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日本フエルト:国内寡占の安定収益を基盤に、ワイヤー事業を第2の柱へ
配信日時:2026/01/26 10:10
配信元:FISCO
*10:10JST 日本フエルト:国内寡占の安定収益を基盤に、ワイヤー事業を第2の柱へ
日本フエルト<3512>は、1917年創業の老舗メーカーであり、製紙工程で使用される抄紙用フェルトを中心に、ワイヤー、カンバス、シュープレス用ベルトなどの抄紙用具を手掛け、特に国内で使用されるフェルトの9割以上を同社とイチカワ<3513>の2社で供給している。フェルトは製紙機械における消耗品であり、一定期間ごとに交換が必要となるためリピート性がある。高い国内のシェアにより、同社の事業は安定した収益構造を有している。
事業の中核はフェルト事業で、売上高の9割超を占める。紙・パルプ用フェルトは、抄紙工程のプレスパートで湿紙の水分を除去する役割を担い、紙の品質や製紙会社のエネルギーコストに直結する重要な部材だ。同社は長年にわたる技術蓄積と顧客ごとの抄紙条件に合わせた提案を強みとし、国内大手製紙会社との長期取引関係を構築してきた。加えて、ワイヤーからドライパートまで抄紙工程全体をカバーできる「総合抄紙用具企業」としての立ち位置は国内で唯一であり、フェルトで培った信頼関係を他製品の拡販につなげやすい点も競争優位性といえる。
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高47.7億円(前年同期比2.2%減)と減収となった一方、営業利益2.6億円(同0.1%増)と利益面では増益を確保した。国内ではペーパーレス化の進展を背景に紙需要全体が縮小しており、紙・パルプ用フェルトの販売数量も減少傾向にある。ただし、物流用途の板紙や生活必需品である家庭紙は比較的底堅く、同社は高機能フェルトの投入やリピート需要の確実な取り込みにより、国内シェアを維持している。
一方、海外ではインドネシアでの大型受注獲得や、インド市場での着実な販売増加が業績を下支えした。海外市場は価格競争が激しいものの、同社は高品質フェルトが評価されやすい顧客・地域にターゲットを絞った拡販戦略を採用しており、数量よりも付加価値を重視した展開を進めている。また、新設備の導入により、生産効率向上と品質安定化を進めており、償却負担は一時的に増加したものの、販管費削減やコスト最適化によって吸収した。
2026年3月期通期業績について、売上高は96.0億円(前期比1.0%減)と減収を見込む一方、営業利益は従来予想の2.5億円から4.5億円(同2.2倍)へ上方修正した。売上面では、下期にずれ込んだ案件の取り込みが見込まれるものの、通期では減収計画を維持している。ただし、生産・販売効率の改善やコスト最適化の進展により利益率の向上が見込まれており、利益面では増益基調が継続するとみられる。
中長期的な成長ドライバーとして位置付けられているのがワイヤー事業だ。ワイヤーは抄紙工程の初期段階で使用される網状製品で、国内市場ではフェルトと比較して海外メーカーや輸入品の比率が高い。同社は後発ながら、埼玉・栃木両工場での専用設備導入により生産体制を強化し、品質・納期・アフターサービス面で差別化を図っている。売り切り型ではなく、メンテナンスや改善提案を含めた対応力は海外メーカーに対する優位点であり、フェルトに次ぐ「第2の柱」への育成を進めている。
また、不動産賃貸事業は売上構成比こそ小さいものの、保有していた王子工場跡地や寮の跡地を再開発し、オフィスビル、商業施設、介護施設、学生寮などに活用、高い入居率を維持している。紙需要の影響を受けにくい安定収益源として、同社全体のキャッシュフローを下支えする役割を果たしており、事業ポートフォリオの安定性向上に寄与している。
株主還元については、安定配当を基本方針とし、DOE(株主資本配当率)2.5%を目標に掲げている。2026年3月期の年間配当は20円を予定しており、加えて自己株式取得も実施中である。中小型株としては比較的明確な還元方針を示しており、安定収益と還元姿勢の両立を評価する投資家にとって注目度は高い。
総じて同社は、国内紙市場の縮小という構造的な逆風を受ける中にあっても、寡占的な市場地位に裏打ちされた安定収益を基盤に、海外展開およびワイヤー事業の育成を通じて事業基盤の強化を進めている。短期的な高成長は見込みにくいものの、製紙工程における必需性の高い製品群、安定したキャッシュフロー創出力、ならびに株主還元姿勢を踏まえれば、中長期的な観点から評価余地のある銘柄と位置付けられよう。
<NH>
事業の中核はフェルト事業で、売上高の9割超を占める。紙・パルプ用フェルトは、抄紙工程のプレスパートで湿紙の水分を除去する役割を担い、紙の品質や製紙会社のエネルギーコストに直結する重要な部材だ。同社は長年にわたる技術蓄積と顧客ごとの抄紙条件に合わせた提案を強みとし、国内大手製紙会社との長期取引関係を構築してきた。加えて、ワイヤーからドライパートまで抄紙工程全体をカバーできる「総合抄紙用具企業」としての立ち位置は国内で唯一であり、フェルトで培った信頼関係を他製品の拡販につなげやすい点も競争優位性といえる。
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高47.7億円(前年同期比2.2%減)と減収となった一方、営業利益2.6億円(同0.1%増)と利益面では増益を確保した。国内ではペーパーレス化の進展を背景に紙需要全体が縮小しており、紙・パルプ用フェルトの販売数量も減少傾向にある。ただし、物流用途の板紙や生活必需品である家庭紙は比較的底堅く、同社は高機能フェルトの投入やリピート需要の確実な取り込みにより、国内シェアを維持している。
一方、海外ではインドネシアでの大型受注獲得や、インド市場での着実な販売増加が業績を下支えした。海外市場は価格競争が激しいものの、同社は高品質フェルトが評価されやすい顧客・地域にターゲットを絞った拡販戦略を採用しており、数量よりも付加価値を重視した展開を進めている。また、新設備の導入により、生産効率向上と品質安定化を進めており、償却負担は一時的に増加したものの、販管費削減やコスト最適化によって吸収した。
2026年3月期通期業績について、売上高は96.0億円(前期比1.0%減)と減収を見込む一方、営業利益は従来予想の2.5億円から4.5億円(同2.2倍)へ上方修正した。売上面では、下期にずれ込んだ案件の取り込みが見込まれるものの、通期では減収計画を維持している。ただし、生産・販売効率の改善やコスト最適化の進展により利益率の向上が見込まれており、利益面では増益基調が継続するとみられる。
中長期的な成長ドライバーとして位置付けられているのがワイヤー事業だ。ワイヤーは抄紙工程の初期段階で使用される網状製品で、国内市場ではフェルトと比較して海外メーカーや輸入品の比率が高い。同社は後発ながら、埼玉・栃木両工場での専用設備導入により生産体制を強化し、品質・納期・アフターサービス面で差別化を図っている。売り切り型ではなく、メンテナンスや改善提案を含めた対応力は海外メーカーに対する優位点であり、フェルトに次ぐ「第2の柱」への育成を進めている。
また、不動産賃貸事業は売上構成比こそ小さいものの、保有していた王子工場跡地や寮の跡地を再開発し、オフィスビル、商業施設、介護施設、学生寮などに活用、高い入居率を維持している。紙需要の影響を受けにくい安定収益源として、同社全体のキャッシュフローを下支えする役割を果たしており、事業ポートフォリオの安定性向上に寄与している。
株主還元については、安定配当を基本方針とし、DOE(株主資本配当率)2.5%を目標に掲げている。2026年3月期の年間配当は20円を予定しており、加えて自己株式取得も実施中である。中小型株としては比較的明確な還元方針を示しており、安定収益と還元姿勢の両立を評価する投資家にとって注目度は高い。
総じて同社は、国内紙市場の縮小という構造的な逆風を受ける中にあっても、寡占的な市場地位に裏打ちされた安定収益を基盤に、海外展開およびワイヤー事業の育成を通じて事業基盤の強化を進めている。短期的な高成長は見込みにくいものの、製紙工程における必需性の高い製品群、安定したキャッシュフロー創出力、ならびに株主還元姿勢を踏まえれば、中長期的な観点から評価余地のある銘柄と位置付けられよう。
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