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明日の株式相場に向けて=高市「17の戦略分野」で注目の伏兵株は

配信日時:2025/11/11 17:31 配信元:MINKABU
 きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比68円安の5万0842円と反落。朝方は勢いよく買い優勢で始まり、日経平均は午前9時台に600円あまりの上昇を示し、5万1500円台まで水準を切り上げる場面があったが、その後は値を消す動きとなった。後場は一時300円を上回って下落する場面もあったが、最終盤に買い戻された。いつものごとく予測不能の展開であったといえる。  足もとの相場のトレンドが上値指向か下値模索か明確な方向性は見えないが、今のところ25日移動平均線をサポートラインとする日経平均の中長期上昇波動は維持されている。つまり今年4月下旬以降、半年以上にわたり、基本的には「25日線との上方カイ離を修正する押し目形成場面は買い一択」で報われてきたことになる。これはTOPIXもほぼ同様といってよい。ただ、それでも時価近辺に警戒ムードが漂うのは、きょうは全体指数が朝高後に値を崩した背景を説明する適当な理由が見当たらないことがある。  高値警戒感とひとことで片付けるのは容易だが、前日の欧米株全面高や為替の円安という追い風材料を素直に好感してスタートしたにもかかわらず、途中で息を切らしてしまうのは、何となく逃げておきたいという“利食い急ぎ”の心理が反映されていると捉えることもできる。前日の米国株市場では米政府機関の一部閉鎖が週内にも解除されるとの観測が買いを誘発した。しかし、きょうの東京市場が後場に軟化にしたことについて、市場では「(政府機関の閉鎖が解除され)米経済統計がこれまで通り順次発表されると、相場のボラティリティが高まり下値リスクが増幅される」という苦しい説明がなされていた。だが、この解釈自体が相場の先行きを不安視している証拠である。  巷ではAIバブルか否かの論議がかまびすしいが、「AIバブルの要素を半ば認めたうえで今は買いと判断する投資家が多い」(ネット証券マーケットアナリスト)と指摘する。「赤信号、皆で渡れば怖くない」のパターンだが、仮にそのうちの一人が慌てて引き返した際には、皆が一斉に振り返ることになる。振り返るだけで一斉に踵(きびす)を返すことにはならないが、流れが一気に変わるのが株式市場であり油断はできない。10月最終週の主体別売買動向で海外投資家は日本株を現物では5週連続で買い越したが、先物では3週連続の売り越しで、しかも金額も5200億円超と膨らみ、現先合わせても1800億円程度の売り越しに転じていた。「ヘッジファンドなど短期筋は静かに下値模索に向けた布石を打っている」(同)という見立ても気になるところだ。  個別では高市トレードの仕切り直しで、これまで主力どころの陰に隠れていた中小型株に物色の矛先が向かう可能性を考えておきたい。サイバーセキュリティー関連ではソリトンシステムズ<3040.T>の1700円台半ばのもみ合いに着目したい。サイバー攻撃対応のセキュリティー対策ソフト及び認証システム開発を主力とし、AI分野でも持ち前の技術力を発揮している。25年12月期業績は進捗率から会社側想定を上回る公算が大きい。また、AI関連ではマド開け急伸後ひと押し入れているサイオス<3744.T>に仕込み妙味が漂う。5日移動平均線とのカイ離を埋めたところは買いの好機にも見える。  AIデータセンター関連は建設ラッシュがこれから本格化するということもあり、その分テーマとしてはロングランで波状的な買いを集める展開が想定される。フジクラ<5803.T>や古河電気工業<5801.T>など電線株をはじめ物色の裾野は広いが、ここでは電力システムで商機をとらえるアドソル日進<3837.T>に注目したい。同社株は業績面で申し分なく、株主への配当も毎期増配を繰り返している点は特筆され、中期で腰を据えて保有する対象としても魅力的だ。高市氏が掲げる17の戦略分野ではメインテーマの一つである航空・宇宙関連で、セック<3741.T>の強いチャートにも目を向けたい。株価は一直線に上値を追うという形ではなく、上下動を繰り返しながら漸次水準を切り上げる動き。時価はここ2年間でみたボックス上限に到達しているが、3000円台回復となれば新局面入りとなる。このほか、AIデータセンター関連の穴株としては山洋電気<6516.T>が面白い存在で、25日移動平均線とのカイ離修正場面は狙い目といえる。AIサーバーは膨大な電力を消費するかたわらで熱問題もついて回る。同社はネットワーク機器向け冷却ファンを手掛けており、同テーマの関連有力株としてマークされる。  あすのスケジュールでは、10月のマネーストックが朝方取引開始前に開示されるほか、午後に10月の工作機械受注額が発表される。主要企業の決算発表ではブリヂストン<5108.T>、エムスリー<2413.T>、三井E&S<7003.T>、いすゞ自動車<7202.T>、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532.T>などにマーケットの関心が高い。海外では特に目立ったイベントはないが、米国で10年国債の入札が行われる。また、ウィリアムズNY連銀総裁が講演を行うほか、ウォラーFRB理事、ミランFRB理事などに発言機会があり、その内容が注目される。海外主要企業の決算ではシスコ・システムズ<CSCO>が予定されている(銀) 出所:MINKABU PRESS

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