注目トピックス 日本株
日プロ Research Memo(8):自動運転・ADAS関連、IoT関連を主力事業化
配信日時:2021/09/08 15:18
配信元:FISCO
■成長戦略
1. 第5次中期経営計画の振り返り
第5次中期経営計画(2019年5月期~2021年5月期)では、基本方針として、獲得事業の主力化と新分野の開拓(自動運転・ADAS関連、IoT関連の主力事業化、AI、ネットワーク、セキュリティ、クラウド基盤など注力分野の開拓)、持続的成長への投資、T-SES(トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス、日本プロセス<9651>の造語)の実現を推進した。T-SESは、長年にわたり培ったソフトウェアエンジニアリング技術をベースとして、ソフトウェアの要件定義、システム開発、構築サービス、検証サービスから運用・保守までをトータルにサービスすることにより、顧客に最大のメリットを提供することを表している。顧客の協力を得ながら中長期的な取り組みとして継続している。
この結果、既存分野の売上高は2018年5月期の5,474百万円から2021年5月期の5,146百万円に減少したが、新分野の売上高は2018年5月期の814百万円から2021年5月期の2,075百万円に増加し、一定の成果を上げた。
特に注力分野の2019年5月期から2021年5月期の成長率(2019年5月期を100%として指数化)は、自動運転・ADAS関連が134%、IoT・セキュリティ関連が221%、クラウド・ネットワーク関連が236%と大幅伸長した。AI・ロボティクス関連は新型コロナウイルス影響による案件減少で38%と低調だった。
2. 目指す姿
働きやすい環境や成果主義に基づく評価による社員の安心・健康・快適・成長・やりがいの向上が、社員の定着・活力向上・生産性向上・技術力向上・品質向上につながることで業績が向上し、結果として会社の持続的成長や企業価値向上につながるという好循環を生み出すため、物心両面から持続的成長の基盤づくりを継続的に推進している。
第5次中期経営計画期間には、オフィスや設備など働きやすい職場環境の整備、開発・管理用ツールの導入やリモートワーク環境の整備、制度改革による裁量労働制廃止、年次有給休暇取得推進、インターバル勤務試行、過重労働防止の徹底などを推進した。
なお同社は持続的成長に向けた投資として業績連動賞与の形で社員への還元を厚くしている。2021年の社員の平均年収(有価証券報告書公表ベースの試算)は700万円となる見込みだ。2017年の621万円から4年間で79万円増加することになり、社員への還元によって業績が向上するという好循環につながっている。このため売上高営業利益率は表面的には低く見える形になっているが、実質的な利益率は高水準である。
人材育成に向けて大規模案件の請負を推進
3. 第6次中期経営計画
第6次中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)では、経営ビジョンに引き続き「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を掲げた。
基本方針として、人材育成のための大規模案件請負の推進(大規模案件受注に向けた営業力強化、新規設計力の向上、マネージメント力の向上)、T-SESのトータル度向上を推進する。なお目標数値を公表していないが、目標とする経営指標には売上高営業利益率10%以上、株主還元の指標として配当性向概ね50%以上を掲げている。
人材育成に関しては大規模請負案件の経験が不可欠として、大規模請負案件受注に向けた営業力強化(部門間の営業連携や本社による営業支援強化など)、新規設計力の向上(大規模案件による新規設計機会の創出、新規設計力の向上など)、マネージメント力の向上(大規模案件によるプロジェクトマネージ機会の創出、マネージメント力の向上など)を推進する。また長期的な取り組みであるT-SESのトータル度向上では、各分野でのトータル度向上、顧客へのサービス価値拡大を推進する。
4. 中期的に収益拡大・高収益化期待
第4次中期経営計画(2016年5月期~2018年5月期)、及び第5次中期経営計画(2019年5月期~2021年5月期)を経て、連結ベースの売上高営業利益率は7%台から9%台まで上昇した。
第6次中期経営計画は持続的成長に向けた基盤構築のステージと位置付けている。大規模案件請負を推進して人材育成につなげる方針だ。システム開発・ITサービス企業には急激な技術革新への対応が求められるが、同社は安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御・組込システムなどの開発で培った高品質・信頼性に強みを持ち、大手優良顧客との強固な信頼関係を構築して小粒ながら独自のポジションを確立している。さらに成長分野への取り組みや人材育成を加速して、中期的にも収益拡大・高収益化が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<ST>
1. 第5次中期経営計画の振り返り
第5次中期経営計画(2019年5月期~2021年5月期)では、基本方針として、獲得事業の主力化と新分野の開拓(自動運転・ADAS関連、IoT関連の主力事業化、AI、ネットワーク、セキュリティ、クラウド基盤など注力分野の開拓)、持続的成長への投資、T-SES(トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス、日本プロセス<9651>の造語)の実現を推進した。T-SESは、長年にわたり培ったソフトウェアエンジニアリング技術をベースとして、ソフトウェアの要件定義、システム開発、構築サービス、検証サービスから運用・保守までをトータルにサービスすることにより、顧客に最大のメリットを提供することを表している。顧客の協力を得ながら中長期的な取り組みとして継続している。
この結果、既存分野の売上高は2018年5月期の5,474百万円から2021年5月期の5,146百万円に減少したが、新分野の売上高は2018年5月期の814百万円から2021年5月期の2,075百万円に増加し、一定の成果を上げた。
特に注力分野の2019年5月期から2021年5月期の成長率(2019年5月期を100%として指数化)は、自動運転・ADAS関連が134%、IoT・セキュリティ関連が221%、クラウド・ネットワーク関連が236%と大幅伸長した。AI・ロボティクス関連は新型コロナウイルス影響による案件減少で38%と低調だった。
2. 目指す姿
働きやすい環境や成果主義に基づく評価による社員の安心・健康・快適・成長・やりがいの向上が、社員の定着・活力向上・生産性向上・技術力向上・品質向上につながることで業績が向上し、結果として会社の持続的成長や企業価値向上につながるという好循環を生み出すため、物心両面から持続的成長の基盤づくりを継続的に推進している。
第5次中期経営計画期間には、オフィスや設備など働きやすい職場環境の整備、開発・管理用ツールの導入やリモートワーク環境の整備、制度改革による裁量労働制廃止、年次有給休暇取得推進、インターバル勤務試行、過重労働防止の徹底などを推進した。
なお同社は持続的成長に向けた投資として業績連動賞与の形で社員への還元を厚くしている。2021年の社員の平均年収(有価証券報告書公表ベースの試算)は700万円となる見込みだ。2017年の621万円から4年間で79万円増加することになり、社員への還元によって業績が向上するという好循環につながっている。このため売上高営業利益率は表面的には低く見える形になっているが、実質的な利益率は高水準である。
人材育成に向けて大規模案件の請負を推進
3. 第6次中期経営計画
第6次中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)では、経営ビジョンに引き続き「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を掲げた。
基本方針として、人材育成のための大規模案件請負の推進(大規模案件受注に向けた営業力強化、新規設計力の向上、マネージメント力の向上)、T-SESのトータル度向上を推進する。なお目標数値を公表していないが、目標とする経営指標には売上高営業利益率10%以上、株主還元の指標として配当性向概ね50%以上を掲げている。
人材育成に関しては大規模請負案件の経験が不可欠として、大規模請負案件受注に向けた営業力強化(部門間の営業連携や本社による営業支援強化など)、新規設計力の向上(大規模案件による新規設計機会の創出、新規設計力の向上など)、マネージメント力の向上(大規模案件によるプロジェクトマネージ機会の創出、マネージメント力の向上など)を推進する。また長期的な取り組みであるT-SESのトータル度向上では、各分野でのトータル度向上、顧客へのサービス価値拡大を推進する。
4. 中期的に収益拡大・高収益化期待
第4次中期経営計画(2016年5月期~2018年5月期)、及び第5次中期経営計画(2019年5月期~2021年5月期)を経て、連結ベースの売上高営業利益率は7%台から9%台まで上昇した。
第6次中期経営計画は持続的成長に向けた基盤構築のステージと位置付けている。大規模案件請負を推進して人材育成につなげる方針だ。システム開発・ITサービス企業には急激な技術革新への対応が求められるが、同社は安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御・組込システムなどの開発で培った高品質・信頼性に強みを持ち、大手優良顧客との強固な信頼関係を構築して小粒ながら独自のポジションを確立している。さらに成長分野への取り組みや人材育成を加速して、中期的にも収益拡大・高収益化が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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