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上新電機 Research Memo(6):2027年3月期に営業利益100億円、ROE7.0%の達成を目指す(1)
配信日時:2025/12/01 11:06
配信元:FISCO
*11:06JST 上新電機 Research Memo(6):2027年3月期に営業利益100億円、ROE7.0%の達成を目指す(1)
■上新電機<8173>の今後の見通し
1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の404,000百万円、営業利益が同8.5%増の4,000百万円、経常利益が同14.6%増の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.8%減の2,800百万円の見通しであり、期初計画を据え置いている。
中間期は売上高が期初計画比7.4%、営業利益が同6.9%それぞれ上回って着地した。通期売上高計画の中間期進捗率は52.1%であり、同社の下期偏重の売上構造を踏まえれば順調な水準であり、通期計画の達成が視野に入る。パソコン、携帯電話、ゲーム・玩具などのカテゴリーが引き続き成長ドライバーとして増収に寄与すると見込まれる。これまで低迷が続いていた家電については、物価高を背景とした買い控えの影響が残りつつも、季節需要の取り込みを含め販売拡大戦略により、中間期に引き続き回復基調が継続するかが焦点となる。
コスト面では、人件費や物流費などの上昇が利益を圧迫するリスク要因となっていることに加え、中間期はオフィシャルスポンサーを務める阪神タイガースの優勝セールをはじめとした販促施策に伴う値引きなどが影響し、粗利率を押し下げた。他方で、下期は過度な値引きを抑制し、適正な粗利率の確保に努める方針と見られる。売上増加によりコスト上昇分を吸収することができれば、通期営業利益計画の達成は十分に可能と考えられる。
2. 新中期経営計画「JT-2028 経営計画」の概要
同社は2026年3月期中間決算説明会にて、2029年3月期を最終年度とする3年間の新中期経営計画「JT-2028 経営計画」を策定した。同社が目指すのは、創業100周年に向けて持続的な成長を実現し、企業価値を着実に高めていくことである。中計は単なる業績改善策ではなく、家電量販業の構造変化を踏まえた「進化と変革」を主題としており、既存の家電販売モデルに依存しない新たな成長基盤の構築を目指している。
(1) 高橋徹也(たかはしてつや)社長の中期経営計画に対する考え方
同社の高橋社長は、「JT-2028 経営計画」を創業100周年に向けた重要な節目と位置付け、「人財・組織・顧客」といった無形資産こそが将来の価値創造の源泉であると言及した。そのうえで、これらの無形資産を戦略的に強化・深化させ、持続的な成長を実現することを中計の中核テーマに据えている。
同社の歩みを「守・破・離」で表すならば、「守」は創業の精神と家電事業の原点、「破」は家電事業の形を進化させる段階、「離」は家電を基盤とした新たな事業領域への挑戦を意味するという。今回の中計は「守」から「破」への移行期にあたり、未来の「離」への布石を打つフェーズと位置付けられている。高橋社長が描く「破」の姿は「家電量販店版マチの電器屋」である。家電量販店が持つスケールメリットや品揃えに加え、地域の電器店が持つきめ細やかな顧客対応力・アフターサービス力を融合し、地域社会の暮らしに根ざした総合的な価値提供を行うことを目指す。これにより、「家電量販店×マチの電器屋」という新しいモデルを創出し、顧客とのつながりを深化させるねらいである。また、有形資産と無形資産のバランスを見直し、資産の効率化・スリム化を進める方針も打ち出している。これは単なるコスト削減ではなく、成長投資へ資本を振り向けるための再構築を意図しており、経営の重心を「効率」から「価値創造」へと移す意思の表れと言える。
(2) 定量目標
同社が収益の定量目標として掲げるのは「営業利益100億円以上」と「ROE7.0%以上」の2点である。同社は売上規模拡大よりも、収益性と資本効率の向上を重視しており、これまで課題となってきた「収益力の再構築」に真正面から取り組む姿勢を示している。家電量販市場が成熟期に入るなかで量的成長よりも質的成長を志向する。営業利益100億円以上は過去最高益期に近い水準への回復を意味し、ROE7.0%以上という水準も株主資本コストを上回ることを意識した目標設定である。
(3) ドミナント戦略
同社は関西を中心に東海・関東・北信越エリアへ店舗網を展開しており、地域に深く根ざしたドミナント戦略を展開している。これまで築いてきた「地元密着」の店舗運営は地域ごとの顧客ニーズを的確に把握し、迅速に対応できる強みにつながっている。新中期経営計画では、ドミナントモデルをさらに進化させ、リアル店舗に加えてECやアプリなどのデジタル接点を組み合わせ、顧客体験の全体最適を目指す。リアルとデジタルの垣根を越えた「生活インフラ」として、顧客の暮らしに寄り添う存在となることが狙いである。
特にEC分野では、東西2拠点物流体制を生かして全国対応を強化する方針を掲げている。中計期間中にEC全体に占める自社サイト販売比率を5割に引き上げ、大型家電の販売拡大により収益力を高める計画である。自社ECの比率を高めることで価格主導の競争から脱し、顧客データを活用したマーケティングへ軸足を移す狙いもある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の404,000百万円、営業利益が同8.5%増の4,000百万円、経常利益が同14.6%増の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.8%減の2,800百万円の見通しであり、期初計画を据え置いている。
中間期は売上高が期初計画比7.4%、営業利益が同6.9%それぞれ上回って着地した。通期売上高計画の中間期進捗率は52.1%であり、同社の下期偏重の売上構造を踏まえれば順調な水準であり、通期計画の達成が視野に入る。パソコン、携帯電話、ゲーム・玩具などのカテゴリーが引き続き成長ドライバーとして増収に寄与すると見込まれる。これまで低迷が続いていた家電については、物価高を背景とした買い控えの影響が残りつつも、季節需要の取り込みを含め販売拡大戦略により、中間期に引き続き回復基調が継続するかが焦点となる。
コスト面では、人件費や物流費などの上昇が利益を圧迫するリスク要因となっていることに加え、中間期はオフィシャルスポンサーを務める阪神タイガースの優勝セールをはじめとした販促施策に伴う値引きなどが影響し、粗利率を押し下げた。他方で、下期は過度な値引きを抑制し、適正な粗利率の確保に努める方針と見られる。売上増加によりコスト上昇分を吸収することができれば、通期営業利益計画の達成は十分に可能と考えられる。
2. 新中期経営計画「JT-2028 経営計画」の概要
同社は2026年3月期中間決算説明会にて、2029年3月期を最終年度とする3年間の新中期経営計画「JT-2028 経営計画」を策定した。同社が目指すのは、創業100周年に向けて持続的な成長を実現し、企業価値を着実に高めていくことである。中計は単なる業績改善策ではなく、家電量販業の構造変化を踏まえた「進化と変革」を主題としており、既存の家電販売モデルに依存しない新たな成長基盤の構築を目指している。
(1) 高橋徹也(たかはしてつや)社長の中期経営計画に対する考え方
同社の高橋社長は、「JT-2028 経営計画」を創業100周年に向けた重要な節目と位置付け、「人財・組織・顧客」といった無形資産こそが将来の価値創造の源泉であると言及した。そのうえで、これらの無形資産を戦略的に強化・深化させ、持続的な成長を実現することを中計の中核テーマに据えている。
同社の歩みを「守・破・離」で表すならば、「守」は創業の精神と家電事業の原点、「破」は家電事業の形を進化させる段階、「離」は家電を基盤とした新たな事業領域への挑戦を意味するという。今回の中計は「守」から「破」への移行期にあたり、未来の「離」への布石を打つフェーズと位置付けられている。高橋社長が描く「破」の姿は「家電量販店版マチの電器屋」である。家電量販店が持つスケールメリットや品揃えに加え、地域の電器店が持つきめ細やかな顧客対応力・アフターサービス力を融合し、地域社会の暮らしに根ざした総合的な価値提供を行うことを目指す。これにより、「家電量販店×マチの電器屋」という新しいモデルを創出し、顧客とのつながりを深化させるねらいである。また、有形資産と無形資産のバランスを見直し、資産の効率化・スリム化を進める方針も打ち出している。これは単なるコスト削減ではなく、成長投資へ資本を振り向けるための再構築を意図しており、経営の重心を「効率」から「価値創造」へと移す意思の表れと言える。
(2) 定量目標
同社が収益の定量目標として掲げるのは「営業利益100億円以上」と「ROE7.0%以上」の2点である。同社は売上規模拡大よりも、収益性と資本効率の向上を重視しており、これまで課題となってきた「収益力の再構築」に真正面から取り組む姿勢を示している。家電量販市場が成熟期に入るなかで量的成長よりも質的成長を志向する。営業利益100億円以上は過去最高益期に近い水準への回復を意味し、ROE7.0%以上という水準も株主資本コストを上回ることを意識した目標設定である。
(3) ドミナント戦略
同社は関西を中心に東海・関東・北信越エリアへ店舗網を展開しており、地域に深く根ざしたドミナント戦略を展開している。これまで築いてきた「地元密着」の店舗運営は地域ごとの顧客ニーズを的確に把握し、迅速に対応できる強みにつながっている。新中期経営計画では、ドミナントモデルをさらに進化させ、リアル店舗に加えてECやアプリなどのデジタル接点を組み合わせ、顧客体験の全体最適を目指す。リアルとデジタルの垣根を越えた「生活インフラ」として、顧客の暮らしに寄り添う存在となることが狙いである。
特にEC分野では、東西2拠点物流体制を生かして全国対応を強化する方針を掲げている。中計期間中にEC全体に占める自社サイト販売比率を5割に引き上げ、大型家電の販売拡大により収益力を高める計画である。自社ECの比率を高めることで価格主導の競争から脱し、顧客データを活用したマーケティングへ軸足を移す狙いもある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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