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テノックス Research Memo(6):出遅れ感はあるが、中期経営計画の取り組みは着実に進行
配信日時:2022/07/11 15:16
配信元:FISCO
■テノックス<1905>の中期経営計画
3. 中期経営計画の進捗
中期経営計画がスタートして1年を経過したが、コロナ禍やコストプッシュインフレなどの影響に加え、一部で工事発注が遅延しているため、経営数値目標に対して出遅れた感じがあることは否めない。ただし、3つの基本戦略に沿った取り組みに関しては着実に進行している。以下に述べる、GTL燃料の導入や既存杭引抜き時の地盤改良技術の確立、国土強靭化・リダンダンシープロジェクトへの貢献、健康経営の推進などである。
(1) GTL燃料の導入を開始
同社は、GTL燃料を基礎工事業界で初めて建設現場に導入した。GTL燃料は石油由来の軽油に代わるクリーンな燃料で、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量を約8.5%削減するほか、無色無臭で燃やしても煤が出にくく、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)といった大気汚染物質を低減することができる。東京機材センターにおいてクレーンやゼネレーターで試験運用を進めてきたが、2021年11月に地盤改良工事現場で運用を開始、これまでに7件で使用し、燃費や特性などを検証しているところである。クリーン化のコストが大きく増えないことからゼネコンや設計事務所の関心も高く、同社は差別化技術として順次拡大する方針である。
(2) 既存杭引抜き時の地盤改良技術の確立
既存建物を解体する際、建物を支えてきた杭(既存杭)の撤去後に杭孔の埋戻し処理を適切に行わないと、孔曲がりや孔壁崩壊など新設杭の品質確保に影響を及ぼす。同社は、杭の撤去と同時に埋戻し処理を行い、周辺地盤の緩みを防止して原地盤程度の強度に復旧・安定させる地盤改良技術の確立に取り組んでおり、現在、現場試験施工を行っているところである。また、原地盤程度の強度を確保する方法として産業副産物を用いた材料を活用していくことを検討しており、将来的に関東と関西を皮切りに事業展開することを考えている。
(3) 国土強靭化、リダンダンシープロジェクトへの貢献
北陸新幹線延伸工事での実績を背景に、国土強靭化やリダンダンシープロジェクトへの同社の参画が増えている。2021年に北海道新幹線の延伸事業の工事第一弾として「北海道新幹線、市渡高架橋他」の基礎工事を受注した。同社にとって今後の鉄道基礎工事の受注につながる重要案件という位置付けで、2022年7月よりガンテツパイル工法の施工を開始する。また、「大阪湾岸道路西伸部」や「新名神高速道路」、「大阪モノレール延伸」など、関西インフラ強靭化プロジェクトの基礎工事の受注・施工も開始した。近年頻発する豪雨災害に対しては、水処理施設・排水機場・ポンプ場など国土交通省が注力している施設の整備へ向けて、鋼管杭やコンクリート杭などを使用した設計提案を強化しているところである。
(4) 二酸化炭素固定化技術の開発
同社は、日本コンクリート工業との業務資本提携の一環として「PAdeCS研究会」に加盟、コンクリートスラッジ由来の脱リン材「PAdeCS」製造時に二酸化炭素を封入して生成されるエコタンカルを基礎工事の施工に使用するための技術の開発を進めている。セメントの代わりに一部エコタンカルを使うことで、地盤改良の際にエコタンカル1トン当たり440キログラムの二酸化炭素を、特別大きなコストをかけずに固定化できる技術である。現在試験施工中で、将来的に基礎工事における「脱炭素」の流れをけん引する技術だと考えられている。
(5) 健康経営の推進
2022年4月にDX推進やESG推進の旗振り役として経営戦略本部を立ち上げた。健康経営を推進することも目的の一つである。「働き方改革関連法」施行に伴う、労働時間の上限規制、正規・非正規社員の同一労働同一賃金、時間外割増賃金率引き上げといった建設業の「2024年問題」に対応する目的もあるが、それだけにとどまらず、人口減少社会における人材確保、従業員一人ひとりに対するメンタル・フィジカル両面からのケアサポート、ひいてはESG経営の推進を目的としている。直近では、働きがいを実感できる職場環境づくりとして、コミュニケーションの促進や業務の効率化などを目的に東京機材センター・テノックス技研の事務所を改装、Web会議やペーパーレス会議に向けて本社の全会議室にWeb会議用モニターと無線LANを導入、生産性を向上させる新基幹システムの導入プロジェクトを推進、人事制度改定プロジェクトも始動した。こうした健康経営への取り組みが評価され、2022年2月に全国健康保険協会東京支部より「健康優良企業 銀の認定」を取得した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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3. 中期経営計画の進捗
中期経営計画がスタートして1年を経過したが、コロナ禍やコストプッシュインフレなどの影響に加え、一部で工事発注が遅延しているため、経営数値目標に対して出遅れた感じがあることは否めない。ただし、3つの基本戦略に沿った取り組みに関しては着実に進行している。以下に述べる、GTL燃料の導入や既存杭引抜き時の地盤改良技術の確立、国土強靭化・リダンダンシープロジェクトへの貢献、健康経営の推進などである。
(1) GTL燃料の導入を開始
同社は、GTL燃料を基礎工事業界で初めて建設現場に導入した。GTL燃料は石油由来の軽油に代わるクリーンな燃料で、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量を約8.5%削減するほか、無色無臭で燃やしても煤が出にくく、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)といった大気汚染物質を低減することができる。東京機材センターにおいてクレーンやゼネレーターで試験運用を進めてきたが、2021年11月に地盤改良工事現場で運用を開始、これまでに7件で使用し、燃費や特性などを検証しているところである。クリーン化のコストが大きく増えないことからゼネコンや設計事務所の関心も高く、同社は差別化技術として順次拡大する方針である。
(2) 既存杭引抜き時の地盤改良技術の確立
既存建物を解体する際、建物を支えてきた杭(既存杭)の撤去後に杭孔の埋戻し処理を適切に行わないと、孔曲がりや孔壁崩壊など新設杭の品質確保に影響を及ぼす。同社は、杭の撤去と同時に埋戻し処理を行い、周辺地盤の緩みを防止して原地盤程度の強度に復旧・安定させる地盤改良技術の確立に取り組んでおり、現在、現場試験施工を行っているところである。また、原地盤程度の強度を確保する方法として産業副産物を用いた材料を活用していくことを検討しており、将来的に関東と関西を皮切りに事業展開することを考えている。
(3) 国土強靭化、リダンダンシープロジェクトへの貢献
北陸新幹線延伸工事での実績を背景に、国土強靭化やリダンダンシープロジェクトへの同社の参画が増えている。2021年に北海道新幹線の延伸事業の工事第一弾として「北海道新幹線、市渡高架橋他」の基礎工事を受注した。同社にとって今後の鉄道基礎工事の受注につながる重要案件という位置付けで、2022年7月よりガンテツパイル工法の施工を開始する。また、「大阪湾岸道路西伸部」や「新名神高速道路」、「大阪モノレール延伸」など、関西インフラ強靭化プロジェクトの基礎工事の受注・施工も開始した。近年頻発する豪雨災害に対しては、水処理施設・排水機場・ポンプ場など国土交通省が注力している施設の整備へ向けて、鋼管杭やコンクリート杭などを使用した設計提案を強化しているところである。
(4) 二酸化炭素固定化技術の開発
同社は、日本コンクリート工業との業務資本提携の一環として「PAdeCS研究会」に加盟、コンクリートスラッジ由来の脱リン材「PAdeCS」製造時に二酸化炭素を封入して生成されるエコタンカルを基礎工事の施工に使用するための技術の開発を進めている。セメントの代わりに一部エコタンカルを使うことで、地盤改良の際にエコタンカル1トン当たり440キログラムの二酸化炭素を、特別大きなコストをかけずに固定化できる技術である。現在試験施工中で、将来的に基礎工事における「脱炭素」の流れをけん引する技術だと考えられている。
(5) 健康経営の推進
2022年4月にDX推進やESG推進の旗振り役として経営戦略本部を立ち上げた。健康経営を推進することも目的の一つである。「働き方改革関連法」施行に伴う、労働時間の上限規制、正規・非正規社員の同一労働同一賃金、時間外割増賃金率引き上げといった建設業の「2024年問題」に対応する目的もあるが、それだけにとどまらず、人口減少社会における人材確保、従業員一人ひとりに対するメンタル・フィジカル両面からのケアサポート、ひいてはESG経営の推進を目的としている。直近では、働きがいを実感できる職場環境づくりとして、コミュニケーションの促進や業務の効率化などを目的に東京機材センター・テノックス技研の事務所を改装、Web会議やペーパーレス会議に向けて本社の全会議室にWeb会議用モニターと無線LANを導入、生産性を向上させる新基幹システムの導入プロジェクトを推進、人事制度改定プロジェクトも始動した。こうした健康経営への取り組みが評価され、2022年2月に全国健康保険協会東京支部より「健康優良企業 銀の認定」を取得した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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