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エプコ:再エネ・住宅設計・メンテナンスを一体で担う独自モデルが強み、配当利回り4%超え
配信日時:2025/12/25 10:16
配信元:FISCO
*10:16JST エプコ:再エネ・住宅設計・メンテナンスを一体で担う独自モデルが強み、配当利回り4%超え
エプコ<2311>は、住宅関連領域において「設計サービス」「メンテナンスサービス」「再エネサービス」の3事業を展開する独立系サービス企業である。住宅の設備設計、竣工後のメンテナンス対応、さらに太陽光・蓄電池など再生可能エネルギー設備の導入・運用までを一気通貫で手掛ける点に特徴があり、住宅ライフサイクル全体に関与するビジネスモデルを構築している。住宅業界では、設計・施工・メンテナンス・エネルギーを個別に担う企業は多いものの、これらを横断的に提供するプレイヤーは限定的であり、同社のポジショニングは独自性が高い。
設計サービスは、住宅設備の設計を中心とするBPO型ビジネスであり、年間約10万戸の設計実績を有する。国内新築低層住宅における設備設計シェアは約14%に達しており、すでに一定のプレゼンスを確立。住宅メーカーが内製化するか外注するかの判断において、構造設計や販売といった中核領域は自社で担う一方、設備設計は非コア領域として外注されやすい。同社はこの領域で品質とコスト効率を両立させる存在として位置付けられており、今後は国内新築市場が縮小する中でも、シェア拡大とDXによる生産性向上によって成長余地は残されているとみられる。特に、図面作成やチェック工程の自動化を進めることで、採算性の制約から対応が難しかった顧客層にもサービスを広げられる点が中長期的な単価・利益率改善のカギとなる。
メンテナンスサービスは、住宅設備の修理受付、コールセンター業務、修理手配などを担う住宅特化型BPO事業である。収益構造は、基本的にオペレーター数に応じた委託料をベースとするモデルで、一般的なコールセンター事業とは異なり、住宅の設計図面データを保有・活用できる点が強みとなっている。住戸ごとの設備構成を把握した上で居住者対応が可能なため、単なる一次受けではなく、専門性の高い対応が可能である点が評価されている。足元では一部エネルギー関連顧客の内製化により売上面で調整局面も見られるが、住宅ストックの積み上がりとともに管理対象戸数は中長期で増加していく構造にあり、再エネ設備の普及が進めば、同領域のメンテナンス需要も新たな成長源となる可能性がある。
再エネサービスは、同社の成長ドライバーとして位置付けられている事業で、TEPCOホームテック(THT)および100%子会社ENE’sを中心に展開されている。THTは再エネ設備をリース・サブスク型で提供する「エネカリ」を主軸とし、顧客獲得や契約、長期運用を担う。一方、ENE’sは実際の施工を担う実働部隊であり、工事の品質・安全性・生産性を左右する重要な役割を果たしている。工事はTHTが元請として受注し、現場作業はENE’sが協力会社と連携して進める体制となっている。両社を分業させることで、営業・ファイナンス機能と施工オペレーションを切り分けつつ、品質管理を内製でコントロールできる点が同社の再エネ事業の競争優位性となっている。
競合環境を見ると、設計分野では住宅設備設計会社、メンテナンス分野では大手コールセンター会社や住宅メーカー内製部門、再エネ分野ではエネルギー会社やリース型太陽光事業者がそれぞれ競合となる。しかし、住宅設計データを起点に、メンテナンス、再エネ導入・運用までを一体で手掛ける企業はほとんど存在せず、同社自身も「住宅に関わる業務全体を横断的に担う競合は見当たらない」との認識を示している。電力会社やハウスメーカーの内製化は潜在的な脅威であるものの、非コア業務を外注する合理性や、品質・効率を両立させる専門事業者としての役割は引き続き有効と考えられる。
2025年12月期第3四半期(3Q)業績は、売上高4,744百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益294百万円(同10.3%増)で着地した。再エネサービスの増収増益が全体をけん引しており、3Qにおいては季節要因等により工事売上が一時停滞した。メンテナンスサービスは、3Qまでは前年度の大型受託業務の終了の影響により減収減益が継続。設計サービスは前年同期比横ばいで推移。利益向上に向けた生産性向上施策を実施している。3Qでは一部工事案件の時期ずれにより利益進捗に遅れが生じたものの、受注自体は確保されており、会社側は第4四半期での巻き返しを想定している。通期計画は、売上高6,530百万円(前期比16.5%増)、営業利益426百万円(同27.5%増)を見込む。
中期経営計画第1フェーズ(2025-2027年)では、最終年度に売上高75億円、経常利益10億円を掲げており、再エネサービスを軸とした成長戦略が描かれている。再エネ設備工事市場の拡大に伴い、THT及びENE’sの売上・利益は着実に成長する見通し。国土交通省の設置目標で2030年度に新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備を導入、地方自治体による太陽光発電設置義務化条例の整備及び補助金制度の実施のほか、経産省では家庭用、業務・産業用蓄電池における2030年までの合計累積導入量10倍(対2019年比)、2030年までに充電インフラ30万口の整備など、太陽光発電・蓄電池・EV充電器の設置工事市場は今後もさらなる成長が見込まれる。また、データセンターの新増設等で電力需要は更なる増加が見込まれる中、日本政府は再生可能エネルギーの構成割合を40-50%程度に引き上げる方針で、全体的な市場環境の追い風もポジティブに働こう。そのほか、設計サービスはDXによる既存業務の変革で利益率向上(D-TECH2.0プロジェクト)に注力、メンテナンスサービスもストック住宅向けサービスの拡大及びDXによる生産性向上により売上・利益共に着実な成長を目指していくようだ。
さらに長期目標として、中期経営計画第2フェーズ(2028-2030年)では売上高100億円、経常利益15億円を掲げており、再エネ領域の拡大に加え、設計・メンテナンスのDXによる収益性向上、新規事業の育成が重要なテーマとなる。海外展開やM&Aについても選択肢として排除しておらず、非連続的成長の可能性は中長期的な注目点となる。
株主還元では、上場以来23年間減配実績がなく、中計第1フェーズにおいても配当性向50%を目安とした累進配当方針を継続する姿勢を明確にしている。足元の利益成長と財務基盤を踏まえ、安定的な還元を重視。また、株主優待も導入しており、1年に2回、100株以上保有している株主のうち、抽選に応募できる。カテゴリーA(100万円相当)では「太陽光発電システム(工事代・メーカー機器保証・工事保証込み )、蓄電池(設置代込み)、エコキュート(設置代込み)のいずれかを個人所有の専用住宅(新築及び既築)に無償で設置する権利」、カテゴリーB(15万円相当)では「ポータブルソーラーパネル・ポータブル電源セット、ポータブル蓄電池、電動アシスト自転車」のいずれかを贈呈する。抽選の中からカテゴリーAを5名、カテゴリーBを5名の計10名を当選者として選出する。財務戦略については、過去5年間のROE(平均)10.9%から中期経営計画達成により2027年度14.5%に上昇させる方針である。
総じて、エプコは住宅×再エネ×DXという社会課題に直結する領域で独自の事業モデルを構築しており、再エネサービスを成長エンジンに中期的な利益成長が期待される企業である。配当利回り4%超で推移するなか、設計・メンテナンスというストック性の高い事業基盤を有する点も踏まえると、成長と安定を両立したビジネスモデルとして中長期視点で注目されよう。
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設計サービスは、住宅設備の設計を中心とするBPO型ビジネスであり、年間約10万戸の設計実績を有する。国内新築低層住宅における設備設計シェアは約14%に達しており、すでに一定のプレゼンスを確立。住宅メーカーが内製化するか外注するかの判断において、構造設計や販売といった中核領域は自社で担う一方、設備設計は非コア領域として外注されやすい。同社はこの領域で品質とコスト効率を両立させる存在として位置付けられており、今後は国内新築市場が縮小する中でも、シェア拡大とDXによる生産性向上によって成長余地は残されているとみられる。特に、図面作成やチェック工程の自動化を進めることで、採算性の制約から対応が難しかった顧客層にもサービスを広げられる点が中長期的な単価・利益率改善のカギとなる。
メンテナンスサービスは、住宅設備の修理受付、コールセンター業務、修理手配などを担う住宅特化型BPO事業である。収益構造は、基本的にオペレーター数に応じた委託料をベースとするモデルで、一般的なコールセンター事業とは異なり、住宅の設計図面データを保有・活用できる点が強みとなっている。住戸ごとの設備構成を把握した上で居住者対応が可能なため、単なる一次受けではなく、専門性の高い対応が可能である点が評価されている。足元では一部エネルギー関連顧客の内製化により売上面で調整局面も見られるが、住宅ストックの積み上がりとともに管理対象戸数は中長期で増加していく構造にあり、再エネ設備の普及が進めば、同領域のメンテナンス需要も新たな成長源となる可能性がある。
再エネサービスは、同社の成長ドライバーとして位置付けられている事業で、TEPCOホームテック(THT)および100%子会社ENE’sを中心に展開されている。THTは再エネ設備をリース・サブスク型で提供する「エネカリ」を主軸とし、顧客獲得や契約、長期運用を担う。一方、ENE’sは実際の施工を担う実働部隊であり、工事の品質・安全性・生産性を左右する重要な役割を果たしている。工事はTHTが元請として受注し、現場作業はENE’sが協力会社と連携して進める体制となっている。両社を分業させることで、営業・ファイナンス機能と施工オペレーションを切り分けつつ、品質管理を内製でコントロールできる点が同社の再エネ事業の競争優位性となっている。
競合環境を見ると、設計分野では住宅設備設計会社、メンテナンス分野では大手コールセンター会社や住宅メーカー内製部門、再エネ分野ではエネルギー会社やリース型太陽光事業者がそれぞれ競合となる。しかし、住宅設計データを起点に、メンテナンス、再エネ導入・運用までを一体で手掛ける企業はほとんど存在せず、同社自身も「住宅に関わる業務全体を横断的に担う競合は見当たらない」との認識を示している。電力会社やハウスメーカーの内製化は潜在的な脅威であるものの、非コア業務を外注する合理性や、品質・効率を両立させる専門事業者としての役割は引き続き有効と考えられる。
2025年12月期第3四半期(3Q)業績は、売上高4,744百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益294百万円(同10.3%増)で着地した。再エネサービスの増収増益が全体をけん引しており、3Qにおいては季節要因等により工事売上が一時停滞した。メンテナンスサービスは、3Qまでは前年度の大型受託業務の終了の影響により減収減益が継続。設計サービスは前年同期比横ばいで推移。利益向上に向けた生産性向上施策を実施している。3Qでは一部工事案件の時期ずれにより利益進捗に遅れが生じたものの、受注自体は確保されており、会社側は第4四半期での巻き返しを想定している。通期計画は、売上高6,530百万円(前期比16.5%増)、営業利益426百万円(同27.5%増)を見込む。
中期経営計画第1フェーズ(2025-2027年)では、最終年度に売上高75億円、経常利益10億円を掲げており、再エネサービスを軸とした成長戦略が描かれている。再エネ設備工事市場の拡大に伴い、THT及びENE’sの売上・利益は着実に成長する見通し。国土交通省の設置目標で2030年度に新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備を導入、地方自治体による太陽光発電設置義務化条例の整備及び補助金制度の実施のほか、経産省では家庭用、業務・産業用蓄電池における2030年までの合計累積導入量10倍(対2019年比)、2030年までに充電インフラ30万口の整備など、太陽光発電・蓄電池・EV充電器の設置工事市場は今後もさらなる成長が見込まれる。また、データセンターの新増設等で電力需要は更なる増加が見込まれる中、日本政府は再生可能エネルギーの構成割合を40-50%程度に引き上げる方針で、全体的な市場環境の追い風もポジティブに働こう。そのほか、設計サービスはDXによる既存業務の変革で利益率向上(D-TECH2.0プロジェクト)に注力、メンテナンスサービスもストック住宅向けサービスの拡大及びDXによる生産性向上により売上・利益共に着実な成長を目指していくようだ。
さらに長期目標として、中期経営計画第2フェーズ(2028-2030年)では売上高100億円、経常利益15億円を掲げており、再エネ領域の拡大に加え、設計・メンテナンスのDXによる収益性向上、新規事業の育成が重要なテーマとなる。海外展開やM&Aについても選択肢として排除しておらず、非連続的成長の可能性は中長期的な注目点となる。
株主還元では、上場以来23年間減配実績がなく、中計第1フェーズにおいても配当性向50%を目安とした累進配当方針を継続する姿勢を明確にしている。足元の利益成長と財務基盤を踏まえ、安定的な還元を重視。また、株主優待も導入しており、1年に2回、100株以上保有している株主のうち、抽選に応募できる。カテゴリーA(100万円相当)では「太陽光発電システム(工事代・メーカー機器保証・工事保証込み )、蓄電池(設置代込み)、エコキュート(設置代込み)のいずれかを個人所有の専用住宅(新築及び既築)に無償で設置する権利」、カテゴリーB(15万円相当)では「ポータブルソーラーパネル・ポータブル電源セット、ポータブル蓄電池、電動アシスト自転車」のいずれかを贈呈する。抽選の中からカテゴリーAを5名、カテゴリーBを5名の計10名を当選者として選出する。財務戦略については、過去5年間のROE(平均)10.9%から中期経営計画達成により2027年度14.5%に上昇させる方針である。
総じて、エプコは住宅×再エネ×DXという社会課題に直結する領域で独自の事業モデルを構築しており、再エネサービスを成長エンジンに中期的な利益成長が期待される企業である。配当利回り4%超で推移するなか、設計・メンテナンスというストック性の高い事業基盤を有する点も踏まえると、成長と安定を両立したビジネスモデルとして中長期視点で注目されよう。
<NH>
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