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テノックス Research Memo(3):時代の要請に合わせてラインアップを拡充
配信日時:2022/07/11 15:13
配信元:FISCO
■事業概要
1. 事業内容
テノックス<1905>は基礎工事のなかでも、高架橋など土木構造物や中低層ビルなど建築構造物における鋼管杭工事と、柱状改良による深層地盤改良工事を得意としている。様々な地盤や構造物、施主の要望に対応する必要があるため、多彩な工法や施工ノウハウを駆使し、着実で最善の基礎工事を提供している。近年では時代の要請に合わせて、コンクリート杭や既存杭の引抜き工事などラインアップを拡充している。また、子会社のテノックス技研と広島組は同社とともに基礎工事に特化した建設事業を営んでおり、同社に対して機材の賃貸を含む施工協力を行っている。海外では、TENOX ASIAがベトナムで建設事業を行っている。売上高の大半がこうした建設事業で占められるが、ほかに複合技術研究所が土木建築コンサルティング全般等事業を、その他の事業として不動産賃貸事業などを行っている。
鋼管杭工事と深層地盤改良工事を得意とする
2. 建設事業
建設事業の中身は年度によって割合が異なるが、鋼管杭工事と柱状改良による深層地盤改良工事が大半を占める。同社が対象とする構造物は、戸建て住宅から工場、物流施設、中低層ビル・マンションなどの建築構造物、及び道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留、擁壁、鉄塔などの土木構造物で、目的は、建築物を支えるだけでなく、耐震力補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制なども含まれる。主な工法は、杭工事がTN工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法、CMJ工法など、地盤改良工事がテノコラム工法、地盤補強工事がピュアパイル工法である。TN-X工法とピュアパイル工法は建築構造物だけを対象としているが、その他の工法は土木構造物にも利用される。以下に主要な同社工法の詳細を示す。
(1) ガンテツパイル工法(杭)
日本製鉄<5401>、クボタ<6326>と共同で研究開発した工法。地盤にセメントミルクを注入し地盤を撹拌・混合して造成される固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管を圧入するハイブリッドな合成杭を築造する。特長は、ソイルセメント柱による大きな鉛直・周面支持力を発揮し、少ない本数で基礎構造物を支えることができることと、鋼管杭の高い靭性という2つの特性を同時に生かせること、地盤を有効に利用し固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、その結果、建設費の抑制や工期の短縮が可能になることなどである。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設など土木分野で幅広く利用されている。
(2) TN-X工法(杭)
日本製鉄と共同で研究開発した工法で、油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に拡大根固め球根を築造することで大きな支持力を得る高支持力鋼管杭を築造する。2005年に国土交通大臣認定を取得、大きな杭耐力を必要とする大型物流施設、ホテル、マンション、データセンター、庁舎、病院、空港施設などの重要建築構造物に採用されている。特長は、杭先端部の最大径2,400mmの根固め球根によって最大17,900kN※1の高い先端支持力が得られるため少ない本数で大型構造物を支えることができること、鋼管杭の高い靭性から大地震に強いこと、中掘り方式を採用することで、低排土かつΦ1,400mmの大口径鋼管杭を70m(施工長)の深度まで施工が可能なこと、掘削深度や掘削速度、セメントミルク※2注入量、拡縮翼径などリアルタイムのモニタリングによる品質管理が可能なことなどである。
※1 kN(キロニュートン):荷重を表す単位。おおむね10kN=1ton。
※2 セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。
(3) ATTコラム工法(杭)
旭化成建材(株)と共同で研究開発した工法。ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中央に羽根付き鋼管杭を埋設するハイブリッド工法である。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果による大きな周面摩擦力と高い靭性で、軟弱地盤上での高い支持力を期待できること、後述するテノコラム工法を応用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどである。摩擦杭やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用される一方、中低層建築物や歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用できるうえ、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応しているため高く評価されている。
(4) テノコラム工法(地盤改良)
建築物の基礎工法として地盤改良が認知される先駆けとなった工法で、1984年に同社独自で特許を取得した。スラリー※状にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に撹拌混合することでソイルセメントコラムを築造する。特長は、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、コラム径や施工機械のラインアップが幅広く施工仕様や現場条件に合わせられること、リアルタイム施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音で周辺環境への影響が低く、地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることなどである。戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎として採用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まった。このため、これまでの施工実績は約3.9万件に達する。
※スラリー:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 事業内容
テノックス<1905>は基礎工事のなかでも、高架橋など土木構造物や中低層ビルなど建築構造物における鋼管杭工事と、柱状改良による深層地盤改良工事を得意としている。様々な地盤や構造物、施主の要望に対応する必要があるため、多彩な工法や施工ノウハウを駆使し、着実で最善の基礎工事を提供している。近年では時代の要請に合わせて、コンクリート杭や既存杭の引抜き工事などラインアップを拡充している。また、子会社のテノックス技研と広島組は同社とともに基礎工事に特化した建設事業を営んでおり、同社に対して機材の賃貸を含む施工協力を行っている。海外では、TENOX ASIAがベトナムで建設事業を行っている。売上高の大半がこうした建設事業で占められるが、ほかに複合技術研究所が土木建築コンサルティング全般等事業を、その他の事業として不動産賃貸事業などを行っている。
鋼管杭工事と深層地盤改良工事を得意とする
2. 建設事業
建設事業の中身は年度によって割合が異なるが、鋼管杭工事と柱状改良による深層地盤改良工事が大半を占める。同社が対象とする構造物は、戸建て住宅から工場、物流施設、中低層ビル・マンションなどの建築構造物、及び道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留、擁壁、鉄塔などの土木構造物で、目的は、建築物を支えるだけでなく、耐震力補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制なども含まれる。主な工法は、杭工事がTN工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法、CMJ工法など、地盤改良工事がテノコラム工法、地盤補強工事がピュアパイル工法である。TN-X工法とピュアパイル工法は建築構造物だけを対象としているが、その他の工法は土木構造物にも利用される。以下に主要な同社工法の詳細を示す。
(1) ガンテツパイル工法(杭)
日本製鉄<5401>、クボタ<6326>と共同で研究開発した工法。地盤にセメントミルクを注入し地盤を撹拌・混合して造成される固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管を圧入するハイブリッドな合成杭を築造する。特長は、ソイルセメント柱による大きな鉛直・周面支持力を発揮し、少ない本数で基礎構造物を支えることができることと、鋼管杭の高い靭性という2つの特性を同時に生かせること、地盤を有効に利用し固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、その結果、建設費の抑制や工期の短縮が可能になることなどである。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設など土木分野で幅広く利用されている。
(2) TN-X工法(杭)
日本製鉄と共同で研究開発した工法で、油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に拡大根固め球根を築造することで大きな支持力を得る高支持力鋼管杭を築造する。2005年に国土交通大臣認定を取得、大きな杭耐力を必要とする大型物流施設、ホテル、マンション、データセンター、庁舎、病院、空港施設などの重要建築構造物に採用されている。特長は、杭先端部の最大径2,400mmの根固め球根によって最大17,900kN※1の高い先端支持力が得られるため少ない本数で大型構造物を支えることができること、鋼管杭の高い靭性から大地震に強いこと、中掘り方式を採用することで、低排土かつΦ1,400mmの大口径鋼管杭を70m(施工長)の深度まで施工が可能なこと、掘削深度や掘削速度、セメントミルク※2注入量、拡縮翼径などリアルタイムのモニタリングによる品質管理が可能なことなどである。
※1 kN(キロニュートン):荷重を表す単位。おおむね10kN=1ton。
※2 セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。
(3) ATTコラム工法(杭)
旭化成建材(株)と共同で研究開発した工法。ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中央に羽根付き鋼管杭を埋設するハイブリッド工法である。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果による大きな周面摩擦力と高い靭性で、軟弱地盤上での高い支持力を期待できること、後述するテノコラム工法を応用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどである。摩擦杭やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用される一方、中低層建築物や歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用できるうえ、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応しているため高く評価されている。
(4) テノコラム工法(地盤改良)
建築物の基礎工法として地盤改良が認知される先駆けとなった工法で、1984年に同社独自で特許を取得した。スラリー※状にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に撹拌混合することでソイルセメントコラムを築造する。特長は、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、コラム径や施工機械のラインアップが幅広く施工仕様や現場条件に合わせられること、リアルタイム施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音で周辺環境への影響が低く、地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることなどである。戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎として採用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まった。このため、これまでの施工実績は約3.9万件に達する。
※スラリー:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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