注目トピックス 経済総合ニュース一覧

注目トピックス 経済総合 NYの視点:ECBのテーパーの行方、12月会合待ち 欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。パンデミック緊急購入プロブラム(PEPP)は少なくとも2022年3月末まで継続するとしたが、同時に景気回復にともない今後3カ月の緩和措置微調整により、PEPPのペース減速を決めた。資産買い入れプログラム(APP)はEU200億ユーロのペースを継続する。ECBの政策者はPEPPを各月600億ユーロから700億ユーロの目標内で柔軟性を保ち購入していくことで合意したという。ラガルド総裁は理事会後の会見で、欧州経済が明らかに回復していると言及。ECBは2021年の国内総生産(GDP)予想を5%増と、従来の4.6%増から引き上げた。今後の回復のスピードはパンデミック拡大やワクチン接種動向次第だと加えた。総裁はPEPPの終了のタイミングには言及しなかった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)と同じく、最近の高インフレは一時的との見方を繰り返し、PEPPの減速がテーパリングではなく、微調整だと主張。ハト派姿勢を強調した。ドイツの選挙を控え、不透明性が増すことを考慮した対応だとの指摘もある。総裁はさらに「次の動きについて議論していない」としており、12月の理事会でPEPPについて包括的な議論を行うとした。PEPPの行方は次の見通しを発表する12月の理事会待ちとなる。 <FA> 2021/09/10 07:49 注目トピックス 経済総合 NYプラチナは1000ドル挟んでもち合いか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NYプラチナについてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『NYプラチナは1000ドル挟んでもち合いか』と述べています。続けて、『NYプラチナ相場が節目の1000ドルを下回る要因として、(1)半導体不足による自動車生産の減少に伴う需要の低下、(2)欧州の電気自動車化の前倒し、(3)米連邦準備制度理事会(FRB)による早期テーパリング観測によるドル高、(4)コロナ「デルタ株」の拡大による景気回復頓挫の懸念、(5)最大の生産国南アフリカ通貨ランドの下落などが考えられる』とし、『NYプラチナは、(1)~(5)の要因がそろって、8月9日に954ドルをつけ、8月19日にも956まで下落した。しかし、950ドルを下回ることはなく、次第に下値を切り上げ、1000ドルを回復する場面も出てきた。プラチナの生産コストが900~950ドルであることも意識されたようだ』考察しています。また、『ドル安を受けてドル建て貴金属は割安感が強まったことに加え、通貨ランドが対ドルで上昇したことも、プラチナ相場を押し上げることになった』と伝えています。次に、『CFTC建玉のファンドの買いポジションは、8月10日の5819枚でボトムをつけたようだ。今後は安値水準で買い玉が増えていくため、プラチナは底値形成に入ったといえよう』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、NYプラチナ相場について、『950~1050ドルのレンジで値固めとなりそうだ』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月8日付「NYプラチナは1000ドル挟んでもち合いか」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/09 17:37 注目トピックス 経済総合 認知戦の実態−北方領土におけるロシアの政策−【実業之日本フォーラム】 「認知戦」とは相手の認識に働きかける戦争の一形態と捉えられている。(実業之日本フォーラム2021.4.30記事「6番目の戦場−「認知戦(Cognitive Warfare)」−参照」)人は環境に順応する。「非常事態」も長く続けば、それは「常態」と認識される。別の言い方をすれば、「既成事実を積み上げる」、安全保障に係る英文で目にする「Fait accompli」の状態を達成することが認知戦の目的である。中国の尖閣諸島における公船の活動、南シナ海における「九断線」の主張は、いずれも従来の国際秩序を力で変更し、中国権益の既成事実化を狙うものである。まさに相手に中国の主張を「常識」と認識させる、「認知戦」を遂行していると言える。ロシアによる「認知戦」が成功しつつあるのが北方領土問題である。外務省HPによると、北方領土に対する日本の立場は次のとおりである。「1855年2月7日、日本とロシアの間で『日魯通航条約』が調印され、択捉島とウルップ島の間に国境が確認された。それ以降、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島からなる北方四島は、一度も他国の領土となったことはなく、日本固有の領土である。しかしながら、1945年にソ連に占拠されて以降、今日に至るまでソ連・ロシアによる不法占拠が続いている。」日本としては「不法占拠」であるが、占領後70年以上が経過し、北方四島のロシア化は着実に進行している。独立行政法人北方領土問題対策協会HPによれば、北方四島在住のロシア人の人口は、2016年には16,668人であったものが2018年には18,010人に増加している。北方四島で生まれ育ったロシア人にとって、北方四島は故郷である。2019年1月にロシア政府系世論調査機関が実施したアンケートによると、北方四島のロシア住民の93%が日本への島の引き渡しに反対している。日本が主張する北方領土の返還は、同地に暮らすロシア人にとって、民意に反し、故郷を奪う主張となる。日本人の意識も変化しつつある。内閣府は「北方領土問題に関する世論調査」を5年おきに実施している。2013年の調査では、北方領土問題をある程度知っていると、良く知っている、を併せると81.5%となり、高い認知度を示している。しかしながら2018年の調査では、65.5%に低下している。さらに、北方領土に関する啓発活動への参加意欲について2013年度の調査で、59.5%が参加したくないとしており、この数字は2018年には67.3%に増加している。日本国内における北方領土に対する関心が低下しつつあることを示す数字である。北方領土を論じる場合、忘れてはならないのは、北方領土の安全保障的価値である。防衛白書によると、ロシアは1997年以降、「コンパクト化」、「近代化」、「プロフェショナル化」という3つの方針で軍改革を推進中である。その中で、近代化に関しては、核戦力に重点が置かれ、86%の核戦力が近代化されたとしている。極東地域では、2隻のボレイ級SSBN(弾道ミサイル原子力潜水艦)が配備され、デルタIII級1隻とともにオホーツク海を中心とした海域に配備されている。米国と核抑止体制を構築する上で、残存性の高い第二撃能力であるSSBNの存在は極めて重要である。従ってロシアにとって、SSBNが行動するオホーツク海を聖域化することが必須となる。2016年に択捉島と国後島に対艦ミサイルが配備されたことや、択捉島への最新鋭機Su-35の展開、更には択捉島及び国後島に最大射程400Kmの地対空ミサイルを配備という一連の措置は、オホーツク海にいかなる軍事力の展開も許さないというロシアの強いメッセージと言えよう。2021年9月3日にウラジオストックにおける「東方経済フォーラム」において、プーチン大統領は、北方領土問題を含む日本との平和条約交渉について「ボールは日本側にある」と述べている。更に、クリル諸島(北方領土と千島列島)に経済特区を設け、内外進出企業に課税を免除するという案を公表した。日本政府の方針が「二島先行返還」と「四島一括返還」の間で揺れ、日本の世論が北方領土に対する関心が薄れていく状況をうまく利用し、ロシア支配の既成事実化を経済面でも担保しようとする狙いが透けて見える。日本固有の領土である北方領土がロシアに不法占拠されているという実態は、それが長く続けば続くほど、日本世論にあきらめムードが広がるであろう。ロシア修正憲法には「領土の委譲禁止」の項目が規定されており、昨年罰則規定も制定されている。ロシア政府は、国境線画定は別問題としているが、日ロ交渉の場で、憲法を持ち出す可能性は否定できない。ロシアによる、北方四島支配の政治的、軍事的そして経済的既成事実化は、ロシアによる認知戦の勝利に傾きつつある。ロシアの完全な勝利を阻止するために、粘り強く対ロ交渉を継続する必要がある。韓国に不法占拠されている竹島、中国が根拠なき領有権を主張する尖閣諸島も同様に、激しい認知戦の最中にある。日本の民法には、土地や不動産の「時効取得」という制度がある。20年間にわたり所有する意思をもって土地や不動産を公然と占有している人間に対し、本来の所有者が長年にわたり立ち退きを要求しなかった場合、その不動産や土地は占有者のものとなるという制度である。ロシア、中国及び韓国がいかなる主張を行おうとも、日本が領有権を主張し続けているという事実は重い。これもある意味既成事実化と言える。同じ主張を継続しても意味はない、言っても聞く耳を持たないから言う必要はない、という考え方は相手を利するばかりである。逆に、相手がうるさがるぐらい権利を主張し続けなければならない。領土問題に関しては、沈黙することは決して利とはならない。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:TASS/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/09 16:20 注目トピックス 経済総合 電源開発を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(9日10:22時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価下落が目立つJFEホールディングス<5411>コール150回 10月 1,750円を逆張りで買う動きなどが見られる。上昇率上位は電源開発<9513>コール18回 10月 2,150円(+28.0%)、電源開発コール17回 10月 1,900円(+27.3%)、電源開発コール16回 10月 1,650円(+18.9%)、明治ホールディングス<2269>コール57回 10月 7,900円(+15.7%)、旭化成<3407>コール33回 10月 1,600円(+13.0%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/09 15:45 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.23%安でスタート、各分野の引き締め強化を警戒 9日の上海総合指数は売り先行。前日比0.23%安の3666.825ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時50分現在、0.22%安の3667.177ptで推移している。各分野に対する当局の引き締めの警戒感が再び高まっていることが警戒されている。一方、景気対策への期待が高まっていることが引き続き指数をサポートしている。 <AN> 2021/09/09 10:55 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米7月JOLT求人件数:過去最高、失業者総数を大幅上回る 米労働省が発表した米国の7月JOLT求人件数は6月からさらに増加し、1093.4万件となった。6月分も1007.3万件から1018.5万件へ上方修正された。2021年に入り、過去7カ月間で420万件の求人が増えたことになる。また、求人件数は総失業者数(8月時点838.4万人)を255万近く上回った。一方で、1200万人以上に依然、何らかのパンデミック緊急失業保険が支給されており、労働市場にかなりの歪みがあることが明らかになった。雇用者、退職者数はほぼかわらず。労働市場への自信を示すとして、特に注目される自発的な退職者数は400万人でほぼかわらず。退職率(Quits rate)は2.7%と、6月に並んだ。解雇者数も150万人でほぼ変わらず。解雇率(Layoffs/discharges rate)は1.0%で、6月0.9%から小幅上昇も前年1.3%は下回った。今月6日に、政府が実施していたパンデミック緊急失業保険支援策は終了。果たして、今後、失業者が雇用復帰するかどうかに注目が集まる。連邦準備制度理事会(FRB)が公表した7-8月時点の情報をもとにした米地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、特に低賃金職においての賃金の大幅上昇が指摘されている。レストランやバーに加え、製造業など、ワクチンの普及に伴う経営再開も人手不足が深刻なことが明らかになっている。■雇用たるみダッシュボード◎金融危機前に比べ状態が改善         パンデミック: 金融危機前水準と比較7月求人率(Job openings rate):6.9%(6月6.5% )     4.4%, 3%7月退職率(Quits rate):2.7%(6月2.7%)          2.3%: 2.1%7月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.0%(6月0.9%,前年1.3%)  1.2%8月雇用者数(Nonfirm payrolls):+23.5万人(7月+105.3万人) +25.1万人,+16.18万人7月採用率(Hiring rate):4.5%(6月4.7%、昨年5.6%)      3.8%◎金融危機前に比べ状態悪化8月失業率(Unemploynent rate):5.2%(6月5.4%)     3.5%, 5%8月広義の失業率(U-6):8.8%(7月9.2%)         7.0%, 8.8%8月労働参加率:61.7%(7月61.7%)               63.4%, 66.1%8月長期失業者数(15週以上):51.1k(7月52.8k)        19k <FA> 2021/09/09 07:35 注目トピックス 経済総合 南アフリカランド円は、底堅く推移しそう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アフリカランド円は、底堅く推移しそうだ』と述べています。続けて、『ジャクソンホール会議、8月米雇用統計の2つの重要イベントを受けて南アランドを押し上げられた。8月米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数が予想以上に伸びていなかったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)によるテーパリング(購入資産の段階的縮小)が後ずれするとの見方が強まった』と解説し、『金融緩和が当面の間、続くことからドルの上値が重くなることが予想され、ドル建てコモディティは堅調に推移しそうで、資源国通貨の南アランドにとってはポジティブ要因となろう。7日発表の南ア第2四半期GDP前年比予想+17.8%と、前回-3.2%より大幅に改善する見込み』と分析しています。次に、『南アフリカ準備銀行(中央銀行)のクベン・ナイドゥ副総裁は先月25日、インフレ見通しが落ち着いていることを踏まえると、中銀は段階的に金利の正常化を進められるとの考えを示した』と伝え、『一部の新興国はインフレ兆候を受けて利上げに動いているが、南ア中銀は依然として政策金利を3.5%に据え置いている。ナイドゥ副総裁は、景気回復に伴い政策金利は中銀政策委員会が「中立金利」として適切な水準と考える6.0─7.0%に向かい上昇すると指摘した。ただ、少なくともあと1─2年は金利を緩和的な水準で維持することが可能と説明しており、金融引き締めを急がないとの姿勢を見せた』と言及しています。また、『最大の貿易相手国である中国の景気が減速していることも懸念要因だろう』と考察しています。こうしたことから、陳さんは、南アフリカランド円の今週のレンジについて、『7.40円~7.80円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月7日付「南アフリカランド円今週の予想(9月6日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/08 17:48 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、堅調な貿易統計などを好感 8日の上海総合指数は売り先行。前日比0.09%安の3673.40ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時51分現在、0.20%高の3683.94ptで推移している。堅調な貿易統計が好感されている。8月の貿易統計は、輸出と輸入の伸びがそろって上振れた。また、景気対策への期待も支援材料。一方、上海総合指数が2月19日以来の高値水準まで回復しており、高値警戒感からやや伸び悩む展開となっている。 <AN> 2021/09/08 10:58 注目トピックス 経済総合 ソフトバンクグループを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(8日10:12時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしてはイーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、イーサリアム2021年10月 プラス5倍トラッカー3回 10月 2,175米ドル、ソフトバンクグループ<9984>コール587回 10月 8,800円、アマゾン・ドット・コムプット135回 10月 3,600米ドルなどが見られる。上昇率上位はソフトバンクグループコール587回 10月 8,800円(+26.8%)、ソフトバンクグループコール586回 10月 7,800円(+26.1%)、三菱ケミカルホールディングス<4188>コール46回 10月 1,225円(+25.5%)、ソフトバンクグループコール585回 10月 6,800円(+23.3%)、三菱ケミカルホールディングスコール45回 10月 1,075円(+20.8%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/08 10:35 注目トピックス 経済総合 習近平政権は世論をどう変えようとしているのか【実業之日本フォーラム】 中国における社会コントロールが急速に強化されている。経済分野において習近平政権は8月17日に「共同富裕」の概念を示し、富の分配を経済活動による分配(第1次)、徴税などを介した政府による分配(第2次)、寄付などによる自発的な分配(第3次)の3つに区分し、富の再配分を強化して社会全体が豊かになることを目指すとした。テンセントやアリババなど大企業は、いち早く寄付事業に基づく利益還元を表明している。教育分野においては、4月から公的歴史教育の区分を党史、新中国史、改革開放史、社会主義発展史に再構成し、共産党の歴史(党史)を重視するカリキュラムに変更した。また全国の小学生から大学院生までの課程で「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」の必修化も進む。同時に、学校の宿題に対する制限や学習塾の非営利化など家庭の負担を軽減する規制を設定し、子供のオンラインゲームの使用時間に制限を課すなど、共産党が市民生活に寄り添う姿を演出している。7月頃から続いた複数の俳優や芸能人に対する取り締まりもまた、市民の目に見える形で富裕層への統制を強める方策であった。8月には女優・趙薇(ヴィッキー・チャオ)の名前が動画配信サービスなどから全て削除されて海外メディアも大きく報じた。台湾メディアは、趙薇はアリババグループ創業者である馬雲(ジャック・マー)との関係が深く、8月にはアリババ本社のある浙江省杭州市党常務委員会トップの周江勇も失脚していることから、「政経癒着」の余波を示唆した。様々な事例があるものの、世論に対する影響力が大きく、かつ共産党から見て必ずしも品行方正ではなかった著名人が粛清の対象となっているようである。芸能界への引き締めの一翼を担うのが、党中央インターネットセキュリティと情報化委員会弁公室(以下、網信弁)と呼ばれる、インターネットの監視、検閲を担う機関である。網信弁は6月15日に「晴朗、『ファン・コミュニティ(飯圏:アイドルなどの『推し活』やファン交流のコミュニティ」)』の混沌是正」アクションプログラムを2カ月にわたり全国的に実施すると通知し、芸能人の人気ランキングや消費への誘導、未成年の参加などを含むファン行動への規制を開始していた。続いて8月27日には10項目からなる「『ファン・コミュニティ』混沌のガバナンス強化に関する通知」を発出、規制の強化と細目化を促した。また9月2日には国家ラジオテレビ総局弁公庁も「文芸プログラムとその人員の管理の強化に関する通知」を発出し、「低俗で下品な」娯楽作品を排除して「党と国家への愛、高潔で芸術的な業界の倫理観」を旗幟鮮明に示すよう求めた。党や国家から「心が離れている」人物は起用せず、党の求める「主旋律と正のエネルギー」でメディアを満たすよう指示、番組の構成内容もまた管理、規制の対象となった。こうした経済界や芸能界に対する一連の取り締まりに、国内外の少なからぬチャイナ・ウォッチャーが「プロレタリア文化大革命」の再来を懸念している。いわゆる文化大革命とは、毛沢東が発動し1960年代半ばから70年代半ばにかけて続いた暴力を伴う世論粛清の政治キャンペーンである。「造反有理」「革命無罪」等のスローガンのもとに理不尽な個人攻撃が容認され、中国社会に多大な混乱と相互不信をもたらした。その発端となったのが京劇「海瑞罷官」(清廉な官僚であった海瑞が皇帝の怒りを買って罷免された故実に基づく歴史劇)への批判であったことはよく知られている。今回の文芸に対する引き締めの手法は、確かに文化大革命を彷彿とさせる。また8月29日には、人民網、光明網、中央電視網などの公式メディアが一斉に「誰もが感じる、深刻な変革が起きている!」と題する論考を掲載し耳目を集めた。この論考はもともとブロガーである李光満が自身の「微信(ウィーチャット)」に掲載して、「中国には経済、金融、文化から政治にいたる全ての分野で深刻な変化、あるいは深刻な革命ともいうべき重大な変化が生じている」と指摘し、これらは共産党の初心への回帰、人民中心への回帰、社会主義の本質への回帰だと主張したものである。だが筆者は、習近平政権の狙いは単なる文化大革命の再演ではないと考えている。なぜならば当局の発信からは、文化大革命のように国内の社会的対立をあおることで権力の掌握を図るのではなく、むしろ中国社会の分断を予防しようとする意図が読み取れるからである。李光満論考を人民日報など主要メディアが掲載したことからすれば、社会の構造的変化を推し進めようというメッセージは基本的に当局の思惑に合致しているのだろう。だが公式メディアへの転載にあたり、芸能界およびアントグループやディディ(Didi:滴滴出行)などの「大買弁資本グループ」は「社会の癌だ」として排除を呼びかける段落は削除された。おそらくこの点は、当局の意図よりも強く打ち出しすぎたのである。さらに、人民日報系の『環球時報』編集長でタカ派の論客として知られる胡錫進は、自身の「微信」で9月2日に李論考を「国家の大政方針から逸脱し、ミスリーディングであった」と批判し、李が述べる一連の取り締まりは、「すべて、社会的ガバナンスのさらなる高度化であり、何らかの『革命』ではない」と否定した。こうした発信からは、民衆をあまり刺激せずに漸進的に社会の風向きを変えようとする当局の意図が透ける。富裕層の自主的な富の還元に基づく「共同富裕」の構想も含めて、社会の分断が決定的になったアメリカ社会へのアンチテーゼを示そうとする思惑もあるだろう。では習近平政権は、中国世論をどの方向に誘導しようとしているのか。今のところ、その方針には2つの特徴があるように思われる。第1に、共産党の施策に対する異論を封じると同時に人々に一定の「理解」を与え、「我々は正しいことをしている」と認識するよう誘導している点である。教育システムの変革では、過剰な詰め込み教育の是正を謳う。芸能人やそのファン・コミュニティへの取り締まりは社会の風潮を乱す行動の是正を促すと同時に、青年層の健全な成育とリンクしている。寄付の実施は企業の社会的責任を果たすことに繋がる。ただし世論に対して影響力をもつ個人や組織をコントロール下におくことも、非常に重要な目的である。7月29日には、党中央統一戦線工作部(共産党以外の政党や宗教団体などとの関係を所管する組織)が「党外知識分子への統一戦線活動の新局面を開く」と題する方針を発表し、学識者や民間企業の幹部、海外留学の経験者など、共産党に所属しない知識人を統一戦線活動のターゲットとする政治キャンペーンを打ち出した。今後はメディアばかりでなく、オピニオンリーダーらからも「中国社会はより良くなった」との声が増加すると予想される。第2の特徴としてはアメリカとの対立が継続することを念頭に、「西側」を強く意識した排外主義が強まっている点である。実際に、その影響は徐々に顕在化してきている。たとえば7月には河南省鄭州市で洪水を取材中の外国人記者が、「偏向報道」に不満をもつ地元民に取り囲まれる事件があった。また9月には遼寧省大連市で日本を模した「盛唐・小京都(唐全盛期の小京都)」が開業から1週間で営業停止となったが、その原因は「日本の文化侵略だ」とする批判の集中だったという。中国社会の排外性の高まりは、第1の点とも関連し、中国式制度の優位性を主張する政府の公式見解と表裏一体である。この点では、昨今は「中国式民主」の主張が目に付く。例えば華春瑩外交部報道官は8月20日に、米軍撤退後のアフガン情勢の悪化を事例に「西側の民主モデル」を批判し、「中国は『人民民主』であり、米国は『金銭民主』である。中国の人民は実質的な民主を、米国民は形式的な民主を享受している。中国が実行しているのは全過程の民主だが、米国は4年に1度の投票民主である」と述べた。一読しただけでもひどく偏った見解であり、いわゆる「戦狼外交官」の誇張も含まれるが、実は中国国内ではこうした政治体制論の「理論化」も進んでいる。国務院新聞弁公室は6月25日に「中国の新型政党制度」白書を発表し、西側諸国が採用する選挙に基づく代表民主主義の制度を「旧式政党制度」と位置づけ、中国における「多党協力と政治協商制度」とは中国に8つある他の政党や政党に属さない人々(無党派人士)が共産党と協力、合議(共商)して政治運営を行う「新しい政党制度」であると高く評価した。このような中国の主観に基づいた独自の制度論が、教育システムや専門家の講釈を介して中国社会に浸透するならば、その影響は甚大である。中国の政治制度における根本的な問題は、共産党に権力が過度に集中しており、権力に対するチェックアンドバランスが機能していないという点である。だが中国国内では、この課題を置き去りにした「より良い社会」イメージが先行しようとしている。恐らく人々の短期的な満足度は向上し、私たちは中国の友人から「中国を誤解していますよ、実態は西側で報じられるよりずっと良いです」と他意なく諭される事になるのだろう。確かに、数年後の中国社会がより安定している可能性もある。だが中国政府の情報コントロールが非常に洗練されてきたことを、常に頭の片隅に置いておく必要があるだろう。江藤 名保子学習院大学法学部教授。専門は現代中国政治、日中関係、東アジア国際政治。スタンフォード大学国際政治研究科修士課程および慶應義塾大学法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター副主任研究員、シンガポール国立大学東アジア研究所客員研究員、北京大学国際関係学院客員研究員などを経て現職。写真:新華社/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/09/08 09:51 注目トピックス 経済総合 コラム【新潮流2.0】:時代に合わなかった新自由主義(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆この数日、秋雨前線の影響で東京は10月並みの肌寒さとなった。そんな天候とは裏腹に相場のほうは熱気を帯びてきた。菅首相が自民党総裁選に出馬しないとの報を受けた先週末、日本株は急伸した。この材料は政治リスクを後退させただけでなく、このところ鬱積していた閉そく感を吹き飛ばすきっかけになったのだろう。キーワードは「変化への期待」だ。◆変化 ‐ 今思えばその予兆は少し前から見られていた。横浜市長選で菅首相が推した小此木氏が大差で敗れても株式相場は上昇で応えた。昨年9月から11ヶ月も連続して月内最終営業日は前日比マイナスで終えてきた日経平均が、8月末は大幅高となった。先週末に急騰を演じた日本株市場は「変化」の兆しを敏感に感じていたのだろう。◆このタイミングでの菅首相の退陣はまったく予想できなかったが、それでも僕はこの政権に対する「違和感」を発足当時から少しだけ持っていた。昨年の著書で以下のように述べている。世界が格差是正のための再分配政策を掲げる政治に傾く中で、日本だけが真逆の新自由主義の政治家がトップについた。これは世界の政治の潮流に逆行する動きであると。◆コロナ禍に見舞われた世間は、なにを差し置いても「公助」を求める。菅政権はコロナ対応の稚拙さが失点になって内閣支持率を落としたのはほぼ間違いないが、そもそも当初のスタンス、すなわち「自助」を基本とする新自由主義がコロナの時代に合わなかったということかもしれない。 主義自体の良し悪しよりも、政権の命脈はそれが時代に合うか合わないかである。コロナ禍で首相になった菅さんの場合、ツキがなかったといえばそれまでなのだけど、「ツキも実力のうち」‐特に政治家は‐ ではなかろうか。◆自民党総裁選の行方は混とんとして見当がつかない。世論調査で「次の総裁にふさわしい人」のトップは河野さん、僅差で石破さんが続く。だが、僕の仮説「政権の命脈は主義主張が時代に合うか合わないか」が正しいとするなら、今の時代に合うのは再分配政策を重視する岸田さんということになる。ただ、仮にそうなった場合、マーケットは大丈夫か?おそらく大丈夫だろう。トリプルブルーのアメリカで株価は連日の高値更新なのだから。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:9/6配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) <FA> 2021/09/08 09:17 注目トピックス 経済総合 NYの視点:年内の回復減速の可能性 豪州準備銀は新型コロナウイルスのデルタ株流行によるロックダウンが回復を抑制するとの見方に7日の金融政策決定会合で、政策金利を0.10%に据え置いた。同時に、計画通り、債券購入ペースを週50億豪ドルから40豪億ドルへ減速させると発表。ただ、来年2月半ばまで延長するとし、資産購入縮小は計画通り実施するが、より緩やかなペースで実施することになる。先進諸国の中で先手を取って資産購入縮小を開始したカナダ中銀は早期の利上げが予想されていたが、4-6月期のGDPが予想外にマイナスに落ち込んだため、利上げが先送りされると見られる。ゴールドマンサックスのエコノミストは2021年の米国経済の成長予測を従来の6%から5.7%へ引き下げた。第4四半期のGDPは6.5%から5.5%へ引き下げ。年末の失業率も従来の4.1%から4.2%へ引き上げた。ただ、2022年度は4.5%から4.6%へ引き上げており、成長ペースが回復すると見ている。新型コロナウイルスのデルタ株流行に加え、政府のパンデミック緊急刺激策の終了で米国経済の7割を占める消費を押し下げることになると指摘。加えて、サプライチェーンの問題が長引くことも、景気に響くと見ている。政府が実施した大規模なパンデミック救済策の一環の失業者特別支援措置は6日に終了した。これにより約750万人が政府の支援を失う。延長に関しては、連邦政府は、各州に決定を委ねた。コロナワクチンの普及による経済活動の再開が下半期の力強い成長に繋がるとの期待は、新型コロナウイルス変異株の蔓延によりより不透明となってきた。各国中銀もパンデミック緊急策を解除する軌道上にあるものの、現状ではソフトテーパーに留まる可能性が強い。 <FA> 2021/09/08 07:34 注目トピックス 経済総合 台湾海峡危機に関する議論が伯仲(1)(元統合幕僚長の岩崎氏) 私は前回「台湾問題の深刻さ」において、台湾海峡の危機に関する意見を述べた。我々のように安全保障へ携わってきた者は、この海峡の危機に関して以前から警鐘を鳴らしていたが、ここに至って台湾海峡の危機がいろいろな場面で議論されるようになった。世界の関心がこの周辺に向けられている事を意味し、直接被害を被っている我が国や周辺国のみだけの議論よりも、寧ろ歓迎すべきことであろう。この台湾海峡情勢・危機等に関しては、2010年頃以降の特に中国人民解放軍の海・空軍の活動活発化により、日米間で何度か議論されてきていた。しかし、最近の急激な議論の高まりのきっかけは2021年3月16日、東京で行われた「日米2+2(外務・防衛相会談)」となる。ここで日米両国は、台湾海峡危機を公式に認めたのである。その後、米国で4月16日に「日米首脳会談」が行われ、終了後の共同声明にも台湾海峡の事が盛り込まれ、そして6月11-13日に英国で行われたG7サミットの共同宣言でも、「台湾海峡の平和及び安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と台湾海峡危機について初めて言及された。どの公式文書にも、「平和的解決」との趣旨が記載されており、ある意味においては、当たりまえの事が述べられている。しかし何故、こんなにも急激に台湾海峡危機が議論されるようになったのであろうか。それは皆様ご承知のとおり、最近の中国の「台頭」であり、中国の各地での「勝手な行動」であり、「一方的な力による現状変更」行動に理由がある。台湾海峡の危機に関しての議論の盛り上げりには、先ほど挙げた3つの会議とともに、2021年3月から6月の米国議会における3人の米軍大将の発言があったことも大きな要因といえる。先ず3月9日、当時の米国インド・太平洋軍(PACOM)司令官のデービッドソン海軍大将(その後、退役)が、米国上院軍事委員会の公聴会で、「今後、6年以内(2027年頃まで)に中国軍が台湾に侵攻する可能性がある」と証言した。続いて当時、次期PACOM司令官候補であったアキリーノ海軍大将(現PACOM司令官)が3月23日、米国上院軍事委員会における指名承認の公聴会で「(この台湾海峡危機は)大方の想定よりも間近に迫っている」と指摘した。デービッドソン大将の指摘した6年よりも早くなる可能性があると述べたのである。そして、この後、この2名の海軍大将の発言に対し、米国軍の制服トップの統合参謀本部議長であるミリー陸軍大将は、米国上院歳出委員会の公聴会で「中国軍は台湾を侵攻するだけの能力を持っておらず、近い将来、中国が台湾を侵攻する可能性は低い」との見解を示した。この様に、米軍人の見方も異なることから、米国内でも我が国でも、この台湾危機に関する議論がされるようになったのである。これらの議論の多くは、恰も「台湾海峡危機は間近」と「危機はまだまだ遠い」の相反する意見の様に取り扱われている。議論の中には、PACOM司令官の二人の海軍大将の発言を「予算取りの為に脅威を煽っているのではないか」であるとか、「ミリー統参議長の見方のほうが冷静で妥当では」等の様々な議論がある。しかし、私は、この米国の3人の大将の中国軍の台湾に対する行動予測を、必ずしも相反するものでないと考えている。そもそも「危機管理」や「安全保障」とは、「事を起こさないようにどう備えるか」、また、「もし起こった時にどうするか」を考え、事前に準備することである。そして、事が起こったら即座に対応する事が常道である。その事がいつ起こるかの予測は、一般的にそう簡単ではない。自然や地球相手では、ある程度の予測は出来るようになって来ているが、まだまだ困難な面も多々存在する。ましてや、相手の意思がある場合の予測は困難を極める。ミリー大将が指摘された中国軍の「現有能力」に着目した発言は、極めて妥当な考え方である。私も同意であり、現時点や近未来において米軍と中国軍の能力を比較すれば、中国軍は米軍にとても敵わないであろう。しかし、これは飽くまでも一般論であり、双方を総合的に評価した場合のことである。しかし、人間は感情の動物であり、常に冷静であるとは限らないし、例え相手が強くても、自分の琴線に触れる様なことがあれば、負けることを覚悟しながら戦いを挑むことはあり得る。また、ある限られた地域や限定的な小競り合いの場合には、一般論的な論理が働かないこともあり得る。そこで重要なことは、相手方の「意図(思惑)」を見抜くことである。即ち、「台湾海峡」の将来については、習近平の「意図(野望)」がどこにあるかを、よく理解しておくことが必要である。習近平は、事ある毎に「中国の核心的利益」なる言葉を使っている。台湾は、中国の当面の最大の核心的利益であると考えられる。そして、私は前回、習近平の野望は「毛沢東を越える事」と記述した。この野望を遂げるには、習近平は、先ず台湾に関する何らかの利権を手中に入れたいと考える。習近平は、既に香港の「一国二制度」を有名無実にした。香港は、ほぼ習近平の支配下になったのである。習近平の大きな手柄である。この手柄で彼は、共産党総書記は二期までという慣例を破り、三期目(2022年-2027年)へ突入できるのである。彼の次なる目標は、台湾である。毛沢東は金門・馬祖諸島を武力で攻撃したものの手中に出来なかった。もし、習近平が次の三期目に、金門・馬祖でも、南シナ海の大平島でも、台湾が統治している一部の権益を犯すことが出来れば、習近平の大きな手柄になる。これは即ち、習近平が毛沢東を越えたことになるのである。当然のことながら、この様なことは簡単にいかない。しかし、習近平は米国のバイデン大統領や米軍の顔色を窺いながら、スキがあれば、この様な行動をとる可能性があると私は考えている。2020年の10月、中国は200隻を超える船(海砂採取船・運搬船・漁船等)を馬祖諸島の南竿島周辺に結集させ海砂を採取した。南竿島の砂浜が無くなるほどの採取であった。これに対し、米国も、我が国も、何の対応も示さなかった。2014年、中国は100隻を越える船(石油試掘船・海警船・漁船等)をベトナム沖に送り、石油の試掘を行ったが、この直後のシャングリア会議(アジア安全保障会議)で、米国が中国に対し強い警告をしなかったことが蘇る。この会議終了直後から、中国の南シナ海の埋め立てが始まったことを忘れてはいけない。中国(習近平)は、米国があまり関心を示さない場合に前進し、強い関心(警戒心)を示す場合に、一度立ち止まる。そして何年も待ち、スキを狙うのである。そして、中国が一旦、既成事実を作れば、元に戻ることはない。南シナ海の埋め立て地がそのいい例である。2015年、習近平は米国に招待され、オバマ大統領に南シナ海の埋め立ての件を指摘され、「(1)もう、これ以上埋めてしない事、(2)この埋め立て地を軍事化しない事」を約束した。(1)の約束は守られた(既に彼らの所要のほぼ全ての埋め立てが終了していた)ものの、(2)は直ぐ破られ、いつの間にか滑走路が建設され、格納庫が出来、対空警戒レーダーと思われるレーダーが配備され、ほぼ完璧な軍事化が進められている。中国は、一旦とったものを返すことをしない。もし、そんなことをすれば、その為政者は即座に失脚するであろう。私は、米国の三人の大将の発言は、この様な認識に基づいたものと考えている。米国は、トランプ大統領が「台湾関係法」を全面的に見直して以降、台湾に対する軍事支援をより一層進めている。潜水艦の支援やM1A2戦車、F-16Vに引き続き、陸上配備型のハプーンミサイル及びM109A6パラディン自走砲の売却を決定し、最近では台湾の演習等にも米軍人が参加しているとの報道もある。より緊密な関係を構築中である。今年になり米軍C-17輸送機が台北を訪問した。これは、米軍の兵員・武器等の輸送の準備とも考えられる。一方の中国も引き続き、台湾周辺海域に空母等を派遣して威嚇(プレゼンス)するとともに、台湾海峡の中間線を越える中国人民解放軍の海・空軍機(戦闘機・爆撃機・偵察機等)の飛行が頻繁に確認されている。そして今年4月には、075型強襲揚陸艦「海南」(約4万トン;ヘリ30機程度の搭載可能)が就役した。これにより中国人民解放軍の着上陸能力が格段に向上することになる。また、2021年8月には、DF-15弾道弾の改良型(想定、射程延伸・精度向上が見込まれている)の発射試験に成功したことが公表されている。中国側も着実にその能力向上を図っている。「台湾海峡危機に関する議論が伯仲(2)(元統合幕僚長の岩崎氏)」へ続く岩崎茂(いわさき・しげる)1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。写真:ロイター/アフロ <RS> 2021/09/07 14:13 注目トピックス 経済総合 台湾海峡危機に関する議論が伯仲(2)(元統合幕僚長の岩崎氏) 本稿は、「台湾海峡危機に関する議論が伯仲(1)(元統合幕僚長の岩崎氏)」の続きである。我が国の多くの安全保障関係者は、「台湾有事を、ほぼ我が国の生存危機事態」と考えているものの、「日本と台湾の安全保障上の交流」は行われていない。事が起こってからでは遅すぎる。特に、現代戦は作戦推移が急激である。事前準備がより大切になってきている。我が国は予てから「One China Policy(一つの中国政策)」」を堅持しており、台湾との各種交流は簡単でないものの、事態は迫っている。より深刻な危機感を持って臨むべきである。そこで、私は、以下を提言したい。1.早期の戦略見直し我が国は、2013年12月に「国家安瀬保障戦略(NSS)」を閣議決定している。当時の様相と近年では、国内外ともに環境が劇的に変化してきており、今後の我が国周辺での事態に適切に対応すべく、早急な見直しが望まれる。2.「戦略体系の見直し」及び「新中期防策定」を急げ戦略体系のあるべき姿に関して、前記「NSS」策定時にも議論されたが、結果的に時間的な制約もあり、「防衛計画の大綱(以下「大綱」)」を維持することとした。「大綱」が我が国の安全保障政策に果たした役割は計り知れないものの、我が国は戦略体系を見直し、「NSS」を受けた「国家防衛戦略(NDS)」、(「国家軍事政略(NMS)」)、「統合運用戦略(JOS)」等々へ移行すべきである。そしてこれらの戦略では、台湾海峡の危機のみならず、台湾との交流の仕方にも言及すべきである。そして、新戦略の下で「新中期防衛力整備計画(「中期防」)」を策定する必要がある。この際、特に我が国の情報収集能力、遠距離作戦能力、機動力、新分野(宇宙・サイバー・電磁波)能力、抗堪性・継戦能力を向上させる施策を盛り込むべきである。また、NSS策定に際しては、防衛分野以外の戦略策定も必要である。「NSS」の範囲は、必ずしも防衛分野のみではない。外交、経済、エネルギー、食糧、教育など広範にわたるものである。それぞれの分野で国家としての戦略を示す必要があると考える。各分野の戦略の頂点に立つのが「新NSS」なのである。3.日米同盟の再定義日米安全保障条約は、我が国の防衛・安全保障を考える上での大きな柱であることは、今後も変化することがないと考えられる。ただし、更なる強化を目指すのであれば、再定義が必要である。2021年末までに、本年2度目の「2+2(外務・防衛相)会議」が予定されている。この会議では、昨年来問題が指摘されている、所謂、「思いやり予算」が議論されると思われる。私は昨年以来、この名称を変えるべきと主張している。米軍にとって「思いやり」とは、どんな響きなのだろうか。在日米軍は、日本から「思いやられる」存在なのだろうか。私は、更なる日米関係強化の為、この制度を飛躍的に発展させた、単に軍事分野に限らず「日米関係強化予算」または、「日米同盟(強化/協力)予算」等へ移行すべきと考えている。安全保障の新分野と言われる宇宙、サイバー、電磁波等は、軍事に限ったことではない。より拡大した中での予算配分を行うべきで、これは我が国の防衛費枠には相応しくない分野であり、別管理すべき経費である。世界は今、大変革期に入っている。世界は、「中国の台頭」と「米国の相対的力の低下」とともに、様々な問題点が噴出している。そしてこんな時期に最悪の新型コロナウイルス事態である。ここで我々は、自分の立ち位置を明確にし、中長期的観点から、世界の中での日本の役割を認識し、行動する時である。(令和3.8.27)岩崎茂(いわさき・しげる)1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。写真:ロイター/アフロ <RS> 2021/09/07 14:12 注目トピックス 経済総合 アフガン事態に思う我が国への教訓(元統合幕僚長の岩崎氏) 2001年9月11日、米国ニューヨークの貿易センター・ビル及びペンタゴン(国防総省)の一角に民間機が突入した。所謂、「米国での同時多発テロ(9.11)」である。このテロが起こった時、日本は夜の時間帯であったが、私は連絡を受けて即座に基地指揮所(当時、私は第2航空団司令兼千歳基地司令)へ入り、情報収集を行った。防衛省・自衛隊からの情報は極めて限られたものであり、我々、地方の部隊にとっては、寧ろTV等からの情報が全てであった。特にCNNニュース等の米国からの実況中継を交えた報道から多くの情報を得ることが出来た。そして、そのCNNニュースを見ていると、貿易センター・ビルに突入する航空機の映像が映し出された。私は、この映像はリプレイ映像だと思い、よくもこの様な航空機の突入の瞬間を撮影したものだと感心し、米国の監視態勢に感心していた。しかし、TV画面では、ニュース・キャスターが航空機の突入の画像をただただ見ているだけで、何も言葉が出てこなかった。私は、このニュース・キャスターは何をしているのだろうと思ったが、直ぐに納得して驚愕した。その画像はリプレイではなく、2機目の衝突シーンであったからである。そして、先ほどまでのビルからの白煙は、黒い煙となり、より勢いよくビルから吐き出されている。通常、警備等が厳しい米国で、民間航空機が大都市のど真ん中のビルに突入するという異常事態が二度起こったのである。いろいろな事象に慣れているニュース・キャスターが言葉を失うのもあり得ることである。今でも、あの一連の映像は、私の脳裏に鮮明に残っている。米国は即座に首謀者探しを開始し、間もなくアルカイダ・グループの仕業と特定し、オサマ・ビン・ラディンがリーダーであることを突き止めた。その後、このテロ集団が、タリバン勢力の庇護のもとアフガンの山岳地に潜んでいるとの情報をもとに、10月7日に空爆を行った。米軍のアフガニスタン(アフガン)介入の始まりである。以降、米軍は、アルカイダの殲滅とアルカイダを匿ったタリバン・グループの撃退を目的に、アフガンでの作戦を拡大していった。そして米軍は、遂にオサマ・ビン・ラディンを発見し、2011年5月2日に殺害した。米国は、その後も、アフガンがテロの温床にならないように、アフガン駐留を続けた。アルカイダやタリバン勢力は米軍の攻撃に対し、直接の戦闘力で敵う筈もなく、山岳奥地に逃げこみ、ゲリラ戦を続けた。オバマ大統領時代に入ると、アフガン駐留の意義に疑問が呈されることになった。何故、米軍はアフガンで血を流さないといけないのか、米国はこれ以上の駐留経費を払うべきなのか等々である。結果的にオバマ政権では結論を出さずに終わり、トランプ大統領になってアフガン駐留を米国にとって何のメリットもないと判断し、撤退を決定した。そして2020年2月、トランプ政権はタリバン勢力と「米軍の撤退」に関して合意。その後、計画的な撤退を開始した。本年、1月にバイデン大統領が就任し、撤退方針を引き継いだ。これがこれまでの顛末である。そして、米国や英国等のアフガンへ兵力を派遣している国々の予測では、米軍等の撤退後、遅かれ早かれアフガンは、再度タリバン勢力の手中に入る可能性が大であるとされていた。アフガン政府軍はこれまで、米軍等との連携戦闘に参加し、その戦闘能力を向上させていたこと、米軍が供与した比較的新しい武器を保有していたことから、そう簡単にタリバンに攻め込まれることはないと考えていたが、特に8月に入り、急激にその戦闘力が落ち、首都のカブールまで無血落城してしまった。以降、私がアフガンに関して考えている事を述べる。1.米軍のアフガン駐留に意義はあったのか米国は、9.11の報復として、首謀者であるアルカイダがアフガンの山岳地に潜んでいるとし、1ヶ月もしないうちに空爆を開始した。その後、約10年かけてオサマ・ビン・ラディンの潜入地を特定し、殺害した。その後も米軍はアフガンに駐留を継続し続けた。米国の駐留目的は、大きく(1)アフガンがテロの温床にならないようにすること、及び(2)アフガンの民主化であった。米国は、約20年アフガンに介入し、結果的に所期の目的を達成することなく撤退することになった。私は、そもそも「目には目を、歯には歯を」(ハムラビ法典)的な考え方に同調していない。これは、江戸時代の「仇討ち」的な手法である。しかし、現代国際社会に於いては、この種の報復が常である。私の考えることは、常日頃、米国や我が国が口癖のように言っている「法(秩序)による支配」である。確かに「法や秩序」だけでは限界があることも確かである。私は、百歩譲って、米国が首謀者達を殺害した時点でアフガンへの駐留をやめるべきだったと考えている。そして、私が今、一番心配していることは、米国の受けた傷である。特に、この作戦に関与した米国兵士の気持ちは察するに余りある。同じようなことがベトナム撤退後に起こった。所期の目的を達成できずに、途中で撤退した「心の傷」である。私は、長い自衛官生活の中で、時々、米軍兵士にこの様な「心の傷」を感ずることがあった。この「心の傷」は、今回の撤退を受け、米国兵士のみならず、米国政府にも、米国国民にもあると考えている。バイデン大統領が、何度となく「撤退の正当性」を強調している。私には、この「傷」を認めているスピーチにしか聞こえない。因みに、米国兵士からベトナムの傷か癒えた時期は、1991年1月17日から始まった、所謂「湾岸戦争」である。2月28日にはイラク全土を開放した。この後は、米国は、本来の米国としての自信を取り戻したと感じている。今回も、この様にならないことを祈っている。2.「撤退作戦」とは軍における「撤退作戦」は、「侵攻作戦」に比較し、一般的に極めて難しい作戦と言われている。「侵攻(攻撃)作戦」では、作戦に参加している兵士の士気は高い。しかし、「撤退作戦」では、兵の士気は高くはないことが多い。任務を完遂しての撤退であれば、兵の士気はかなり高いものの、負け戦や劣性での撤退での士気は最悪になるケースが多い。撤退作戦の失敗で大きな犠牲を被った例は枚挙に暇がない。ベトナム戦争での米軍のサイゴンからの撤退のシーンは多くの人達の記憶にあると思う。ソ連のアフガン侵攻でも、グルジョア侵攻でも、現地からの撤退の際には、同じような事が起こっている。それぞれの状況は、全くことなっているものの、「撤退作戦」の難しさを物語っていることは確かである。今回の米軍のアフガンからの撤退は、米国(米軍)が任務を完遂しての撤退(やるべきことを全てやり終えた後の撤退)ではない。そうであれば、今回の「撤退作戦」計画は、米軍内で、どの様に検討され、大統領にどのように報告されたのだろうかと疑問が残るところである。3.米国は自国を守る意志のない国は守らないバイデン大統領は、今回のアフガンからの米軍の撤退に関して「米国にとって正しく賢明で裁量であった」と繰り返している。バイデン大統領の一連の記者会見で、ガニ大統領下のアフガン政府やアフガン政府軍に関し、「自国を守る意志のない国で、どうして米国の若い兵士が血を流さないといけないのか」と述べ、今回の米軍のアフガンからの撤退の正当性を主張している。極めて当たり前のことである。報道によれば、ガニ大統領は早々に国外脱出を図ったとの事である。その後、政府軍が瓦解し、あっという間に首都カブールが陥落した。軍においては、戦う意志が大切であり、その意志は、最高司令官から最前線の兵士まで共有されるべきものである。また、自国を守る意志がない国は、如何に同盟国であっても守ってくれない。「同盟国とは、一緒に戦うが、一緒に倒れることはない」とのドゴール大統領の言葉を忘れてはいけない。我が国も、このことをしっかりと認識しておくべきである。4.我が国の今回の対応は我が国はアフガンに所在する邦人救出の為、8月23日に国家安全保障会議を開催し、自衛隊機の派遣を決定した。派遣が決心されて以降、美保基地のC-2輸送機1機は当日夕刻にパキスタンへ向け飛び立ち、翌日の24日に小牧基地のC-130輸送機2機が後を追った。決断から離陸までの時間が極めて短く、自衛隊の即応態勢の素晴らしさに感心された人も多いのではと感じている。但し、結果論ではあるが、現地日本大使館の日本人大使館員は8月17日、英国の輸送機で国外退去している。派遣された自衛機での退避は、1名の日本人を含む15名にとどまった。政府部内や外務・防衛省で、どのような検討や調整が行われたか知る由もないが、今後、内部で検証し、法的な改正も含め体制を作ることが望まれる。(令和3.9.6)岩崎茂(いわさき・しげる)1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。写真:ロイター/アフロ <RS> 2021/09/07 13:58 注目トピックス 経済総合 オリエンタルランドのプット型eワラントが前日比3倍超えの大幅上昇(7日10:40時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしては日経平均コール2133回 9月 28,500円、オリックス<8591>プット174回 10月 1,950円、日経平均コール2132回 9月 27,000円などが見られる。上昇率上位はオリエンタルランド<4661>プット126回 9月 16,000円(前日比3.3倍)、村田製作所<6981>コール209回 9月 10,100円(前日比2.2倍)、イビデン<4062>プット90回 9月 6,100円(+60.0%)、キーエンス<6861>コール134回 9月 66,000円(+53.6%)、日立建機<6305>プット76回 9月 3,400円(+43.2%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/07 10:52 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は横ばいでスタート、引き締めスタンスが引き続き足かせ 7日の上海総合指数は横ばいでスタート。前日比0.00%安の3621.71ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時40分現在、0.02%安の3621.08ptで推移している。各分野に対する当局の引き締めスタンスが引き続き足かせになっている。一方、景気対策への期待が高まっていることが支援材料。劉鶴・副首相は6日、「民間経済を支援する必要がある」と発言した。 <AN> 2021/09/07 10:48 注目トピックス 経済総合 歓迎、英国海軍空母「クイーン・エリザベス」【実業之日本フォーラム】 2021年9月4日午後、英国海軍の空母「クイーン・エリザベス」(排水量約6万5千トン、全長約280メートル、乗員約1,240人)が米海軍横須賀基地に入港した。ロイターによると、英国のジュリア・ロングボトム駐日大使は、「空母クイーン・エリザベスの日本訪問でインド太平洋地域での英国の存在感が強まり、英日のパートナーシップがさらに引き上げられる」と空母寄港の意義を述べている。岸防衛大臣は8月27日の記者会見で「英空母打撃群とは、7月11、12日にアデン湾において海賊対処共同訓練を実施したほか、8月24日には『米国主催大規模広域訓練2021(LSGE20121)』の後段部分において、初めて日本周辺で共同訓練を行った。さらに8月25、26日に海上自衛隊は『パシフィック・クラウン21−1』として英空母打撃群と沖縄南方海空域で共同訓練を実施した。海上自衛隊から「いせ」「あさひ」、英空母打撃群からは空母「クイーン・エリザベス」のほか駆逐艦「ディフェンダー」、その他米海軍の駆逐艦、オランダ海軍のフリゲート艦などが参加した。本訓練を通じ戦術技量の向上や各国との連携強化を図り、日英防衛協力が新たな段階に入ったこと、FOIP(Free and Open Indo-Pacific)の維持強化のため英国の関与が強固かつ不可逆的であり、わが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域と国際社会の平和と安全の確保に資するものであることを示せた」と今回の英空母打撃群の寄港や共同訓練実施の意義を強調した。英国政府は、2021年3月16日、欧州連合(EU)離脱後の安全保障、防衛、技術開発及び外交に係る今後の方針をまとめた「統合レビュー( Global Britain in a competitive age、The Integrated Review of Security, Defence, Department and Foreign Policy)」を公表し、英国の防衛は本国及びその周辺を重視しつつ、インド太平洋地域への関与を深める方針を打ち出した。2017年8月には、来日した当時のテリーザ・メイ首相が、安全保障協力に関する日英共同宣言において「日英両国は、戦略的利益並びに自由、民主主義及び法の支配といった基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであることを確認し、アジア及び欧州におけるもっとも緊密な安全保障上のパートナーとして国際システムを維持すべく指導力を発揮していく」と力強いコミットメントを発表している。日英両政府は、2015年から4回の「外務・防衛閣僚会合(2プラス2)」を開催し、2017年1月には「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結した。今後は、日豪ではすでに合意している「円滑化協定」の締結が望まれる。「日英円滑化協定」とは、自衛隊と英国軍がそれぞれの国への入国に際し、武器の持ち込み、税制、司法等を対象に双方の活動に対する法的手続きなどの枠組みを定めることであり、これにより、より円滑な部隊運用と日英間の安全保障関係の強化が期待できる。今回の英空母「クイーン・エリザベス」のインド太平洋方面への行動は、中国の力による一方的な現状変更の試みに強く反対し、「航行の自由」を守り、国際秩序を損なう行為を許さないという決意の表れと見ることができないだろうか。1902年に締結された「日英同盟」は両国に大きな恩恵をもたらした。憲法やさまざまな制約により短期間で「第2次日英同盟」を締結するまでに至るのは困難だが、今回の英空母「クイーン・エリザベス」の寄港を契機に、対中抑止力という観点においても、日英両国の安全保障に関する協力関係がさらに大きく進展し、強固なものになることを期待したい。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:Keizo Mori/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/09/07 09:27 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、景気対策への期待などで 6日の上海総合指数は売り先行。前日比0.04%安の3580.14ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時46分現在、0.08%高の3584.46ptで推移している。景気対策への期待が指数をサポートしている。また、米早期の金融引き締めに対する懸念が後退していることも支援材料。一方、各分野に対する当局の引き締めが指数の上値を抑えている。 <AN> 2021/09/06 10:51 注目トピックス 経済総合 アルプスアルパインを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(6日10:02時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ野村ホールディングス<8604>コール328回 9月 575円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、イーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、日経平均 マイナス3倍トラッカー73回 9月 35,000円、日経平均コール2129回 9月 22,500円などが見られる。上昇率上位はアルプスアルパイン<6770>コール59回 9月 1,150円(+46.6%)、KDDI<9433>コール232回 9月 3,400円(+45.8%)、コナミホールディングス<9766>コール61回 9月 6,500円(+36.3%)、日本郵船<9101>コール131回 9月 7,200円(+32.0%)、SMC<6273>コール41回 9月 66,000円(+29.9%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/06 10:21 注目トピックス 経済総合 NYの視点:今週の注目:米失業者緊急支援策失効、ベージュブック、ECB定例理事会、加中銀、豪準備銀 短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前々週から減少した。ユーロの買い持ちも減少。今週は欧州中央銀行(ECB)の定例理事会に加え、豪州準備銀やカナダ中銀などが金融政策決定会合を開催する。また、英国は国内総生産(GDP)を発表。ECBは定例理事会で新たな経済予測を発表する。最近の経済指標の予想以上の回復を受け、成長見通しを引き上げる見通し。また、高インフレを受けて、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の減速を第3四半期から開始すると見られており、ユーロを押し上げる。一方、中銀が先進諸国の中で先陣を切り緩和縮小を開始したカナダの経済は4-6月期に予想外のマイナス成長に落ち込んだ。速やかな利上げ観測も後退。中銀の景気見通しなどに注目される。米国では、新型コロナウイルスのデルタ変異株が消費の重しとなっており、8月の消費者信頼感指数は6カ月ぶり低水準に落ち込んだ。加えて、政府がパンデミック救済策の一環として実施していた一連の失業者緊急支援措置が6日に失効するため、一段の落ち込みが警戒される。市場エコノミストは7-9月期の国内総生産(GDP)の成長見通しを従来の6%前後から3%前後にほぼ半分に引き下げている。低調な8月雇用統計で、回復ぺース減速懸念をさらに強め短期的なドル売り圧力となっている。7月JOLT求人件数でさらに米国の労働市場のスラックを探る。そのほか、生産者物価(PPI)でインフレ動向を確認。8月雇用統計で賃金が予想を上回る上昇を示したためインフレ懸念も強まりつつある。さらに、バイデン大統領は今週中に、FRBのパウエル議長を再任するかどうかを決定する計画。パウエル議長はイエレン財務長官の支持を受けているが、下院の革新派による批判に直面。大統領が次期議長に民主党員のブレイナード理事を指名する可能性も残る。米労働省が発表した8月雇用統計で失業率は5.2%と、予想通り7月5.4%から低下しパンデミックで経済が封鎖した昨年3月以降で最低となった。一方、非農業部門雇用者数は前月比+23.5万人。伸びは7月+105.3万人から予想以上に縮小。しかし、6月と7月の2カ月で13.4万人の上方修正さたほか、3カ月平均も+75万人と依然強い。8月の雇用は学校や工場が夏季休暇中であり、例年弱い傾向があるため1カ月の指標で雇用状況を判断するのは時期尚早との見方も多い。また、FRBは度々QEと利上げを切り離すとしており、たとえ発表が遅れたとしても、FRBが年内に資産購入縮小を開始する軌道に変更はないと見られる。■今週の主な注目イベント●米国6日:レーバーデーで休場8日:7月JOLT求人件数、地区連銀経済報告(ベージュブック)、カプラン米ダラス連銀総裁討論会参加9日:新規失業保険申請件数10日:8月生産者物価指数●欧州6日:独製造業受注7日:ユーロ圏GDP、独港工場生産、ZEW9日:ECB定例理事会、ラガルド総裁講演●英10日:GDP●豪州7日:豪州中銀、金融政策決定会合●カナダ8日:カナダ中銀、金融政策決定会合、マックレム加中銀総裁会見●中国7日:貿易収支9日:PPI、CPI <FA> 2021/09/06 07:38 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:日本の4-6月期GDP改定値は上方修正の可能性 9月6日-10日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。■7日(火)発表予定時間は未定○(中)8月貿易収支-予想は547億ドルの黒字(米ドルベース)参考となる7月の貿易黒字額(ドルべース)は、565.9億ドル。輸出は前年比+19.3%、輸入額は同比28.1%。輸出は伸び悩んでいるが、鉱物資源の輸入減少などで輸入額の伸びは鈍化しており、貿易黒字額は増加している。8月については輸出額の伸びは鈍化傾向にあることから、貿易黒字額は7月実績を下回る可能性がある。■9月8日(水)午前8時50分発表予定○(日)4-6月期国内総生産改定値-予想は前期年率+1.6%財務省が9月1日発表した4-6月期法人企業統計調査によると、企業設備投資はまずまず堅調。改定値で個人消費が上方修正される可能性は低いが、設備投資の伸びが想定されており、速報値の前期比年率+1.3%から上方修正される可能性がある。■9日(木)午前10時30分発表予定○(中)8月消費者物価指数-予想は前年比+1.1%参考となる7月実績は前年比+1.0%。同月の生産者物価指数は前年比+9.0%の高い伸びを記録したが、消費者物価指数は低い伸びにとどまっている。この状況は8月も特に変わっていないことから、消費者物価指数の上昇率は7月並みの水準にとどまる見込み。■9月9日(木)午後8時45分結果発表○(欧)欧州中央銀行理事会-予想は金融政策の現状維持ECB理事会メンバーであるオーストリア中央銀行のホルツマン総裁は、今回開催の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の縮小について検討できる状況になっているとの見方を示した。金融政策は現状維持の公算だが、ECBは金融緩和策の段階的な縮小に向けて動き始める。○その他の主な経済指標の発表予定・9月7日(火):(豪)豪準備銀行政策金利発表、(独)7月鉱工業生産、(欧)4-6月期ユーロ圏域内総生産確定値・9月8日(水):(日)7月経常収支、(加)カナダ中央銀行政策金利発表・9月9日(木):(独)7月経常収支・9月10日(金):(英)7月鉱工業生産、(米)8月生産者物価指数、(加)8月失業率 <FA> 2021/09/04 14:27 注目トピックス 経済総合 ブロックチェーン国内企業(2) 本稿は、「ブロックチェーン国内企業(1)」の続編であり、今後飛躍が期待される日本国内のブロックチェーン企業のうち資金調達額の多い企業について紹介している。■フィナンシェ個人の夢やスキルを財産にして取引することが出来るソーシャルネットワーク「FiNANCiE」の運営を行う。「FiNANCiE」は、その人のスキルや夢を支援するソーシャルネットワーク。オーナーとして認定された個人が発行するトークンを購入して、その個人に必要な資金を提供することが可能である。また、購入したカードはサービス内で取引することができ、その保有記録は全てブロックチェーン上に記載される。そのため、保有する証明は常に公開され、不正に改ざんされないようになっている。日本では円のみの売買であるが、今後展開するグローバル版では同サービス上のトークンを外部仮想通貨取引所で取引をすることも出来るようになるという。売り出しの仕組みは、一部のユーザーによる買い占めを避けられるように設計されており、ユーザーが継続的な支援を行えるようになっている。2020年4月に、プロサッカー選手の長友佑都氏、メルカリ共同創業者の石塚亮氏、アル創業者の古川健介氏(けんすう氏)及びD4V、他既存投資家を引受先とする第三者割当増資により、総額2億4,000万円の資金調達を実施した。2021年8月には、NFT企画において、西野亮廣氏の新作絵本「みにくいマルコ」のNFTが、オークションにて合計約14.2ETH(約400万円)で落札されるなど、注目度も高まっている。資金調達額: 632百万円設立年数 : 2019年1月23日HP    : https://www.corp.financie.jp/■Scalar独自の分散型台帳ソフトウェア「Scalar DLT」を提供する。「Scalar DLT」は、分散データベースソフトウェアである「Scalar DB」と分散型台帳ソフトウェアである「Scalar DL」から構成され、電子署名が付与されたスマートコントラクトを分散トランザクションの形式で実行し、その実行結果を複数の独立したコンポーネントで連鎖的に管理することにより、高い耐改ざん性を有しつつ、従来のブロックチェーンにでは実現が困難であった高いスケーラビリティ、強い一貫性、確定性を実現する。2018年10月に、高い改ざん耐性とスケーラビリティを有するデータベースソフトウェアであるScalar DLTを活用して、個人情報を管理する情報銀行向けソリューションの開発に着手した。また、AI・IoT・ブロックチェーンといったテクノロジを用いた革新的なプロダクト/ソリューションを持つスタートアップ企業を対象に、日本マイクロソフト社が主催するピッチコンテスト「Microsoft Innovation lab Award 2019」において、優秀賞を受賞した。資金調達額: 647百万円設立年数 : 2017年12月19日HP    :https://scalar-labs.com/■chaintopeブロックチェーン開発プラットフォーム「Tapyrus」やブロックチェーンを利用したトレーサビリティアプリケーション「Paradium」などを提供する。「Tapyrus」は、誰でもネットワークに参加できると同時に、より効率的かつ迅速に社会実装を進められるようなガバナンス設計がなされたパブリック・ブロックチェーンである。複数企業により利用される単一のブロックチェーンとして、商用化が期待されている。「Paradium」は、トレーサビリティーシステムを構築することでサプライチェーンを可視化するサービスである。製品の真贋性の担保や偽造商品の防止、在庫量の最適化などの課題を解決している。2021年1月には、行政データのデジタル化を実現するための基盤となる「トラストシステム(認証局)」の構築及び運用体制の構築を飯塚市(福岡県)にて社会実験を行った。また、8月には佐賀市がブロックチェーン技術を活用したリアルタイムでの環境価値の電子証書化に自治体で初めて成功した。資金調達額: 380百万円設立年数 : 2016年12月27日HP    : https://www.chaintope.com/team/#info■double jump.tokyoブロックチェーンゲーム専業開発を手掛け、ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」などの提供を行う。「My Crypto Heroes」はイーサリアムベースで作られたワーカープレイスメント型RPGである。歴史上のヒーローを集め、進めていくことによってチームを強化でき、サービス内には“GUM”と呼ばれる通貨でアイテム獲得や、ヒーローの強化ができる。これらはサービスのログインや、バトルでの勝利で得られるだけでなく、イーサリアムでの購入も可能である。2018年11月30日の正式サービス開始直後より、イーサリアムベースのブロックチェーンゲームとして、取引高・取引量・DAUで世界1位を記録した。他にも、NFTのプロデュースと発行販売サポート事業を手がけている。2021年4月には、NFTを核にエンターテイメントのDXを推進する、NFT事業支援サービス「NFTPLUS」の発表や、ゲーム大手セガサミーホールディングスとブロックチェーンの技術を活用したNFTデジタルコンテンツのグローバルでの展開について、資本業務提携を実施した。将来的には、ユーザーが所有するNFTコンテンツを有効活用できる方法なども模索していく方針だという。資金調達額: 296百万円設立年数 : 2018年4月3日HP    : https://www.doublejump.tokyo/■Nayutaビットコインの処理能力向上を目指す2ndレイヤーソリューション「Lightning Network」の研究開発を行う。「Lightning Network」はビットコインの決済処理能力向上の手段として期待されている。同社は早い時期から同技術の研究開発を開始し、世界的に競争力のある企業である。2019年4月に、Lightning Networkソフトウェア「Ptarmigan」のメインネット版 (Reckless version)をリリースした。2021年2月には、「Nayuta Core」のアルファ版をGoogle Playで正式にリリースした。Nayuta Coreとは、Lightning Network上でノンカストディアルなリアルタイムのストリーミング決済を可能にするモバイル型Lightning Networkノードサービスである。ユーザーにLightning決済のチップを与える人気ビットコインゲーム「SaruTobi」でのアルファテストでは、すでにNayuta Core経由で1日に8,500件以上のLightningトランザクションが処理されており、Lightning Networkの効率性と実用性が証明されている。まだオープンアルファの段階にあるが、近い将来、より多くのアップデートと改善を展開していく予定である。資金調達額: 280百万円設立年数 : 2015年3月13日HP    : http://nayuta.co/■Ginco仮想通貨領域における事業を展開し、仮想通貨ウォレットアプリ「Ginco」を運営する。不正出金の被害を抑える解決策として注目されているのが、ウォレットである。ハッカーは流通額が多い取引所を狙う事が多いとされているが、ウォレットを持ち、個人が管理する事でハッキングされるリスクをある程度下げる事ができる。その中でも同社はクライアント型ウォレットという形のものを採用しており、資産の認証コードである秘密鍵をサーバー内で集中的に管理を行わないために、ハッキングされるリスクをさらに下げる事ができる。会社設立からわずか1ヶ月、ティザーサイトが立ち上がってからまだ数日という状況で事前登録者が1000人を超えており、急拡大する仮想通貨市場においてニーズが高い事を示している。2019年2月には、日本マイクロソフトと連携し、ブロックチェーンサービス事業者向けにクラウド型ブロックチェーン環境「Ginco Nodes」を開発していくと発表した。2020年4月にはプレシリーズAラウンドでDBJキャピタルから資金調達を実施した。この出資により、同社の強みであるセキュリティ・暗号技術などのテクノロジーと業務適用性の高いプロダクトデザインを活かして、ブロックチェーンの社会実装を進展させることが期待される。資金調達額: 170百万円設立年数 : 2017年12月21日HP    : https://ginco.co.jp/company/■スマートアプリNFTマーケットプレイス「nanakusa」を運営する。「nanakusa」は、公認されたコンテンツホルダーやNFT販売事業者、個人活動するクリプトアーティストが制作したNFTの販売(一次販売)及び、利用者同士が保持しているNFTを売買(二次販売)できるNFT売買プラットフォームサービスである。また、同サービスで実績のあるNFT発行、出品、購入や管理機能など全ての機能を提供し、コンサルティングとして戦略立案からリリース後の運用まで一貫してサポートする「NFT Consulting」も提供している。その他、スマートフォン向けDAppsブラウジング機能を備えた仮想通貨ウォレットアプリ「GO!WALLET」や、ブロックチェーン事業者向けプラットフォームサービス「GO BASE」などを運営している。2021年5月には、i-nest capitalを引受先とした第三者割当増資の実施を発表した。i-nest capitalのネットワークや支援実績を活かし、事業者向けNFTマーケットプレイス事業も加速させる予定である。資金調達額: 124百万円設立年数 : 2015年5月1日HP    : https://smartapp.co.jp/#company <RS> 2021/09/03 16:07 注目トピックス 経済総合 ブロックチェーン国内企業(1) 暗号資産(仮想通貨)に対する企業、消費者からの需要が増加していることを受けて、ブロックチェーン企業への投資が拡大している。2021年1~6月期の暗号資産・ブロックチェーンへの投資額は過去最高を更新し、世界的に暗号資産取引への関心が高まっている。ブロックチェーン企業による資金調達額は年々増加しており、既存の金融機関もこの分野に資金を投じている。矢野経済研究所の調査によると、2022年度の国内ブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は1,235億円に達すると予測されている。そこで、今後飛躍が期待される日本国内のブロックチェーン企業のうち資金調達額の多い企業について紹介したい。■ビットキーブロックチェーン技術を基盤としたスマートロックサービス「bitlockシリーズ」を提供している。ブロックチェーン技術から着想を得て「bitkey platform」という独自の自律分散型システムを開発した。この技術を活用したスマートロック「bitlock」は、鍵をデジタル上で安全にシェアすることを可能にしており、配送業界をはじめとする多くの業界・企業と連携した「トビラエコノミー」の創出を目指している。2019年4月には月額500円から利用できるスマートロック「bitlock LITE」、2019年7月には集団玄関のオートロックドア向けスマートロック「bitlock GATE」の発売を開始した。2020年10月には働く空間において、人と仕事の間のあらゆるものをつなげ、働き方に即した体験を提供することができるコネクトプラットフォーム「workhub」の提供を開始している。2021年6月には、32億円超の第三者割当増資を実施し、累計資金調達は、約90億円を突破した。今回の資金調達の中には、プライムライフテクノロジーズ、パナソニックのハウジングシステム事業部、東京建物、日鉄興和不動産、オカムラとの資本業務提携も含まれている。今後、出資企業や資本業務提携先企業との事業共創により、「homehub」「workhub」の価値をより一層高め、より力強く事業を推進していく方針である。資金調達額: 9,753百万円設立年数 : 2018年5月16日HP    : https://bitkey.co.jp/about/■LayerXクラウド型経理DX支援システム「LayerX インボイス」の運営や、ブロックチェーン関連事業、金融機関向けコンサルティングを手掛ける。「LayerX インボイス」は請求書の受け取りから経理の会計処理・支払処理までを一気通貫で自動化することができるサービスである。クラウドで完結するので、テレワークでも請求書処理を進めることが可能である。2021年8月には、オービックビジネスコンサルタントが提供する、財務会計システム「勘定奉行クラウド」とのAPI連携を開始した。同社はその他AI、ブロックチェーン技術を用いた様々なサービス、プロジェクトを展開し、経済活動のDX化を推進している。「Layer X」は、ブロックチェーンのプロトコルレイヤーの研究開発や金融機関向けコンサルティング、システム開発・企画・運用などでいくつかの実績を残している。2020年5月に、ジャフコ、ANRI、YJキャピタルを引受先とする約30億円の資金調達を実施した。2020年12月には、日本ブロックチェーン協会主催のBlockchain Awardにて2020年のブロックチェーン関連で一番注目を浴びた企業として「Blockchain Company of the Year」を受賞した。資金調達額: 3,009百万円設立年数 : 2018年8月1日HP    : https://layerx.co.jp/#company■エクシア・デジタル・アセット(旧LastRoots)日本発の暗号資産「c0ban(コバン)」と「c0ban」を取引できる日本で唯一暗号資産取引所「c0ban取引所」などのサービスを展開する。「c0ban取引所」は、2019年11月に暗号資産交換業の登録事業者となり、利用者保護を第一に、内部統制・業務運営体制の強化を図ることで、ユーザーにとって快適かつ安心な取引環境の提供を行う。その他「c0ban」と動画広告を組み合わせたサービス「こばんちゃんねる」を提供している。同サービスは動画を完全視聴するだけでコバンがもらえる。ユーザーは広告主が設定した予算のコバンを獲得でき、一方で広告主側はユーザーが完全視聴した場合に限り、「c0ban」の配布という形で広告費が発生する仕組みである。2020年10月、これまで親会社だったオウケイウェイヴからエクシアに株式譲渡を行い、同時に5億円の第三者割当増資を実行した。金融領域で急成長を遂げているエクシアとのパートナーシップにより、更なる「c0ban」ホルダーの増大、取引量の拡大、流通価値の上昇を図りながら、暗号資産交換業者としての発展を目指していく方針である。資金調達額: 2,159百万円設立年数 : 2016年6月2日親会社  : エクシアHP    : https://www.exia-da.jp/■StartBahnオンライン上でアートを流通させるサービス「Startbahn」を運営する。「Startbahn」はアート作品の登録・売買機能を提供すると同時に、ブロックチェーンの技術を用いて改ざんや紛失することなく、作品証明書発行・来歴証明が可能なサービスである。作成した作品証明書・来歴の記録は同サービス以外の場でも権利移転ができる。従来の、自身の作品が今誰の手に渡っているのか分からないといった作者の問題を解決し、永遠に作品の価値が残り続ける世界を実現している。エンタープライズ向け領域では、「SBIアートオークション」やウェブメディア美術手帖の出版企業「BTCompany」などに対しサービス提供を行なった実績を持つ。2021年5月には、みやこキャピタル、東京大学エッジキャピタルパートナーズおよび複数の投資家を引受先とした第三者割当増資、および新株予約権付社債の発行によって、11億2,000万円を調達した。この調達により、アート作品の信頼性を守るためのブロックチェーン証明書「Cert.」の仕組み強化と国際的な普及を推進していく予定である。世界的に見ても、アート×ブロックチェーン領域に取り組むスタートアップは珍しく、またアートは真贋証明や流通の透明性の部分でブロックチェーンの応用が期待される分野でもあるため、今後の同社の成長に大きな期待が集まる。資金調達額: 1,350百万円設立年数 : 2014年3月26日HP    : https://startbahn.jp/■Stake Technologies日本初パブリックブロックチェーン「Plasm Network」などの開発を行う。「Plasm Network」はパブリックブロックチェーンの直面している大きな課題である相互運用性(インターオペラビリティ)とスケーラビリティ(処理性能)の解決を目指す日本初のパブリックブロックチェーンである。2021年6月に、Fenbushi Capital、Hypersphere Ventures、エンジェル投資家、Web3財団の助成金により総額約11億円の資⾦調達を実施した。調達した資⾦はプロダクト開発や国際的な人材採⽤、パブリックブロックチェーンエコシステムの拡⼤に充てる方針である。2021年7月には、異なるブロックチェーンを接続し相互運用性を提供する「Polkadot」の実験的ネットワークとして利用されるKusama Networkにて世界で3番目に接続に成功した。資金調達額: 1,596百万円設立年数 : 2019年1月HP    : https://stake.co.jp/company#company■テコテック自動でトレード記録・分析ができるアプリ「カビュウ」をはじめとして、ブロックチェーン事業や決済認証システム事業を手がける。「カビュウ」は、ユーザーが利用中の証券口座のログインIDを登録しておくだけで毎日自動で株式の売買履歴や資産推移を可視化できるアプリケーションである。取引結果の記録だけでなく、豊富な分析機能や複数の証券口座に対応できるという特徴を持っており、個人投資家にとって使いやすいUIUXを提供している。2021年7月には、同サービスに適時開示情報の提供を開始した。これによって、株価の変動に大きく影響を及ぼす可能性がある“決算短信”、“業績予想の修正”、“配当予想の修正”などの適時開示情報をアプリですぐに確認することが可能になった。また、2021年4月より、ブロックチェーンゲーム開発を支援するNFT特化型SaaS「Spize」を提供している。8月からは、バージョンアップによりゲームとの連携のみならずECサイトやオークションサイトとも連携可能となり、NFTをプライマリー販売できるだけでなくNFTのセカンダリーマーケットを展開できるようになった。資金調達額: 1,290百万円設立年数 : 2007年12月28日HP    : https://www.tecotec.co.jp/■Orb独自のブロックチェーン技術「Orb DLT(オーブディーエルティー)」を活用した決済ソリューション技術を手掛ける。「Orb DLT」は、独自の分散台帳技術をベースに、様々な性格の独自通貨を複数発行し、ユーザー間の送金や実店舗等での決済などに利用可能なプラットフォームである。通貨にはボーナスポイント付与や減価、タイムセール、他コインへの変換等の様々な動きを持たせることが出来るため、様々なコミュニティ・地域などでニーズに合わせた通貨設計が可能である。2018年には、UCカードと連携して、お台場で利用可能な地域通貨「 UC台場コイン」、SBIホールディングスと連携して、六本木で利用可能な「Sコイン」の実証実験を実施した。2021年より親会社トラストバンクのデジタル地域通貨プラットフォームサービス「chiica(チーカ)」の決済基盤にも、同社が提供する「Orb DLT」を活用してサービス提供が開始された。今後も多くのコミュニティ通貨・地域通貨・ポイント・社内通貨決済等にて利用されていくことを目指すという。資金調達額: 857百万円設立年数 : 2014年2月18日親会社  : トラストバンクHP    : https://imagine-orb.com/「ブロックチェーン国内企業(2)」へ続く <RS> 2021/09/03 16:06 注目トピックス 経済総合 連載コラム:日本のペイパル・マフィア第1回 絶望から希望に転じた「日本の未来」【実業之日本フォーラム】 今から20年ほど前、私は投資家として、日本に絶望的な気持ちを抱いていました。その頃の私は外資系運用会社で働いていたため海外出張が多く、ベンチャーブームに沸くアメリカの様子を目の当たりにしていました。2000年前後は、インターネットの普及とともにGoogleやNetflix、Facebookといった企業が誕生し、AppleやMicrosoftなどIT業界の老舗企業が再生していった時代です。当時のアメリカでは、ハーバード大学やスタンフォード大学、コロンビア大学などを卒業した優秀な学生たちのトップ層が自分で起業したりベンチャー企業に入ったりするようになっており、その次の層がコンサルティング会社や投資銀行に行き、次の層が中堅企業に行き、大企業を選ぶのはさらに下の層という状況になっていました。私が興味深く見ていたのは、成功した起業家たちが後に続く起業家を支援し、多様な新興企業が続々と誕生していく姿です。中でも、1998年にピーター・ティール、イーロン・マスク、マックス・レブチン、ルーク・ノセック、ケン・ハワリーらによって創設されたPayPalは、その後、ベンチャー業界を大きく盛り上げる存在となりました。2002年のeBayによる買収をきっかけにPayPalを離れた人材は、YouTubeやLinkedIn、Yelpなどの新たなビジネスを次々に生み出していっただけでなく、ベンチャーキャピタリストとなってPayPal出身者などの起業を支援していく役割も担ったのです。PayPal設立初期の社員たちは、その結束力もあってか、後に「ペイパル・マフィア」と呼ばれるようになりました。一方、20年前の日本では、最優秀層は官庁か大企業に就職するのが当たり前という状況でした。起業家は「うさんくさい人」で、まともな大人が選ぶ道ではないという考えが主流だったといえます。急激に変化を遂げるアメリカの状況と比較すると、変化の兆しが見えない日本では、明るい未来を思い描くことはできませんでした。実際、その後の20年間の日米の違いは時価総額上位銘柄の顔ぶれに現れています。2000年12月末時点と2020年12月末時点でTOPIX時価総額上位ランキングを見ると、いずれも通信会社、自動車メーカー、電機メーカー、メガバンクなど、いわゆる「一流大手企業」がずらりと並んでいます。一方アメリカでは、2000年の上位5社が2020年にはすべて入れ替わり、Apple、Microsoft、Amazon.com、Alphabet(Googleの持株会社)、Facebookが並んだのです。2000年当時に私が持っていた日本に対する非常に暗い見通しは、残念ながら的中してしまったといえます。しかし今、私は日本の未来について明るい見通しを持っています。それは、2000年ごろにアメリカで起きた変化と似たような動きが日本でも見られはじめているからです。近年は日本でも、ベンチャー企業が上場し、起業家が社会的にも経済的にも成功するケースを目にすることが増えています。また超優秀層の中で、大企業や官庁には目もくれず起業にチャレンジする人も目立ってきました。心強いのは、いまの若手起業家の少し上の世代に、IT業界で起業して成功した人がたくさんいることです。その中には、成功によって得た資金をベンチャーに投資して育てようとしている人がたくさんいます。このような「日本版ペイパル・マフィア」ともいえる人たちが存在感を増す中、今の若い世代は、起業に関心を持ち意欲を持ってアプローチすれば、彼らと関係を築いて情報やお金を引き出すことが可能になっているのです。この連載では、私が「日本版ペイパル・マフィア」と位置づける人々について紹介していきます。彼らがいま何を考え、どんな活動をしているのかを垣間見ることで、日本の明るい未来を一緒に感じ取っていければと思っていいます。レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役 会長兼社長 最高投資責任者(CIO)藤野 英人(ふじの・ひでと)国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。「ひふみ」シリーズ最高投資責任者(CIO)。投資啓発活動にも注力し、JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授を務める。一般社団法人投資信託協会理事。近著に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)。 <RS> 2021/09/03 15:00 注目トピックス 経済総合 茹でガエルの平和−緊張を増す日本周辺の安全保障環境−【実業之日本フォーラム】 カエルを熱湯の中に入れると、その熱さに驚いて飛び出るが、冷水に入れ徐々に温度を上げていくと、全く気付かずに茹で上がると言われている。「茹でガエル理論」と言われ、環境変化に対応することの難しさを表す例えとして、ビジネスシーン等でよく使われている。生物学的に正しいかどうかは別にして、変化に伴うリスクを嫌い、安易に旧来のやり方を踏襲することを戒める言葉として説得力を持つ例えである。日本では、1998年桑田耕太郎・田尾雅夫氏共著の『組織論』(有斐閣)において紹介されている。この言葉は、安全保障における現在の日本の状況にも当てはまる。防衛白書や外交青書において「日本周辺の安全保障環境は厳しさを増している」という言葉が使われるようになって久しいが、これを実感としてとらえる日本人は少ない。今年の8月中旬以降、日本周辺において日本を含む各国との海上における共同訓練が実施され、これに対抗する中国人民解放軍の行動も活発化している。英海軍空母クイーン・エリザベスとの共同訓練や、日米印豪の4か国が参加するマラバール等の共同訓練は報道及び公表されており、中国人民解放軍の活動についても、防衛省統合幕僚監部が公表している。しかしながら、これら一連の動きを、日本の安全保障上の脅威が増加していると危機感を伝える報道はあまり目にしない。尖閣諸島周辺において中国の公船が常時行動し、尖閣諸島領海内で漁をする日本漁船の妨害を行っていることは知られているが、これについても、日本の危機であるとの声を上げる人間は多くない。日本人は、本来脅威と感じるべき安全保障上の状況を常態と感じ危機を感じなくなっているのではないであろうか。まさに「茹でガエルの平和」である。最近の中国人民解放軍の活動のうち、注目されるのは8月26日に東シナ海から沖縄本島と宮古島の間を通過し、沖縄南方で活動した「TB−001偵察/攻撃型無人機」である。防衛省公表では「推定」とされているが、公表された写真を見る限り中国「Tengen Technology」社の双発機である「TB-001スコーピオン」に酷似しており、ほぼ間違いないと考えられる。軍事専門誌「JANES Defense News」によると、全長11m、翼長20m、3.2トンのペイロードを持ち、35時間の運用が可能な大型の無人機である。最高高度は9,500m、300km/h以上の速力で飛行する。防衛省が導入予定であるRQ-4グローバル・ホークが全長13.5m、翼長35.4mであるのと比較すると、形状は似ており、やや小型ではあるものの、3倍のペイロードを持つ。今回の写真では確認出来なかったが、爆弾やミサイルを搭載し、攻撃機としての任務を遂行することも可能である。今回防衛省が公表した航跡では、沖縄南方において「ボックス(四角)パターン」の飛行を行っており、これは情報収集を行うための典型的な行動様式である。当日沖縄南方において英空母クイーン・エリザベスを中心とした、日英米蘭共同訓練が実施されており、これらの情報収集を行ったものとみられる。今回の中国無人機の飛行は、従来から指摘されてきた日本の防空に大きな問題点を投げかけている。日本の安全保障を直接支える自衛隊であるが、いわゆる平時における権限は限定的である。自衛隊のあらゆる行動は、内閣総理大臣や防衛大臣の指示や、災害に関しては都道府県知事等の要請を待って初めて可能となる。しかしながら、唯一領空侵犯に関しては、自衛隊法第84条に固有任務として明確に位置づけられ、命令や要請は不要である。航空自衛隊は常時防空レーダーによる空域監視を行っており、領空に近接する可能性のある国籍不明機には、緊急発進により対応しているのは周知のとおりである。緊急発進した空自機は、対象の機種及び国籍を確認した上で、領空に近接するようであれば、無線で警告する。警告に従わずに、更に領空に近接するようであれば、警告射撃を実施、領空に侵入し、我が国に危害を及ぼす可能性が有ると判断されれば、これを撃墜することが国際法上容認されている。航空自衛隊は過去1回だけ警告射撃を行っている。1987年12月、沖縄南方を北東方向に飛行中であった旧ソ連爆撃機2機が北に進路を変え、領空に侵入、沖縄本島上空を通過した際に実施した。旧ソ連爆撃機はそのまま飛び去ったが、日本は外交ルートで強硬に抗議、旧ソ連は航法装置の故障とし、責任者の処罰を行ったと発表している。領空侵犯に対する一連の流れを無人機に当てはめた場合、どうなるであろうか。まず無線による警告であるが、これは無人機に対し行っても意味はない。無人機を運用している人間に警告するとしても、誰が運用しているか不明であり、その連絡先が分かるかという話になると非現実的である。次に領空に近接又は領空を侵犯した場合の警告射撃も意味をなさない。そして最も危惧されるのは、無人機の領空侵犯が意図的なものか、故障か、それともサイバー攻撃によって乗っ取られているのか区別がつかないということである。一方で、無人機であるため、撃墜に対する心理的抵抗感はないことも指摘できる。(2019年6月20日、イランは米軍の無人機をペルシャ湾上空において「領空侵犯」したとして撃墜している。)有人機による領空侵犯と全く異なった手順の策定が必要であろう。2013年に策定された日本の国家安全保障戦略において、日本周辺の安全保障環境を、「パワーバランスの変化に伴い、純然たる平時でも有事でもない事態、いわばグレーゾーンの事態が生じやすく、これが更に重大な事態に転じかねないリスクを有している」と評価している。現在の日本周辺の情勢は、米中対立の最前線となり、勢力拡大の著しい中国海軍に対し、アメリカ一国での対応が心もとなくなり、国際的な協調により、これを抑止している状態である。おりしも米軍のアフガニスタン撤退にみられるように、同盟の「見捨てられるリスク」が顕在化しつつある。防衛力を整備し、米国との共同を強化するのはもちろんのこと、我が国の安全保障環境が厳しい状況にあるという認識を、国民全体が共有する必要がある。現在の国際環境は、我々が「茹でガエルの平和」を享受できるほど安全ではない。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/09/03 14:51 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は買い先行もマイナス圏転落、利益確定売りが優勢 3日の上海総合指数は買い先行。前日比0.16%高の3602.74ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時38分現在、0.11%安の3593.24ptで推移している。上海総合指数がきのう2日まで5連騰しており、足元での高値警戒感から利益確定売りがやや優勢。また、きょう3日夜に米雇用統計の発表を控え、慎重ムードも強い。一方、景気対策への期待が高まっていることが指数をサポートしている。 <AN> 2021/09/03 10:44 注目トピックス 経済総合 日本製鉄に順張りのコール買いが目立つ(3日10:05時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本製鉄<5401>コール251回 10月 2,450円を順張りで買う動きや、原資産の株価下落が目立つファーストリテイリング<9983>プット287回 10月 52,000円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均 マイナス3倍トラッカー72回 9月 31,000円、日経平均 プラス5倍トラッカー76回 9月 26,000円、日経平均コール2129回 9月 22,500円、ビットコイン2021年10月 プラス5倍トラッカー3回 10月 39,500米ドルなどが見られる。上昇率上位はJFEホールディングス<5411>コール147回 9月 1,650円(+32.2%)、日本製鉄コール247回 9月 2,150円(+28.6%)、日立製作所<6501>コール256回 9月 6,600円(+28.6%)、日立建機<6305>コール80回 9月 3,400円(+23.3%)、信越化学工業<4063>コール188回 9月 19,000円(+21.3%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/03 10:36 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米国景気回復に弱気の見方が浮上、8月雇用統計次第で減速懸念強まる可能性も 新型コロナウイルスの変異株流行や長引くボトルネック問題で、米国経済の回復に弱気の見方が浮上し始めている。新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大や高インフレで、消費者マインドが悪化。現況の経済状況に短期的に楽観的な見通しが後退しつつある。最新の小売売上高や消費者信頼感指数も鈍化し、米国経済の7割を占める消費も減速傾向にあることが確認された。加えて、政府が実施しているパンデミック緊急策の一環である失業者臨時支援措置も9月6日に失効する。モルガンスタンレーは7−9月期の国内総生産(GDP)成長見通しを従来の6.5%から2.9%へ大幅に引き下げた。10−12月期は6.7%に据え置き。商務省と類似したモデルを使用しているため市場で注目されるアトランタ連銀の7−9月期GDP成長見通しも従来の5.3%から3.66%へ引き下げられた。他の金融機関も引き上げている。米国8月雇用統計が弱い結果となると、成長減速への懸念をさらに強める。ただ、成長が続く限り、連邦準備制度理事会(FRB)の年内の量的緩和(QE)縮小開始の軌道は変わらない可能性がある。 <FA> 2021/09/03 07:36 注目トピックス 経済総合 NY金は1850ドルブレイクを目指すか? サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『NY金は1850ドルブレイクを目指すか?』と述べています。27日に開催されたジャクソンホール会議について、『米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長の発言は「ハト派的」だった。パウエルFRB議長は講演で、新型コロナウイルス危機を受けて導入したテーパリングについて、景気回復が続けば「年内の開始が適切」との認識を改めて示したものの、具体的な時期には言及しなかった。早期の金融緩和縮小に対する過度の警戒感が後退し、NY金相場は上昇した。』と伝えています。続けて、『市場の次の関心は9月3日発表の8月米雇用統計。31日時点の予想では非農業部門就業者数が前月比80.0万人増(前回は94.3万人増)、失業率は5.2%(前回5.4%)。非農業部門就業者数が低下する見込み。失業率は改善が見込まれているものの、依然として5.0%を上回っていることから、テーパリン開始については慎重になるのではないか』と分析しています。陳さんは、『FRBがテーパリングに踏み出す意向はあるものの、まだ雇用データを必要としていることから、大規模な緩和縮小は今後数カ月間ないと見ていいだろう。そのため、金への見直し買いが入ると思われる』と考察しています。CFTC建玉では、ファンドの買い越しが増加しており、12週ぶりに21万枚を超えました。こうしたことから陳さんは、NY金について、『神経質な展開ながら戻り高値を目指す展開だろう。目先の上値抵抗線である1830ドルをブレイクすれば、1850~1900ドルのレンジに水準を切り上げる可能性が高まろう』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月1日付「NY金は1850ドルブレイクを目指すか?」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/02 17:40

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