注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀金融政策決定会合、米雇用統計、米CPI
配信日時:2025/12/13 16:29
配信元:FISCO
*16:29JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀金融政策決定会合、米雇用統計、米CPI
■株式相場見通し
予想レンジ:上限51000円-下限49500円
今週末の米国株式市場は下落。ダウ平均は前日比245.96ドル安の48458.05ドル、ナスダックは同398.69ポイント安の23195.17で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比760円安の50000円。好決算を発表したブロードコムが急落し、他のAI・半導体関連株にも売りが波及、ハイテク主導での下落となった。SOX指数は5%超の下落となっている。
来週は18日から19日にかけて開催される日銀金融政策決定会合が最注目イベントとなろう。12月1日に行われた植田総裁の講演では、「利上げの是非について、適切に判断したい」との発言があり、12月の利上げ実施を市場では一気に織り込む形になっている。0.25%の追加利上げ実施は確実視される一方、今回は2026年の利上げペースを探る動きが焦点となってきそうだ。植田総裁は講演後の会見で、中立金利について「もう少しはっきりと明示させていただければと思います」と述べており、これまで「1.0%から2.5%」としているレンジ水準の下限が切り上げられる可能性もある。この場合、現在1回程度の2026年利上げ回数見通しが引きあがることにつながり、株式市場にとってネガティブな流れとなろう。とりわけ、日銀会合前の週前半は、様子見ムードが強まる展開となりそうだ。
今週のFOMC直後も、米国株式市場で出尽くし感は広がっていない。ただ、ドットチャートは9月FOMCで公表されたものから変化はなく、当面は利下げの停止が見込まれる状況にはなっている。ここまで利下げ期待が米国株高を支えていたとみられることから、今後の反動安リスクには依然として警戒を保っておきたい。また、今週のオラクルの決算発表後の株価の動きからは、AI関連株に対する過熱警戒感があらためて強まった印象。AI需要の押し上げによる好決算を11日に発表したブロードコムも週末は急落する展開となっており、国内の半導体・AI関連株の上値追いは手控えられそうな雰囲気にある。
今週発表された一部小売企業の月次動向などからは、足下の日中対立激化の影響は感じられていない。ただ、11日には中国が、青森県沖で発生した地震を踏まえて、あらためて日本への渡航自粛を呼び掛けている。少なくとも、訪日中国人観光客の減少によるインバウンド需要への影響は来年初めにかけて強まる可能性があるだろう。
来週は日銀のみならず、欧州中央銀行(ECB)でも政策決定会合が開催される。こちらは無風の公算が大きいが、新たに2028年の経済見通しが示されることから、利上げのタイミングが早まるとの意識につながる可能性はあろう。あわせて、ドイツの複数の景況感指数なども注目される。
需給面では、年末にかけての節税対策売りに注意が必要となる。足下で株価の調整が続いているような銘柄には、押し目買いも入りにくくなるだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米インフレ指標の伸びが鈍化すれば、追加利下げの思惑が浮上する可能性はあるものの、日本銀行による追加利上げはすでに織り込まれている。このため、利上げを想定した円買いが急拡大する可能性は低いとの見方が広がっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今週9-10日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り追加利下げを決定。今後の緩和的な政策には慎重だったが、政策金利見通しの不透明感は払しょくされていない。ただ、来週発表される11月消費者物価指数(CPI)や11月雇用統計が市場予想を下回る内容だった場合、雇用情勢の悪化やインフレ緩和を背景に追加利下げ観測が広がるため、ドル売り要因となろう。
一方、日本銀行は18-19日開催の金融政策決定会合で0.25ptの追加利上げの公算。ただ、市場ではすでに織り込み済みで、リスク回避的な円買いが大きく広がる可能性は低いと予想される。むしろ、日本の財政悪化懸念による円売りが再び強まり、主要通貨は対円で下げづらい地合いとなりそうだ。
■来週の注目スケジュール
12月15日(月):日銀短観(大企業製造業DI)(10-12月)、第3次産業活動指数(10月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)、米・NAHB住宅市場指数(12月)、中・新築住宅価格(11月)、中・中古住宅価格(11月)、中・小売売上高(11月)、中・鉱工業生産(11月)、中・固定資産投資(都市部)(11月)、中・調査失業率(11月)、中・不動産投資(11月)、中・住宅販売件数(11月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(10月)、加・消費者物価指数(11月)など
12月16日(火):製造業PMI(12月)、サービス業PMI(12月)、米・非農業部門雇用者数(11月)、米・失業率(11月)、米・平均時給(11月)、米・小売売上高(10月)、米・製造業PMI速報値(12月)、米・サービス業PMI速報値(12月)、米・企業在庫(9月)、欧・ユーロ圏貿易収支(10月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(12月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(12月)、独・ZEW期待指数(12月)、独・製造業PMI(12月)、独・サービス業PMI(12月)、英・ILO失業率(8-10月)、英・失業率(11月)、英・製造業PMI(12月)、英・サービス業PMI(12月)、など
12月17日(水):貿易収支(11月)、輸出(11月)、輸入(11月)、コア機械受注(10月)、訪日外客数(11月)、資金循環統計速報(7-9月、日本銀行)、欧・ユーロ圏CPI(11月)、独・IFO企業景況感指数(12月)、英・消費者物価指数(11月)、NZ・経常収支(7-9月)など
12月18日(木):日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・消費者物価コア指数(11月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月)、米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(10月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、中・SWIFTグローバル支払い元建て(11月)、NZ・GDP速報(7-9月)など
12月19日(金):日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表、植田日銀総裁が会見、消費者物価コア指数(11月)、米・中古住宅販売件数(11月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数確報値(12月)、欧・ユーロ圏経常収支(10月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(12月)、英・小売売上高(11月)、NZ・貿易収支(11月)、加・小売売上高(10月)、露・ロシア中央銀行が政策金利発表など
<YU>
予想レンジ:上限51000円-下限49500円
今週末の米国株式市場は下落。ダウ平均は前日比245.96ドル安の48458.05ドル、ナスダックは同398.69ポイント安の23195.17で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比760円安の50000円。好決算を発表したブロードコムが急落し、他のAI・半導体関連株にも売りが波及、ハイテク主導での下落となった。SOX指数は5%超の下落となっている。
来週は18日から19日にかけて開催される日銀金融政策決定会合が最注目イベントとなろう。12月1日に行われた植田総裁の講演では、「利上げの是非について、適切に判断したい」との発言があり、12月の利上げ実施を市場では一気に織り込む形になっている。0.25%の追加利上げ実施は確実視される一方、今回は2026年の利上げペースを探る動きが焦点となってきそうだ。植田総裁は講演後の会見で、中立金利について「もう少しはっきりと明示させていただければと思います」と述べており、これまで「1.0%から2.5%」としているレンジ水準の下限が切り上げられる可能性もある。この場合、現在1回程度の2026年利上げ回数見通しが引きあがることにつながり、株式市場にとってネガティブな流れとなろう。とりわけ、日銀会合前の週前半は、様子見ムードが強まる展開となりそうだ。
今週のFOMC直後も、米国株式市場で出尽くし感は広がっていない。ただ、ドットチャートは9月FOMCで公表されたものから変化はなく、当面は利下げの停止が見込まれる状況にはなっている。ここまで利下げ期待が米国株高を支えていたとみられることから、今後の反動安リスクには依然として警戒を保っておきたい。また、今週のオラクルの決算発表後の株価の動きからは、AI関連株に対する過熱警戒感があらためて強まった印象。AI需要の押し上げによる好決算を11日に発表したブロードコムも週末は急落する展開となっており、国内の半導体・AI関連株の上値追いは手控えられそうな雰囲気にある。
今週発表された一部小売企業の月次動向などからは、足下の日中対立激化の影響は感じられていない。ただ、11日には中国が、青森県沖で発生した地震を踏まえて、あらためて日本への渡航自粛を呼び掛けている。少なくとも、訪日中国人観光客の減少によるインバウンド需要への影響は来年初めにかけて強まる可能性があるだろう。
来週は日銀のみならず、欧州中央銀行(ECB)でも政策決定会合が開催される。こちらは無風の公算が大きいが、新たに2028年の経済見通しが示されることから、利上げのタイミングが早まるとの意識につながる可能性はあろう。あわせて、ドイツの複数の景況感指数なども注目される。
需給面では、年末にかけての節税対策売りに注意が必要となる。足下で株価の調整が続いているような銘柄には、押し目買いも入りにくくなるだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米インフレ指標の伸びが鈍化すれば、追加利下げの思惑が浮上する可能性はあるものの、日本銀行による追加利上げはすでに織り込まれている。このため、利上げを想定した円買いが急拡大する可能性は低いとの見方が広がっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今週9-10日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り追加利下げを決定。今後の緩和的な政策には慎重だったが、政策金利見通しの不透明感は払しょくされていない。ただ、来週発表される11月消費者物価指数(CPI)や11月雇用統計が市場予想を下回る内容だった場合、雇用情勢の悪化やインフレ緩和を背景に追加利下げ観測が広がるため、ドル売り要因となろう。
一方、日本銀行は18-19日開催の金融政策決定会合で0.25ptの追加利上げの公算。ただ、市場ではすでに織り込み済みで、リスク回避的な円買いが大きく広がる可能性は低いと予想される。むしろ、日本の財政悪化懸念による円売りが再び強まり、主要通貨は対円で下げづらい地合いとなりそうだ。
■来週の注目スケジュール
12月15日(月):日銀短観(大企業製造業DI)(10-12月)、第3次産業活動指数(10月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)、米・NAHB住宅市場指数(12月)、中・新築住宅価格(11月)、中・中古住宅価格(11月)、中・小売売上高(11月)、中・鉱工業生産(11月)、中・固定資産投資(都市部)(11月)、中・調査失業率(11月)、中・不動産投資(11月)、中・住宅販売件数(11月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(10月)、加・消費者物価指数(11月)など
12月16日(火):製造業PMI(12月)、サービス業PMI(12月)、米・非農業部門雇用者数(11月)、米・失業率(11月)、米・平均時給(11月)、米・小売売上高(10月)、米・製造業PMI速報値(12月)、米・サービス業PMI速報値(12月)、米・企業在庫(9月)、欧・ユーロ圏貿易収支(10月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(12月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(12月)、独・ZEW期待指数(12月)、独・製造業PMI(12月)、独・サービス業PMI(12月)、英・ILO失業率(8-10月)、英・失業率(11月)、英・製造業PMI(12月)、英・サービス業PMI(12月)、など
12月17日(水):貿易収支(11月)、輸出(11月)、輸入(11月)、コア機械受注(10月)、訪日外客数(11月)、資金循環統計速報(7-9月、日本銀行)、欧・ユーロ圏CPI(11月)、独・IFO企業景況感指数(12月)、英・消費者物価指数(11月)、NZ・経常収支(7-9月)など
12月18日(木):日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・消費者物価コア指数(11月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月)、米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(10月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、中・SWIFTグローバル支払い元建て(11月)、NZ・GDP速報(7-9月)など
12月19日(金):日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表、植田日銀総裁が会見、消費者物価コア指数(11月)、米・中古住宅販売件数(11月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数確報値(12月)、欧・ユーロ圏経常収支(10月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(12月)、英・小売売上高(11月)、NZ・貿易収支(11月)、加・小売売上高(10月)、露・ロシア中央銀行が政策金利発表など
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