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上新電機 Research Memo(1):2026年3月期中間期は計画を上回り着地。「JT-2028 経営計画」を公表
配信日時:2025/12/01 11:01
配信元:FISCO
*11:01JST 上新電機 Research Memo(1):2026年3月期中間期は計画を上回り着地。「JT-2028 経営計画」を公表
■要約
上新電機<8173>は、日本の大手家電量販店の1社であり、家電製品や情報通信機器、エンターテインメント商品、住宅設備機器などの販売を中心に手掛けている。また、製品販売だけでなく、その付帯業務や商品の修理、配送、保守業務までカバーしており、販売にとどまらない充実した周辺サービスの提供に強みや特徴を持っている。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比9.6%増の210,452百万円、営業利益が同16.3%増の2,138百万円、経常利益が同12.8%増の2,004百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同13.7%減の1,894百万円となった。期初計画(売上高196,000百万円、営業利益2,000百万円)に対して、売上高は7.4%、営業利益は6.9%上回って着地した。売上面はパソコン、携帯電話、ゲーム・玩具が好調であったことに加え、足元で低迷していた家電もエアコンを中心に健闘した。品種別の売上高の増減率を見ると、パソコンは「Windows 10」のサポート終了に伴う買い替え需要の発生により同43.6%増、携帯電話は販売数の順調な増加により同23.2%増、ゲーム・模型・玩具・楽器は「Nintendo Switch 2」発売に伴うゲーム機本体及び関連商品の販売好調などにより同22.4%増と拡大した。利益面は、人件費や物流費などのコストが増加したものの、増収効果により補完した。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の404,000百万円、営業利益が同8.5%増の4,000百万円、経常利益が同14.6%増の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.8%減の2,800百万円の見通しであり、期初計画を据え置いている。中間期は売上高が期初計画比7.4%、営業利益が同6.9%それぞれ上回って着地した。通期売上高計画の中間期進捗率は52.1%であり、同社の下期偏重の売上構造を踏まえれば順調な水準であり、通期計画の達成が視野に入る。パソコン、携帯電話、ゲーム・玩具などのカテゴリーが引き続き成長ドライバーとして増収に寄与すると見込まれる。これまで低迷が続いていた家電については、物価高を背景とした買い控えの影響が残りつつも、季節需要の取り込みを含め販売拡大戦略により、中間期に引き続き回復基調が継続するかが焦点となる。コスト面では、人件費や物流費などの上昇が利益を圧迫するリスク要因となっていることに加え、中間期はオフィシャルスポンサーを務める阪神タイガースの優勝セールをはじめとした販促施策に伴う値引きなどが影響し、粗利率を押し下げた。他方で、下期は過度な値引きを抑制し、適正な粗利率の確保に努める方針と見られる。売上増加によりコスト上昇分を吸収することができれば、通期営業利益計画の達成は十分に可能と考えられる。
3. 新中期経営計画「JT-2028 経営計画」
同社は2029年3月期を最終年度とする新中期経営計画「JT-2028 経営計画」を策定し、創業100周年に向けた持続的成長と企業価値向上を掲げる。無形資産を価値創造の核と位置付け、「家電量販店×マチの電器屋」という新モデルで顧客接点を深化させる方針である。営業利益100億円以上、ROE7.0%以上を目標に、売上拡大より収益性を重視する。戦略は1)店舗の質向上、2)PB強化、3)データドリブン型マーケティングの3点。EC自社比率拡大やドミナント深化でLTV向上を図る。資本政策では在庫最適化と成長投資重視を掲げ、株主還元方針も明確化した。全体として「守りの経営」から「攻めと再構築」への転換を示す計画であり、実行力が成否を左右すると見られる。
■Key Points
・2026年3月期中間期は売上・利益ともに会社計画を上回って着地、コスト増も増収効果により補完
・2027年3月期から3年間の新中期経営計画を発表、稼ぐ力の再構築により営業利益100億円以上、ROE7.0%達成を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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上新電機<8173>は、日本の大手家電量販店の1社であり、家電製品や情報通信機器、エンターテインメント商品、住宅設備機器などの販売を中心に手掛けている。また、製品販売だけでなく、その付帯業務や商品の修理、配送、保守業務までカバーしており、販売にとどまらない充実した周辺サービスの提供に強みや特徴を持っている。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比9.6%増の210,452百万円、営業利益が同16.3%増の2,138百万円、経常利益が同12.8%増の2,004百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同13.7%減の1,894百万円となった。期初計画(売上高196,000百万円、営業利益2,000百万円)に対して、売上高は7.4%、営業利益は6.9%上回って着地した。売上面はパソコン、携帯電話、ゲーム・玩具が好調であったことに加え、足元で低迷していた家電もエアコンを中心に健闘した。品種別の売上高の増減率を見ると、パソコンは「Windows 10」のサポート終了に伴う買い替え需要の発生により同43.6%増、携帯電話は販売数の順調な増加により同23.2%増、ゲーム・模型・玩具・楽器は「Nintendo Switch 2」発売に伴うゲーム機本体及び関連商品の販売好調などにより同22.4%増と拡大した。利益面は、人件費や物流費などのコストが増加したものの、増収効果により補完した。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の404,000百万円、営業利益が同8.5%増の4,000百万円、経常利益が同14.6%増の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.8%減の2,800百万円の見通しであり、期初計画を据え置いている。中間期は売上高が期初計画比7.4%、営業利益が同6.9%それぞれ上回って着地した。通期売上高計画の中間期進捗率は52.1%であり、同社の下期偏重の売上構造を踏まえれば順調な水準であり、通期計画の達成が視野に入る。パソコン、携帯電話、ゲーム・玩具などのカテゴリーが引き続き成長ドライバーとして増収に寄与すると見込まれる。これまで低迷が続いていた家電については、物価高を背景とした買い控えの影響が残りつつも、季節需要の取り込みを含め販売拡大戦略により、中間期に引き続き回復基調が継続するかが焦点となる。コスト面では、人件費や物流費などの上昇が利益を圧迫するリスク要因となっていることに加え、中間期はオフィシャルスポンサーを務める阪神タイガースの優勝セールをはじめとした販促施策に伴う値引きなどが影響し、粗利率を押し下げた。他方で、下期は過度な値引きを抑制し、適正な粗利率の確保に努める方針と見られる。売上増加によりコスト上昇分を吸収することができれば、通期営業利益計画の達成は十分に可能と考えられる。
3. 新中期経営計画「JT-2028 経営計画」
同社は2029年3月期を最終年度とする新中期経営計画「JT-2028 経営計画」を策定し、創業100周年に向けた持続的成長と企業価値向上を掲げる。無形資産を価値創造の核と位置付け、「家電量販店×マチの電器屋」という新モデルで顧客接点を深化させる方針である。営業利益100億円以上、ROE7.0%以上を目標に、売上拡大より収益性を重視する。戦略は1)店舗の質向上、2)PB強化、3)データドリブン型マーケティングの3点。EC自社比率拡大やドミナント深化でLTV向上を図る。資本政策では在庫最適化と成長投資重視を掲げ、株主還元方針も明確化した。全体として「守りの経営」から「攻めと再構築」への転換を示す計画であり、実行力が成否を左右すると見られる。
■Key Points
・2026年3月期中間期は売上・利益ともに会社計画を上回って着地、コスト増も増収効果により補完
・2027年3月期から3年間の新中期経営計画を発表、稼ぐ力の再構築により営業利益100億円以上、ROE7.0%達成を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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