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大冷:「骨なし魚」を起点とした業務用冷凍食品メーカー、配当利回り3%超え
配信日時:2026/01/05 14:37
配信元:FISCO
*14:37JST 大冷:「骨なし魚」を起点とした業務用冷凍食品メーカー、配当利回り3%超え
大冷<2883>は、骨なし魚を中心とする業務用冷凍食品メーカーである。医療・介護現場のニーズを起点に、誤嚥リスクの低減や調理負担の軽減といった課題解決型の商品開発を行ってきた点が同社の出発点であり、現在は骨なし魚、ミート、その他(水産加工品・えび等)を含む業務用冷凍食品全般へと事業領域を拡張している。
競合環境としては、ニチレイやマルハニチロ、極洋といった大手水産・冷凍食品メーカーが挙げられるが、同社は自社工場を持たないファブレスメーカーという立ち位置を明確にしている。製造は外部に委託し、商品企画、品質管理、販売、物流スキームに経営資源を集中させることで差別化を図っている点が特徴である。
骨なし魚事業の原点は、約10年以上前に医療現場から寄せられた「骨が一切残っていない魚を提供できないか」という要請にある。当時、病院や介護施設では、栄養士が魚の骨を一本一本取り除く作業を行う、あるいは安全性を優先してミンチ加工にせざるを得ないケースが多かった。同社は「魚の形を保ったまま、完全に骨を除去した商品」を実現するため、製造工程において人手による確認とレントゲン検査を組み合わせ、骨が一本も残っていないことを保証する仕組みを構築した。この「完全骨抜き」という品質基準が、同社の競争軸の出発点となっている。さらに同社は、骨なし魚を「完全に骨を取る」だけで終わらせず、凍ったまま調理可能な商品へと進化させてきた。冷凍状態のまま加熱調理できる技術については特許を取得しており、特許公開後も他社が容易に回避できない設計思想を積み重ねている。
売上構成を見ると、骨なし魚は同社の中核事業であるものの、金額ベースでは「その他事業」の比率が相対的に大きい。その中核がえび商品であり、これまでベトナムからの輸入・製造委託を通じて展開してきた。しかし、製造委託先とのトラブルにより一時的に赤字を計上し、足元ではえび商品の供給が縮小した影響が業績の重しとなっている。現在は製造委託先を切り替え、直接輸入を再開することで、えび事業の回復を図っており、12月の繁忙期には一定の供給体制を確保できている模様である。
同社のもう一つの大きな特徴は、50年以上かけて構築してきた物流・配送スキームである。全国に在庫拠点を持ち、問屋と連携しながら、小ロットでも迅速に配送する体制を構築している。北海道などの遠隔地であっても、オーダーがあれば対応するきめ細かな配送力は、地方の顧客から特に評価が高いという。価格面では大手に比べて高めになるケースもあるが、「安定供給」「必要な時に確実に届く」ことを重視する顧客にとっては、同社の物流網が重要な選定理由となっている。
顧客セグメントについては、医療・介護向けを起点に拡大してきたものの、足元ではコメ価格や原材料高の影響により、病院食・介護食の現場はコスト制約が強まっている。こうした環境下で、同社はインバウンド需要や外食・宿泊施設向け市場への注力を強めている。特に宿泊施設の朝食ビュッフェ向けなど、調理負担を軽減しつつ品質を担保できる冷凍食品の需要は拡大しており、同社はこの成長市場に向けた商品開発・販売戦略を進めている。
足元の業績については、上期累計の売上高は12,288百万円(前年同期比5.5%減)、営業利益は266百万円(同36.7%減)で着地した。骨なし魚で価格競争に伴う従来商品の販売数量が減少したほか、えび商品の販売軟調をカバーできずその他事業の減収が継続した。また、利益面では、値引増加に伴う粗利率低下と売上高の減収が影響した。基幹システム償却費増加したが、販管費削減により営業黒字を確保した。インフレ環境下での価格転嫁については、BtoB取引であるため一定の柔軟性はあるものの、最終的には価格そのものよりも「安定供給」が重視される傾向が強く、長期的に使われる商品として選ばれるかどうかが重要になるようだ。今期計画は、売上高26,400百万円(前期比2.6%増)、営業利益1,000百万円(同18.9%増)を見込んでいる。
中長期的な成長戦略としては、骨なし魚に次ぐ柱事業の育成と、業務用以外も含めた需要成長市場への展開がテーマとなる。えび事業については一時的な混乱からの回復局面にあり、今後の立て直しが注目点である。また、ファブレスモデルを継続する方針であり、サプライチェーン管理の重要性は認識しつつも、製造を持たないからこそ柔軟な委託先変更が可能である点を活かして成長を図っていくようだ。
財務面では、約30億円規模のネットキャッシュを保有しており、成長投資・安定配当・株主優待を含めた還元策を組み合わせた資本政策を進めている。当期純損失ながら、利益剰余金を原資として配当は計画通り60円を実施。配当利回り3%を超える中、1 単元(100 株)以上の株式を保有している株主を対象に同社商品を市場価格にて 2,500 円相当分を贈呈している。50年にわたり地道に事業を積み上げてきた企業文化を背景に、今後は成長市場への商品投入と供給体制の安定が評価軸となろう。
<NH>
競合環境としては、ニチレイやマルハニチロ、極洋といった大手水産・冷凍食品メーカーが挙げられるが、同社は自社工場を持たないファブレスメーカーという立ち位置を明確にしている。製造は外部に委託し、商品企画、品質管理、販売、物流スキームに経営資源を集中させることで差別化を図っている点が特徴である。
骨なし魚事業の原点は、約10年以上前に医療現場から寄せられた「骨が一切残っていない魚を提供できないか」という要請にある。当時、病院や介護施設では、栄養士が魚の骨を一本一本取り除く作業を行う、あるいは安全性を優先してミンチ加工にせざるを得ないケースが多かった。同社は「魚の形を保ったまま、完全に骨を除去した商品」を実現するため、製造工程において人手による確認とレントゲン検査を組み合わせ、骨が一本も残っていないことを保証する仕組みを構築した。この「完全骨抜き」という品質基準が、同社の競争軸の出発点となっている。さらに同社は、骨なし魚を「完全に骨を取る」だけで終わらせず、凍ったまま調理可能な商品へと進化させてきた。冷凍状態のまま加熱調理できる技術については特許を取得しており、特許公開後も他社が容易に回避できない設計思想を積み重ねている。
売上構成を見ると、骨なし魚は同社の中核事業であるものの、金額ベースでは「その他事業」の比率が相対的に大きい。その中核がえび商品であり、これまでベトナムからの輸入・製造委託を通じて展開してきた。しかし、製造委託先とのトラブルにより一時的に赤字を計上し、足元ではえび商品の供給が縮小した影響が業績の重しとなっている。現在は製造委託先を切り替え、直接輸入を再開することで、えび事業の回復を図っており、12月の繁忙期には一定の供給体制を確保できている模様である。
同社のもう一つの大きな特徴は、50年以上かけて構築してきた物流・配送スキームである。全国に在庫拠点を持ち、問屋と連携しながら、小ロットでも迅速に配送する体制を構築している。北海道などの遠隔地であっても、オーダーがあれば対応するきめ細かな配送力は、地方の顧客から特に評価が高いという。価格面では大手に比べて高めになるケースもあるが、「安定供給」「必要な時に確実に届く」ことを重視する顧客にとっては、同社の物流網が重要な選定理由となっている。
顧客セグメントについては、医療・介護向けを起点に拡大してきたものの、足元ではコメ価格や原材料高の影響により、病院食・介護食の現場はコスト制約が強まっている。こうした環境下で、同社はインバウンド需要や外食・宿泊施設向け市場への注力を強めている。特に宿泊施設の朝食ビュッフェ向けなど、調理負担を軽減しつつ品質を担保できる冷凍食品の需要は拡大しており、同社はこの成長市場に向けた商品開発・販売戦略を進めている。
足元の業績については、上期累計の売上高は12,288百万円(前年同期比5.5%減)、営業利益は266百万円(同36.7%減)で着地した。骨なし魚で価格競争に伴う従来商品の販売数量が減少したほか、えび商品の販売軟調をカバーできずその他事業の減収が継続した。また、利益面では、値引増加に伴う粗利率低下と売上高の減収が影響した。基幹システム償却費増加したが、販管費削減により営業黒字を確保した。インフレ環境下での価格転嫁については、BtoB取引であるため一定の柔軟性はあるものの、最終的には価格そのものよりも「安定供給」が重視される傾向が強く、長期的に使われる商品として選ばれるかどうかが重要になるようだ。今期計画は、売上高26,400百万円(前期比2.6%増)、営業利益1,000百万円(同18.9%増)を見込んでいる。
中長期的な成長戦略としては、骨なし魚に次ぐ柱事業の育成と、業務用以外も含めた需要成長市場への展開がテーマとなる。えび事業については一時的な混乱からの回復局面にあり、今後の立て直しが注目点である。また、ファブレスモデルを継続する方針であり、サプライチェーン管理の重要性は認識しつつも、製造を持たないからこそ柔軟な委託先変更が可能である点を活かして成長を図っていくようだ。
財務面では、約30億円規模のネットキャッシュを保有しており、成長投資・安定配当・株主優待を含めた還元策を組み合わせた資本政策を進めている。当期純損失ながら、利益剰余金を原資として配当は計画通り60円を実施。配当利回り3%を超える中、1 単元(100 株)以上の株式を保有している株主を対象に同社商品を市場価格にて 2,500 円相当分を贈呈している。50年にわたり地道に事業を積み上げてきた企業文化を背景に、今後は成長市場への商品投入と供給体制の安定が評価軸となろう。
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