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アジア投資 Research Memo(2):2025年3月期上期は損失幅が縮小。株式・プロジェクト売却は下期へ
配信日時:2024/12/12 15:31
配信元:FISCO
*15:31JST アジア投資 Research Memo(2):2025年3月期上期は損失幅が縮小。株式・プロジェクト売却は下期へ
■日本アジア投資<8518>の決算概要
1. 2025年3月期上期決算の概要
2025年3月期上期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比12.9%増の1,432百万円、営業利益が68百万円(前年同期は239百万円の損失)となった。
従来連結基準では、営業収益が前年同期比55.8%増の664百万円と増収となり、営業損失が61百万円(前年同期は535百万円の損失)、経常損失が64百万円(同558百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が67百万円(同560百万円の損失)と損失幅が縮小し改善した。
営業収益は、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却は下期以降に予定されているため、上期はそのほかの未上場株式の売却を進めたほか、プロジェクト(物流施設1件)の売却益計上が増収に大きく寄与した。
損益面では売却益の増加に加え、評価損・引当金の縮小により損失幅が縮小し、大きく改善した。
一方、財政状態(従来連結基準)については、2024年6月に実施した第三者割当増資(約10億円)※に伴う変化があった。総資産は、現金及び預金の増加や投資開発事業への投資(障がい者グループホームの取得等)により前期末比4.7%増の10,929百万円に拡大した。自己資本についても第三者割当増資により同16.0%増の6,535百万円に増強され、自己資本比率は59.8%(前期末は54.0%)に改善した。有利子負債は前期末比11.5%減の3,819百万円に減少し、財務の健全化を進めることができた。
※ 2024年6月28日付で、ガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合を割当先とする第3者割当による新株発行を実行した。資金調達額は約10億円(発行株数4,400千株)。
事業別の業績は以下のとおりである。なお2025年3月期より新たな事業方針に基づき、事業領域を再定義した。従来の「プロジェクト投資」「PE投資」から、「投資開発事業(実物資産投資)」(旧 プロジェクト投資にほぼ対応)、「投資運用事業(有価証券投資)」(旧 PE投資にほぼ対応)、「ファンド・プラットフォーム事業(ファンド事務受託)」の3つに区分した(詳細は後述)。
(1) 投資開発事業
営業収益は398百万円(前年同期は18百万円)、営業総利益は346百万円(前年同期は79百万円の損失)となった。2024年3月に売却した物流施設(1件)※の売却益計上が増収増益(利益転換)に寄与した。また植物工場も黒字化に時間がかかっているものの、着実に損失改善が進んでいるようだ。
※ 神奈川県厚木市の物流施設。
(2) 投資運用事業
営業収益は189百万円(前年同期は336百万円)、営業総利益は81百万円(前年同期は14百万円)と減収増益となった。未上場株式を中心に売却を進めたが、前年同期に比べると上場株式の売却が減少したため、減収となった。一方、損益面では、評価損及び引当金の縮小※により増益を確保した。
※ 前年同期は、中華圏のファンド清算に当たり回収見込額の低下した銘柄に対する評価損や引当金を前倒しで計上した。
(3) ファンド・プラットフォーム事業
ファンド・プラットフォーム事業は、ファンドの事務受託サービスである。これまで「プロジェクト投資」「PE投資」に分類されていたが独立した。営業収益は76百万円(前年同期は71百万円)、営業総利益は76百万円(前年同期は71百万円)と安定的に推移している。
2. 2025年3月期上期の総括
2024年6月に新体制へ移行し、同年8月には新中期経営計画(詳細は後述)を公表したが、業績面では静かな立ち上がりとなった。もっとも2025年3月期の業績見込値は、プロジェクト(障がい者グループホーム等)の売却によるベースライン(下限)の確保と、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却によるアップサイド(上限)が前提となっており、上期の段階ではまだどちらも実現していないことが背景にある。ただ、2024年10月には障がい者グループホーム16棟をソーシャルプロジェクトボンドの活用(機関投資家へ社会性の高い投資機会の提供)により譲渡決定しており、新たな取り組みの成果として評価できる。また、ネットワークやノウハウの強化を目的とする戦略的業務提携の締結や第三者割当増資により財務基盤が整備されたことも、今後の軸となるファンドビジネスの拡大に向けて大きな前進であり、同社がやろうとしている形の一端が見えてきたと言えるだろう。
■主な活動実績
ソーシャルプロジェクトボンドの活用や、戦略的業務提携の締結でも大きな成果
1. 投資実績等
(1) 投資開発事業
新たに障がい者グループホーム(7棟)及び屋根置型蓄電池付太陽光発電設備(1件)を取得した一方、高齢者施設(1件)を売却(利益計上は下期)した。その結果、AUMは168億円(前期末は160億円)に増加した。2024年9月末のプロジェクト数は、メガソーラー発電12件(合計28.4MW)、屋根置型蓄電池付太陽光発電設備4件、バイオマス発電2件、バイオガス発電(オペレーター含む)3件、風力発電1件、障がい者グループホーム30棟、植物工場1件、物流施設4件、その他6件である。
(2) 投資運用事業
同社グループが管理運営等を行っているファンドのAUMは、2ファンドの清算終了や1ファンドで減額があった一方、1ファンド※を新規に設立し、2024年9月末の残高は7件12,596百万円(前期末は8件15,497百万円)に減少した。
※ JAICウェルスファンド35百万円。
2. ソーシャルプロジェクトボンドの活用
2024年10月に障がい者グループホーム16棟の譲渡を決定した(業績は下期に寄与)。譲渡先は当該グループホーム等を裏付資産としたソーシャルプロジェクトボンド※の発行による機関投資家からの資金調達及び大手リース会社と大手不動産会社から匿名組合出資を受けた合同会社となる。SDGsの機運が高まるなか、社会性の高い投資機会を求める機関投資家の資金と、障がい者支援分野の資金ニーズをつないだところに価値があり、新規性に富んだ取り組みとして評価できるとともに、今後の事業拡大に向けても大きな弾みとなった。
※ 格付投資情報センターから信用格付(BBB)及びソーシャルボンド・フレームワーク適合に関するセカンドオピニオンを取得した。
3. 戦略的業務提携の締結
2024年8月28日付で、ジーエヌアイグループ<2160>(以下、ジーエヌアイ)及びグロースパートナーズ(株)との業務提携をそれぞれ締結した。同社は、これらの業務提携を通じて社外のリソースを活用しながら、国内だけでなく海外投資家からも資金を呼び込み、新規にファンドを組成し成長戦略の実現に結び付る考えだ。
(1) ジーエヌアイグループ
ジーエヌアイは、創薬に成功し製薬会社として成長した実績を持ち、中国及びそのほかの地域において独自の販売網を有している。ジーエヌアイのネットワークを介し、国内外の投資家の資金を同社のファンドを通じて主に国内企業へ投資するとともに、投資先企業の製品をジーエヌアイやそのグループ会社を通じて海外市場に展開することで、投資先のバリューアップを図るところにねらいがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NH>
1. 2025年3月期上期決算の概要
2025年3月期上期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比12.9%増の1,432百万円、営業利益が68百万円(前年同期は239百万円の損失)となった。
従来連結基準では、営業収益が前年同期比55.8%増の664百万円と増収となり、営業損失が61百万円(前年同期は535百万円の損失)、経常損失が64百万円(同558百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が67百万円(同560百万円の損失)と損失幅が縮小し改善した。
営業収益は、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却は下期以降に予定されているため、上期はそのほかの未上場株式の売却を進めたほか、プロジェクト(物流施設1件)の売却益計上が増収に大きく寄与した。
損益面では売却益の増加に加え、評価損・引当金の縮小により損失幅が縮小し、大きく改善した。
一方、財政状態(従来連結基準)については、2024年6月に実施した第三者割当増資(約10億円)※に伴う変化があった。総資産は、現金及び預金の増加や投資開発事業への投資(障がい者グループホームの取得等)により前期末比4.7%増の10,929百万円に拡大した。自己資本についても第三者割当増資により同16.0%増の6,535百万円に増強され、自己資本比率は59.8%(前期末は54.0%)に改善した。有利子負債は前期末比11.5%減の3,819百万円に減少し、財務の健全化を進めることができた。
※ 2024年6月28日付で、ガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合を割当先とする第3者割当による新株発行を実行した。資金調達額は約10億円(発行株数4,400千株)。
事業別の業績は以下のとおりである。なお2025年3月期より新たな事業方針に基づき、事業領域を再定義した。従来の「プロジェクト投資」「PE投資」から、「投資開発事業(実物資産投資)」(旧 プロジェクト投資にほぼ対応)、「投資運用事業(有価証券投資)」(旧 PE投資にほぼ対応)、「ファンド・プラットフォーム事業(ファンド事務受託)」の3つに区分した(詳細は後述)。
(1) 投資開発事業
営業収益は398百万円(前年同期は18百万円)、営業総利益は346百万円(前年同期は79百万円の損失)となった。2024年3月に売却した物流施設(1件)※の売却益計上が増収増益(利益転換)に寄与した。また植物工場も黒字化に時間がかかっているものの、着実に損失改善が進んでいるようだ。
※ 神奈川県厚木市の物流施設。
(2) 投資運用事業
営業収益は189百万円(前年同期は336百万円)、営業総利益は81百万円(前年同期は14百万円)と減収増益となった。未上場株式を中心に売却を進めたが、前年同期に比べると上場株式の売却が減少したため、減収となった。一方、損益面では、評価損及び引当金の縮小※により増益を確保した。
※ 前年同期は、中華圏のファンド清算に当たり回収見込額の低下した銘柄に対する評価損や引当金を前倒しで計上した。
(3) ファンド・プラットフォーム事業
ファンド・プラットフォーム事業は、ファンドの事務受託サービスである。これまで「プロジェクト投資」「PE投資」に分類されていたが独立した。営業収益は76百万円(前年同期は71百万円)、営業総利益は76百万円(前年同期は71百万円)と安定的に推移している。
2. 2025年3月期上期の総括
2024年6月に新体制へ移行し、同年8月には新中期経営計画(詳細は後述)を公表したが、業績面では静かな立ち上がりとなった。もっとも2025年3月期の業績見込値は、プロジェクト(障がい者グループホーム等)の売却によるベースライン(下限)の確保と、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却によるアップサイド(上限)が前提となっており、上期の段階ではまだどちらも実現していないことが背景にある。ただ、2024年10月には障がい者グループホーム16棟をソーシャルプロジェクトボンドの活用(機関投資家へ社会性の高い投資機会の提供)により譲渡決定しており、新たな取り組みの成果として評価できる。また、ネットワークやノウハウの強化を目的とする戦略的業務提携の締結や第三者割当増資により財務基盤が整備されたことも、今後の軸となるファンドビジネスの拡大に向けて大きな前進であり、同社がやろうとしている形の一端が見えてきたと言えるだろう。
■主な活動実績
ソーシャルプロジェクトボンドの活用や、戦略的業務提携の締結でも大きな成果
1. 投資実績等
(1) 投資開発事業
新たに障がい者グループホーム(7棟)及び屋根置型蓄電池付太陽光発電設備(1件)を取得した一方、高齢者施設(1件)を売却(利益計上は下期)した。その結果、AUMは168億円(前期末は160億円)に増加した。2024年9月末のプロジェクト数は、メガソーラー発電12件(合計28.4MW)、屋根置型蓄電池付太陽光発電設備4件、バイオマス発電2件、バイオガス発電(オペレーター含む)3件、風力発電1件、障がい者グループホーム30棟、植物工場1件、物流施設4件、その他6件である。
(2) 投資運用事業
同社グループが管理運営等を行っているファンドのAUMは、2ファンドの清算終了や1ファンドで減額があった一方、1ファンド※を新規に設立し、2024年9月末の残高は7件12,596百万円(前期末は8件15,497百万円)に減少した。
※ JAICウェルスファンド35百万円。
2. ソーシャルプロジェクトボンドの活用
2024年10月に障がい者グループホーム16棟の譲渡を決定した(業績は下期に寄与)。譲渡先は当該グループホーム等を裏付資産としたソーシャルプロジェクトボンド※の発行による機関投資家からの資金調達及び大手リース会社と大手不動産会社から匿名組合出資を受けた合同会社となる。SDGsの機運が高まるなか、社会性の高い投資機会を求める機関投資家の資金と、障がい者支援分野の資金ニーズをつないだところに価値があり、新規性に富んだ取り組みとして評価できるとともに、今後の事業拡大に向けても大きな弾みとなった。
※ 格付投資情報センターから信用格付(BBB)及びソーシャルボンド・フレームワーク適合に関するセカンドオピニオンを取得した。
3. 戦略的業務提携の締結
2024年8月28日付で、ジーエヌアイグループ<2160>(以下、ジーエヌアイ)及びグロースパートナーズ(株)との業務提携をそれぞれ締結した。同社は、これらの業務提携を通じて社外のリソースを活用しながら、国内だけでなく海外投資家からも資金を呼び込み、新規にファンドを組成し成長戦略の実現に結び付る考えだ。
(1) ジーエヌアイグループ
ジーエヌアイは、創薬に成功し製薬会社として成長した実績を持ち、中国及びそのほかの地域において独自の販売網を有している。ジーエヌアイのネットワークを介し、国内外の投資家の資金を同社のファンドを通じて主に国内企業へ投資するとともに、投資先企業の製品をジーエヌアイやそのグループ会社を通じて海外市場に展開することで、投資先のバリューアップを図るところにねらいがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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