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富士製薬 Research Memo(3):女性医療への特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築(1)
配信日時:2025/12/24 13:43
配信元:FISCO
*13:43JST 富士製薬 Research Memo(3):女性医療への特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築(1)
■事業概要
1. 事業概要
(1) 女性医療
女性医療は、富士製薬工業<4554>の成長をけん引する中核事業であり、「未解決・未充足の女性の健康課題を解決する」という企業理念の体現である。世界的に女性医療市場は拡大基調にあり、2023年から2033年にかけて年率約4.8%の成長が見込まれる。特に日本では、疾患認知度やホルモン治療率が欧米諸国に比べて著しく低く、今後の成長余地が大きいことが示されている。
この環境下で同社は、月経困難症治療薬『アリッサ(R)配合錠』を中核とした新製品群の展開により、女性医療市場でのシェア拡大を目指す。同薬品は天然型エストロゲン「エステトロール(E4)」を有効成分とする国内初の新規治療薬であり、2029年には年間売上高100億円規模に成長する見込みである。また、ヘルスリテラシー向上を背景に、既存主力の経口避妊薬や更年期障害治療薬『エフメノ(R)カプセル』なども伸長が期待されている。
さらに、月経困難症治療薬(LEP)市場は2019年から2023年の5年間で約2倍に拡大し、2023年時点で使用シート数は1,000万を超える。同社は2029年までに『アリッサ(R)配合錠』で200万シートのシェア獲得を目標とし、女性医療の専任MR90名体制の営業力強化と、エムスリー<2413>との協業によるデジタルプロモーションを推進する。
同社は、月経困難症・避妊・更年期・不妊といった女性のライフステージに寄り添う医薬品の総合提供を通じ、国内外で女性医療No.1ブランドの確立を目指している。現時点においても女性医療向け薬品の品揃えは40種類を超える。
(2) バイオシミラー
バイオシミラー領域は、同社にとって次世代の成長を担う戦略的事業であり、高付加価値型スペシャリティファーマへの進化を象徴する取り組みである。バイオシミラーとは、先行するバイオ医薬品の特許が切れた後に、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・有効性・安全性を備えた生物由来の後発医薬品であり、化学合成医薬品に比べて開発・製造の難易度が格段に高い分野である。日本では、国民医療費の増大を背景に、国が医療費抑制を目的として後発医薬品の普及を強力に推進しており、既に一般医薬品では処方全体の約9割がジェネリックに置き換わるまでに浸透している。こうしたなか、今後の医療費構造改革のカギを握るのがバイオ医薬品のコスト低減であり、バイオシミラーの普及は国策として極めて重要な位置付けにある。こうした環境下、同社は国内で5品目のバイオシミラーを上市している国内トップ企業として、医療費抑制と品質確保の両立を実現し、国の医療政策にも合致した役割を果たしている。
同社は2013年にバイオシミラー事業に参入して以降、製造・分析・品質保証の一貫体制を構築してきた。さらに近年では、アイスランドのAlvotechとの戦略的提携を通じて、抗体医薬品を含む複数の開発パイプラインを確保しており、開発ポートフォリオの拡充とスピードアップを図っている。Alvotechのグローバルな開発・製造ノウハウを活用することで、同社は国内での開発力と競争力を一段と高めている。
同社のバイオシミラー戦略は、過去からのジェネリック事業の拡張ということではなく、医療費抑制という社会的課題と、高品質な医療提供という使命を両立させる取り組みである。技術力、国際連携、政策適合性の3つを兼ね備えた同社は、バイオシミラー市場におけるリーディングポジションを確固たるものとし、持続的な成長軌道を描いている。
(3) グローバルCMO
グローバルCMO事業は、国内外の製薬企業からの製造受託を通じて収益の安定化と事業の国際展開を図る戦略的事業である。富山工場を中心に、高度な品質管理と柔軟な生産対応力を強みとし、注射剤やホルモン剤など、高難度製剤分野での受託実績を積み重ねてきた。また、2012年に子会社化したタイのOLIC (Thailand)を海外生産拠点として活用し、ASEANを中心とするグローバル展開を加速させている。
中期経営計画では、「富山×タイ」の2拠点生産体制を軸に、国際的な製造ネットワークの構築を推進している。富山工場ではホルモン剤や注射剤の製造を中心に、高付加価値領域に特化した受託案件の拡大を進める。一方、OLIC (Thailand)はアジア最大級の医薬品受託製造企業として、外資系製薬企業を含む約40社と取引実績を有し、固形剤・液剤・注射剤など幅広い製品形態に対応している。これにより、同社は国内外双方で受託機能を補完し合う体制を確立している。さらに、今後はバイオシミラーや高薬理活性製剤の受託を視野に入れ、開発段階から製造・品質保証までを一貫支援する“フルスコープ型CMO”への進化を目指す。グローバルCMO事業は、医薬品の安定供給体制を支える社会的インフラとしての役割を担いながら、同社の中長期成長を下支えしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
<HN>
1. 事業概要
(1) 女性医療
女性医療は、富士製薬工業<4554>の成長をけん引する中核事業であり、「未解決・未充足の女性の健康課題を解決する」という企業理念の体現である。世界的に女性医療市場は拡大基調にあり、2023年から2033年にかけて年率約4.8%の成長が見込まれる。特に日本では、疾患認知度やホルモン治療率が欧米諸国に比べて著しく低く、今後の成長余地が大きいことが示されている。
この環境下で同社は、月経困難症治療薬『アリッサ(R)配合錠』を中核とした新製品群の展開により、女性医療市場でのシェア拡大を目指す。同薬品は天然型エストロゲン「エステトロール(E4)」を有効成分とする国内初の新規治療薬であり、2029年には年間売上高100億円規模に成長する見込みである。また、ヘルスリテラシー向上を背景に、既存主力の経口避妊薬や更年期障害治療薬『エフメノ(R)カプセル』なども伸長が期待されている。
さらに、月経困難症治療薬(LEP)市場は2019年から2023年の5年間で約2倍に拡大し、2023年時点で使用シート数は1,000万を超える。同社は2029年までに『アリッサ(R)配合錠』で200万シートのシェア獲得を目標とし、女性医療の専任MR90名体制の営業力強化と、エムスリー<2413>との協業によるデジタルプロモーションを推進する。
同社は、月経困難症・避妊・更年期・不妊といった女性のライフステージに寄り添う医薬品の総合提供を通じ、国内外で女性医療No.1ブランドの確立を目指している。現時点においても女性医療向け薬品の品揃えは40種類を超える。
(2) バイオシミラー
バイオシミラー領域は、同社にとって次世代の成長を担う戦略的事業であり、高付加価値型スペシャリティファーマへの進化を象徴する取り組みである。バイオシミラーとは、先行するバイオ医薬品の特許が切れた後に、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・有効性・安全性を備えた生物由来の後発医薬品であり、化学合成医薬品に比べて開発・製造の難易度が格段に高い分野である。日本では、国民医療費の増大を背景に、国が医療費抑制を目的として後発医薬品の普及を強力に推進しており、既に一般医薬品では処方全体の約9割がジェネリックに置き換わるまでに浸透している。こうしたなか、今後の医療費構造改革のカギを握るのがバイオ医薬品のコスト低減であり、バイオシミラーの普及は国策として極めて重要な位置付けにある。こうした環境下、同社は国内で5品目のバイオシミラーを上市している国内トップ企業として、医療費抑制と品質確保の両立を実現し、国の医療政策にも合致した役割を果たしている。
同社は2013年にバイオシミラー事業に参入して以降、製造・分析・品質保証の一貫体制を構築してきた。さらに近年では、アイスランドのAlvotechとの戦略的提携を通じて、抗体医薬品を含む複数の開発パイプラインを確保しており、開発ポートフォリオの拡充とスピードアップを図っている。Alvotechのグローバルな開発・製造ノウハウを活用することで、同社は国内での開発力と競争力を一段と高めている。
同社のバイオシミラー戦略は、過去からのジェネリック事業の拡張ということではなく、医療費抑制という社会的課題と、高品質な医療提供という使命を両立させる取り組みである。技術力、国際連携、政策適合性の3つを兼ね備えた同社は、バイオシミラー市場におけるリーディングポジションを確固たるものとし、持続的な成長軌道を描いている。
(3) グローバルCMO
グローバルCMO事業は、国内外の製薬企業からの製造受託を通じて収益の安定化と事業の国際展開を図る戦略的事業である。富山工場を中心に、高度な品質管理と柔軟な生産対応力を強みとし、注射剤やホルモン剤など、高難度製剤分野での受託実績を積み重ねてきた。また、2012年に子会社化したタイのOLIC (Thailand)を海外生産拠点として活用し、ASEANを中心とするグローバル展開を加速させている。
中期経営計画では、「富山×タイ」の2拠点生産体制を軸に、国際的な製造ネットワークの構築を推進している。富山工場ではホルモン剤や注射剤の製造を中心に、高付加価値領域に特化した受託案件の拡大を進める。一方、OLIC (Thailand)はアジア最大級の医薬品受託製造企業として、外資系製薬企業を含む約40社と取引実績を有し、固形剤・液剤・注射剤など幅広い製品形態に対応している。これにより、同社は国内外双方で受託機能を補完し合う体制を確立している。さらに、今後はバイオシミラーや高薬理活性製剤の受託を視野に入れ、開発段階から製造・品質保証までを一貫支援する“フルスコープ型CMO”への進化を目指す。グローバルCMO事業は、医薬品の安定供給体制を支える社会的インフラとしての役割を担いながら、同社の中長期成長を下支えしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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