注目トピックス 経済総合ニュース一覧
注目トピックス 経済総合
電源開発を対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(23日10:01時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つソフトバンクグループ<9984>コール606回 5月 5,200円を順張り、ファーストリテイリング<9983>プット310回 5月 64,000円を逆張り、楽天グループ<4755>コール341回 5月 975円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはTDK<6762>コール212回 4月 4,150円、住友商事<8053>プット67回 5月 1,900円、Inpex<1605>プット200回 5月 1,150円、WTI原油先物リンク債_2022年6月限コール15回 5月 95米ドルなどが見られる。上昇率上位は電源開発<9513>プット29回 4月 1,300円(+80.0%)、電源開発プット30回 4月 1,500円(+79.0%)、電源開発プット28回 4月 1,100円(+60.0%)、電源開発<9513プット31回 5月 1,250円(+55.9%)、電源開発プット33回 5月 1,850円(+54.5%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/03/23 15:42
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.15%高でスタート、景気対策への期待などで
23日の上海総合指数は買い先行。前日比0.15%高の3264.79ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時41分現在、0.03%高の3260.76ptで推移している。前日の米株高に加え、国内の景気対策に対する期待が高まっていることが支援材料。李克強・首相は主宰した21日の国務院(内閣に相当)常務会議では、景気下支えのため、金融支援を強化する方針が改めて示された。ただ、ウクライナ紛争の長期化懸念が引き続き指数の足かせになっている。
<AN>
2022/03/23 10:46
注目トピックス 経済総合
コラム【新潮流2.0】:侮辱罪(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
◆歳をとったせいか、僕も角がとれて丸くなった気がする。その証拠に最近では「炎上」することがなくなった。以前はSNSなどの書き込みに怒って言い返すと、よく「炎上」したりしたものだった。当時、小学生だった娘に「パパ、もう炎上しないで」と言われたこともあった(2019/7/1「炎上商法」https://media.monex.co.jp/articles/-/11860)。ただ今後は、そもそも炎上のきっかけとなる悪意ある投稿や書き込みも減るのではないか。◆SNSの誹謗中傷対策を強化するため、公然と人を侮辱した行為に適用される侮辱罪が強化される。懲役刑を導入し、法定刑の上限を引き上げる。公訴時効も1年から3年に延びる。専門家はこれが大きいという。発信者情報を突き止めて起訴まで持ち込むのが1年では難しいからだ。3年あればネットの匿名性の陰に隠れ続けることもできなくなるだろう。◆一方で、「なにが侮辱罪にあたるのか」の判断基準にあいまいさが残ることへの懸念もある。取り締まりを恐れて発言が過度に委縮してしまうかもしれない。ネットならではの、自由な談論風発の気概を削いでしまうのはもったいない。誰もが、誰に対しても自由に批判できる社会が望ましい。当たり前のことだが、批判する者はモラルと秩序をもって為すべきであり、批判と誹謗中傷をはき違えるなどあってはならないことである。◆僕も、真っ当な批判なら甘んじて受け入れる。それがまた自分の成長の糧になるからだ。そうはいいながら、最近、自分が丸くなったのはどこかに批判を恐れているからではないかとも思う。「丸くなるな、星になれ」というビールのCMがあった。自分にも当てはまる。丸くなってはいけない。尖ったところを持ち続けなくてはならない。尖ってなければ、刺さらないからだ。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:3/22配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
<FA>
2022/03/23 09:23
注目トピックス 経済総合
NYの視点:5月から2会合連続での50BP利上げ予想も、22年FOMCはタカ派
2022年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するセントルイス連銀総裁のブラード総裁は21日のインタビューで、FRBが利上げにおいて、積極的に動く必要があるとタカ派姿勢を再表明した。できるだけ速やかに政策を中立にする必要があると主張した。他の22年FOMC投票メンバーも、メスター・クリーブランド連銀総裁やジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁といった超タカ派で構成されている。ウォラー理事も先週のCNBCとのインタビユーで、何回か50ベーシスポイントの利上げが必要と主張していた。ほとんどの、FRB高官はできるだけ速やかに政策を中立にすべきと訴えている。FRB高官は中立水準を2%−2.25%前後と見ているようだ。パウエル議長も21日の全米企業エコノミスト協会年次会合での講演で、「迅速に」金利を引上げ、高インフレの定着を回避するために一段と積極的に利上げをすべきだとの考えを示した。議長のタカ派発言を受けて5月FOMCでの50BPの利上げが確実視されつつある。パウエル議長講演前は短期金融市場での5月FOMCでの50BPの利上げ確率は9%に過ぎなかったが、現状では70%近く織り込まれた。議長発言を受けて、ゴールドマンサックスは見通しを修正し、5月連邦公開市場委員会(FOMC)に続き6月も50ベーシスポイントの利上げを予想していることを明らかにした。議長発言で、1月時点の「着実な利上げ」から「迅速な利上げ」に置き換えられたことが50ベーシスポイント利上げのシグナルと指摘している。その後、25ベーシスポイントの4回の利上げで、FFを年末までに2.25%−2.5%に引上げると見ている。23年は3回の25ベーシスポイントの利上げで、長期目標である3%−3.25%を目指すとの見解。FOMCの引き締めペース加速の思惑が当面、ドルの堅調推移を後押しすると見られる。
<FA>
2022/03/23 07:30
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(中国)上海総合指数は0.13%安でスタート、ウクライナ紛争の長期化懸念などで
22日の上海総合指数は売り先行。前日比0.13%安の3249.54ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時47分現在、0.09%安の3250.84ptで推移している。ウクライナとロシアの紛争が長期化するとの不安が足かせになっている。また、原油価格の上昇に伴うインフレ高進の懸念も強まっている。一方、景気対策の期待感が根強いことが指数をサポートしている。
<AN>
2022/03/22 10:53
注目トピックス 経済総合
Inpexを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(22日10:00時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つInpex<1605>コール239回 4月 1,400円を順張り、Inpexコール239回 4月 1,400円を順張り、住友商事<8053>コール68回 4月 2,000円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては三井金属鉱業<5706>コール81回 5月 3,350円、ビットコイン2022年4月 マイナス3倍トラッカー2回 4月 38,000米ドル、日経平均コール2167回 5月 28,500円などが見られる。上昇率上位はInpexコール239回 4月 1,400円(+57.7%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限コール10回 4月 90米ドル(+51.8%)、三菱商事<8058>コール247回 4月 5,050円(+46.5%)、Inpexコール238回 4月 1,250円(+46.2%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限コール9回 4月 85米ドル(+45.2%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/03/22 10:37
注目トピックス 経済総合
「防弾チョッキ提供」とは訳が違う!「ウクライナへの衛星データ供与」を報道してしまう「日本の非常識すぎる行動」
● 「衛星情報の軍事的意味」を知っていますか?3月17日付日本経済新聞の、「ウクライナ、日本に衛星データ要請 情勢見極め政府判断」という報道を見て、筆者は驚愕した。ウクライナは、一方的にロシアの侵攻を受けている。3月16日に、外務省ホームページを確認すると、日本政府は、今回の事態をロシアによるウクライナ侵略と位置付け、ロシアへの金融制裁、「最恵国待遇」の撤回、ビザ発給停止等の措置を講じている。また、ウクライナ国民への支援として、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、天幕、カメラ、医療器材等に加え、少なくとも1億ドル規模の借款を提供するとしている。しかしながら、国家としての衛星情報提供はこれらと全くレベルが異なる問題なのである。日本の一部勢力は、「防衛装備品の無償供与は、憲法9条に違反する」、という主張を繰り広げており、これが世界標準から見れば非常識であることは自明の理であるが、衛星情報の提供が持つ意味についての常識に疑問を持たざるを得ない。前出の報道では、「鮮明な衛星画像は戦況の把握に活用できる。軍事戦略を左右する可能性もあるデータを渡せば、戦争への関与を強めたとも受け止められかねない」、と結んでいる。この表現は、衛星情報の軍事的意味をあまりにも低く見過ぎていると言える。● 車の種類や人数までわかる…!人工衛星が提供する情報は多岐にわたる。位置情報であるGPS信号は我々の生活に深く係わっており、カーナビや航空機の自動操縦、今後一般化する自動車の自動運転等に欠かせない。スマホで待ち合わせ場所の指定や、目当ての店を探すことができるのもGPS情報があるからである。軍事的観点からも自らの位置の確認や、長距離巡航ミサイルの正確な誘導に衛星位置情報は不可欠である。位置情報を提供する測位衛星を保有しているのは、アメリカ、ロシア、中国、欧州であり、日本もGPS情報の補完という位置付けではあるものの、準天頂衛星「みちびき」を運用している。紛争等が生起した段階で、それぞれの測位衛星に妨害が加えられるであろうことは確実視されている。人工衛星は世界規模での通信網の一部にもなっている。軍事的にも、広範囲の活動を行う軍隊の必須機能であり、確実な通信に加え、対妨害性や対傍受性等の機能強化が図られている。汎用性が有る測位衛星や通信衛星に対し、偵察衛星の使用目的は安全保障である。相手が発する通信や電波を探知する「エリント衛星」、光学写真を撮影する「光学衛星」、レーダーで目標を捜索する「SAR(合成開口レーダー)」等がある。光学写真は、かつて人工衛星を回収することにより情報を得ていたため、数日又は数週間前のデータ取得に留まっていた。最近では、衛星からのダウンリンクにより大量のデータを送付することが可能となった。更に、多数の衛星を同時運用することにより、ほぼリアルタイムの情報取得が可能となっている。また、その精度は格段に進歩し、光学画像で30cm、SAR画像で1m以下の分解能を持っている。30cmであれば、車両の種類や人の数まで、1mであれば車両の数といったレベルの識別まで実施できる。光学衛星は夜間又は雲が多い場合撮影できない一方、SAR画像は、分解能が劣るものの、夜間及び雲を透した撮影が可能であることから、通常は両者を組み合わせて運用される。かつて、人工衛星の打ち上げは、リスクと高額な打ち上げ費用から国家が行っていたが、最近ではリスクとコストが低下したことから、民間会社が人工衛星を運用し、撮影をサービスとして請け負うことが一般化している。日本も、政府情報衛星として光学及びSAR衛星を運用するとともに、防衛省は毎年民間会社から画像衛星データを購入しており、平成4年度概算要求では175億円を計上している。● 「人工衛星」は戦争そのものも左右する!現代戦においては、人工衛星は軍事装備の重要な構成要素であり、この優劣は戦争そのものを左右すると言っても過言ではない。中でも、国が衛星情報をどのように入手しているか、その情報がどの程度であるかは高度な秘匿が必要である。衛星情報の入手経路が分かれば、相手は全力でそれをつぶしにかかるであろう。アメリカの情報収集能力は他を圧しており、今回ウクライナ軍がロシア軍に効果的に対応できている可能性があるのも、アメリカからの情報提供があるからと言われている。しかしながら、アメリカは決して情報を提供していることを明らかにすることはない。衛星情報の提供は単に画像を提供する事ではない。衛星が収集する画像情報は、画像だけでは意味を持たない。画像の処理及び識別に加え、他情報と融合して判断することで初めて意味を持つ。今回ウクライナ周辺に展開するロシア軍の車両と称する光学画像が、幾度となく報道等で流された。しかしながら、これらの車両がロシア軍の車両等であることは画像では判断できない。それがいつどこで撮影された写真なのか、地図との比較や他情報と融合して初めて有益な写真となるのである。そして、それはできるだけ直前のものであることが望まれる。1週間前の画像情報を貰っても、その意味は低い。● 「衛星データ提供報道」は日本の国益に反する3月1日に、ウクライナ副首相はツイッターでSAR画像の提供を民間宇宙開発企業や衛星画像サービス会社に求めている。そこで使われている言葉が「actionable intelligence」というものである。見たらすぐに使える、すなわち分析や評価が加えられたSAR画像が必要だとしているのである。衛星データの提供というものは、単に情報を提供するだけではなく、所要の分析力及び他情報との融合、すなわち軍事能力の一部提供を含むものであることは世界の常識である。紛争に関与する覚悟を持って実施すべきものなのである。アメリカが衛星情報を含め、情報支援を行っていることを表沙汰にしない理由はそこにある。今回の報道にある「衛星データ」というものがどの程度のものであるのか不明であるが、もし「actionable intelligence」を含むようなデータを意味するのであれば、これを報道することは日本の国益に反する。日本が衛星情報を提供することは戦争への明らかな加担と捉えられ、ロシアから何らかの報復を受ける可能性もゼロではない。これもまた世界的常識である。機微な衛星情報はその国の軍事力の一部なのである。その提供は防弾チョッキの提供などとは全く違う事を理解しなければならない。ロシアのウクライナ軍事侵攻で国際的緊張感が高まっている。あらゆる事象が情報戦ではないかとの疑いを持ってみられる現在、報道には、日本の常識に染まらない、より慎重な配慮が求められる。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:つのだよしお/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<FA>
2022/03/22 10:10
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原油相場はレンジ相場へ サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、原油についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『原油相場はレンジ相場へ』と述べています。続けて、『先週はロシア産の供給途絶が拡大するとの懸念から原油相場が急騰し、NY原油は7日に一時130ドルを超えた』と伝え、『足元では100ドルを下回っているが、戦争が早期に終わるとの期待が行き過ぎている感もあり、リスクプレミアムが剥落してさらに下落すると予想するのは早すぎるだろう。日米欧はロシアがウクライナに侵攻した2週間以上前からロシアに対し厳しい経済制裁を打ち出した。そのため、日量400万~500万超のロシア産石油の供給が停滞している』と述べています。また、『世界国際エネルギー機関(IEA)は16日、今年の世界の石油需要の見通しを日量9970万バレル(2月時点では1億0060万バレル)に下方修正した。一方で、欧米の対ロシア制裁の影響で、「世界的な石油供給ショックが発生する可能性がある」と警告し、ロシアの産油量は4月以降、300万バレル減少すると予想した』と解説しています。一方で、『このような状況下、米国ではシェールオイルの増産が加速している。今年12月の米原油生産は2月に比べて日量100万バレル以上増える見通しという。これはロシア産原油輸出量の約2割に当たる。ロシア産の取引自粛で原油需給が逼迫するなか、米政府が石油会社に増産を要請した。シェールオイルへの投資も増えており、今年後半には需給状況が変わる可能性がある』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、NY原油について『足元の地政学リスクと供給逼迫懸念が下値を支えるものの、将来の供給増加が上値を抑えるため、原油相場は当面、90~110ドルのレンジで推移しそうだ』と述べています。また、東京ドバイ原油については、『為替が円安に推移していることもあり、6万円台に上昇する可能性もあり、堅調に推移しそうだ。予想レンジは、5万5000円~6万5000円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月17日付「原油相場はレンジ相場へ」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
<FA>
2022/03/22 09:51
注目トピックス 経済総合
NYの視点:5月FOMCでの50BPの利上げ確率6割織り込む、ドル買い支援
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は全米企業エコノミスト協会年次会合での講演で、必要とあればFRBが各会合で25BP以上の利上げを実施することも、中立水準以上に金利を引き上げる可能性もあると、タカ派姿勢を再表明した。需給のひっ迫が過小評価している可能性や、さらに、新型コロナ再流行で経済が封鎖された中国から一段のサプライチェーン混乱を予想していると言及。さらに、ウクライナ戦争も「サプライショック」と警告しており、サプライチェーンの混乱が収束するどころか深刻化、長引く可能性がインフレをさらに押し上げると警戒している。また、長期期待インフレが上昇するリスクも上昇していると指摘。リッチモンド連銀のバーキン総裁も「経済は、もはや積極的なFRBの支援必要ない」としたほか、「インフレは依然、サプライチェーン問題やコロナ、戦争による影響を受けている」、と言及。経済を抑制する水準には程遠く、インフレ抑制で50ベーシスポイントの利上げ可能との見解を示した。米アトランタ連銀のボスティック総裁も全米企業エコノミスト協会年次会合での講演で、できるだけ速やかに金融政策を中立に戻すべきだとの考えを示した。同総裁は年合計6回の利上げを予想しているとしたほか、政策金利であるFF金利誘導目標の中立水準は2.25%前後としている。また、バランスシートを巡り、できるだけ速やかに行動する必要があるとしている。パウエルFRB議長を始めFRB高官のタカ派発言を受けて、米国債相場も続落。10年債利回りは2019年5月来で最高。金利先物市場では5月FOMCでの50ベーシスの利上げ確率は6割織り込みドル買いを支援している。
<FA>
2022/03/22 07:27
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.14%高でスタート、米中関係の一段悪化懸念がやや後退
21日の上海総合指数は買い先行。前日比0.14%高の3255.61ptで寄り付いた後は、日本時間午前11時04分現在、0.12%高の3254.82ptで推移している。米中関係が一段悪化するとの不安が後退していることが好感されている。金融緩和を含む景気対策への期待が高まっていることが支援材料。ほかに、新型コロナウイルス感染の拡大で懸念されている経済活動の縮小不安がやや薄らいだことが指数をサポートしている。
<AN>
2022/03/21 11:10
注目トピックス 経済総合
欧米の注目経済指標:2月の米耐久財受注は反動減の可能性
3月21日-25日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■23日(水)午後11時発表予定○(米)2月新築住宅販売件数-予想は81.4万件参考となる1月実績は80.1万戸。住宅ローン金利と価格の上昇を受けて住宅取得の意欲は低下したことから販売件数(戸数)は12月実績を下回った。2月については、1月に減少した反動でやや増加する可能性がある。ただ、住宅ローン金利は低下していないことから、1月実績を大幅に上回る可能性は低いとみられる。■24日(木)午後6時発表予定○(欧)3月マークイットユーロ圏製造業PMI-予想は56.0供給制約の影響は消えていないこと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻やロシアに対する経済制裁の影響が強まり、欧州経済の減速が警戒されていることから、3月実績は悪化する可能性が高いとみられる。■24日(木)午後9時30分発表予定○(米)2月耐久財受注-予想は前月比-0.6%、参考となる1月実績は予想以上の増加。民間航空機・同部品、機械などの受注増が目立った。企業の設備投資の先行指標とされる「航空機を除く非国防資本財」(コア資本財)の受注も増加。2月については全体の数字は1月の反動で減少する可能性がある。■24日(木)午後10時45分発表予定○(米)3月サービス業PMI-2月実績は56.0参考となる2月実績は56.5。2月は受注が増加したが、投入資材の価格上昇は続いていた。3月についてもこの状況は変わらないが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響が表面化するとみられており、2月実績を下回る可能性が高いとみられる。○その他の主な経済指標の発表予定・22日(火):(欧)1月ユーロ圏経常収支・23日(水):(英)2月消費者物価指数・24日(木):(独)3月マークイット製造業PMI、(欧)3月マークイットユーロ圏サービス業PMI、(米)3月製造業PMI・25日(金):(英)2月小売売上高、(独)3月IFO企業景況感
<FA>
2022/03/19 14:44
注目トピックス 経済総合
BTGを約19%も喪失していた!戦力を失いつつあるロシアが「思うように攻撃できない」驚きのワケ
■「圧倒的な戦力」を保有していたロシアだが…ロシアのウクライナ侵攻から3週間以上が経過した。ベラルーシとの国境からウクライナの首都キエフまでは約100kmの近さにあり、侵攻当初は早期に陥落する危険性が多く指摘された。しかし、現時点でもロシア軍の包囲は完全ではなく、ゼレンスキー大統領も大統領府から国民に対して徹底抗戦を呼びかけている。ロシア軍の補給体制や士気の低下などに問題があることは事実だと考えられるが、それ以上にウクライナ軍の強力な抵抗が侵攻を遅らせていると判断される。2022年版のGlobal Firepowerの戦闘力指数では、ロシア軍がウクライナ軍の6倍以上のポイントを有し、評価された全142か国中の順位でも2位と22位と大きな差があることが明白である。同じGlobal Firepowerのデータに基づけば、ロシアはウクライナに対して人口で約3.3倍、軍務適齢人口で約3.0倍、常備兵力で4.3倍、国防予算で約13.0倍、戦闘機数で約11.2倍、戦車数で約4.8倍、自走砲数で約6.2倍、水上戦闘艦船と潜水艦を総合した艦隊戦闘力指数で約15.9倍と、圧倒的な戦力を保有している。しかし、3月18日の時点でキエフはいまだ陥落せず、ロシア軍の進軍も滞っているようだ。■大隊戦闘群(BTG)に火力増強したものの米陸軍の海外軍事研究室が2016年に発表した、「ロシアの戦法」によれば、ロシア陸軍の攻撃は、装甲化あるいは自動車化狙撃部隊が、統合した火力を集中的に発揮しながら急速に停止することなく敵に接近する要領で行われる。このため、各軍管区に配置されている諸兵科連合軍や戦車軍の中には、作戦の基本となり独立して戦闘を遂行できる自動車化狙撃旅団や戦車師団/旅団が複数編成されている。師団や旅団の中では、戦術的な運用単位である自動車化狙撃大隊や戦車大隊を中心として、自走砲とロケット砲の部隊によって火力を増強された大隊戦闘群(battalion tactical group: BTG)が編成され、運用されている。攻撃では、火力の優越と迅速な機動が最も重視されるため、諸兵科連合軍などには師団や旅団に増強するための火力戦闘部隊が編成されている。さらに、自動車化狙撃旅団の中には、自動車化狙撃大隊や戦車大隊と同数以上の火力戦闘の大隊が編成され、BTGに強大な火力を提供する体制を整えている。また、ランド研究所が2017年に発表した、「ロシアの軍事行動の要領」によれば、ロシアの戦術では依然として、1)火力優越の獲得と維持、2)情報・監視・偵察能力と広範囲を火制する火力プラットフォームの改善、3)機動部隊における諸兵科装備の統合、が重視されている。その典型的な例として、多層化された統合防空システム(IADS :integrated air defense system)と多様な地上発射型間接照準火器システムの連接があげられている。この中では、様々な射程を持った地上発射型の間接照準火器が編成され、機動部隊の行動に連携した火力支援が提供されるようになっている。さらに、これらの機動部隊や火器に対して、防空範囲が異なる様々な対空火器を層状に組み合わせ、敵の経空火器からの防護体制を構築している。こうした統合システムにより、戦術レベルの戦闘において大量の火力を集中運用するのがロシア陸軍の特徴の1つである。この際、火力戦闘の中心となるのが、自走砲とロケット砲である。■戦場で「負の連鎖」が起こっている?旧ソ連時代に軍を共有していたロシアとウクライナは、編成や装備で類似している部分もあるが、量的にはロシア軍が優勢であるにもかかわらず、実際には思うように攻撃できていないロシア軍の姿が報道されている。その理由の1つとして、ロシア軍が通常行う攻撃ができていないことが考えられる。機動と火力の融合によって攻撃するロシア軍は、移動状態からの攻撃を基本としている。このため、梯隊区分を行って前進するとともに、目標線ごとに横方向に展開しながら比較的広正面を同時に攻撃する。今回のウクライナ侵攻では、道路以外の機動に制約があるか、ウクライナ軍が意図的にこうした攻撃が実行できないような処置を講じているのではないかと推測される。そして、展開できないロシア軍に対して効果的に使用されているのが、携帯式対戦車ミサイルFGM-148ジャベリンや、携帯式対空ミサイルFIM-92スティンガーではないだろうか。狭い範囲に蝟集してしまった戦車や装甲戦闘車は、1両破壊されるだけで機動が大きく制限されてしまう。地上戦力と連携しない航空機等は、携帯対空火器に対する制圧が不十分なため照準等が比較的容易になり、撃墜される可能性を高める結果になる。このような負の連鎖が戦場で発生している可能性は十分にあると考えられる。■相当の戦力を失っていた…戦闘の長期化による兵員の疲労、大儀なき侵略戦争から来る士気の低下などによって、ロシア軍の損耗も増加してきている。軍事関連サイト「Oryx」が集計した3月10日時点でのロシア軍の累積喪失装備は、戦車164両、歩兵戦闘車129両、装甲兵員輸送車47両、装甲牽引車57両、空挺用装甲兵員輸送車28両、自走砲25両、ロケット砲19両に上っている。ポーランドの「Defence24」は、これを基に換算分析し、米陸軍が使用している判定基準に沿って整理したところ、10個BTGが装備の50%を喪失して判定はstatus-BLACK、2個BTGが戦闘力の50%を喪失してstatus-BLACK、10個BTGが全ての戦車と戦闘力の30%を喪失してstatus-REDとなった。一般的には、軍の組織化された単位の戦闘力が30%低下すると、その単位は効果的な戦闘を継続できないと判断される。したがって、22個のBTGが戦闘継続不能と判断されたことになる。ウクライナ侵攻に投入されたロシア軍は、117個BTGと見積もられていることから、その約19%を喪失したことになる。それぞれのBTGは独立して戦闘していることから、この喪失がそのままロシア軍の戦闘能力判定になることはないが、相当の戦力を失ったことで、ロシアの侵攻がさらに阻害されることは確かである。サンタフェ総研上席研究員 米内 修防衛大学校卒業後、陸上自衛官として勤務。在職間、防衛大学校総合安全保障研究科後期課程を卒業し、独立行政法人大学評価・学位授与機構から博士号(安全保障学)を取得。2020年から現職。主な関心は、国際政治学、国際関係論、国際制度論。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/18 21:35
注目トピックス 経済総合
元自衛官が徹底分析!米海軍発表の「ロシアの4つの戦争概念」から見えてきた「プーチンの次なる行動の中身」
■プーチンは次に何をする?2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから、すでに3週間以上が経過した。いまだ、首都キエフはロシアの手に落ちてはいないが、ゼレンスキー大統領の発表ではウクライナ軍の死者は約1,300人となり、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、3月12日までに、ウクライナの民間人に549人の死者と957人の負傷者が生じたとしている。ウクライナ軍の強い抵抗によって、ロシア軍の侵攻は長期化の様相を見せ始めているが、核の使用さえもちらつかせるプーチン大統領が、次にどのような手を打ってくるか予断を許さない状況が続いている。こうした軍の作戦は、大統領をはじめとする各級指揮官の判断によって作戦が決定され、それに基づいて様々なパターンの軍事行動が次々に行われる。今回のような侵攻作戦では、その発端となった争点の内容や交戦国の軍事力、侵攻作戦の進行状況などを踏まえて、戦略的・戦術的な妥当性の観点から軍事行動が選択される。相手の意表を突く作戦も有効な場合があるため、その正確な予測は極めて難しい。交戦している当事国にとって作戦の推移予測は極めて重要なものだが、この状況を注視している国際社会、特にウクライナを支援している多くの国家にとっても、今後の状況の推移は重大な関心事である。本稿では、米国海軍分析センターが2021年8月に発表した、『ロシアの軍事戦略:中心教義と作戦概念』(以下、「ロシアの軍事戦略」)に基づいて、ロシア軍の行動を評価してみたい。■「ロシアの戦争概念」は4つに区分されている「ロシアの軍事戦略」によれば、ロシアの紛争・戦争概念は、政治経済状況の評価とそれに伴う軍の行動によって類型化されている。その中では、脅威が顕在化し軍事紛争が生起したケースが、その規模に応じて軍事紛争(armed conflict)、局地戦争(local war)、地域戦争(regional war)、大規模戦争(large-scale war)の4つに区分されている。今回ロシアは、ウクライナ全域に地上部隊を展開せず、首都キエフとクリミア半島からウクライナ東部地域にかけての海岸沿いの地域に重点的に侵攻している状況から、少なくとも軍事行動の対象国の領域内に戦闘を限定する局地戦争の段階でとどめようとしていると推測される。この段階では、限定的な政治的・軍事的目的の達成を目指すこととされており、ウクライナに対する限定的な要求内容とも合致する。ロシアの作戦概念には、欧州やアジアといった単位で戦域(theater of war)が設定され、その中に軍事行動領域(theater of military action)、戦略方向(strategic direction)、作戦方向(operational direction)の順に細分化された軍事行動の地理的単位が存在する。一番小さい作戦方向の縦深規模は700~1,000kmとされ、軍事目的を達成するための戦闘行動が行われる。戦略方向は複数の作戦方向を含んで縦深2,500~3,000kmの範囲に拡大され、1つのコンセプトや計画に基づいて独立した作戦が実行される。キエフ正面や東部地域の作戦は、規模的にも作戦の統一性についてもそれぞれが独立した戦略方向以下の作戦だとみて間違いないだろう。■「核使用の可能性」は高まっているこれらの中で行われる軍事行動には、作戦(operation)、戦闘(battle)、戦闘行動(combat action)、交戦(engagement)、打撃(strike)の5つの形態がある。今回のロシア軍は、軍事行動が行われる範囲を部隊の規模に応じて限定している。また、侵攻開始後、数日で補給が止まったことから極めて短期間での軍事行動を想定していたと考えられる。侵攻当初の客観的な予測でも、数日程度の短期間で軍事目的を達成するとみられていた。この状況から、当初の軍事行動は交戦や打撃で設定されていたと推測される。しかし、侵攻は長期化し、攻撃の範囲は西部地域にまで拡大している。これは、軍事行動が作戦や戦闘に変化した兆候として捉えることができる。この形態では地理的範囲を限定していないため、侵攻がウクライナ全土に広がる可能性が指摘され始めたこととも符合する。また、「ロシアの軍事戦略」には、ロシアのエスカレーション・マネジメントのモデルが提示されている。類型化された紛争・戦争概念を基に、平時(peace time)、軍事的脅威(military threat)、局地戦争(local war)、地域戦争(regional war)、大規模戦争(large-scale war)、核戦争(nuclear war)の6つのエスカレーション段階を設定し、エスカレーションに応じた軍事力行使を強度の低い順に、示威(demonstration)、適度な損害付与(adequate damage infliction)、報復(retaliation)の3つに区分している。今回の侵攻が当初意図したと推測される局地戦争は、適度な損害付与の一番低いエスカレーション段階に位置しているが、戦況が長期化したことからエスカレーション段階が進む可能性が出てきた。このモデルに従えば、次は地域戦争になってしまうことを意味するが、問題は単なるエスカレーションに留まらない。局地戦争の段階では核使用が脅しにとどまったが、地域戦争では非戦略核の使用が含まれることになる。プーチン大統領が核使用の可能性に言及したことは、局地戦争の段階でもあり得ることなのでモデルに従っているとも考えられるが、そうであればこそ、エスカレーションによって核使用の可能性が高まることも想定される。■「一刻も早い合意」が必要だ軍が持つ中心的な教義や作戦概念は決して絶対的なものではないので、これだけで軍の行動が決定されることはない。しかし、戦場という極めて混乱した状況下で多くの兵員を統制するためには、訓練や教育を通じて軍全体で共有している基本的な概念から大きく逸脱することもまた難しいのが現実でもある。この観点から、中心教義や作戦概念は、予測することが難しい軍の次なる行動を分析するための手段の一つにはなり得る。侵攻当初は局地戦争にとどめる意図を持っていたことが推測されるプーチン大統領だが、現状では次の段階である地域戦争に拡大する可能性も指摘されている。停戦合意は、人道的な観点からは常に最優先で追求されるべきものだが、作戦概念に基づく分析においてもエスカレーションの危険性が増すという観点から、一刻も早い合意が必要だといえるだろう。サンタフェ総研上席研究員 米内 修防衛大学校卒業後、陸上自衛官として勤務。在職間、防衛大学校総合安全保障研究科後期課程を卒業し、独立行政法人大学評価・学位授与機構から博士号(安全保障学)を取得。2020年から現職。主な関心は、国際政治学、国際関係論、国際制度論。写真:代表撮影/AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/18 21:33
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露「偽旗作戦」VS米「積極的情報開示」、日本にとって「米露の情報戦が他人事ではない」と言える驚きのワケ
● 「ロシアはウクライナを攻撃していない」が意味するもの「兵は詭道(きどう)なり」という言葉は、孫子「計篇」に記載された戦いの極意である。「戦いとはしょせん騙しあいである」という事を短い言葉で的確に表している。相手を騙す、自らの行動を秘匿するという事に加え、相手の予想を超える行動をとることも「詭道」に該当するであろう。今回のロシアのウクライナ軍事侵攻に関しては、情報戦の一環として多くの「詭道」を確認することができる。最も大きな「詭道」はプーチン大統領のクリミア軍事侵攻のロジックである。ウクライナ軍事侵攻を「特別軍事行動」と位置付けている。3月10日にラブロフ外相がトルコにおける外相会談後の記者会見で述べた「ロシアはウクライナを攻撃していない」という衝撃的な言葉は、ロシア国内を意識するとともに、この文脈から語られていると推定できる。注意しなければならないことは、「ウクライナを攻撃していない」という言葉は単なるレトリックではないことである。● ウクライナの民主主義は「無かった」ことに…2月24日、ウクライナ侵攻の直前にロシア国営テレビは、プーチン大統領の国民向け演説を放送している。演説の全文を確認すると、プーチン大統領の状況認識は西側と大きく乖離していることが分かる。1980年代のソ連崩壊に伴いロシアは弱体化し、これに乗じてNATOは旧ソ連諸国を域内に取り込み、ついにはウクライナまで手を伸ばしてきた。これはロシアの安全保障上重大な脅威である、というのがプーチン大統領のロジックである。そして、イラク戦争を例にアメリカを「嘘の帝国」と断じ、ウクライナにおいてアメリカを中心としたNATO軍の活動、特にドンバス地域における活動を、これ以上見過ごすわけにはいかないと主張している。また、ドンバス地域で住民を迫害している勢力を「ヒトラーの片棒を担いだ民族主義者、ナチ勢力」と断じている。このロジックに従えば、ロシアが攻撃しているのは「ヒトラーの片棒を担いだ民族主義者の一味としてのゼレンスキー政権」であり、ウクライナではないことになる。この考え方には、ウクライナが主権国家であり、時の政権を選ぶのはウクライナの国民である、という民主主義の根幹は、その片鱗もうかがえない。ウクライナをロシアの勢力圏と見なす独善的な考えに満ち溢れている。プーチンの考え方は、西側諸国にとって「偽旗作戦」そのものであるが、プーチン及びプーチンを支持する勢力にとって、それはすでに「偽旗」ではなく、事実なのである。● 「偽旗作戦」に中国も加担3月18日付の中国の解放軍報は「ウクライナ緊張の発端はアメリカにある」と、プーチンの主張を全面的に支持する論考を掲載している。「偽旗」は多くの人が真実と信じることによって「本物の旗」となる。中国はそれに加担しようとしている。同様の活動が国連を舞台に繰り広げられている。3月11日に国連安全保障理事会緊急会合の開催を要求したロシア大使は、「ウクライナで米国などが生物兵器を開発している」と主張した。アメリカ大使は「無責任な陰謀論」と一蹴し、他の安保理理事国等の賛同も得られていない。しかしながら、中国外務省報道官は3月14日の記者会見において、「ウクライナにおける生物兵器の軍事利用は国際社会における懸念となっており、これにアメリカが関与しているという情報はすでに明らかになっている。もしこれが偽情報というのであれば、アメリカは証拠を示すべきである。」と述べている。無いことを証明することは、「悪魔の証明」と呼ばれており、極めて困難である。ロシアの「偽旗」作戦に中国が加担していることを明白に示している。● アメリカの「秘密情報の積極的開示」という作戦ロシアの「偽旗」作戦に対し、アメリカが行っている情報戦は「秘密情報の積極的開示」である。ロシアのウクライナ侵攻に先立つ2月18日、バイデン大統領はホワイトハウスにおける演説で、プーチン大統領はウクライナ侵攻を決断したと述べ、侵攻開始は来週かそれ以前、首都キエフが攻撃目標になるとも述べている。ロシア軍の空爆が始まったのは2月24日であり、きわめて正確に事態を見積もっていたことが分かる。このような情報は、必要な者だけで共有される「need to know」が原則である。これを公開することは、情報入手源を危険にさらし、以後の情報取得に支障をきたす。あえて秘密の情報を公開したのは、相手の機先を制し、行動を抑止する効果を狙ったものであろう。演説の際、バイデン大統領が、外交の余地は残されていると付け加えたことは、ロシアへの抑止効果を期待したものであろう。しかしながら、この期待は外れた。アメリカはこれに懲りず、再度「積極情報開示」を行った。3月14日複数の欧米系メディアはロシア政府が中国に軍事、経済支援を要請し、中国はこれを受け入れる用意があると伝えた。同日、アメリカのサリバン大統領補佐官は、ローマで中国楊ケツチ中国共産党中央政治局員と会談を行い、アメリカ側の懸念を直接かつ明確に伝えたと報道されている。このことも情報を積極的に開示することにより、中国に圧力を加えようという情報戦の一環と考えられる。これに対し中国外交部は、アメリカが偽情報をまき散らしていると批判している。アメリカが行っている情報戦は、今までの情報戦と異なるアプローチである。プーチンのウクライナ侵攻を止めることはできなかったが、中国のロシア軍事支援を止めることができるかどうかがこの情報戦の効果を検証するものとなるであろう。● 日本は、情報戦を学ぶ必要がある情報は使い方を誤ると甚大な被害が生じる。第2次世界大戦時に情報を軽視したことが日本軍の失敗の一つに挙げられている。当時ストックホルム駐在武官の小野寺大佐は「ソ連の対日参戦」の情報をいち早くつかみ、大本営に報告したものの、全く顧みられなかったことはよく知られている。また、ロシアのウクライナ軍事侵攻が、プーチンの思惑どおりに進んでいないのは、ウクライナに関する事前情報が誤っていたためとの分析がなされている。ロシアの「偽旗」作戦、アメリカの情報の積極開示というそれぞれの情報戦の評価は歴史に委ねられるだろう。一般的に、欺瞞作戦は民主主義国家よりも、世論誘導が容易な権威主義国家の方が行いやすい。中国、北朝鮮という権威主義国家に囲まれる日本は情報戦の実態についてより関心を持ってみていく必要がある。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:代表撮影/AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/18 16:24
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原油とルーブルの価格別で試算、ロシアの経常収支と外貨準備の行方
2月24日にロシアがウクライナに侵攻して約3週間が経過した。その間、ロシアに対する西側諸国の金融・経済制裁が発動され、ロシアは経済的な苦境に陥っている。外貨準備の凍結、SWIFTからの除外で、決済や貿易にも大きな支障をきたし、ルーブルはドルに対して一時50%も安くなり、足元のインフレ率も2桁を超えている。今回は特にロシアの貿易収支、経常収支に焦点を当て、原油価格やルーブル相場、そして制裁の度合いなどを加味した場合、現状で半分程度が凍結されているとされる外貨準備がどの程度の期間で枯渇するのかを試算してみる。無論、単純化した試算、仮定を置いた状況であるので、現実にそぐわない点もあるが、ロシア国力の一角をイメージすることは可能であろう。結論から申し上げると、以下の計算前提の詳細「北海ブレント100~150ドルの間」「ドル・ルーブル100~150ルーブルの間」「制裁(2)~(3)の間」における予想経常収支の平均値は約▲1,250億ドル(年)となり、人民元の外貨準備や通貨スワップだけで埋め合わせできるのが7~9ヶ月程度、金、SDR、ドル現物なども使用できとしたら2年弱~2年半程度を埋め合わせできるという計算になる。以下、計算前提の詳細となる。■貿易収支ロシアはエネルギー分野の輸出が全体の半分を占めることもあり、エネルギー価格に貿易収支の値が影響を受けやすい。今回は2006年1月~2021年9月までの貿易収支の値を利用し、2021年9月の貿易収支に基づいて、他の品目の輸出入金額がコンスタントと仮定(また、原油輸出及び天然ガス輸出金額が北海ブレント先物と線形相関があると仮定)した場合の貿易収支を計算してみた。試算した貿易収支は、以下の原油価格(北海ブレント先物)別となる。・北海ブレント先物価格80ドルの場合の貿易収支。・北海ブレント先物価格100ドルの場合の貿易収支。・北海ブレント先物価格150ドルの場合の貿易収支。・北海ブレント先物価格200ドルの場合の貿易収支。■経常収支経常収支は、上記の貿易収支、サービス収支、資本収支を引いて算出している。サービス収支、資本収支のマイナスは過去5年平均(▲90,282百万ドル)に為替変動(ルーブル安)を考慮している。試算した経常収支は、以下の為替相場(ドル・ルーブル)別となる。・ドル・ルーブル75ルーブルの場合の経常収支。・ドル・ルーブル100ルーブルの場合の経常収支。・ドル・ルーブル150ルーブルの場合の経常収支。・ドル・ルーブル200ルーブルの場合の経常収支。■制裁の度合い制裁の度合いを以下の3パターンに分類して、貿易収支を減額するシナリオを作成している。・制裁(1):エネルギー輸出が6割程度まで落ち込んだ場合(欧州のみエネルギー輸入を大幅圧縮)。・制裁(2):エネルギー輸出が3割程度まで落ち込んだ場合(中国以外がエネルギー輸入を大幅圧縮)。・制裁(3):中国以外に輸出入先がなくなった場合(貿易収支が均衡)。■ロシアが使用できる可能性のある外貨準備等・人民元(外貨準備):820億ドル。・人民元(通貨スワップ):240億ドル。・金(外貨準備):1,322億ドル。・SDR(外貨準備):240億ドル。・ドル(※):600億ドル。※当ドルはアメリカに保管されていないというだけで、どのような方法で保管されているのか、使用できるかは不明。※表のグレー部分の想定経常収支の平均が1,250億ドル。
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2022/03/18 11:41
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.25%安でスタート、世界経済混乱の不安がやや後退
18日の上海総合指数は売り先行。前日比0.25%安の3207.15ptで寄り付いた後は、日本時間午前11時2分現在、0.32%高の3225.41ptで推移している。ロシアのデフォルト(債務不履行)懸念の後退や、世界経済が混乱するとの不安が緩和されていることが支援材料。国内では、政府が市場に有利な政策を積極的に打ち出すと強調したことが引き続き好感されている。一方、直近2日の大幅上昇を受けて高値警戒感がやや強まり、寄り付きでは売りが優勢となった。
<AN>
2022/03/18 11:11
注目トピックス 経済総合
三井金属鉱業を対象とするコール型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(18日10:03時点のeワラント取引動向)
手仕舞い売りとしてはホンダ<7267>コール278回 4月 3,400円などが見られる。上昇率上位は三井金属鉱業<5706>コール79回 4月 3,700円(前日比2倍)、三井金属鉱業コール80回 4月 4,200円(前日比2倍)、三井金属鉱業コール82回 5月 3,850円(+96.6%)、三井金属鉱業コール83回 5月 4,350円(+84.2%)、三井金属鉱業コール78回 4月 3,200円(+61.8%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/03/18 10:22
注目トピックス 経済総合
NYの視点:英の政策金利はパンデミック前の水準回復で利上げ休止も、米の金利は年内に以前の水準回復へ
米連邦準備制度理事会(FRB)は高インフレへの対応に重点を置く一方で、英国中銀は3会合連続での利上げ後、成長鈍化への対応にも重きを置き、追加利上げのリスクが両サイドにあると慎重姿勢に転じた。英国中銀は17日、金融政策決定会合で、市場の予想通り政策金利を0.25ポイント引き上げ0.75%とすることを発表。カンリフ副総裁は世帯の賃金の伸びの鈍化を鑑み据え置きを主張し、8対1での決定となった。声明では追加利上げを巡り「可能性がある」と、2月の「可能性が強い」から文言を変更しており、追加利上げの可能性が低下。燃料価格の上昇が成長を鈍化させる可能性を指摘し、「追加利上げで、両サイドのリスクがある」と慎重姿勢に転じ、利上げ休止の可能性も示唆した。3会合連続での利上げで、パンデミック前の水準を回復したことを考えると、利上げをいったん休止することも理に適う。■2020年3月の政策金利米国:1.25-1.5%(現行0.25-0.5%)英国:0.75%(0.75%)一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、16日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、0.25-0.50%に決定した。2018年来で初めてとなる利上げ実施で、引き締めサイクルを開始する。経済活動や労働市場の改善が継続しており、インフレは引き続き上昇するとの見解が背景となる。声明では、ブラード・セントルイス連銀総裁が50ベーシスポイントの利上げを主張し、決定に反対に投じたことが明らかになった。パウエル議長はバランスシート政策を早くて5月にも発表するとした。FRB予測では2022年の見通しで、国内総生産(GDP)の成長見通しが前回12月の4.05%から2.75%へ引き下げられた。一方で、PCE価格指数は+4.4%と、12月+2.6%から大幅に引き上げられており、さらに、メンバーの金利見通しも引き上げられた。本年平均で7回の利上げを予想しており、12月の3回から大幅引上げられた。来年は4回予想で今後10回の利上げを予想しており、タカ派色が強まった。予想通りの利上げが続くと、年内には1.5%-1.75%と、パンデミック前の水準回復することになる。経済がパンデミック前の水準を回復することを考えると、FRBの金利が同時期の水準に戻すことも理にかない、それほどタカ派な見通しとはならない。ただ、利上げペースの乖離でポンドドルはしばらく上値を抑制される可能性がある。
<FA>
2022/03/18 07:37
注目トピックス 経済総合
ドル円は120円を目指すか? サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の円について『ドル円は120円を目指すか?』と述べています。続けて、『ロシアがウクライナに軍事侵攻した2月24日以降、「有事の円買い」が出たものの115円を下回る程度だった。3月に入ってからは「有事のドル買い」「有事の金買い」が強まり、円はむしろ積極的に売られた』と伝えています。また、『かつては、世界情勢が混乱をきたした時、金利は低下し国際商品が値下がりしたため、膨大な経常収支黒字を背景に円が買われた。しかし、今回はコロナ禍後の世界景気回復を受けて金利上昇の機運が高まっていた時に、ロシアへの経済制裁でロシア産コモディティの供給がストップするとの懸念が高まり原油や貴金属、穀物、非鉄金属等の国際商品がいずれも急騰した』と解説しています。陳さんは、『日本は原油や天然ガスを100%輸入に頼っていることから、エネルギー価格の急騰は、日本の交易条件を急激に悪化させる。黒字だった経常収支が間もなく赤字に転じる恐れが出てきた』と述べています。16日に発表された輸出から輸入を差し引いた日本の2月の貿易収支は6683億円の赤字と、7カ月連続でマイナスとなりました。赤字額は市場予想(1500億円)を上回りました。米連邦準備制度理事会(FRB)については、『16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定する。0.25%の利上げは確実で、0.5%の利上げとなればサプライズだろう。また、想定通りに0.25%の利上げでも会合ごとに利上げとなれば、市場のタカ派的な見通しは強まろう。FOMC後の18日には日銀金融政策会合が開催されるが、大規模金融緩和継続の見込みで、日米の金利差拡大がさらに意識されよう』と考察しています。こうしたことから陳さんは、ドル円について、『118円40銭まで上昇したが、次の上値目標値はチャートから118円64銭。その上は120円となろう』と述べています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月16日付「ドル円は120円を目指すか?」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
<FA>
2022/03/17 17:38
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は1.40%高でスタート、外部環境の落ち着きなどを好感
17日の上海総合指数は買い先行。前日比1.40%高の3215.01ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時57分現在、1.41%高の3215.29ptで推移している。外部環境の落ち着きが好感されている。ロシアとウクライナの停戦交渉が進捗していると報じられている。また、前日の欧米市場の上昇や米利上げ幅の決定がほぼ予想範囲内であることなども買い安心感を与えている。国内では、政府が景気支援策を講じると表明したことが支援材料となっている。
<AN>
2022/03/17 11:11
注目トピックス 経済総合
オムロンを対象とするコール型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(17日10:02時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本電産<6594>コール213回 5月 9,900円を順張り、東京エレクトロン<8035>コール332回 5月 55,000円を順張り、トヨタ自動車<7203>プット302回 4月 1,600円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては野村NYダウ30連動ETF プラス5倍トラッカー39回 4月 37,000円、日経平均 プラス5倍トラッカー84回 5月 25,000円、東京エレクトロンコール329回 4月 58,000円、東京エレクトロンコール330回 4月 67,000円などが見られる。上昇率上位はオムロン<6645>コール66回 4月 10,900円(前日比2倍)、オムロンコール65回 4月 9,500円(+94.7%)、オリンパス<7733>コール54回 4月 2,800円(+88.9%)、リクルートホールディングス<6098>コール114回 4月 7,800円(+80.0%)、日本電産コール211回 4月 12,500円(+80.0%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/03/17 10:41
注目トピックス 経済総合
ロシア非難決議も棄権…対中最優先のインドが「ロシアの中国傾斜」を絶対に避けたいワケ【実業之日本フォーラム】
● ウクライナ問題で見えた「QUADの限界」外交・安全保障の協力体制であるQUAD(日米豪印4か国戦略対話)は、インド太平洋地域における中国の影響力拡大に対抗する枠組みとして2019年に発足した。当初は外相間の対話の枠組みであったが、2021年に首脳会談に格上げされ、議題も、「ワクチンパートナーシップ」、「気候作業部会」、「重要・新興技術作業部会」等、インド太平洋における外交・安全保障を超える分野での協力も進められていた。しかしながら、QUADの一国であるインドは2022年2月、ロシアのウクライナ軍事侵攻に対し、2月25日のロシア軍即時撤退を求める安保理決議及び3月3日の国連総会緊急特別会合におけるロシア非難決議のどちらも棄権している。インドのロシアに対する姿勢は、QUADの協議に不協和音を生じさせている。2月11日にメルボルンで行われた第4回日米豪印外相会談において、ウクライナ情勢に関し意見交換は行われたものの、共同声明にウクライナ情勢は一切触れられていない。また、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、3月3日に行われた四カ国首脳テレビ会談では、「力による現状変更を、インド太平洋地域において許してはならない」、という点では一致をみたものの、ウクライナ危機に関して共同声明で述べられているのは、それぞれ対処、対応する中で人道支援・災害救難メカニズムを構築するとされているのみである。外交安全保障の枠組みとして期待されていたQUADであるが、ロシアのウクライナ軍事侵攻という国際法違反に、明確なメッセージを伝えきれないという限界を露呈した。● インドがロシアとの関係を切らないワケ本年2月、「軍事技術が世界覇権争いの武器に?インドが、QUADの一員なのに『ロシアとの関係を切れない』切実なワケ」という記事を投稿した。インド軍装備武器のロシア依存度は極めて高く、中国及びパキスタンと国境を巡り対立関係にあるインドにとって、ロシアから最新装備武器を調達することは安全保障上重要である一方で、軍事技術の違いがアメリカとのデカップリングを進める可能性があることを指摘したものである。インドの主要装備であるSu-30、Mig-29戦闘機、タラワール級フリゲート、S-400対空ミサイル等の調達、メンテナンス及びスペアパーツの確保等はロシアに大きく依存している。また、インド洋における対中国用として、キロ級潜水艦のみならずアクラ級原子力潜水艦のリースも重要な課題である。ロシアと共同開発した対艦ミサイル「ブラモス」のフィリピンへの輸出も、ロシアとの協力なくして実現し得ない。インドの2010年装備武器購入費の約79%がロシアからであったが、2020年には約35%に低下しており、徐々にロシアへの依存度を低下させてはいるが、ロシアとの関係を急に切ることはできない。国際社会のロシアに対する非難と距離を置いた理由は、インドのプラグマテックな計算に基づく判断だと考えられる。● インド、避けたい「ロシアの中国傾斜」今後、この情勢を大きく変える可能性があるのが、ロシアに対する経済制裁の影響である。ウクライナ軍の抵抗を受け、ロシア軍の侵攻速度が遅いのは事実であるが、ウクライナ軍にロシア軍を完全に撃退する軍事力はない。プーチン大統領がウクライナの非軍事化、中立化という侵攻目的を追求する限り、ロシア軍の撤退はあり得ず、戦闘は長期化するであろう。その場合、ロシアへの経済制裁の影響が拡大してくることは不可避である。中国はロシアへの経済制裁を批判しており、「引き続き正常な貿易協力を行っていく」としている。インドにとって、ロシアが中国への依存度を高めることは、ロシアをつうじてインドに中国の影響力が及ぶ可能性が有るという観点から好ましい事ではない。更には、ロシアからの武器輸入代金をどのように決済するかという問題もある。中国経由の決済を利用することによる中国の発言力向上は、インドにとって認めがたいであろう。このため、ロシアへの経済制裁の長期化は、インドにとってロシア製武器への依存度を一層低下させるインセンティブになり得る。● 「インドのロシア離れ」が始まる?QUADの国際的な影響力を過大に考えてきた人々にとって、今回のロシアのウクライナ軍事侵攻に対するインドの態度は、期待外れと受け取られるであろう。しかしながら、QUADは、あくまでも「インド太平洋における対中ヘッジ」が主目的であることを再認識する必要がある。第1回首脳会談でワクチン、気候問題や新興技術等というインド太平洋を越える問題に関する合意がなされたのも、対中という色彩が濃いことを忘れてはならない。一方で、インドにとって、西欧諸国がロシアの脅威への対応に傾注することは、インド太平洋方面における対中牽制力が弱まることを意味する。QUADを強化し、対中牽制力として維持発展させることはインドの国益に合致する。また、インドは装備武器以外、ロシアとの貿易額は少なく経済的結び付きは薄い。長期的には、今回のロシアのウクライナ軍事侵攻が、インドのロシア離れを助長する可能性は高いと考えられる。ロシアのウクライナ軍事侵攻に関し、QUADが一致した姿勢を示すことができなかったことをもって、QUADの役割りを過小評価することはできない。インド太平洋方面におけるQUADは、依然として効果的な枠組みであることには変わりはない。さらに、長期的視点に立てば、QUADをより強化する観点から、インドが装備武器のロシア依存度を低下させるように、アメリカを中心に働きかけていく必要がある。今回の試練を乗り越えれば、QUADはさらに強固な枠組みとなることが期待できるであろう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/17 10:10
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NYの視点:FOMCは22年に7回の利上げ予想、FRBのタカ派姿勢でリセッション懸念も浮上
連邦準備制度理事会(FRB)は市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、0.25-0.50%に決定した。経済活動や労働市場の改善が継続しており、インフレは引き続き上昇するとの見解が背景となる。声明では、ブラード・セントルイス連銀総裁が50ベーシスポイントの利上げを主張し、決定に反対に投じたことが明らかになった。パウエル議長はバランスシート政策を早くて5月にも発表するとした。FRB予測では2022年の見通しで、国内総生産(GDP)の成長見通しが前回12月の4.05%から2.75%へ引き下げられた。一方で、PCE価格指数は+4.4%と、12月+2.6%から大幅に引き上げられており、さらに、メンバーの金利見通しも引き上げられた。本年平均で7回の利上げを予想しており、12月の3回から大幅引上げ。タカ派なFOMCを受けて米国債相場は急落。2年債利回りは1.86%付近から1.99%まで急伸した。金利見通しは短期金利市場とほぼ似通った結果となった。しかし、一方で、ウクライナの行方には依然不透明感が強く、一部投資家の間では、FRBの過剰な引き締めが景気後退に繋がるとの懸念も浮上。5年債と10年債の利回りは一時逆転。今後は、長短の利回り曲線にも注目される。FRB2022年予想利上げ回数(平均):3回⇒7回GDP:+2.75%(+4.05%)PCE価格指数:4.4%(12月2.6%)失業率:3.5%(3.55%)
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2022/03/17 07:34
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(中国)上海総合指数は1.43%高でスタート、買い戻しが優勢
16日の上海総合指数は買い先行。前日比1.43%高の3107.66ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時47分現在、0.12%高の3067.61ptで推移している。最近の下落で値ごろ感が強まり、下値を拾う動きが活発になっている。また、ロシアとウクライナの停戦交渉に対する期待が高まっていることも支援材料。一方、国内での新型コロナウイルス感染の増加に伴う行動制限の強化が引き続き警戒されている。
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2022/03/16 10:51
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日揮ホールディングスを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(16日10:02時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つ電通<4324>コール102回 4月 4,750円を順張り、ミネベアミツミ<6479>コール96回 5月 2,500円を順張り、オリエンタルランド<4661>コール182回 4月 22,000円を順張りで買う動きや、原資産の株価下落が目立つ日揮ホールディングス<1963>コール35回 4月 1,400円を逆張り、日揮ホールディングスコール35回 4月 1,400円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日揮ホールディングスプット38回 5月 1,100円、日本電信電話<9432>コール172回 5月 3,300円、ファーストリテイリング<9983>プット306回 4月 58,000円、アップルプット164回 4月 140米ドルなどが見られる。上昇率上位は日揮ホールディングスプット35回 4月 1,100円(+66.7%)、日揮ホールディングスプット33回 4月 800円(+50.0%)、イビデン<4062>コール122回 4月 7,100円(+50.0%)、日揮ホールディングスプット34回 4月 950円(+50.0%)、富士通<6702>コール245回 4月 23,500円(+43.8%)などとなっている。(カイカ証券)
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2022/03/16 10:20
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コラム【アナリスト夜話】ロシアのウクライナ侵攻:「ブロック経済化」への備え(マネックス証券 大槻奈那)
ロシアのウクライナ侵攻の痛ましい報道が続いています。過去の紛争と異なり、生の映像がSNSを通じて世界に届けられることで、市場マインドにより大きな影響を与えていると感じます。 戦況の行方はわかりませんが、金融の最終兵器ともいえるSWIFT排除を早々に決めたこと等を見ると、ロシア対西側の経済対立は、どう転んでも簡単には修復できないと考えられます。これによる第一の懸念は、中央アジア諸国への影響です。カザフスタンの通貨テンゲは、2015年にドルペグを放棄して以来の最低水準に下落しています。中央銀行が為替介入を繰り返してきましたが、先週末、ついに為替変動を制限すると宣言しました。金融機関の流動性不足も心配されており、政府はテンゲ預金に対して10%の金利上乗せを発表しています。一方、キルギスタンの通貨ソムもロシア侵攻以降ドルに対して2割以上減価しており、先週、国外への米ドルの持ち出しが禁じられました。また、案外大きいのはロシアが中央アジアから受け入れている移民への影響です。ロシアは、世界第4位の移民受け入れ国で、2020年で1200万人もの人々が、特に中央アジアから訪れ自国に送金しています。タジキスタンやキルギスタンでは、移民からの送金がGDPの3割を占めています。ロシアの景気鈍化や金融の滞りの影響は大きな打撃となるでしょう。そして最大の懸念は、なんといってもインフレの進行です。直近のデータは取れませんが、JETROによれば、カザフスタンの家電量販店では輸入家電製品がウクライナ侵攻前から3月初旬までで30%値上がりし、スーパーマーケットでは一時的に駆け込み需要による混雑もみられたとされています。高インフレは生活を脅かし、内政不安を高めます。今年1月のカザフスタンの動乱も燃料価格の急騰が原因でした。その後ロシアを中心とする部隊の介入後約5日間で沈静化しました。こうした中央アジアの経済的な混乱に手を差し伸べることで、ロシアは図らずも中央アジアの旧ソ連諸国を手中に収め、更に他の周辺諸国にも働きかけを強めるかもしれません。仮にそうしたブロック経済化が進んだ場合、日本は一次エネルギー自給率が1割強と極めて低いのが気がかりです。人は、「WYSIATIバイアス(what you see is all there is- 見える物が全て)」といって、見えているものに心が奪われてしまう傾向があります。しかし、そろそろ中長期的な経済の形に目を移し、生活の変化のヘッジとして、米国等他国の資産に分散を図る手段も考えておくべきかもしれません。マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那(出所:3/14配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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2022/03/16 09:24
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NYの視点:米FRB、3月FOMCで利上げサイクル開始、B/S縮小計画の発表も、金利見通し引上げへ
連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイントの利上げで、利上げサイクルを開始しする見込みとなっている。同時に、FRBはバランスシート縮小を巡る計画を発表する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは5月から量的引き締め(QT)を開始すると予想している。同時に発表される経済、金利、インフレ見通しにおいて、年内の利上げの軌道を探る。成長や失業率見通しは引き下げられ、インフレやコアPCEインフレ見通しは引き上げられると見られる。特に金利見通しは、大幅に引き上げられる可能性が強く、タカ派色が強まる可能性がある。前回12月の見通しで、FRBスタッフは22年に平均3回の利上げを予想していた。会見ではパウエル議長が物価安定を公約。指標次第で50ベーシスポイントの利上げも辞さない構えを示す可能性がある。同時に、ロシア、ウクライナ戦争や商品価格の急騰を見通しリスクとして指摘する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは今年5回、来年4回、24年に1回を予想。タカ派として知られるウォラー理事は、3月会合での50ベーシスポイントの利上げも除外しないとしていたものの、もし、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が特に前月比でピークをつけた兆候を示した場合は25ベーシスポイントの利上げを支持するとしていた。2月CPIは前月比で+0.8%と、前月の+0.6%から拡大。しかし、FRBが特に注目している食品やエネルギーを除いたCPIは+0.5%と、1月の+0.6%から伸びが鈍化。2月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.8%と、1月+1.2%から予想以上に鈍化。2月PPIコア指数は前月比+0.2%と、1月+1.0%から予想以上に伸びは鈍化し昨年9月来で最小となり、伸びが一段落した兆候が示された。このため、3月FOMCでは25ベーシスポイントの利上げに留まる可能性が強い。ただ、今後、ウクライナ戦争を受けて、サプライチェーンの混乱が一段と悪化し、インフレをさらに押し上げる可能性もある。FRBは50ベーシスポイントの利上げの選択肢も残すと見られ、連邦公開市場委員会(FOMC)の声明やパウエル議長会見に注目される。
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2022/03/16 07:39
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(中国)上海総合指数は0.97%安でスタート、米中対立や新型コロナ感染拡大で
15日の上海総合指数は売り先行。前日比0.97%安の3192.36ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時58分現在、2.03%安の3158.04ptで推移している。米中対立に対する懸念が高まっていることが警戒材料。また、国内での新型コロナウイルス感染の再拡大に伴う行動制限の強化を受け、景気回復の遅れ懸念も強まっている。ほかに、1-2月の鉱工業生産などが予想以上に伸びたことが、追加の景気対策への期待をやや後退させている。
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2022/03/15 11:05
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花王を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(15日10:00時点のeワラント取引動向)
手仕舞い売りとしてはアマゾン・ドット・コムコール180回 4月 2,900米ドルなどが見られる。上昇率上位は花王<4452>コール89回 4月 6,800円(+50.0%)、住友金属鉱山<5713>プット256回 4月 5,100円(+47.7%)、住友金属鉱山プット255回 4月 4,300円(+43.5%)、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス<8725>コール46回 4月 5,150円(+40.0%)、ユニ・チャーム<8113>コール114回 4月 4,800円(+39.4%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/03/15 10:29
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NYの視点:市場、タカ派FOMCを織り込む、ウクライナ戦争や中国の経済封鎖でサプライチェーン混乱悪化
米連邦準備制度理事会(FRB)は15-16日に連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を予定している。FRBはこの会合で、インフレ高進や労働市場のひっ迫への対処として、2018年来で初めての利上げに踏み切る見通し。ウクライナ戦争による回復への影響も不透明となるが比較的米国への影響は最小限に留まると考えられている。一方、ウクライナ戦争がすでに問題となっているサプライチェーン混乱を一段と深刻化させ、インフレを一段と押し上げることが警戒されている。加えて、中国の新型コロナ感染再流行による経済封鎖も、サプライチェーン混乱を悪化させる新たな要因になる。ウクライナ戦争前の消費者物価指数(CPI)はすでに40年ぶり最大の伸びを記録したが、今後、一段と上昇する可能性が強い。このため、短期金融市場では年内7回の利上げを100%近く織り込んだ。市場はFRBが3月FOMCでタカ派姿勢を強めるとの思惑を強めつつある。3月以降、50ベーシスポイントの利上げも辞さない姿勢を示す可能性もある。10年債利回りは2.14%と、19年以降3年ぶり高水準となった。
<FA>
2022/03/15 07:37