注目トピックス 日本株
ベルシス24 Research Memo(1):コールセンター大手、社会インフラの役割を果たし、さらなる成長を目指す
配信日時:2021/11/17 15:01
配信元:FISCO
■要約
1. 全国に事業展開するコールセンター大手、伊藤忠商事、凸版印刷と資本業務提携
ベルシステム24ホールディングス<6183>は国内コールセンター大手で、傘下に子会社4社を持ち、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)を主たる事業として全国で事業展開している。2021年2月末現在、全国37拠点、約3万人の従業員、国内最大規模のコンタクトセンタークラウド基盤(複数の拠点を1つの仮想コールセンターに統合。先端のクラウドテクノロジーを利用し、高信頼性とコストメリットを両立させた、クラウド型のコールセンターシステム)を擁する。伊藤忠商事<8001>、凸版印刷<7911>との資本業務提携を最大限に活用して、企業価値のさらなる向上を目指している。
2. 2021年2月期第2四半期は、コロナ禍関連のスポット業務が大きく貢献し、大幅な増収増益を達成
2021年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益73,110百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益7,200百万円(同8.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益4,918百万円(同15.7%増)の大幅な増収増益決算となった。通期の業績予想に対して、売上収益は52.6%、営業利益は59.0%、親会社の所有者に帰属する四半期利益は63.1%に達する順調な進捗であった。売上収益では、主力のCRM事業において新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)関連のスポット業務の拡大が大きく貢献した。営業利益も、CRM事業の増収に伴い増加した。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益の増加に加えて、持分法による投資損益の増加により大きく増加した。このような好決算は、コロナ禍という非常事態でも、同社が社会インフラとしての役割を十分に果たしている証左と言えるだろう。この結果、売上収益営業利益率は9.8%と概ね前期並みの高水準を維持し、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)も32.3%に上昇した。2021年3月期東証1部サービス業平均の営業利益率3.1%、自己資本比率6.5%を大きく上回り、同社の収益性や安全性は極めて高いと評価できる。好業績を反映して、中間配当は24円と、前年同期の21円から増配した。
3. 2022年2月期も、堅調なアウトソーシング需要を背景に増収増益を予想
2022年2月期通期業績は、期初予想を維持し、売上収益139,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益12,200百万円(同3.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,800百万円(同7.6%増)の増収増益を予想する。大型スポット業務終了の反動減を予想するものの、社会構造の変化などを受けた堅調なアウトソーシング需要を背景にコールセンター需要は堅調であり、継続業務の伸張により増収を見込んでいる。営業利益段階では、戦略・先行投資が増加するものの、新規取り組み強化などにより継続業務は安定拡大するうえ、前期の減損損失計上の反動もあって、増益を予想する。今後のコロナ禍の動向次第ではあるが、第2四半期累計決算の進捗状況を見ても、例年通り非常に保守的な業績予想であると見られる。期末配当24円を予定し、年間配当は48円(前期は42円)への増配を計画し、配当性向は45.3%となる見込みだ。今後は、同社が中期的な目標とする配当性向50%の達成が課題である。
4. 中期経営計画では、人材活用、DX推進、アライアンス強化により、さらなる成長を目指す
現在推進中の「中期経営計画2022」(2021年2月期−2023年2月期)の定量目標では、最終年度には売上収益1,480億円、営業利益140億円(売上収益営業利益率9.5%)、税引後利益90億円、ROE14.8%、ネットD/Eレシオ0.91倍を目標に設定し、売上収益は年平均5.3%増、税引後利益は同8.7%増を計画する。コロナ禍の厳しい経済環境の中で、これまでの業績は順調な途中経過と言えよう。計数目標を実現するための重点施策として、1)人材活用:在宅コンタクトセンター(コールセンターと同義)増設、2)DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術の活用により、人々の生活を豊かにすること)推進:音声/CRMデータ基盤の強化、3)アライアンス強化:戦略提携での新事業モデル推進、の3つを掲げる。特に人材活用では、在宅コンタクトセンター席数を計画開始時点の約1,000席から4,000席に増設する。また、DX推進では、ユーザー期待行動を“DX”する音声/CRMデータ基盤を作る。さらに、アライアンス強化では、次世代の対話データ活用モデルへのアライアンスを推進する。それらを実現するために、音声基盤とその周辺サービスや在宅コンタクトセンターなどに、合計で100億円以上の追加投資を行う方針だ。以上の施策を着実に実現することで、さらなる成長を実現する意欲的な定量目標であるが、着々と実績を積み上げている。また、成長を目指すと同時に、引き続き障がい者雇用などの社会的課題にも熱心に取り組んでおり、社外からも高く評価されている。
■Key Points
・全国に事業展開するコールセンター大手で、伊藤忠商事、凸版印刷と資本業務提携
・2022年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益73,110百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益7,200百万円(同8.7%増)の増収増益決算。コロナ禍の影響により、スポット業務の拡大が寄与。好決算は、社会インフラとしての役割を果たしている証左。売上収益営業利益率、自己資本比率が高く、収益性・安全性は極めて高い。中間配当は24円に増配
・2022年2月期通期は、期初予想通り、売上収益139,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益12,200百万円(同3.4%増)の増収増益を予想。スポット業務は縮小するが、継続業務は安定拡大を見込む。ただ、例年通り保守的な業績予想。年間48円への増配を計画するが、配当性向50%の目標達成が課題
・「中期経営計画2022」では、最終年度の2023年2月期には、売上収益1,480億円、営業利益140億円など、意欲的な目標ながら、厳しい環境下でも、順調な途中経過。人材活用、DX推進、アライアンス強化の重点施策により、目標達成に向けて成長を図る。同時に、社会的課題への対応にも前向き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SI>
1. 全国に事業展開するコールセンター大手、伊藤忠商事、凸版印刷と資本業務提携
ベルシステム24ホールディングス<6183>は国内コールセンター大手で、傘下に子会社4社を持ち、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)を主たる事業として全国で事業展開している。2021年2月末現在、全国37拠点、約3万人の従業員、国内最大規模のコンタクトセンタークラウド基盤(複数の拠点を1つの仮想コールセンターに統合。先端のクラウドテクノロジーを利用し、高信頼性とコストメリットを両立させた、クラウド型のコールセンターシステム)を擁する。伊藤忠商事<8001>、凸版印刷<7911>との資本業務提携を最大限に活用して、企業価値のさらなる向上を目指している。
2. 2021年2月期第2四半期は、コロナ禍関連のスポット業務が大きく貢献し、大幅な増収増益を達成
2021年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益73,110百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益7,200百万円(同8.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益4,918百万円(同15.7%増)の大幅な増収増益決算となった。通期の業績予想に対して、売上収益は52.6%、営業利益は59.0%、親会社の所有者に帰属する四半期利益は63.1%に達する順調な進捗であった。売上収益では、主力のCRM事業において新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)関連のスポット業務の拡大が大きく貢献した。営業利益も、CRM事業の増収に伴い増加した。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益の増加に加えて、持分法による投資損益の増加により大きく増加した。このような好決算は、コロナ禍という非常事態でも、同社が社会インフラとしての役割を十分に果たしている証左と言えるだろう。この結果、売上収益営業利益率は9.8%と概ね前期並みの高水準を維持し、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)も32.3%に上昇した。2021年3月期東証1部サービス業平均の営業利益率3.1%、自己資本比率6.5%を大きく上回り、同社の収益性や安全性は極めて高いと評価できる。好業績を反映して、中間配当は24円と、前年同期の21円から増配した。
3. 2022年2月期も、堅調なアウトソーシング需要を背景に増収増益を予想
2022年2月期通期業績は、期初予想を維持し、売上収益139,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益12,200百万円(同3.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,800百万円(同7.6%増)の増収増益を予想する。大型スポット業務終了の反動減を予想するものの、社会構造の変化などを受けた堅調なアウトソーシング需要を背景にコールセンター需要は堅調であり、継続業務の伸張により増収を見込んでいる。営業利益段階では、戦略・先行投資が増加するものの、新規取り組み強化などにより継続業務は安定拡大するうえ、前期の減損損失計上の反動もあって、増益を予想する。今後のコロナ禍の動向次第ではあるが、第2四半期累計決算の進捗状況を見ても、例年通り非常に保守的な業績予想であると見られる。期末配当24円を予定し、年間配当は48円(前期は42円)への増配を計画し、配当性向は45.3%となる見込みだ。今後は、同社が中期的な目標とする配当性向50%の達成が課題である。
4. 中期経営計画では、人材活用、DX推進、アライアンス強化により、さらなる成長を目指す
現在推進中の「中期経営計画2022」(2021年2月期−2023年2月期)の定量目標では、最終年度には売上収益1,480億円、営業利益140億円(売上収益営業利益率9.5%)、税引後利益90億円、ROE14.8%、ネットD/Eレシオ0.91倍を目標に設定し、売上収益は年平均5.3%増、税引後利益は同8.7%増を計画する。コロナ禍の厳しい経済環境の中で、これまでの業績は順調な途中経過と言えよう。計数目標を実現するための重点施策として、1)人材活用:在宅コンタクトセンター(コールセンターと同義)増設、2)DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術の活用により、人々の生活を豊かにすること)推進:音声/CRMデータ基盤の強化、3)アライアンス強化:戦略提携での新事業モデル推進、の3つを掲げる。特に人材活用では、在宅コンタクトセンター席数を計画開始時点の約1,000席から4,000席に増設する。また、DX推進では、ユーザー期待行動を“DX”する音声/CRMデータ基盤を作る。さらに、アライアンス強化では、次世代の対話データ活用モデルへのアライアンスを推進する。それらを実現するために、音声基盤とその周辺サービスや在宅コンタクトセンターなどに、合計で100億円以上の追加投資を行う方針だ。以上の施策を着実に実現することで、さらなる成長を実現する意欲的な定量目標であるが、着々と実績を積み上げている。また、成長を目指すと同時に、引き続き障がい者雇用などの社会的課題にも熱心に取り組んでおり、社外からも高く評価されている。
■Key Points
・全国に事業展開するコールセンター大手で、伊藤忠商事、凸版印刷と資本業務提携
・2022年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益73,110百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益7,200百万円(同8.7%増)の増収増益決算。コロナ禍の影響により、スポット業務の拡大が寄与。好決算は、社会インフラとしての役割を果たしている証左。売上収益営業利益率、自己資本比率が高く、収益性・安全性は極めて高い。中間配当は24円に増配
・2022年2月期通期は、期初予想通り、売上収益139,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益12,200百万円(同3.4%増)の増収増益を予想。スポット業務は縮小するが、継続業務は安定拡大を見込む。ただ、例年通り保守的な業績予想。年間48円への増配を計画するが、配当性向50%の目標達成が課題
・「中期経営計画2022」では、最終年度の2023年2月期には、売上収益1,480億円、営業利益140億円など、意欲的な目標ながら、厳しい環境下でも、順調な途中経過。人材活用、DX推進、アライアンス強化の重点施策により、目標達成に向けて成長を図る。同時に、社会的課題への対応にも前向き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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