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ミアヘルサHD Research Memo(5):2022年3月期は売上高は過去最高を更新、利益は先行投資等より減益
配信日時:2022/07/25 15:25
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期の業績概要
ミアヘルサホールディングス<7129>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比16.4%増の19,510百万円、営業利益で同42.2%減の186百万円、経常利益で同44.2%減の189百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同39.0%減の291百万円となった。売上高はすべての事業セグメントで増収となったが、なかでも2021年10月にグループ会社化したライフサポートの寄与により保育事業が大きく伸長し、増収要因の大半を占め過去最高売上高を大きく更新した。
一方、利益面ではコロナ禍の影響により、通所介護事業所の利用者数が減少したほか、ホスピス、調剤薬局の新規開設に伴う先行コストが発生したこと、ライフサポートのグループ会社化を主因として減価償却費が118百万円、のれん償却額が24百万円増加したこと等が減益要因となった。EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で見ると、前期比1.0%増の710百万円と若干ながら増益となっている。また、特別利益として保育園の新規開園に係る設備等補助金収入443百万円を計上した一方、特別損失として減損損失113百万円を計上した。減損損失の約半分はライフサポートの本社機能移転に伴うものとなっている。また、ライフサポートの本社機能移転によって2023年3月期は50百万円のコスト削減効果が見込まれる。
(1) 医薬事業
医薬事業の売上高は前期比0.6%増の8,784百万円、セグメント利益は同1.7%減の559百万円となった。処方箋単価が同2.6%減の14,886円となった一方で、処方箋枚数が同5.5%増の586千枚と回復したことが増収要因となった。処方箋単価については、技術料単価が上昇したものの薬剤料単価が低下した。2021年4月に実施された薬価改定の影響に加えて、前期にコロナ禍で増加した長期処方が減少したことが要因だ。技術料単価については「かかりつけ薬局」「在宅医療業務」等の取り組みを強化したことが単価上昇要因となった。
利益面では、2021年12月に新規開局した「日生薬局 調布店」(医療モール型)、「日生薬局 江北店」(門前型)の先行費用を約30百万円計上(営業開始準備期間中の地代家賃、人件費等)したことが減益要因となった。また、後発医薬品不足の長期化により、後発医薬品調剤体制加算がやや減少したほか、オペレーションの煩雑化(代替医薬品の仕入交渉や患者への説明時間等)により生産性もやや低下するなどの影響もあった。期末店舗数は前期末比1店舗増の41店舗となっている。なお、「日生薬局 江北店」は2022年1月にオープンした東京女子医科大学附属足立医療センターの門前薬局で大型店舗となる。同医療センターは将来的に1日あたり1,200人の患者数の受入れを想定した大規模医療センターであり、同年5月には「江北2号店」も開局している。
(2) 介護事業
介護事業の売上高は前期比5.3%増の3,408百万円、セグメント利益は同83.5%減の24百万円となった。コロナ禍が続くなかで、通所介護(デイサービス)の利用者数が同6.8%減の93千人と減少基調が続いた一方で、2021年9月にホスピスとして2拠点目となる「ミアヘルサ メディケアオアシス新百合ヶ丘(定員44名)」(24時間対応のミアヘルサ訪問看護ステーション新百合ヶ丘も同時開設)をオープンしたことや、2021年10月にグループ会社化したライフサポートの5事業所が加わったことが増収要因となった。
一方、利益面では通所介護サービスの売上減少に加えて、新規事業所の開設のための先行投資負担が掛かったこと、ライフサポートの事業所が赤字であったこと等が減益要因となった。ホスピス事業については入居率が7割強で損益分岐点に達する事業モデルとなっている。2020年8月に「ミアヘルサ オアシス東新小岩」(東京都葛飾区)内に開設した「在宅ホスピス専用フロア(定員15名)」については期末で7割強の入居率となったが、「メディケアオアシス新百合ヶ丘」は約50%にとどまった。需要はあるものの、看護師の採用・定着化が進まなかったことが要因だ。ホスピス施設では対象患者7人に対して1人の看護師が必要とされており、また、患者が終末期のため経験豊富なベテランの看護師が求められ、想定以上に採用・定着化に苦労した。こうした課題を対処するため同社では採用ルートの見直しに加えて、教育の強化の取り組みを始めている。また、ライフサポートの介護施設については入居者を要介護度の高い高齢者にシフトしていくことで収益改善を図っており、2023年3月期の黒字化を見込んでいる。
なお、2022年3月期末の介護事業所数・施設数は、前期末比で7事業所増加の68事業所となっている。3事業所を新規開設し、1事業所(通所介護事業所)を事業運営の効率化を図ることを目的に近隣事業所と統廃合した。また、サービス付き高齢者向け住宅(特定施設含む)の入居率は期中平均で94%台と高水準で推移した。
また、末期がんの患者を中心に終末期における緩和ケアのニーズの高まりを受け、新たに開始したホスピス事業についても順調に立ち上がっている。「ミアヘルサ オアシス東新小岩」の2階にホスピス専用フロアを設置しており、既存入居者の反応が懸念されたが、24時間対応の訪問看護ステーションも開設したこともあり、評判としてはポジティブに受け止める入居者が殆どだったようだ。そのほか、2021年3月には「ミアヘルサ グループホーム新座」(埼玉県新座市)を開設している。新座市ではサービス付き高齢者向け住宅やデイサービス、24時間対応の巡回サービス、ケアマネジャー事業所などを運営しており、今回、認知症ケア専門の入居施設を新たに展開することで、地域住民との連携を図りながら、地域包括ケアシステムの実現を目指していくことにしている。
(3) 保育事業
保育事業の売上高は前期比63.3%増の6,412百万円、セグメント利益は同1.7%増の361百万円となった。売上高はライフサポートのグループ会社化によって20億円強の増収要因となったほか、2022年4月に新設した3園や2020年7月に子会社化した(株)東昇商事(2022年1月にミアヘルサに吸収合併される)の保育園が通年で寄与したことも増収要因となった。
受入園児数は前期比38.0%増の28,321人に増加した。既存園については0歳児の減少により同1.0%減の19,030人となったが、新規開設園(3園)で933人、2020年7月に子会社化した旧東昇商事の保育園(6園)で513人、ライフサポートの保育園(25園)で6,538人の増加となった。また、ライフサポートでは保育園以外にも学童クラブを13施設運営しており、増収要因となっている。
大幅増収だったにも関わらずセグメント利益の伸びが1.7%にとどまったのは、ライフサポートのグループ会社化により減価償却費とのれん償却額で合わせて142百万円増加したこと、並びにライフサポートの収益性が低かったことが挙げられる。EBITDAで見ると前期比19.2%増の717百万円と2ケタ増益となっているが、EBITDAマージンは前期の15.3%から11.2%に低下しており、この低下要因の大部分はライフサポートのグループ会社化によるものと推察される。このため、同社では、不採算だった認証保育園3園について閉園し、2023年3月期も残りの認証保育園10園については、認可化または統合による閉園を行うことで収益改善を進めていくことにしている。
なお、2022年3月期末の保育園数は前期末比27園増加の57園となっている(うち、認可保育園47園、認証保育園10園、受託運営2園)。また、ライフサポートで子育てひろば及び保育室を12施設運営している。
(4) その他
食品事業の売上高は前期比5.3%増の904百万円、セグメント利益は同7.8%増の39百万円となった。学校給食部門が給食回数の回復により増収となったほか、フランチャイジーとして3店舗を展開している宅配寿司「銀のさら」も、宅配食ニーズの堅調の持続により業績が順調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
1. 2022年3月期の業績概要
ミアヘルサホールディングス<7129>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比16.4%増の19,510百万円、営業利益で同42.2%減の186百万円、経常利益で同44.2%減の189百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同39.0%減の291百万円となった。売上高はすべての事業セグメントで増収となったが、なかでも2021年10月にグループ会社化したライフサポートの寄与により保育事業が大きく伸長し、増収要因の大半を占め過去最高売上高を大きく更新した。
一方、利益面ではコロナ禍の影響により、通所介護事業所の利用者数が減少したほか、ホスピス、調剤薬局の新規開設に伴う先行コストが発生したこと、ライフサポートのグループ会社化を主因として減価償却費が118百万円、のれん償却額が24百万円増加したこと等が減益要因となった。EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で見ると、前期比1.0%増の710百万円と若干ながら増益となっている。また、特別利益として保育園の新規開園に係る設備等補助金収入443百万円を計上した一方、特別損失として減損損失113百万円を計上した。減損損失の約半分はライフサポートの本社機能移転に伴うものとなっている。また、ライフサポートの本社機能移転によって2023年3月期は50百万円のコスト削減効果が見込まれる。
(1) 医薬事業
医薬事業の売上高は前期比0.6%増の8,784百万円、セグメント利益は同1.7%減の559百万円となった。処方箋単価が同2.6%減の14,886円となった一方で、処方箋枚数が同5.5%増の586千枚と回復したことが増収要因となった。処方箋単価については、技術料単価が上昇したものの薬剤料単価が低下した。2021年4月に実施された薬価改定の影響に加えて、前期にコロナ禍で増加した長期処方が減少したことが要因だ。技術料単価については「かかりつけ薬局」「在宅医療業務」等の取り組みを強化したことが単価上昇要因となった。
利益面では、2021年12月に新規開局した「日生薬局 調布店」(医療モール型)、「日生薬局 江北店」(門前型)の先行費用を約30百万円計上(営業開始準備期間中の地代家賃、人件費等)したことが減益要因となった。また、後発医薬品不足の長期化により、後発医薬品調剤体制加算がやや減少したほか、オペレーションの煩雑化(代替医薬品の仕入交渉や患者への説明時間等)により生産性もやや低下するなどの影響もあった。期末店舗数は前期末比1店舗増の41店舗となっている。なお、「日生薬局 江北店」は2022年1月にオープンした東京女子医科大学附属足立医療センターの門前薬局で大型店舗となる。同医療センターは将来的に1日あたり1,200人の患者数の受入れを想定した大規模医療センターであり、同年5月には「江北2号店」も開局している。
(2) 介護事業
介護事業の売上高は前期比5.3%増の3,408百万円、セグメント利益は同83.5%減の24百万円となった。コロナ禍が続くなかで、通所介護(デイサービス)の利用者数が同6.8%減の93千人と減少基調が続いた一方で、2021年9月にホスピスとして2拠点目となる「ミアヘルサ メディケアオアシス新百合ヶ丘(定員44名)」(24時間対応のミアヘルサ訪問看護ステーション新百合ヶ丘も同時開設)をオープンしたことや、2021年10月にグループ会社化したライフサポートの5事業所が加わったことが増収要因となった。
一方、利益面では通所介護サービスの売上減少に加えて、新規事業所の開設のための先行投資負担が掛かったこと、ライフサポートの事業所が赤字であったこと等が減益要因となった。ホスピス事業については入居率が7割強で損益分岐点に達する事業モデルとなっている。2020年8月に「ミアヘルサ オアシス東新小岩」(東京都葛飾区)内に開設した「在宅ホスピス専用フロア(定員15名)」については期末で7割強の入居率となったが、「メディケアオアシス新百合ヶ丘」は約50%にとどまった。需要はあるものの、看護師の採用・定着化が進まなかったことが要因だ。ホスピス施設では対象患者7人に対して1人の看護師が必要とされており、また、患者が終末期のため経験豊富なベテランの看護師が求められ、想定以上に採用・定着化に苦労した。こうした課題を対処するため同社では採用ルートの見直しに加えて、教育の強化の取り組みを始めている。また、ライフサポートの介護施設については入居者を要介護度の高い高齢者にシフトしていくことで収益改善を図っており、2023年3月期の黒字化を見込んでいる。
なお、2022年3月期末の介護事業所数・施設数は、前期末比で7事業所増加の68事業所となっている。3事業所を新規開設し、1事業所(通所介護事業所)を事業運営の効率化を図ることを目的に近隣事業所と統廃合した。また、サービス付き高齢者向け住宅(特定施設含む)の入居率は期中平均で94%台と高水準で推移した。
また、末期がんの患者を中心に終末期における緩和ケアのニーズの高まりを受け、新たに開始したホスピス事業についても順調に立ち上がっている。「ミアヘルサ オアシス東新小岩」の2階にホスピス専用フロアを設置しており、既存入居者の反応が懸念されたが、24時間対応の訪問看護ステーションも開設したこともあり、評判としてはポジティブに受け止める入居者が殆どだったようだ。そのほか、2021年3月には「ミアヘルサ グループホーム新座」(埼玉県新座市)を開設している。新座市ではサービス付き高齢者向け住宅やデイサービス、24時間対応の巡回サービス、ケアマネジャー事業所などを運営しており、今回、認知症ケア専門の入居施設を新たに展開することで、地域住民との連携を図りながら、地域包括ケアシステムの実現を目指していくことにしている。
(3) 保育事業
保育事業の売上高は前期比63.3%増の6,412百万円、セグメント利益は同1.7%増の361百万円となった。売上高はライフサポートのグループ会社化によって20億円強の増収要因となったほか、2022年4月に新設した3園や2020年7月に子会社化した(株)東昇商事(2022年1月にミアヘルサに吸収合併される)の保育園が通年で寄与したことも増収要因となった。
受入園児数は前期比38.0%増の28,321人に増加した。既存園については0歳児の減少により同1.0%減の19,030人となったが、新規開設園(3園)で933人、2020年7月に子会社化した旧東昇商事の保育園(6園)で513人、ライフサポートの保育園(25園)で6,538人の増加となった。また、ライフサポートでは保育園以外にも学童クラブを13施設運営しており、増収要因となっている。
大幅増収だったにも関わらずセグメント利益の伸びが1.7%にとどまったのは、ライフサポートのグループ会社化により減価償却費とのれん償却額で合わせて142百万円増加したこと、並びにライフサポートの収益性が低かったことが挙げられる。EBITDAで見ると前期比19.2%増の717百万円と2ケタ増益となっているが、EBITDAマージンは前期の15.3%から11.2%に低下しており、この低下要因の大部分はライフサポートのグループ会社化によるものと推察される。このため、同社では、不採算だった認証保育園3園について閉園し、2023年3月期も残りの認証保育園10園については、認可化または統合による閉園を行うことで収益改善を進めていくことにしている。
なお、2022年3月期末の保育園数は前期末比27園増加の57園となっている(うち、認可保育園47園、認証保育園10園、受託運営2園)。また、ライフサポートで子育てひろば及び保育室を12施設運営している。
(4) その他
食品事業の売上高は前期比5.3%増の904百万円、セグメント利益は同7.8%増の39百万円となった。学校給食部門が給食回数の回復により増収となったほか、フランチャイジーとして3店舗を展開している宅配寿司「銀のさら」も、宅配食ニーズの堅調の持続により業績が順調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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