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アイカ工 Research Memo(4):売上高、営業利益、経常利益、中間純利益は過去最高
配信日時:2026/01/13 08:34
配信元:FISCO
*08:34JST アイカ工 Research Memo(4):売上高、営業利益、経常利益、中間純利益は過去最高
■アイカ工業<4206>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高で前年同期比1.0%増の121,351百万円、営業利益で同1.5%増の13,348百万円、経常利益で同3.1%増の14,671百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同6.4%増の9,424百万円となった。売上高、営業利益、経常利益、中間純利益は過去最高であり、営業利益、経常利益、中間純利益は5期連続の増益となった。中期経営計画で掲げるROE10%以上に対してもおおむね計画どおりに推移しており、収益性の向上が確認できる。また、化成品セグメントは小幅に減収減益となったが、堅調な建装建材セグメントで打ち返し、全社では増収増益となっている。
化成品セグメントについては、国内では原材料等の高騰も価格転嫁・コストダウンが奏功している一方、中国市況の価格競争の激化は続いており、同セグメントの収益に対して重石となった。なお、非建設分野への取り組みとして注力している機能材料においては、脱炭素に寄与する3次元加飾フィルム「ルミアート」が、海外量産車の外装に初めての採用となる見込み。本商品においては、自動車外装用への拡大により、2032年3月期に機能材料の売上高50億円を目指すとの野心的な目標を同社は掲げているが、順調な進捗が見て取れる。
建装建材セグメントについては、メラミン化粧板(国内)、「セラール」、住器建材などの高付加価値商品が伸長している。国内の高付加価値商品が全社収益をけん引する構図が継続している。海外については、中国市場の低迷が続くも、東南アジア市場で打ち返し、営業利益はしっかりと増益を確保した。
次に、注目されている住器建材の「スマートサニタリー」においては、2026年3月期中間期の売上高は、前年同期比46%増と成長率を維持している。本商品においては、ショールームの活用から来場者数が足元で顕著に増加しており、手頃な価格と意匠性を兼ね備えた同商品への注目が高まっているようだ。また、メラミン不燃化粧板「セラール」では「セラール セレント」も高い意匠性と施工性から、2026年3月期中間期の売上高は同28%増と拡大している。加えて、需要拡大に対して供給不足となっていたことから、海外拠点での生産開始など生産体制の強化を進めており、今後は需要に対応した成長が期待される。
海外売上高比率(全社ベース)については、2026年3月期中間期は46.2%となっている。建装建材セグメントの国内が堅調であったことから前年同期の48.3%から小幅低下となった。
2. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期の財務状況を見ると、資産合計は前期末比8,107百万円減少の279,951百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が1,735百万円減少し、売掛金が2,179百万円減少している。固定資産については、有形固定資産が1,550百万円減少、無形固定資産が1,194百万円減少し、投資その他の資産が3,573百万円増加している。
負債合計は前期末比8,538百万円減少の89,795百万円となった。流動負債は支払手形及び売掛金が2,285百万円減少した一方、短期借入金は782百万円増加している。固定負債については長期借入金・社債が7,551百万円減少している。
近年の経営効率化、高付加価値化シフトが奏功し、収益性の向上が進むなか、バランスシートの安全性はさらに高まっている。フリーキャッシュ・フロー創出力が増すなか、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債)は、2026年3月期中間期末時点で36,399百万円まで積み上がっている。一方、有利子負債も一定の規模感に収まっており、D/Eレシオは0.12倍と従来の水準を維持、自己資本比率は62.4%と小幅に上昇している。同社はキャッシュアロケーション(2024年3月期~2027年3月期)を公表しており、キャッシュインとキャッシュアウトの均衡を図っている。今後、株主還元や成長投資を拡大していく計画であるが、豊富な手元流動性及び財務レバレッジに照らせば、十分なバッファーを有していると言えよう。
■今後の見通し
通期計画を据え置き。経常利益は中計目標を1年前倒しで達成する見込み
● 2026年3月期通期の業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高について前期比6.6%増の265,000百万円、営業利益は同5.8%増の29,000百万円、経常利益は同4.6%増の30,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同8.3%増の18,300百万円と、いずれも過去最高を更新する計画である。ROEは10%以上、経常利益は現中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する見通しも含め、通期計画を据え置きとしている。
化成品セグメントについては、接着剤、建設樹脂、機能材料、その他いずれにおいても、前期以上の売上高を計画している。特に塗り壁材や補修・補強材などの建設樹脂が売上を牽引する見通しである。建装建材セグメントについては、好調が続く高付加価値商品(メラミン化粧板、「セラール」、「スマートサニタリー」)に注力する。
2026年3月期中間期までの進捗状況を見ると、売上高は通期予想に対して45.8%、営業利益は46.0%、経常利益は48.9%、親会社株主に帰属する当期純利益は51.5%に達しており、おおむね計画どおりに進捗している。足元では、化成品、建装建材ともに価格転嫁やコストダウン効果も継続しており、海外市況におけるボラティリティに対しても十分にコントロール可能と考える。
なお、「スマートサニタリー」が狙う造作風カテゴリーについては、足元では競合他社が商品供給を進めている模様。各社が同カテゴリーに参入することで、洗面台市場において造作風カテゴリーが浸透、市場拡大の好循環に入っておりポジティブに捉えている。なお、同社は先行者利益・意匠性のみならず、化粧台の材料である接着剤やメラミン化粧板などを内製化している点が競合他社に対する優位性となっている。
次に、海外市場については同社の取り組みや市場環境について何点か補足したい。日中関係の悪化による影響が懸念される向きはあるが、足元においては大きな影響は顕在化していない。また、同社の事業ポートフォリオは海外でも多地域に展開されており、商品も分散されていることから相応の対応力を期待できよう。
加えて、化成品海外においては収益性強化の取り組みとして、AAPグループでは、リテール市場における高付加価値商品の拡大、商品ミックス改善を進めている。具体的には、AAPグループは、BtoBが中心であったが、リテール向けに強いインドネシアにおいて、家具店などの最終ユーザー向けに販売を強化している。本件は収益性が高く、成長拡大している好事例であることから、タイでも同様の戦略を展開するべくADBシーラント社を取得し、販売・物流ネットワークを構築している。リテール向けの拡大を企図した事業変革は、2026年3月期のみならず、2027年3月期以降に向けた種まきとなる施策である。
同社は、海外事業において、2025年4月に海外事業カンパニーを設立している。海外事業の成長加速のため、海外における化成品と建装建材のシナジー最大化を企図したもの。中国市況を中心に、海外事業における市況変動は激しいが、市場の成長ポテンシャルは大きい。海外事業の収益性向上・事業シナジー創造は、企業価値向上に直結する施策であり、今後も進捗状況を注視していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
<KM>
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高で前年同期比1.0%増の121,351百万円、営業利益で同1.5%増の13,348百万円、経常利益で同3.1%増の14,671百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同6.4%増の9,424百万円となった。売上高、営業利益、経常利益、中間純利益は過去最高であり、営業利益、経常利益、中間純利益は5期連続の増益となった。中期経営計画で掲げるROE10%以上に対してもおおむね計画どおりに推移しており、収益性の向上が確認できる。また、化成品セグメントは小幅に減収減益となったが、堅調な建装建材セグメントで打ち返し、全社では増収増益となっている。
化成品セグメントについては、国内では原材料等の高騰も価格転嫁・コストダウンが奏功している一方、中国市況の価格競争の激化は続いており、同セグメントの収益に対して重石となった。なお、非建設分野への取り組みとして注力している機能材料においては、脱炭素に寄与する3次元加飾フィルム「ルミアート」が、海外量産車の外装に初めての採用となる見込み。本商品においては、自動車外装用への拡大により、2032年3月期に機能材料の売上高50億円を目指すとの野心的な目標を同社は掲げているが、順調な進捗が見て取れる。
建装建材セグメントについては、メラミン化粧板(国内)、「セラール」、住器建材などの高付加価値商品が伸長している。国内の高付加価値商品が全社収益をけん引する構図が継続している。海外については、中国市場の低迷が続くも、東南アジア市場で打ち返し、営業利益はしっかりと増益を確保した。
次に、注目されている住器建材の「スマートサニタリー」においては、2026年3月期中間期の売上高は、前年同期比46%増と成長率を維持している。本商品においては、ショールームの活用から来場者数が足元で顕著に増加しており、手頃な価格と意匠性を兼ね備えた同商品への注目が高まっているようだ。また、メラミン不燃化粧板「セラール」では「セラール セレント」も高い意匠性と施工性から、2026年3月期中間期の売上高は同28%増と拡大している。加えて、需要拡大に対して供給不足となっていたことから、海外拠点での生産開始など生産体制の強化を進めており、今後は需要に対応した成長が期待される。
海外売上高比率(全社ベース)については、2026年3月期中間期は46.2%となっている。建装建材セグメントの国内が堅調であったことから前年同期の48.3%から小幅低下となった。
2. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期の財務状況を見ると、資産合計は前期末比8,107百万円減少の279,951百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が1,735百万円減少し、売掛金が2,179百万円減少している。固定資産については、有形固定資産が1,550百万円減少、無形固定資産が1,194百万円減少し、投資その他の資産が3,573百万円増加している。
負債合計は前期末比8,538百万円減少の89,795百万円となった。流動負債は支払手形及び売掛金が2,285百万円減少した一方、短期借入金は782百万円増加している。固定負債については長期借入金・社債が7,551百万円減少している。
近年の経営効率化、高付加価値化シフトが奏功し、収益性の向上が進むなか、バランスシートの安全性はさらに高まっている。フリーキャッシュ・フロー創出力が増すなか、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債)は、2026年3月期中間期末時点で36,399百万円まで積み上がっている。一方、有利子負債も一定の規模感に収まっており、D/Eレシオは0.12倍と従来の水準を維持、自己資本比率は62.4%と小幅に上昇している。同社はキャッシュアロケーション(2024年3月期~2027年3月期)を公表しており、キャッシュインとキャッシュアウトの均衡を図っている。今後、株主還元や成長投資を拡大していく計画であるが、豊富な手元流動性及び財務レバレッジに照らせば、十分なバッファーを有していると言えよう。
■今後の見通し
通期計画を据え置き。経常利益は中計目標を1年前倒しで達成する見込み
● 2026年3月期通期の業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高について前期比6.6%増の265,000百万円、営業利益は同5.8%増の29,000百万円、経常利益は同4.6%増の30,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同8.3%増の18,300百万円と、いずれも過去最高を更新する計画である。ROEは10%以上、経常利益は現中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する見通しも含め、通期計画を据え置きとしている。
化成品セグメントについては、接着剤、建設樹脂、機能材料、その他いずれにおいても、前期以上の売上高を計画している。特に塗り壁材や補修・補強材などの建設樹脂が売上を牽引する見通しである。建装建材セグメントについては、好調が続く高付加価値商品(メラミン化粧板、「セラール」、「スマートサニタリー」)に注力する。
2026年3月期中間期までの進捗状況を見ると、売上高は通期予想に対して45.8%、営業利益は46.0%、経常利益は48.9%、親会社株主に帰属する当期純利益は51.5%に達しており、おおむね計画どおりに進捗している。足元では、化成品、建装建材ともに価格転嫁やコストダウン効果も継続しており、海外市況におけるボラティリティに対しても十分にコントロール可能と考える。
なお、「スマートサニタリー」が狙う造作風カテゴリーについては、足元では競合他社が商品供給を進めている模様。各社が同カテゴリーに参入することで、洗面台市場において造作風カテゴリーが浸透、市場拡大の好循環に入っておりポジティブに捉えている。なお、同社は先行者利益・意匠性のみならず、化粧台の材料である接着剤やメラミン化粧板などを内製化している点が競合他社に対する優位性となっている。
次に、海外市場については同社の取り組みや市場環境について何点か補足したい。日中関係の悪化による影響が懸念される向きはあるが、足元においては大きな影響は顕在化していない。また、同社の事業ポートフォリオは海外でも多地域に展開されており、商品も分散されていることから相応の対応力を期待できよう。
加えて、化成品海外においては収益性強化の取り組みとして、AAPグループでは、リテール市場における高付加価値商品の拡大、商品ミックス改善を進めている。具体的には、AAPグループは、BtoBが中心であったが、リテール向けに強いインドネシアにおいて、家具店などの最終ユーザー向けに販売を強化している。本件は収益性が高く、成長拡大している好事例であることから、タイでも同様の戦略を展開するべくADBシーラント社を取得し、販売・物流ネットワークを構築している。リテール向けの拡大を企図した事業変革は、2026年3月期のみならず、2027年3月期以降に向けた種まきとなる施策である。
同社は、海外事業において、2025年4月に海外事業カンパニーを設立している。海外事業の成長加速のため、海外における化成品と建装建材のシナジー最大化を企図したもの。中国市況を中心に、海外事業における市況変動は激しいが、市場の成長ポテンシャルは大きい。海外事業の収益性向上・事業シナジー創造は、企業価値向上に直結する施策であり、今後も進捗状況を注視していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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