注目トピックス 日本株
トクヤマ---半導体製造に不可欠な製品を複数展開する総合化学メーカー
配信日時:2026/02/27 11:30
配信元:FISCO
*11:30JST トクヤマ---半導体製造に不可欠な製品を複数展開する総合化学メーカー
トクヤマ<4043>は、1918年の創業以来、山口県周南市に広大な徳山製造所を構え、多角的な事業を展開する総合化学メーカーである。同社は国内唯一のソーダ灰メーカーであるほか、半導体用多結晶シリコンにおいて世界シェア約20%を占めるなど、業界内で極めて強力なポジションを確立している。セグメントは、苛性ソーダや塩化ビニル樹脂を扱う化成品(前期売上高構成比32%)、廃棄物を有効活用しているセメント(同18%)、多結晶シリコンや放熱材を展開する電子先端材料(同25%)、歯科材料や診断薬を扱うライフサイエンス(同12%)、環境事業(同1%)、その他(同12%)と6つに分かれている。特に電子先端材料とライフサイエンスと環境事業を成長事業と位置づけ、2030年度にはこれら成長事業の売上高比率を60%以上に引き上げるべく、事業ポートフォリオ転換を推進している。
同社の強みは、第一に、電子先端材料セグメントにおける多結晶シリコンなどの圧倒的な品質競争力と独立した地位である。かつて存在した国内競合他社が撤退や統合を余儀なくされる中で、同社は日本で唯一の独立系メーカーとして生き残り、最先端の半導体製造に不可欠なウエハーの原料である高品質シリコンを安定供給できる体制を整えている。多結晶シリコン以外でも、放熱材としての窒化アルミニウム粉末や乾式シリカを使用するCMP用途では世界シェアトップ、高純度IPAもTier1メーカーの地位を確立するなど半導体製工程の中で必要不可欠な製品を製造・販売している。第二の強みは、ライフサイエンスセグメントにおけるニッチトップ戦略と独自の技術力である。歯科器材分野では、粉体制御技術を駆使して光の反射を操り、周囲の歯の色に馴染む独自のコンポジットレジン「オムニクロマ®」を展開しており、メガネレンズ用フォトクロミック材料は世界シェアNo.2とこちらも世界市場で高いシェアを獲得しながら成長を継続している。第三の強みは、伝統事業である化成品・セメントセグメントが創出する安定したキャッシュフローである。自家発電による電力コストの抑制と、製造工程全体を最適化したリサイクルモデルにより、専業メーカーには真似できない収益構造を実現しており、これが次世代の成長事業への投資原資となっている。
直近の業績である2026年3月期の第3四半期は、売上高251,524百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益26,730百万円(同26.9%増)と大幅な増益で着地した。売上高については、トクヤマライフサイエンスグループの新規連結、および半導体関連製品の販売増加等が増収要因となったものの、塩ビ関連製品の海外市況下落などにより対前年同期比で減収となった。一方、半導体関連製品の堅調な販売、および製造コストの改善が進んだことが大幅増益着地に寄与した。2026年3月期の通期予想は、売上高351,500百万円(同2.5%増)、営業利益39,000百万円(同30.1%増)を見込んでいる。期初予想からは下方修正されているが、これは伝統事業の市況悪化を織り込んだものであり、電子先端材料の利益予想は上方修正している。
中期経営計画2025(2021~2025年度)の5年間は成長事業への集中投資と環境対応を進め、事業ポートフォリオの転換を図ってきた。一方、石炭等の原燃料価格高騰や半導体市場低迷の影響など策定当初からの外部環境の変化もあり、現時点の2025年度業績予想は中期経営計画の最終年度達成目標を下回る見込み。
しかしながら、電子先端材料事業で先端分野向けの出荷が好調であるほか、ライフサイエンス事業では、収益の柱である歯科器材のさらなる拡販を推進する。また2025年10月より連結したトクヤマライフサイエンスグループの統合作業を進め、存在感を高めていく。現中計において、2030年度には成長事業の連結売上高比率60%以上、連結海外売上高比率50%以上、GHG排出量を2019年度比30%削減という目標を掲げており、バイオマス混焼などの次世代エネルギー技術の開発を進めている。こうした脱炭素化への取り組みは、環境規制が強化される中で同社の製造コスト優位性を維持する重要な施策となっている。次期中期経営計画説明会は2026年5月29日に予定されており、次期中計の内容に注目が集まろう。
株主還元は、DOE3.0%・配当性向30%を目標に掲げ、安定的な還元を志向している。足元PBRは1倍を超え、配当利回りは約2.8%に達しているが、今後の株主還元方針や資本効率の改善姿勢は引き続き投資家にとって注目となろう。
総じて、トクヤマは伝統的な素材事業で築いた強固な収益基盤を足がかりに、世界屈指の技術力を誇る半導体材料やライフサイエンス分野へと見事な転換を遂げている。直近の市況変動による一時的な業績への影響はあるものの、先端半導体市場の拡大や戦略的なM&Aによる事業補強が着実に成果を結び始めており、中長期的な成長余力は極めて大きい。圧倒的なコスト競争力と高付加価値製品の両輪を回す同社の今後の動向に、大いに注目していきたい。
<KM>
同社の強みは、第一に、電子先端材料セグメントにおける多結晶シリコンなどの圧倒的な品質競争力と独立した地位である。かつて存在した国内競合他社が撤退や統合を余儀なくされる中で、同社は日本で唯一の独立系メーカーとして生き残り、最先端の半導体製造に不可欠なウエハーの原料である高品質シリコンを安定供給できる体制を整えている。多結晶シリコン以外でも、放熱材としての窒化アルミニウム粉末や乾式シリカを使用するCMP用途では世界シェアトップ、高純度IPAもTier1メーカーの地位を確立するなど半導体製工程の中で必要不可欠な製品を製造・販売している。第二の強みは、ライフサイエンスセグメントにおけるニッチトップ戦略と独自の技術力である。歯科器材分野では、粉体制御技術を駆使して光の反射を操り、周囲の歯の色に馴染む独自のコンポジットレジン「オムニクロマ®」を展開しており、メガネレンズ用フォトクロミック材料は世界シェアNo.2とこちらも世界市場で高いシェアを獲得しながら成長を継続している。第三の強みは、伝統事業である化成品・セメントセグメントが創出する安定したキャッシュフローである。自家発電による電力コストの抑制と、製造工程全体を最適化したリサイクルモデルにより、専業メーカーには真似できない収益構造を実現しており、これが次世代の成長事業への投資原資となっている。
直近の業績である2026年3月期の第3四半期は、売上高251,524百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益26,730百万円(同26.9%増)と大幅な増益で着地した。売上高については、トクヤマライフサイエンスグループの新規連結、および半導体関連製品の販売増加等が増収要因となったものの、塩ビ関連製品の海外市況下落などにより対前年同期比で減収となった。一方、半導体関連製品の堅調な販売、および製造コストの改善が進んだことが大幅増益着地に寄与した。2026年3月期の通期予想は、売上高351,500百万円(同2.5%増)、営業利益39,000百万円(同30.1%増)を見込んでいる。期初予想からは下方修正されているが、これは伝統事業の市況悪化を織り込んだものであり、電子先端材料の利益予想は上方修正している。
中期経営計画2025(2021~2025年度)の5年間は成長事業への集中投資と環境対応を進め、事業ポートフォリオの転換を図ってきた。一方、石炭等の原燃料価格高騰や半導体市場低迷の影響など策定当初からの外部環境の変化もあり、現時点の2025年度業績予想は中期経営計画の最終年度達成目標を下回る見込み。
しかしながら、電子先端材料事業で先端分野向けの出荷が好調であるほか、ライフサイエンス事業では、収益の柱である歯科器材のさらなる拡販を推進する。また2025年10月より連結したトクヤマライフサイエンスグループの統合作業を進め、存在感を高めていく。現中計において、2030年度には成長事業の連結売上高比率60%以上、連結海外売上高比率50%以上、GHG排出量を2019年度比30%削減という目標を掲げており、バイオマス混焼などの次世代エネルギー技術の開発を進めている。こうした脱炭素化への取り組みは、環境規制が強化される中で同社の製造コスト優位性を維持する重要な施策となっている。次期中期経営計画説明会は2026年5月29日に予定されており、次期中計の内容に注目が集まろう。
株主還元は、DOE3.0%・配当性向30%を目標に掲げ、安定的な還元を志向している。足元PBRは1倍を超え、配当利回りは約2.8%に達しているが、今後の株主還元方針や資本効率の改善姿勢は引き続き投資家にとって注目となろう。
総じて、トクヤマは伝統的な素材事業で築いた強固な収益基盤を足がかりに、世界屈指の技術力を誇る半導体材料やライフサイエンス分野へと見事な転換を遂げている。直近の市況変動による一時的な業績への影響はあるものの、先端半導体市場の拡大や戦略的なM&Aによる事業補強が着実に成果を結び始めており、中長期的な成長余力は極めて大きい。圧倒的なコスト競争力と高付加価値製品の両輪を回す同社の今後の動向に、大いに注目していきたい。
<KM>
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