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トーエル:地域密着型ライフライン事業者としての安定基盤、PBR0.7倍台で推移
配信日時:2026/01/23 14:28
配信元:FISCO
*14:28JST トーエル:地域密着型ライフライン事業者としての安定基盤、PBR0.7倍台で推移
トーエル<3361>は、LPガスを中心とするエネルギー事業と、宅配水を主軸とするウォーター事業の「火」と「水」の2本柱で構成される地域密着型ライフライン企業である。事業基盤は神奈川県を中心とした関東一円にある。全国展開を志向せず、自社物流・自社保安体制を前提に集中して顧客基盤を積み上げており、横浜市周辺を中心に約54万世帯をカバーする地域密着モデルを長年継続してきている。そのほか、エネルギー事業における営業権獲得については、M&Aというよりも事業承継の色合いが強い。中小零細事業者から「会社を買う」のではなく、「顧客のみを引き受ける」形で営業権を取得しており、卸先や取引関係を通じて事業承継の相談が持ち込まれるケースが多いという。規模感としては大型案件ではなく、既存エリアに隣接する小口の顧客を積み上げるイメージで、獲得後は対象顧客への最適な価格とサービス提供を通じて自社顧客に取り込んでいく戦略である。
競争環境について、競合他社から一部からは攻勢があるものの、同社が個別にライバル視している企業はないという。LPガスは地域性が極めて強く、価格競争に陥りやすい一方、同社は「安価で適切な価格で供給する」という経営理念のもと、物流を自前で内製化することでコストを抑制してきた。ローリー車両を含む自社物流網を構築し、LPガスの直売のみならず卸事業を強化してきた点は、同社の構造的な競争優位といえる。ウォーター事業については、業界全体として参入企業が乱立する中、今後は「選別のフェーズ」に入るとの見方を示している。従来から品質、価格競争力は強みであったものの消費者への訴求が不十分だったとの反省から、足元では広告宣伝費を投下し、製品価値の訴求を強化している。特にハワイの水源を用いた「Pure Hawaiian」については、ハワイブランドに根強いファンが存在し、航空会社のハワイ便での採用実績もあるなど、差別化可能な商品として位置付けており、各種キャンペーンによる個人契約・代理店経由での顧客獲得の強化策を進めている。
2026年4月期第2四半期業績は、売上高11,588百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益484百万円(同32.4%減)で着地した。決算は減収減益となったが、想定外の要因として10月まで続いた酷暑の影響がある。ガス消費量の減少に加え、円安によるコスト増が重なり、従来の低価格戦略では利幅を確保できない局面があったようだ。同社は業界内でも低価格での供給を行ってきたが、物流効率化で吸収してきたコストバッファーが、酷暑と円安の同時進行により限界に達した。これを受け、ウォーター事業では「アルピナ」を中心に一斉値上げを実施し、LPガスについても2025年12月1日付で価格改定に踏み切っている。11月以降は寒波の到来によりガス消費が回復しており、ガス部門は計画を上回る進捗で推移しているようで、通期計画となる売上高27,136百万円(前期比0.9%減)、営業利益2,007百万円(同3.6%増)は据えておいている。業績の季節性については、下期偏重型であり、特に第3四半期から第4四半期にかけて冬場のガス需要が業績を押し上げる構造に変化はない。価格改定の効果が通期でどこまで浸透するかが、今期業績の最大の焦点となる。
中期経営計画(2028年4月期、売上高281億円、営業利益23億円)については、外部環境の不確実性を踏まえ、ローリング方式での運用としている。為替や原燃料価格を見通すことが難しい中、オーガニック成長を前提とした計画を重視しており、顧客基盤の拡大が基本戦略となる。営業権取得や広告投資強化による顧客獲得、ライフラインパッケージ販売強化による顧客取引拡大、サービスの向上による解約率低下、自社配送による物流コストなど5つの取り組みを推進していく。ただ、54万件超の顧客基盤を有する点を活かし、将来的にはM&Aを活用したインオーガニックな成長や別事業を新たな柱として育成する可能性もあるようだ。キャッシュアロケーションの観点では、成長投資・M&Aも戦略オプションの一つとしつつ、現時点では慎重な姿勢を維持している。最後に、ガス事業におけるIoT関連の取り組み(無線IoT-R)にも注目が集まる。遠隔操作や安全管理の高度化を進めることで、事故リスクの低減と保安品質の向上を図っており、価格競争に陥りがちなLPガス業界において「安全」という非価格軸での差別化も進めていく方針である。
財務面ではネットキャッシュを厚く保有し、キャッシュフローの変動も比較的穏やかな事業構造である。一方で、PBRが0.7倍台にとどまっている現状については、IR発信の不足を経営としても課題認識しており、今後は情報発信の強化に取り組む考えを示した。株主還元については、配当および株主優待を継続して実施してきているが、現状の株価水準については割安感が残る。
総じて、トーエルは地域密着型の顧客基盤と自社物流を軸に、安定したキャッシュフローを生み出す構造を有する。足元は外部環境の逆風を受けたものの、価格是正局面に入りつつある現在、下期以降の収益回復とIR強化によってPBR1倍割れ改善に向けて評価見直し余地が注目される可能性があろう。
<NH>
競争環境について、競合他社から一部からは攻勢があるものの、同社が個別にライバル視している企業はないという。LPガスは地域性が極めて強く、価格競争に陥りやすい一方、同社は「安価で適切な価格で供給する」という経営理念のもと、物流を自前で内製化することでコストを抑制してきた。ローリー車両を含む自社物流網を構築し、LPガスの直売のみならず卸事業を強化してきた点は、同社の構造的な競争優位といえる。ウォーター事業については、業界全体として参入企業が乱立する中、今後は「選別のフェーズ」に入るとの見方を示している。従来から品質、価格競争力は強みであったものの消費者への訴求が不十分だったとの反省から、足元では広告宣伝費を投下し、製品価値の訴求を強化している。特にハワイの水源を用いた「Pure Hawaiian」については、ハワイブランドに根強いファンが存在し、航空会社のハワイ便での採用実績もあるなど、差別化可能な商品として位置付けており、各種キャンペーンによる個人契約・代理店経由での顧客獲得の強化策を進めている。
2026年4月期第2四半期業績は、売上高11,588百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益484百万円(同32.4%減)で着地した。決算は減収減益となったが、想定外の要因として10月まで続いた酷暑の影響がある。ガス消費量の減少に加え、円安によるコスト増が重なり、従来の低価格戦略では利幅を確保できない局面があったようだ。同社は業界内でも低価格での供給を行ってきたが、物流効率化で吸収してきたコストバッファーが、酷暑と円安の同時進行により限界に達した。これを受け、ウォーター事業では「アルピナ」を中心に一斉値上げを実施し、LPガスについても2025年12月1日付で価格改定に踏み切っている。11月以降は寒波の到来によりガス消費が回復しており、ガス部門は計画を上回る進捗で推移しているようで、通期計画となる売上高27,136百万円(前期比0.9%減)、営業利益2,007百万円(同3.6%増)は据えておいている。業績の季節性については、下期偏重型であり、特に第3四半期から第4四半期にかけて冬場のガス需要が業績を押し上げる構造に変化はない。価格改定の効果が通期でどこまで浸透するかが、今期業績の最大の焦点となる。
中期経営計画(2028年4月期、売上高281億円、営業利益23億円)については、外部環境の不確実性を踏まえ、ローリング方式での運用としている。為替や原燃料価格を見通すことが難しい中、オーガニック成長を前提とした計画を重視しており、顧客基盤の拡大が基本戦略となる。営業権取得や広告投資強化による顧客獲得、ライフラインパッケージ販売強化による顧客取引拡大、サービスの向上による解約率低下、自社配送による物流コストなど5つの取り組みを推進していく。ただ、54万件超の顧客基盤を有する点を活かし、将来的にはM&Aを活用したインオーガニックな成長や別事業を新たな柱として育成する可能性もあるようだ。キャッシュアロケーションの観点では、成長投資・M&Aも戦略オプションの一つとしつつ、現時点では慎重な姿勢を維持している。最後に、ガス事業におけるIoT関連の取り組み(無線IoT-R)にも注目が集まる。遠隔操作や安全管理の高度化を進めることで、事故リスクの低減と保安品質の向上を図っており、価格競争に陥りがちなLPガス業界において「安全」という非価格軸での差別化も進めていく方針である。
財務面ではネットキャッシュを厚く保有し、キャッシュフローの変動も比較的穏やかな事業構造である。一方で、PBRが0.7倍台にとどまっている現状については、IR発信の不足を経営としても課題認識しており、今後は情報発信の強化に取り組む考えを示した。株主還元については、配当および株主優待を継続して実施してきているが、現状の株価水準については割安感が残る。
総じて、トーエルは地域密着型の顧客基盤と自社物流を軸に、安定したキャッシュフローを生み出す構造を有する。足元は外部環境の逆風を受けたものの、価格是正局面に入りつつある現在、下期以降の収益回復とIR強化によってPBR1倍割れ改善に向けて評価見直し余地が注目される可能性があろう。
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