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日本化学工業:国内唯一のクロム化合物メーカー、PBR0.5倍台かつ配当利回り3.8%
配信日時:2026/01/30 09:41
配信元:FISCO
*09:41JST 日本化学工業:国内唯一のクロム化合物メーカー、PBR0.5倍台かつ配当利回り3.8%
日本化学工業<4092>は、創業以来100年超にわたり、クロム、シリカ、リン、バリウムといった無機化学製品を中核とする化学品事業と、電子材料や機能性材料を担う機能品事業を展開してきた中堅化学メーカーである。外形的には総合化学メーカーや無機化学メーカーと比較されやすいが、同社の事業は製品ごとに競争環境が大きく異なり、特定分野では国内でも限られたプレイヤーしか存在しないポジションを確立している点が特徴となっている。同社のコア技術である無機・有機合成技術、ホスフィン誘導体技術、結晶性・構造制御技術、表面改質・コーティング技術、評価・分析技術をベースに特徴ある製品開発を進めている。また、多様化・高度化する市場からの要求に対応するためにコア技術を磨きつつ、外部リソースも積極活用して環境貢献度の高い新製品を創出、特許保有数は275件にものぼる。
化学品事業では、クロム、シリカ、リン製品を安定的に供給している。クロムについては自動車向け用途が中心で、国内では唯一のクロム化合物メーカーという立ち位置にあり、メッキ材料用途などで一定の存在感を有する。シリカは汎用品の中の汎用品であり競合企業は多いものの、同社は洗浄用途や医療・リネン関連の化学製品向けなど、用途適合型の製品展開を進めることで堅調な売上を維持している。リン製品については、半導体向けリン酸の他にも、食品添加物やガラス材料向けを中心に展開している。有機機能材料分野では、有機化学メーカー向けに触媒用途などの製品を展開している。
一方、同社が今後の利益成長を担うと位置付けているのが機能品事業である。中でも電子セラミック材料は主力分野であり、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の誘電体層に用いられる材料を供給している。主要顧客にはTDKや村田製作所といった大手電子部品メーカーが含まれ、業界内で国内シェア3位、世界でも4位程度のポジションにあると認識している。競合には石原産業や堺化学工業が挙げられるが、製法や得意とするグレードが異なり、日本化学工業は特に車載用途向けなど高信頼性領域に強みを持つ。足元では車載向け需要が想定以上に好調に推移しており、通信向けも大幅に伸長したことで、同業他社と比較して相対的に強い稼働状況が続いたとしている。収益性の観点では、機能品事業の中でも電子セラミック材料と有機機能材料が相対的に高い利益率を確保している。
有機リン化合物は発火性などのリスクを伴うが、同社は原料段階から一貫生産できる体制を有しており、工程の一部から製造を行う国内競合や、海外で一貫生産を行う企業との差別化要因となっている。電池・デバイス材料では、導電性粒子などを中心に供給しており、半導体用途ではシリコンウエハのドーパントとして(ラサ工業を競合に持つ)高純度赤燐のほか、高純度ホスフィンガスを提供しており、どちらも競合の少ない環境で十分なシェアをキープしているようだ。
2026年3月期上期決算では、売上高20,998百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益1,390百万円(同42.1%減)で着地した。成長分野である電子セラミック材料において、車載向けおよび通信向けの販売数量が増加し、売上高自体は概ね順調に推移したものの、利益面ではやや弱含んだ。背景には、生産拠点の集約に伴う費用の発生、一過性の販管費増加や夏場の在庫調整があったほか、電池材料分野におけるコバルト・リチウム価格の変動が影響した。これら材料は市況連動型の価格設定となっており、前年にかけて市況が強かった反動もあって、利益が前年差で減少する結果となった。ただし、販売価格の転嫁自体は可能であり、構造的な問題とは認識していない。通期計画は、売上高40,500百万円(前期比4.3%増)、営業利益3,200百万円(同4.3%減)を見込んでいる。下期に向けて拡販への注力、売上原価の改善や販管費の見直し、保有資産の流動化などを進めることで収益性の改善が一定程度進むようだ。
実際に12月23日には、投資有価証券売却に伴う特別利益の計上見込みを発表した。政策保有株の見直しと資本効率の向上を目的に、上場有価証券3銘柄を今年3月末までに売却するようで、売却益は10億円の見込みとなる。
中期経営計画では、来期(計画最終年度)売上高490億円、営業利益33億円を掲げている。足元の進捗については、トップラインの伸びは想定を下回っているものの、価格適正化を進めたことで利益構造は筋肉質になりつつあり、利益面での達成確度は相対的に高いとの見方を示した。全体としては約2年程度の遅れ感があるとの認識があるようで、特に半導体向け分野は回復に時間を要している一方、MLCC向け電子セラミック材料についてはここにきて売上を伸ばしてきており、相対的に確度の高い成長分野と位置付けられている。定量的には、電子セラミック材料、高純度電子材料、液晶/半導体用りん酸などの成長分野で売上200億円を目標としている。もちろん基礎分野の事業拡大と体質強化も図っており、汎用品が多いといわれる市場においても、競争力のある製品ポートフォリオへの見直しにより安定した利益を確保できる体質へシフトしつつある。
海外展開については、ホスフィン誘導体などを中心にグローバル市場を対象としており、特定地域に限定せず世界全体を市場と捉えている。海外売上比率14%という目標に対しては、道半ばではあるものの、用途次第で拡大余地はあるとの認識である。地政学的変化に伴い、リスク分散と新市場探索の必要性が高まっており、半導体向けや次世代ディスプレイ向け中心に売上伸長を期待している。
株主還元については、総還元性向40%またはDOE2%のいずれか高い方を採用しており、DOE導入は同社にとって初の取り組みとなる。現状では業界内でも低位な水準との認識を示しつつ、将来的には引き上げを意識した還元強化を行っていく方針である。また、政策保有株式の売却によるキャッシュ創出を推進し、成長投資に加えて競争力維持や生産性向上に必要な投資領域に重点を置きつつ、必要な設備更新を優先して選定していく。
PBR0.5倍台という評価を受ける中、IR活動の強化にも取り組んでおり、足元では取材件数も増加している。ただし、個人投資家への浸透は十分とは言えず、今後は業績や事業内容の理解促進を中心に情報発信を強化していく考えである。製品分野によっては業界に同社ともう1社しか存在しないケースも多い。ニッチながら代替性の低いポジションを複数持っている同社の認知度向上と、株価指標の再評価余地は依然として大きく、配当利回り3.8%とインカムゲインを享受しながらキャピタルゲインを待てる段階にあろう。
<NH>
化学品事業では、クロム、シリカ、リン製品を安定的に供給している。クロムについては自動車向け用途が中心で、国内では唯一のクロム化合物メーカーという立ち位置にあり、メッキ材料用途などで一定の存在感を有する。シリカは汎用品の中の汎用品であり競合企業は多いものの、同社は洗浄用途や医療・リネン関連の化学製品向けなど、用途適合型の製品展開を進めることで堅調な売上を維持している。リン製品については、半導体向けリン酸の他にも、食品添加物やガラス材料向けを中心に展開している。有機機能材料分野では、有機化学メーカー向けに触媒用途などの製品を展開している。
一方、同社が今後の利益成長を担うと位置付けているのが機能品事業である。中でも電子セラミック材料は主力分野であり、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の誘電体層に用いられる材料を供給している。主要顧客にはTDKや村田製作所といった大手電子部品メーカーが含まれ、業界内で国内シェア3位、世界でも4位程度のポジションにあると認識している。競合には石原産業や堺化学工業が挙げられるが、製法や得意とするグレードが異なり、日本化学工業は特に車載用途向けなど高信頼性領域に強みを持つ。足元では車載向け需要が想定以上に好調に推移しており、通信向けも大幅に伸長したことで、同業他社と比較して相対的に強い稼働状況が続いたとしている。収益性の観点では、機能品事業の中でも電子セラミック材料と有機機能材料が相対的に高い利益率を確保している。
有機リン化合物は発火性などのリスクを伴うが、同社は原料段階から一貫生産できる体制を有しており、工程の一部から製造を行う国内競合や、海外で一貫生産を行う企業との差別化要因となっている。電池・デバイス材料では、導電性粒子などを中心に供給しており、半導体用途ではシリコンウエハのドーパントとして(ラサ工業を競合に持つ)高純度赤燐のほか、高純度ホスフィンガスを提供しており、どちらも競合の少ない環境で十分なシェアをキープしているようだ。
2026年3月期上期決算では、売上高20,998百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益1,390百万円(同42.1%減)で着地した。成長分野である電子セラミック材料において、車載向けおよび通信向けの販売数量が増加し、売上高自体は概ね順調に推移したものの、利益面ではやや弱含んだ。背景には、生産拠点の集約に伴う費用の発生、一過性の販管費増加や夏場の在庫調整があったほか、電池材料分野におけるコバルト・リチウム価格の変動が影響した。これら材料は市況連動型の価格設定となっており、前年にかけて市況が強かった反動もあって、利益が前年差で減少する結果となった。ただし、販売価格の転嫁自体は可能であり、構造的な問題とは認識していない。通期計画は、売上高40,500百万円(前期比4.3%増)、営業利益3,200百万円(同4.3%減)を見込んでいる。下期に向けて拡販への注力、売上原価の改善や販管費の見直し、保有資産の流動化などを進めることで収益性の改善が一定程度進むようだ。
実際に12月23日には、投資有価証券売却に伴う特別利益の計上見込みを発表した。政策保有株の見直しと資本効率の向上を目的に、上場有価証券3銘柄を今年3月末までに売却するようで、売却益は10億円の見込みとなる。
中期経営計画では、来期(計画最終年度)売上高490億円、営業利益33億円を掲げている。足元の進捗については、トップラインの伸びは想定を下回っているものの、価格適正化を進めたことで利益構造は筋肉質になりつつあり、利益面での達成確度は相対的に高いとの見方を示した。全体としては約2年程度の遅れ感があるとの認識があるようで、特に半導体向け分野は回復に時間を要している一方、MLCC向け電子セラミック材料についてはここにきて売上を伸ばしてきており、相対的に確度の高い成長分野と位置付けられている。定量的には、電子セラミック材料、高純度電子材料、液晶/半導体用りん酸などの成長分野で売上200億円を目標としている。もちろん基礎分野の事業拡大と体質強化も図っており、汎用品が多いといわれる市場においても、競争力のある製品ポートフォリオへの見直しにより安定した利益を確保できる体質へシフトしつつある。
海外展開については、ホスフィン誘導体などを中心にグローバル市場を対象としており、特定地域に限定せず世界全体を市場と捉えている。海外売上比率14%という目標に対しては、道半ばではあるものの、用途次第で拡大余地はあるとの認識である。地政学的変化に伴い、リスク分散と新市場探索の必要性が高まっており、半導体向けや次世代ディスプレイ向け中心に売上伸長を期待している。
株主還元については、総還元性向40%またはDOE2%のいずれか高い方を採用しており、DOE導入は同社にとって初の取り組みとなる。現状では業界内でも低位な水準との認識を示しつつ、将来的には引き上げを意識した還元強化を行っていく方針である。また、政策保有株式の売却によるキャッシュ創出を推進し、成長投資に加えて競争力維持や生産性向上に必要な投資領域に重点を置きつつ、必要な設備更新を優先して選定していく。
PBR0.5倍台という評価を受ける中、IR活動の強化にも取り組んでおり、足元では取材件数も増加している。ただし、個人投資家への浸透は十分とは言えず、今後は業績や事業内容の理解促進を中心に情報発信を強化していく考えである。製品分野によっては業界に同社ともう1社しか存在しないケースも多い。ニッチながら代替性の低いポジションを複数持っている同社の認知度向上と、株価指標の再評価余地は依然として大きく、配当利回り3.8%とインカムゲインを享受しながらキャピタルゲインを待てる段階にあろう。
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