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ダイドーグループホールディングス:自販機ビジネスの構造転換と海外飲料の収益柱化が進展、PBR0.8倍台
配信日時:2026/01/07 10:27
配信元:FISCO
*10:27JST ダイドーグループホールディングス:自販機ビジネスの構造転換と海外飲料の収益柱化が進展、PBR0.8倍台
ダイドーグループホールディングス<2590>は、国内飲料事業を中核に、海外飲料事業(トルコ・ポーランドなど)、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業を展開する複合型飲料メーカーである。国内飲料事業においては販売チャネルの約9割を自販機が占めており、コーヒーの売上高が大半を占め、一般的な大手飲料メーカーが自販機を複数販路の一つとして位置付けるのとは異なり、自販機そのものを「店舗」として捉え、飲料を中心にお客様の求める商品を販売している点が最大の特徴である。この事業モデルは、配置薬業に由来する「家庭に必要な商品を置く」発想を起点に、自販機の普及と缶コーヒー(HOT/COLD対応)の商品開発が結びつくことで形成されてきた。製造は外部委託を基本(ファブレス)とし、同社は自販機オペレーションと商品企画に経営資源を集中することで成長してきている。
国内飲料事業における競争優位性は、自販機に特化したオペレーション力にある。同社は2019年以降、スマート・オペレーションと呼ばれる独自の自販機運営効率化施策を導入しており、自販機に通信部材を設置することで、営業所にいながら在庫状況を把握できる体制を構築した。これにより、現場のルート担当者は商品補充作業に専念できるようになり、担当者1人当たりの自販機台数や販売金額といった生産性指標は改善している。また、2023年1月にはアサヒ飲料との合弁で直販チャネルの自販機オペレーションの一体的運営を担うダイナミックベンディングネットワークを設立し、アサヒ飲料の直販チャネルへもスマート・オペレーションを横展開している。2025年に先行投資フェーズはほぼ終了、今後はその成果を回収する段階に入ったとの位置付けである。他社も同様の効率化を進める中で、同社は先行して基盤整備を終えた点を差別化要因としている。
一方、足元の国内飲料事業は厳しい局面にある。原材料価格の高騰を受けて価格改定を複数回実施した結果、量販店やコンビニエンスストアなどとの価格差が拡大し、自販機離れが進行した。これにより販売数量が落ち込み、トップラインが弱含んでいる。同社はこうした環境変化を受け、従来の「自販機台数拡大」方針から、「設置1台当たりの売上高改善」を重視する収益性優先の方針へと転換した。不採算自販機の撤去も辞さない姿勢を明確にしており、数量よりも利益構造の立て直しを優先する判断である。また、同時に、消費者の嗜好の変化やコーヒー豆の原価高騰に対応するため、ソフトドリンク比率の向上などに取り組むことで、1~2年での黒字化へ回復するとしている。
海外飲料事業は、グループの収益を下支えする存在として重要性を高めている。トルコでは若年層人口の多さと人口増加、飲料市場の成長性に着目し、飲料メーカーとして事業を展開している。2016年以降の買収当初は、政治・為替の不安定さもあり業績が振るわなかったが、ハイパーインフレ下における戦略的な価格改定とサプライチェーンの改革を継続することで足元では高い収益性を確保している。2023年以降は地政学的要因を背景とした不買運動の影響で現地ブランドへの需要が高まり、同社商品の配架拡大につながったことも販売数量増加の要因となった。特需の恩恵を受けたブランド以外にも周辺商品の提案強化や機動的な販売促進も進めており、単なる外部要因だけでなく、自助努力による販売拡大が進んでいる。ポーランドでは、海外飲料事業の安定化を目的に展開している。自社ブランドに加え、スーパーマーケット向けの受託製造なども手掛けており、製造稼働率の安定と収益の平準化に寄与している。
非飲料事業では、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業を展開。医薬品関連事業では医薬部外品の受託製造に強みを持ち、許認可のハードルが高い分野で競合が限定的な点が特徴である。市場規模は大きくないものの、受託分野においては競争環境が比較的緩やかで、安定的な事業運営が可能な領域といえる。食品事業ではフルーツゼリーを主力とし、果物の調達力や売場提案力を背景に、ドライゼリー市場で高いシェアを有している。果物売場やチルド棚への展開など、流通との関係性も競争力の源泉となっている。希少疾病用医薬品事業では、日本の製造販売権を獲得し開発、承認を取得して販売するビジネスモデルで2025年1月に同社グループ初となる治療薬を上市している。非飲料事業は中長期的な育成領域と位置付けられており、短期的な利益貢献よりも将来の収益基盤としての役割が期待されている。
足元の業績では、2026年1月期第3四半期累計の売上高は184,950百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益は5,218百万円(同18.3%減)で着地した。消費者の節約志向による販売数量の減少や原価高騰による粗利減により国内飲料事業・食品事業は苦戦した一方、海外飲料事業は好調だった。トルコ飲料事業では、2022年度以降のハイパーインフレ環境下で断続的な価格改定を行いながらも、販売ボリュームは2022年度同期比で1.3倍以上に拡大。海外飲料事業は第3四半期として過去最高益を更新した。好調な海外飲料事業で国内飲料事業と食品事業の減益を一部吸収する形となった。通期計画では、売上高は243,400百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は1,800百万円(同62.4%減)を見込んでいる。
同社は2023年1月期から開始した中期経営計画2026の3年間で、業務提携やM&Aにより内部体制を大幅に変更したことに加え、原材料価格高騰に代表されるように外部環境も急激に変化し、計画の前提となる状況が大きく変わった中、財務指標を含めたあらゆる目標値が実態と乖離したため中期経営計画の見直しを実施している。売上高成長率(CAGR)+9%、営業利益率3%、連結ROIC4%を掲げており、国内飲料事業の収益回復が最大のテーマとなる。原価高騰による粗利低下に対応するため、社長直下のプロジェクトを立ち上げ、原価低減やオペレーション効率化に取り組んでいる。スマート・オペレーションについては、2027年度以降にアサヒ飲料との協業効果を含めたシナジーが本格的に顕在化する見通し。また、海外飲料事業は、製造キャパシティがフルに近い状況にあるものの、引き続き安定的な成長を見込んでおり、非飲料事業についても中長期視点での育成を継続する方針である。
株主還元は、安定配当方針を維持継続し、業績の進展とともに増配基調への転換をめざす。まずは将来の投資ステージを重視する姿勢を維持。個人株主比率が高い点を踏まえ、株主を単なる投資家ではなく消費者・ファンとして捉え、株主通信や株主優待を通じた関係強化を進めている。飲料市場約5兆円のうち、自販機市場は約1兆円規模とされる中で、同市場において存在感を発揮し続けることが、中長期的な企業価値向上につながるとの認識を示している。
総じて同社は、国内飲料事業における量的拡大モデルから収益性重視モデルへの転換局面にある一方、海外飲料事業が収益の柱として定着しつつあり、非飲料事業が中長期的な下支え・オプションとして機能する構図が見え始めている。自販機ビジネスの構造改革をどこまで着実に進められるか、そして海外事業の安定成長をどの程度持続できるかが、今後の評価を左右する局面にある。
<NH>
国内飲料事業における競争優位性は、自販機に特化したオペレーション力にある。同社は2019年以降、スマート・オペレーションと呼ばれる独自の自販機運営効率化施策を導入しており、自販機に通信部材を設置することで、営業所にいながら在庫状況を把握できる体制を構築した。これにより、現場のルート担当者は商品補充作業に専念できるようになり、担当者1人当たりの自販機台数や販売金額といった生産性指標は改善している。また、2023年1月にはアサヒ飲料との合弁で直販チャネルの自販機オペレーションの一体的運営を担うダイナミックベンディングネットワークを設立し、アサヒ飲料の直販チャネルへもスマート・オペレーションを横展開している。2025年に先行投資フェーズはほぼ終了、今後はその成果を回収する段階に入ったとの位置付けである。他社も同様の効率化を進める中で、同社は先行して基盤整備を終えた点を差別化要因としている。
一方、足元の国内飲料事業は厳しい局面にある。原材料価格の高騰を受けて価格改定を複数回実施した結果、量販店やコンビニエンスストアなどとの価格差が拡大し、自販機離れが進行した。これにより販売数量が落ち込み、トップラインが弱含んでいる。同社はこうした環境変化を受け、従来の「自販機台数拡大」方針から、「設置1台当たりの売上高改善」を重視する収益性優先の方針へと転換した。不採算自販機の撤去も辞さない姿勢を明確にしており、数量よりも利益構造の立て直しを優先する判断である。また、同時に、消費者の嗜好の変化やコーヒー豆の原価高騰に対応するため、ソフトドリンク比率の向上などに取り組むことで、1~2年での黒字化へ回復するとしている。
海外飲料事業は、グループの収益を下支えする存在として重要性を高めている。トルコでは若年層人口の多さと人口増加、飲料市場の成長性に着目し、飲料メーカーとして事業を展開している。2016年以降の買収当初は、政治・為替の不安定さもあり業績が振るわなかったが、ハイパーインフレ下における戦略的な価格改定とサプライチェーンの改革を継続することで足元では高い収益性を確保している。2023年以降は地政学的要因を背景とした不買運動の影響で現地ブランドへの需要が高まり、同社商品の配架拡大につながったことも販売数量増加の要因となった。特需の恩恵を受けたブランド以外にも周辺商品の提案強化や機動的な販売促進も進めており、単なる外部要因だけでなく、自助努力による販売拡大が進んでいる。ポーランドでは、海外飲料事業の安定化を目的に展開している。自社ブランドに加え、スーパーマーケット向けの受託製造なども手掛けており、製造稼働率の安定と収益の平準化に寄与している。
非飲料事業では、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業を展開。医薬品関連事業では医薬部外品の受託製造に強みを持ち、許認可のハードルが高い分野で競合が限定的な点が特徴である。市場規模は大きくないものの、受託分野においては競争環境が比較的緩やかで、安定的な事業運営が可能な領域といえる。食品事業ではフルーツゼリーを主力とし、果物の調達力や売場提案力を背景に、ドライゼリー市場で高いシェアを有している。果物売場やチルド棚への展開など、流通との関係性も競争力の源泉となっている。希少疾病用医薬品事業では、日本の製造販売権を獲得し開発、承認を取得して販売するビジネスモデルで2025年1月に同社グループ初となる治療薬を上市している。非飲料事業は中長期的な育成領域と位置付けられており、短期的な利益貢献よりも将来の収益基盤としての役割が期待されている。
足元の業績では、2026年1月期第3四半期累計の売上高は184,950百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益は5,218百万円(同18.3%減)で着地した。消費者の節約志向による販売数量の減少や原価高騰による粗利減により国内飲料事業・食品事業は苦戦した一方、海外飲料事業は好調だった。トルコ飲料事業では、2022年度以降のハイパーインフレ環境下で断続的な価格改定を行いながらも、販売ボリュームは2022年度同期比で1.3倍以上に拡大。海外飲料事業は第3四半期として過去最高益を更新した。好調な海外飲料事業で国内飲料事業と食品事業の減益を一部吸収する形となった。通期計画では、売上高は243,400百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は1,800百万円(同62.4%減)を見込んでいる。
同社は2023年1月期から開始した中期経営計画2026の3年間で、業務提携やM&Aにより内部体制を大幅に変更したことに加え、原材料価格高騰に代表されるように外部環境も急激に変化し、計画の前提となる状況が大きく変わった中、財務指標を含めたあらゆる目標値が実態と乖離したため中期経営計画の見直しを実施している。売上高成長率(CAGR)+9%、営業利益率3%、連結ROIC4%を掲げており、国内飲料事業の収益回復が最大のテーマとなる。原価高騰による粗利低下に対応するため、社長直下のプロジェクトを立ち上げ、原価低減やオペレーション効率化に取り組んでいる。スマート・オペレーションについては、2027年度以降にアサヒ飲料との協業効果を含めたシナジーが本格的に顕在化する見通し。また、海外飲料事業は、製造キャパシティがフルに近い状況にあるものの、引き続き安定的な成長を見込んでおり、非飲料事業についても中長期視点での育成を継続する方針である。
株主還元は、安定配当方針を維持継続し、業績の進展とともに増配基調への転換をめざす。まずは将来の投資ステージを重視する姿勢を維持。個人株主比率が高い点を踏まえ、株主を単なる投資家ではなく消費者・ファンとして捉え、株主通信や株主優待を通じた関係強化を進めている。飲料市場約5兆円のうち、自販機市場は約1兆円規模とされる中で、同市場において存在感を発揮し続けることが、中長期的な企業価値向上につながるとの認識を示している。
総じて同社は、国内飲料事業における量的拡大モデルから収益性重視モデルへの転換局面にある一方、海外飲料事業が収益の柱として定着しつつあり、非飲料事業が中長期的な下支え・オプションとして機能する構図が見え始めている。自販機ビジネスの構造改革をどこまで着実に進められるか、そして海外事業の安定成長をどの程度持続できるかが、今後の評価を左右する局面にある。
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