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戸田工業 Research Memo(7):事業ポートフォリオマネジメントの強化を推進(2)
配信日時:2026/01/23 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST 戸田工業 Research Memo(7):事業ポートフォリオマネジメントの強化を推進(2)
■戸田工業<4100>の中長期の成長戦略
(2) 電子素材
a) 磁石材料(成長事業)
磁石材料はモーター市場に向け、ボンド磁石の材料の積極展開を行う。現在xEVが普及しつつあるなかで、同社の希土類ボンド磁石がxEV用電動ウォーターポンプ(EWP)向けに拡大すると期待されている。xEVでは内燃機関と異なり、バッテリーの温度とモーターの冷却、熱風の管理、吸気インタークーラーからの熱の調節などシステムの性能を維持するために効率的な熱マネジメントが必要である。その中心的な役割を果たすEWPはモーターの回転数に関係なく必要に応じ冷却水の流量制御ができる。EWPには軽量化、軸インサート成形が可能なボンド磁石が多用されており、高温対応や耐環境性、高磁気特性の要求が高まり、高性能な希土類ボンド磁石の需要が拡大している。既に同社のボンド磁石全体での希土類ボンド磁石の売上構成比は40%まで高まっているが、さらにこの比率が高まろう。今後、日本でもxEV拡大によって日系ポンプメーカーの採用が拡大するにつれて、売上拡大が期待される。
加えて注目されるのがAIデータセンタ向けの拡大である。近年、AIデータセンタでは、CPUやGPU、ASICなどの高性能化で熱負荷が増大しており、発熱対策への要求が厳しさを増している。近い将来、冷却システムの主流になると考えられているのが、水冷システムである。一般に300Wを超えるCPUでは、ヒートシンクやファン、空調などによる冷却では不十分で、300W~1,000WのハイパワーCPUが正常な稼働を維持して演算処理効率を向上させるには、水冷システムによる発熱処理が必要となる。同分野は大型のEWPが必要であり、水冷・油冷の本格拡大が見込める2027年3月期以降のさらなる拡大にも期待が持てる。
b) 誘電体材料(成長事業)
誘電体材料では、MLCCの小型化・高機能化に対応したさらなる微粒子化を追求し、コスト削減を図り、先端材料としての事業拡大を目指す。現在、環境対応車や自動運転支援の普及で、自動車1台当たりのMLCC使用数量が従来の1,000個〜3,000個程度から3,000個〜6,000個程度まで搭載個数が増大してきた。また今後はパワートレイン系、xEV系、ボディ系、走行安全系、インフォテインメント系、すべての分野で使用個数が拡大すると見られる。今後は高容量化で電極層のさらなる薄層化が進み、電極材料として100nm以下のNi粒子に20nm以下の共材が必要とされるなど、微細化が進むと見られる。また、同社では2026年中に投入する分散体事業の拡大も加わり、収益拡大とともに収益性の向上が期待される。分散体は、粒子同士の凝集を防ぎ、均一な誘電体層を形成するために使用される。現在は一度乾燥してユーザーに粉体で出荷し、ユーザー側で分散剤を付加して利用されているが、同社の水熱合成法を用いることで溶液に分散した状態のままユーザーに提供できる。今回開発した分散体については2025年にサンプル出荷が始まっており、2027年3月期以降に量産が始まることで付加価値が高まろう。
加えて注目されるのが、ここでもAI半導体、AIサーバー需要拡大によるMLCC需要の拡大である。AIアクセラレータ(GPU、TPUなど)は、膨大な並列処理により性能を達成、何十億ものトランジスタを搭載(NVIDIAのH100は800億、GB200は2,000億以上)しているが、この高密度実装は、莫大な消費電力と熱出力を生み出し、過酷な動作環境を作り出している。ここでは単に平均消費電力が高いだけでなく、プロセッサがアイドル状態と全負荷状態の間をナノ秒単位で切り替える際に発生する、瞬間的かつ大規模な電流需要の変動(過渡電流)が最大の問題となる。この現象は、電源レールに大幅な電圧降下(ドループ)と高周波ノイズを引き起こし、データ破損やシステムの不安定化を招く可能性がある。MLCCは、その固有の物理的特性である非常に低い等価直列抵抗(ESR)と等価直列インダクタンス(ESL)をもたらす多層構造により、極めて迅速な充放電が可能となり、高周波ノイズのフィルタリングやGPU・CPUの瞬間的な電流ニーズへの対応に効果を発揮する。従来のサーバーとAIサーバーでは、使用されるMLCCの数に著しい差があり、AIサーバーの搭載数は、従来のサーバーの2倍必要と言われる。ちなみにNVIDIA GB200サーバーではシステムメインボードに3,000個から4,000個ものMLCCが必要となっている。しかもAIサーバーのボードは超高密度で膨大な数の部品を搭載するため、0402(0.4×0.2mm)や0201(0.25×0.125mm)など最先端小型MLCCの使用が不可欠である。同時に微小部品は、効果的なエネルギー貯蔵庫として機能するために極めて高い静電容量を提供する必要がある、要求されるのはマイクロファラッド単位の値で、0402サイズで1.0マイクロファラッド、あるいは1608サイズで100マイクロファラッド値が必要となり、これは静電容量密度の大幅な向上を意味している。現在、NVIDIA GB200ボードでは高容量MLCC(1マイクロファラッド以上)が全体の60%を占め、大容量の必要性が増している。AIサーバー市場が年間40%以上の成長が見込まれ、さらに超小型高性能なMLCCが求められるだけに、同分野での需要も2027年3月期以降上乗せされると見られる。
c) 軟磁性材料(次世代事業)
軟磁性材料事業については完全子会社化した韓国の戸田マテリアルズが2025年3月期より連結され、電子素材事業において磁石事業に次ぐ売上規模になった。同事業は車載用インダクター中心にメタル系軟磁性材料の開発を行い、売上拡大と収益性向上を目指す。具体的にはインダクター向けの軟磁性フェライト粉に加え、パワーインダクター向け軟磁性メタル粉などインダクター需要増に対応する。さらに素材技術と複合化技術の融合により、インダクター向け軟磁性コンパウンドのワンストップの提供を目指す。また戸田マテリアルズは金属粉末の製造法(水アトマイズ法など)上、数μm〜数十μm程度の比較的大きな粒子が一般的であるのに対し、国内の戸田工業では湿式法を利用し1μm未満の微細粒子を均一に製造する技術に強みを持つ。このように違う製法を利用し、高充填樹脂複合コンパウンドなどの新製品も投入、シナジー効果も現れている。
加えてこの分野でも、AI半導体、AIサーバーの拡大でインダクターの需要が急拡大する要素がある。主な要因として、AIプロセッサ(GPUなど)の爆発的な消費電力の増加と、それに伴う電源設計の高度化の必要性が挙げられる。性能向上のために低電圧(例:1V以下)で動作し、その一方で非常に大きな電流(数百アンペア以上)を必要とし、「低電圧・大電流」の電力を安定して供給するためにDC-DCコンバータ電源回路が不可欠である。インダクターはDC-DCコンバータの主要部品であり、電流を安定化させ、エネルギーを蓄える重要な役割を担う。AI半導体の消費電力が増加するほど、より多く、高性能なインダクターが必要となるため、AIサーバーは通常のサーバーに比べ搭載数が最大で2倍になる可能性がある。このインダクターの性能を左右するのが、コア(磁性体)材料で、AI向けには特に金属系の磁性材料(メタルコンポジット材など)が注目されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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(2) 電子素材
a) 磁石材料(成長事業)
磁石材料はモーター市場に向け、ボンド磁石の材料の積極展開を行う。現在xEVが普及しつつあるなかで、同社の希土類ボンド磁石がxEV用電動ウォーターポンプ(EWP)向けに拡大すると期待されている。xEVでは内燃機関と異なり、バッテリーの温度とモーターの冷却、熱風の管理、吸気インタークーラーからの熱の調節などシステムの性能を維持するために効率的な熱マネジメントが必要である。その中心的な役割を果たすEWPはモーターの回転数に関係なく必要に応じ冷却水の流量制御ができる。EWPには軽量化、軸インサート成形が可能なボンド磁石が多用されており、高温対応や耐環境性、高磁気特性の要求が高まり、高性能な希土類ボンド磁石の需要が拡大している。既に同社のボンド磁石全体での希土類ボンド磁石の売上構成比は40%まで高まっているが、さらにこの比率が高まろう。今後、日本でもxEV拡大によって日系ポンプメーカーの採用が拡大するにつれて、売上拡大が期待される。
加えて注目されるのがAIデータセンタ向けの拡大である。近年、AIデータセンタでは、CPUやGPU、ASICなどの高性能化で熱負荷が増大しており、発熱対策への要求が厳しさを増している。近い将来、冷却システムの主流になると考えられているのが、水冷システムである。一般に300Wを超えるCPUでは、ヒートシンクやファン、空調などによる冷却では不十分で、300W~1,000WのハイパワーCPUが正常な稼働を維持して演算処理効率を向上させるには、水冷システムによる発熱処理が必要となる。同分野は大型のEWPが必要であり、水冷・油冷の本格拡大が見込める2027年3月期以降のさらなる拡大にも期待が持てる。
b) 誘電体材料(成長事業)
誘電体材料では、MLCCの小型化・高機能化に対応したさらなる微粒子化を追求し、コスト削減を図り、先端材料としての事業拡大を目指す。現在、環境対応車や自動運転支援の普及で、自動車1台当たりのMLCC使用数量が従来の1,000個〜3,000個程度から3,000個〜6,000個程度まで搭載個数が増大してきた。また今後はパワートレイン系、xEV系、ボディ系、走行安全系、インフォテインメント系、すべての分野で使用個数が拡大すると見られる。今後は高容量化で電極層のさらなる薄層化が進み、電極材料として100nm以下のNi粒子に20nm以下の共材が必要とされるなど、微細化が進むと見られる。また、同社では2026年中に投入する分散体事業の拡大も加わり、収益拡大とともに収益性の向上が期待される。分散体は、粒子同士の凝集を防ぎ、均一な誘電体層を形成するために使用される。現在は一度乾燥してユーザーに粉体で出荷し、ユーザー側で分散剤を付加して利用されているが、同社の水熱合成法を用いることで溶液に分散した状態のままユーザーに提供できる。今回開発した分散体については2025年にサンプル出荷が始まっており、2027年3月期以降に量産が始まることで付加価値が高まろう。
加えて注目されるのが、ここでもAI半導体、AIサーバー需要拡大によるMLCC需要の拡大である。AIアクセラレータ(GPU、TPUなど)は、膨大な並列処理により性能を達成、何十億ものトランジスタを搭載(NVIDIAのH100は800億、GB200は2,000億以上)しているが、この高密度実装は、莫大な消費電力と熱出力を生み出し、過酷な動作環境を作り出している。ここでは単に平均消費電力が高いだけでなく、プロセッサがアイドル状態と全負荷状態の間をナノ秒単位で切り替える際に発生する、瞬間的かつ大規模な電流需要の変動(過渡電流)が最大の問題となる。この現象は、電源レールに大幅な電圧降下(ドループ)と高周波ノイズを引き起こし、データ破損やシステムの不安定化を招く可能性がある。MLCCは、その固有の物理的特性である非常に低い等価直列抵抗(ESR)と等価直列インダクタンス(ESL)をもたらす多層構造により、極めて迅速な充放電が可能となり、高周波ノイズのフィルタリングやGPU・CPUの瞬間的な電流ニーズへの対応に効果を発揮する。従来のサーバーとAIサーバーでは、使用されるMLCCの数に著しい差があり、AIサーバーの搭載数は、従来のサーバーの2倍必要と言われる。ちなみにNVIDIA GB200サーバーではシステムメインボードに3,000個から4,000個ものMLCCが必要となっている。しかもAIサーバーのボードは超高密度で膨大な数の部品を搭載するため、0402(0.4×0.2mm)や0201(0.25×0.125mm)など最先端小型MLCCの使用が不可欠である。同時に微小部品は、効果的なエネルギー貯蔵庫として機能するために極めて高い静電容量を提供する必要がある、要求されるのはマイクロファラッド単位の値で、0402サイズで1.0マイクロファラッド、あるいは1608サイズで100マイクロファラッド値が必要となり、これは静電容量密度の大幅な向上を意味している。現在、NVIDIA GB200ボードでは高容量MLCC(1マイクロファラッド以上)が全体の60%を占め、大容量の必要性が増している。AIサーバー市場が年間40%以上の成長が見込まれ、さらに超小型高性能なMLCCが求められるだけに、同分野での需要も2027年3月期以降上乗せされると見られる。
c) 軟磁性材料(次世代事業)
軟磁性材料事業については完全子会社化した韓国の戸田マテリアルズが2025年3月期より連結され、電子素材事業において磁石事業に次ぐ売上規模になった。同事業は車載用インダクター中心にメタル系軟磁性材料の開発を行い、売上拡大と収益性向上を目指す。具体的にはインダクター向けの軟磁性フェライト粉に加え、パワーインダクター向け軟磁性メタル粉などインダクター需要増に対応する。さらに素材技術と複合化技術の融合により、インダクター向け軟磁性コンパウンドのワンストップの提供を目指す。また戸田マテリアルズは金属粉末の製造法(水アトマイズ法など)上、数μm〜数十μm程度の比較的大きな粒子が一般的であるのに対し、国内の戸田工業では湿式法を利用し1μm未満の微細粒子を均一に製造する技術に強みを持つ。このように違う製法を利用し、高充填樹脂複合コンパウンドなどの新製品も投入、シナジー効果も現れている。
加えてこの分野でも、AI半導体、AIサーバーの拡大でインダクターの需要が急拡大する要素がある。主な要因として、AIプロセッサ(GPUなど)の爆発的な消費電力の増加と、それに伴う電源設計の高度化の必要性が挙げられる。性能向上のために低電圧(例:1V以下)で動作し、その一方で非常に大きな電流(数百アンペア以上)を必要とし、「低電圧・大電流」の電力を安定して供給するためにDC-DCコンバータ電源回路が不可欠である。インダクターはDC-DCコンバータの主要部品であり、電流を安定化させ、エネルギーを蓄える重要な役割を担う。AI半導体の消費電力が増加するほど、より多く、高性能なインダクターが必要となるため、AIサーバーは通常のサーバーに比べ搭載数が最大で2倍になる可能性がある。このインダクターの性能を左右するのが、コア(磁性体)材料で、AI向けには特に金属系の磁性材料(メタルコンポジット材など)が注目されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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