注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:メジャーSQ、景気ウォッチャー調査、工作機械受注など
配信日時:2021/09/04 18:25
配信元:FISCO
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29800-下限28700円
来週の日経平均は上値を試す展開か。注目の米8月雇用統計で雇用者数は前月比23.5万人増と市場予想の72.5万人を大幅に下回った。労働市場の回復懸念から景気敏感株が売られたものの、NYダウの下落は限られた。ポジション調整の債券売りから米長期金利はむしろ上昇したが、依然低水準でハイテク株人気は根強く、ナスダック総合指数は過去最高値を更新した。
米雇用統計の結果は想定外だが、米株市場の反応は薄く、相場の基調に変化はないようだ。何より、日本では政局流動化に伴い政策期待が高まるなど、独自要因から株価急伸中であり、この流れに変化はなさそうだ。今週1週間だけで日経平均は1500円近くも上昇し、短期的な過熱感は否めないが、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)に向け売り方の買い戻しが進めば一段高もありそうだ。
また、日本株の上値を抑えてきた各種要因も解消されてきた。大きな要因としては、新型コロナウイルスの感染動向、政局不透明感、景気減速懸念などが挙げられる。1つ目のコロナ感染動向については、依然として水準は高いものの、全国の中でも先行性の高い東京都の新規感染者数に明確な鈍化が見られている。8月第3週の5000人台、第4週の4000人台の推移と比べ、8月末から9月上旬にかけては3000人前後での推移が多く、8月30日には一時2000人を下回った。前週比減少傾向が続いており、ピークアウト感が見られてきている。
2つ目の政局不透明感については、10月21日の衆院議員任期満了が近づくなか、「解散・総選挙に向けては買い」という株高アノマリーの存在が大きい。過去の経験則として、衆院解散日から投票日にかけては日経平均が上昇するというパターンが多く観測されている。また、今回のように与党の支持率が大きく低下している際には、求心力回復のために大胆な経済対策が打たれるのではとの期待が高まる。
景気減速懸念については、米サプライマネジメント協会(ISM)発表の製造景況指数、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)のモメンタム鈍化、日本株と連動性の高い米長期金利の低下などが挙げられてきた。ただ、日経平均が2月の30714.52円から8月の26954.81円まで半年以上かけて調整した値幅を考慮すると、指標のモメンタム鈍化などはいったん十分に織り込まれたといえそうだ。
衆院選は9月29日に予定されている自民党総裁選の投開票日以降になるだろうが、それまではアノマリーを意識した動きや政策期待などで株高基調が支えられそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。米国内での新型コロナウイルス感染増加が報告されており、直近発表の主要経済指標は強弱まちまちであることから、米国経済の早期正常化を期待したドル買いは一服している。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月27日、国際経済シンポジウムでの講演で資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の意義を強調したが、量的緩和策の縮小は早期利上げを示唆するものではないとし、利上げを急がない方針を示した。
ただ、今月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で量的緩和策の縮小に関する議論はさらに進展する可能性は残されており、リスク回避的なドル売りがさらに広がる可能性は低いとみられる。市場関係者の間では「8月の雇用統計は期待外れだったが、今月21-22日開催のFOMCに向け、各地区連銀総裁などFRB関係者から量的緩和策の早期縮小について前向きな発言が出てくるのではないか」との声が聞かれており、米国金利の先高観を意識したドル買い・円売りが優勢となりそうだ。
■来週の注目スケジュール
9月6日(月):米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー)、米・失業保険の上乗せ給付期限切れなど
9月7日(火):家計支出(7月)、景気動向指数(7月)、独・ZEW期待指数(9月)、中・貿易収支(8月)など
9月8日(水):GDP改定値(4-6月)、景気ウォッチャー調査(8月)、貿易収支(7月)、米・JOLT求人件数(7月)、米・ニューヨーク連銀総裁が講演、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表など
9月9日(木):工作機械受注(8月)、東京オフィス空室率(8月)、中・消費者物価指数(8月)、中・生産者物価指数(8月)、欧州定例理事会など
9月10日(金):米・生産者物価コア指数(8月)、米・卸売在庫(7月)など
9月11日(土):米・同時多発テロから20年
9月12日(日):東京など21都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限
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予想レンジ:上限29800-下限28700円
来週の日経平均は上値を試す展開か。注目の米8月雇用統計で雇用者数は前月比23.5万人増と市場予想の72.5万人を大幅に下回った。労働市場の回復懸念から景気敏感株が売られたものの、NYダウの下落は限られた。ポジション調整の債券売りから米長期金利はむしろ上昇したが、依然低水準でハイテク株人気は根強く、ナスダック総合指数は過去最高値を更新した。
米雇用統計の結果は想定外だが、米株市場の反応は薄く、相場の基調に変化はないようだ。何より、日本では政局流動化に伴い政策期待が高まるなど、独自要因から株価急伸中であり、この流れに変化はなさそうだ。今週1週間だけで日経平均は1500円近くも上昇し、短期的な過熱感は否めないが、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)に向け売り方の買い戻しが進めば一段高もありそうだ。
また、日本株の上値を抑えてきた各種要因も解消されてきた。大きな要因としては、新型コロナウイルスの感染動向、政局不透明感、景気減速懸念などが挙げられる。1つ目のコロナ感染動向については、依然として水準は高いものの、全国の中でも先行性の高い東京都の新規感染者数に明確な鈍化が見られている。8月第3週の5000人台、第4週の4000人台の推移と比べ、8月末から9月上旬にかけては3000人前後での推移が多く、8月30日には一時2000人を下回った。前週比減少傾向が続いており、ピークアウト感が見られてきている。
2つ目の政局不透明感については、10月21日の衆院議員任期満了が近づくなか、「解散・総選挙に向けては買い」という株高アノマリーの存在が大きい。過去の経験則として、衆院解散日から投票日にかけては日経平均が上昇するというパターンが多く観測されている。また、今回のように与党の支持率が大きく低下している際には、求心力回復のために大胆な経済対策が打たれるのではとの期待が高まる。
景気減速懸念については、米サプライマネジメント協会(ISM)発表の製造景況指数、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)のモメンタム鈍化、日本株と連動性の高い米長期金利の低下などが挙げられてきた。ただ、日経平均が2月の30714.52円から8月の26954.81円まで半年以上かけて調整した値幅を考慮すると、指標のモメンタム鈍化などはいったん十分に織り込まれたといえそうだ。
衆院選は9月29日に予定されている自民党総裁選の投開票日以降になるだろうが、それまではアノマリーを意識した動きや政策期待などで株高基調が支えられそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。米国内での新型コロナウイルス感染増加が報告されており、直近発表の主要経済指標は強弱まちまちであることから、米国経済の早期正常化を期待したドル買いは一服している。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月27日、国際経済シンポジウムでの講演で資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の意義を強調したが、量的緩和策の縮小は早期利上げを示唆するものではないとし、利上げを急がない方針を示した。
ただ、今月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で量的緩和策の縮小に関する議論はさらに進展する可能性は残されており、リスク回避的なドル売りがさらに広がる可能性は低いとみられる。市場関係者の間では「8月の雇用統計は期待外れだったが、今月21-22日開催のFOMCに向け、各地区連銀総裁などFRB関係者から量的緩和策の早期縮小について前向きな発言が出てくるのではないか」との声が聞かれており、米国金利の先高観を意識したドル買い・円売りが優勢となりそうだ。
■来週の注目スケジュール
9月6日(月):米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー)、米・失業保険の上乗せ給付期限切れなど
9月7日(火):家計支出(7月)、景気動向指数(7月)、独・ZEW期待指数(9月)、中・貿易収支(8月)など
9月8日(水):GDP改定値(4-6月)、景気ウォッチャー調査(8月)、貿易収支(7月)、米・JOLT求人件数(7月)、米・ニューヨーク連銀総裁が講演、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表など
9月9日(木):工作機械受注(8月)、東京オフィス空室率(8月)、中・消費者物価指数(8月)、中・生産者物価指数(8月)、欧州定例理事会など
9月10日(金):米・生産者物価コア指数(8月)、米・卸売在庫(7月)など
9月11日(土):米・同時多発テロから20年
9月12日(日):東京など21都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限
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