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クロスキャット Research Memo(4):異なるビジネス特性を持つSI分野とDX分野の2本柱で事業を展開(2)
配信日時:2026/01/15 11:34
配信元:FISCO
*11:34JST クロスキャット Research Memo(4):異なるビジネス特性を持つSI分野とDX分野の2本柱で事業を展開(2)
■事業概要
2. SI分野
(1) クロスキャット<2307>の事業概要
SI分野は、同社グループの中核をなす事業領域である。クレジットや銀行などの金融機関、官公庁・自治体・公共企業に加え、製造・通信・流通といった民間企業まで、社会インフラから民間サービスに至る幅広い業種を対象にシステム開発を行っている。システムの設計・開発から、運用・保守、テクニカルサポート、インフラサポート、システムコンサルティングまでを一気通貫で提供する点が特長であり、グループ各社と連携したシステムソリューション体制を構築している。
事業モデルとしては、自社のシステム開発要員を中核としつつ、富士通<6702>やNTTデータグループなどの大手SIerを主要パートナーとし、金融機関や中央官庁向けの大規模案件で中核工程を担うケースが多い。要件定義・設計といった上流工程から開発・テスト、リリース後の運用・保守までワンストップで対応できる技術者層を擁し、多数の有資格エンジニアとそのエンジニアの知見を蓄積したナレッジシステムの運用、ISO9001に準拠したPMO(Project Management Office)主導の充実した品質管理体制により、ミッションクリティカルな案件においても安定稼働と障害ゼロ運用を志向する高品質なSIサービスを提供している。
このSI分野は、クレジットカード決済や銀行勘定系、保険・証券、さらには国税庁や各省庁・地方自治体向けの基幹システムなど、社会の安定稼働を支える大規模・高信頼性システムを多数手掛けてきた実績を持つ。創業以来約50年にわたり、銀行・クレジット・保険・官公庁などを中心に年間1,200件超のプロジェクトを担っており、独立系SIerとして社会インフラ領域に強みを持つポジションを確立した。
(2) 顧客の業種別構成
SI分野における顧客の業種別構成においては、金融、クレジット、官公庁・公共企業の比重が大きい。それぞれの特長や強みは以下のとおりである。
a) 金融・クレジット
同社の創業以来の軸である金融分野は、現在も売上の約20%を占め、安定的な収益源となっている。主に銀行や保険が顧客になるが、銀行においては、長年大規模開発の二次請けを中心に実績を積み重ねてきた実績と信頼関係がある。保険については、生保・損保ともに長年にわたり業務システムの関連、営業支援システム、顧客管理支援、保険代理支援システムなどの開発を中心に幅広く担当している。特定のベンダーに依存しないマルチベンダー対応力の高さと、フロントからバックオフィスまで幅広い業務ノウハウの蓄積が強みである。またクレジットは、国際ブランド業務に関する開発力に優位性がある。この分野は業務ノウハウの特殊性が非常に強く、業務知識を持つ人材がマーケットで限定的であるため、高い参入障壁となっている。近年では約10%の売上を占めている(構成比はいずれも2026年3月期中間期)。
b) 官公庁・公共企業
官公庁・公共企業については、中央官庁を中心に事業を展開しており、近年は売上高の約30%を占める主要な収益基盤となっている。顧客と直接取引する一次請け案件が多いことが特長となっており、主な実績としては国税庁の確定申告書等作成コーナーの開発・保守を直接受託している。これは同社規模の企業としては稀なケースであり、同社の技術力や信頼性を示す事例である。ほかにも法務省や厚生労働省などの案件や林野庁関連のクラウド関係の入札なども受注している。
公共分野における同社の強みは、品質の高さにある。2017年にはソフトウェア開発プロセスの国際的指標の最高位である「CMMIレベル5」を、国税庁プロジェクトを担当する公共ビジネス事業部公共第1部が達成した。これは、2014年の「CMMIレベル3」達成を経て、長年の業務ノウハウと組織的な高い品質管理体制が官公庁からの信頼獲得に貢献した結果である。
また、国税庁の案件などで長年培ってきた実績が、入札におけるアドバンテージとなっている。過去の知見や実績を活用できるため、他社と比較して余分なコストがかからず、効果的な入札を実施している。中央官庁以外にも、公営競技(競馬・競輪)やスポーツ振興くじ(サッカー)などで得られた特殊な業務ノウハウを活用し、他業界において専門的な知見を生かした業務運営を行うことができる。
3. DX分野
(1) 事業概要
同社は、DX分野を成長分野として位置付けている。DX分野は、従来のSIビジネスで培った業務・システムの知見を基盤に、クラウド環境構築や生成AIなどの先端技術とデータ利活用ノウハウを組み合わせ、顧客企業の業務効率化・生産性向上を支援している。具体的には、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)を中心としたクラウドや生成AIを活用した独自サービス提供に加え、同社の強みであるデータ利活用支援やデータ分析基盤の構築、自社開発システムの提供を通じて、顧客のDX推進を総合的に支援する事業ポートフォリオを構成している。
主な顧客ニーズは、「データ分析基盤構築」「データ利活用支援」「クラウド移行支援」といったデータドリブン経営の基盤づくりにある。それぞれ、金融、官公庁・公共、流通、小売、外食、医療・医薬、不動産、アミューズメントなど多様な業種に対して横断的に提供している。同社は足元の生成AI関連の技術的トレンドに対しても、データ活用をAI/ITに共通する中核領域と位置付け、顧客のデータ整備から分析・可視化、AI活用に至る一連のプロセスを支援している。
DXの基盤となるデータの収集・整理、利活用等の支援を他社に先駆けて進めてきた同社は、長年にわたる日本オラクル<4716>との強固なパートナーシップを背景に、OCIの導入・構築案件において、数多くの実績を積み上げている。これにより、データ分析基盤構築から運用・保守までの一連の専門知識やノウハウを蓄積し、顧客企業のDX推進を支援する実行力を一段と高めており、需要の多いクラウド分野が事業拡大の一翼を担っている。
このソリューション展開の中核となるのが、独自のDX推進支援フレームワーク「CC-Dash(シーシー・ダッシュ)」である。「CC-Dash」は、データの収集・加工・蓄積・可視化を一気通貫で支援するサービスであり、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールやDWH(データウェアハウス)の導入・構築支援を中心としており、顧客の経営課題である「データドリブン経営」の実現を、短期間かつ低コストでサポートする体制を構築している。また、SaaS型であるクラウド型勤怠管理システム「CC-BizMate」や経営ダッシュボード構築サービスである「CC-MicView」といった自社開発のサービス(リカーリングサービス)も展開しており、安定的な収益基盤の拡大に寄与している。
(2) 事業間連携
DX分野で培ったクラウドに関する知見はSI分野に援用され、特に公共分野の受注(国税庁の確定申告システムのクラウド基盤への移行)などにも活用されている。このクラウドとSIの組み合わせがシナジーとなり、近年の成長拡大を後押ししている。さらに、同分野はSI分野と同等の利益率となっているものの、目下は小型から大型案件まで取り組んでいる。今後は、官公庁等の公共分野を中心として、ノウハウ蓄積と改善によってさらなる売上拡大と利益率向上が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦健太郎)
<HN>
2. SI分野
(1) クロスキャット<2307>の事業概要
SI分野は、同社グループの中核をなす事業領域である。クレジットや銀行などの金融機関、官公庁・自治体・公共企業に加え、製造・通信・流通といった民間企業まで、社会インフラから民間サービスに至る幅広い業種を対象にシステム開発を行っている。システムの設計・開発から、運用・保守、テクニカルサポート、インフラサポート、システムコンサルティングまでを一気通貫で提供する点が特長であり、グループ各社と連携したシステムソリューション体制を構築している。
事業モデルとしては、自社のシステム開発要員を中核としつつ、富士通<6702>やNTTデータグループなどの大手SIerを主要パートナーとし、金融機関や中央官庁向けの大規模案件で中核工程を担うケースが多い。要件定義・設計といった上流工程から開発・テスト、リリース後の運用・保守までワンストップで対応できる技術者層を擁し、多数の有資格エンジニアとそのエンジニアの知見を蓄積したナレッジシステムの運用、ISO9001に準拠したPMO(Project Management Office)主導の充実した品質管理体制により、ミッションクリティカルな案件においても安定稼働と障害ゼロ運用を志向する高品質なSIサービスを提供している。
このSI分野は、クレジットカード決済や銀行勘定系、保険・証券、さらには国税庁や各省庁・地方自治体向けの基幹システムなど、社会の安定稼働を支える大規模・高信頼性システムを多数手掛けてきた実績を持つ。創業以来約50年にわたり、銀行・クレジット・保険・官公庁などを中心に年間1,200件超のプロジェクトを担っており、独立系SIerとして社会インフラ領域に強みを持つポジションを確立した。
(2) 顧客の業種別構成
SI分野における顧客の業種別構成においては、金融、クレジット、官公庁・公共企業の比重が大きい。それぞれの特長や強みは以下のとおりである。
a) 金融・クレジット
同社の創業以来の軸である金融分野は、現在も売上の約20%を占め、安定的な収益源となっている。主に銀行や保険が顧客になるが、銀行においては、長年大規模開発の二次請けを中心に実績を積み重ねてきた実績と信頼関係がある。保険については、生保・損保ともに長年にわたり業務システムの関連、営業支援システム、顧客管理支援、保険代理支援システムなどの開発を中心に幅広く担当している。特定のベンダーに依存しないマルチベンダー対応力の高さと、フロントからバックオフィスまで幅広い業務ノウハウの蓄積が強みである。またクレジットは、国際ブランド業務に関する開発力に優位性がある。この分野は業務ノウハウの特殊性が非常に強く、業務知識を持つ人材がマーケットで限定的であるため、高い参入障壁となっている。近年では約10%の売上を占めている(構成比はいずれも2026年3月期中間期)。
b) 官公庁・公共企業
官公庁・公共企業については、中央官庁を中心に事業を展開しており、近年は売上高の約30%を占める主要な収益基盤となっている。顧客と直接取引する一次請け案件が多いことが特長となっており、主な実績としては国税庁の確定申告書等作成コーナーの開発・保守を直接受託している。これは同社規模の企業としては稀なケースであり、同社の技術力や信頼性を示す事例である。ほかにも法務省や厚生労働省などの案件や林野庁関連のクラウド関係の入札なども受注している。
公共分野における同社の強みは、品質の高さにある。2017年にはソフトウェア開発プロセスの国際的指標の最高位である「CMMIレベル5」を、国税庁プロジェクトを担当する公共ビジネス事業部公共第1部が達成した。これは、2014年の「CMMIレベル3」達成を経て、長年の業務ノウハウと組織的な高い品質管理体制が官公庁からの信頼獲得に貢献した結果である。
また、国税庁の案件などで長年培ってきた実績が、入札におけるアドバンテージとなっている。過去の知見や実績を活用できるため、他社と比較して余分なコストがかからず、効果的な入札を実施している。中央官庁以外にも、公営競技(競馬・競輪)やスポーツ振興くじ(サッカー)などで得られた特殊な業務ノウハウを活用し、他業界において専門的な知見を生かした業務運営を行うことができる。
3. DX分野
(1) 事業概要
同社は、DX分野を成長分野として位置付けている。DX分野は、従来のSIビジネスで培った業務・システムの知見を基盤に、クラウド環境構築や生成AIなどの先端技術とデータ利活用ノウハウを組み合わせ、顧客企業の業務効率化・生産性向上を支援している。具体的には、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)を中心としたクラウドや生成AIを活用した独自サービス提供に加え、同社の強みであるデータ利活用支援やデータ分析基盤の構築、自社開発システムの提供を通じて、顧客のDX推進を総合的に支援する事業ポートフォリオを構成している。
主な顧客ニーズは、「データ分析基盤構築」「データ利活用支援」「クラウド移行支援」といったデータドリブン経営の基盤づくりにある。それぞれ、金融、官公庁・公共、流通、小売、外食、医療・医薬、不動産、アミューズメントなど多様な業種に対して横断的に提供している。同社は足元の生成AI関連の技術的トレンドに対しても、データ活用をAI/ITに共通する中核領域と位置付け、顧客のデータ整備から分析・可視化、AI活用に至る一連のプロセスを支援している。
DXの基盤となるデータの収集・整理、利活用等の支援を他社に先駆けて進めてきた同社は、長年にわたる日本オラクル<4716>との強固なパートナーシップを背景に、OCIの導入・構築案件において、数多くの実績を積み上げている。これにより、データ分析基盤構築から運用・保守までの一連の専門知識やノウハウを蓄積し、顧客企業のDX推進を支援する実行力を一段と高めており、需要の多いクラウド分野が事業拡大の一翼を担っている。
このソリューション展開の中核となるのが、独自のDX推進支援フレームワーク「CC-Dash(シーシー・ダッシュ)」である。「CC-Dash」は、データの収集・加工・蓄積・可視化を一気通貫で支援するサービスであり、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールやDWH(データウェアハウス)の導入・構築支援を中心としており、顧客の経営課題である「データドリブン経営」の実現を、短期間かつ低コストでサポートする体制を構築している。また、SaaS型であるクラウド型勤怠管理システム「CC-BizMate」や経営ダッシュボード構築サービスである「CC-MicView」といった自社開発のサービス(リカーリングサービス)も展開しており、安定的な収益基盤の拡大に寄与している。
(2) 事業間連携
DX分野で培ったクラウドに関する知見はSI分野に援用され、特に公共分野の受注(国税庁の確定申告システムのクラウド基盤への移行)などにも活用されている。このクラウドとSIの組み合わせがシナジーとなり、近年の成長拡大を後押ししている。さらに、同分野はSI分野と同等の利益率となっているものの、目下は小型から大型案件まで取り組んでいる。今後は、官公庁等の公共分野を中心として、ノウハウ蓄積と改善によってさらなる売上拡大と利益率向上が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦健太郎)
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