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出光興産:変革をカタチにする取り組みに再評価機運高まる
配信日時:2025/10/20 14:20
配信元:FISCO
*14:20JST 出光興産:変革をカタチにする取り組みに再評価機運高まる
【我が国を代表する総合エネルギー企業】
出光興産<5019>は1911年に出光佐三が創業した出光商会を起源とし、現在は連結子会社150社を擁する総合エネルギー企業である。東証プライム市場に上場し、日経平均株価やJPX日経インデックス400の構成銘柄となっている。事業は「燃料油」「基礎化学品」「高機能材」「電力・再生可能エネルギー」「資源」の5分野に展開。燃料油では全国約6,000か所のサービスステーションを拠点に「スマートよろずや」としての機能強化を推進。基礎化学品ではナフサからエチレンやプロピレンを生産し、高機能材では自動車・産業機械向け潤滑油や電子材料をグローバルに展開する。電力・再エネでは太陽光や風力、天然ガス火力などを手がけ、資源分野では油・ガス田や石炭、地熱・バイオマスに取り組む。2019年には昭和シェル石油との経営統合を完了し、国内の石油精製・流通基盤強化を図っている。中期経営計画では「一歩先のエネルギー」「省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の進化を掲げ、2050年のカーボンニュートラル実現を目指す。
【第1四半期は大幅減収減益も、堅調な国内マージンにより通期予想は据え置き】
同社の2026年3月期第1四半期連結業績は、売上高18,430億円(前期比18.5%減)、営業損益は210億円の赤字、経常損益137億円の赤字、親会社株主に帰属する四半期純利益52億円(同94.5%減)となった。原油価格の下落に伴う在庫評価影響及び販売タイムラグの一過性のマイナス影響が響き、大幅な減益決算となった。セグメント別では、燃料油セグメントは原油安により売上高15,188億円(同19.0%減)、堅調な国内マージンも在庫影響等の一過性要因によりセグメント損益298億円の赤字となった。基礎化学品セグメントも市況悪化で売上高1,217億円(同23.6%減)、損益45億円の赤字と悪化した。一方、高機能材セグメントは売上高1,242億円(同2.5%減)となるも、潤滑油事業の販売タイムラグ影響や新規連結の寄与で93億円(同19.1%増)と増益となった。電力・再生可能エネルギーセグメントは売上高237億円(同14.1%減)、セグメント損益は4億円の赤字となった。発電トラブル解消や減損後の償却減少により赤字幅が縮小した。資源セグメントは原油・石炭市況の下落により売上高526億円(同24.5%減)、セグメント損益119億円(同52.1%減)と減益となった。
通期業績見通しについては、売上高79,000億円(前期比14.0%減)、営業利益370億円(同77.2%減)、経常利益560億円(同73.9%減)、当期純利益500億円(同51.9%減)と従来予想を据え置いた。同社の業績は原油等のコモディティ価格の市況に大きく影響を受ける。こうした構造を踏まえ、同社ではトランプ関税の影響が間接的にコモディティ価格の下落につながるものと見ている。通期業績予想はこうした影響を400億円の減益要因として織り込んでいるが、概ね第1四半期で発現し、第2四半期以降はやや反転傾向にあると捉えている模様。一方で、今後はドバイ原油価格が1バレル65ドルを大きく下回ると下方修正リスクにつながる。
【変革をカタチにする取り組みに再評価機運高まる】
同社は、2030年に向けて「責任ある変革者」としての姿を描いている。その目標は財務と非財務の両面でKPIとして具体化されている。財務面では、ROIC7%、ROE10%以上を掲げ、営業利益と持分損益の合計で2,700億円を確保するとともに、事業構造改革に累計1兆円規模の投資を行う。特に、2023年10月に公表したトヨタ自動車との協業では、2027年~28年に全固体電池を搭載した電気自動車の実用化を目指しており、同社は石油精製プロセスで培った強みを活かした固体電解質の量産化を推進している。非財務面では、気候変動対応としてScope1+2のCO2排出量を2013年比で46%削減し、Scope1+2+3のカーボンインテンシティを2020年比で10%削減するなど、大幅削減を進める姿勢を示す。さらに、女性役職者比率10%以上、女性採用比率50%以上を実現するとともに、男性の育児休業取得率100%などを目指す。こうした取り組みを着実に積み重ねることで、最終的には2050年ビジョンとして掲げる「変革をカタチに」へと到達することを目指している。今期はポリオレフィン事業での三井化学・住友化学との協業に向けた合意や富士石油<5017>へのTOB開始などを発表、同社の姿勢に対して資本市場は反応し、株価は緩やかに上昇傾向にある。しかし、依然としてPBR0.77、配当利回り3.4%(9月26日終値1,056.5円ベース)と割安水準である。株価再評価機運が高まる中、同社の取り組みには注目したい。
<HM>
出光興産<5019>は1911年に出光佐三が創業した出光商会を起源とし、現在は連結子会社150社を擁する総合エネルギー企業である。東証プライム市場に上場し、日経平均株価やJPX日経インデックス400の構成銘柄となっている。事業は「燃料油」「基礎化学品」「高機能材」「電力・再生可能エネルギー」「資源」の5分野に展開。燃料油では全国約6,000か所のサービスステーションを拠点に「スマートよろずや」としての機能強化を推進。基礎化学品ではナフサからエチレンやプロピレンを生産し、高機能材では自動車・産業機械向け潤滑油や電子材料をグローバルに展開する。電力・再エネでは太陽光や風力、天然ガス火力などを手がけ、資源分野では油・ガス田や石炭、地熱・バイオマスに取り組む。2019年には昭和シェル石油との経営統合を完了し、国内の石油精製・流通基盤強化を図っている。中期経営計画では「一歩先のエネルギー」「省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の進化を掲げ、2050年のカーボンニュートラル実現を目指す。
【第1四半期は大幅減収減益も、堅調な国内マージンにより通期予想は据え置き】
同社の2026年3月期第1四半期連結業績は、売上高18,430億円(前期比18.5%減)、営業損益は210億円の赤字、経常損益137億円の赤字、親会社株主に帰属する四半期純利益52億円(同94.5%減)となった。原油価格の下落に伴う在庫評価影響及び販売タイムラグの一過性のマイナス影響が響き、大幅な減益決算となった。セグメント別では、燃料油セグメントは原油安により売上高15,188億円(同19.0%減)、堅調な国内マージンも在庫影響等の一過性要因によりセグメント損益298億円の赤字となった。基礎化学品セグメントも市況悪化で売上高1,217億円(同23.6%減)、損益45億円の赤字と悪化した。一方、高機能材セグメントは売上高1,242億円(同2.5%減)となるも、潤滑油事業の販売タイムラグ影響や新規連結の寄与で93億円(同19.1%増)と増益となった。電力・再生可能エネルギーセグメントは売上高237億円(同14.1%減)、セグメント損益は4億円の赤字となった。発電トラブル解消や減損後の償却減少により赤字幅が縮小した。資源セグメントは原油・石炭市況の下落により売上高526億円(同24.5%減)、セグメント損益119億円(同52.1%減)と減益となった。
通期業績見通しについては、売上高79,000億円(前期比14.0%減)、営業利益370億円(同77.2%減)、経常利益560億円(同73.9%減)、当期純利益500億円(同51.9%減)と従来予想を据え置いた。同社の業績は原油等のコモディティ価格の市況に大きく影響を受ける。こうした構造を踏まえ、同社ではトランプ関税の影響が間接的にコモディティ価格の下落につながるものと見ている。通期業績予想はこうした影響を400億円の減益要因として織り込んでいるが、概ね第1四半期で発現し、第2四半期以降はやや反転傾向にあると捉えている模様。一方で、今後はドバイ原油価格が1バレル65ドルを大きく下回ると下方修正リスクにつながる。
【変革をカタチにする取り組みに再評価機運高まる】
同社は、2030年に向けて「責任ある変革者」としての姿を描いている。その目標は財務と非財務の両面でKPIとして具体化されている。財務面では、ROIC7%、ROE10%以上を掲げ、営業利益と持分損益の合計で2,700億円を確保するとともに、事業構造改革に累計1兆円規模の投資を行う。特に、2023年10月に公表したトヨタ自動車との協業では、2027年~28年に全固体電池を搭載した電気自動車の実用化を目指しており、同社は石油精製プロセスで培った強みを活かした固体電解質の量産化を推進している。非財務面では、気候変動対応としてScope1+2のCO2排出量を2013年比で46%削減し、Scope1+2+3のカーボンインテンシティを2020年比で10%削減するなど、大幅削減を進める姿勢を示す。さらに、女性役職者比率10%以上、女性採用比率50%以上を実現するとともに、男性の育児休業取得率100%などを目指す。こうした取り組みを着実に積み重ねることで、最終的には2050年ビジョンとして掲げる「変革をカタチに」へと到達することを目指している。今期はポリオレフィン事業での三井化学・住友化学との協業に向けた合意や富士石油<5017>へのTOB開始などを発表、同社の姿勢に対して資本市場は反応し、株価は緩やかに上昇傾向にある。しかし、依然としてPBR0.77、配当利回り3.4%(9月26日終値1,056.5円ベース)と割安水準である。株価再評価機運が高まる中、同社の取り組みには注目したい。
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