新着ニュース一覧
注目トピックス 日本株
いちご---トレードピアお台場、建築環境総合性能評価システム「CASBEE」でSランク取得
いちご<2337>は15日、保有するオフィスビル「トレードピアお台場」が、建築物の環境性能を評価し格付けする「CASBEE」における最高評価である「Sランク」を取得したことを発表。CASBEE不動産は、環境に配慮された建物が不動産価値に与える影響の度合いを測り、5段階にランキング(S、A、B+、B-、C)される。トレードピアお台場は、耐震性、20%以上の緑化率、公共交通機関の利便性、運用会社が管理会社と連携し省エネに向け改善を実施している点などが評価された。同社は、資源・エネルギーを守り、引き続き環境循環型社会の実現を目指すとしている。
<ST>
2021/09/17 11:10
みんかぶニュース 為替・FX
債券:先物、前場終値は前営業日比7銭安の151円71銭
債券市場で、先物12月限の前場は前営業日比7銭安の151円71銭で引けた。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 11:10
注目トピックス 市況・概況
東京為替:日経平均強含みでドル・円は109円90銭まで買われる
17日午前の東京市場でドル・円は、109円80銭台で推移。日本、中国本土の株式は強含みとなっていることから、ドル買い・円売りがやや優勢。ただし、日本(東京市場)は三連休前でリスク選好的な為替取引は増えていないようだ。ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円67銭から109円90銭、ユーロ・ドルは、1.1759ドルから1.1770ドル、ユーロ・円は、129円02銭から129円26銭で推移。
<MK>
2021/09/17 11:09
みんかぶニュース 個別・材料
ポバール興業が大幅続伸、22年3月期業績及び配当予想を上方修正
ポバール興業<4247.NG>が大幅続伸している。16日の取引終了後、22年3月期の連結業績予想について、売上高を33億400万円から33億9900万円(前期比4.5%増)へ、営業利益を3億1800万円から3億8200万円(同18.6%増)へ、純利益を2億2200万円から2億5800万円(同22.3%増)へ上方修正し、あわせて中間・期末各15円を予定していた配当予想を中間・期末各16円に引き上げると発表したことが好感されている。
総合接着・樹脂加工事業でディスプレーガラス向け研磨部材の販売が堅調に推移したほか、自動車・鉄鋼業界を中心にベルト関連製品の受注が想定を上回る見込みであることが要因。また、オンラインの活用により販管費が計画より減少していることも寄与する。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 11:07
みんかぶニュース 市況・概況
◎午前11時現在の値上がり値下がり銘柄数
午前11時現在の東証1部の値上がり銘柄数は1093、値下がり銘柄数は962、変わらずは132銘柄だった。業種別では33業種中21業種前後が高い。値上がり上位に海運、倉庫・運輸、空運など。値下がり上位に鉄鋼、非鉄、鉱業など。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 11:05
注目トピックス 市況・概況
東京為替:1ドル109円90銭近辺、中国人民銀レポで1000億元供給
午前の東京外為市場でドル・円は1ドル=109円90銭近辺で推移。中国人民銀(中銀)は、リバースレポで金融機関に1000億元の資金供給を行ったとロイターが報じている。内訳は、14日が500億元、7日が500億元となる。一方、東京株式市場は日経平均が153.45円高と寄り付きから上げ幅を拡大している。マイナス圏でスタートしたソフトバンクG<9984>がプラスに転じていることや、東京エレクトロン<8035>が780円高となり、指数に寄与度の高い銘柄の上昇が相場をけん引しているようだ。
<FA>
2021/09/17 11:04
みんかぶニュース 市況・概況
11時の日経平均は150円高の3万474円、エムスリーが32.93円押し上げ
17日11時現在の日経平均株価は前日比150.70円(0.50%)高の3万474.04円で推移。東証1部の値上がり銘柄数は1090、値下がりは963、変わらずは133。
日経平均プラス寄与度トップはエムスリー <2413>で、日経平均を32.93円押し上げている。次いで東エレク <8035>が26.29円、アドテスト <6857>が19.45円、信越化 <4063>が12.96円、テルモ <4543>が12.96円と続く。
マイナス寄与度は9.36円の押し下げでダイキン <6367>がトップ。以下、ファストリ <9983>が9円、TOTO <5332>が3.06円、資生堂 <4911>が2.77円、セブン&アイ <3382>が2.02円と続いている。
業種別では33業種中22業種が値上がり。1位は海運で、以下、倉庫・運輸、サービス、空運と続く。値下がり上位には鉄鋼、非鉄金属、鉱業が並んでいる。
※11時0分11秒時点
株探ニュース
2021/09/17 11:01
注目トピックス 日本株
ジョイフル本田---大幅反発、自己株式の取得枠設定を発表
ジョイフル本田<3191>は大幅反発。前日に発表した自己株式の取得実施が買い材料視されている。発行済み株式数の5.74%に当たる400万株、50億円を取得上限としており、取得期間は9月17日から22年6月20日まで。資本効率を高め、1株当たり利益の増大を図ることを目的としている。なお、8月3日に自己株式の取得等に関する方針の決定を発表しているが、取得した自己株式については、発行済み株式数の5%を超える部分は原則毎期消却するとしている。
<ST>
2021/09/17 11:00
みんかぶニュース 個別・材料
NexusBが4日ぶり反発、第3四半期に不良債権売却による売却益を計上へ
Nexus Bank<4764.T>は4日ぶりに反発している。16日の取引終了後、孫会社のJT親愛貯蓄銀行が1231件の不良債権売却をしたことに伴い、21年12月期第3四半期の連結業績に売却益約1億2500万円を営業利益として計上する見込みと発表しており、これが好感されている。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:56
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、買い戻しが優勢
17日の上海総合指数は売り先行。前日比0.33%安の3595.27ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時50分現在、0.25%高の3616.06ptで推移している。連日の下落で値ごろ感が強まり、買い戻しが優勢。また、政策期待の高まりも支援材料となっている。一方、中秋節連休で週明けの20日(月)と21日(火)の株式市場が休場となり、積極的な買いは手控えられている。
<AN>
2021/09/17 10:54
みんかぶニュース 市況・概況
<みんかぶ・個人投資家の予想から>=「売り予想数上昇」5位にGAテクノ
「みんかぶ」が集計する「個人投資家の予想(最新48時間)」の17日午前10時現在で、GA technologies<3491.T>が「売り予想数上昇」で5位となっている。
17日の東京市場で、GAテクノは4日続落し、連日で年初来安値を更新。14日に21年10月期通期の連結業績予想を下方修正したことが尾を引いているようだ。
売上高は前期比34.8%増の850億円と従来計画を据え置いた一方、営業損益見通しは4億9000万円の赤字(従来予想は24億5500万円の黒字)に引き下げた。短期間でRENOSYマーケットプレイス事業の市場シェア向上に向けて取引量を増やしたことで、調達価格が高騰した商品が増加し、計画より売上総利益の低い取引が多く発生したことが利益面に影響したとしている。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:52
注目トピックス 日本株
出来高変化率ランキング(10時台)~ピーシーエー、インパクトHDなどがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [9月17日 10:30 現在](直近5日平均出来高比較)銘柄コード 銘柄名 出来高 5日平均出来高 出来高変化率 株価変化率<3491> GA TECH 1801200 346300 420.13% -6.5%<6958> 日本CMK 464500 126080 268.42% 6.79%<3267> フィルカンパニー 219100 61820 254.42% 6.36%<6706> 電気興 96700 35920 169.21% 9.43%<5609> 日鋳造 1188400 446880 165.93% 5.59%<3936> グロバルウェ 2534200 975560 159.77% 22.22%<9307> 杉村倉 538400 208300 158.47% 7.59%<5401> 日本製鉄 20261300 8107860 149.9% -6.53%<2514> NF外株ヘッジ有 99210 40764 143.38% -0.2%<7049> 識学 150600 64020 135.24% -3.2%<9629>* ピーシーエー 25600 11780 117.32% 4.95%<2207> 名糖産 109500 50800 115.55% -0.27%<2678> アスクル 1100200 531860 106.86% 3.04%<1542> 純銀信託 18436 9103.6 102.51% -2.3%<7036> イーエムNJ 14300 7260 96.97% -9.06%<1326> SPDRゴール 7958 4165.6 91.04% -1.15%<6493> 日鍛バル 474700 253980 86.9% 6.53%<6067>* インパクトHD 148400 81380 82.35% 10.64%<9941> 太洋物 43500 23980 81.4% 16.11%<2874> ヨコレイ 287600 166360 72.88% -0.32%<3191> ジョイ本田 380600 221740 71.64% 3.8%<3751> 日本アG 97600 61220 59.43% -0.1%<8182> いなげや 98500 63720 54.58% -1.77%<2737> トーメンデバ 51400 33640 52.79% 0.74%<1475>* iSTOPIX 241873 158862 52.25% 0.33%<2288> 丸大食 127800 89020 43.56% -0.33%<2513> NF外株ヘッジ無 97920 68982 41.95% 0.07%<3328> BEENOS 198900 149520 33.03% 1.65%<4595>* ミズホメディ 178500 135280 31.95% 8.93%<9873> 日本KFC 100000 77320 29.33% -0.07%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
<FA>
2021/09/17 10:50
みんかぶニュース 市況・概況
17日中国・上海総合指数=寄り付き3595.2715(-11.8207)
17日の中国・上海総合指数は前営業日比11.8207ポイント安の3595.2715で寄り付いた。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:47
みんかぶニュース 市況・概況
17日香港・ハンセン指数=寄り付き24589.17(-78.68)
17日の香港・ハンセン指数は前営業日比78.68ポイント安の24589.17で寄り付いた。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:46
注目トピックス 日本株
クロスキャット---ストップ高、上半期業績は想定以上の大幅上方修正に
クロスキャット<2307>はストップ高。前日に上半期業績予想の上方修正を発表している。営業利益は従来予想の1.8億円から4億円、前年同期比3.1倍の水準に引き上げている。官公庁、通信及び製造向けの案件が好調に推移しているほか、売上原価及び販管費の抑制なども寄与したようだ。第1四半期の水準1.2億円から上振れ自体は想定線とみられるが、修正幅の大きさは想定上に。据え置きの通期計画も今後の大幅上方修正が期待される状況に。
<ST>
2021/09/17 10:45
みんかぶニュース 個別・材料
コンドーは小動き、栗山アルミを子会社化と発表も反応限定的
コンドーテック<7438.T>は小動きとなっている。16日の取引終了後、アルミ押出型材などの製造開発を行う栗山アルミ(名古屋市中村区)の議決権比率75.7%に当たる株式を10月1日付で取得し子会社化すると発表したが、市場の反応は限定的のようだ。
同社グループの取扱商材の素材は現在、大部分を鉄が占めていることから、今回の子会社化により今後需要の増加が見込まれるアルミ商材をグループの取扱商材に加え、グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るのが狙い。取得価額は非開示。なお、22年3月期業績への影響は軽微としている。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:42
注目トピックス 経済総合
銀リンク債を対象とするコール型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(17日10:19時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本郵船<9101>コール135回 11月 7,900円を順張り、アドバンテスト<6857>コール205回 11月 9,100円を順張り、商船三井<9104>コール114回 11月 7,200円を順張りで買う動きや、原資産の株価下落が目立つ日本製鉄<5401>コール254回 11月 2,600円を逆張り、日本製鉄プット227回 11月 2,000円を順張り、JFEホールディングス<5411>コール153回 11月 2,050円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはイーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー2回 11月 2,300米ドル、WTI原油先物リンク債_2021年12月限コール11回 月 55米ドル、明治ホールディングス<2269>コール56回 月 6,900円、鹿島建設<1812>コール62回 月 1,400円などが見られる。上昇率上位は銀リンク債コール63回 10月 28米ドル(前日比2倍)、銀リンク債 プラス5倍トラッカー27回 10月 24米ドル(+60.9%)、銀リンク債コール62回 10月 25米ドル(+28.6%)、銀リンク債 プラス5倍トラッカー29回 11月 23米ドル(+27.7%)、金リンク債コール353回 11月 2,050米ドル(+25.0%)などとなっている。(eワラント証券)
<FA>
2021/09/17 10:39
みんかぶニュース 投資家動向
<個人投資家の予想> 09月17日 10時
■ 買い予想数上昇(最新48時間)
(銘柄コード) 銘柄 市場 [ 割安/割高 ]
(2307) クロスキャット 東証1部 [ 割高 ]
(7688) ミアヘルサ 東証JASDAQ(スタンダード) [ 割安 ]
(6093) エスクロAJ 東証1部 [ 割安 ]
(3640) 電算 東証1部 [ 割高 ]
(3267) フィル・カンパニー 東証1部 [ 分析中 ]
■ 売り予想数上昇(最新48時間)
(銘柄コード) 銘柄 市場 [ 割安/割高 ]
(5401) 日本製鉄 東証1部 [ 妥当圏内 ]
(9514) エフオン 東証1部 [ 割高 ]
(3996) サインポスト 東証1部 [ 割高 ]
(5411) JFE 東証1部 [ 割高 ]
(3491) GAテクノ 東証マザーズ [ 割安 ]
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:32
注目トピックス 経済総合
『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(1)【実業之日本フォーラム】
ゲスト船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)聞き手白井一成(株式会社実業之日本社社主、社会福祉法人善光会創設者、事業家・投資家)■日露戦争が変えたアメリカの対日観白井:日米中は、世界第一位から三位までの経済大国であり、三か国の関係が世界政治に多大な影響を及ぼすといっても過言ではないでしょう。一方で、その関係はさまざまです。日本にとって、アメリカは同盟国であり、中国は最大の貿易相手国です。日本にとって、両国とも戦争の相手であり、侵略した相手でもあります。米中関係が複雑化する中で、日本はどういう立ち位置で、どういう考えをもって動くべきか。今まさに日本にとって外交、安全保障、経済の最も難しい局面が来ている気がしますが、日本の動き方を考えるためには、日本の対米観、対中観を、まず認識しておく必要があろうかと思います。先生のお考えはいかがでしょうか。船橋:これも少し歴史的に振り返る必要があります。インド太平洋、少し前のアジア太平洋において、日本が地政学的に非常に難しい軛を感じたのは、日露戦争のあとでしょう。セオドア・ルーズベルトが仲裁役となり、1905年9月にポーツマス条約が成立し、曲がりなりにも日本は戦勝国となりました。しかしその瞬間から、アメリカの対日観は冷えていくわけです。中国への進出をはかろうとしていたアメリカは、ロシアがアジア太平洋の一強国家になっては困るという判断から、それまで日本を応援していました。しかし、日露戦争で日本が勝利すると、今度は日本が太平洋の一強になっては困ると考えるようになりました。日本は中国におけるアメリカの権益を脅かすから、むしろ中国をもり立てて日本に対抗させろというように変わってくるわけです。日本は、1907年の帝国国防方針で、ロシアとアメリカを主要な仮想敵国としました。アメリカも、1906年に非公式調査に着手し、1908年にハワイに海軍基地を置くことを決めました。その後、1924年に正式採用された「オレンジ計画」で、日本を仮想敵国に措定しました。日露戦争後、期せずして日米が、それぞれを仮想敵国とみなし始めたわけです。その文脈で、日本を押さえ込むには中国と握っていこうというベクトルが、日露戦争後、生まれ始めたのですね。白井:アメリカの日本に対する脅威認識は日露戦争直後からだったのですね。アメリカの中には、日米で一緒に満州の開発に取り組もうとするハリマン財閥のような動きもあったと思います。ロシアを抑え込み、中国でともに繁栄するパートナーとして位置づけることもできたと思うのですが、日本をより大きな脅威だと認識した理由は何でしょうか。船橋:日本がシーパワーだったからです。アメリカは、1898年の米西戦争から、キューバ、グアム、フィリピンといったスペインの領地だったところをすべて獲得し、ハワイも併合し、西太平洋、南太平洋まで一気に版図を拡大しました。こうして太平洋を西に突き進むアメリカの前に、朝鮮半島から中国に権益を拡大しつつあった日本が立ちはだかってきたとアメリカは見たのです。1853年にペリー率いるアメリカ合衆国東インド艦隊が来航し、開国させた日本が、半世紀ほどの間に勢力を拡大し、西太平洋から南シナ海へと勢力圏を広げようとしている。ルーズベルト大統領は、フィリピンの領有は「米国のアキレス腱」だと感じ始めていました。フィリピンは、日本とは直線距離で3,000キロメートルほどしか離れていません。フィリピンが日本に併合される危険性が生じたことで、アメリカは日本に対する安全保障上の脅威を感じるようになりました。1930年代に満州事変、そして日中戦争が起こると、日米の対立関係はさらに深まり、米国は日本と正面から衝突するようになります。これは1949年の中国革命まで続きます。日本敗戦の1945年までは、アメリカと中国は連合国として同盟国でした。ですから、米中は20年近い間、同盟あるいは準同盟という関係であったわけです。■アメリカの地政学的DNA白井:そういったことを鑑みると、一般に考えられている以上に、米中というのは非常に深い同盟関係を持っていたことになりますね。日本という敵国に対して一緒に戦った、そういう経験もあるということですね。これは、現在の日米中の関係を前提としたとき、日本にはなかなか見えにくいところではないでしょうか。船橋:戦後の米中関係についても、米中のこのいわば “1930年代システム”の記憶と音律の伏流水のようなものを感じたことがあります。例えば、1972年のニクソンによる頭越し訪中ですね。その年2月にニクソンが、北京で毛沢東や周恩来と会談します。そのときに中国を説得するために使われたロジックが2つあるのですが、そのうち1つは、「日本は危ない国である」という論理です。ニクソンは周恩来にこう言っています。「日本は、国民として、膨張主義の衝動と歴史を持っています。もし彼らが経済的には巨人だが軍事的には小人のまま放り出されたら、軍国主義者の要求にやすやすと従うような結果になるのはさけられないと私は思います。他方で、アメリカにいる我々が彼らと密接な関係を保ち、彼らの防衛を引き受けてやっていたらーーかれらは核防衛ができませんからーー経済的膨張の次に軍事的膨張がくるという道を、日本にたどらせないことができるのではないでしょうか。しかし、それは彼らと密接な関係があってのことです。もし密接な関係がなくなれば、彼らは我々に関心をはらわなくなるでしょう」。(毛利和子・毛利興三郎『ニクソン訪中機密会談録』、名古屋大学出版会、2001、p103)要するに、「中国が誰よりも知っているように、日本は危ない国である。経済が回復して経済大国になったが、いずれ軍事大国になる。そうなると中国は困るのではないか。しかし、アメリカがしっかり日本に勝手な真似はさせないから安心してほしい。日米同盟はそのためのものでもあるのだから、念のため」ということを言おうとしているのですね。典型的な「瓶の蓋」論です。ニクソンのもう1つのロジックは、「ソ連は危ない国である」という論理です。ニクソンは周恩来に次のように言っています。「アメリカは日本の水域を出ていくことはできますが、そうすれば他のものがそこで魚を取り始めるでしょう。またアメリカと中国はともに日本軍国主義の過酷な経験をしました。過去において日本の政府を性格づけてきた軍国主義からは今は状況が永遠に変わったのだと我々も望みます。しかし、一方でアメリカが日本を裸のままにしてでていったとき、中国にとって不都合なことが起こりかねないと感じますし、そうならないと言う保証はしかねます。日本人は、あの巨大な生産的な経済、大きな自然の衝動、敗北した戦争の記憶などから、アメリカの保障がはずれたなら、自分自身の防衛体制を築く方向に向かうことが大いにありえます。(原文、以下5行略)他方で、日本は中国に向かうかソ連に向かうかの選択肢を持ちます」。アメリカの軍隊が日本から去れば、日本は独自の防衛力増強に向かうか、中国に向かうか、あるいは日本がソ連に寄って行くか」という3つの可能性に触れ、中国に日米同盟がまだしもましだと思わせようとするのです。ニクソンの話を聞いた中国の指導者からすると、アメリカは日本をそんなに信用していないのか、と驚いたのではないでしょうか。「瓶の蓋」論は、多分に戦術的な便法だったにしても、アメリカが中国に対してそういったロジックを使ったこと、そして、アメリカがアジア太平洋にまみえるとき、この地域に覇権国をつくらせないため合従連衡を厭わないこと——そうした地政学的リアリズムとアメリカの地政学的DNAを我々は心のどこかにとどめておかなければなりません。船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(2)【実業之日本フォーラム】へ続く
<RS>
2021/09/17 10:30
注目トピックス 日本株
イーレックス---大幅反発、22年3月に水素発電所を稼働と発表
イーレックス<9517>は大幅反発。22年3月に山梨県で水素発電所を稼働すると発表している。水素専焼発電所の商業運転は国内で初めてとなるもよう。一般家庭100世帯分の電力に相当する出力360kwの発電所を建設する予定。水素発電所の商業運転計画は以前から伝わっていたが、前日には再生エネ関連銘柄が一斉に大幅安となる展開となっていたため、あらためて計画の進捗による期待感の高まりを反映する動きが強まっているようだ。
<ST>
2021/09/17 10:30
みんかぶニュース 個別・材料
アディッシュが7日ぶり反発、ネット炎上対策を自社内で可能にする「Pazu」を提供開始
アディッシュ<7093.T>が7日ぶりに反発している。16日の取引終了後、ネット炎上対策を自社内で可能にするSNS炎上対策SaaS「Pazu(パズー)」の提供を開始したと発表しており、これが好感されている。
「Pazu」は、ツイッター上の投稿を自動検知する「炎上対策」機能と、炎上メカニズムやSNSリテラシーを学ぶことができるeラーニング「社員リテラシー教育」を同時に提供し、企業の炎上リスク対策と共に社員一人ひとりのリテラシーを高めるサービス。なお、同件による業績に与える影響は軽微としている。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:30
みんかぶニュース 個別・材料
ウイングアクが大幅反発、東証が17日付で貸借銘柄に選定
ウイングアーク1st<4432.T>は大幅反発している。東京証券取引所が16日の取引終了後、同社株を17日付で貸借銘柄に選定すると発表しており、これを受けて、株式流動性の向上による売買活性化への期待から買いが入っているようだ。また、日本証券金融も同日約定分から同社株を貸借銘柄に追加している。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:27
日経QUICKニュース
外為10時 円、安値圏 109円台後半 中値は「ドル不足」の声
17日午前の東京外国為替市場で円相場は安値圏で推移している。10時時点は前日17時時点に比べ44銭の円安・ドル高の1ドル=109円79銭近辺だった。10時前の中値決済に向けては「ドル不足だった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。国内輸入企業による円売り・ドル買いが出て円相場の重荷となったようだ。16日発表の米経済指標の改善を受けたドル買いが対主要通貨で進み、引き続き円売り・ドル買いが優勢となっている。 円は対ユーロでも下落し、10時時点では同28銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=129円11~12銭で推移している。 ユーロは対ドルで下落し、10時時点では同0.0022ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.1759~60ドルだった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
2021/09/17 10:26
みんかぶニュース 個別・材料
神島化は上値追い加速で上場来高値更新、好業績に加えレーザー核融合分野で思惑も
神島化学工業<4026.T>が上値追い加速、一時240円高の3305円まで買われ上場来高値更新となった。同社は不燃性建材やマグネシウムなどの化成品を手掛けるが、高付加価値の建材が非住宅分野で好調で収益に貢献しているほか、世界的に旺盛な自動車販売需要を受けて自動車向けマグネシウムなども業績に寄与している。22年4月期営業利益は前期比23%増の18億5000万円を計画するが上振れの可能性もある。究極のクリーンエネルギーとして関心が高まっているレーザー核融合分野では、同社独自開発の高出力レーザー発振用大型セラミックスなどの展開に注目が集まっている。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:24
みんかぶニュース 為替・FX
外為サマリー:1ドル109円80銭前後で推移、ゴトー日に伴うドル買いを意識
17日の東京外国為替市場のドル円相場は、午前10時時点で1ドル=109円80銭前後と前日の午後5時時点に比べ40銭強のドル高・円安となっている。
16日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、1ドル=109円73銭前後と前日に比べ30銭強のドル高・円安で取引を終えた。米8月小売売上高や9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が市場予想を上回ったことから米景気の鈍化懸念が後退。米長期金利が上昇するなか、一時109円83銭までドル高・円安が進んだ。
この流れを引き継いだ東京市場は堅調な展開で、日経平均株価が反発していることも支援材料。きょうは3連休前の実質ゴトー日(5のつく日と10のつく日)であることから国内輸入企業のドル買い・円売りが意識されやすい面もあり、ドル円相場は109円80銭前後での推移となっている。
ユーロは対ドルで1ユーロ=1.1759ドル前後と前日の午後5時時点に比べて0.0020ドル強のユーロ安・ドル高。対円では1ユーロ=129円12銭前後と同30銭弱のユーロ高・円安で推移している。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:23
みんかぶニュース 市況・概況
JFEや神戸鋼が安い、日本製鉄のユーロ円CB発行で連想売り◇
ジェイ エフ イー ホールディングス<5411.T>や神戸製鋼所<5406.T>が安い。JFEは一時、前日に比べ5%安に売られる場面があった。日本製鉄<5401.T>が16日取引終了後に合計3000億円のユーロ円建転換社債(CB)型新株予約権付社債を発行し、調達資金を設備投資などに充てると発表した。これを受け、JFEや神戸鋼にファイナンス思惑からの連想売りが膨らんでいる。
(注)タイトル末尾の「◇」は本文中に複数の銘柄を含む記事を表しています。
出所:MINKABU PRESS
2021/09/17 10:21
注目トピックス 日本株
日本製鉄---大幅続落で下落率トップ、CB発行による潜在的希薄化を嫌気(訂正)
日本製鉄<5401>は大幅続落で下落率トップ。ユーロ円建てCBを発行し、3000億円を調達すると発表している。同社のCB発行は15年ぶりとなる。調達資金は高機能鋼材の生産体制強化、脱炭素関連の技術開発などに充当の方針。転換価額は2024年満期CBが2884円、2026年満期CBが3022円と決定。新株予約権がすべて当初転換価額で行使された場合、潜在株式の比率は11.02%になる。潜在的な株式価値の希薄化をネガティブ視する動きが優勢に。
<ST>
2021/09/17 10:18
日経QUICKニュース
東証10時 高値圏で一進一退、成長株高が支え
17日前場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は、前日比130円ほど高い3万0400円台半ばの高値圏で一進一退。買い一巡後は戻り待ちや利益確定の売りが上値を抑えている。一方で、グロース(成長)株への買いが下支えとなっている。 東証株価指数(TOPIX)のグロース(成長)株指数は0.4%程度上昇している。「前日の米株式市場でナスダック総合株価指数が上昇するなどグロース株高となり、東京市場でも成長株優位の展開となっている」(大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジスト)との見方があった。一方、PBR(株価純資産倍率)が低い銘柄で構成するバリュー(割安)指数は0.1%程度高い。 中国では不動産開発の中国恒大集団の資金繰りを巡る問題が懸念材料として浮上している。展開次第では世界的な悪影響もあるだけに、積極的に上値を追いにくいとの見方があった。 10時現在の東証1部の売買代金は概算で9128億円、売買高は3億4258万株だった。 エムスリーやサイバーが堅調。アドバンテストや信越化が上昇し、テルモが買われている。一方、日本製鉄やJFEなど鉄鋼株が安い。昭電工やトクヤマが下げ、明治HDが売られている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
2021/09/17 10:18
注目トピックス 経済総合
『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(3)【実業之日本フォーラム】
本稿は、『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(2)【実業之日本フォーラム】の続きである。■中国に対する静かな抑止力をつくるのが得策白井:同盟関係にある日米の間でも、慎重に対応しなければならない問題があるのですね。安保条約の適用対象であることを単に確認するだけではなく、どのような状況でもアメリカがともに戦ってくれるような信頼関係を築くことが重要だと、改めて思いました。そのために日本がやるべきことは、まだまだ多いように感じます。尖閣を巡って直接対立している中国に対しても、日本がやらなければならないことは多いのではないでしょうか。日中関係で気を付けるべきことは何でしょうか。船橋:「日米中の罠」の三角関係でも、日中関係は最も危ない部分であり、最も恐ろしい罠が潜んでいるところだと思います。2009年に鳩山内閣ができたとき、鳩山由紀夫首相は「東アジア共同体」という構想を作りました。2009年7月に公表した民主党マニフェストには、「東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する」とされています。アメリカを除外したアジアの国々だけで地域的アーキテクチャを作るという構想です。これを鳩山首相は、胡錦濤中国国家主席や、ベトナム、オーストラリア、シンガポール、それぞれの首脳に持ちかけました。アメリカは、鳩山首相による沖縄の普天間基地の県外移設や、「トラスト・ミー」発言に猛烈な不信感を抱きましたが、実は一番不信を抱いたのは、このアメリカ抜きの「東アジア共同体」構想を最初に中国に相談したことだったのです。先に触れたジェフリー・ベーダーの回想録にもブッシュ政権が本構想に疑いを持っていることが記載されています。「これだけは許さない」と書かれています。日本に裏切られたという気持ちをアメリカが抱いた。人間社会もそうですが、国際関係でも、とりわけ同盟関係において「裏切り」の感情を相手国に抱かせるほど破壊的なことはありません。アメリカを除外したアジア・オンリーの構想をことによって日本から発せられることにアメリカが衝撃を受け、徹底的な不信感を募らせた。アメリカだけではありません。2009年10月に鳩山首相と首脳会談に臨んだシンガポールのリー・シェンロン首相は、東アジア共同体構想に対し、「地域のバランスの観点からは米国の関与が重要である」と釘を刺しています。かたや、中国にとっては、日米間にくさびを打ち込むというまたとないチャンスが到来です。長年の夢である日米同盟の中和化ができます。日米同盟だけではなく、アメリカの西太平洋における同盟システムを一気に弱体化できます。実際、その後の尖閣諸島問題で、日米関係はきしみました。ただし、それ以上に日中関係がすさまじく軋み、破綻しかけてしまった。ところが、トランプ政権が登場し、米中関係が激しく緊張すると、中国は日本に秋波を送るようになります。中国証券監督管理委員会が2019年3月に、野村證券の中国の合弁証券子会社に51%の出資比率を認めたことなどがその典型でしょう。秋波を送られたら、それを活用してこちらも微笑む度量は必要ですが、中国の秋波外交は、あくまで戦術的、一時的なパンダ外交であることを知っておく必要があります。白井:日本は、中国からの戦略的秋波を敏感にキャッチし、それに乗ってはならないということですね。バイデン政権が誕生してからも戦略的秋波の状況が変わらないということは、裏返せば、中国は、TPPやRCEPに対するアメリカの政策がそれほど変化しないと見ているのでしょう。そういった点でも三か国の関係を観察することは有益です。それぞれの二か国の関係がもう1つの国に与える刺激、リスク、誤解といった影響が日米中の罠だと理解しましたが、罠を避けるために日本が注意すべきことは何でしょうか。船橋:どの二国間関係の管理も他の二国関係の管理からの影響を受け、横波を被るため、まず、「日米中の罠」がどこにあるか、それをわきまえることです。その罠にはまらないようにする。これが第一です。現在、日本にとっての最大の罠は、米中対決が決定的になってしまうことです。日本の動きが、それを促してしまうことだと私は思っています。そうさせないように対米、対中関係を安定させるよう環境づくりをすることです。そのための対中抑止力とバランス・オブ・パワーを維持することが大切です。自分の国を自分で守る自立の覚悟と同盟を維持する責任の双方が必要です。そして、アジア太平洋の、自由で、開かれ、持続的な秩序形成を他のアジア諸国とともに先頭に立って推進できる国(a pivot state)としてルール・シェイパー役を果たすことです。中国に対する抑止力構築も、アジア太平洋での自由で、開かれ、持続的な国際秩序も、敵味方を明確にしない、バランシング・アクトを心掛けるべきです。抑止力も明瞭ではあるが静かな抑止力をつくるのが得策です。中国共産党が国民のナショナリズムを煽らないようにすること、そして、国民のナショナリズムが中国共産党の外交の選択肢を狭くしないようにすることも、重要です。そして最後に、日本の国力と国富の再創出と自由主義と民主主義の進展が望まれます。船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)
<RS>
2021/09/17 10:17
注目トピックス 経済総合
『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(2)【実業之日本フォーラム】
本稿は、『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(1)【実業之日本フォーラム】の続きである。■尖閣諸島をめぐる日米同盟のきしみ白井:米中が戦略的に共通の利益を見出した時には同盟関係を結ぶ可能性があり、日本やロシアがその要因のひとつになり得ることはよくわかりました。そう考えると、現在同盟関係にあるアメリカと日本の関係はどうあるべきか、ということが気になります。トランプ政権に対して日本は、貿易問題や在日米軍駐留経費の問題などがあったものの、総じて良好な関係を維持できた印象があります。特に、中国との間で領有権が問題となっている尖閣諸島は、日米安全保障条約の適用対象であると日米間で確認されました。この点では、バイデン大統領も同様の発言をしています。船橋:尖閣諸島は、日中ともに領有権を主張していますが、施政権は日本が執行している状態になっています。さらに日本政府は、2012年9月に、「尖閣諸島における航行安全業務を適切に実施しつつ、尖閣諸島の長期にわたる平穏かつ安定的な維持及び管理を図るため」だとして、民間人所有者から魚釣島、北小島、南小島の3島を、20億5,000万円で購入し国有化しました。これに対して中国は、それまで月に数回の頻度で繰り返してきた、尖閣周辺の接続水域や領海への数隻の公船による侵入を、劇的に増加させました。こうした公船の活動は、中国の漁船を取り締まるという名目で、中国が施政権を執行している姿を世界に誇示します。施政権を持っている中国はそれを行使している、日本よりしっかりやっている、ということを見せているわけです。アメリカは、日米安保条約の第5条によって、同盟国が施政権を行使しているテリトリーに対する防衛義務を負っています。しかし、このことは逆に、日本が施政権を執行できていないことが明白になれば、アメリカはここに関する防衛義務を負うことはないということになりえます。ですから中国は、尖閣に対して日本が十分に施政権を行使していない、行使しているのは中国であるということをアメリカに見せ、そのようにアメリカの国民に認識させようとしているのです。そうすることによって、尖閣で日中の軍事的衝突が起こる、あるいは何らかの軍事紛争が起こった場合に、日本に対してアメリカが防衛義務を負わない状況を“作ってあげよう”としているのです。白井:その点については全く同意見です。中国が日本の国有化にタイミングを合わせて公船の活動を活発化させていることからも、そういう意図をもって尖閣に公船を出してきていることは明白であり、何としてもアメリカや世界に誤った認識を持たれないようにしなければなりません。そのためには、日本としても毅然とした態度で施政権を行使することが必要だと考えています。一方で、中国による施政権争奪の挑戦は、東シナ海における現状変更への挑戦だとみることもできると思います。それは、地域的に密接な影響を及ぼしあう台湾にも波及する可能性があるのではないでしょうか。そういった視点で見た場合、アメリカが中国の行動を黙認することは、日本にとってだけではなく、アメリカにとっても決してプラスにはならないと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。船橋:2012年に尖閣諸島の国有化を発表したのは、民主党の野田政権でした。しかし、きっかけは、当時の石原慎太郎東京都知事が、ワシントンのヘリテージ財団が主催するシンポジウムでの講演で、尖閣諸島を所有者から買い取る方向で合意したことを明らかにしたことです。石原都知事は、尖閣を購入したら嵐の時に漁民が避難できる船だまりを作るという構想を明らかにしていましたから、都が所有すると中国との間に軋轢が生じてしまう危険性がありました。野田首相は、そんなことになるくらいなら、国有化による管理をして中国との関係を制御した方がいいと判断したのです。そうやって領土問題をエスカレートさせずに済ませられるなら同盟国であるアメリカも理解するだろうと期待したのです。ところが、アメリカ政府は日本のこうした判断に理解を示すどころか、強い不満と不快感を示しました。アメリカの最初の反応は、「余計なことをしてくれるな」というものだったのです。「そんなことをして、もし軍事的紛争になったらどうするのだ。傍迷惑だ」ということだったわけです。のちに2016年1月に、大統領予備選に出馬したヒラリー・クリントンの国務長官時代のメール数万通が公表されましたが、その中にキャンベル国務次官補が国有化問題について報告したメールが含まれています。クリントンは長官時代、私用のメールアドレスを公務に使っていたことが問題になったため、国務省が発表したのです。その中に、2012年9月3日、佐々江賢一郎外務事務次官がキャンベルに電話した内容をキャンベルがバーンズ国務副長官に送り、クリントンに転送したメールがあります。「電話の目的は、日本政府が間もなく尖閣諸島を購入することを知らせるものだった。政府と所有者はすでに売買価格で合意しており、所有者はこの一連の行動について、石原東京都知事の理解を得ようとしているとのことだった。石原は納得しそうにない」キャンベルはその後で、自分がこの年の夏、訪日したとき、佐々江に「この計画については北京と話し合うように求めた」ことを指摘するとともに、「日本政府は度重なる熟考の末に結論を出したところで、中国は明らかに激怒している。しかし、佐々江は、中国は実際にはこの行動の必要性を理解しており、受け入れるだろうと信じている。どうなることやら(I am not so sure.)」と報告しています。「中国が理解している」との日本側の説明に疑問を呈していますが、結果的にはキャンベルの見通しが正しかったわけです。オバマ政権のNSCアジア上級部長だったジェフリー・ベーダーは回想録の中で、2010年9月の中国漁船衝突事件をめぐる日米同盟への意味合いに関して、次のように記しています。「尖閣問題はオバマ政権に複雑なジレンマを提起していた……・・・ワシントンは中国に威嚇されている同盟相手である日本との団結を示したがったが、同時に日本の対応にはいかにも不手際が目立っていた。それにもまして、日中両国がこのような岩しかない小島をめぐって武力衝突するかもしれない、あるいはアメリカがそれに巻き込まれるかもしれないなどと思うのはばかげていた」。同盟には「巻き込まれるリスク」と「見捨てられるリスク」の2つのリスクがあるといわれています。これまでの日本は、アメリカの戦争に「巻き込まれるリスク」を常に感じてきました。ベトナム戦争がその典型です。ところが2010年代以降、尖閣をめぐって日中が鋭く対立するようになってから、アメリカのほう方が「巻き込まれるリスク」に敏感になりました。ベーダーの回顧録はその懸念を如実に表しています。その一方で、日本の方は、アメリカがどこまで日本を守ってくれるのかということに自信が持てなくなって来ました。すなわち「見捨てられるリスク」を感じ始めるようになったわけです。船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(3)【実業之日本フォーラム】へ続く
<RS>
2021/09/17 10:17