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明日の株式相場に向けて=売られ過ぎ銘柄の戻りを取る
配信日時:2025/12/18 17:30
配信元:MINKABU
きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比510円安の4万9001円と反落。朝方取引開始直後に先物絡みの不安定な値動きがみられた。きょうの高値は寄り付き直後1分弱でつけた4万9169円で、安値は寄り付きから9分後の4万8643円というフラッシュ・クラッシュのミニチュア版ともいうべき珍しいケースに遭遇した。もっとも前日終値を上回る場面はなく、スタート直後の乱気流に揉まれた後は4万9000円をはさんだ狭いゾーンでの往来に終始。日銀金融政策決定会合の結果発表と植田和男日銀総裁の記者会見をあすに控え、買い手控え感が強いというのがお決まりのフレーズだが、腑に落ちないところもある。今回の会合で日銀の0.25%利上げは完全に織り込んだ状態であるため、マーケットが気にしているのは植田総裁が記者会見で「何を語るか」ということになるが、いったい何を恐れているのかが釈然としない。中立金利の下限が切り上がることを警戒しているともいうが、そもそも中立金利の水準自体が玉虫色で、植田総裁がここにスポットを当てて示唆的な発言をあえて行う蓋然性は乏しい。
そうしたなか、きょうは売り圧力の強い地合いであったように見えるが、個別に目を向けると値上がり銘柄数がプライム市場全体の65%を占め、物色ニーズ自体は旺盛であった。きょうはTOPIXも安く引けており、その点はやや意外な感じも受ける。中小型株については手が出始めている一方で、主力大型株には一向に矛先が向かないという地合いだった。銀行株も前日に新規上場したSBI新生銀行<8303.T>は11%高と気を吐いたものの、高止まりする長期金利を横にらみにメガバンクは総じて冴えずの展開で、全体相場とは裏腹に日銀イベントに関心がないかのようである。日経平均500円超の下げは、最近のハイボラ相場では特段言うべきものはないが、重苦しいムードだけは感じ取れる。
年末特有の損益通算目的の売りがマーケットに覆いかぶさっている状況で、足もとの日経平均の下げを助長している。しかし、“夜明け前が一番暗い”ともいわれるが、今週はその一番暗い時間帯かもしれない。決定会合などのイベントを警戒しているというよりは、もっと内輪の事情で、年内に利益を確定しておきたいというニーズが膨張し過ぎて、それが税金軽減効果を第一義とした乱暴な投げ売りにつながっている。
一昨日の当欄で、ネット証券大手の店内で今年最も個人投資家に利益をもたらした銘柄が三菱重工業<7011.T>という話に触れたが、同社株1銘柄だけで総額約100億円の利益をもたらしたという。大型株がすべて勝ち組ということではなく、やはり防衛やAI半導体、データセンターといった花形テーマに乗る銘柄に好パフォーマンスが目立っている。しかし、日経平均が5万円台をつけ、TOPIXも一時3400台まで水準を切り上げて、つい先日史上最高値更新した環境下であることも事実だ。押しなべて底上げ効果が働いており、中長期ホルダーにとっては総じてキャピタルゲインを堪能できた1年であったといえるかもしれない。今年の日経平均やTOPIXの月足チャートを見る限り、やはり特別な1年であったことを物語っている。また、「個人だけではなく12月決算企業など一部の法人筋にも損金算入という形式で節税を図る動きがでやすい」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もあり、東京市場では前週からそうした売りのスコールを浴びる格好となっている。
そしてこのスコールが止んだ時、結構な安値で拾える銘柄が地面に散らばっているような風景に出くわす。今度はそうした銘柄の一部に我先にと投資マネーが群がるような状況も予想されるのである。今週が損益通算の売りに関して言えばピークではないかという見方もあり、であるとすれば来週以降、早ければ日銀会合後の明日から流れが変わるケースもあり得る。これに損益通算の売り圧力を喧伝しながら空売りに動いた向きの買い戻しも加われば、思いのほか戻り足に拍車がかかっても不思議はない。
個別では売り叩かれた人気株の中から、まずFFRIセキュリティ<3692.T>をマーク。高市トレードで驚異的な大相場を演じたが、10月下旬からひたすら下値を探る展開に終始している。超長期波動で12カ月移動平均線の6000円近辺を下限に買い下がっておくのも一法。このほかエムスリー<2413.T>も11月中旬以降の下げがきつく、2000円近辺は逆張りのターゲットゾーンとして機能しそうだ。これ以外では、システムインテグレーターのBIPROGY<8056.T>や、ネットメディア運営のアイティメディア<2148.T>なども候補に挙げたい。また、目先動意含みだが、農業総合研究所<3541.T>も要マークか。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合の結果発表と、取引終了後に植田和男日銀総裁の記者会見が開かれる。また、朝方取引開始前に開示される11月の全国消費者物価指数(CPI)にも注目度が高い。この日はIPOが3社予定されており、東証グロース市場にパワーエックス<485A.T>が新規上場、東証スタンダード市場にはギミック<475A.T>、辻・本郷ITコンサルティング<476A.T>の2社が新規上場する。海外では、ロシアで金融政策決定会合が開催され政策金利を決定。また、11月の英小売売上高、12月のユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)が開示される。米国では11月の中古住宅販売件数のほか、12月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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