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シナネンHD Research Memo(1):第二次中期経営計画は順調にスタート
配信日時:2021/09/02 15:01
配信元:FISCO
■要約
1. 新たな時代にアプローチする大手燃料卸
シナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者である。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売している。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では大口需要家向けに石油製品や各種燃料を提供、そのほかガソリンスタンドの運営や再生エネルギー事業なども行っている。非エネルギー及び海外事業ではシェアサイクル事業や抗菌事業など多角化を推進している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、競争が激しく、再生可能エネルギーなど新たな時代へのアプローチが求められている。同社はそうした時代の変化にも応える、グローバル総合エネルギーサービス企業グループへの進化を目指している。
2. 創業100周年に向けて第二次中期経営計画を実行
同社の強みは、LPガス充填基地やオイルスクエア(灯油センター)※、販売店のネットワークにある。こうした拠点は全国にあるため、同社から販売店へのリーチは短くサービスは厚くなり、その分、販売店からの信頼も厚くなる。一方、競争の激しい石油製品への依存度抑制や新たな時代への対応といった課題もある。このため同社は、2027年の創業100周年をターゲットに、第一次~第三次の中期経営計画によって課題を解消し、持続的成長と企業価値向上を目指すこととした。現行の第二次中期経営計画では、創業100周年や第三次中期経営計画に向けたマイルストーンとして、資本効率の改善、持続的成長を実現する投資の実行、社員の考え方・慣習・行動様式の変革を定性目標に、事業基盤を整備しているところである。
※オイルスクエア(灯油センター):同社は石油販売施設「灯油センター」における軽油出荷能力を増強し、災害時対応能力を高めた石油出荷基地施設「オイルスクエア」へのバージョンアップを進めている。2021年3月末時点で、全国にLPガス充填基地25ヶ所、オイルスクエア(灯油センター)85ヶ所を有する。
3. 新規事業ではシェアサイクルと新型マイクロ風車に注目
2021年3月期は、第二次中期経営計画の初年度だったが、定性目標の達成に向けて着実に施策を進めた。資本効率の改善においては、固定資産の譲渡など低効率資産の活用・売却、既存事業の選択と集中を進めた。ブラジルのバイオマス事業の撤退も決定した。持続的成長を実現する投資の実行では、新規事業への戦略投資や基幹システムの整備を進めた。中でもシェアサイクルと新型マイクロ風車の事業化が急ピッチである。シェアサイクルは、首都圏を中心に公共施設や駅周辺、商業施設など巻き込んだステーション開発を推進している。新型マイクロ風車は、発電効率・静音性・安全性に優れることから内外の注目を集めている。同事業は実証実験が始まったばかりだが、シェアサイクルと併せて非常に好評で引き合いが増えている状況である。
4. 第二次中期経営計画は定性目標に向けて順調に進行
2021年3月期の業績は、売上高217,122百万円(前期比8.4%減)、営業利益2,935百万円(同19.6%増)となった。原油価格・プロパンCPの下落に伴う販売単価の低下で減収となったが、安い原油を戦略的に確保できたことで2ケタ営業増益となった。同社は2022年3月期業績見通しについて、売上高244,000百万円(前期比12.4%増)、営業利益2,100百万円(同28.5%減)を見込んでいる。市況の上昇で2ケタ増収を見込むが、新規事業への先行投資やデジタルトランスフォーメーション(DX)投資などを予定しており、営業利益は減益の予想となった。このように業績に凸凹感はあるが、定性目標に向けて第二次中期経営計画が順調に進んでいることから、持続的に6%以上というROEの定量目標や持続的成長を実現する事業構造の確立に向かって着実に進展していると思われる。
■Key Points
・再生可能エネルギーなど新たな時代にも対応する燃料卸大手
・シェアサイクルや新型マイクロ風車など注目の新規事業が多い
・前期増益、今期減益予想だが、第二次中期経営計画は順調に進展
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<AS>
1. 新たな時代にアプローチする大手燃料卸
シナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者である。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売している。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では大口需要家向けに石油製品や各種燃料を提供、そのほかガソリンスタンドの運営や再生エネルギー事業なども行っている。非エネルギー及び海外事業ではシェアサイクル事業や抗菌事業など多角化を推進している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、競争が激しく、再生可能エネルギーなど新たな時代へのアプローチが求められている。同社はそうした時代の変化にも応える、グローバル総合エネルギーサービス企業グループへの進化を目指している。
2. 創業100周年に向けて第二次中期経営計画を実行
同社の強みは、LPガス充填基地やオイルスクエア(灯油センター)※、販売店のネットワークにある。こうした拠点は全国にあるため、同社から販売店へのリーチは短くサービスは厚くなり、その分、販売店からの信頼も厚くなる。一方、競争の激しい石油製品への依存度抑制や新たな時代への対応といった課題もある。このため同社は、2027年の創業100周年をターゲットに、第一次~第三次の中期経営計画によって課題を解消し、持続的成長と企業価値向上を目指すこととした。現行の第二次中期経営計画では、創業100周年や第三次中期経営計画に向けたマイルストーンとして、資本効率の改善、持続的成長を実現する投資の実行、社員の考え方・慣習・行動様式の変革を定性目標に、事業基盤を整備しているところである。
※オイルスクエア(灯油センター):同社は石油販売施設「灯油センター」における軽油出荷能力を増強し、災害時対応能力を高めた石油出荷基地施設「オイルスクエア」へのバージョンアップを進めている。2021年3月末時点で、全国にLPガス充填基地25ヶ所、オイルスクエア(灯油センター)85ヶ所を有する。
3. 新規事業ではシェアサイクルと新型マイクロ風車に注目
2021年3月期は、第二次中期経営計画の初年度だったが、定性目標の達成に向けて着実に施策を進めた。資本効率の改善においては、固定資産の譲渡など低効率資産の活用・売却、既存事業の選択と集中を進めた。ブラジルのバイオマス事業の撤退も決定した。持続的成長を実現する投資の実行では、新規事業への戦略投資や基幹システムの整備を進めた。中でもシェアサイクルと新型マイクロ風車の事業化が急ピッチである。シェアサイクルは、首都圏を中心に公共施設や駅周辺、商業施設など巻き込んだステーション開発を推進している。新型マイクロ風車は、発電効率・静音性・安全性に優れることから内外の注目を集めている。同事業は実証実験が始まったばかりだが、シェアサイクルと併せて非常に好評で引き合いが増えている状況である。
4. 第二次中期経営計画は定性目標に向けて順調に進行
2021年3月期の業績は、売上高217,122百万円(前期比8.4%減)、営業利益2,935百万円(同19.6%増)となった。原油価格・プロパンCPの下落に伴う販売単価の低下で減収となったが、安い原油を戦略的に確保できたことで2ケタ営業増益となった。同社は2022年3月期業績見通しについて、売上高244,000百万円(前期比12.4%増)、営業利益2,100百万円(同28.5%減)を見込んでいる。市況の上昇で2ケタ増収を見込むが、新規事業への先行投資やデジタルトランスフォーメーション(DX)投資などを予定しており、営業利益は減益の予想となった。このように業績に凸凹感はあるが、定性目標に向けて第二次中期経営計画が順調に進んでいることから、持続的に6%以上というROEの定量目標や持続的成長を実現する事業構造の確立に向かって着実に進展していると思われる。
■Key Points
・再生可能エネルギーなど新たな時代にも対応する燃料卸大手
・シェアサイクルや新型マイクロ風車など注目の新規事業が多い
・前期増益、今期減益予想だが、第二次中期経営計画は順調に進展
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<AS>
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