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大王製紙:家庭紙と産業用紙の複合で収益基盤を磨く総合製紙メーカー、PBR0.6倍台で推移
配信日時:2026/01/08 09:58
配信元:FISCO
*09:58JST 大王製紙:家庭紙と産業用紙の複合で収益基盤を磨く総合製紙メーカー、PBR0.6倍台で推移
大王製紙<3880>は、紙・板紙事業とホーム&パーソナルケア(H&PC)事業を展開する総合製紙メーカーであり、衛生用紙ブランド「エリエール」を中心に国内トップクラスのシェアを誇っている。紙・板紙事業(前期売上高構成比53%)では新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、段ボール原紙など幅広い品種を揃え、H&PC(同44%、うち国内32%・海外12%)ではティシュー、トイレットペーパー、ベビー用・大人用紙おむつ、フェミニンケア、ペットケアなど生活領域全般に事業を拡張。「エリエール」は、ティシュー・トイレット・キッチンペーパーの衛生用紙全カテゴリーの市場占有率 No.1を獲得している(インテージ SRI+ ティシュー市場、トイレットペーパー市場、キッチンペーパー市場、ペーパータオル市場の合算(2024 年度メーカー別売上金額))。中核拠点である三島工場は東京ドーム36個分に及ぶ国内有数の規模を有し、海外からの木材チップ調達から抄紙・加工・出荷までを一貫生産することで、コスト競争力と安定供給体制を実現している。また、H&PCと紙・板紙をバランス良く有する複合ポートフォリオにより、市況変動に左右されにくい収益体制が構築されている。近年はブラジル企業サンテル買収により海外展開も強化し、グローバルでの事業基盤を着実に拡大している。
同社の強みは、第一に、世界最大級の製紙工場、三島工場の一貫生産体制である。原料調達から製品化までをワンストップで行うことで、納期遵守と品質安定を同時に実現し、新聞用紙・包装用紙・段ボール原紙など幅広い領域で競争優位性を確保している。隣接する国際貿易港は、中国をはじめとするアジア諸国への物流コストに優位性があるほか、三島工場は国内最大の生産量の針葉樹パルプ設備、および国内 2 位の生産量の広葉樹パルプ設備(ともに同社調べ)を併せ持っており、また、臨海立地であることから木材チップ調達コストも優位性がある。第二に、H&PC事業における強固なブランド力である。特に「エリエール」は衛生用紙カテゴリーで国内首位クラスのシェアを持ち、加えてベビーケア、フェミニンケア、ペットケアなど多様な高付加価値商品を展開できる点が差別化要因となっている。第三に、国内外で進める構造改革の進展である。中国事業は少子化の進行に加え、現地メーカーの台頭により競争が激化しており、事業環境の変化を踏まえ、ベビー用紙おむつ製造設備を売却、現在は生産委託体制の下、商品を順次発売し、販売回復に努めている。また、日本の約10倍もの規模を有するフェミニンケア市場でも着実にシェアを高めている。
2026年3月期第2四半期累計の売上高は319,358百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益8,559百万円(同130.8%増)で着地した。各事業での取り組みが奏功して増益を実現、期初予想を上回る利益水準を確保した。H&PC国内事業は付加価値商品の拡販、価格改定の取り組みにより営業利益率が改善し、衛生用紙や大人用紙おむつの販売が堅調で想定以上の進捗を示した。H&PC海外事業は構造改革効果が発現して収益性が着実に改善。また、国内の印刷・出版用紙需要の縮小や中国の景気減速によるH&PC海外売上の鈍化があった一方で、いわき大王製紙のボイラー改修完了に伴うエネルギーコストの改善が利益押し上げ要因として寄与し、固定費削減も計画を上回って進んだ。通期は売上高670,000百万円(前期比0.2%増)、営業利益22,000百万円(同124.3%増)を見込んでいる。
市場環境は、国内の紙・板紙市場は、印刷・出版用紙の需要縮小が続き、中長期で成長が見込みにくい環境にある。一方、包装用紙や段ボール原紙はEC需要の拡大を背景に底堅く、数量としては横ばいながらも高品質・高価格帯へのシフトが進んでおり、収益確保が重要なテーマとなっている。また、新聞用紙では丸住製紙の撤退など供給側の淘汰が進み、市場の寡占化により大手メーカーに需要が再配分される動きがみられる。H&PC市場では、国内の家庭紙は成熟しているものの、プレミアム品・長尺ロール・環境配慮製品の需要が一定の伸びを維持しており、さらに大人用紙おむつやペットケア製品といった高成長カテゴリーが市場全体を下支えしている。海外では中国の景気減速により紙おむつは競争が激化している一方、フェミニンケアなど高付加価値製品は需要が堅調で、ブラジルでは衛生用紙の高い成長性が続いている。国内外ともに市場構造が大きく変化しており、付加価値品へのシフトと生産効率化が競争力の鍵となる環境である。
同社は2026年度(中計最終年度)に売上高7,400億円、営業利益300億円の達成を目指している。引き続きH&PC海外事業の構造改革の推進、H&PC国内事業の収益力強化、紙・板紙事業のコストダウン施策の立案/実行に取り組んでいく。実際に、H&PC海外事業の構造改革に目処が立ち、テーマである経営基盤の強化が確実に前進していることから、第5次中期事業計画はここまで順調に進捗しているようだ。
さらに、中長期的には日本を含めたグローバルでの展開、研究開発力やマーケティング力を含む環境変化対応力、地域と共生した廃棄物燃料・木質燃料、変革を実行する人材の確保や育成への投資に力を入れており、2035年の目標は連結売上高1兆2000億円、営業利益率10%を掲げている。H&PCではプレミアム品・長尺ロール・環境配慮型の高付加価値品が市場で存在感を高めており、同社もエリエールブランドを軸に戦略商品の育成を進める方針である。H&PC海外事業でも、トルコ子会社の株式売却と中国工場の一部売却を決定・実行した。国内紙・板紙は大幅成長を見込みにくいが、EC拡大に伴う包装・段ボール原紙の底堅い需要が続く見通しであり、高品質・高価格帯に注力することで利益確保が期待できる。海外はブラジル事業の成長性が高く、フェミニンケアを中心とした高付加価値領域の拡大により収益貢献が高まる見込みである。
株主還元では、2026年3月期の年間配当は14円を計画しており、安定的な株主還元を継続する姿勢を示している。加えて、構造改革と成長投資を並行して進め、中長期的な企業価値向上を重視する方針である。そのほか、株主優待も導入し、100株以上を1年以上継続保有している株主に、同社商品詰め合わせを贈呈している。
総じて、大王製紙の構造改革の進展、H&PC高付加価値商品の拡大、海外事業の黒字化に向けて順調に進んでおり、転換局面に入っている。PBR0.6倍台で推移するなか、次期中計での飛躍に向けた人・組織と財務基盤の強化を最優先事項に置きつつ資本コストを上回る収益性の達成を目指している同社の今後の株価推移に注目しておきたい。
<NH>
同社の強みは、第一に、世界最大級の製紙工場、三島工場の一貫生産体制である。原料調達から製品化までをワンストップで行うことで、納期遵守と品質安定を同時に実現し、新聞用紙・包装用紙・段ボール原紙など幅広い領域で競争優位性を確保している。隣接する国際貿易港は、中国をはじめとするアジア諸国への物流コストに優位性があるほか、三島工場は国内最大の生産量の針葉樹パルプ設備、および国内 2 位の生産量の広葉樹パルプ設備(ともに同社調べ)を併せ持っており、また、臨海立地であることから木材チップ調達コストも優位性がある。第二に、H&PC事業における強固なブランド力である。特に「エリエール」は衛生用紙カテゴリーで国内首位クラスのシェアを持ち、加えてベビーケア、フェミニンケア、ペットケアなど多様な高付加価値商品を展開できる点が差別化要因となっている。第三に、国内外で進める構造改革の進展である。中国事業は少子化の進行に加え、現地メーカーの台頭により競争が激化しており、事業環境の変化を踏まえ、ベビー用紙おむつ製造設備を売却、現在は生産委託体制の下、商品を順次発売し、販売回復に努めている。また、日本の約10倍もの規模を有するフェミニンケア市場でも着実にシェアを高めている。
2026年3月期第2四半期累計の売上高は319,358百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益8,559百万円(同130.8%増)で着地した。各事業での取り組みが奏功して増益を実現、期初予想を上回る利益水準を確保した。H&PC国内事業は付加価値商品の拡販、価格改定の取り組みにより営業利益率が改善し、衛生用紙や大人用紙おむつの販売が堅調で想定以上の進捗を示した。H&PC海外事業は構造改革効果が発現して収益性が着実に改善。また、国内の印刷・出版用紙需要の縮小や中国の景気減速によるH&PC海外売上の鈍化があった一方で、いわき大王製紙のボイラー改修完了に伴うエネルギーコストの改善が利益押し上げ要因として寄与し、固定費削減も計画を上回って進んだ。通期は売上高670,000百万円(前期比0.2%増)、営業利益22,000百万円(同124.3%増)を見込んでいる。
市場環境は、国内の紙・板紙市場は、印刷・出版用紙の需要縮小が続き、中長期で成長が見込みにくい環境にある。一方、包装用紙や段ボール原紙はEC需要の拡大を背景に底堅く、数量としては横ばいながらも高品質・高価格帯へのシフトが進んでおり、収益確保が重要なテーマとなっている。また、新聞用紙では丸住製紙の撤退など供給側の淘汰が進み、市場の寡占化により大手メーカーに需要が再配分される動きがみられる。H&PC市場では、国内の家庭紙は成熟しているものの、プレミアム品・長尺ロール・環境配慮製品の需要が一定の伸びを維持しており、さらに大人用紙おむつやペットケア製品といった高成長カテゴリーが市場全体を下支えしている。海外では中国の景気減速により紙おむつは競争が激化している一方、フェミニンケアなど高付加価値製品は需要が堅調で、ブラジルでは衛生用紙の高い成長性が続いている。国内外ともに市場構造が大きく変化しており、付加価値品へのシフトと生産効率化が競争力の鍵となる環境である。
同社は2026年度(中計最終年度)に売上高7,400億円、営業利益300億円の達成を目指している。引き続きH&PC海外事業の構造改革の推進、H&PC国内事業の収益力強化、紙・板紙事業のコストダウン施策の立案/実行に取り組んでいく。実際に、H&PC海外事業の構造改革に目処が立ち、テーマである経営基盤の強化が確実に前進していることから、第5次中期事業計画はここまで順調に進捗しているようだ。
さらに、中長期的には日本を含めたグローバルでの展開、研究開発力やマーケティング力を含む環境変化対応力、地域と共生した廃棄物燃料・木質燃料、変革を実行する人材の確保や育成への投資に力を入れており、2035年の目標は連結売上高1兆2000億円、営業利益率10%を掲げている。H&PCではプレミアム品・長尺ロール・環境配慮型の高付加価値品が市場で存在感を高めており、同社もエリエールブランドを軸に戦略商品の育成を進める方針である。H&PC海外事業でも、トルコ子会社の株式売却と中国工場の一部売却を決定・実行した。国内紙・板紙は大幅成長を見込みにくいが、EC拡大に伴う包装・段ボール原紙の底堅い需要が続く見通しであり、高品質・高価格帯に注力することで利益確保が期待できる。海外はブラジル事業の成長性が高く、フェミニンケアを中心とした高付加価値領域の拡大により収益貢献が高まる見込みである。
株主還元では、2026年3月期の年間配当は14円を計画しており、安定的な株主還元を継続する姿勢を示している。加えて、構造改革と成長投資を並行して進め、中長期的な企業価値向上を重視する方針である。そのほか、株主優待も導入し、100株以上を1年以上継続保有している株主に、同社商品詰め合わせを贈呈している。
総じて、大王製紙の構造改革の進展、H&PC高付加価値商品の拡大、海外事業の黒字化に向けて順調に進んでおり、転換局面に入っている。PBR0.6倍台で推移するなか、次期中計での飛躍に向けた人・組織と財務基盤の強化を最優先事項に置きつつ資本コストを上回る収益性の達成を目指している同社の今後の株価推移に注目しておきたい。
<NH>
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