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エヌ・シー・エヌ Research Memo(3):構造計算と同社独自のSE構法で耐震性を確立
配信日時:2025/12/30 12:03
配信元:FISCO
*12:03JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(3):構造計算と同社独自のSE構法で耐震性を確立
■エヌ・シー・エヌ<7057>の事業概要
1. 木造耐震設計事業
木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化している。同時に、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れた同社独自のSE構法を、全国のSE構法登録施工店(工務店)を中心としたネットワークを通じて提供している。
(1) 住宅分野(SE構法)
住宅分野では、施主よりSE構法による木造建築を受注した登録施工店に対して、設計段階で構造計算書を出荷し、建設段階で構造加工品等を販売している。また、登録施工店からは登録料及び月会費を受領している。SE構法は、高い耐震性と大空間の両方を兼ね備えた最先端の木構造技術である。構造躯体に使用する木材には、品質が高く一定の強度が保たれた構造用集成材を採用している。柱と梁をつなげる部分にSE金物を使うことで断面の欠損が少ない構造になるというメリットがある。また、大きな地震による揺れに際し、最も壊れやすい柱と基礎の連結部分には、柱脚金物を配することで引き抜き耐力が向上する。木材や接合する金物が高い強度を持つことは大きな要素であるが、SE構法が地震に強い最大の理由は構造計算を実施している点だ。SE構法は鉄骨造やRC造と同様に、木造住宅で数値に裏付けられた構造計算を実施し、保証をつけて販売することにより、資産価値の高い家を提供する。これまでSE構法を取り入れた住宅による大震災での倒半壊はゼロである。
a) ネットワーク展開(住宅分野ネットワーク展開)
SE構法による耐震性の高い木造住宅のさらなる普及に向けて、同社は登録施工店の獲得とネットワークの強化を推進している。「重量木骨の家」は、全国のSE構法登録施工店628社のうち、選定された工務店「重量木骨の家プレミアムパートナー」がSE構法を利用して建築する、資産価値の高い家の総称である。DX推進により登録施工店とのパートナーシップを活用し、YouTubeを使ったデジタル展示場や、Instagramを取り入れた訴求を促進している。
b) ハウスメーカー対応(OEM供給)
規格型住宅を販売するハウスメーカー(大手ハウスメーカー数社を含む)等パートナー企業に対して、SE構法をOEM提供している。パートナー企業が規格型住宅を販売する場合、同社は構造計算書を出荷し、構造加工品等を販売する。持分法適用関連会社のMUJI HOUSEが提供する「無印良品の家」の「陽の家」は、平屋で廊下を必要としないワンフロアであり、二拠点居住や、貸別荘などの宿泊施設であるVilla(ヴィラ)としてのニーズが高い。なお、MUJI HOUSEは、(独)都市再生機構(UR都市機構)と団地リノベーションを拠点に地域の活性化を促進する事業にも取り組んでいる。
(2) 大規模木造建築(非住宅)分野
大規模木造建築(非住宅)分野では、延床面積500平方メートル以上の木造建築に対してSE構法の提供を行っている。「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行(2010年10月)や、一部改正となる「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行(2021年10月)等により、構造計算が必要となる大規模木造建築の建設需要が高まっている。同社は、この需要に対応するため、木造建築の耐震設計ノウハウを大規模木造建築へ転用し、事業規模を拡大している。大規模木造建築は、鉄骨造やRC造と比較して軽量であり、施工コストや工期を抑制できる特長がある。
同事業分野は森林保全や地球温暖化による環境問題などから、建築物の木造化・木質化が世界的に推進される成長分野である。成長を加速させるため、同社は木造プレカットCAD開発トップシェアのネットイーグル(株)と、SE構法以外の構法も扱う大規模木造建築(非住宅)分野の構造設計事業について業務提携した。これにより、2020年2月に合弁会社である木構造デザインを設立し、同年10月にゼネコンや設計事務所とプレカット工場をつなぐ日本初の大規模木造マッチングプラットフォーム事業を開始した。木構造デザインは、構造設計サポートと加工サポートに加え、プレカット工場ネットワークの組成による生産体制の整備、ゼネコンや設計事務所向けの広告宣伝活動を行う。構造設計から生産設計までワンストップでサービスを提供する。構造設計サポートでは、建築物の用途・規模等に応じて工法提案(SE構法、在来軸組工法※1、2×4工法、集成材構造、CLT※2工法など)を行い、同社で培った30,000棟以上の構造計算ノウハウを他工法に転用し構造計算をすることで、大規模木造建築市場でのシェア拡大を目指す。市場の課題解決と木造化へのニーズに応えるため、同社は新たに非住宅木造建築に特化した「大規模木造建築ネットワーク」を設立し、2025年7月1日より活動を開始した。
※1 在来軸組:日本古来の工法を簡略化・発展させた工法。
※2 CLT:板の層を各層で互いに繊維方向が直交するように積層接着した厚型パネル。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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1. 木造耐震設計事業
木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化している。同時に、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れた同社独自のSE構法を、全国のSE構法登録施工店(工務店)を中心としたネットワークを通じて提供している。
(1) 住宅分野(SE構法)
住宅分野では、施主よりSE構法による木造建築を受注した登録施工店に対して、設計段階で構造計算書を出荷し、建設段階で構造加工品等を販売している。また、登録施工店からは登録料及び月会費を受領している。SE構法は、高い耐震性と大空間の両方を兼ね備えた最先端の木構造技術である。構造躯体に使用する木材には、品質が高く一定の強度が保たれた構造用集成材を採用している。柱と梁をつなげる部分にSE金物を使うことで断面の欠損が少ない構造になるというメリットがある。また、大きな地震による揺れに際し、最も壊れやすい柱と基礎の連結部分には、柱脚金物を配することで引き抜き耐力が向上する。木材や接合する金物が高い強度を持つことは大きな要素であるが、SE構法が地震に強い最大の理由は構造計算を実施している点だ。SE構法は鉄骨造やRC造と同様に、木造住宅で数値に裏付けられた構造計算を実施し、保証をつけて販売することにより、資産価値の高い家を提供する。これまでSE構法を取り入れた住宅による大震災での倒半壊はゼロである。
a) ネットワーク展開(住宅分野ネットワーク展開)
SE構法による耐震性の高い木造住宅のさらなる普及に向けて、同社は登録施工店の獲得とネットワークの強化を推進している。「重量木骨の家」は、全国のSE構法登録施工店628社のうち、選定された工務店「重量木骨の家プレミアムパートナー」がSE構法を利用して建築する、資産価値の高い家の総称である。DX推進により登録施工店とのパートナーシップを活用し、YouTubeを使ったデジタル展示場や、Instagramを取り入れた訴求を促進している。
b) ハウスメーカー対応(OEM供給)
規格型住宅を販売するハウスメーカー(大手ハウスメーカー数社を含む)等パートナー企業に対して、SE構法をOEM提供している。パートナー企業が規格型住宅を販売する場合、同社は構造計算書を出荷し、構造加工品等を販売する。持分法適用関連会社のMUJI HOUSEが提供する「無印良品の家」の「陽の家」は、平屋で廊下を必要としないワンフロアであり、二拠点居住や、貸別荘などの宿泊施設であるVilla(ヴィラ)としてのニーズが高い。なお、MUJI HOUSEは、(独)都市再生機構(UR都市機構)と団地リノベーションを拠点に地域の活性化を促進する事業にも取り組んでいる。
(2) 大規模木造建築(非住宅)分野
大規模木造建築(非住宅)分野では、延床面積500平方メートル以上の木造建築に対してSE構法の提供を行っている。「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行(2010年10月)や、一部改正となる「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行(2021年10月)等により、構造計算が必要となる大規模木造建築の建設需要が高まっている。同社は、この需要に対応するため、木造建築の耐震設計ノウハウを大規模木造建築へ転用し、事業規模を拡大している。大規模木造建築は、鉄骨造やRC造と比較して軽量であり、施工コストや工期を抑制できる特長がある。
同事業分野は森林保全や地球温暖化による環境問題などから、建築物の木造化・木質化が世界的に推進される成長分野である。成長を加速させるため、同社は木造プレカットCAD開発トップシェアのネットイーグル(株)と、SE構法以外の構法も扱う大規模木造建築(非住宅)分野の構造設計事業について業務提携した。これにより、2020年2月に合弁会社である木構造デザインを設立し、同年10月にゼネコンや設計事務所とプレカット工場をつなぐ日本初の大規模木造マッチングプラットフォーム事業を開始した。木構造デザインは、構造設計サポートと加工サポートに加え、プレカット工場ネットワークの組成による生産体制の整備、ゼネコンや設計事務所向けの広告宣伝活動を行う。構造設計から生産設計までワンストップでサービスを提供する。構造設計サポートでは、建築物の用途・規模等に応じて工法提案(SE構法、在来軸組工法※1、2×4工法、集成材構造、CLT※2工法など)を行い、同社で培った30,000棟以上の構造計算ノウハウを他工法に転用し構造計算をすることで、大規模木造建築市場でのシェア拡大を目指す。市場の課題解決と木造化へのニーズに応えるため、同社は新たに非住宅木造建築に特化した「大規模木造建築ネットワーク」を設立し、2025年7月1日より活動を開始した。
※1 在来軸組:日本古来の工法を簡略化・発展させた工法。
※2 CLT:板の層を各層で互いに繊維方向が直交するように積層接着した厚型パネル。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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