注目トピックス 日本株

ユニリタ Research Memo(4):2026年3月期中間期は各事業が堅調に推移し、増収増益を実現

配信日時:2025/12/23 13:34 配信元:FISCO
*13:34JST ユニリタ Research Memo(4):2026年3月期中間期は各事業が堅調に推移し、増収増益を実現 ■ユニリタ<3800>の決算動向

1. 2026年3月期中間期決算の概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高が前年同期比3.7%増の5,962百万円、営業利益が同24.4%増の459百万円、経常利益が同20.2%増の609百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同23.1%増の357百万円と増収増益となった。また、期初予想に対しては、売上高がおおむね計画線で推移する一方、各段階利益は上振れる結果となった。

売上高は、計画的なマイグレーション戦略が奏功した自動化事業を中心に「プロダクトサービス」が堅調に推移したほか、サービスマネジメント領域への需要拡大などに伴う「クラウドサービス」の伸びが増収に大きく寄与した。また、「プロフェッショナルサービス」についても、コンサルティング、SI、アウトソーシングがそれぞれ順調に伸長した。

損益面でも、人的資本投資(採用強化や教育研修費など)がコスト要因となったものの、「クラウドサービス」や「プロフェッショナルサービス」の収益性改善による収益の押し上げ、広告宣伝費の見直し及び外注費の削減等により大幅な増益となった。営業利益率も7.7%(前年同期は6.4%)に改善した。

財政状態について特筆すべき動きはなく、総資産は現預金の増加等に伴って前期末比3.1%増の15,841百万円となった。一方、自己資本は利益準備金の積み増しにより同1.9%増の12,193百万円となり、自己資本比率は77.0%(前期末は77.9%)とおおむね横ばいで推移した。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) プロダクトサービス
売上高は前年同期比0.3%増の2,270百万円、セグメント利益は同2.8%減の669百万円と微増収ながら減益となった。売上高は、メインフレーム事業が大手メーカーの市場撤退などを背景とした市場の緩やかな縮小により減少したものの、自動化事業(A-AUTO)がユーザーのシステム更改タイミングを捉えたマイグレーション戦略が奏功し伸長した。また、帳票事業では、パートナーとの連携強化策を推進し、帳票の配送代行業務ニーズ等を取り込むことができた。損益面では、利益率の高いメインフレーム事業の減少が響き減益となったが、セグメント利益率は29.5%(前年同期は30.4%)と高い水準を維持した。

(2) クラウドサービス
売上高は前年同期比6.9%増の1,834百万円、セグメント損失は235百万円(前年同期は274百万円の損失)と増収となり損失幅が改善した。売上高は、企業のDX推進やシステム運用のアウトソーシング需要を背景に、主力のサービスマネジメントプラットフォーム「LMIS」がけん引した。また、「Waha! Transformer」関連については、生成AIを搭載したサービス(詳細は後述)などのラインナップ拡充により引き合いが活発化している。そのほかの主力サービスである「The Staff-Vシリーズ」(派遣管理業務の支援ツール)や「Digital Workforce」(ID管理プラットフォーム)、「らくらくBOSS」(通勤費管理ツール)などについてもパートナー連携などにより堅調に推移した。損益面では、依然として費用が先行しているものの、増収による収益の押し上げに加え、広告宣伝費の見直しや外注費の圧縮などにより損失幅が改善した。

(3) プロフェッショナルサービス
売上高は前年同期比5.1%増の1,858百万円、セグメント利益は同71.3%増の171百万円と増収となり大幅な増益を実現した。売上高は、同社の強みであるサービス&データマネジメント領域におけるコンサルティング事業の伸びやSI事業の高付加価値化(グループ連携によるバリューチェーン案件の増加)、アウトソーシング事業におけるシステム運用代行業務(昨年リリースしたレガシー資産の保守業務サービス等)の受注増加が増収に寄与した。損益面でも増収効果や高付加価値化により大幅な増益を実現した。

2. 2026年3月期中間期の総括
2026年3月期中間期を総括すると、各事業が堅調に推移し計画を上回る増益となった業績面をはじめ、活動面についても、今後の成長に向けて注目すべき成果を上げることができた(詳細は後述)。特に、生成AI活用におけるセキュリティ技術の特許取得(並びに新サービスのリリース)や、グループ一体となった価値提供モデルの展開による受注獲得は、将来性を占ううえでも重要な判断材料となるだろう。一方、「クラウドサービス」におけるセグメント損失の解消が進まないところは気になるが、今後の成長に向けた先行費用(研究開発費を含む)が「クラウドサービス」に集約されていることにも原因があり、決してサービスごとの収益性が著しく低いというわけではない。たとえば、収益化に時間を要する社会課題領域(地域交通の課題解決等)は言うに及ばず、今回の特許取得につながった顧客との共同実証実験などは、まさに今後の収益の柱となり得る分野への先行費用と捉えることができる。もちろん、主力サービスの伸びで先行費用をカバーしていくことが理想ではあるが、戦略的な成長投資を増やすほど、足元のセグメント損益を悪化させる要因となるという構造的なジレンマ(足元損益重視か、成長重視か)を理解しておく必要がある。むしろ、こういった先行費用が今後どのように新技術や新サービスとなって現れ、収益化を実現していくのかが最大の注目点と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

<HN>

Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

ニュースカテゴリ