、社会課題の解決や企業価値の向上につなげる方針である。そのため、開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略の3つを基本戦略とし、新しい時代の社会や生活様式への「適応力」を高めていく考えである。開発戦略では、基礎分野における高付加価値の創出により社会が安心できる信頼性を確立し、環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献する。営業・施工戦略では、設計提案から施工まで一気通貫したサプライチェーンの実現や開発途上国の社会インフラ整備に貢献する。ESG戦略では、社会課題の解決や企業価値の向上などに積極的に取り組み、サステナビリティ経営の高度化を目指す。3つの基本戦略により、国土のリダンダンシー※整備事業(高速鉄道整備事業及び高速道路整備事業)で基礎工事を確保するとともに、民間建築事業では営業領域を拡大、ベトナムなど海外では基礎工事を本格的に展開する方針である。また、「VCCS」の利用拡大と標準化、ICT施工技術の積極導入、M&Aや業務資本提携を生かした業容拡大なども進める計画である。これにより2024年3月期を最終年度に、前中期経営計画の目標値であった売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%に再チャレンジする考えである。なお、中期経営計画で順調に増加する見込みのキャッシュ・フローに関して、同社は成長投資と株主還元に戦略的かつバランスよく配分する方針である。なかでも成長投資については、手元資金や自己株式の活用、必要に応じて社債の発行や借入により、3年間で35億円を計画している。内容は、施工機械や研究開発・実験工事、ICT技術導入、海外事業投資、基幹システム刷新、カーボンニュートラルへ向けた整備など多岐にわたる。※リダンダンシー(Redundancy):「冗長性」や「余剰」を意味する。国土計画上では、自然災害などによる障害発生時に、一部区間の途絶や一部施設の破壊が全体の機能不全に繋がらないよう、交通ネットワークやライフラインなどインフラをあらかじめ多重化したり、予備の手段を用意したりすること。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:15 注目トピックス 日本株 日本プロセス---22年5月期は増収・2ケタ営業増益、自動車システムが順調に推移 日本プロセス<9651>は7日、2022年5月期連結決算を発表した。売上高が前期比4.0%増の79.47億円、営業利益が同10.5%増の7.75億円、経常利益が同0.6%増の8.08億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.1%減の5.32億円となった。制御システムの売上高は前期比2.9%減の14.08億円、セグメント利益は同17.8%減の3.30億円となった。火力発電所向け監視・制御システムは作業量が減少したが、再生可能エネルギーシステムで新規案件を受注し好調に推移した。在来線の運行管理システムは、前期より継続している大規模請負案件が順調に推移した。また、海外高速鉄道の運行管理システムは横ばいとなった。自動車システムの売上高は前期比3.6%増の18.71億円、セグメント利益は同4.4%増の4.90億円となった。自動運転/先進運転支援関連は新型コロナウイルス感染症の影響に加え、開発案件の端境期となったため一部体制を縮小した。また、電動化案件は、開発規模の拡大が継続し受注量が増加した。特定情報システムの売上高は前期比8.2%増の7.39億円、セグメント利益は同8.0%増の1.65億円となった。衛星画像関連と自動運転/先進運転支援関連の画像認識/識別案件が好調に推移した。また、危機管理関連は大規模請負案件で体制を拡大した。組込システムの売上高は前期比13.4%増の12.23億円、セグメント利益は同29.8%増の2.84億円となった。ストレージデバイスは既存製品、新ストレージ開発とも担当範囲の拡大に伴い体制を拡大し好調に推移した。一方、IoT建設機械関連は開発案件の谷間となり減少した。産業・ICTソリューションの売上高は前期比3.1%増の27.05億円、セグメント利益は同7.1%増の5.10億円となった。航空宇宙関連は大型リプレース案件で体制を拡大し好調に推移した。システム構築関連はクラウドシステム構築案件の獲得を強化したことや、開発環境構築案件が増加したことなどで、好調に推移した。社会基盤関連は消防システムが堅調に推移した。2023年5月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比5.7%増の84.00億円、営業利益が同0.6%増の7.80億円、経常利益が同2.7%増の8.30億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.4%増の5.35億円を見込んでいる。また、配当予想について前期実績の1株当たり33.00円から1円増配し、34.00円とする予定を発表した。 <ST> 2022/07/11 15:14 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(4):コンクリート杭工事や浅層地盤改良工事、既存杭引抜き工事事業へ業容拡大 ■事業概要3. 事業領域の拡大近年テノックス<1905>は、M&Aや提携により事業領域の拡大を進めている。同社は鋼管杭工事と深層地盤改良工事の両方を主力として行っているが、これにコンクリート杭や浅層改良など工法のラインアップを増やし、さらに既存杭の引抜き工事などへ営業領域を広げることができれば、顧客に対してワンストップで総合的な施工技術の提案が可能となる。したがって、ラインアップの拡充は受注に有利に働くことになり、将来予想される建設需要減少への対策にもなる(工法が全く異なるため、場所打ち杭には進出しない方針である)。2020年10月に、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど、長年関西を拠点に杭工事や地盤改良工事、杭引抜き工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(株)(2021年2月広島組と合併)を完全子会社化した。広島組の持つ営業地盤と杭引抜き工事技術の取り込みが最大の目的である。2020年12月には、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭による建築基礎市場の再強化につながる提携といえる。また、2021年1月には、日本コンクリート工業と業務及び資本提携契約を締結した。提携の目的は、基礎工事分野での協同業務に加え、日本コンクリート工業の持つ二酸化炭素固定化技術を活用することで、脱炭素及び産業副産物を活用した循環経済に参画することにある。業務及び資本提携をした2社とは、株式を相互に保有することで長期的な提携関係の構築を目指している。設計から施工まで一貫した体制で高い品質を実現4. ビジネスモデルと強み以上のように、様々なケースに対応できるラインアップは、同社の強みということができる。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムで確認できる施工管理装置「VCCS」を多くの現場に導入、テノコラム工法では工事開始直後に4週後の強度を予測する「促進養生システム」を開発するなど、どのような現場でも安定した施工品質を確保することができる。また、子会社で工事技能者集団や機材を提供しているため、工程に合わせた安全確実な工事進行も可能となっている。こうした安全確実で高い施工品質も同社の強みといえる。ところで、建築構造物や土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請、総合建設業者)が下請けを取り仕切って進める。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから発注を受けるが、基礎工事は最初にして最重要の工程であるため、発注を前に設計業者(設計コンサルタント・設計事務所)から直接引き合いが来ることが多い。その際同社は、設計業者にラインアップや施工品質などをアピールし工法を提案することができる。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに、ゼネコンは専業企業である同社に(100%とは言えないが)発注し、同社は工事完成後にゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けということになるが、バリューチェーンという観点からは設計業者と直接つながる形になっている。同社の場合、豊富な経験とノウハウ、設計から施工まで一貫した体制による高い品質などから、技術提案が設計に反映されることが多く、そのためゼネコンから発注を受ける機会が多くなっているようだ。これを同社は「折り込む力」と呼び、同社の強みということができる。つまり、同社のビジネスモデルは、ラインアップ、施工品質、「折り込む力」という3つの強みを柱に構成されているということができる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:14 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(3):時代の要請に合わせてラインアップを拡充 ■事業概要1. 事業内容テノックス<1905>は基礎工事のなかでも、高架橋など土木構造物や中低層ビルなど建築構造物における鋼管杭工事と、柱状改良による深層地盤改良工事を得意としている。様々な地盤や構造物、施主の要望に対応する必要があるため、多彩な工法や施工ノウハウを駆使し、着実で最善の基礎工事を提供している。近年では時代の要請に合わせて、コンクリート杭や既存杭の引抜き工事などラインアップを拡充している。また、子会社のテノックス技研と広島組は同社とともに基礎工事に特化した建設事業を営んでおり、同社に対して機材の賃貸を含む施工協力を行っている。海外では、TENOX ASIAがベトナムで建設事業を行っている。売上高の大半がこうした建設事業で占められるが、ほかに複合技術研究所が土木建築コンサルティング全般等事業を、その他の事業として不動産賃貸事業などを行っている。鋼管杭工事と深層地盤改良工事を得意とする2. 建設事業建設事業の中身は年度によって割合が異なるが、鋼管杭工事と柱状改良による深層地盤改良工事が大半を占める。同社が対象とする構造物は、戸建て住宅から工場、物流施設、中低層ビル・マンションなどの建築構造物、及び道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留、擁壁、鉄塔などの土木構造物で、目的は、建築物を支えるだけでなく、耐震力補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制なども含まれる。主な工法は、杭工事がTN工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法、CMJ工法など、地盤改良工事がテノコラム工法、地盤補強工事がピュアパイル工法である。TN-X工法とピュアパイル工法は建築構造物だけを対象としているが、その他の工法は土木構造物にも利用される。以下に主要な同社工法の詳細を示す。(1) ガンテツパイル工法(杭)日本製鉄<5401>、クボタ<6326>と共同で研究開発した工法。地盤にセメントミルクを注入し地盤を撹拌・混合して造成される固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管を圧入するハイブリッドな合成杭を築造する。特長は、ソイルセメント柱による大きな鉛直・周面支持力を発揮し、少ない本数で基礎構造物を支えることができることと、鋼管杭の高い靭性という2つの特性を同時に生かせること、地盤を有効に利用し固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、その結果、建設費の抑制や工期の短縮が可能になることなどである。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設など土木分野で幅広く利用されている。(2) TN-X工法(杭)日本製鉄と共同で研究開発した工法で、油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に拡大根固め球根を築造することで大きな支持力を得る高支持力鋼管杭を築造する。2005年に国土交通大臣認定を取得、大きな杭耐力を必要とする大型物流施設、ホテル、マンション、データセンター、庁舎、病院、空港施設などの重要建築構造物に採用されている。特長は、杭先端部の最大径2,400mmの根固め球根によって最大17,900kN※1の高い先端支持力が得られるため少ない本数で大型構造物を支えることができること、鋼管杭の高い靭性から大地震に強いこと、中掘り方式を採用することで、低排土かつΦ1,400mmの大口径鋼管杭を70m(施工長)の深度まで施工が可能なこと、掘削深度や掘削速度、セメントミルク※2注入量、拡縮翼径などリアルタイムのモニタリングによる品質管理が可能なことなどである。※1 kN(キロニュートン):荷重を表す単位。おおむね10kN=1ton。※2 セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。(3) ATTコラム工法(杭)旭化成建材(株)と共同で研究開発した工法。ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中央に羽根付き鋼管杭を埋設するハイブリッド工法である。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果による大きな周面摩擦力と高い靭性で、軟弱地盤上での高い支持力を期待できること、後述するテノコラム工法を応用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどである。摩擦杭やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用される一方、中低層建築物や歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用できるうえ、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応しているため高く評価されている。(4) テノコラム工法(地盤改良)建築物の基礎工法として地盤改良が認知される先駆けとなった工法で、1984年に同社独自で特許を取得した。スラリー※状にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に撹拌混合することでソイルセメントコラムを築造する。特長は、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、コラム径や施工機械のラインアップが幅広く施工仕様や現場条件に合わせられること、リアルタイム施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音で周辺環境への影響が低く、地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることなどである。戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎として採用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まった。このため、これまでの施工実績は約3.9万件に達する。※スラリー:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:13 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(2):基礎工事で国内トップクラスの技術力を誇る ■会社概要1. 会社概要テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。建設事業では、戸建て住宅やマンション、商業施設、物流施設、工場、病院、データセンターなど中低層の建築構造物や、道路・鉄道の橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留などの土木構造物を建設する際の、杭工事や地盤改良工事といった基礎を請け負っている。杭工事と地盤改良工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴といえる。基礎工事は、構築物が主に地下にあるため一般の目に届かず地味な印象を受けるが、文字どおり日本の基礎を支える重要な工事であるため、施工への信頼が大きな前提となる。そうした業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培ってきた経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内トップクラスの技術力を誇る。こうした同社の経験やノウハウは、社会的にも大きな財産と言っても過言ではない。なお、子会社で土木コンサルティングや海外展開なども行っている。工法のラインアップを急速に拡充2. 沿革同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現旭化成<3407>)の代理店としてコンクリート杭の販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得、1984年には現在もなお全国各地で広く使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした技術力を背景に1980年代後半から1990年にかけて、同社は営業拠点網を全国に拡大していった。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法などを開発し各種認証を次々と取得していった。また、同年に(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称、1997年には(株)複合技術研究所を設立している。さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA CO.,LTD.を設立、2018年にはテノコラム工法でベトナムの技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化している。その後、創立50周年を迎えた2020年には基礎工事の(株)広島組をM&A、同年コンクリート杭の日本ヒューム<5262>、2021年に同じくコンクリート杭のメーカーで二酸化炭素固定化技術を持つ日本コンクリート工業<5269>と業務資本提携をするなど、コロナ禍において業容を急速に拡大した。2022年5月末時点では、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに東京機材センター・試験研究室、国内外に関連子会社5社を有する規模となった。ちなみに、同社は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて「TENOX」と名付けられている。信頼が大前提の基礎工事3. 基礎工事とは基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。建築構造物などは安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えねばならず、地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事が必要とされる。日本は地震が多い上、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎(地盤改良を併用した直接基礎を含む)と支持層が深い場合の杭基礎に分けられ、そのほか軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な基礎工法がある。直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)、基礎を直接地面に建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い深層改良があり、いずれも原地盤に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は杭の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤との摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また、製造方法によって、工場で製造され均一性や施工の容易さに特徴のある既製杭と、工事現場で製造するため施工管理が大変だが、杭径の大きさなど自由度の高い、場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、高層ビルなど重量の非常に重い構造物や既製杭の施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。既成杭は材料によって、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高い鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けるなど支持力を高める工夫や、ソイルセメントと鋼管のいいとこ取りをしたハイブリッドな合成杭の利用なども可能となっている。基礎工事の対象は様々な地盤に建つ戸建て住宅から高層ビルや橋梁まで大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も大企業から中小企業まで数が多い。また、基礎工事では地中が目視できない分、品質が良くて当たり前という施工への信頼が非常に重要な前提条件となる。近年、大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事は一般の人からの注目も増している。そうした業界で、同社のように杭工事と地盤改良工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴となっている。同社は、既製鋼管杭工事と深層地盤改良工事を得意としているが、近年、業務資本提携などによりコンクリート杭や浅層地盤改良工事、既存杭の引抜き工事などラインアップを拡充している。また、施工品質の信頼を高めるため、施工管理システムの開発なども行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:12 注目トピックス 日本株 三井松島ホールディングス---連結子会社株式の追加取得を発表 三井松島ホールディングス<1518>は8日、連結子会社である日本カタンの株式全てを同社に売却できる権利(プットオプション)を行使する旨の通知を、エンデバー・ユナイテッド投資事業有限責任組合から受領したと発表した。同社グループは、2018年11月に策定した中期経営計画(5ヵ年)に沿って、非石炭生産事業へ積極的に投資していく方針を掲げており、その一環として、2022年5月9日に日本カタンの株式50.06%を取得し、連結子会社化していた。今回、同社とエンデバー・ユナイテッドが締結した株主間契約に基づき、エンデバー・ユナイテッドがプットオプションを行使したため、同社はエンデバー・ユナイテッドが保有する日本カタンの株式全て(48.58%)を追加取得することとした。取得株式数は26,200株で、取得価額は約18.7億円、異動後の所有株式数は53,200株、追加取得資金は全額を手元現預金により手当てする予定。 <ST> 2022/07/11 15:11 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(1):中期的に事業環境の好転が見込まれる ■要約1. 杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化テノックス<1905>は、杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化した建設事業を行っている。基礎工事は、住宅や商業施設、物流施設、工場、高速道路、鉄道高架橋などの構造物を目に見えない地下で支えており、品質が良くて当たり前という施工への信頼が大きな前提となっている。近年、大地震への備えや、頻発する大型台風や集中豪雨など自然災害に対する防災意識の高まりなどから、一般の人にも注目される業界になってきた。なかでも同社は、業界のパイオニアとして、中低層建築物向けに広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内有数の技術力と信頼を誇っている。同社の売上高の大半がこうした国内の基礎工事だが、子会社で土木コンサルティングや海外事業も行っている。2. 強みを背景に設計から施工まで一貫体制を構築同社は鋼管杭工事と深層地盤改良工事を得意とし、戸建て住宅やマンション、商業施設、物流施設、工場、病院、データセンターなど中低層の建築構造物や、道路・鉄道の橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留などの土木構造物の基礎を支えてきた。近年は、M&Aや資本業務提携などによって、コンクリート杭工事や浅層地盤改良工事、既存杭の引抜き工事関連などラインアップを拡充、ワンストップで総合的な提案が可能となっている。同社の強みはこうした豊富なラインアップに加え、施工管理装置「VCCS」や施工状態を早期確認する「促進養生システム」などを背景とした安定した施工品質、ゼネコンからの受注を前に設計業者に技術を提案・アピールできる「折り込む力」にある。同社は、こうした強みを背景に、設計から施工までの一貫したビジネスモデルを構築している。3. 中期経営計画の基本戦略に沿ったプロジェクトは順調2022年3月期初に策定した中期経営計画では、開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略の3つの基本戦略によって、変化する社会のニーズや生活様式への「適応力」を高めていく考えである。これにより2024年3月期に、前中期経営計画の目標値であった売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%の達成に再チャレンジしている。中期経営計画がスタートして1年経過したが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によりやや出遅れた感じは否めない。だが、軽油に代わるクリーンなGTL(Gas to Liquids)燃料を基礎工事業界で初めて建設現場に導入したほか、既存杭引抜き工事の際に周辺地盤の強度を復旧・安定させる地盤改良技術の確立、北海道新幹線延伸事業や関西インフラ強靭化プロジェクトの受注など、3つの基本戦略に沿ったプロジェクトが順調に進捗している。4. 短期的には厳しいが、中長期的に事業環境好転の見通し2022年3月期の業績は、売上高14,817百万円(前期比6.9%減)、営業利益466百万円(同51.0%増)となった。工事の遅延や収益認識に関する会計基準の適用などにより減収となったが、工事利益率の改善などにより営業増益を確保した。同社は2023年3月期の業績見通しについて、売上高17,500百万円(前期比18.1%増)、営業利益450百万円(同3.5%減)を見込んでいる。建設需要に回復の兆しが見えてきているため増収見込みだが、受注競争の激化や建設資材価格の高騰などを背景に営業減益予想となっている。短期的にはこのようにやや厳しい事業環境が続くが、中長期的には関西の土木案件や民間の設備投資関連、リニア中央新幹線関連など事業環境の好転が見込まれている。足元は、基本戦略や提携をテコに中期経営計画の目標達成を目指している途上にある。■Key Points・施工への信頼が前提となる基礎工事を専業とする業界のパイオニア・豊富なラインアップなどの強みを背景に設計から施工までの一貫体制を構築・基本戦略や提携などをテコに中期経営計画の目標達成を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/11 15:11 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~グローバルW、グローバルWがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月11日 14:31 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<9424> 日本通信       25073200  2958420  747.52% 13.43%<2158> FRONTEO    5426500  668760  711.43% 15.35%<5025> マーキュリーRI   288600  44920  542.48% 15.81%<9251> AB&C       206600  37160  455.97% 9.11%<4596> 窪田製薬HD     13596600  2821980  381.81% 18.06%<7730> マニー        1337900  330200  305.18% 10.86%<3402> 東レ         25150500  6232180  303.56% -5.19%<3815> メディア       593900  149400  297.52% -0.48%<7085> カーブスHD     1018800  279740  264.20% 1.78%<4575> CANBAS     9075200  2557080  254.90% 18%<2524> NZAM       TPX  43010  1215200.00% 2.5393%<2685> アダストリア     1806000  525720  243.53% 2.02%<2987> タスキ        308500  91280  237.97% 8.67%<4992> 北興化        424200  126900  234.28% 4.36%<8125> ワキタ        292500  88540  230.36% -6.57%<3936>* グローバルW     2195600  704740  211.55% 8.08%<4371> CCT        84900  27580  207.83% 4.16%<8194> ライフコーポ     384700  144060  167.04% 1.28%<6379> レイズネク      137600  52280  163.20% 3.41%<4362> 日本精化       63900  24320  162.75% 3.49%<9278>* ブックオフGHD   182400  70160  159.98% 4.18%<7921> TAKARAC    113100  43560  159.64% 1.04%<6777> SANTEC     26200  10120  158.89% 3.26%<2395> 新日科学       1517200  594720  155.11% 4.2%<3655> ブレインパッド    191200  75280  153.99% 4.17%<6552>* GameWith   275900  110340  150.05% 9.54%<1884> 日道路        21300  8540  149.41% 7.84%<6506> 安川電        3857400  1647620  134.12% -5.17%<1305> ETFTPX     445080  191812  132.04% 1.32%<9601>* 松竹         51500  22500  128.89% 3.6%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2022/07/11 14:49 注目トピックス 日本株 アウンコンサル---急伸、今期経常損益は3期ぶり黒字転換見込みに アウンコンサル<2459>は急伸。一時39円高まで上昇している。先週末に未定としていた22年5月期の業績見通しを公表、経常損益は前期1.47億円の赤字に対して、300万円の黒字になったもよう。3期ぶりの黒字転換となる。官公庁・自治体向けなどは需要が堅調に増加しているもようであるほか、為替差益の計上なども寄与したようだ。なお、第3四半期累計では1700万円の赤字であった。 <TY> 2022/07/11 14:05 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(13時台)~FRONTEO、日本通信などがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月11日 13:31 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<2158> FRONTEO    5426500  668760  711.43% 15.35%<9424> 日本通信       23475600  2958420  693.52% 13.43%<5025> マーキュリーRI   259800  44920  478.36% 17.65%<9251> AB&C       177900  37160  378.74% 8.86%<3815> メディア       552800  149400  270.01% -1.2%<3402> 東レ         22753500  6232180  265.10% -4.92%<7730> マニー        1159700  330200  251.21% 10.58%<7085> カーブスHD     915700  279740  227.34% 2.81%<2685> アダストリア     1645300  525720  212.96% 1.72%<8125> ワキタ        274100  88540  209.58% -6.23%<2987> タスキ        278900  91280  205.54% 9.06%<4596>* 窪田製薬HD     8504400  2821980  201.36% 13.89%<4371> CCT        81800  27580  196.59% 4.88%<4575>* CANBAS     7548400  2557080  195.20% 20.03%<4992> 北興化        365000  126900  187.63% 4.36%<4362> 日本精化       63000  24320  159.05% 3.12%<6379> レイズネク      133600  52280  155.55% 3.24%<8194> ライフコーポ     352800  144060  144.90% 1.16%<3655> ブレインパッド    180500  75280  139.77% 4.07%<7921> TAKARAC    104200  43560  139.21% 1.42%<2395> 新日科学       1401700  594720  135.69% 4.45%<1305> ETFTPX     441890  191812  130.38% 1.35%<6777> SANTEC     22900  10120  126.28% 3.38%<7148> FPG        908300  417400  117.61% 3.88%<1884>* 日道路        17700  8540  107.26% 7.52%<1369> DIAM225    8008  3866.2  107.13% 0.77%<9262> シルバーライフ    57600  28400  102.82% -2.26%<6506>* 安川電        3287300  1647620  99.52% -4.51%<3760> ケイブ        231400  118200  95.77% -1.53%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <FA> 2022/07/11 13:53 注目トピックス 日本株 アダストリア---大幅続伸、第1四半期は想定以上の大幅増益に アダストリア<2685>は大幅続伸。先週末に第1四半期決算を発表、営業利益は45.7億円で前年同期比7.3倍と急拡大、据え置きの通期計画100億円、前期比52.3%増に対する進捗率は45.7%にまで達している。30億円程度の市場コンセンサスを大幅に上回ったほか、会社計画も上回る着地となったもよう。新規連結のゼットンを始め、主に国内外子会社の収益が想定を上振れたとみられている。 <TY> 2022/07/11 13:45 注目トピックス 日本株 北興化学---大幅続伸、営業益は上半期大幅増益で通期計画を超過 北興化学<4992>は大幅続伸。先週末に上半期決算を発表、営業利益は33.4億円で前年同期比59.1%増益となり、通期計画の29億円、前期比1.2%増を超過する状況となっている。主要3分野(樹脂、医農薬および電子材料)の販売が好調に推移したほか、原材料価格上昇を踏まえた国内、中国での価格改定も寄与し、ファインケミカル事業が大幅増益になっている。また、農薬事業も輸出中心に販売が好調であった。 <TY> 2022/07/11 13:25 注目トピックス 日本株 ワキタ---急落、第1四半期2ケタ減益決算をネガティブ視 ワキタ<8125>は急落。先週末に第1四半期決算を発表、営業利益は14.5億円で前年同期比17.6%減となっている。通期計画60億円、前期比9.0%増との比較から、2ケタ減益決算をマイナス視する動きが先行。株価が高値圏にあったこともネガティブインパクトを強めさせているようだ。レンタル資産の高水準投資を積極的に進めたことなどで、建機事業の利益率が悪化した。 <TY> 2022/07/11 13:05 注目トピックス 日本株 マニー---急伸、通期業績・配当計画を上方修正 マニー<7730>は急伸。先週末に第3四半期決算を発表、累計営業利益は45.4億円で前年同期比6.4%増となり、通期予想は従来の58.9億円から61.5億円、前期比15.0%増に上方修正している。欧州、アジア地域などでの需要回復、為替の円安などが上振れ要因につながったようだ。上半期上振れ着地の経緯からサプライズは限定的だが、株価は下落基調が続いていたため、見直し材料につながる形。なお、年間配当金も従来計画25円から30円に引き上げ。 <TY> 2022/07/11 12:49 注目トピックス 日本株 クリアル--- GALICIAマンションシリーズを展開しているBRIと業務提携契約を締結 クリアル<2998>は8日、BRIと業務提携契約を締結したことを発表。BRIは、東京都心で開発・管理を一貫して行うハイグレードの投資用レジデンス「GALICIAマンションシリーズ」を展開している。同社は、クラウドファンディングを活用した不動産ファンドオンラインマーケットの「CREAL」及び機関投資家や超富裕層向けの資産運用サービスの「CREAL Pro」を展開している。同社は、「CREAL」に安定的により多くの案件を供給するため、東京都心部のレジデンス等開発・運用の豊富な実績を有し、高品質のレジデンス開発に強みをもつBRIと連携する。同社は、「CREAL」の投資家により多くの投資機会を提供するため、多くの企業とパイプライン提供に関わる契約を締結している。今回の業務提携もそ <ST> 2022/07/11 12:40 注目トピックス 日本株 パシフィックネット---インストール自動化システム「MARgic」(マージック)の提供開始を発表 パシフィックネット<3021>は8日、リユースPCへのOSのインストール自動化を目的とした、同社独自のシステム「MARgic」を開発したと発表。同システムは、再生PC 用の OS インストールがわずか3ステップで完結するという特徴を持つとしている。再生PCの生産現場(主に再生用OSのインストール)では、専門知識を持ったエンジニア等、作業スタッフ人材の確保が難しいこと、機種ごとのマスター作成に係る工数が多いこと、またそのノウハウが乏しい、といった課題が挙げられるという。同社は、再生PC事業者へ同システムおよびサーバー等を提供することにより、これらの課題を解決し、再生PCの生産台数の向上とコスト削減を支援するとともに、多くの事業者に利用されることで、PCのリユースを促進し環境の保全にも貢献していくとしている。 <ST> 2022/07/11 12:37 注目トピックス 日本株 ファーストコーポレーション---22年5月期は2ケタ増収増益、期末配当金の増配を発表 ファーストコーポレーション<1430>は8日、2022年5月期決算を発表した。売上高が前期比44.3%増の301.78億円、営業利益が同15.2%増の19.19億円、経常利益が同17.6%増の18.91億円、当期純利益が同12.8%増の12.69億円となった。同社は、新中期経営計画(3カ年計画)「Innovation2021」を策定しその達成に向け全社一丸となり取り組んでいる。今後も業容拡大と利益水準向上への継続的な取り組み及び新たな価値創出により持続的な成長を目指していくとしている。当年度においては、新ジャンルの分譲マンションプロジェクト「ウェルビーイングシティ構想」を始動し、第1弾「CANVAS南大沢」を推進している。マンションという「住まい」を提供するだけでなく、住まう人々の豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献していくとしている。2023年5月期通期の業績予想については、売上高が前期比7.2%減の280.00億円、営業利益が同6.5%増の20.44億円、経常利益が同5.8%増の20.00億円、当期純利益が同8.0%増の13.70億円を見込んでいる。また同日、2022年5月期の期末配当について、2022年5月期の業績等をふまえ、従来予想より1.00円増配し、1株当たり32.00円とすることを発表した。 <ST> 2022/07/11 12:35

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