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ABEJA Research Memo(3):AIバリューチェーンのプラットフォーマー(2)
配信日時:2026/02/16 12:03
配信元:FISCO
*12:03JST ABEJA Research Memo(3):AIバリューチェーンのプラットフォーマー(2)
■会社概要
2. 沿革
(1) 第1ステージ:個別AI開発・DX支援による実装知見の蓄積期(2012〜2016年)
ABEJA<5574>は2012年9月、AI技術の産業活用がまだ黎明期にあった時代に創業した。創業当初の事業は、企業ごとの課題に応じた個別AI開発やDX支援が中心であったが、その裏では既に現在に通じる汎用的AIプラットフォーム構想が描かれていた。同社はプラットフォームの基盤技術を水面下で開発しつつ、まずは小売業向け画像解析サービス「ABEJA INSIGHT for Retail」に代表されるように、現場業務に直結するユースケースを通じてAIの実用性を追求していた。AIモデルの精度のほか、データの取得方法、現場オペレーションへの組み込み、導入後の改善プロセスといった“使われ続けるための条件”を実体験として蓄積していった点が重要である。2014年のSalesforce.com(現 Salesforce)との資本業務提携はこうした実装志向の延長線上にあり、エンタープライズITとの接続を強く意識し始めた象徴的な出来事であった。同社が提供するインストアマーケティングサービスとSalesforceが提供する「Salesforce Marketing Cloud」との連携、並びに同社の機械学習技術を活用した新規サービス開発におけるAppExchange、HubExchange連携が実現した。これらは、AIを業務システムと結合して価値化するという同社の実装志向を具体化した提携であった。
(2) 第2ステージ:「ABEJA Platform」の誕生と事業モデル転換期(2017~2019年)
2017年以降、同社は事業の本質的な転換期を迎えた。2017年5月にはNVIDIAとの資本提携を実施するとともに、NVIDIAが提供する「GPUベンチャー・プログラム」に採択された。同社のディープラーニング活用実績を背景に、GPUを活用した研究開発の推進に加え、技術面とマーケティング面での連携、さらには戦略的助言を含む支援を受ける体制が整備された。これにより、研究開発基盤の高度化と事業構想の対外発信を同時に進める局面に入った。こうした技術基盤の強化を踏まえ、同社は2018年に「ABEJA Platform」を正式にリリースした。同プラットフォームは、AIモデルを開発するためのツールではなく、AIを企業活動の中で安定的に稼働させ続けることを目的としたもので、開発・運用・改善を一体で連携させる構造により、単発的な開発案件の積み上げではなく、継続運用を前提とした独自の事業ポジションを形成した。この段階で同社は、「AI開発企業」から「産業横断型AIプラットフォーム企業」へと事業モデルを明確に転換したと考えられる。その後、AIの社会実装が進展する中で顕在化する倫理的・法的・社会的課題への対応として、2019年7月に外部有識者で構成される諮問委員会「Ethical Approach to AI(EAA)」を設立した。EAAは、個別案件への助言・提言に加え、社内のAI利用原則・行動指針の策定、海外の政策・法務動向の共有などを討議テーマとし、その知見を経営や事業運営へ反映することを目的としている。さらに2022年4月には委員体制を拡充するとともにAIポリシーを策定し、開発・利用・運用を含めた全社的なAI倫理ガバナンスの枠組みとして継続的な進化を図っている。
AIの社会実装を前提とする以上、精度や性能のみならず、説明責任、ガバナンス、継続的な管理が不可欠であるとの思想が具体化されたこれらの取り組みにより、同社は技術、運用、倫理を一体で提供する独自の差別化軸を確立した。
(3) 第3ステージ:社会インフラ型AIプラットフォームへの進化期(2020年~現在)
2020年代に入ると、同社の事業領域はさらに拡張する。ミッションクリティカル業務へのAI導入ニーズが高まるなか、同社の「運用を前提としたプラットフォーム」という思想は、大企業や公的機関との親和性を強めていった。DX推進を目的とした資本業務提携や組織基盤の強化を経て、2023年6月には東証グロース市場へ上場した。上場後は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による国家プロジェクトへの採択が相次ぎ、ポスト5G、統合知能システム、生成AI基盤モデルといった日本の次世代AIインフラ整備に深く関与する立場へと進化している。これらの案件は単なる研究開発ではなく、同社が長年培ってきたAI運用、データガバナンス、セキュリティ、説明責任といった要素が評価された結果であり、「ABEJA Platform」が社会インフラ型AI基盤として高い適合性を有していることを示している。
現在はさらに、LLMやAIモデルとロボティクスとの融合を見据え、次世代の成長テーマであるフィジカルAIへの展開を進めている。個別業務の最適化にとどまらず、社会システム全体を支えるAI基盤へと進化する段階に入ったと位置付けられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
<HN>
2. 沿革
(1) 第1ステージ:個別AI開発・DX支援による実装知見の蓄積期(2012〜2016年)
ABEJA<5574>は2012年9月、AI技術の産業活用がまだ黎明期にあった時代に創業した。創業当初の事業は、企業ごとの課題に応じた個別AI開発やDX支援が中心であったが、その裏では既に現在に通じる汎用的AIプラットフォーム構想が描かれていた。同社はプラットフォームの基盤技術を水面下で開発しつつ、まずは小売業向け画像解析サービス「ABEJA INSIGHT for Retail」に代表されるように、現場業務に直結するユースケースを通じてAIの実用性を追求していた。AIモデルの精度のほか、データの取得方法、現場オペレーションへの組み込み、導入後の改善プロセスといった“使われ続けるための条件”を実体験として蓄積していった点が重要である。2014年のSalesforce.com(現 Salesforce)との資本業務提携はこうした実装志向の延長線上にあり、エンタープライズITとの接続を強く意識し始めた象徴的な出来事であった。同社が提供するインストアマーケティングサービスとSalesforceが提供する「Salesforce Marketing Cloud」との連携、並びに同社の機械学習技術を活用した新規サービス開発におけるAppExchange、HubExchange連携が実現した。これらは、AIを業務システムと結合して価値化するという同社の実装志向を具体化した提携であった。
(2) 第2ステージ:「ABEJA Platform」の誕生と事業モデル転換期(2017~2019年)
2017年以降、同社は事業の本質的な転換期を迎えた。2017年5月にはNVIDIAとの資本提携を実施するとともに、NVIDIAが提供する「GPUベンチャー・プログラム」に採択された。同社のディープラーニング活用実績を背景に、GPUを活用した研究開発の推進に加え、技術面とマーケティング面での連携、さらには戦略的助言を含む支援を受ける体制が整備された。これにより、研究開発基盤の高度化と事業構想の対外発信を同時に進める局面に入った。こうした技術基盤の強化を踏まえ、同社は2018年に「ABEJA Platform」を正式にリリースした。同プラットフォームは、AIモデルを開発するためのツールではなく、AIを企業活動の中で安定的に稼働させ続けることを目的としたもので、開発・運用・改善を一体で連携させる構造により、単発的な開発案件の積み上げではなく、継続運用を前提とした独自の事業ポジションを形成した。この段階で同社は、「AI開発企業」から「産業横断型AIプラットフォーム企業」へと事業モデルを明確に転換したと考えられる。その後、AIの社会実装が進展する中で顕在化する倫理的・法的・社会的課題への対応として、2019年7月に外部有識者で構成される諮問委員会「Ethical Approach to AI(EAA)」を設立した。EAAは、個別案件への助言・提言に加え、社内のAI利用原則・行動指針の策定、海外の政策・法務動向の共有などを討議テーマとし、その知見を経営や事業運営へ反映することを目的としている。さらに2022年4月には委員体制を拡充するとともにAIポリシーを策定し、開発・利用・運用を含めた全社的なAI倫理ガバナンスの枠組みとして継続的な進化を図っている。
AIの社会実装を前提とする以上、精度や性能のみならず、説明責任、ガバナンス、継続的な管理が不可欠であるとの思想が具体化されたこれらの取り組みにより、同社は技術、運用、倫理を一体で提供する独自の差別化軸を確立した。
(3) 第3ステージ:社会インフラ型AIプラットフォームへの進化期(2020年~現在)
2020年代に入ると、同社の事業領域はさらに拡張する。ミッションクリティカル業務へのAI導入ニーズが高まるなか、同社の「運用を前提としたプラットフォーム」という思想は、大企業や公的機関との親和性を強めていった。DX推進を目的とした資本業務提携や組織基盤の強化を経て、2023年6月には東証グロース市場へ上場した。上場後は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による国家プロジェクトへの採択が相次ぎ、ポスト5G、統合知能システム、生成AI基盤モデルといった日本の次世代AIインフラ整備に深く関与する立場へと進化している。これらの案件は単なる研究開発ではなく、同社が長年培ってきたAI運用、データガバナンス、セキュリティ、説明責任といった要素が評価された結果であり、「ABEJA Platform」が社会インフラ型AI基盤として高い適合性を有していることを示している。
現在はさらに、LLMやAIモデルとロボティクスとの融合を見据え、次世代の成長テーマであるフィジカルAIへの展開を進めている。個別業務の最適化にとどまらず、社会システム全体を支えるAI基盤へと進化する段階に入ったと位置付けられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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