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明日の株式相場に向けて=「生成AI」がもたらす株価変貌の果実
配信日時:2023/07/27 17:00
配信元:MINKABU
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比222円高の3万2891円と3日ぶり反発。FOMCは事前予想通り、ほぼ無風通過といってもよい。ECB理事会も波乱要素は乏しそうである。問題はあすの日銀金融政策決定会合だが、一部でYCC解除の可能性も指摘されているが、植田日銀総裁の直近の発言から、よほどのことがない限り現状維持と考えておきたい。そして、ここを通過すればミクロへと視点が移る。
あす28日から一気に企業の決算発表が急増することになる。つれて決算プレーも佳境入りとなっていくが、繰り返しになるが敢えてワンテンポ遅らせて、買い参戦できそうな銘柄に投資資金を合わせていく方が勝ちやすい。例えば、生成AI関連。同市場拡大の特需が見込めそうな半導体製造装置関連として、切断・研削などの精密加工装置を手掛けるディスコ<6146.T>と検査装置トップのアドバンテスト<6857.T>の2銘柄が代表格として挙げられる。いずれも足もとの業績は苦戦しているのだが、これはスマートフォンやパソコンなどの販売低迷による半導体メモリーの在庫過剰が背景にあり、両銘柄とも下期以降は生成AI関連の案件が業績面で本格的にオンされてくる見通しにある。収益環境は激変期にあり、目先のバックミラーに映った景色を判断材料に投資を考えると間違う可能性がある。
前日の引け後に発表されたアドテストの23年第1四半期(4~6月)決算は営業利益が前年同期比68%減となった。株価的にはネガティブ材料として反応せざるを得ず、朝方に1000円以上の下落で1万9000円トビ台まで売り込まれる場面があった。しかし、ここは買い場とばかりに大口の資金が向かい、その後は急速に下げ渋る展開となった。
思い起こされるのは今月20日に4~6月期決算を発表したディスコで、同社も同期間の営業利益が21%減と低迷し、これを嫌気されいったんは大きく下値を試す展開を強いられた。ところが2万2300円台まで売り込まれた後に大きく切り返す形となり、21日以降きょうまで6営業日続伸、一時1465円高の2万6300円まで上値を伸ばし、連日で上場来高値を更新するという予想外の強調展開となっている。
このケーススタディで、ディスコと同じ生成AI絡みの特需が期待できるアドテストの株価もディスコ同様の軌跡を描いて不思議はない。注目されるSoC(システム・オン・チップ)テスターは、スマホ向けで足もとの需要が減退しているが、遅かれ早かれ生成AI市場が牽引する形で需要が再加速する局面が訪れそうだ。そして、アドテストの株価が仮にきょうの安値をボトムに立ち直るとすれば、あす決算発表が予定されるSoC設計のソシオネクスト<6526.T>の株価にも同じベクトルが働く公算が大きい。つまり、4~6月期決算発表を受けて仮に売りを誘発した場合、そこが最後の買い場となる可能性がある。資産運用世界最大手の米キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが保有株比率6%超の大株主に浮上したのは、中期的な成長力を見染めてのこと。今回の四半期決算通過後、ソシオネクスの株高シナリオが満を持して始動するケースも十分に考えられる。
決算発表を跨いでの投資はツボにハマればリターンは大きいが、発表された当該企業の業績内容が良好でもそれだけでは喜べない難しさがある。事前のコンセンサスや株式需給動向などまで考慮すると不透明要素が多過ぎて、あまり有利な投資手法とはいえない。それよりは、めくられたカードを見てから良い内容の銘柄を良いタイミングで拾っていくのが王道といえる。6月下旬にラピダス関連として当欄で取り上げたクワザワホールディングス<8104.T>は綺麗な戻り足で、PBRも0.6倍に過ぎず一段の上値余地が意識される。このほか、好決算発表済みの銘柄ではエヌ・ピー・シー<6255.T>が強い動き。また、古野電気<6814.T>、前澤工業<6489.T>も好決算評価の低PBR株としてマークしたい。
あすのスケジュールでは、7月の都区部CPIが朝方取引開始前に開示され、取引時間中に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される。引け後には植田日銀総裁の記者会見が予定。また、東証グロース市場にGENDA<9166.T>とクオルテック<9165.T>の2社が新規上場する。海外では4~6月期台湾GDP、6月の豪小売売上高、7月の独消費者物価指数(CPI)、6月の米個人所得・消費支出、4~6月期の米雇用コスト指数、7月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)など。国内主要企業の決算ではオリエンタルランド<4661.T>、日立製作所<6501.T>、デンソー<6902.T>、ファナック<6954.T>などがある。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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