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名古屋電機工業:道路交通安全を守る総合設備企業へ、PBR0.6倍台かつ配当利回り3.5%程度で推移
配信日時:2025/10/14 17:30
配信元:FISCO
*17:30JST 名古屋電機工業:道路交通安全を守る総合設備企業へ、PBR0.6倍台かつ配当利回り3.5%程度で推移
名古屋電機工業<6797>は、道路交通向け情報装置を中核とするインフラ機器メーカーであり、企画から設計、製造、据付、保守までを一貫提供する国内唯一の専業企業である。1958年の創業以来、国土交通省や高速道路各社、地方公共団体などを主要顧客とし、道路情報板や車載標識装置、仮設型の工事用情報装置など、道路交通の安全と効率を支える幅広い製品群を展開する。特に1966年に世界で初めて遠隔操作型情報板を開発するなど、この分野での技術的リーダーシップを確立してきた。現在では、災害・事故対応を含む高度道路交通システム(ITS)領域において、道路情報提供を通じた安全・安心な社会インフラの維持を使命としている。
同社の競争優位性は、「専業メーカー」としての技術的ノウハウと、製造から施工・保守に至るまでの総合対応力にある。情報板や車載・仮設を含むすべての領域を自社ラインナップとして揃える企業は国内でも稀であり、顧客に対して最適な仕様提案ができることが強みとなっている。また、公共事業特有の入札構造を熟知しているほか、国土強靭化の一環として推進される道路ネットワークの4車線化やダブルネットワーク化など、長期的に整備が進む社会インフラの中で同社の存在感は着実に高まっている。
2026年3月期第1四半期は、売上高1,816百万円(前年同期比25.6%減)、営業損失223百万円(前年同期は29百万円の黒字)で着地した。新システム提案による新規受注の獲得を進めてきたが、前年同期に対し完工案件が減少した影響があった。工事進行基準を採用する中で現場進捗が想定より遅れ、製造・建設両部門において前工程の人手不足が影響したことも大きいようだ。また、子会社の受注も伸び悩み、全体の進行度が想定を下回った。一方、利益面では入札競争による価格下落リスクがあるものの、コスト管理を徹底し、損失を極小化する姿勢を維持している。通期では売上高17,500百万円(前期比1.4%増)、営業利益2,250百万円(同18.2%減)を計画しており、高水準の受注残(210億16百万円)を背景に下期での回復を見込む。発注の一部が遅れ気味ではあるものの、受注自体は順調に出ており、計画達成に向けて一定の見通しを維持している。
市場環境を見ると、新規道路建設は減少傾向にあるが、維持・更新投資や防災・減災を目的とした公共投資は底堅い。国の「WISENET2050」構想など、自動運転やデジタル化に対応した次世代交通インフラの整備が進む中で、同社の役割は新設から維持更新、さらにはスマート交通への対応へと拡大している。もっとも、社会インフラ投資には政策依存のボラティリティがあるため、同社は国内の官需一本足から脱却し、自治体案件の強化や海外展開による事業分散を進めている。インドではJICA支援の下、交通規制材のビジネス化実証を進めており、これをきっかけに新興国での道路安全分野への参入を模索している。
中期経営計画「N-PLAN2026」では、売上高220億円、営業利益率10%以上、新システム販売比率10%以上、ROE10%以上、PBR1倍以上を主要KPIとして掲げる。目指す姿は「情報板メーカーから、道路交通安全を守る総合設備企業への変容」である。既存事業の成長力と収益力を強化しつつ、グループとしてさらなる発展を図るため、M&Aなどの積極的な投資戦略を取り入れ、周辺事業領域への拡大と持続的な成長を実現する方針。他社との連携、オープンイノベーションの活性化、自社コンピタンス強化のための投資を行っていく。防災・減災、安全化・省力化、DX・GX対応などを据え、新たなモビリティ社会を支える製品開発を進める。
株主還元は、配当性向30%以上を基本方針とし、安定的な配当を維持している。2025年4月には1対2の株式分割を実施し、株主数の増加と流動性向上を図った。また、PBR0.6倍台で推移する中、配当利回り3.5%水準で推移しており、まずはPBR1倍超を目指して資本コストを意識した経営への転換を進めている。
総じて同社は、専業メーカーとしての技術・信頼を武器に、維持更新需要という堅調な市場基盤を持ちながら、道路情報装置の枠を超えた「安全インフラ総合企業」への変革を進めている。一方で、受注・完工の季節性や公共事業の発注遅延により短期的な業績変動リスクは残るが、収益安定化に向けた道筋は示している。専業メーカーの矜持を保ちながら、次世代の道路社会においても不可欠な存在であり続けられるかが、今後の株主価値創出の焦点となろう。
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同社の競争優位性は、「専業メーカー」としての技術的ノウハウと、製造から施工・保守に至るまでの総合対応力にある。情報板や車載・仮設を含むすべての領域を自社ラインナップとして揃える企業は国内でも稀であり、顧客に対して最適な仕様提案ができることが強みとなっている。また、公共事業特有の入札構造を熟知しているほか、国土強靭化の一環として推進される道路ネットワークの4車線化やダブルネットワーク化など、長期的に整備が進む社会インフラの中で同社の存在感は着実に高まっている。
2026年3月期第1四半期は、売上高1,816百万円(前年同期比25.6%減)、営業損失223百万円(前年同期は29百万円の黒字)で着地した。新システム提案による新規受注の獲得を進めてきたが、前年同期に対し完工案件が減少した影響があった。工事進行基準を採用する中で現場進捗が想定より遅れ、製造・建設両部門において前工程の人手不足が影響したことも大きいようだ。また、子会社の受注も伸び悩み、全体の進行度が想定を下回った。一方、利益面では入札競争による価格下落リスクがあるものの、コスト管理を徹底し、損失を極小化する姿勢を維持している。通期では売上高17,500百万円(前期比1.4%増)、営業利益2,250百万円(同18.2%減)を計画しており、高水準の受注残(210億16百万円)を背景に下期での回復を見込む。発注の一部が遅れ気味ではあるものの、受注自体は順調に出ており、計画達成に向けて一定の見通しを維持している。
市場環境を見ると、新規道路建設は減少傾向にあるが、維持・更新投資や防災・減災を目的とした公共投資は底堅い。国の「WISENET2050」構想など、自動運転やデジタル化に対応した次世代交通インフラの整備が進む中で、同社の役割は新設から維持更新、さらにはスマート交通への対応へと拡大している。もっとも、社会インフラ投資には政策依存のボラティリティがあるため、同社は国内の官需一本足から脱却し、自治体案件の強化や海外展開による事業分散を進めている。インドではJICA支援の下、交通規制材のビジネス化実証を進めており、これをきっかけに新興国での道路安全分野への参入を模索している。
中期経営計画「N-PLAN2026」では、売上高220億円、営業利益率10%以上、新システム販売比率10%以上、ROE10%以上、PBR1倍以上を主要KPIとして掲げる。目指す姿は「情報板メーカーから、道路交通安全を守る総合設備企業への変容」である。既存事業の成長力と収益力を強化しつつ、グループとしてさらなる発展を図るため、M&Aなどの積極的な投資戦略を取り入れ、周辺事業領域への拡大と持続的な成長を実現する方針。他社との連携、オープンイノベーションの活性化、自社コンピタンス強化のための投資を行っていく。防災・減災、安全化・省力化、DX・GX対応などを据え、新たなモビリティ社会を支える製品開発を進める。
株主還元は、配当性向30%以上を基本方針とし、安定的な配当を維持している。2025年4月には1対2の株式分割を実施し、株主数の増加と流動性向上を図った。また、PBR0.6倍台で推移する中、配当利回り3.5%水準で推移しており、まずはPBR1倍超を目指して資本コストを意識した経営への転換を進めている。
総じて同社は、専業メーカーとしての技術・信頼を武器に、維持更新需要という堅調な市場基盤を持ちながら、道路情報装置の枠を超えた「安全インフラ総合企業」への変革を進めている。一方で、受注・完工の季節性や公共事業の発注遅延により短期的な業績変動リスクは残るが、収益安定化に向けた道筋は示している。専業メーカーの矜持を保ちながら、次世代の道路社会においても不可欠な存在であり続けられるかが、今後の株主価値創出の焦点となろう。
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