注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:植田日銀総裁講演、米貿易収支、米雇用統計
配信日時:2025/05/31 16:40
配信元:FISCO
*16:40JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:植田日銀総裁講演、米貿易収支、米雇用統計
■株式相場見通し
予想レンジ:上限39000円-下限37000円
5月30日のダウ平均は前日比54.34ドル高の42270.07ドル、ナスダックは同62.10ポイント安の19113.77で取引を終了した。トランプ米大統領が自身のSNSに「中国は米国との合意に完全に違反」と投稿。米中対立への懸念が再び高まったことなどから米主要3指数は高安まちまちとなり、大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比280円安の37680円で取引を終えた。
日経平均は3カ月ぶりの水準まで上昇したが、38000円台半ばでは上値が重くなった。昨年9月から今年3月にかけて下値支持として意識された38000円水準が、足下の上値抵抗として意識されつつある。戻り待ちの売り圧力が強いほか、米国関税方針が明確ではないことで大型株を中心に積極的な買いは入りにくい。週末のプライム市場の売買代金は6.5兆円と膨らんだが、これは機関投資家が運用指標とするMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数の定期リバランスの影響が大きく、実際の商いは閑散のまま。一方、個人投資家を中心とした中小型株への物色は活発化しており、グロース市場250指数は昨年3月末以来の水準まで上昇したほか、スタンダード指数は史上最高値(22年4月より算出開始)を更新している。短期資金の流出入で乱高下する銘柄は多いものの、投資家心理は悪くないと考える。
赤澤亮正経済再生担当大臣が4回目の日米閣僚交渉のため訪米しているが、合意は早くて6月15-17日開催のG7サミット(主要7カ国首脳会議)との見通しで、材料待ちの相場展開が今しばらく続くと考える。また、週末、トランプ大統領が鉄鋼輸入関税を25%から50%に引き上げると表明したことから、二転三転する米国関税方針は大型株の重しとなる。週末には5月の米雇用統計などの発表が予定されており、米経済指標を見極めたいとするムードも強まりやすい。6月中旬まではスタンダードやグロース銘柄への短期資金による物色が妙味となりやすいだろう。
週末の10年債利回りは1.5%水準で推移している。財務省が28日に実施した40年物国債入札で、最高落札利回り(複利ベース)は3.135%と、2007年に入札を開始して以降、過去最高の利回りとなった。財政膨張への懸念から投資家の需要は弱く、流通市場で新発40年物国債の利回りが上昇するなど金利市場の動向に注目が集まった。金利上昇局面が続けば、為替市場ではドル安円高に振れる可能性はあるが、地銀株は相対的に強含む展開が期待できよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米トランプ政権による高関税政策への違法判決とそれに対する控訴で、議論の行方を見極める展開となりそうだ。米国際貿易裁判所は5月28日、トランプ政権の高関税政策について差し止めの判断を示した。ただ、米連邦巡回区控訴裁判所(高裁)は29日、トランプ大統領の広範な関税の大部分を差し止めた国際貿易裁判所の判断を一時停止し、関税措置を復活させる判断を下した。関税を巡る国際貿易裁判所の判決や控訴手続きの不確実性から、日本などの国々が早期の合意に踏み切れなくなる可能性もあるため、リスク選好的な為替取引は縮小する可能性がある。
また、米トランプ政権による財政拡張政策は米国債の信用力を低下させており、米国資産のリスクに対する投資家の懸念は払しょくされていない。米国債、米株式、ドルのトリプル安懸念は根強く、リスク選好的なドル買い・円売りを抑制する一因となり得る。
■来週の注目スケジュール
6月2日(月):法人企業統計(1-3月)、製造業PMI(5月)、米・ISM製造業景況指数(5月)、米・製造業PMI(5月)、米・建設支出(4月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(5月)、中・株式市場は祝日のため休場(端午節)など
6月3日(火):植田日本銀行総裁が内外情勢調査会全国懇談会で講演、マネタリーベース(5月)、米・JOLT求人件数(4月)、米・製造業受注(4月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(5月)、欧・ユーロ圏失業率(4月)、中・財新製造業PMI(5月)、豪・経常収支(1-3月)、スイス・消費者物価指数(5月)、韓・大統領選など
6月4日(水):サービス業PMI(5月)、総合PMI(5月)、米・ISM非製造業景況指数(5月)、米・ADP全米雇用報告(5月)、米・サービス業PMI確報値(5月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(5月)、加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、豪・GDP(1-3月)、韓・GDP(1-3月)など
6月5日(木):毎月勤労統計(4月)、任天堂が新型家庭用ゲーム機「スイッチ2」発売、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・貿易収支(4月)、中・財新サービス業PMI(5月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、欧・ユーロ圏生産者物価指数(4月)、加・貿易収支(4月)、独・製造業受注(4月)、豪・貿易収支(4月)、スイス・失業率(5月)など
6月6日(金):家計支出(4月)、景気先行CI指数(4月)、景気一致指数(4月)、米・非農業部門雇用者数(5月)、米・失業率(5月)、米・平均時給(5月)、米・消費者信用残高(4月)、欧・ユーロ圏GDP確定値(1-3月)、欧・ユーロ圏小売売上高(4月)、独・鉱工業生産指数(4月)、加・失業率(5月)、印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、露・ロシア中央銀行が政策金利発表など
6月7日(土):内田日銀副総裁が日本金融学会で講演、中・外貨準備高(5月)など
<YU>
予想レンジ:上限39000円-下限37000円
5月30日のダウ平均は前日比54.34ドル高の42270.07ドル、ナスダックは同62.10ポイント安の19113.77で取引を終了した。トランプ米大統領が自身のSNSに「中国は米国との合意に完全に違反」と投稿。米中対立への懸念が再び高まったことなどから米主要3指数は高安まちまちとなり、大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比280円安の37680円で取引を終えた。
日経平均は3カ月ぶりの水準まで上昇したが、38000円台半ばでは上値が重くなった。昨年9月から今年3月にかけて下値支持として意識された38000円水準が、足下の上値抵抗として意識されつつある。戻り待ちの売り圧力が強いほか、米国関税方針が明確ではないことで大型株を中心に積極的な買いは入りにくい。週末のプライム市場の売買代金は6.5兆円と膨らんだが、これは機関投資家が運用指標とするMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数の定期リバランスの影響が大きく、実際の商いは閑散のまま。一方、個人投資家を中心とした中小型株への物色は活発化しており、グロース市場250指数は昨年3月末以来の水準まで上昇したほか、スタンダード指数は史上最高値(22年4月より算出開始)を更新している。短期資金の流出入で乱高下する銘柄は多いものの、投資家心理は悪くないと考える。
赤澤亮正経済再生担当大臣が4回目の日米閣僚交渉のため訪米しているが、合意は早くて6月15-17日開催のG7サミット(主要7カ国首脳会議)との見通しで、材料待ちの相場展開が今しばらく続くと考える。また、週末、トランプ大統領が鉄鋼輸入関税を25%から50%に引き上げると表明したことから、二転三転する米国関税方針は大型株の重しとなる。週末には5月の米雇用統計などの発表が予定されており、米経済指標を見極めたいとするムードも強まりやすい。6月中旬まではスタンダードやグロース銘柄への短期資金による物色が妙味となりやすいだろう。
週末の10年債利回りは1.5%水準で推移している。財務省が28日に実施した40年物国債入札で、最高落札利回り(複利ベース)は3.135%と、2007年に入札を開始して以降、過去最高の利回りとなった。財政膨張への懸念から投資家の需要は弱く、流通市場で新発40年物国債の利回りが上昇するなど金利市場の動向に注目が集まった。金利上昇局面が続けば、為替市場ではドル安円高に振れる可能性はあるが、地銀株は相対的に強含む展開が期待できよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米トランプ政権による高関税政策への違法判決とそれに対する控訴で、議論の行方を見極める展開となりそうだ。米国際貿易裁判所は5月28日、トランプ政権の高関税政策について差し止めの判断を示した。ただ、米連邦巡回区控訴裁判所(高裁)は29日、トランプ大統領の広範な関税の大部分を差し止めた国際貿易裁判所の判断を一時停止し、関税措置を復活させる判断を下した。関税を巡る国際貿易裁判所の判決や控訴手続きの不確実性から、日本などの国々が早期の合意に踏み切れなくなる可能性もあるため、リスク選好的な為替取引は縮小する可能性がある。
また、米トランプ政権による財政拡張政策は米国債の信用力を低下させており、米国資産のリスクに対する投資家の懸念は払しょくされていない。米国債、米株式、ドルのトリプル安懸念は根強く、リスク選好的なドル買い・円売りを抑制する一因となり得る。
■来週の注目スケジュール
6月2日(月):法人企業統計(1-3月)、製造業PMI(5月)、米・ISM製造業景況指数(5月)、米・製造業PMI(5月)、米・建設支出(4月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(5月)、中・株式市場は祝日のため休場(端午節)など
6月3日(火):植田日本銀行総裁が内外情勢調査会全国懇談会で講演、マネタリーベース(5月)、米・JOLT求人件数(4月)、米・製造業受注(4月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(5月)、欧・ユーロ圏失業率(4月)、中・財新製造業PMI(5月)、豪・経常収支(1-3月)、スイス・消費者物価指数(5月)、韓・大統領選など
6月4日(水):サービス業PMI(5月)、総合PMI(5月)、米・ISM非製造業景況指数(5月)、米・ADP全米雇用報告(5月)、米・サービス業PMI確報値(5月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(5月)、加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、豪・GDP(1-3月)、韓・GDP(1-3月)など
6月5日(木):毎月勤労統計(4月)、任天堂が新型家庭用ゲーム機「スイッチ2」発売、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・貿易収支(4月)、中・財新サービス業PMI(5月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、欧・ユーロ圏生産者物価指数(4月)、加・貿易収支(4月)、独・製造業受注(4月)、豪・貿易収支(4月)、スイス・失業率(5月)など
6月6日(金):家計支出(4月)、景気先行CI指数(4月)、景気一致指数(4月)、米・非農業部門雇用者数(5月)、米・失業率(5月)、米・平均時給(5月)、米・消費者信用残高(4月)、欧・ユーロ圏GDP確定値(1-3月)、欧・ユーロ圏小売売上高(4月)、独・鉱工業生産指数(4月)、加・失業率(5月)、印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、露・ロシア中央銀行が政策金利発表など
6月7日(土):内田日銀副総裁が日本金融学会で講演、中・外貨準備高(5月)など
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