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井関農 Research Memo(4):強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
配信日時:2025/10/20 12:04
配信元:FISCO
*12:04JST 井関農 Research Memo(4):強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
■井関農機<6310>の事業内容
3. 同社の強み
国内の農業機械の販路は、販売子会社による直接販売と全国の農家をカバーするJAグループ経由、地域に密着した販売店経由に分けることができ(このほか若干だが小型耕うん機を中心にホームセンタールートもある)、同社の販路は、直接販売が主軸となっている。海外の販路は各社各様で、同社は北米がAGCO Corporation向けOEM生産、欧州は主に子会社による直接進出、アジアは子会社IST Farm Machinery Co., Ltd.(元は三菱商事<8058>との合弁)や代理店と組んだ販売となっている。製造については、国内では内外向けに、ISEKI M&D(愛媛県松山市)をはじめ、(株)井関新潟製造所や(株)井関重信製作所(愛媛県東温市)など、海外では海外向けに、子会社のPT.ISEKI INDONESIAが行っている。
同社の農業機械の国内シェアは、クボタ<6326>、ヤンマー(株)に次いで第3位と言われている。クボタのシェアは高く、海外でもDeere and Company、CNH Industrialに次いで3位と存在感は大きい。同社は海外進出の面でやや出遅れた印象があるが、その分、海外の巨大なマーケットを成長領域として捉え強化している。また、農業ソリューションという世界的な潮流のなかで、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域である。同社は、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携し付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」といった3つの強みを発揮し、それぞれの強みの相互作用により大きなシナジーを生んでいる。
(1) 技術力
技術力は、自脱型コンバインや田植機などで業界初や世界初といった製品を、創立以来市場に多数投入してきた実績に裏打ちされている。また、知的財産戦略の一環として特許の取得を積極的に進めており、特許の分野別公開数や登録数で常に上位にあるという実績も同社の強みを表している。こうした技術力の背景にあるのは、報奨金など発明提案活動を活発化する制度や、若手技術者への伝承や研究開発の成果などを共有する仕組みにある。さらに、他社の開発体制が分業制になっているのに対して、同社にも分業制があるとはいえ、設計者自らが企画から図面、圃場でのテスト、フィードバックまで関与することで、顧客の声や様々な場面の経験を製品開発に反映しやすい体制であることも、高い技術力の理由だと考えられる。
(2) 営農提案・サポート力
営農提案・サポート力では、製品そのものや補修用部品、メンテナンスの優位性に加え、ソフト面でも営農ポータルサイト「Amoni」を使った情報発信や、地域に密着した全国販売網を生かした顧客支援などを強みとしている。また、離農の裏側で増加傾向にある大規模農家に対する販売を強化している。全国6社に分かれていた販売子会社がISEKI Japanとして統合されたことで、既に北海道で実績のあるアマゾーネ(ドイツ)などの輸入大型作業機を、本州以南のニーズが強い大規模農家に対して販売するなど、強みを横展開する施策を進めている。
(3) 連携によるイノベーション
自社の技術力に頼るだけでなく、行政や研究機関、大学、ベンチャーを含む様々な企業と連携した研究開発活動を積極的に行っている。自社になかった技術や視点が加わることで、研究開発活動のスピードが速くなり、画期的なイノベーションにつながっているようだ。こうしたなか、特に環境保全型スマート農業の実現という目標を掲げ、化学肥料の削減に向けて自動可変施肥技術を搭載したスマート農機を開発したほか、業務提携しているスタートアップ企業の(株)NEWGREEN(旧 有機米デザイン(株))に出資して水稲用自動抑草ロボット「アイガモロボ」の開発・販売を強化している。
2023年に発売した「アイガモロボ」は、太陽光発電で稼働し、田んぼの中を自律走行して土を巻き上げ、その土が雑草の種子や芽の上に堆積することで雑草の発生を抑制できる商品だ。発売から2年で約500台を販売するなど人気があり、第11回ロボット大賞で「農林水産大臣賞」を受賞した。2025年3月にフルモデルチェンジした「アイガモロボ2」は、価格が1台27.5万円と従来のほぼ半額で、素材や内部構造を見直して軽量・コンパクト化を達成したうえ、走破性や稼働の安定性なども大幅に向上しており、ジャンボタニシの抑制やメタンの減少も実現した。2025年は早々に予定販売台数を完売するなど好評で、Forbes JAPANが主催する「Xtrepreneur AWARD 2025」においてはグランプリを受賞した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
3. 同社の強み
国内の農業機械の販路は、販売子会社による直接販売と全国の農家をカバーするJAグループ経由、地域に密着した販売店経由に分けることができ(このほか若干だが小型耕うん機を中心にホームセンタールートもある)、同社の販路は、直接販売が主軸となっている。海外の販路は各社各様で、同社は北米がAGCO Corporation向けOEM生産、欧州は主に子会社による直接進出、アジアは子会社IST Farm Machinery Co., Ltd.(元は三菱商事<8058>との合弁)や代理店と組んだ販売となっている。製造については、国内では内外向けに、ISEKI M&D(愛媛県松山市)をはじめ、(株)井関新潟製造所や(株)井関重信製作所(愛媛県東温市)など、海外では海外向けに、子会社のPT.ISEKI INDONESIAが行っている。
同社の農業機械の国内シェアは、クボタ<6326>、ヤンマー(株)に次いで第3位と言われている。クボタのシェアは高く、海外でもDeere and Company、CNH Industrialに次いで3位と存在感は大きい。同社は海外進出の面でやや出遅れた印象があるが、その分、海外の巨大なマーケットを成長領域として捉え強化している。また、農業ソリューションという世界的な潮流のなかで、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域である。同社は、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携し付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」といった3つの強みを発揮し、それぞれの強みの相互作用により大きなシナジーを生んでいる。
(1) 技術力
技術力は、自脱型コンバインや田植機などで業界初や世界初といった製品を、創立以来市場に多数投入してきた実績に裏打ちされている。また、知的財産戦略の一環として特許の取得を積極的に進めており、特許の分野別公開数や登録数で常に上位にあるという実績も同社の強みを表している。こうした技術力の背景にあるのは、報奨金など発明提案活動を活発化する制度や、若手技術者への伝承や研究開発の成果などを共有する仕組みにある。さらに、他社の開発体制が分業制になっているのに対して、同社にも分業制があるとはいえ、設計者自らが企画から図面、圃場でのテスト、フィードバックまで関与することで、顧客の声や様々な場面の経験を製品開発に反映しやすい体制であることも、高い技術力の理由だと考えられる。
(2) 営農提案・サポート力
営農提案・サポート力では、製品そのものや補修用部品、メンテナンスの優位性に加え、ソフト面でも営農ポータルサイト「Amoni」を使った情報発信や、地域に密着した全国販売網を生かした顧客支援などを強みとしている。また、離農の裏側で増加傾向にある大規模農家に対する販売を強化している。全国6社に分かれていた販売子会社がISEKI Japanとして統合されたことで、既に北海道で実績のあるアマゾーネ(ドイツ)などの輸入大型作業機を、本州以南のニーズが強い大規模農家に対して販売するなど、強みを横展開する施策を進めている。
(3) 連携によるイノベーション
自社の技術力に頼るだけでなく、行政や研究機関、大学、ベンチャーを含む様々な企業と連携した研究開発活動を積極的に行っている。自社になかった技術や視点が加わることで、研究開発活動のスピードが速くなり、画期的なイノベーションにつながっているようだ。こうしたなか、特に環境保全型スマート農業の実現という目標を掲げ、化学肥料の削減に向けて自動可変施肥技術を搭載したスマート農機を開発したほか、業務提携しているスタートアップ企業の(株)NEWGREEN(旧 有機米デザイン(株))に出資して水稲用自動抑草ロボット「アイガモロボ」の開発・販売を強化している。
2023年に発売した「アイガモロボ」は、太陽光発電で稼働し、田んぼの中を自律走行して土を巻き上げ、その土が雑草の種子や芽の上に堆積することで雑草の発生を抑制できる商品だ。発売から2年で約500台を販売するなど人気があり、第11回ロボット大賞で「農林水産大臣賞」を受賞した。2025年3月にフルモデルチェンジした「アイガモロボ2」は、価格が1台27.5万円と従来のほぼ半額で、素材や内部構造を見直して軽量・コンパクト化を達成したうえ、走破性や稼働の安定性なども大幅に向上しており、ジャンボタニシの抑制やメタンの減少も実現した。2025年は早々に予定販売台数を完売するなど好評で、Forbes JAPANが主催する「Xtrepreneur AWARD 2025」においてはグランプリを受賞した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
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