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井関農 Research Memo(3):ホビーからプロ向けまで幅広くラインナップ
配信日時:2025/10/20 12:03
配信元:FISCO
*12:03JST 井関農 Research Memo(3):ホビーからプロ向けまで幅広くラインナップ
■井関農機<6310>の事業内容
1. 事業概要
同社は、農業機械の総合専業メーカーとしてホビー向けからプロ向けまで商品を幅広くラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系を構築している。同社の製品は、トラクタなどの整地用機械、「さなえ」ブランドの田植機などの栽培用機械、コンバインなどの収穫調製用機械といった高精度・高能率・高耐久の農機製品のほか、トラクタのアタッチメントとなる作業機、補修用部品の製造販売、さらに修理・メンテナンスや施設工事などを行っている。近年、農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題を背景に、ロボットやICTなど先端技術を活用したスマート農機などによって、農業を労働集約的な作業から解放する農業ソリューションを提供する動きがあり、同社も先端技術の活用を強化している。また、海外にも進出しており、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人などの大規模農家に向け、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の販売やアフターサービスの提供をメインに、仕入商品やOEM製品の販売も行っている。なお、同社の景観整備向け製品の評価が高い欧州では販売網の強化に努めており、2025年1月に英国代理店のPTC社を子会社化、これでISEKI France S.A.S.(ISEKIフランス)、Iseki-Maschinen GmbH(ISEKIドイツ)含め3子会社体制となった。海外の売上高は日本の約半分の規模に達しているが、海外の農業機械市場の規模を考えると、同社にとっては成長領域といえる。
農業機械の製造販売やメンテンスの提供を行う
2. 製品別事業内容
(1) 整地用機械
整地用機械とは、農業において作付け前の整地などに使用するトラクタや耕うん機、防除などに使用される乗用管理機などのことである。欧米では、土木作業や景観整備などに使用されるコンパクトトラクタや乗用草刈機などの販売をメインに行っている。なかでもトラクタは、アタッチメントをつけることで年間を通じて様々な作業をこなせる汎用性の高い機械で、同社では直進アシストやマップデータとの連動への対応のほか、無段階変速機構や座り心地の良いサスペンションシートの搭載、シートベルト・リマインダの採用など居住性・操作性・安全性を追求した製品をラインナップしている。ICTも一部で導入しており、農機の情報を収集できるほか、盗難抑止機能や稼働情報管理ツールを装備している農機もある。同社のトラクタは14~300馬力前後まで取り揃えており、2024年5月には、120馬力クラスで国内初となる有人監視型ロボットトラクタを販売した。
(2) 栽培用機械
栽培用機械とは、田植機や野菜移植機といった製品のことである。田植機は稲の苗を水田に移植するための専用機で、田植え作業を大幅に省力化できる。田植機は同社の得意とするカテゴリーで、「さなえ」は強力なブランドとなっており、歩行型2条植~乗用型10条植とラインナップは幅広い。高精度・高能率・高耐久に加え、GPS技術を用いた操舵アシストシステム搭載や、土壌の肥沃度に応じて施肥量を自動で調整する可変施肥仕様、有人監視型ロボットのものもある。野菜移植機は、葉茎菜類やじゃがいも、たまねぎなど野菜の種類ごとに、それぞれ歩行型・乗用型/半自動・全自動などがラインナップされている。
(3) 収穫調製用機械
収穫調製用機械とは、コンバインやハーベスタ、乾燥機、籾すり機などのことである。コンバインは穀物の収穫に使用され、稲作向けには稲の刈り取りや籾の脱穀、裁断などわらの処理までを行う自脱型コンバイン、大豆やそば向けには汎用(普通型)コンバインが使用される。ICTにより効率的に作業管理や機械管理ができるモデルや、疲労を軽減する直進アシストシステムを導入したモデルなどがある一方、資材高騰のなか機能を厳選したシンプルかつ低価格のモデルもある。刈り取り専用のバインダ、脱穀専用のハーベスタは、コンバインが入れない山間地などで使われている。このほか乾燥機は収穫した籾を乾燥させ、籾すり機は籾殻を取り除き玄米に仕上げる機械である。
(4) 作業機・補修用部品・修理収入、施設工事
作業機とは主にトラクタに取り付けるアタッチメントのことで、田水面を均平に整えるハロー、土を耕すロータリー、土を盛り上げて畝を立てる畝立機などがある。作業機のほか、オイルやケミカルなどの補修用部品の販売や、販売した農機のメンテナンスや故障対応を全国の整備拠点で行っている。万全なメンテナンス修理によって故障の発生を防ぐことで顧客からの信頼を獲得しており、天候不順など外部環境に左右されない安定した収益の確保が可能で収益性も高いため、補修用部品と修理・メンテナンスについては10年にわたる収支構造改革の柱として取り組んでおり、引き続き強化していく。また、乾燥や育苗、集出荷など農業用施設の施工を行うほか、肥料など農業用資材の販売、コイン精米事業、炊飯事業なども行っている。
(5) 農業ソリューション
同社は、農業の省力化や効率化のため、ロボットやICTなどの先端技術を積極的に活用している。トラクタなど農業機械に直進アシストシステムや自動操舵システム、スマート追肥システムなどを導入しているほか、営農管理システム「ISEKIアグリサポート」や遠隔監視サービス「ISEKIリモート」などを提供している。また、生育管理関連として、ドローンで撮影した農地の画像をクラウド上で保存する「いろは」、ドローン・人工衛星による画像解析を活用し農作業の効率化を実現する「天晴れ」などのサービスも提供している。営農ソリューションポータルサイト「Amoni」では、最新の技術動向に関する情報などを積極的に発信しており、大規模農家を中心に好評のようだ。こうしたICTを活用したスマート農機の開発や営農支援に対するニーズは強く、中長期的に成長余地の大きい分野である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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1. 事業概要
同社は、農業機械の総合専業メーカーとしてホビー向けからプロ向けまで商品を幅広くラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系を構築している。同社の製品は、トラクタなどの整地用機械、「さなえ」ブランドの田植機などの栽培用機械、コンバインなどの収穫調製用機械といった高精度・高能率・高耐久の農機製品のほか、トラクタのアタッチメントとなる作業機、補修用部品の製造販売、さらに修理・メンテナンスや施設工事などを行っている。近年、農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題を背景に、ロボットやICTなど先端技術を活用したスマート農機などによって、農業を労働集約的な作業から解放する農業ソリューションを提供する動きがあり、同社も先端技術の活用を強化している。また、海外にも進出しており、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人などの大規模農家に向け、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の販売やアフターサービスの提供をメインに、仕入商品やOEM製品の販売も行っている。なお、同社の景観整備向け製品の評価が高い欧州では販売網の強化に努めており、2025年1月に英国代理店のPTC社を子会社化、これでISEKI France S.A.S.(ISEKIフランス)、Iseki-Maschinen GmbH(ISEKIドイツ)含め3子会社体制となった。海外の売上高は日本の約半分の規模に達しているが、海外の農業機械市場の規模を考えると、同社にとっては成長領域といえる。
農業機械の製造販売やメンテンスの提供を行う
2. 製品別事業内容
(1) 整地用機械
整地用機械とは、農業において作付け前の整地などに使用するトラクタや耕うん機、防除などに使用される乗用管理機などのことである。欧米では、土木作業や景観整備などに使用されるコンパクトトラクタや乗用草刈機などの販売をメインに行っている。なかでもトラクタは、アタッチメントをつけることで年間を通じて様々な作業をこなせる汎用性の高い機械で、同社では直進アシストやマップデータとの連動への対応のほか、無段階変速機構や座り心地の良いサスペンションシートの搭載、シートベルト・リマインダの採用など居住性・操作性・安全性を追求した製品をラインナップしている。ICTも一部で導入しており、農機の情報を収集できるほか、盗難抑止機能や稼働情報管理ツールを装備している農機もある。同社のトラクタは14~300馬力前後まで取り揃えており、2024年5月には、120馬力クラスで国内初となる有人監視型ロボットトラクタを販売した。
(2) 栽培用機械
栽培用機械とは、田植機や野菜移植機といった製品のことである。田植機は稲の苗を水田に移植するための専用機で、田植え作業を大幅に省力化できる。田植機は同社の得意とするカテゴリーで、「さなえ」は強力なブランドとなっており、歩行型2条植~乗用型10条植とラインナップは幅広い。高精度・高能率・高耐久に加え、GPS技術を用いた操舵アシストシステム搭載や、土壌の肥沃度に応じて施肥量を自動で調整する可変施肥仕様、有人監視型ロボットのものもある。野菜移植機は、葉茎菜類やじゃがいも、たまねぎなど野菜の種類ごとに、それぞれ歩行型・乗用型/半自動・全自動などがラインナップされている。
(3) 収穫調製用機械
収穫調製用機械とは、コンバインやハーベスタ、乾燥機、籾すり機などのことである。コンバインは穀物の収穫に使用され、稲作向けには稲の刈り取りや籾の脱穀、裁断などわらの処理までを行う自脱型コンバイン、大豆やそば向けには汎用(普通型)コンバインが使用される。ICTにより効率的に作業管理や機械管理ができるモデルや、疲労を軽減する直進アシストシステムを導入したモデルなどがある一方、資材高騰のなか機能を厳選したシンプルかつ低価格のモデルもある。刈り取り専用のバインダ、脱穀専用のハーベスタは、コンバインが入れない山間地などで使われている。このほか乾燥機は収穫した籾を乾燥させ、籾すり機は籾殻を取り除き玄米に仕上げる機械である。
(4) 作業機・補修用部品・修理収入、施設工事
作業機とは主にトラクタに取り付けるアタッチメントのことで、田水面を均平に整えるハロー、土を耕すロータリー、土を盛り上げて畝を立てる畝立機などがある。作業機のほか、オイルやケミカルなどの補修用部品の販売や、販売した農機のメンテナンスや故障対応を全国の整備拠点で行っている。万全なメンテナンス修理によって故障の発生を防ぐことで顧客からの信頼を獲得しており、天候不順など外部環境に左右されない安定した収益の確保が可能で収益性も高いため、補修用部品と修理・メンテナンスについては10年にわたる収支構造改革の柱として取り組んでおり、引き続き強化していく。また、乾燥や育苗、集出荷など農業用施設の施工を行うほか、肥料など農業用資材の販売、コイン精米事業、炊飯事業なども行っている。
(5) 農業ソリューション
同社は、農業の省力化や効率化のため、ロボットやICTなどの先端技術を積極的に活用している。トラクタなど農業機械に直進アシストシステムや自動操舵システム、スマート追肥システムなどを導入しているほか、営農管理システム「ISEKIアグリサポート」や遠隔監視サービス「ISEKIリモート」などを提供している。また、生育管理関連として、ドローンで撮影した農地の画像をクラウド上で保存する「いろは」、ドローン・人工衛星による画像解析を活用し農作業の効率化を実現する「天晴れ」などのサービスも提供している。営農ソリューションポータルサイト「Amoni」では、最新の技術動向に関する情報などを積極的に発信しており、大規模農家を中心に好評のようだ。こうしたICTを活用したスマート農機の開発や営農支援に対するニーズは強く、中長期的に成長余地の大きい分野である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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