注目トピックス 日本株
テリロジー Research Memo(9):2022年3月期連結業績は再度の上方修正を見込む
配信日時:2021/12/28 15:29
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年3月期業績予想は依然保守的
テリロジー<3356>は2022年3月期上期実績等を踏まえ、2022年3月期の連結業績予想について売上高を前期比10.6%増の5,200百万円、営業利益を同68.5%減の170百万円、経常利益を同68.7%減の170百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同70.3%減の130百万円とする期初計画を上方修正した。修正後の連結業績予想では、営業利益が前期比53.7%減の250百万円、経常利益が同54.0%減の250百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同69.2%減の135百万円へと引き上げられたが、売上高は期初予想水準が据え置かれた。
「収益認識に関する会計基準」の適用開始による影響が今下期に強く出ることを踏まえても、会社予想の下期営業利益率2.5%は同社の実力値(7%程度)に対してあまりに保守的に見える。2022年3月期第3四半期の決算発表時に再度の業績上方修正が発表される可能性は高いと言えよう。なお、「配当性向50%以上を目標」とする株主還元方針の下で、期末配当は1株当たり5円配当の継続を予定している。
2. DXやSDGsに対する顧客ニーズを受け止めた事業展開が本格化
同社は2020年12月に「デジタルトランスフォーメーション戦略」を公表し、自社がDXに取り組む理由を「不確実性の増大→変革の必要性→環境変化への即応性強化とビジネスの高速化→DX企業」というフローチャートに記していた。そして、2021年3月には国が定めるDX認定制度における「DX認定事業者」の認定を取得、自社の変革にとどまらずDXに対する顧客ニーズを受け止めた事業展開に取り組んでいる。
こうしたなかで同社は、2021年9月に環境DXベンチャーである(株)CBAとの資本業務提携に関する契約を締結し、CBA発行の新株予約権の引き受けに踏み切っている。同社は、この資本業務提携の目的を「未だ旧態依然とした廃棄物処理業界にセキュリティの高い最新のクラウドサービスを提供し、廃棄物処理に必要な一連の業務を合理化、最適化し、このサービスによって蓄積されるデータを積極活用し、従来焼却処理されていた廃棄物を資源化可能物と処分物に選別し、デジタルのチカラで最適な処理を実施することによって資源循環を推進し、『SDGsで唱えられている持続可能な社会』の実現に向けた社会課題の解決に貢献する」ためとしており、これもまた「顧客重視」の企業理念を実践するための事業展開にほかならない。そして、パートナリング戦略により迅速にビジネスモデルを構築していることは高く評価できよう。まずは、DXやSDGsに対する顧客ニーズの高まりを受け止めた段階と言えようが、同社が事業としてどのように育てていくか今後の行方を見守りたい。
3. 売上高100億円実現に向けての道筋を示す新中期経営計画
2022年3月期を初年度とする新中計には「オーガニック成長の数値目標」「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が掲げられ、内容的には売上高100億円実現に向けての道筋を示すものとなっている。
最終年度(2024年3月期)の売上高を74億円、営業利益を5.6億円とする「オーガニック成長の数値目標」について、2021年3月期の営業利益が5.4億円であったことから物足りなさを感じる向きもあろう。しかしながら、「収益認識に関する会計基準」の適用影響を保守的に織り込んだ2022年3月期を起点とする最終年度の絶対水準に対して過度に反応する必要はなく、新中計に込められたメッセージは「売上高成長率20%と営業利益率8%の実現が目標」であると受け止めたい。また、2022年3月期が当初計画から上振れ傾向であることを踏まえて数値目標がローリングされる可能性も期待できよう。
「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」については、1)ストック型事業モデルの強化、2)ダイナミックなグループ事業の拡大、3)グローバルな事業展開がキーメッセージとして読み取れる。いずれも、M&Aを含むアライアンス戦略が鍵を握るだけに、今回の新中計に「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が盛り込まれたことは重要な意味を持つと考える。とりわけ、約10~20億円の投資規模感イメージの下、1案件の投資予算規模(3~5億円)と獲得年商規模(5~10億円)が明確に示されたことに注目したい。
この点、2021年3月のクレシードの子会社化は示唆に富む事例に見える。クレシードは、油・化学品の専門商社カネダ(株)の情報システム部門が1990年に分社化・創業した企業であり、顧客の「情報システム部」や「システム要員」を務める情報システム業務支援・代行事業を中核事業に据えつつ、スクラッチ開発並みの柔軟性とパッケージソフトウェア並みの適用容易性を実現した自社コンセプト製品群を主軸とした業務ソリューションやシステム・ネットワーク構築等のITサービスを提供している。
クレシードの子会社化は、1)これまで手薄だった中小規模エンタープライズ市場での事業機会拡大、2)情報システム業務支援・代行事業というアセット型ビジネスモデルへの参入を図る戦略であり、新中計に明記された基本戦略・重要施策に沿った一手と言える。また、費用込みで302百万円の投資規模に対し、2022年3月期計画の売上高・営業利益はそれぞれ700百万円と50百万円、営業利益率は7.1%となっていることから、同社のM&A規律に忠実な案件でもある。
以上の点を踏まえると、同社はオーガニック成長による売上高目標74億円をベースにM&A戦略により20~40億円規模の売上高積み上げを目指していることになる。つまり、新中計は売上高100億円実現に向けての道筋を示す意欲的なものと評価して良く、その行方を注視していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
<SI>
1. 2022年3月期業績予想は依然保守的
テリロジー<3356>は2022年3月期上期実績等を踏まえ、2022年3月期の連結業績予想について売上高を前期比10.6%増の5,200百万円、営業利益を同68.5%減の170百万円、経常利益を同68.7%減の170百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同70.3%減の130百万円とする期初計画を上方修正した。修正後の連結業績予想では、営業利益が前期比53.7%減の250百万円、経常利益が同54.0%減の250百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同69.2%減の135百万円へと引き上げられたが、売上高は期初予想水準が据え置かれた。
「収益認識に関する会計基準」の適用開始による影響が今下期に強く出ることを踏まえても、会社予想の下期営業利益率2.5%は同社の実力値(7%程度)に対してあまりに保守的に見える。2022年3月期第3四半期の決算発表時に再度の業績上方修正が発表される可能性は高いと言えよう。なお、「配当性向50%以上を目標」とする株主還元方針の下で、期末配当は1株当たり5円配当の継続を予定している。
2. DXやSDGsに対する顧客ニーズを受け止めた事業展開が本格化
同社は2020年12月に「デジタルトランスフォーメーション戦略」を公表し、自社がDXに取り組む理由を「不確実性の増大→変革の必要性→環境変化への即応性強化とビジネスの高速化→DX企業」というフローチャートに記していた。そして、2021年3月には国が定めるDX認定制度における「DX認定事業者」の認定を取得、自社の変革にとどまらずDXに対する顧客ニーズを受け止めた事業展開に取り組んでいる。
こうしたなかで同社は、2021年9月に環境DXベンチャーである(株)CBAとの資本業務提携に関する契約を締結し、CBA発行の新株予約権の引き受けに踏み切っている。同社は、この資本業務提携の目的を「未だ旧態依然とした廃棄物処理業界にセキュリティの高い最新のクラウドサービスを提供し、廃棄物処理に必要な一連の業務を合理化、最適化し、このサービスによって蓄積されるデータを積極活用し、従来焼却処理されていた廃棄物を資源化可能物と処分物に選別し、デジタルのチカラで最適な処理を実施することによって資源循環を推進し、『SDGsで唱えられている持続可能な社会』の実現に向けた社会課題の解決に貢献する」ためとしており、これもまた「顧客重視」の企業理念を実践するための事業展開にほかならない。そして、パートナリング戦略により迅速にビジネスモデルを構築していることは高く評価できよう。まずは、DXやSDGsに対する顧客ニーズの高まりを受け止めた段階と言えようが、同社が事業としてどのように育てていくか今後の行方を見守りたい。
3. 売上高100億円実現に向けての道筋を示す新中期経営計画
2022年3月期を初年度とする新中計には「オーガニック成長の数値目標」「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が掲げられ、内容的には売上高100億円実現に向けての道筋を示すものとなっている。
最終年度(2024年3月期)の売上高を74億円、営業利益を5.6億円とする「オーガニック成長の数値目標」について、2021年3月期の営業利益が5.4億円であったことから物足りなさを感じる向きもあろう。しかしながら、「収益認識に関する会計基準」の適用影響を保守的に織り込んだ2022年3月期を起点とする最終年度の絶対水準に対して過度に反応する必要はなく、新中計に込められたメッセージは「売上高成長率20%と営業利益率8%の実現が目標」であると受け止めたい。また、2022年3月期が当初計画から上振れ傾向であることを踏まえて数値目標がローリングされる可能性も期待できよう。
「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」については、1)ストック型事業モデルの強化、2)ダイナミックなグループ事業の拡大、3)グローバルな事業展開がキーメッセージとして読み取れる。いずれも、M&Aを含むアライアンス戦略が鍵を握るだけに、今回の新中計に「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が盛り込まれたことは重要な意味を持つと考える。とりわけ、約10~20億円の投資規模感イメージの下、1案件の投資予算規模(3~5億円)と獲得年商規模(5~10億円)が明確に示されたことに注目したい。
この点、2021年3月のクレシードの子会社化は示唆に富む事例に見える。クレシードは、油・化学品の専門商社カネダ(株)の情報システム部門が1990年に分社化・創業した企業であり、顧客の「情報システム部」や「システム要員」を務める情報システム業務支援・代行事業を中核事業に据えつつ、スクラッチ開発並みの柔軟性とパッケージソフトウェア並みの適用容易性を実現した自社コンセプト製品群を主軸とした業務ソリューションやシステム・ネットワーク構築等のITサービスを提供している。
クレシードの子会社化は、1)これまで手薄だった中小規模エンタープライズ市場での事業機会拡大、2)情報システム業務支援・代行事業というアセット型ビジネスモデルへの参入を図る戦略であり、新中計に明記された基本戦略・重要施策に沿った一手と言える。また、費用込みで302百万円の投資規模に対し、2022年3月期計画の売上高・営業利益はそれぞれ700百万円と50百万円、営業利益率は7.1%となっていることから、同社のM&A規律に忠実な案件でもある。
以上の点を踏まえると、同社はオーガニック成長による売上高目標74億円をベースにM&A戦略により20~40億円規模の売上高積み上げを目指していることになる。つまり、新中計は売上高100億円実現に向けての道筋を示す意欲的なものと評価して良く、その行方を注視していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
<SI>
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